超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

68 / 94
はい。今回の本編でも触れていますが、久し振りにこのネタで話を書きました。えぇはい、単発ではなくシリーズだったのです。極々稀にしか書かないシリーズになる事は間違いありませんが…。

ORで書いた際にも書きましたが、話の中で登場する名有りキャラは皆、目元を隠すマスクと、普段着又はプロセッサユニット風の衣装を身に付けている、と思って頂けると助かります。そしてやはり、時系列は…皆さんの想像次第です。


ディメンションプロレスリング(台本形式)
10.16 ラステイションコロシアム大会 IWNPタッグ王座戦


(実況)皆様お久し振りです!凡そ二年振りに、新女神プロレスリングが復活致しました!観客…もとい読者の方々は既にお忘れの企画かもしれませんが、第二話以降が立ち消えになっていた訳ではありません!単にその気はあっても書くタイミングがなかった、との事です!

 

(解説)惜しげもなくメタ発言を重ねていますね…元々かなり特殊な企画とはいえ、びっくりです( ̄O ̄;)

 

(実況)ここでの私は熱く話す実況、という役目ですからね。勢い重視でやっていくつもりです。と、いう事で…今回も実況は私I&F、解説はヒストリーさん、そして第二回となる今回はゲストとして、IWNPインターコンチネプタル王座戦を控えるルーラードオリジン選手に来て頂きました!

 

(ルーラードオリジン)紹介ありがとう。今紹介された通り、私は王座戦を控える身だが…これは見逃せない一戦というもの。だからこそ、この特等席で見させてもらうよ。

 

(ヒストリー)確かに今回の一戦は、純粋な試合内容は勿論の事、それ以外の部分でも魅力的な組み合わせですからね。彼女達と競い合う一レスラーとしてのご意見、期待していますよ(⌒▽⌒)

 

(I&F)やはりゲストの方の言葉もある方が盛り上がりますからね。さぁ、それでは試合開始時間となりました!これより行われるメインイベントは、IWNPタッグ王座戦です!

 

(ヒストリー)タッグ…つまり、二対二のタッグマッチという訳ですね。基本は一対一で戦う訳ですが、自陣コーナーで相方とタッチする事による交代や、隙を見ての合体技、試合権のない選手同士の駆け引きや、それ等を全て踏まえた戦術など、シングルマッチにはない要素が詰まっているのが見所ですね。

 

(オリジン)基本は一対一とはいえ、チームワーク…如何にして戦うかも重要と言えよう。シングルプレイヤーが二人いるだけと、タッグチームを相手にするのとでは、同じ『二人』でも全く違うのだから。

 

(I&F)お二人共、タッグの解説ありがとうございます!それではそんなタッグの頂点、チャンピオンベルトを賭けた戦いが、これより幕を開けます!

 

 

(入場曲)〜〜♪〜〜〜〜♪

 

(I&F)新女神プロレスの中でも屈指のライバル関係である二人がタッグを組んだ!このタッグが生み出すのは不安定な試合運びか、それともまだ見ぬ化学変化か!新女神本隊・コアハーツ所属、164㎝体重非公開、IWNPヴィーナス級チャンピオン、ネバーエンドヒロイン・デュークオブパープルっ!160㎝体重非公開、エアリアルシュバルツ・エンプレストブラックっ!この二人によるチャレンジャーチームの入場だぁぁぁぁっ!

 

(ヒストリー)先日のIWNPヴィーナス級王座戦で激戦を繰り広げた、両雌によるタッグチームですね。少なくとも、個々の強さは疑う余地などないでしょう( ̄^ ̄)

 

(オリジン)ライバルという事はつまり、互いの得手不得手、何を持ち味にしているかも熟知しているという事。それがどれだけ活きるかが、この試合を左右する…かもしれないな。

 

(I&F)そうですね、何とも楽しみなチームです。そしてこのチームを迎え撃つのは…勿論、彼女達ッ!

 

 

(入場曲)〜〜♪〜〜〜〜♪

 

(I&F)数多くの激闘を、数多くの名タッグチームを生み出してきたIWNPタッグ戦線!だが彼女達の偉業は、タッグの歴史の中でも一際強く輝いている!連続防衛回数の記録を更新し続ける絶対王者達は、また一つ記録を高みへ舞い上がらせるのか!?新女神本隊・G(ジェネレーション)O(オブ)N(ネクスト)所属、155㎝体重非公開、ネクステージライラック・ロイヤリングパープルっ!148㎝体重非公開、アンリミットスナイパー、ハイネストブラックっ!彼女達こそ、IWNPタッグチャンピオン、チームシュタットヴィーラーだぁぁぁぁっ!

 

(ヒストリー)チャレンジャーチームは堂々と、それこそもうタッグのベルトを戴冠したかのような立ち振る舞いで入ってきましたが、チャンピオンチームは普段通り実直というか、ファンへの誠実さを前面に押し出していますね(´・∀・`)

 

(オリジン)威風あってこその女王…というのも一理あるが、真の女王とは、自らその在り方を定め、それこそが王道と示すもの。そしてその点においてこのチームは…正しくチャンピオンと言えるだろう。

 

(I&F)好調なのはどちらも同じなようですね!さあ、同じGONのメンバー、試合にこそ出ないものの、コンビとしての実力はタッグ王座も狙えると噂のプライムスホワイト選手、バーテクスホワイト選手と共に歩いてきたチャンピオンチームがリングインした事により、リング上には四人の選手が並び立った状態!既に激しい視線のぶつかり合いが繰り広げられているようです!

 

 

(デュークオブパープル)こういう勝負もいつかあるとは思っていたけど…それがまさか、タイトルマッチになるとはね。

 

(エンプレストブラック)いいじゃない。折角勝負をするんだもの、これ位の大舞台の方が盛り上がるわ。

 

(ロイヤリングパープル)同感だよ、お姉ちゃ…じゃなかった、同感ですデュークオブパープルさん。貴女達からの挑戦を受けてから今まで、ずっと勝負が楽しみでした。

 

(ハイネストブラック)けど、お二人共随分余裕そうですね。もしもう勝った気でいるなら、それは油断に繋がるって事を、『チャンピオンとして』アドバイスしておきますよ?

 

 

(オリジン)ふふ、彼女達の闘志がここまでひしひしと伝わってくるようだ。あぁ…これから始まるであろう熱戦を思うと、ここで見ているだけなのが惜しくて堪らない…!

 

(I&F)乱入は止めて下さいね、これは神聖なるタイトルマッチなんですから。…こほん。レフェリーによるチェックと、リングナースのとーはいるさんによる確認も完了との事。であればこれ以上の言葉は不要!本日のメインイベント、IWNPタッグ王座戦、60分一本勝負…開幕ですッ!

