超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第七話 新名物、誕生?

「新名物をわたしが作るんだッ!今日!今ここでッ!…って訳で、プラネテューヌの新たな名物を作ろうと思います!」

「え、えぇぇ……?」

 

 元気良く、勢い良く、部屋の真ん中で高らかに宣言。今日という日をプラネテューヌの更なる躍進の第一歩とするべく、わたしは全力で意気込んでみせる。なんか一緒にいるネプギアは、訳が分からない…って感じの表情をしてるけど、そんな事じゃわたしは止まらないよー!何せこれは、第七話目にして漸く来た、OSにおけるわたし視点だからね!

 

「取り敢えず呼ばれたから来たけど…名物?…を、開発しようって事なの…?」

「そういう事!というか、ネプギアもそんな及び腰じゃなくて、もっと積極的にいかなきゃ駄目だよ?ネプギアだって、主人公の一角でしょ?なのにここまで自分視点がなかった事に、ちょっとは危機感を覚えなきゃ!」

「あ、う、うん…でもほら、わたしは最近久し振りに主人公してるところだし…」

 

 テンション低めなネプギアに、勢いのままに返すわたし。でもネプギアは苦笑いをするだけで……くっ、そうだった…今は時期的に、主人公欲が満たされててもおかしくないんだった…!…って、いうかあれだね。この、新作ゲームが出た辺りの話で、そっちで忙しいとか色々やってるんだ的な会話が出てくるのは、某配管工さんの漫画みたいかも。

 

「…というか…お姉ちゃんはそこそこのペースで主人公やってるのに、まだ足りな「足りないよっ!主人公に、主人公で在る事に、終わりはないんだからっ!」…そ、そうなんだ……」

「ねぷ主人公である、故にねぷ在り、って言うでしょ?それ位、主人公である事は大事なんだって」

「いや言わな…と、思ったけど…ま、まさかそれって、お姉ちゃんが主人公をしてない時は、何かしら問題が起きてるんだっていう事を暗に示して……」

「え、全然」

「だよねー…」

 

 がっくりと肩を落とすネプギアの姿に、今度はわたしが苦笑い。いやいや、流石にそこまでの意図はないって。というか自慢じゃないけど、問題やら何やらはわたしが主人公でも普通に起きてるからね!……さてと。

 

「ネプギア、このまま駄弁ってるのも楽しいけど、今日の目的はあくまで名物作りだよ。…あ、因みに名物って言っても民芸品とかお祭りとかじゃなくて、食べたり飲んだりするものだよ。名産品とか特産品、ってやつだね」

「わっ、急に真面目に…えぇと、作るっていうのはそのままの…わたし達で作ろうって事?それとも企画をして、皆に作ってもらったり発見してもらったりしようって事?」

「それは勿論わたし達で作ろう、の方だよ!なんたって『女神が考案、開発した○○』ってなれば、それだけでばか売れ間違いなしだからね!ネームバリューってやつだよ、ネームバリュー!」

 

 ふふん、とわたしが胸を張れば、ネプギアは何とも言えない感じの視線をわたしの方へ向けてくる。むむ、これは「確かに…でも、そんな上手くいくかなぁ…?」…って視線だね?うんうん、分かるよ。何かを生み出すのって大変だし、わたしだってぱっと売れてすぐ飽きられる名物じゃなくて、長く愛される名物を作りたいからね。だからわたしも、その為の協力者を呼んでいるのだ!

 

「ねぇネプギア。こういう時に必要なのは、色んな方向からの、真っさらな視点だと思わない?わたし達とは全然違う、わたし達じゃ気付けない、気にしないような事も見える人が複数いれば、良いものが作れそうだと思わない?」

「お、お姉ちゃん…?さっきから思ってたけど、もしかしてお姉ちゃん…ふざけてるように見せかけて、実は物凄く本気で名物を作ろうとしてる…?って事は、実はもうその道のプロを何人も呼んでたり……」

「という訳で、意見出し&味見役として、第三期パーティー組の皆に来てもらったよ!」

「…しないよねー…はは……」

 

 ばばーん!…という効果音が出てきそうな動きをしながら、わたしは協力に応じてくれた皆…第三期パーティー組の皆をリビングルームに呼び込む。その最中、ネプギアはまた肩を落としていたけど…うーん、ちょっと初っ端から振り回し過ぎちゃったかも?ネプギアにも色々意見を出してもらいたいし、ネプギアがスタミナ切れしないよう、少しは自重した方がいいかな。

 

「ふっ…力を貸すぞ、女神達よ!」

「いや、今話を聞いたみたいな言い方してるけど、普通に待ってただけだし…」

「名物作り…何を作るのか分かりませんが、楽しみです…!」

「キュキュ-ウ!」

「…あたし、役に立てるかしら……」

「心配ないですにく。こういうのは、素直な意見が一番大切なんですにく」

 

