超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第四十四話 束ねた思いは光となって

 劣勢になって、一つ返して、追い詰められて、逆転して、またピンチになって、チャンスを繋いで…そうして少しずつ、進んできた。怪我に耐えて、体力を注ぎ込んで、勝利へ向かって走り続けてきた。それでも届きそうになくて、前に進む以上に負担がのし掛かり続けてきた身体は重くなっていって……そんな中での、勝利への道筋は見えていても走り抜けるだけの力はもうないかもしれないと心のどこかで思う中での、グレイブと愛月の一手は圧巻だった。圧巻で、壮観で…痛快だった。巨大な相手に対し、こっちも巨大化で対抗して、しかもそこからもう一段階変化して…パワーが桁違いな闇を、真正面からパワーで押し返したんだ。こんなの痛快に決まってる。

 そして…今度こそいける、そんな気がする。ワイトさんが壁を破って、茜さんとイヴさんが確かなダメージを与えて、グレイブと愛月が…二人のポケモンが真っ向から闇とぶつかり合っている、今なら。

 

「皆、いくわよッ!このチャンス、逃す理由はないわッ!」

「はいッ!」

 

 空で…シェアリングフィールドの温かい光と赤い雲が混ざり合う空中で大見得を切るネプ姉さんの言葉に、腹からの声で応える。痛快の跳ね返しもそうだったけど、こういう時のネプ姉さん…いや、女神様の言葉は、たった一言でも力をくれる。だからわたしは、仕掛けようとするネプ姉さんに合わせる形で山激、塞牙と殴り合う闇に突撃をしようとして……止められる。

 

「諸君、待ち給え!確かにチャンスだ、攻め時だ。だが…チャンスだからこそ、一度下がってほしい!」

「下がる、ですか?けど、チャンスを逃す訳には……」

「チャンスを逃すのは失策だが、焦ってチャンスを無駄にするのも失策だ。グレイブ、愛月、暫くは持つだろう?」

「勿論だ!というか、少し位はのんびりしてくれたっていいぜ?何なら別に、倒しちまっても構わ……」

「それこそ待ち給え、フラグを立てようとするんじゃない…!」

 

 影さんからの問い掛けに、グレイブが威勢良く返す。持ち堪えられるどころか、倒しちまってもとすら言って…けど言い切る直前に、ズェピアさんが遮った。しかもまあまあ強めに制した。これにはグレイブも、「お、おう…」となっていた。

 

「彼等の言う通りだ。私もグレイブくん達と闇を抑え込む。その間に、君達は後退を…!」

「だったら、私も残らせてもらうよ。私はさっき、かなり長めに休ませてもらったからね…!」

「ちょっ、ぜーちゃん!?休んだも何も、ぜーちゃんこそ特にもう一回下がった方がいいよ!?下がるべき人筆頭だよ!?」

「大丈夫!三人が施してくれた治癒なら、何も心配は要らな──」

 

 全身から撃ち込まれる光線を、見るからに堅牢な身体で弾きながら山激と塞牙は突進していく。それを援護するように、飛翔するワイトさんの機体が射撃を掛ける。そこへ更に、イリゼさんも追従をする。三人が治癒してくれたんだから、と小さく笑みを浮かべながら、イリゼさんは巧みに光線を回避し、反撃に移ろうとして…けれど次の瞬間、イリゼさんの動きが鈍る。脇腹を押さえ、一気に高度が落ちていく。…まさか……。

 

「ぁ、ぐ……」

「イリゼ!?くっ、間に合わない……!」

 

 あんまりにも絶妙過ぎる、引きの悪過ぎるタイミングでの、イリゼさんの落下。反射的にセイツさんが助けに入ろうとして、わたし達も動いて…けど人型部位が崩れてから苛烈化した闇の攻撃を、一気に切り抜ける事なんて出来ない。万全の状態ならまだしも、疲弊した今は、どうしても身体が思った通りに動いてくれない。

 チャンスだからこそ、絶好の機会だからこそ、一度下がる必要がある。今の状況は、皮肉にもイリゼさんの危機で以って下がる必要性をひしひしと感じさせてきた。

 落下し片膝を突きながらも、イリゼさんは長剣で光線を斬り払う。でも当然今の状態じゃ捌き切れる筈もなく、段々と迎撃が間に合わなくなり始めた…そんな、時だった。

 

「やらせは…しないッ!」

 

 捌き切れない光線がイリゼさんを撃ち抜き掛けた直前、イリゼさんの目と鼻の先に飛来したのは一本の剣。バリアと共に飛来し突き刺さった剣は、光線からイリゼさんを守る。更に突き刺さった直後からバリアは広がって、イリゼさんを包み込む。そして、そこへ向けて駆け抜けるのは…一人の少女。

 

「……!ルナ…!?」

「お待たせ、私復活だよ!…なんて、ね」

 

 闇から見てバリアの裏側へ回り込む事で、光線を受けないようにしつつ走る少女…ルナ。そうしてルナが駆け寄ると同時にバリアが消えて、ルナは地面に突き立てられた剣を掴む。再びバリアが広がる中で、剣を構える。

 

「イリゼ、立てる?」

「う、うん…って、ルナ…その腕は……」

 

 脇腹を押さえながらも立って後退するイリゼさんを、ルナは支援。そのルナの両腕に巻かれているのは…黒い帯。

 

「これ?これは……」

「──保護と治癒を兼ね備えつつ、強度と柔軟性を両立した魔術式治療器具…まあ、一先ず名前はブラックバンテージとでもしておこうか」

 

 答えかけたルナから引き継ぐ形で、いつの間にか前進していたズェピアさんが答える。即興で考えたような名前を口にすると同時に腕を軽く振れば、ズェピアさんの腕からはルナの腕に巻かれている物と同じ帯…ブラックバンテージが現れ、イリゼさんの胴体にするりと巻き付く。

 

「こ、これは…凄い!一気に痛みが引…かないんだけど!?痛たたたたっ!これ痛い!痛み変わらないどころかむしろ締め付けられて余計痛い!ど、どういう事!?」

「どうも何も、速攻で治る訳ではないからね?軽傷ならともかく、イリゼさんの重傷を包帯一つで治せる訳がないからね?」

「そ、それは確かに…あ、でも確かに動ける…動けるし、全然邪魔に感じない…これはこれで凄い、どこぞのカーテン並みに……」

 

 いきなり漫才みたいなやり取りが始まって、「えぇ…」となったわたしだけど、確かにイリゼさんの動きは回復している。ズェピアさんにイリゼさんを任せる形で闇に向かっていたルナ、そのルナの腕の動きも、まるで怪我を感じさせないような滑らかさで…ブラックバンテージの効果は間違いない。そして、さっきのイリゼさんを見ている以上、もう異議を唱えるつもりもない。

 

「ご理解頂けたようだね。では……」

「あぁ。ズェピア、お前の力、少し借りるぞ」

 