 

 

 

 

 二対二の戦い、タッグマッチ。その幕開けは、デュークオブパープルとロイアリングパープルによる激突となった。

 それぞれのパートナーであるエンプレストブラックと、ハイネストブラックがロープの外側に出たところで、勝負は開始。二人のパープルはじりじりと近付き、相手の動きを伺いながらもがっちりと手を掴み合う。

 

I&F「いつでも仕掛けられる姿勢を見せながらも、手と手を掴み合った両者!静かながら緊張感のある立ち上がりですね!」

ヒストリー「どちらもバランスの良い能力を持った選手ですからね。その中でもロイアリングパープル選手はテクニック、デュークオブパープル選手はパワーが秀でている傾向がありますが、基本は得意を押し付けるというより、相手の動きや状況に合わせて立ち回る事になるのでしょう(´-ω-`)」

I&F「ふむふむ、どちらもバランス型故に、という事ですね。…っと、試合に動きがありましたよ!」

 

 暫しの間押し合っていた両者だったが、R(ロイヤリング)パープルの力が一瞬抜けたタイミングを見逃さず、D(デュークオブ)パープルは身体を放ってRパープルを自身の背中側のロープへと走らせる。飛ばされたRパープルは背中からロープに突っ込み、反動でリング中央に戻る…が、待っていたのはDパープルのドロップキック。高打点の両足蹴りがRパープルを襲い、Rパープルは両腕で防御するものの衝撃でその場に倒れ込む。

 

オリジン「いきなりドロップキックを使ってくるとは…本気の表れか、それともチャンピオンチームへの挑発か……」

ヒストリー「相手を誘い込んでの蹴り…先日自身の防衛戦で行われた攻撃を、今回は自身が使った訳ですね。Dパープル選手にとっては、悪くないスタートでしょう

(・ω・`)」

 

 オリジンとヒストリーが分析をする中、倒れたRパープルへDパープルはエルボー・ドロップ。しかしRパープルは素早く横回転するとエルボーを避け、直後に倒れてきたDパープルへ覆い被さる事によってピンフォールを狙う。

 だが当然、無傷のDパープルから3カウントを取れる筈もなく、カウント1の時点でDパープルは難なく返す。されどそれもRパープルは承知の様で、立ち上がった彼女は涼しい顔。

 

I&F「おっと、呆気なく返された割に余裕の表情のRパープル選手!これはどういう事でしょうか」

ヒストリー「小手調べ、という事でしょう。女王故の余裕とも言えるかもしれません(´・ω・)」

Dパープル「ふふっ、まだ数分も経っていないけどもう楽しいわ。貴女と試合を…それも、お互いタイトルホルダーとして戦えるんだもの」

Rパープル「わたしも同じ気持ちです、Dパープルさん。けど…これはタッグマッチ、ですよ?」

 

 軽やかに立ち上がった二人は今一度見合い、双方下がる。Dパープルは青コーナー、Rパープルは赤コーナーへとそれぞれ下がり、控えていたパートナーと軽くタッチ。手で触れた事で試合権が移り…直後、H(ハイネスト)ブラックが飛び出した。

 

Hブラック「ふ……ッ!」

I&F「あーっと、Hブラック選手が速攻を掛けたーっ!」

オリジン「速いな、流石の機動力だ。だが……」

 

 片手でトップロープを掴み、勢い良く飛び越えたHブラックは、対角線上のE(エンプレスト)ブラックを強襲。それに目を見開くEブラックだったが、肉薄される直前にセカンドロープへと足を掛けると、ロープの弾性を利用し大きく跳躍。Hブラックの強襲を躱すと同時にリングインし、着地の衝撃を前転で逃がしたかと思えば即座に振り向き回し蹴りを放つ。一方Hブラックもそれを軽快なステップで回避し、逆水平チョップを素早く返す。そして、迫る打撃に対してEブラックが選んだのは…サマーソルト。

 

Eブラック「っと、やるわね…!」

ヒストリー「回避と反撃を兼ね備えたアクション…見た目の派手さもばっちりですね

(*´∀`)」

オリジン「ハイフライヤーの面目躍如、と言ったところか。同じスピードを持ち味にする二人でも、より得意とする戦法の差によって違いが出るのが面白いな」

 

 回転と共に繰り出される蹴り上げ。着地と同時に放つ短距離ラリアット。その一撃は、Hブラックがバックステップで蹴りを避けた先を狙うものだったが、Hブラックは前傾姿勢でラリアットを潜るとそのままロープへ向けて疾走し、ロープの反動を用いてジョン・ウーこと正面飛び式低空ドロップキックをEブラックへと放った。鋭く迫るドロップキックを、Eブラックは再び跳躍で…それもHブラックを飛び越える形で回避し、着地した両者は示し合わせたように揃って鋭く振り向き……歓声が、上がる。

 

I&F「こ、これは凄い!先程のRパープル選手とDパープル選手の攻防戦とは打って変わっての高機動戦、激しい駆け引きが繰り広げられる事になりました!」

オリジン「正に静と動、これこそ『魅せる』プロレスと言えよう。それと…気付いているかな?今の二人は、お互い相手から一発も受けていない」

ヒストリー「えぇ、全て避け切っていましたもんね。プロレスには受けの美学、というものがありますが…これはむしろ、避けの美学と言っても過言ではありません

(´-ω-`)」

 

 そこからも更に、素早い立ち回りと打撃を交わす二人。双方巧みに躱す事で被弾はなく、それでもヒリヒリとした雰囲気は続き…そうして遂に、Eブラックの薙ぐような蹴りがHブラックを直撃した。

 だがHブラックは無理に立て直す事なく、そのまま蹴りの衝撃で飛ぶ。そして飛んだ先は、自陣コーナーであり…構えていたRパープルがタッチ。Hブラックは自分自身を踏み台とさせる事でRパープルに加速を与え、一気に接近したRパープルはフライング・エルボーをEブラックへと強かに見舞った。

 

Eブラック「くぁ……ッ!」

Rパープル「今の内に畳み掛けるよ!」

Hブラック「えぇ!」

 

 そこから始まるチャンピオンチームの連撃。エルボーを受け倒れた直後、即座に上体を起こしたEブラックだったがそれが仇となり、リングインしたHブラックのスライディング・ラリアットが首元を直撃。更に跳躍し、両足でトップロープを踏む事で大きく跳んだネプギアは一回転して背中から身体を叩き付ける。

 

I&F「おおっとRパープル選手のセントーンが決まったー!トップロープから大跳躍してのセントーン、これは重い一撃です!」

オリジン「Hブラック選手は、ラリアットを当てた時点でそのまま転がってリング外に出ていたな。流石はタッグチャンピオン、立ち回りが慣れている」

ヒストリー「試合権のない選手がリング内に留まり戦うのは反則ですが、何も即座に反則負けする訳ではありませんからね。だからこそ出来る連携や合体技も多いですし、例外なく反則の二文字で一蹴したりしないのが、プロレスの魅力の一つというものです( ̄∀ ̄)」