 という訳で、入ってくる三人…というか、三組。…なんか既に食材もいるけど…肉料理を試してみるのは、流石に気が引けるね……海男の時も似たような事があったけど、こっちはもう完全に「加工済み」な訳だし…。

 

「……?どうかしたんですにく?」

「あー、ううん。何でもないよー。…さて、君達を呼んだのは他でもない。別次元という、全然違う場所で生活してきた皆なら、わたし達とは全く違う意見や視点を持っていると思ったからなのだ!」

「相変わらずテンション高いわね…まぁ、それなりに違う視点は持っていると思うけど……」

「チーカマさんとミリオンアーサーさんはブリテン…って所から来たんでしたよね。で、ニトロプラスさんはぴーしー大陸……あれ…この場合、私が一番役に立てそうにない気が……」

「だ、大丈夫ですよゴッドイーターさん。何も、全然違う環境にいたら必ず良い意見を出せる…って訳でもないと思いますし」

「そうそう、とにかくまずはチャレンジ、だよ。って訳で…皆、良さそうな意見カモーン!」

『えっ…?』

 

 どんな意見が出るかも、結果どんな名物が生まれるかも、やってみなくちゃ分からない。そんな意思を込めた言葉と共にわたしが振れば、早速魅力的な意見がバンバン……出てこなかった。皆ぽかーんとするだけで、バンバンどころか一つも出なかった。…あっれぇ……?

 

「えぇ、っと…皆?もしかして、遠慮してる?まだ何もプランなんてないんだから、好きに言ってくれていいんだよ?」

「い、いやお姉ちゃん。これは遠慮とかじゃなくて、いきなりそんな漠然とした…って、ノープランなの!?」

「うん、そーだよ。下手に決めるよりは、全くのゼロから始めた方がアイディアの幅が広がるだろうし」

「えぇー…。確かに最初から『自分はこんな感じで考えてるよ』って言っちゃったら、それを中心にした意見ばっかりになりがちではあるけども…それにしたって、ノープランだなんて思わなかったよ……」

 

 わたしなりに考えあってのノープラン(面倒だったとか、考えるの忘れてたとかじゃないよ?ほんとに違うからね?)だったけど、どうも裏目に出ちゃった様子。けどそれなら今から考えるしかない訳で、むむーっとわたしが頭を捻っていると、おもむろにニトロプラスちゃんが声を上げる。

 

「…そもそも、ネプテューヌはどういう名物を作りたいの?何も決まってないなら、食べ物として…じゃなくて、商品としてどういう方向性にするかを、まず決めた方が良いんじゃない?」

「む?ニトロプラスよ。方向性とは、具体的にはどういう事だ?」

「そうね…例えば、高級品にするか、お手頃価格にするかとか、お店で食べるものか、買ってきて食べるものか…とかかしら」

「あ、それで言うなら買ってきて食べるの中でも、買ったその場で食べられるものか、お土産みたいに持って帰るものか…って選択肢がありますよね」

「ネプテューヌちゃんは、どんなイメージで名物を考えていたんですにく?」

「んー、イメージかぁ…高くて、一部のお店でしか食べられない名物…っていうのにはしたくないかな。わたしとしてはもっと沢山の人に、気軽に触れてほしいから」

 

 ノープランだったわたしだけど、何となく頭にあったものはある。名物を作りたいな〜、って思った時点で浮かぶようなものすら考えないでおくなんて、逆に無理な事だしね。

 って訳で、わたしはその浮かんでいたものを語る。高級○○っていうのも素敵だけど、やっぱりわたし的には、わたしが名物を作るなら、皆が楽しめるものにしたい。

 

「うんうん、わたしも同感だぞ!限られた者が…ではなく誰もがというのは、王として忘れてはならない視点だからな!」

「ふふっ、わたしもそれが良いと思うな。…で、そうなると、工場で大量生産出来るものか、逆にそこまで手間がかからないものの方が良いよね。うーんと…お菓子、スイーツ…たこ焼きとかご飯のお供とか、まだ絞るには選択肢が多いなぁ……」

 

 ほっぺに指を当てて、それなら、と色々食べ物やジャンルを挙げていくネプギア。でも次々と出過ぎちゃって、逆にネプギアは困り顔。

 確かにまだわたしのイメージだけじゃ絞り切れないし、何より今のは(賛成以外だと)わたしの意見しか入ってない。だからわたしは、ここから改めて皆に意見を求めてみる。

 

「あたしの意見…あたしなら、食べ易いものが良いわ。気軽にって事なら、それも大事でしょ?」

「さっきは同感と言ったが、わたしは作り手にも拘りたい。美味しい料理は、作り手の顔が浮かぶと言うだろう?だからこそ、作り手には是非君達の様な可愛らしい女の子を……」

「アーサー。そこのアーサー」

「…はっ!だ、だが実際、女神のネームバリューを武器にするのであれば、美少女が気持ちを…愛情を込めて作ったというのも売りになるのではないのか?そしてそのような売り方を認めるのもまた、王のUTUWA……」