 下がったわたし達へ、次々とブラックバンテージが巻かれていく。確かに締め付けは強い…巻かれているというかキツく縛られていると感じるレベルではあるけど、その分本当に、思い切り身体を動かしても全くズレなければ邪魔にもならない。……何度も身体を叩き付けられていたからか、全身に巻かれる形になったセイツさんは、「ちょっと!?わたしだけなんか亀甲縛りみたいになってない!?さ、流石に恥ずかしいんだけど!?」…と言っていたけど、これは気にしない。うん、仕方ない事だ。

 と、そうしてわたし達が処置を受ける中、ズェピアさんも影さんが言葉を交わす。力を借りるという気になる言葉を影さんが発した直後、彼の遠隔操作端末…まだ健在な五基が影さんの正面に飛んで並ぶ。そこからズェピアさんが指を鳴らし…並んでいた端末は、影の様なエネルギーに包まれる。包まれ、変化し…五つの『人影』が生まれる。

 

「おー、えー君とえるなむさんの合作技…これぞ正に夜影兵(シャドウアーミー)だね!」

「別にこれはトークンでもなきゃ、ブーストを持っている訳でもないんだが…な」

 

 完全な人型ではない、それこそ影から出てきたような人影。それに影さんが視線を送ると、人影は一斉に動き出す。走るでも飛ぶでもなく、地面を滑りながら闇へと向かっていって、掌から光芒を放つ。

 対する闇も、山激や塞牙と衝突しながら無茶苦茶に放つ光線で対抗。互いのビームが駆け抜け、人影の攻撃は闇を撃つ。闇の攻撃も人影に届き…けれど、当たらない。触れる直前に人影は、地面に溶けるように沈んで躱し、別の場所で再び人型となって姿を現す。

 

「うわっ、敵…じゃ、ない…?」

「すまない、ややこしい見た目だが敵じゃない」

「ご覧の通り、準備にかなり時間はかかってしまったが、君達が多少の休息を取る為の戦力は用意しておいた。…しかし凄いな影君、動きが滑らか過ぎて君の遠隔操作だという事を忘れてしまいそうだよ」

「俺からすれば、ここまでダイレクト且つ忠実に思考を反映してくれる仕様を作り上げたズェピアの方が恐ろしいがな」

 

 真正面からの激闘を繰り広げる山激と塞牙、それを援護するルナとワイトさん、更にそれを支援する人影とポケモン達…そんな形で、戦線が再構築されていく。

 確かに、一刻も早く戻らないと…そんな風に感じる状態ではない。…でも、ゆっくりとする事も出来ない。出来ないというより…今ゆっくり休もうとしたら、そのまま緊張の糸も集中力も完全に溶けて、全身から力が抜けてしまいそうな…そんな気がする。

 

「確かに抑え込めてるみてーだが、向こうがタフ過ぎるせいで、中々有効打にゃなってねぇってところか…てか、何だこの巻き方…胸にサラシ巻いてるみたいになってんじゃねーか」

「うぅー…ぴぃもむねのとこ、苦しい……」

「そこは我慢してくれるかな。さて…皆も感じているとは思うが、今は最大のチャンスだ。だが、これを逃せば恐らく次はない。相手がではなく、こちらにもう二度目のチャンスを待ち、そこに注ぎ込むだけの余力が私達にはもうない」

「えぇ。今はまだ維持出来ているけど、シェアリングフィールドもいつまで持つか分からないわ」

「つまり、最大のチャンスであると同時に、最後のチャンスでもある…って事ですか…」

 

 半壊したアーマーに触れながら言うイヴさんの言葉に、反応して返す。自分に余裕がない事は、十分理解していたつもりだったけど…自分以外から言われると、そして全員がそうなんだと思うと、後がないんだという事をひしひしと感じさせられる。

 引き締まる空気と、流れる緊張感。チャンスだと思えば気持ちは盛り上がるけど、失敗は出来ないと思うとどうしても肩に力が入りそうになって…そんな中で、不意に聞こえてきたのは凛とした声。

 

「最大で最後のチャンス…ふふっ、分かり易くて良いじゃない。だって次がないって事は、このチャンスに残りの力を全部注げば良いって事でしょ?後の事を考えたり、それを踏まえて余力を残したりしなくていい分、目の前の事に全力を尽くせる…自分ならそう思うわ」

「物は考えよう、ってやつね。…けど、一理あると思うわ。ここまではずっと、『今を凌ぐ事』と『倒す為の事』を両方考えながら戦ってた訳だしね」

「でしょ?…それに、自分達は一から倒さなきゃいけない訳じゃないわ。ゲハバーンの事、やっと倒したと思ったら復活した事、どんな攻撃も通用しなかった事…ここまでも色んな困難があって、でも全部乗り越えて、この最大のチャンスまで辿り着いたんだもの。だから、チャンスをものにして確実に勝たなきゃいけない…なんて思う必要はないのよ。もう困難は全部乗り越えたんだから、後は倒すだけ……そういう事なのよ。きっと、ね」

 

 自分はそう思っている、そう信じている。…そう言うように、ネプ姉さんは…ネプテューヌさんは笑った。一理あると言ったエストさんも、ネプ姉さんの言葉に小さく笑って…張り詰めていた、空気が緩む。戦いに必要な最低限の緊張は残したまま…なんだかいけそうな気がする、って雰囲気に変わる。…あ、しまった…あると思います、みたいな感じになった…。

 

「良い事言うわねネプテューヌ。…えぇ、ネプテューヌの言う通りよ。もうわたし達は勝利に手が届くかもしれない場所まで来てる。そしてそこまでは誰かに送ってもらったんじゃなくて、自分達の力で辿り着いたのよ」

「だから後は、思いっ切り跳んでゴール地点を踏み締めてやろう…って事だな。…やれるさ、きっと。やってやろうぜ」

「そう、ですね。…うん、後の事は考えなくて良いって思うと、むしろこれまでで一番楽っていうか…素直に全力を注げそうかも…」

 

 拳を握るカイトさんと、落ち着いた声音で言うディールさんの言葉に、わたし達は頷く。

 取り敢えず、怪我は何とかなった。疲労はあるけど、ほんの少し休んだだけでも、回復した分が身体に回り始めた。後は駆け抜ける、踏み切って跳ぶ為の気持ちだけど…今はそれが、何よりも一番漲っている。

 

「それじゃあ、行きましょ。いい加減この戦いを、勝って終わらせようじゃない」

「うんっ!ぴぃ、がんばるよーっ!」

「おわっ…あっぶな、危うく回ってきた鉤爪で引っ掻かれるところ……って、ネプテューヌ…?」

 

 多分作ってもらった氷を、ブラックバンテージ越しに当ててアイシングしていたイリゼさんは、近くを掠めたピーシェ様の鉤爪に驚き……そこでネプ姉さんの事を呼んだ。その時のネプ姉さんは、何故か、どこか安心したというか、ほっとしたような顔をしていて…けれど呼ばれてイリゼさんの方を見た時にはもう、その雰囲気は消えていた。それを見たイリゼさんは、一瞬何かに気付いたような表情をして…でもその事に触れはせずに、勝とう、とだけ言った。

 

…………。

 

「……ネプ姉さん」

「あら、どうかした?」

「どう、って訳じゃないんですが…わたしの事、頼って下さいね?」

「ビッキィ…ありがとう。でも、それは出来ない相談ね。だって…ビッキィの事も、皆の事も、最初から頼りにしてるもの」

「はは、ですよね。そうだと思っていました」

 