オリジン「とはいえ、やり過ぎれば反則となる。熱くなると、ついもう一発としたくなるものだが…どちらも冷静だ。これはチャレンジャーチームにとって、本当に高い壁となろう」

I&F「確かにチャンピオンチームはまだまだこれからといった様子ですね!そしてフォールはDパープルのカットで防いだものの、Eブラック選手の窮地はまだ続くー!」

 

 Rパープルからの片エビ固め。それがカウント2となったタイミングでDパープルが乱入し、飛び込んでの一撃を与える事でフォールを強引に解除させる。即座に同じく割って入ったHブラックに蹴散らされ、リング外に落ちるものの、一先ず窮地は凌がれる。

 だが、立ち上がったところで数発のエルボーを喰らうEブラック。彼女も一発反撃のエルボーを放つものの、Rパープルは受けた瞬間両腕をEブラックの背に回し、エルボーの衝撃を利用してフロント・スープレックスに繋げてしまう。続けてまたRパープルはHブラックと交代し、ロープの反動を利用したダッシュとそこからの攻撃を繰り返す。それ自体は回避や防御で凌ぐものの…同時に回復も出来ない。逆にRパープルとHブラックは深追いせず、出の早い技と小まめな交代を行う事で、徹底的にEブラック『のみ』を疲労させていく。

 

Eブラック(不味い…この流れを断ち切らないと、このままじゃジリ貧だわ…。何か、何か反撃の糸口は……)

 

 嵌められている事を、Eブラックは理解している。しかしそこから抜け出す方法を見つけられない。そしてその間も、Eブラックは消耗を余儀無くされ……

 

Dパープル「Eブラックッ!流れは、わたしが変えるわ!だから…わたしの、手を取ってッ!」

Eブラック「……ッ!…言ったわね、なら…有言実行、してもらおうじゃ…ないのッ!」

 

 だがそこで、彼女の背後から声が響いた。それは他でもない、パートナーの声。その声で、Eブラックはこれがタッグマッチである事を、頭ではなく精神で理解し…突進を仕掛けていたHブラックに対し、自ら突っ込んだ。

 まさかの行動にHブラックは驚き、反射的にショルダー・タックルへ移行。それを真正面から受けるEブラックだが、受けた瞬間にやりと笑う。Eブラックは跳ね飛ばされ、コーナーマットにぶつかり…手を、挙げる。その手は、待っていたDパープルの手と触れ合い…試合権が、移る。

 

ヒストリー「これは…先程チャンピオンチームが行ったのと同じ手ですね…こうも早く活用するとは……(・□・;)」

オリジン「しかも、窮地を脱する為に、無防備な状態で受ける事を自ら選ぶとは…ふふ、体力は削られても精神力は微塵も揺らいでいなかったという訳だな」

 

 満を持して再登場したDパープルの、袈裟斬りチョップ。サイドステップで躱したHブラックは、ステップの動きのまま蹴りを放つも、それを両腕で捕らえたDパープルは左脇に抱え、膝に向けて右腕でエルボー。更に怯んだところへ今度は頭を抱え、DDTでHブラックをリングに叩き付ける。そうして繋げたフォールは3カウントに至らなかったものの、悪い流れの断ち切りに成功。このままEブラックの回復時間を稼ぎつつダメージを蓄積させようと考えるが、チャンピオンチームもそう簡単にはやらせない。

 

Hブラック「そういえば、Dパープルさんとは…ッ!」

Dパープル「あまり勝負する機会がなかった、わねッ!」

 

 張り手、エルボー、下段蹴り…矢継ぎ早にHブラックは打撃を仕掛け、Dパープルは防御に徹する事で確実にダメージを抑えていく。そして幾度目かの打撃が振るわれた瞬間、Dパープルは防御の為に掲げていた腕を振り上げる事によってHブラックの腕を打撃諸共かち上げる。

 しかしHブラックはDパープルが防御に徹していた事から反撃を見越しており、カウンターを放たれる前にリングマットを蹴ってタックル。スピアーの要領で打ち込んだタックルは、かち上げにより防御が解けていたDパープルの腹部を捉える……が、それこそがDパープルの狙いだった。タックルを受けながらもDパープルは踏み留まり、背中側からHブラックの腹部へ両腕を回す事で担ぎ上げる。

 

I&F「Dパープル選手、なんとタックルを堪えてHブラック選手を持ち上げたー!これはパワーボムの体勢かー!?」

オリジン「いや、これは……」

 

 助走無しの短距離タックル故に、Dパープルは踏み留まる事に成功したDパープル。されどタックルを腹部に受けていた分、持ち上げてからの叩き付けが一瞬遅れ…それをHブラックは見逃さなかった。Hブラックはその瞬間にDパープルの頭へと両手を当て、両足を前に振り出し、なんと跳び箱をするかのようにDパープルの上を通過。両腕のホールドを無理矢理抜けた為に着地は失敗するものの、そのまま転がる事でコーナーに向かい、迷わずパートナーへ手を伸ばす。来ると分かっていたRパープルは身を乗り出す形でタッチに応え、振り向いたDパープルへと突進。迎撃のラリアットを交わし、逆立ちをする形でロープに突っ込み、反動を得てハンドスプリング式レッグラリアット。空中からの横蹴りでDパープルを倒し、更に追撃の姿勢を見せる…が、Dパープルも流石にそれは許さず、素早く立ち上がる事で追撃を牽制。両者は見合い、試合開始直後の様に互いにじりじりと近付いていく。

 

Dパープル(もう少し…もう少しだけ、稼ぎたいわね……)

Rパープル(さっきHブラックは連撃を受けちゃったし、そこからもペースを落とさず戦ってたんだから、今はもう少しわたしが……)

 

 図らずとも同じ発想となった二人は、無言からバックの取り合いに。先んじてRパープルが回り込んで腰を掴むが、パワーと鋭いターンでDパープルが切り返し、投げようとするもRパープルはエルボーでそれを止め、すぐに背後を取り返す。スープレックスに入ろうとするRパープルと、リングを踏み締め堪えるDパープルの力は拮抗し……ならばとRパープルは話すと同時に背中へドロップキック。Dパープルひ突き飛ばされるような形となり…しかしRパープルは、それが失敗であったと気付く。

 ロープへ倒れ込んだDパープルは、そこからロープの反動を受けて一気に自陣コーナーへ走る。ドロップキック後の落下で横になっていたRパープルはそれを止められず、DパープルはEブラックとの交代を果たし…十分な回復時間を得られたEブラックは、先程のお返しだとばかりにコーナーポストからのボディプレスを叩き込む。

 