「な訳あるか!欲しいならUTUWAでも食ってろ!」

「今日もお二人は仲が良さそうですにく。わたし達も、あんな風にいたいにく〜」

「いや、ああいう関係はちょっと……」

 

 さぁ、別次元の住民からの意見を…と思ったわたしだけど、すぐに話は変な感じに。わたしが言うのもどうかとは思うけど…ミリアサちゃんの発言で、流れは思いっ切り脱線していた。…うーん、どうしたものかな…どっちの組も話が盛り上がっちゃってるし、ゴッドイーターちゃんだけに色々意見出してもらうのも……

 

「沢山の人に、気軽にって事ならやっぱりこってり系とか、刺激の強い味は向かないよね…お土産の場合でも、買ってすぐ食べる場合でも、一つ一つは小さい方が良いだろうし…でもその上で、特徴的な何かが必要だよね。色とか形とかの見た目面か、味とか食感とかの美味しさ面か、それ以外なら意外な食材を使ってるとかで……」

 

……前言撤回、むしろゴッドイーターちゃん一人に任せても大丈夫な位だった。意見がどんどん湧き出て止まらない感じだった。…流石ゴッドイーターちゃん…食に対してはほんと貪欲だよね…。

 

「んと…ここまでの意見を纏めると、さっきネプギアが言ったたこ焼きとか、他にはベビーカステラとかが良さそうかな?気軽に買えるし、一口サイズだし、屋台でも作れるものだし、屋台なら作ってる人も見える訳だし。あ、勿論お土産系にするならまた別だよ?」

「…あ、お姉ちゃん。だったら、その中身を工夫するのはどう?何が入ってるかはお楽しみの、ドキドキたこ焼きとか、びっくりベビーカステラとかさ」

「おー、良いね!だったらその方向で一回作って……」

「…待って下さい。それは面白そうだと思いますが…一つ、心配な事があります」

 

 食べるまで何味か分からないなんて、ガチャガチャみたいで絶対面白い。ネプギアの提案でそう思ったわたしは、早速試作を…と思ったけど、そこでゴッドイーターちゃんに、気になる言い方で止められる。

 

「心配な事?」

「そういう食べ物って、最初は評判になったりするんですけど、大概はすぐ飽きられちゃうんです。現代じゃ中身のバリエーションなんてすぐ広まっちゃいますし、定期的に中身を更新するようにしても、中身として合うものを選んでいくと、初めは良くてもその内に自然と似たような味になっちゃうものですし」

「インパクトや面白さ重視の食べ物は、食本来の強みが二の次になっている分、初動は強くても長続きしない…って訳ね。名物としては、そういうのって避けた方が良いんじゃない?」

「言われてみると、確かに…自分で言っておいてあれですけど、中身が何か分からない食べ物って、試しに買ってみる分には良くても、リピートする分には向いてませんもんね…。苦手な食べ物もバリエーションにあるって知ったら、買うのも躊躇っちゃいますし…」

 

 やっぱり食には手を抜かないって感じがある、ゴッドイーターちゃんからの指摘。続くチーカマちゃんやネプギアの言ってる事も尤もで、ちょっと答えを急ぎ過ぎたかな…とわたしは少し反省する。…うーん…ガチャガチャみたいって思ったけど、食べ物と玩具やコレクションを同列に考えるのも、商品を考える上では良くないのかもね…。

 

「どうしようかなぁ…餅は餅屋って言うし、プロを呼んだ方が良かったのかなぁ……」

「それもどうかしら。名物を『創る』って事なら、その道のプロでも必ず上手くいく訳じゃないでしょ?」

「うーん…ネプテューヌ様、お土産の方向性はどうですか?お土産は自分用として何度も買う訳じゃないですし、人にあげるという意味で、お遊び要素は強みにもなると思うんです。勿論、中身の分からない物を人にあげる事に抵抗を持つ人もいると思うので、どちらにせよもっと詰めなきゃですけど…」

「お土産かぁ…お土産でも良いんだけど、お土産って『あ、食べたいな。食べよーっと』って感覚で買うものじゃないでしょ?そこがちょっと気になるっていうか……」

 

 ブラン饅頭はルウィーの人にも愛されてるし、物によるんだとは思うけど…それでもやっぱり、わたしの中にあるイメージと、お土産系とじゃマッチしない。

 だから、わたしは頭を捻る。さっきは意見を一杯貰う為にノープランって言ったけど、言い出しっぺが何も考えずに訊くだけじゃ、流石に格好が付かないもん。

 

「軽い感覚、ね…となると、携帯食料なんてのも……って、これはないわね…。話題性はあっても、名物が携帯食料なんて独特過ぎるし…」

「いやチーカマよ、案外悪くないかもしれないぞ。わたしが巡った限り、このプラネテューヌは非常に独創性の高い国であるからな!」

「ふふん、普通や無難じゃ満足しないのがプラネテューヌだからね!…あ、そうだ。ネプギアだったら、どんな名物にしたい?ここまでわたしが言ってきた事関係なしに、ネプギア自身のイメージとしてさ」