 柔らかく笑うネプ姉さんに、わたしも肩を竦めて笑い返す。それから視線を闇へと向けて、大きく一つ深呼吸。

 これで分かった。さっきの雰囲気の意味は分からないけど…ここにいるのは、わたしの知るネプ姉さんだ。

 

「んじゃ、カタを付けにいくとするかッ!」

 

 気合いの籠った声と共に、アイさんが地面を蹴って飛翔する。ネプ姉さんとセイツさんがそれに続いて、ピーシェ様とイリゼさんは、低空飛行で闇への接近を開始する。他の皆も走り出したり遠隔攻撃を始めたりする中、わたしも遠距離攻撃をしつつ接近を掛けようとして……そこで聞こえてきたのは、こんなやり取り。

 

「…そうか、やっぱり無理か」

「残念だけど、貴方の義足にしろ私の義手にしろ、身体の一部として現実から『持ってきた』ものだから、ワイトの機体の様にはいかないわ。…悔しい、けどね…」

「仕方ないさ、出来ないものは出来ないからな。…だがまだ、手はある。ここだからこそ、出来るかもしれない事がある」

 

 会話の内容から、何となくの流れは分かる。そこから先は、わたしがよく聞こえない距離まで行ってしまったから分からないけど…きっとまた、何かをしてくれるんだろうと思う。

 今は最大で、最後のチャンス。それを、そのチャンスを、勝利に変える為に、最後の最後まで全力を尽くす。さて…ビッキィ・ガングニル、勝利へ向けて──参るッ!

 

 

 

 

 元々は色々データを取らせてもらいつつ、皆には純粋に楽しんでもらいたかった仮想空間での体験。それが結局は、危険な戦いに巻き込む事になってしまった。色んな次元や世界から皆に集まってもらった結果、あの時…くろめ達の策略に利用された時と、色々な面で近いような状態となってしまった。

 皆は自分の意思で残ってくれたとはいえ、責任は私とセイツにある。気負うな、とアイ達に言われはしたし、それもそうだとは思ったけど、完全に頭から追い出した訳じゃなかった。というより、追い出しようがなかった。だって私は女神だから。気にする必要はなくても、責任はあるんだから。

 でも…今は、少し違う。多分今も、頭の片隅にはあるけど、今は意識の全てが一点に向いている。目も、心も、それだけを見ている。勝つんだっていう、一点を。

 

『はぁああぁぁぁぁッ!』

 

 アイの回し蹴り、ネプテューヌの横蹴り、ビッキィの飛び蹴り。三人の同時蹴りが闇の振り出した脚と激突し、互いに弾く。その衝撃で三人は離れ、闇も少し姿勢を崩し…次の瞬間、闇の上体に山激が拳を叩き込む。

 

「よっしゃあヒット!続け愛月!」

「任せてッ!」

 

 放たれた拳がめり込み、闇は後ろへよろける。生まれた隙を突くべく、塞牙が左から回り込み、横回転。まるで塔か何かの様な尻尾を遠心力で振り出し、闇の背面へ強かにぶつける。立て続けに前後からの強打を受けた闇は、更に大きく姿勢を崩す。

 

「畳み……」

「掛けるッ!」

 

 既に半壊した人型部位へ撃ち込まれる、光芒と弾丸。マエリルハ…いや、ブランシュネージュ・ミラージュの攻撃が手始めに突き刺さり、続いて影君が使役する人影の一斉射が追い討ちを掛ける。直進する攻撃が次々と人型の部位を撃ち抜き…炎が走る。地面を蹴り、跳び上がったカイト君の斬り上げが、大剣から噴き出る猛烈な火炎が、下から喰らい付くように闇を焼く。

 反撃を許さない、とまではいかない。けれど突破不可能な膜の壁は消え、機動力は人型の部位が半壊してから目立たなくなり、パワーも今はそれ以上の力で抑え込めている。本当に、今が最大のチャンス。確かに勝機は、ある。

 

「皆!一ヶ所ずつ、闇を砕いていって!それが一番の、勝ちへの道だからッ!」

「砕く、か…どの部位だろうとかなり骨が折れそうだが……」

「出来るわ、貴方なら…わたし達ならッ!」

 

 闇を『視て』くれたのか、茜の声が届く。跳んだ状態でセイツに手を伸ばし、運んでもらっていたカイト君は、セイツの言葉に「だよな」とばかりの笑みを浮かべて…投げ飛ばしてもらう形で、再度アタック。今度は直接大剣を突き立て、そこから爆ぜるような炎を放つ。その反動でもう一度離脱して、着地する。着地地点へ撃ち込まれた光線は、全て私が割って入って斬り払う。

 

「乾坤一擲、全力全開…ここで、これで…終わらせるッ!」

 

 叫び、宣言を響かせると共に、私は飛ぶ。長剣を空に投げ放ち、代わりに巨大な剣を…闇を真正面から叩き斬る為の、超巨大剣を作り上げる。それと共に、直上へ飛んだセイツと…私と同じように、けれど私とは少し違う超巨大剣を精製したセイツと視線を交わらせ、タイミングを合わせ、同時に振り抜く。

 

「天舞参式・睡蓮ッ!」

「真巓解放・信頼ッ!」

 

 自身よりも遥かに、人の体躯では振る事など不可能にも程がある超巨大剣。それを女神の力と、圧縮シェアエナジー解放による爆発で以って、強引に…それでいて、確実に振り抜く。私は下から上へ、セイツは上から下へ、交差させるように下と上から踊らせる。防御なんてさせず、その上から無理矢理に、完全に常軌を逸した巨大な斬撃を叩き込む。

 狙いは闇の腕。それだけでも十分過ぎる程に大きい腕へ、それを斬るには十二分に大きい刃を食い込ませ、斬り裂く。止まる事なく振るい、振り抜き…けれど闇のタフさ、巨体の屈強さを前に、完全に両断するよりも先に刃が折れる。刃が中程から完全にへし折れ、残った部分だけが空を斬る。

 けれど、これは想定の内。これで両断出来たら、それに越した事はなかったけど…何も問題はない。何故ならこれは、あくまで布石なんだから。

 

『ルナッ!』

 

 折れた超巨大剣を手放し、落ちてきた得物をそれぞれ掴む私とセイツ。それと同時に、私達は呼ぶ。呼んで、次なる攻撃の体勢に入る。

 空を踏み締めるように宙で構える。乱射される光線を本能で把握し、直感で見切り、僅かに…本当に僅かな動きだけで、紙一重で避け、圧縮シェアエナジーを再度展開。狙いを、斬るべき場所を見据え…一気に、一瞬で、肉薄する。今度は二人ではなく…三人で。

 

「巓舞陸式……」

「真巓解放……」

「月光……」

 

 

「──皐月ッ!」

「──貞淑ッ!」

「──一閃ッ!」

 

 翼に何重もの加速を受け、一気に駆ける。私とセイツは宙を駆け…同じように、合わせる形で、ルナもまた地を疾駆。駆け、跳び……三振りの刃が、煌めく。閃光の様に、雷光の様に──駆け抜ける。

 先の一撃は、防御をその上から叩き込む斬撃だった。けどこの一撃は、重ねる三つの斬撃は、防御自体をさせない。防御させる隙なく飛び込み、振り抜き、先とは違う腕を斬り裂く。

 今度は折れる事なく…私達のそれぞれの得物は止められる事なく、完全に斬る。斬っ先から根元まで、刀身の全てで闇の腕を付け根から斬り……ただどうしても、両断には至らない。私達の得物は、闇の腕を斬り落とすにはあまりにも小さく…でも十分に、ダメージを与える事は出来た。狙った通りに、期待した通りに。…いいや、期待以上に。

 

(神経が研ぎ澄まされる…思考も感覚も、全部が余すところなくフル稼働してる……嗚呼、いける…ッ!)