オリジン「450°スプラッシュ…!」

ヒストリー「空中で一回転してのボディプレスと、放った直後からのエビ固め…どうやらEブラック選手の回復は十分なようですね…!(`・ω・´)」

Eブラック「ふぅ…案外早かったわね。もう少しやるつもりなのかと思ってたわ」

Dパープル「だって、さっきから早く勝負に復帰したいっていう、熱い視線を感じてたんだもの。なら、焦らすのは可哀想でしょ?」

Eブラック「言ってくれるわね…けど、助かったわ。もし休みたいなら、今度は私が……」

 

 立ち上がったEブラックは、背中越しにDパープルと言葉を交わす。それからちらり、と背後を見るが…Dパープルの、目元を覆うマスクの下の瞳から感じるのは、揺らがぬ闘志。それを受けたEブラックは小さく頷き…同じく立ち上がったRパープルと、その背後…コーナー付近に留まりながらも、しっかりとパートナーの援護に動ける姿勢を見せているHブラックに対し、Dパープルと共にタッグ同士で視線をぶつけ合う。

 

I&F「静かな闘志のぶつかり合い…これは、仕切り直しという事でしょうか!」

オリジン「いや…どうだろうな。やはりというべきか、個々の攻防においては、チャレンジャーチームもなんら劣ってはいない。意思疎通も出来ている。だが……」

ヒストリー「連携の質、ですね。点で終わるか、線で繋がっているか…この差を覆せるか否かが、勝負の分水嶺になるかもしれません( ˘ω˘ )」

バーテクスホワイト「良い調子よ、二人ともー!」

プライムスホワイト「だいじょうぶ、まだまだいけるよ…!(ぶんぶん)」

 

 熱く実況を続けるI&Fと、冷静に戦況を見るオリジンとヒストリー。セカンドとして言葉で後押しをするP(プライムス)ホワイトと、V(バーテクスホワイト)。そのようなやり取りが本部席とリング外で行われる中、リングマットを蹴ったEブラックはRパープルへと突撃し、Rパープルはその場からの大跳躍で突進を回避。ロープを使って高速でEブラックが帰ってくれば、Rパープルは再び跳んで躱し三度目の突進は逆に着地と同時にリング上は横になる事によって、Eブラックの脚を引っ掛ける事を狙う。素早く走り、往復のタックルを交わす攻撃と、跳躍や伏せによって対抗する防御側という、プロレスを知る者にとっては定番の攻防戦に会場は強く、大きく沸き立つ。

 しかしそれだけでは終わらない。伏せたRパープルを飛び越えた直後にEブラックは急ブレーキを掛け、その場跳びのムーンサルト・プレスをかける。それを転がり躱したRパープルは、立ち上がった直後、お返しとばかりに自身もムーンサルトを仕掛け、Eブラックもまたそれを躱す。互いに躱された両者はロープへ走り、反動を受けて跳躍するとEブラックはジャンピング・ニー・バットを、Rパープルは再びフライングエルボーを放ち…膝と肘が空中で激突。双方弾かれると、Eブラックは両脚を畳んだ鋭い後方宙返りで、Rパープルは両脚を伸ばした鮮やかな後方宙返りで片膝を突きつつリングへ着地し…割れんばかりの歓声が上がる。

 

I&F「速く高く、何より華麗な攻防戦!そうです、新女神のハイフライヤーといえばEブラック選手ですが、Rパープル選手もまた、空中戦はお手の物!」

ヒストリー「Eブラック選手はその激しく強靭な動きを猛禽類に、Rパープル選手は優雅さすら感じる鮮やかな動きで蝶に例えられる事もありますからね。オリジン選手から見て、二人の空戦能力はどうですか?(・・?)」

オリジン「どうも何も、嫉妬する他ないだろう。こんなにも熱くさせる…これだけの歓声を受ける空中戦を、目の前で見せられてしまったのだから…!」

 

 リング内の二人は、にやり、と笑みを浮かべ合う。それは相手の技巧を認め、共に会場を沸かせてくれた事へ感謝を送るような笑みであり…一歩先に動いたEブラックは一度戻ってDパープルとタッチ…したと、見せかけた。背を向け、RパープルやHブラックには見えない…されどレフェリーにはギリギリ見える、そんな体勢を作る事で。

 飛び出したDパープルは、Rパープルへ仕掛ける…と見せかけて通り過ぎる。その瞬間、Rパープル達はタッチしていない事に気付くが、完全に面食らった状態であり、Hブラックは突進を受けてエプロンから落下。立て続けの驚愕にRパープルも足を止めてしまい、チャレンジャーチームはその瞬間を逃さない。二人はRパープルへ向け跳び上がり…二人同時に、ドロップキック。

 

Rパープル「しまっ…ぐぅぅ……ッ!」

I&F「出たー!タッグマッチの醍醐味、ツープラトン攻撃だーッ!」

オリジン「Dパープルはスクリュー式、Eブラックは正面跳び式…見事に挟み込む形となったな」

ヒストリー「ハイフライヤーのEブラック選手は勿論、ドロップキックに関してはDパープル選手も得意としていますからね。合体技にこれが選ばれたのも納得です(。・ω・。)」

Hブラック「くっ、Rパープル…!」

 

 前後から挟まれた事で衝撃を逃せず、その場に崩れ落ちるRパープル。フォールはカウント2.9のギリギリで返すが、大きなダメージである事は明らか。そのRパープルを助けようと、落とされたHブラックはリングに登ろうとするも、ドロップキックから即座に立ち上がっていたDパープルがロープを超える形でフライング・ボディ・アタック。Dパープル諸共Hブラックは再び落とされ、リング内は再び一対一の状況に変わる。

 

「連携とはまた別の戦術と、分断…やって、くれますね…!」

「何も、一緒に何かするだけが連携じゃないでしょ?…まぁ、さっきのは中々悪くなかったんだけど…ねッ!」

 

 よろよろと立ち上がるRパープルに対し、容赦なくEブラックは追撃。腕を掴んでロープに振り、戻ってきたRパープルを担ぎ上げる。そして片膝立ちになりつつ垂直に落とし、膝へ後頭部を叩き付ける。そこで再びフォールに入るが、チャンピオンの意地だとばかりに、Rパープルは返す。

 

ヒストリー「ブレーンバスターの体勢からの、変形ネックブリーカー…今のは所謂バスターコールですね。そして場外では……」

オリジン「こちらもパートナー同士が激突中だ。さて、こちらに来るかな…?」

 

 リング外で行われているのは、HブラックとDパープルによる打撃合戦。背丈で勝るDパープルは上から振り下ろすエルボーを主体に、逆にHブラックは下段狙いの蹴りを多用し至近距離で削り合う。

 

「わたしが押し切るのが先か、貴女がわたしを崩すのが先か……!」

「流石IWNPヴィーナス級チャンピオン、完全に分断されるとアタシじゃ不利…なんて事は言いませんよ?アタシだって、ベルトを背負っているんです、からッ!」

 