「わたしだったら?…わたしなら…片手で食べられたりすると良いなぁ。両手で持ったり片手を添えたりしなくても良いものなら、機械弄りのお供にも合うし……って、これもやっぱり名物に合うイメージじゃないよね、あはは…」

「んーん、そんな事ないよネプギア。食べ易いってのは魅力だと思うし、コーンアイスとかクッキーとかだって、そういうお手軽さが人気の秘訣だと思うし」

 

 良いアイディアじゃなくてごめんね…と言うように苦笑いするネプギアへ首を横にって、そんな事ないとわたしは返す。だって、アイディアは色んなところにあるものだからね。今のネプギアの話だって、やっぱりお手軽さ、気軽さが大事だよねって思わせてくれたし、まだ他にヒントが眠ってるかもしれないし。

 でも、そっかぁ…アイスとか、冷えてる系も名物になるよね。…ううん、違うよわたし。冷えてる系だけじゃなくて、多分もっと色んなものが名物になるんだよ。甘いものに塩っぱいもの、熱いものに冷たいもの、お菓子感覚のものもあればご飯になりそうなものだってあるだろうし、ネプギアの言う手軽さって意味じゃゼリーみたいにするっと飲めちゃうものだって……

 

「…………あっ」

『……?』

「…ね、皆…名物が飲み物、っていうのはどうかな…?食べるじゃなくて、飲む系の名物でも、いけると思う…?」

 

 その瞬間、ふっと浮かんだ一つのアイディア。でもこれまで考えてたのとは、大きく違うアイディアだったから、まずは皆に訊いてみる。飲み物、っていう名物は、有りかな…?って。

 わたしからの問い掛けを聞いた皆は、顔を見合わせる。その後は、一度考えるような顔をして…それから、頷いてくれる。

 

「飲み物…うん、良いと思う!だって別に、食べ物じゃなきゃ駄目なんてルールはないんだもん!」

「私も有りだと思います。トロピカルジュースとか、ラテアートとか、お店の売りになるような飲み物っていうのは存在している訳ですし」

 

 賛成をしてもらえた事で、わたしは内心ほっと一息。それに、言われてみれば確かに屋台とかコーヒーショップみたいに飲み物をメインとしているお店はある訳で、そういう意味じゃ飲み物だって十分名物になれる気がする。

 となれば次は、どんな飲み物にしていくかだけど…これについては案がある。飲み物って思い付いた時点で浮かんだ、わたしのとっておきのアイディアが。

 

「ふっ…わたしがこれを思い付いたのは、運命だったのかもしれないね!何せわたしには、切り札と言っても過言じゃない案があるんだからさっ!これは勝ったなガハハ!」

「おぉ、自信満々だなネプテューヌ!…して、その案とは?」

「それは勿論、プリンジュースだよっ!」

 

 ばっちり訊いてくれたミリアサちゃんに心の中で感謝しつつ、胸を張って言うわたし。

 そう、プリンジュースだよプリンジュース!わたしといえばプリン、プリンといえばわたしなんだから、ここでプリンを出さないなんて選択肢はないよねっ!

 

「プリンジュース…名前からして甘そうだね…」

「プリンのジュースだもん、甘くなくっちゃ詐欺だよ!…それに、何も無根拠で言ってる訳じゃないんだよ?ネプギアだって、ぴー子が飲んでたプリンシェイクは知ってるでしょ?」

「あー…そっか、プリンシェイクだったら実際あるもんね。…なら、プリンジュースも試してみる価値はある、のかも…?」

 

 あんまり乗り気じゃなかったネプギアに、わたしは自信の根拠を伝える。幾らわたしだって、食べて美味しいものなら、飲み物にしたって絶対美味しいだなんて思わない。例えばステーキのジュースなんて……うへぇ、想像するだけで食欲がなくなるよね…。

 って訳で、わたしはプリンシェイクの例を挙げた。似たコンセプトの飲み物が商品化されてるなら、可能性は十分にある筈。

 

「そのプリンジュースは、どんな感じにするにく?」

「そこは思い切って、100%の完全に液体化したプリンを!…ってしたいところだけど…なんかそれは逆に、『なら普通にプリンで良くない?』ってなりそうだし、蜂蜜とかちょっぴりのレモン果汁とか混ぜてみる…とかかな」

「あ、結構まともね。早速試してみるの?」

 

 試してみるかと言われたら、勿論イエス。だってプリンジュースは普通に飲んでみたいし!…と、いう事でここからは一度試作タイム。必要そうな食材を買ってきてから、プリンジュースを作ってみる。

 

「まずはメインのプリンだけど…これは思ってる倍!」

「なんで砂糖は思うとる倍!の感覚で入れたの!?早くもミキサーの中がプリンで埋め尽くされかけてるよ!?」

「大丈夫!だってプリンだもん!仮にこれが裏目に出たもしても、多少のミスは元々の美味しさがカバーしてくれるよ!」

「ね、ネプテューヌ様のプリンへ対する信頼凄いですね…。…あ、レモン果汁はほんとに量に気を付けて下さいね?メインの食材や味を引き立てるものは、目立ち過ぎも目立たな過ぎも駄目なんですから」

 

 ぎっしりプリンが入ったミキサーの中に蜂蜜も入れて、レモン果汁でアクセントを付けて、最後に牛乳を投入してからスイッチオン。ミキサーって便利だよねぇ…なんて思いながら少し待って、出来たところで中身を用意しておいたコップの中へ。それからパフェみたいにクッキーを一つ載せて…プリンジュース試作一号は、これにて完全!後はこれを、飲んでみるだけ!