 

 守護者としての女神の極致へ至ったような、高揚感と冷静さが共存した状態。緊張とリラックスが同時に表れ、素早く落ち着いて思考が回る。ただの、自分の全てが戦闘に向いているという状態ではない…その上で、勝利の確信を得た先にある、絶対の状態。それを噛み締めながら、噛み締めながらも全感覚で闇も攻撃も周囲の事も全て把握し、直感と思考の両面から道を導き出し……二つの布石の先にある、真に狙う『本命』を放つ。

 

「エストちゃん、いくよッ!」

「任せて頂戴ッ!やるわよおねーさんッ!」

「こっちも次女コンビとして遅れを取る訳にはいかない…なんてね。…ディールちゃん、わたし達も…ッ!」

「はい…ッ!全身全霊、力の限りをこの一撃に…ッ!」

 

 唸りを上げて胴体へと直撃する、二つの氷塊。それと共に、私の側にはエストちゃんが、セイツの側にはディールちゃんが舞い降りる。砕けた氷へ電撃を放ち、反動で下がると共に電撃の網でルナが闇を攻撃する中、私とセイツは小さく息を吐き、ディールちゃんとエストちゃんは小さく杖を振り…飛ぶ。

 読んで、考えて、直感との擦り合わせをして道を導き出した。だからここからは、感覚に身を委ねる。合わせるでも、合わせてもらうでもなく…全力と全力が重なって、一つになる。そんな、確信がある。

 

『ユニゾンライズ──』

『アンセンドブル──』

 

 私とディールちゃんは、次々と精製する武器や刃を、セイツとエストちゃんは、圧縮シェアエナジー弾と多種多様な魔法を立て続けに放つ。避けながら、躱しながら、二人で、四人で、舞うように放ち、撃ち込み、攻撃を与え続ける。余計な事は一切しない。茜とイヴの連携には及ぼすとも、狙う部位だけに遠隔攻撃を集中させる。

 皆の攻撃が、闇を完全にその場に留めてくれる。光線の迎撃ではどうにもならないと悟ったのか、闇は拳を突き出してきて…私とセイツは、その腕に沿うようにしてバレルロール。躱しながら一気に接近を仕掛け、何度も得物で闇を捌く。一息で、寸分の隙なく斬り付け続け…直感が今だと叫んだ瞬間、逆袈裟を放って大きく飛び退く。

 

『ヴィートクロスッ!』

『ペイルクロスッ!』

 

 翼を広げ、後方宙返りで開けた道。そこを駆け抜けるのは、ディールちゃんとエストちゃん。宙を駆ける二人と…二振りの大剣。魔力による鋼鉄で編まれた、巨大剣。一直線に二人と二人の持つ巨大剣は駆け抜け…肩口に、突き刺さる。刺さり、抉り、深く奥へと突貫していく。

 刃が斬り裂く。刺突が貫いていく。強力な、本当に強力な巨大剣の一撃が続き…それでも、完全な両断にまでは至らない。巨大剣といえど、鋭さも強度も間違いなくさっき私達が作り出した物より上の剣であろうと、大き過ぎる闇相手には少しだけ力不足で……だから、私とセイツが埋める。その後少しを埋める事で…連携は、完成する。

 

『貫けぇええええええええッ!!』

 

 刃が止まろうとも力を込め続けるエストちゃんの側に降り、セイツもディールちゃんの側に降り、巨大剣の柄に触れる。触れ、握り、刃にシェアエナジーを流し込む。そして私達のシェアエナジーを受け取った刃は、二人の力と融合した巨大剣は、もう一段階上へと変わる。私達のシェアエナジーの刃を刀身の上から纏い……同時に、力の限りに、押し込む。いけるという自信を持って、届くという確信を持って、エストちゃんと共に駆け──完全に、貫いた。

 完全に両断した訳じゃない。そこまでの巨大さを持つ剣ではない。…だからこその、布石。二度の布石で傷付いていたところへ、巨大剣が突き貫いた事で、連鎖的に腕は砕け、千切れ…私とエストちゃんが貫いた一本と、セイツとディールちゃんの貫いた一本、その両方が同時に闇から瓦解した。

 

「これが、私達の力…女神の、力だッ!」

「そしてまだ、終わりじゃないわッ!」

 

 振り返り、言い放つ。宙を踏み締めるように、闇を見下ろすように言い放ち…セイツの言葉を合図にするように、離れる。

 そう。私達の連携は完遂した。でもまだ終わりじゃない。こんなものでは、ただ片側の腕を砕いただけでは終わらない。

 

「ルナちゃん!カイト!自分に…剣に、力をッ!」

「あぁ、頼むぜネプテューヌ!」

「私の炎…じゃなくて電撃、預けるからね!」

 

 バケツをひっくり返したような、或いは水道管が破裂したような勢いで闇の肩口から粒子が放出される。当然ただ腕が失われただけでなく、闇は大きく激しくその姿勢を崩し…上空に、新たな超巨大剣が現れる。私のものとも、セイツのものとも違う剣が。

 それはネプテューヌの、シェアエナジーで精製された剣…エクスブレイド。普段よりも格段に大きいその剣を作り出しながら、ネプテューヌは声を上げ…火炎と雷電が、駆け上る。二つの力が混ざり合い、再び雷炎が生まれて、喰らい付くようにしてエクスブレイドへと走り…剣が、雷炎を纏う。恐らくは、少しでも力を緩めようものなら、瞬く間に飲み込まれてしまうような、強力無比で強大な力を。

 けれどエクスブレイドは飲み込まれる事なく、逆に光を増す。炎と雷に照らされるように、その刃が煌めきを見せる。そうしてネプテューヌが掲げた手、立てられた二本の指が振り下ろされると共に、雷炎を纏ったエクスブレイドは闇へ向かって飛来する。

 

「そんな攻撃で、止まりはしないわ…ッ!」

 

 空から落下していくエクスブレイドに、何度も光線が直撃する。けどそれ等は全て、雷炎に掻き消される。刃に届く事すらなく、当然落下速度は微塵も落ちず、一気に距離が縮まっていく。