 幾度も打撃を放ち合った末、覇気ある言葉と共にHブラックは跳躍し、Dパープルの上半身へ向けて回し蹴り。それを身を屈める事で避け、無防備なところへ一撃与えようと考えたDパープルだったが、次の瞬間Dパープルの側頭部を衝撃が襲う。

 それは、躱された段階からもう一回転したHブラックの蹴撃。初撃は避けられる事を見越した、本命の攻撃。

 

I&F「バズソーキックがDパープル選手の頭を捉えるー!しかしDパープル選手、よろけながらも着地直後のHブラック選手を掴み、振るって鉄柵へと打ち付けたぁぁ!やはりIWNPヴィーナス級チャンピオンの名は伊達ではない!」

Hブラック「つぁ…!…R、パープル…何防戦一方になってるのよ…。タッグのチャンピオンなら、分断すれば有利になる…?そんな訳、ないでしょうが…そうでしょ、Rパープルッ!」

 

 無理な反撃をした事で、Dパープルは膝を突く。しかし本部席や観客席との境として設置された鉄柵に腰を打ち付けたHブラックのダメージも決して小さなものではなく、Hブラックは追撃やRパープルへの援護のチャンスを失ってしまう。そして、リング上のRパープルは、依然として劣勢。分断し、二つの一対一を作り上げる…DパープルとEブラックの策は、ここまで完全に成功していた。チャンピオンの二人も、それを感じていた。

 だからこそ、腰の痛みを振り切り、Dパープルへ仕掛けながらHブラックは言う。押されるパートナーを鼓舞する為に。チャンピオンの誇りを守る為に。同時にその声には、劣勢なパートナーを助けられない自分へ対する叱咤の感情も込められており…言葉だけではないと示すように、Hブラックは自ら仕掛けたエルボー合戦でDパープルに打ち勝つ。執念で食らい付いた結果、打ち勝つのと引き換えにDパープル以上の体力を消耗してしまったHブラックだが、確かにHブラックは自らの言葉を証明し…その姿は、Rパープルにも見えていた。言葉は、心に届いていた。

 

Rパープル「……っ…やぁああああぁぁッ!」

Eブラック「来たわね、でもそんな突進で……!」

 

 掛けられかけていた関節技を強引に振り解き、背後のロープにもたれかかる形で反動を得たRパープル。そこからの突進を迎え討とうとEブラックは待ち構えるも、叫びと共に走るRパープルはEブラックの直前で力任せに方向転換。正面から真横に進路を変え、そのままトペ・スイシータ。トップとセカンドのロープ間からリング外に突っ込むその技に気付き躱そうとするDパープルだったが、一瞬早く気付いたHブラックが手首を掴む事で回避を阻み、頭突き気味の突進は直撃。すぐに起き上がったRパープルはHブラックと見つめ合い…頷く。

 

Eブラック「やるじゃない、だったら…ッ!」

Hブラック「いくわよRパープル!」

Rパープル「うんッ!」

I&F「こ、この動きはサスケ・スペシャル!ロンダートからのプレス技、サスケ・スペシャ……ルを迎撃したぁ!?チームシュタットヴィーラ、背中合わせの跳躍横蹴りで真正面から撃ち落としたぁああああッ!」

オリジン「回避よりも、防御よりも、ツープラトンでの迎撃を選んだか…!ふ、ふふっ…素晴らしい、これこそチャンピオンの真価というもの!魅せてくれる、魅せてくれるなチャンピオン…!」

 

 飛来したEブラックの胴を強かに打ち付ける二人の蹴り。既に落下に入っていたEブラックの勢いは止め切れず、二人も背中からリング外のマットに落ちるも、勢いに乗っていた分Eブラックの胴には蹴りが食い込む形となり、二人以上に激しく落下。先のトペ・スイシータで倒れたDパープル含め、四人全員がリング外に倒れ込むという状態に。

 

ヒストリー「リング内で大乱戦となり、全員が倒れるという状況は時偶にありますが、まさかリング外で起きようとは……(゚o゚;;」

I&F「数秒で一気に戦況が変わりましたもんね。そして試合権のある二人がリング外に出た事で、レフェリーがカウントを開始!シュタットヴィーラは先んじて立ち上がりましたが、チャレンジャーチームは戻れるのでしょうか!?」

 

 追い討ちよりも体勢を整える事を優先したのか、10カウントの時点でリング内に戻るチャンピオンチーム。一方チャレンジャーチームはその時点でもまた倒れており、会場内はリングアウトによる決着の可能性を感じ始める。

 カウント12の時点でも、まだ立ち上がれない。カウント15の段階で、何とかよろよろと立ち上がる。観客が固唾を飲んで見守る中、18で肩を支え合い、19でリングの端であるエプロンに手を掛け…20の宣言が響く寸前に、滑り込みでチャレンジャーチームもリングに戻った。

 

Dパープル「Eブラック、大丈夫…?ここはもう一度、回復に専念して……」

Eブラック「そうね、ここでタッチはするわ…けど、私は引かないわよ?今守りに入ったら、押し切られる…勝つんだったら、攻めるしかないわ…!」

Dパープル「…えぇ、その通りだわ。じゃあ…やるわよッ!」

 

 約10カウントという決して長くはない時間ながら、チャンピオンチームは余裕のある休息を得られた。チャレンジャーチームにとってそれは大きく…しかしダメージにおいては劣勢でも、その精神は依然燃え上がったまま。

 正対する四者の内、真っ先に動いたのはEブラック。されどEブラックはリング中央付近で止まると膝に手を置き上体を倒し、そのEブラックの背中を用いてDパープルが側転蹴り。縦回転の蹴りをHブラックが交差させた両腕で受け、即座に下がり、入れ替わりで前に出たRパープルは足から飛び付きフランケンシュタイナー。それ自体は成功するものの、ツープラトンドロップキックを受けて以降のダメージが尾を引くRパープルの攻撃はやや甘く、頭から落ちるも即座にDパープルは跳ね起きローリング・ラリアットで反撃を浴びせる。

 

Dパープル「押し切るのは、わたし達よッ!」

Rパープル「そうは、いかないよッ!」

Hブラック「耐えるなら、上回るだけなんだから…ッ!」

Eブラック「耐えてるだけだと、思わない事ね…ッ!」

 

 Rパープルが延髄蹴りを打ち込めば、落下しうつ伏せで受け身を取ったRパープルをDパープルがぶっこ抜き式ジャーマン・スープレックスで投げ飛ばす。打ち付けられたRパープルは気力でそのまま回転して立ち、投げ終えた直後のDパープルの後頭部を狙ってヒドゥン・ブレード。顔から倒れるDパープルだがすぐに右の拳でリングを叩き、雄叫びが如き声と共に立ち上がる事で更なるRパープルの攻撃を制する。