 

「予想はしてたけど…どろっとしてるわね…。何か、スライヌ系モンスターを叩き潰した後のような……」

「こ、これから飲んでみるって時にそんな事言わないでよニトロプラスちゃん…。…でも、入れた物が全部黄色か白だったから、色合いは美味しそうかも」

「何であれ、美味かどうかは飲めば分かる事だ。という訳で、頂くぞネプテューヌよ!」

「うんうん、皆召し上がれっ!」

 

 自分の分も淹れたわたしだけど、まずは皆の反応が見たくて、飲むのはちょっと待ってみる。ただ食材をミキサーに入れて混ぜただけだけど…いざ飲んでもらうってなると、ちょっとだけドキドキするね…。

 

「それじゃあ、頂きます。…んっ……って、あれ…?…美味しい…」

「ほんと?…ってネプギア…その言い方、もしや美味しくなさそうだって思ってたのかなー?」

「ち、違うよ?甘過ぎちゃうんじゃないかな、と思ってただけだし、これはほんとに美味しいもん!」

「はは…けど実際、普通に美味しいわね。味のインパクトが強いから他のスイーツと一緒に…みたいな事は厳しいかもだけど、単品で飲む分には何の問題も……」

 

 初めに感想を言ってくれたのはネプギア。ちょっと気になる言い方だったけど、美味しいって言ってくれたのは嬉しいし、チーカマちゃんも良さげな反応。これはひょっとすると、一発目から採用レベルかもしれない…!

…と、思ってたんだけど…チーカマちゃんの発言は、途中で止まる。ミリアサちゃん達も、一口目の時点じゃ美味しそうにしてたけど、三口目辺りから急にペースが落ちて……

 

「ネプテューヌ…これ、美味しいには美味しいけど…正直クド過ぎて、一杯全部飲むのは辛いものがあるわ…」

「そ、そうなの?…うーん、そっかぁ……」

 

 表情の曇ったニトロプラスちゃんから理由を言われて、わたしも飲んでみる。一口目は普通に美味しくて、二口目も美味しくて…けど確かに、ジュースとしては色んな意味で濃厚過ぎるようにも感じた。どろっとしてるのもあって、飲み物なのにすっきり感は全然なかった。…わたしはクドいとは思わないけど…この様子じゃ、万人受けは厳しいかなぁ…。

 

「あれかなぁ…牛乳じゃなくて炭酸にして、そっちで爽快感出すとかにしたら変わるかなぁ…。これはプリンジュースっていうか、プリンを液状にしてそのまま飲んでる感じもちょっとあるし……」

「それか、コーヒープリンや抹茶プリン等で試してみるのも有りかもしれませんね…」

「…ねぇネプギア、なんであの二人は普通に飲み続けられているの…?あたし達とは、違う味覚を有しているのでも言うの…?」

「キュィ…プッ。キュイ-!」

「ど、どうなんでしょう…っていうか、アバどんも飲んでる……」

 

 ネプギア達からの評価は微妙だったけど、わたしとしては美味しいと思うし勿体ないから、ゴッドイーターちゃんやアバどんと一緒に作った分は完食…じゃなくて、完飲。まだプリンはたっぷりあるから炭酸バージョンにしてみたり、一応買っておいた抹茶プリンとかでも試してみたけど…やっぱり高評価までは至らない。

 

「むむぅ…プリンが美味しいのは絶対の真理だし、つるっと食べられるんだから飲み物への適性もあると思ってたけど、中々上手くいかないものだね…」

「あのさ、お姉ちゃん…。そもそもの話なんだけど、商品としてあるプリンシェイク自体、誰からも愛されるタイプの飲み物だっけ…?勿論好きな人はいると思うし、絶対どんな人も好きだと思う物なんてそうそうないとは思うけど…多分、『好きな人は好き』ってタイプなんじゃ…?」

「あ……」

 

 どうしよっかなぁって考えていた中での、言い辛そうな口振りでのネプギアの言葉。まさかと思って調べてみたら…確かにプリンシェイクは、ネプギアの言う「好きな人は好き」のタイプっぽかった。中には高評価の物もあるけど、それはそれでプリン『風味』というか、プリンそのものじゃなくてプリン『っぽい』商品みたいだから、そっちもやっぱりわたしの考えているのとは少し違う感じだった。