 続いて放たれたのは、掌からの一撃。全身からのものとは数段違う大出力の光線は、今度こそ斬っ先の雷炎を吹き飛ばし、エクスブレイドと激突する。既に至近距離まで来ていたエクスブレイドを、その手で受け止めるように光線を放ち……光が、舞い散る。光線が斬られ、焼け、貫かれる。その光景を見て、私は気付いた。雷炎は、ただ刀身の周囲で轟いていた訳じゃないのだと。エクスブレイドの内側にまで駆け巡り、中からも燃え、迸っていた事に。そしてエクスブレイドは、雷炎と共に光線を割き、突き進み……手を、腕を、穿つ。

 

「ここからは、任せるわよッ!」

「あぁ、任せやがれッ!」

 

 手を、手首を、前腕を貫いていくエクスブレイド。同時に雷炎が、内側から腕を蹂躙する。中から外へ、外から腕を包み込む。

 止まりはしなかった。迎撃をものともせず、雷炎を纏ったエクスブレイドは腕を穿った。ただ、完全にではない。私とセイツの超巨大剣が折れたように、ディールちゃんとエストちゃんの突貫が一度は止まったように、エクスブレイドも進むに連れて少しずつ速度を削がれ、威力と勢いが落ち……そこに、紅い光が降る。黄金の輝きを纏いながら、迎撃よりも先に駆ける。

 

「チューニング・フォール…ぶっ潰してやるよッ!」

 

 飛来したのは、重厚な追加プロセッサを脚に纏ったアイ。黄金のプロセッサを装着したアイは、落ちるように飛び、加速を重ね、身体を捻る。女神の持つ全身の力と、体捌きにバランス感覚…きっとそういうものを総動員した一回転を、減速するどころか更に加速をしながらの回転を掛け、振り抜いた蹴りを叩き込む。蹴りを闇にではなく、止まりかけたエクスブレイドの柄尻へと叩き付ける。

 重く、強烈な蹴撃。アイの蹴りは大槌の様に、腕へと突き立てられた、止まりかけていたエクスブレイドを押し込む。蹴ると同時にアイはシェアエナジーも流し込んだのか、淡い青色をしていたエクスブレイドに、一瞬赤い光が灯り……アイの脚は、振り抜かれる。勢いを取り戻したエクスブレイドが、雷炎と共に全てを押し除け……地面へと、突き刺さった。

 

「最後は俺達だな…ピーシェ!」

「まっかせてー!てーいっ!えーいっ!」

 

 おまけだ、とばかりに突き立ったエクスブレイドは爆発し、シェアエナジーの衝撃波と雷炎が激しく闇の巨体を叩く。私達の攻撃に続いて、ネプテューヌ達の攻撃で更に腕を失った闇は、バランスが崩れてその上体が大きく揺れる。

 その姿を見据え、グレイブ君が声を上げる。それにピーシェが答えて、飛び込むような勢いでグレイブ君の近くに着地し…ポケモンを、掴む。掴んで、抱えて、全身を捻るような動きで闇へと投げる。あんまりにも突破な行動に、ぎょっとする私だったけど…すぐに、その意味は分かった。

 一番槍を担うのは炎。全身に炎を纏った、炎の砲弾の様になった獄炎が闇の腕へと向かっていき、その拳を叩き付ける。殴り、拳を起点に炎が爆ぜ…続けて火炎の蹴りが襲う。二発目となったバックスが、オーバーヘッドを叩き込み…攻撃が続く。つるぎ、レックス、ウーパと続き、斬撃が、打撃が、射撃が…それぞれの渾身の一撃が、闇にダメージを重ねていく。

 

「うわわっ!す、スターはいい!スターは流石に危ないからいいってピーシェ!スター、ドッペル、それにフェザーもブラストに連れていってもらって!」

「あれ、そーなの?それじゃあ…こんどはぴぃだねっ!」

 

 一瞬気の抜けるようなやり取りを経た後、力強く羽ばたくブラストの背に乗ったスター達も向かっていく。腕三本を…身体の数割を損失した闇は、その分だけ全身から放つ光線も減り、減った攻撃の中をブラストは駆け抜けていく。そして肉薄する瞬間、背に乗ったスター達もまた、同時に腕へと攻撃を仕掛け…最後にブラスト自身が打ち込み離脱。そこまでやられて漸く姿勢を立て直した闇は、離脱していくブラストに向けて腕を振るおうとするも、その一撃は止められる。上空から飛来した幾つもの巨大な氷塊…氷淵が放った氷の連撃と、ブラスト離陸の直後に飛び上がった、自身も攻撃に向かったピーシェの全力の殴打が、上と下から闇の反撃を押し潰すと共に、更なるダメージを腕に刻む。

 恐らく目一杯の力が込められているといっても、一つ一つは闇の腕の破壊には遠く及ばない。…それでも、これまでとは違う。人型部位を、三本の腕を失い万全からはかけ離れた闇には、勢いの乗った一撃一撃が深く突き刺さり、着実に削る。次へ、次へと繋いでいく。

 

「びっきぃ!わいと!ばーんとやっちゃえーっ!」

「はいッ!」

「全力で突っ切る…覚悟はいいね、ビッキィさん…ッ!」

 

 上空へ移る際に氷淵が作っていた氷のレール、それを活用し滑るように加速していたブランシュネージュ・ミラージュが飛び立つ。噴射炎を靡かせながら、スラスターの動きを複雑に組み合わせる事で光線を巧みに躱し、シールドによる防御も駆使して突撃を仕掛けたワイト君は、そこから機体のビームサーベルを抜剣。リミッターを切っているのか、通常よりも長体且つ高出力状態となった光の剣を、ポケモン達とピーシェの猛攻で粒子が噴出し始めていた腕に向けて振り抜き…噴き出す粒子は、増加する。鉄騎の放った斬撃が、強かに腕を斬り捌く。

 既に十分な、機能を落とすだけならもう達成されたと言っても過言ではない程傷付いた、闇の腕。されどまだ、連撃は終わらない。それを示すように、この連撃の終着点はこの先だとばかりに、振り抜き飛び去るブランシュネージュ・ミラージュの肩から、一人が…ビッキィが、跳ぶ。

 

「これがわたし達の…全力だぁああああぁぁぁぁッ!」

 

 当然飛ぶ力のないビッキィは、飛び立ってすぐ落下していく。だけど、だからこそその落下を勢いに変え、闇へ迫っていく。投げ放たれた槍の様に、真っ直ぐに、頬を光線が掠めようと物怖じせずに迫り続け…拳を、突き出す。

 ただの打撃か、それとも何かの忍術を纏った一撃か。それを判別する事は出来なかったけど、狙い違わず拳は突き出される。大きく開いていた、積み重ね切り開かれた腕の大きな傷へと打ち込まれ、そのままビッキィの姿が見えなくなる。ビッキィの姿も、聞こえていた叫びも消え…腕の動きも、そこから放たれていた光線も止む。開いていた蛇口を閉じるように、ふっ…と何も聞こえなくなり、動かなくなり……そして、脱落する。闇に残っていた、最後の腕が。

 

「どうだッ!見たかッ!」

「うんっ、見てたよびっきぃ!」

「あ、いや、ピーシェ様に言ったんじゃなく…ぅおわっ!?」

 