 ノーガードの殴り合いを思わせる技の応酬をRパープルとDパープルが行う中、反則裁定を避けロープの外側、エプロンへと出たHブラックとEブラックもまた仕掛け合う。Hブラックが低空タックルをすればEブラックはサードロープを足場に跳んで、回避しつつ背後に回ったEブラックが着地前に後ろ蹴りを放ち、しかしHブラックはそれが見えていたかのように身を伏せ躱すとこちらも後ろ蹴りの要領で足払いをかける。それを喰らったEブラックだが、転倒前に両手を突き出し、バク転で見事に着地をする。本来エプロンは狭く、まともに戦える筈のない場所ながら、二人は落ちる事なく矢継ぎ早に攻撃を繰り返す。

 

I&F「ロープを挟んだリング内外で、二つの攻防戦が繰り広げられる!リング内では熱く激しい打ち合いが、リング外では素早く絶え間ない駆け引きが続く!勝利するのはチャンピオンチームか、それともチャレンジャーチームかー!」

ヒストリー「ダメージの事を考えれば、Hブラック選手とDパープル選手が出るのが無難な選択ですが……」

オリジン「個々の差こそあれ全員が消耗している今は、残る力を全て注いで削り切った方が良い場合もある。だが、本質はそこではない。本質は……意地だッ!」

 

 実況と解説を行う本部席から響く、意地という言葉。まるでそれを受け取ったかのように、更に激突は加速する。

 

Eブラック「せ、ぇいッ!」

Hブラック「Rパープル!」

Rパープル「……っ!」

Dパープル「これも連携って訳ね、なら…ッ!」

 

 トップロープとセカンドロープを掴み、身体を横にしてのEブラックの蹴り。それを後方へのステップで避けたHブラックだが、直後にその狙いに気付いて声を上げる。そしてHブラックが感じ取った通り、Eブラックはそのままリング内側に入り、両手でロープを押してドロップキックの様にRパープルへと飛び掛かる。

 パートナーからの声を受けていた事で、Rパープルは視界外からの攻撃を紙一重ながら回避する。しかしならばと、チャレンジャーチームは二対一の状況を活かして攻め込む…が、Rパープルは宙返りにより大きく後退。それはリング外に落ちる軌道を描いていたが、直前で手を伸ばし、トップロープを掴む事で急減速すると先程のEブラックの様に、しかしこちらは縦にロープの間を通ってリングに戻る。

 とはいえ二人同時に狙える状況である事には変わりない。されど直感的に二人は危険を感じ取り、背中合わせで待ち構える。そして二人が感じ取った通り、リングに戻ったRパープルと、同じくリング内へ飛び込んだHブラックは、示し合わせる事なく…その上で完璧にタイミングを合わせて同時にラリアットを叩き込む。

 

オリジン「クロス・ボンバーか…!だがこれは恐らく……!」

ヒストリー「えぇ、恐らく繋ぎです…!シュタットヴィーラの狙いは、この先の……!(;゚Д゚)」

 

 迫る腕に対し、DパープルもEブラックも防御をするも、背中合わせに立った事が裏目に働き、背中同士がぶつかる事で衝撃を逃がし切れなくなる。ダメージこそ最小限で済んだものの、揃ってよろけるという隙を晒してしまい、チャンピオンチームに攻撃のチャンスを与えてしまう。

 

Rパープル・Hブラック((これで、この技で…ッ!))

Dパープル・Eブラック((絶対に、耐え切る…ッ!))

 

 そして当然、チャンピオンチームはそれを見逃さない。そのチャンスを生み出す事こそ、今の攻撃の目的であり、そのまま追撃…と見せかけ、Rパープルは走る。Hブラックは回り込む。目の前の相手ではなく、その背後の相手へ狙いを定め…全力の一撃を、放つ。

 

I&F「出たーッ!Rパープル選手の得意技ギア・カッターと、Hブラック選手の得意技ブラック・トゥ・ザ・フューチャー!チャンピオンチームのフィニッシュホールドの共演だぁああああぁッ!これは決まったかーーッ!?」

 

 ロープを利用しての飛び込みと、担ぎ上げての叩き落とし。共に、完璧に二人は技を決めて、Rパープルは片エビ固めで、Hブラックは技の完了からそのまま首固めでフォールに入る。

 どちらも勝負を決めるのに十分な威力を持った、切り札の一つ。フォールの体勢に入った事でレフェリーは滑り込み、リングを叩く。

 

レフェリー「1!2!……ッ!」

I&F「か…返したーッ!Dパープル選手とEブラック選手、同時にフォールを返す、押し返すーッ!まだ決まらない、終わらないぃぃッ!」

 

 一つ目、二つ目とリングを叩く音が聞こえた時、チャレンジャーの二人は目を見開き、力の限りで肩を上げる。まだ終わらないのだと会場に見せ付け、勝つのは自分達だとチャンピオンの二人に意思と闘志を叩き付ける。

 

ヒストリー「試合権がなく当然3カウントも取られないEブラック選手まで返すとは…やはり意地なのですね…ッ!٩(๑`^´๑)۶」

オリジン「あぁ意地だ、意地以外の何物でもない!そして今、チャレンジャーの二人がチャンピオン二人のフィニッシュホールドを、終わらせようとした瞬間を覆した!それは即ち、流れを二人が完全にもぎ取ったという事!これはチャレンジャーに女王の道が──」

 

 幾度も反響する程に響き渡る歓声と拍手。チャンピオンのフィニッシュホールドを、チャレンジャーが劇的に返す。そんなこの上なくドラマチックな瞬間に、逆転勝利への楔に、誰もが思った。新たなチャンピオンがこれから生まれると、そう感じた。本部席すらそう思い……

 

Rパープル「ううん、勝つのは……」

Hブラック「チャンピオンは……」

Rパープル・Hブラック『(わたし・アタシ)達(だ)よッ!』

 

──だが、チャンピオンチームは上回る。分かっていたと、チャレンジャーチームなら返すと思っていたと言わんばかりに笑みを浮かべ…跳ぶ。RパープルはDパープルへ、HブラックはEブラックへと相手を移し、片や乗り掛かる形で両脚を、片や片腕へ足を絡めてそこから顔を締め上げる。

 

Dパープル「しまっ……ぐぁ…ッ!」

Eブラック「そんな……がぁ…ッ!」

I&F「ぁ……な、なんと関節技だぁぁぁぁッ!ここに来て関節技、まさかのフィニッシュホールドすらもこれへの繋ぎ!Rパープル選手はシャープランチャー、Hブラック選手はO.U.Kをチャレンジャーチームの二人に決めるぅぅぅぅうッ!」

 