 

「ぐぬぬ…プリンじゃ、プリンじゃ駄目だって言うの…!?プリンの可能性を持ってしても、ここから先は無理なの…!?」

「プリンへの熱凄まじいわね…プリンは普通にプリンとして食べて美味しいんだから、それでいいじゃない…」

「ま、それはそうなんだけどねー。…仕方ない、プリンルートは一旦保留にするよ…でも大丈夫、プリンの良さは皆ちゃんと分かってるから…っ!」

 

 半眼のチーカマちゃんに「まぁねー」って頷いたわたしは、名残惜しさを感じながらもプリンを一度全部冷蔵庫の中へ。プリンで進めるのは難しそう、って事になっちゃったけど…ここまでの試作で得られた事は、きっと無駄にはならない…と、思う。

 でも問題は、次はどういう方向性で作ろうか…って事。取り敢えず、飲み物でもう少し模索しようって事にはなったけど、何をベースにするかを決めないと進められなくて……って、あれ?

 

「ミリアサちゃん、何飲んでるの?」

「いや何、折角だから何種類か飲み物を混ぜて、新たな味を創造してみようかと思ったのだ。そして生まれた暁には、未来でわたしが王となったブリテンの名物に……」

「なんで!?なんでこの場で未来の自分の国の利益を生み出そうとしてるの!?」

 

 まさかの行為にがびーん!…となるわたし。ひ、酷い…こっちの名物の開発が済んだ後、この場を借りてって事ならともかく、行き詰まってるところでやるだなんて…!

…って言いたいところだけど、別にお金払ってる訳じゃないもんね。善意で協力してもらってるだけなんだから、それを非難するのは違うってものだよ。…さらっとやられてたから、流石に驚きはしたけど…。

 

「あ、あはは…でも、それって楽しいですよね。大概色も味も変な感じになっちゃいますけど、実験してるみたいな面白さがあるっていうか…」

「闇鍋的な楽しさだよねぇ。…そうだ、試しに皆でやってみない?凄く良い!って感じのが生まれたら、アイディア料は払うからさ」

 

 物は試し、やってみなくちゃ分からない。そう思ってわたしは飲み物混ぜ混ぜチャレンジを提案。アイディア料云々だって結構本気で…って、うん?この場合、女神考案の名物にはならなくない…?アイディア買取なら公的には問題ないとしても、わたしの気持ち的に…。……くっ、ジレンマだよ…!皆で試しに作ってみた方が確率は上がるけど、いざ良いのが生まれたらどうしようっていうジレンマだよぉ!

 

「飲み物同士を混ぜ合わせて新たな味に…もしかして、バレット作りの発想が活きたりして…?」

「完成された物同士を混ぜ合わせる、その先にあるのは混沌…。けど、更にその先に何かがあるとしたら、それは紛う事なき未知…そう思えば、腕が鳴るというものね」

 

 はっ、と気付いたような顔をするゴッドイーターちゃんと、左手で顔の片側を覆いながら、謎のやる気を見せてくれるニトロプラスちゃん。わたしが「ジレンマがぁぁ…!」とか思ってる間に皆もう準備を始めていて…えぇい、こうなったらわたしも腹を括るよ!友達が思い付いたジュースがプラネテューヌの名物に…って思ったら、それはそれで嬉しいし!

 

(…っていうか、わたしはどうしようかな…普通に林檎ジュースと葡萄ジュースを混ぜてみる、とかじゃ面白くないし……はっ、だったらお汁粉とかコーンポタージュとか、一応飲み物としても売ってるけど『…飲み物?』って感じのを混ぜてみるとか!?お汁粉とコーンポタージュは、美味しくなる気がしないけど……!)

 

 食べ物で遊んじゃいけないとは言うけど、遊び心…というか、挑戦的な部分がなくちゃ、こういう混ぜる系は人気にならないような気がする。…けど、ほんとにスープみたいな飲み物をベースにするのはちょっと怖かったから、ベースの飲み物だけは無難に、でもそこからはアイディア重視で攻めていく。

 そうして作る事十分弱。わたし達がそれぞれに頭を捻って編み出した飲み物が、テーブルの上に集結する。

 

「じゃーん!わたしは葡萄ジュースをベースに、今ある果物系ジュースをありったけ投入した、セルフミックスジュースだよ!定番のジュースだけじゃなくて、何故あったカボスとかドラゴンフルーツとかのジュースも混ぜた、名付けて百果汁の王ジュース!…別に百種類じゃないけどね!あと、色合いがヤバくなってる感もあるけどね!」

「わたしはこれだ!虹をコンセプトに、七色それぞれのジュースを混ぜた輝かしき一杯!名前は…差し詰め、円卓の七席と言ったところだな。……実際は虹とは程遠い、何とも言えない暗めの色となってしまったが…まぁ、それは…うん……」