 倒壊するように落ちていく腕と共に、切断面の間からビッキィが現れる。ビッキィは、びっ、と指を闇に向けて突き出しながら、落下しながらも声を上げ…落ちるビッキィをピーシェがキャッチ。丁度その突き出された腕の手首を掴んで、高速で離脱をしていって……一切スピードを落とさず、しかも手首だけ掴んで飛んでいるものだから、ビッキィは強風に煽られる旗か何かのようになっていた。凄まじくぐわんぐわんとしていた。

 

「これで、後は……」

「トドメを刺すだけよッ!」

 

 素早く斬り込み脚に斬撃を与えたセイツとルナの上げる声。全ての腕を失い、そこから大量の粒子を放出し続ける…それでも倒れるどころか膝を突く事もなく、粒子と共に光線も乱射し続ける闇は、底知れないとしか言いようがない。本当に底なんてないんじゃないかとすら思わせてくる。

 だけど、私には、私達には見えている。この戦いの決着が。私達の勝利が。

 

「皆、いこうッ!次で、次の攻撃で……」

「いや…待てイリゼッ!これは……」

 

 飛び込むべく、見えている決着を掴み取るべく、動こうとした私。けれど動き出そうとした瞬間アイに制され…直後、闇が割れんばかりに吼える。吼え…再びあの、全方位を『壊す』絶叫が響き渡る。

 

「そうか、まだこれがあったか……!」

「だとしても、この咆哮が途切れた瞬間を狙うまで…って…ちょ、ちょっと…!?」

 

 炎弾を撃っていたカイト君の歯噛みするような声と、ならばと構え直すネプテューヌの声。私もネプテューヌと同意見で…でも、違う。再び響くこの咆哮は…さっきまでと、全く違う。

 散発的ながらも、咆哮が変化したような衝撃刃が飛んでくる。それが当たった場所は、咆哮の範囲内の物と同じように例外なく壊される。それに…止まらない。さっきはそう長くなかった、一つの行動程度に過ぎなかった筈の咆哮が…全く、切れない。しかもその状態で、闇は動き出す。

 

「嘘…あの状態からでも動けるの…!?」

「なんつー無茶苦茶な動きだよ…いや、それよりも…まさかこのまま、途切れねーなんて事ねぇよな…ッ!?もし、途切れねーとしたら……」

「…攻撃、出来ない……!?」

 

 最早突進というよりただ暴れ回っているだけにしか見えない闇の激走。それそのものは、距離を取っていれば避けられない事はない。衝撃波も、回避に徹すれば危なくはない。…けど、それはどうでもいい。それよりも、そんな事よりも、遥かに重大で致命的な事態が、私達に襲い掛かる。

 アイから言葉を引き継いだような、愕然としたビッキィの声。それはきっと、全員の代弁。性質は違えど、この咆哮も膜の壁と同じ。もしこのまま出され続ければ、攻撃も、勝利にも…届かない。

 

「…いや、まだだ…まだ碌に試してもいないのだから、諦めるのは早過ぎる…ッ!」

「待った待ったぜーちゃん!それは見たまんまデータごと壊してる攻撃…攻撃?…だから!普通に突破するのは無理だよ!?」

「うんまぁそんな気はしてた!けど、だとしても……」

 

 まだだ。皆を、そして自分自身も鼓舞するように私は言って、地を駆ける。左手を斜め後ろに突き出し、マトリョーシカ人形の様に刀身を幾つも重ねた大剣を精製。衝撃波を横飛びで躱し、接近し、茜の声が聞こえている状態で至近距離から大剣を投げる。何重もの構造にしたのは、外側の刀身で内側の刀身を守る為で…でも茜の言う通り、普通に突破するのは無理だった。積層構造関係なく、咆哮の範囲内に入った途端に刀身も柄も関係なく大剣は消失し、私も急ブレーキからの後退。何気に二連続で制止された…そんなどうでもいい事が一瞬頭をよぎる中で、一旦私は距離を取り…何かまだないのかと、考える。

 考えなければ、方法がなければ、勝てないんだから。たとえ待ち続ければ咆哮が止むんだとしても、それを待ってはいられない。このチャンスを、今の流れを、手放す訳にはいかない。何か、ある筈なんだ。もしもないのだとしたら、編み出すんだ。私は無理だなんて言わない、考えない。きっと、いや絶対に、何か……

 

「──あぁ、イリゼの言う通りだ。まだ…諦める、状況じゃない…!」

「うん、その通りだ。まだ、手はある」

 

 考える、見つける。心の中でそう意気込みながら、私は再度の突撃を掛けようとし…その私の左右を、五つの人影が駆けていった。影君…それに、ズェピア君の声と共に。

 発された声に籠っているのは、確かな自信。私の上げた声とは違う、明確な理由を感じさせる声。二人には何かあるんだと、策があるんだと、声と突撃していく人影が感じさせてくれて……けれど次の瞬間、闇の動きが変わる。

 

「ちょっ、なんで急に苛烈になった訳!?」

「まさか、何かあると感じ取ったと言うの…?」

 

 ここまでも暴れ回っていた闇が、更に無茶苦茶に動き回る。飛ぶのは衝撃波だけに留まらず、突風の様に、鞭の様に、咆哮は全方位を広範囲で穿ち、薙ぎ払う。もう手段は問わないという事なのか、それとも自分の力を制御し切れていないのか、咆哮の力は闇自身にも及び、闇の身体すら砕けていく。ただ…闇の巨体を思えば、自滅で倒れるのはかなり先。やはり待つ事は、望めない。

 それに、人影が攻撃を阻まれる。無軌道に動き回り、広範囲に当たれば即終了の攻撃が放たれ続ける事で、後退を余儀なくされてしまう。

 

「影さん、ズェピアさん、何か考えがあるんですよね?それは、この状態でも出来るものですか…!?」

「いいや、流石にこれでは分が悪い…!闇に警戒されてしまえば、恐らく上手くいかないだろう…!」

「なら、俺達で気を引いて……」

「それも厳しいだろうな…ただ強いんじゃない、明確に闇にとって脅威となるものでなければ、今の状態の闇の気を引く事は……」

「──なら、その役目…私が引き受けよう」

 

 切羽詰まった声で聞くディールちゃんの問いを、ズェピア君が否定する。気を引く事自体の有用性は認めながらも、影君もカイト君の言葉に首を振る。ならどうすれば、どうやって気を引けば…押し寄せるような闇の咆哮の乱舞を避けながら、私達の間にそんな雰囲気が流れかけ……次の瞬間、一つの声が…ワイト君の、機体越しの声が空気を変える。

 聞こえた直後、着地したブランシュネージュ・ミラージュが背負う武装が視界に入った直後、気付く。確かにワイト君なら…膜の壁による絶対の防御を破ったブランシュネージュ・ミラージュならば、闇にとっての明確な脅威になる筈だと。でも、それは……。

 

「おいワイト、まさか……」

「ご安心を。これは蜃気楼の様なものとはいえ、敬愛する主君の名を関する機体。その機体を、ブランシュネージュを、あの様な存在に潰させなど……絶対に、させません」

 

 危惧の感情を孕んだアイの言葉に、ワイト君は静かに返す。地面を踏み締めるようにブランシュネージュ・ミラージュは立ち、カメラアイが暴れ狂う闇を見据え……そしてワイト君は、言う。

 

「──スローターモード、起動」

 

 発された声に呼応するように、機体各部の装甲がスライドする。それによりある機関が、内部機構が露出し…そこから青白い粒子が放出される。砲撃が如く破壊の咆哮が迫る中、各部から放出された粒子がブランシュネージュ・ミラージュを包み込み……次の瞬間、消える。…いや、違う。消えたんじゃなくて…消えたように思える程の機動で以って、咆哮を避ける。

 

(速い…ッ!それに、あれはまさか…NEPNS-AM…!?)