 逆転したと思わせておいての、フィニッシュホールドを返される前提で放っての、真の本命である関節技。返したとはいえ大技を受けた直後に、更に狙う相手を再度変えるという意表を突いた策を交える事で仕掛けられた関節技は完璧に決まり、DパープルもEブラックも振り解けない。全身へ力を込め、必死にロープへ手を伸ばすが、普通に見れば近い…されど技を掛けられている今はあまりにも遠いロープに、関節技から解放される為の命綱に、手が届かない。

 チャンピオンチームも、残る力の全てを掛けて締め上げる。これを凌がれれば本当に逆転される、その覚悟で固め続ける。

 諦めない。チャレンジャーは痛みに耐えて、チャンピオンは振り解こうとする力に堪えて、全員が全員歯を食い縛る。そして……

 

とーはいる「こ、これは…レフェリーさん駄目です!これ以上は危険ですーっ!」

レフェリー「……!本部席!」

I&F「あーっとレフェリーストップ!リングナースからの判断を受けての、レフェリーストップがかかったー!試合終了、試合終了ぉぉぉぉぉぉッ!」

 

 飛び出したとーはいるリングナースと、本部席へ向けて手と首を振るレフェリーと……鳴り響くゴング。

 レフェリーストップ。その名の通り、これ以上の試合続行は無理だと…これ以上は誰も望まない結末になってしまうと判断された時に下される、レフェリーからの勇気ある強制終了。それが意味するのは、試合がそこまでとなる事と…勝敗が、決まるという事。

 

Dパープル「試合、終了…?……っ…待って、わたし達はまだやれるわ…!」

Eブラック「そうよ、まだ私達は負けてなんか……」

とーはいる「駄目です!わたしの言う事はちゃんと聞く、それが出来ない人はやっちゃ駄目、そういうお約束の筈です!」

 

 ストップがかかった事で、チャンピオンチームは技を解く。解かれたチャレンジャーチームはまだやれる、と撤回を求めるが、とーはいるに一喝されて言葉に詰まる。

 反則における判断を始め、様々な点でルールが厳格でない…一見そう思えるのがプロレスというもの。それは新女神でも同じであり…しかし必ず守らなければいけない事の一つが、リングナースからの指示であった。

 

I&F「なんと、幕引きはレフェリーストップ!しかしそれもきちんと規定された、勝敗を決める一つの形です!そして、レフェリーストップにより勝利したのは、チームシュタットヴィーラ!チャンピオンチームの、防衛成功です!」

ヒストリー「ギブアップと違い、レフェリーストップは選手が負けを認めた訳ではありません。確かに耐えていた事も事実です。ですが…そう判断された時点で、どうしようもない程に技が決まっていた事も、また事実というものです(-_-)」

オリジン「そうだ、でなければストップなんてかかる事はない。だが、例えレフェリーストップによる幕引きだとしても…これは素晴らしい試合だったと、私は思う」

 

 決着により、悔しさを滲ませながらもリングから降りていくDパープルとEブラック。決まり、離れた直後こそ脱力して座っていたHパープルとHブラックだが、立ち去るチャレンジャーチームを前に、二人はゆっくりと立ち上がる。

 

Rパープル「Dパープルさん、Eブラックさん……」

Dパープル「悔しいわ…悔しくて仕方がないわ。…でも…今は、今日は…貴女達の勝利よ、チャンピオン」

Eブラック「けど…次は負けないわ。今度こそ、私が…私達が、貴女達から勝利を、そのベルトを手に入れてみせる…!」

Hブラック「…勿論よ、何度だって受けて立つんだから!」

 

 離れる直前に交わされた会話。決して大きくはない、されどはっきりとした、よく通る声で交わされたやり取りは会場中に届き…拍手が、送られる。勝利したチャンピオンにも、激闘を繰り広げたチャレンジャーにも、等しく、そして温かな拍手が。

 そうして二名が立ち去る中、リング中央に向かったチャンピオンチームは会場を見回す。見回す二人の手にあるのは、パフォーマンス用のマイクと…仲間より渡された、二人が守ったチャンピオンベルト。

 

Pホワイト「お疲れさま、Rパープルちゃん、Hブラックちゃん」

Vホワイト「やったわね!まあ、二人が勝つのは分かってたけど!」

Rパープル「ふふっ、ありがとね二人共。すぅ、はぁ…皆さーん!今日は見に来てくれて、ありがとうございまーす!」

Hブラック「今日の試合はどうだったかしら?期待外れだった、なんて事ないわよね?期待通り…ううん、期待以上だったわよね!」

 

 Hブラックの自信に満ちた呼び掛けに、再び拍手が、肯定の反応が返される。勝者として、チャンピオンとして、二人は歓声と声援を浴びる。

 

Hブラック「けど、予想を超えてきたのはチャレンジャーチームも同じよ。普段からタッグを組んで試合してる訳じゃないのに、あんなに強いだなんて…」

Rパープル「でも、わたし達が勝った。ギリギリだとしても、勝ったのはわたし達。そうでしょ?Hブラック」

 

 試合相手への賛辞をHブラックが送れば、Rパープルはにっと笑い、その笑みへHブラックも笑みを返す。それから二人は頷き合い…再び観客全てを見回す。

 

Hブラック「そう、アタシ達が勝った。勝ったのはアタシ達シュタットヴィーラであり、GONよ!」

Rパープル「そしてわたし達は勝ち続けます!IWNPタッグチャンピオンとして勝って、今日の様に、皆さんに興奮と感動を届け続けます!」

 

 勝ったのは自分達。勝ち続けるのも自分達。そう宣言した上で、二人は続ける。自分達だけで勝ったのではないと、自分達だけで進むのではないと。謙虚さはあれど卑屈さはない。自信はあれど傲慢にはならない。それこそが、シュタットヴィーラの魅力であり……二人はベルトを掲げる。このベルトは、女王の座を持つ自分達は、更に高みへ登っていくのだと示すように。

 

Rパープル「だから、これからも期待し続けて下さいね?わたし達の…レベルの違う、戦いに!」

Hブラック「見逃させなんてしないわ!ううん、見逃す事なんて出来ないでしょ?それ位に魅力的な試合を、アタシ達はし続けるんだから!」

 

 そして二人が締め括り、作った指鉄砲をウインクと共に放つと、紙吹雪が舞い散る。この試合だけでも幾度となく行われた拍手が、今一度チャンピオンチームに向けられ、リング上の四人、GONは歓声を浴び続ける。

 多くの意味でシングルマッチとは違う、タッグの戦い。それぞれに魅力が、見所があるのが、シングルマッチとタッグマッチ。しかし共通する部分もある。選手の闘志、一試合毎に移り変わる戦術…そして盛り上がりや熱狂もまた、シングルタッグ関係なく、常に最後には…戦いの果てには、最高潮となるのである。

 