「私はさっきシェイクの話が出たから、バニラシェイクをベースに果物系とか甘いジュースを色々混ぜてみたよ。面白さも大切だけど、やっはり完成した時の味を想像して、そこから逆算した作りも大切になる…と、思ったんだけど…シェイクがシャーベット状なのを忘れてたせいで、全く混ざらなかった…うぅ……」

「甘いだけが飲み物じゃないわ。あたしが作ったのは、コーヒーに抹茶や紅茶等を混ぜた、大人向けの一杯よ。…これ?これは普通のミルクセーキよ。凄く甘い一杯よ。…用意してる理由?…まぁ、飲んでみれば分かるわ……」

「えと、わたしはこれです!牛乳の代わりに豆乳を使った、コーヒー豆乳!これはコーヒーと豆乳でどっちも豆を使ってるっていうのもミソで……って、あれ…?…もしかしてわたしの、無難過ぎた…?」

 

 どーんと並ぶ、色がとんでもない事になってる二杯と、なんか上下で層が出来ちゃってる一杯と、甘いのを別に用意しとかないとヤバいっぽいのと、後で調べたら割と普通にあった一杯。それぞれのコップを、作った一杯を見回したわたし達は、顔を見合わせ……思った。飲まなくても分かる、駄目だこりゃ…と。

 

「三人寄れば文殊の知恵って言うのに、八人…八人?…もいて、名物一つ生み出せないなんて…!…こうなったらもう、ブロッコリーとかプロテインとか謎の錠剤とか変な色のササミとかを一緒くたにして、女神化したわたしのフルパワーで振った超絶飲料を……」

「それだとパクリ名物になっちゃうと思うよ!?一般受けするかも怪しいし、わたし達は魔法少女じゃなくて女神だよ!?スリーアウトで大失敗の未来しか見えないからね!?」

 

 禁忌に走りかけたわたしはネプギアの全力突っ込みで止められて、がっくりしょんぼりと肩を落とす。うぅ、もし誰かが良い案を思い付いたら…なんて思ってたけど、まさかそもそも良い案どころか、改良の余地がありそうな飲み物すら生まれないなんて……。

 

「済まない、ネプテューヌよ…そなたの頼みだと言うのに、ここまで力になれないとは……」

「ううん、良いんだよミリアサちゃん…でも、このままやっても良い飲み物が生まれそうな気もしないし、どうしよう…飲み物って方向性が間違ってたのかな……」

「…いいえ、そんな事はない筈です。人の生活になくてはならないものであり、同時に奥の深い娯楽であり、地域や時代、文化や風習次第で幾らでも広がり続ける『飲食』の世界に、不可能なんてないんです…!」

「その通りにく。行き詰まった時こそ、美味しい物を食べて、飲んで、リラックスすると良いですにく〜」

「ゴッドイーターちゃん、生肉…うん、そうだよね…生肉が言うと何とも言えない感じになるけど、まだ弱気になるタイミングじゃないよね…!」

「……?生肉が言った内容、何か変だった?」

「…えっ?に、ニトロプラスさん…?」

 

 柄にもなく後ろ向きだったわたしを、ゴッドイーターちゃん達が元気付けてくれる。それを聞いて、そうだよね…とわたしもやる気を取り戻す。…真顔で訊き返してくるニトロプラスちゃんはすっとぼけてるだけなのか、本当にそう思ってるのか判断が出来ないけど…こ、これは深堀りしないでおこうかな、うん…。

 そして生肉のアドバイス通り、一回わたし達はおやつ休憩。プリン…は出そうとした瞬間ネプギア達が「ぷ、プリンはさっきので十分かな…」って言ってきたから止めて、代わりに買っておいたどら焼きを出してブレイクタイム。

 

「…これとか金平糖とかもだけど、お菓子って別に凝らなくても、シンプルな作りでも美味しい物は美味しいわよね。今話したら休憩の意味ないかもだけど、これもヒントになるんじゃない?」

「確かに、チーカマさんの言う事も一理あるかも…。…あ、わたし飲み物入れてきますね。どら焼きですし、お茶にしますか?」

「…いや、あたしは何か炭酸飲料を頼むわ。確かにお茶も合うけど、こういう甘くて味が濃いものは、結構炭酸も合うから」

「うん、炭酸って刺激の強い飲み物だけど、だからこそ一緒に食べる料理に負け辛い、意外と合うものの多い飲み物なんだよね。クリームソーダみたいなのもあるし、炭酸のおかげで甘い飲み物なのに甘い食べ物とも合う、っていうのが強みだって言えるかも」

 

 どら焼き片手に交わされるやり取りを聞いて、わたしも試しに炭酸を選ぶ。するとニトロプラスちゃんの言った通り、どら焼きと炭酸ジュースの組み合わせも結構美味しくて……って、そういえばプリンジュースの時の炭酸の案が出てきたし、逆に混ぜ混ぜチャレンジの時は誰も炭酸使ってなかったし…これはもしや、炭酸ジュースが活路のパターン?