 

 女神を遥かに超える、とまではいかない。それでもあれをMGとして見るなら常識外の、普通ならばあり得ない程の速さと機動性で避けたブランシュネージュ・ミラージュは、闇へ向かって突撃していく。暴れる闇を凄まじい勢いで追走し、放たれる咆哮はその悉くを完全に、まるで慣性を無視したような動きで躱していく。

 私は、それを知っている。放出される粒子の色は違うけど、ワイト君が言った名前も違うけど…これはプラネテューヌで編み出され、今も他国には一切情報を公開していない『NEPNS-AMシステム』に違いない。ブランシュネージュ・ミラージュ自体、用意にネプギアが関わったらしいし、そのネプギアの判断でシステムを…システムのデータを組み込んだんだとすれば、あり得なくはないとはいえ…それでも私は、一瞬何かの勘違いか、とすら思っていた。

 

「…そうか、そうだったな…ブランシュネージュ・ミラージュには、それもあったか…」

「なんて速さ…もしかしたら、あれなら……」

「いや、けど…まだ足りないわ…!」

 

 猛追するブランシュネージュ・ミラージュの動きに影君が呟きを、続けてルナが期待を帯びた声を漏らす。だけど、セイツの言う通り、まだ足りない。攻撃は全て躱しているけど、道を阻むのはそれだけじゃない。

 無差別に破壊する咆哮に抉られた場所は、何も残らずただ消える。けれど岩が抉られれば残った部位が形を保てず、落ちて砕けて破片が散る。大きな岩であれば破片もまた巨大であり、抉れた地面の内側に闇が入った時には、周囲全体に同じような事が起きる。そうして生まれる無数の障害物が、二次被害がブランシュネージュ・ミラージュの道を阻む。今も大きな岩が近くで倒れ、破片が飛び散り……次の瞬間、その破片が光芒によって吹き飛ばされる。

 

「……!この攻撃は……」

 

 小さい破片が飛び散る中を突っ切ったブランシュネージュ・ミラージュ。機体のスピーカーからは、驚き混じりの声が聞こえ…そのブランシュネージュ・ミラージュの左右に現れたのは、二人の女神。

 

「援護します、ワイトさん…!」

「わたし達がどう動くか、貴方だったら分かるわよね?」

「ディール様、エスト様……ご助力、感謝します…!」

 

 真剣な眼差しと、自信に満ちた顔からのウインク。即座に二人は、ディールちゃんとエストちゃんは左右に分かれて魔法を放ち、道を切り開く。ワイト君は、ほんの一瞬機体を単純に直進させ…そこからまた、複雑な機動を見せていく。二人の開いた道を、突き進む。

 ただ後を追う訳じゃない。ブランシュネージュ・ミラージュもまた、装備したビームマシンガンを撃ち、自身の道を開く。二人の援護に援護で返す。ディールちゃんとエストちゃんは高度を上げ、ブランシュネージュ・ミラージュもスラスターを吹かして飛び上がり、デルタを描くように背中合わせとなった二人と一機は、そこから魔法と射撃を叩き込む。縦横両方の回転を加え、全方位を薙ぎ払う。

 

「わたし達も…!」

「今、出来る事を…ッ!」

 

 勿論私達も、ただ見てる訳じゃない。ネプテューヌとカイト君に応えるように、今動ける皆が飛んで、走って、攻撃を飛ばす。破片をたった一つ撃ち落とせるだけでもいい。僅かにでも、微かにでも闇の邪魔を出来れば僥倖。何も出来ないんじゃない、何か出来る筈だという思いで動いて、駆けて……そして遂に、その時が訪れる。

 

「後は……」

「任せましたッ!」

 

 最後の援護、左右に走る氷壁の間を駆け抜けたブランシュネージュ・ミラージュは、闇の前に躍り出る。ただ前に出たんじゃない。回り込む形で、その進路を制するようにブランシュネージュ・ミラージュは闇と正対し、それと同時に脚部のマイクロミサイルを放つ。全弾叩き込むように、一気にミサイルを叩き込み…ミサイルは咆哮に消される前に、自ら爆ぜる。時限式に切り替えていたのか、闇の正面で次々と爆ぜ、爆炎の壁を作り上げる。

 

「うぉぉぉぉおおおおおおッ!」

 

 マイクロミサイルが作り上げた爆炎の壁は、次の瞬間には咆哮によって消し飛ぶ。けれどその一瞬で、ブランシュネージュ・ミラージュは脚部の装備をパージしながら飛ぶ。上を取らんと、青白い光と共に舞い上がる。

 偶然か、狙ったのか、その先へと飛来する衝撃波。対するブランシュネージュ・ミラージュはシールドを掲げ、けれど咆哮による衝撃波は防御出来るものではなく、爆風同様に消える。…シールドだけが、消失する。触れる寸前に、ワイトさんはシールドを機体から離した事で、脚部同様パージした事で、シールド一つで防ぎ切る。

 そして稼働する、背部の大型砲。幻想的な青白い光の中で、異質な程大きい巨砲が再び展開を始め、闇は見上げるように上体を逸らし……

 

「今だッ、ズェピアッ!」

「あぁ。今こそ見せよう、黒き従者の真なる姿を。──偽・黒い銃身(イミテーション・ブラックバレル)…!」

 

 その瞬間、今まで徹底的に姿を隠していた、姿を消していた人影が五体同時に、全て闇の真正面に現れた。ここまでは真後ろから攻めても反応してきた、そもそもどんな形で相手や周囲を認識しているのかすら分からない闇は、確かにこの瞬間、完全に注意を上空のワイト君に、ブランシュネージュ・ミラージュに引かれていて…反応が、遅れる。その隙に、人影は姿を変える。人の形が溶けるように、内側に収束するように、人型から本来の形へ、影君の黒切羽の形は戻り…元の姿より更に黒色を増した、例外なく全ての光を飲み込むような黒となった五基の黒切羽は、何もかもを破壊する咆哮へと向けて突貫し……消える。消し去る。その空間を抉るように、消し去るように──黒切羽が、咆哮を穿つ。

 

「二度切りの魔弾、その最後の一発…ここが使いどころだ…ッ!喰ら…えぇぇぇぇええええええッ!!」

 

 全てが消えた訳じゃない。五基の黒切羽が開いたのは決して大きくもない穴一つだけ。それでも開いた。新たな壁に、風穴が生まれた。…きっとワイトさんからすれば、十分な風穴が。