ヒストリー「最後までバッチリと決めましたね、チャンピオンチームは。今の時点でも相当な記録を作っている訳ですが…ひょっとすると、この先わたし達の想像を超える偉業を成すのかもしれません。そして…次の大会は、IWNPインターコンチネプタル王座戦ですね(*^▽^*)」

オリジン「ああ。この一戦は、間違いなく名試合だったが…その上で、言わせてもらおう。私の出るインターコンチネプタル戦は、今日の一戦に負けないものになると。そんな試合とした上で、私が勝つと!」

I&F「おっと早くも予告勝利!これは期待が持てますね!それでは次回に期待の感情を持ちつつ、本日の放送も締め括りましょう!新女神プロレスリングを、その戦いをノーカットでお送りするディメンションプロレスを、これからもお楽しみにっ!」

 

 

(エンディング曲)〜♪〜〜♪

 

 この作品は、

『シモツキのやる気』

『シモツキの趣味』

『ネプテューヌシリーズと新日本プロレスへのエール』

『偉大な方々への敬意』

 で、お送りしました。




今回の技解説

・エルボー・ドロップ
倒れている相手に対して、自身も倒れ込むようにしながらエルボーを行う技。体力的な負担は少ないが、当然回避されれば自分がマットに突っ込む形となる。

・フライング・エルボー
その名の通り、跳躍し相手に放つエルボー。ロープを使用するか否かの差はあるが、動きとしてはジャンピング・エルボー・アタックと似た形になる。

・スライディング・ラリアット
滑り込むようにして放つラリアット。基本的に倒れた状態から上半身のみを起こした相手に放つ技で、その性質上追い討ちとして使われる事も多い。

・セントーン
倒れている相手に向けて一回転し、背中や臀部を叩き付ける技。ロープやコーナーから跳躍すれば威力も上がるが、プレス系の技同様回避されれば自分がダメージを負う。

・フロント・スープレックス
スープレックス系の技の一つで、正面から相手を捕らえ、後方に投げる。フォールを狙う事も出来るが、失敗した場合は逆に自身が覆い被さられてしまう事もあり得る。

・ショルダー・タックル
読んで字の如く、肩から相手にぶつかっていく技。単純ながらも勢いと体重がそのまま威力に直結する為、諸に受ければ見た目相応のダメージを負う。

・スピアー
相手の腹部へ向け、低姿勢で突進する技。スピアー・タックルとも呼ばれ、狙う位置の関係から自分諸共相手を吹っ飛ばす事にも長けている。

・レッグラリアット
脚で放つラリアット、つまりは脚を横にした蹴り。ただ、ラリアットの名の通り、主に胸や首元を狙う為、跳躍やロープの利用をした後に放たれる場合が多い。

・450°スプラッシュ
一回転した上で身体を下向きにし叩き込むボディ・プレス。この技だけに限らず、回転や捻りを加える程、ボディ・プレスは技としての難易度と失敗の危険性が増す。

・ジャンピング・ニー・バット
跳躍をしての膝蹴り、即ち飛び膝蹴り。膝を折っている分通常の飛び蹴りよりリーチが短くなる為、近距離から放つ、勢いを付けて大きく飛跳ぶ等の工夫が必要となる。

・ツープラトン
プロレスにおける、二人での連携技の総称。ツープラトン○○、の様に使われるのが一般的だが、チームによってはこれを付けず、独自の名前を付ける場合もある。

・スクリュー式ドロップキック
相手を蹴った後身体を捻り、うつ伏せで着地し受け身を取るドロップキック。背中から着地し受け身を取る正面跳び式の改良型がこれ。

・フライング・ボディ・アタック
跳び上がり、身体を斜めに(横に近付ける形で)放つ、ボディ・アタックの一つ。身体を倒す形となる為、ロープや柵を越えつつ攻撃する際には選択肢の一つとなる。

・バスターコール
投げ技であるブレーンバスターの体勢で捉えた後、相手諸共身体を倒して相手の頭にダメージを与える技。頭を打ち付けさせる為に、相手の意識へのダメージも大きい。

・バズソーキック
相手の側頭部へ向けて放つミドルキック。ミドルキックの形で行う技である為、単に飛び上がっての蹴りや上段狙いの蹴りなどはこの名では呼ばれない。

・トペ・スイシータ
リング外にいる相手に向け、リング内から飛び込む体当たり技。基本的にはトップロープとセカンドロープの間を通る形で放つが、トップロープを飛び越える形もある。

・サスケ・スペシャル
リング内でロンダートを行った後、その勢いで踏み切り場外へ跳ぶプレス技。分かり易く派手な見た目を持つ技だが、背を向けて跳ぶ為正確に当てる難易度は高い。

・フランケンシュタイナー
跳び上がり、太腿で相手の頭を挟み、そのまま身体を振るって相手を頭から落とす技。投げる為には勢いが必要である為、技の出から終了までは基本的に速い。

・ローリング・ラリアット
その場で回転してのラリアット。回転する分勢いが乗るが、反面即座に放つラリアットより時間がかかる為、相手の状態によっては回避される事もあり得る。

・ヒドゥン・ブレード
座っている相手へ向け、対角線の後方から走り込んで放つバック・エルボー。死角(背後)から打ち込む技である為、相手は対応が難しい。

・クロス・ボンバー
相手を挟み込む形で、前後からラリアットを放つ連携技。動きそのものは単なるラリアットだが、当てるタイミングがずれると相手が倒れて空振りになってしまう。

・ギア・カッター
ロープへ跳び、反動で相手に飛び掛かって相手の頭を掴み、そのままリングへ叩き付ける技。とあるトップレスラーの技と似ているが、こちらはより真っ直ぐ跳ぶ。その為速度では勝るが、その分細かな調整が効かず、相手を捉え損ねる可能性があちらより高い。

・ブラック・トゥ・ザ・フューチャー
脇で相手の頭を掴み、逆の腕で相手の太腿を掴んだ後、跳び上がると共に相手の片脚を両脚で捕らえて後方に頭から落とす技。とあるトップレスラーの技と似ているが、こちらはより素早く小さな回転で落とす。小さい分跳躍も細かいもので済むが、その分十分な速度を出さないと失敗、或いは成功しても威力不足になり得る可能性がある。

・シャープランチャー
うつ伏せの相手の両脚の間に片脚を入れ、相手の両脚をクロスさせつつ腕でロックし相手の腰の上に乗る(形で腰を落とす)関節技。実は所謂サソリ固めとほぼ同じ。

・O.U.K
うつ伏せの相手の片腕へ足を絡めてロックし、両腕で相手の顔を顎から引き上げて反らせる関節技。実は所謂クロスフェイスとほぼ同じで、Oはオペレーション、Kはキラーの略称だが、Uは何の略称か謎となっている。

この他にも一部技がありましたが、ORにて説明しているものや、説明不要と思われるものは除きました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。