 NEPNS-AMの限界時間が訪れたのか、ブランシュネージュ・ミラージュから消えていく青白い光。消えていくからこそ、より一層幻想的な光景となる中、無差別の咆哮によって飛んだ破片の一つが、ギリギリの距離まで来たからこそ避けようのない破片が、機体の頭部に当たってカメラアイが砕ける。砕け…中から、その内側から、四眼の光が闇を捉える。時を同じくして巨砲も完全に展開され、一度目はしっかりと機体を固定した上で撃ち込まれた攻撃が、二度目の今は空中で、全く踏ん張りの効かない宙で向けられ…そして、解き放たれる。激しい光、電磁投射の光と共に、反動で右腕部を吹き飛ばし、砲自体も自壊しながら、最後の一発が放たれる。

 同じタイミングで、闇もまた光線を放っていた。こじ開けられた穴を埋めるように、ブランシュネージュ・ミラージュへ向けて光線が撃たれ…弾丸と光線が交錯する。伸びる光線はブランシュネージュ・ミラージュの両脚部を撃ち抜き──弾丸は、闇の胴にある口を貫く。貫き…巨大な爆発で以って吹き飛ばす。

 

「グレイブくんッ!愛月くんッ!」

「応ッ!」

「はいッ!」

 

 轟音が響き弾丸が炸裂する。その音が咆哮を掻き消す。まず音が咆哮を飲み込み……それから破壊の力も、消滅する。…ワイト君は、見抜いていた。咆哮は、口の様な部位から放たれていた事を。

 砲撃の瞬間右腕部を失い、光線で両脚部もやられたブランシュネージュ・ミラージュは落下していく。落下しながらも、声を上げ、名前を呼び…それに応える二つの声と共に、地響きが轟く。

 それは、山激と塞牙が跳んだ音。巨大故に無差別咆哮は避けようがないと判断したグレイブ君と愛月君の指示で一度は下がっていた山激と塞牙は地を蹴り、その巨体で一気に闇との距離を詰める。光線を弾き、跳ね返し、唸りを上げながら迫り…拳を引く。その拳に力が、光が収束し……振り抜く。

 

「メガ!」

「ダイ!」

 

「ロックッ!」

「スチルッ!」

 

 巨大な岩石と鋼鉄の様になった拳は、止まらない。止まる事なく、止められる事なく、闇の巨体を打ち、食い込み……跳ね飛ばす。あまりにも重い、重過ぎる程の二つの一撃が、同時に抉り…山激と塞牙は、雄叫びを上げる。

 シェアリングフィールド全体に響くような…闇の方向とは違う、力強く頼もしい叫び。それを感じながら、心を震わせながら…私は、飛ぶ。漸く訪れた、やっと辿り着いた……最後の時を、掴む為に。

 

「皆で繋いだ、紡いできた勝利への道を……」

「私が、私達が、決めてみせるッ!」

 

 飛びながら、舞いながら、もう一度私はリバースフォームを解放する。一度目は、時間を稼ぐ為だけに使った、負けない為に使ったこの力を…今は、最後は、勝利の為に振り絞る。

 ネプテューヌもまた、姿が変わる。私がシェアエナジーに包まれ、広がる二つの円環と共にシェアエナジーを解き放つ中、ネプテューヌはシェアエナジーとは違う、全く別の…異質さすら感じさせる力を纏い、プロセッサも変容し……でも何か、けど何故か、そのプロセッサからは思いが、繋がりが感じられた。だから私は意識を闇へと戻し…手を、伸ばす。

 

「もう一踏ん張り…やろう、エスちゃんッ!」

「えぇ!勝つのは、わたし達よッ!」

 

 白い二つの光芒が、闇を撃ち抜く。続けてピーシェが真正面から鉤爪で斬り裂き、私とネプテューヌの斬撃も闇を捌く。反転したピーシェは蹴りを放ち、私は多数の武器を、ネプテューヌは幾本ものエクスブレイドを撃ち込み、氷塊が次々と闇を叩く。

 反撃ごと押し込む。光線を斬り、弾き、飲み込んで全ての攻撃をぶつけていく。打撃に斬撃、近接攻撃に遠隔攻撃、それぞれが持てる力、技の全てを駆使して攻撃を重ねる。

 攻撃しているのは私達五人だけ。けど、私達だけじゃない。攻撃の一つ一つに、皆の思いを込めるつもりで、私は腕を、脚を、得物を振るう。翼を広げ、翔ぶ。これは私達だけで掴む勝利じゃない。皆で、全員で掴む勝利だ…ッ!

 

「いっけぇぇぇぇええええぇッ!」

 

 真上から、ピーシェが正中線を裂くように斬る。同じ場所を、即座にネプテューヌも斬り裂き、私がディールちゃんとエストちゃんの魔法を浴びた長剣で横から薙ぐ。そして私達は残る力の全てを、積み上げてきたもの全部を…次に、賭ける。

 長剣には輝きが、大太刀には煌めきが、鉤爪には閃光が灯る中、白い光を放つ極大の魔力球が生まれる。左右に展開したディールちゃんとエストちゃん、二人の上で眩い光を放つ魔力は、二人が全身で杖を振るうと共に宙を飛び、闇へと飛来する。それと共に私達も駆ける。私とネプテューヌは正面から、ピーシェは直上から闇に突っ込む。そして持てる力の全てを懸けて、ここまで紡いできた思いの全てを込めて……振り抜く。

 

『エクストリーム──ハーツッ!!』

 

 最後の一撃を放った時、頭にあるのは勝つ事だけだった。勝って全員で、大変だったけど最後は笑って終われた思い出にする事だけだった。その思いが、その気持ちが、更に私を後押しし、伸ばした手で確かに道の先を掴み……そうして光に、包まれる──。




今回のパロディ解説

・「〜〜どこぞのカーテン〜〜」
ジョジョの奇妙な冒険 スターダスト・クルセイダーズに登場する、あるカーテンの事。あちらと違って、ブラックバンテージは魔術によるものです。決して良い生地だから、とかではありません。

・「〜〜夜影兵(シャドウアーミー)
カードファイト‼︎ヴァンガードにおけるトークン・カードの一つの事。数も最大展開数の5にしておきました。深淵闇夜(アビサルダークナイト)ならぬ、信淵闇夜(アビサルシェアリングナイト)…ですかね。

・「私の炎〜〜預けるからねっ!」
SCARLET NEXUSに登場するキャラの一人、ハナビ・イチジョウの代名詞的な台詞の一つのパロディ。前にもやったパロディですね、この台詞は使いたくなる響きがあります。

・「これがわたし達〜〜ぁぁぁぁッ!」
戦姫絶唱シンフォギアの主人公、立花響の代名詞的な台詞の一つのパロディ。名前からも分かる通り、ビッキィ自体がこのキャラをモチーフにしていますし、親和性はばっちりだと思います。

・「二度切りの〜〜ええええッ!!」
戦翼のシグルドリーヴァの主人公、クラウディア・ブラフォードの台詞の一つのパロディ。発射したのは魔弾ではありませんが、まあワイトは魔法の国の軍人ですしね。
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