 

(炭酸…コーヒー炭酸とか、抹茶炭酸とか、普通炭酸にしない飲み物と合わせてみるとか?…いやでも、これは探せばどっかで売ってそうだよね…スポーツドリンクと炭酸…は、さっぱりしそうな気もするけど、疲れたところに飲んでむせたら辛いし……)

 

 どら焼きの甘さで頭を回転させて、わたしは考える。調べてみたら、コーヒーとか抹茶どころか、「え、そんな食べ物と合わせた炭酸なんてあるの!?美味しいの!?」…って思うものも色々あって、普通の食べ物や飲み物とコラボさせるだけじゃ駄目な様子。

 って、いうか…そもそも炭酸自体、色々あるよね。ソーダにサイダー、コーラにジンジャーエール、他にも種類がある訳だし、色も透明なものから、混ぜる物次第で凄い色になったり、水色とか明るい緑とかの回復出来そうな色味になったり……

 

「…………」

「そういえば、名物…じゃないですけど、前にわたしは女神候補生の皆で、ある充電器の開発をしてみた事があったんです。魔法を使う事で充電出来るって物で、あれも皆で色々考えて開発を……」

「…そうだ、これだ…これだーーーーっ!」

「えぇぇっ!?な、何!?これってどれ!?」

 

 がたーん!…と椅子を鳴らしながら立ち上がるわたし。思い付いたのは、今度こそ…今度こそいけるって思える、そんなアイディア。

 

「皆、明日も集まってくれるかな!?わたし、思い付いたの!今からそれの準備と試作をしてみるから、皆は明日を楽しみにしてて!」

「お姉ちゃん!?あ、明日って…それはここじゃ出来ない事なの?」

「ただ飲むだけじゃ確かめ切れない事だからね!じゃ、ねぷねぷ行ってきます!」

 

 それだけ言って、わたしは部屋をダッシュで出ていく。最後に見えたのは皆のぽかーんとする顔で、後から思えば確かに説明不足感が凄かったけど…今のわたしは、とにかく試してみたくて仕方なかった。いけるって、今度こそって、そう思っていたから。アイディアはある、やる気もある、なら後は試すだよ…!今度こそわたしは、名物を生み出してみせるんだからねっ!

 

 

 

 

 翌日、言った通りに皆はまた集まってくれた。そんな皆の前に出たわたしは、まずまた集まってくれた事に感謝を伝えて…それから人数分の飲み物を置く。

 

「ネプテューヌ様、これがあの後作った飲み物…ですか?」

「見た目は綺麗ね。それに…炭酸?」

「そう、ゴッドイーターちゃんもニトロプラスちゃんも正解だよ。どんな炭酸なのかは…飲んでのお楽しみかな!」

 

 そう言って、ふふんとわたしは胸を張る。自信は大有り、だって自分で飲んでも「これは良い!」って思ったんだから。

 

「では、早速頂くとしよう。…んっ……少し炭酸は弱めだが、普通に美味しいな…」

「えぇ、けど飲んでみた感じ、ただの美味しい炭酸飲料ってだけにしか……」

「キュウ、キュウ…キュウウ!?」

 

 一先ず味は皆にとっても良い感じ。後はこの飲み物のミソ、一番の売りの部分だけど…初めに気付いたのはアバどんみたいで、続けて皆も気付き始める。これが、ただの飲み物じゃない事に。この飲み物の持つ、特別な効果に。

 

「こ、この感覚…もしかして、ヒール系のドリンクと混ぜてるの?」

「ふっふーん、ネプギア大成功!皆が今感じてる通り…これは回復アイテムとしての側面を持つ、謂わばヒール系炭酸なのさっ!」

 

 単なる美味しい炭酸飲料ってだけじゃなく、回復アイテムとしても使えるのがこれ。治癒魔法と同じで、回復アイテムもゲームに出てくるようなものとは少し違うんだけど…って、そんな事は今関係ないよね、うん。

 とにかくこの飲み物の性質を聞いて驚く皆を見て、わたしは確信を得る。これは、本当にいけるって。これは、十分名物になるって。

 

「もしかして、炭酸が弱めなのは、回復アイテムが必要な時にも飲み易いように…って事ですにく?」

「そのとーり!しかもこれ、ヒール側の分量を増やす事で実戦レベルの回復アイテムにも、逆に減らす事で子供でも気軽に買える、回復気分を味わえるジュースにもなる優れもの!」

「す、凄い…凄いよお姉ちゃん!やってる事自体はシンプルだけど、これは本当に売れそうな気がするもん!」

「でしょでしょー?でもこれは、皆がこうして協力してくれたから行き着いたもの…だから、言わせて。皆、協力してくれてありがとねっ!」

 

 回復アイテムは普通の飲み物より高いものだけど、これなら値段を抑えつつ飲んでもらう事だって出来る。見た目、味、値段、発想…全部全部、求めていたレベルに達している。

 そして、そんな飲み物を生み出せたのは、こうして皆で考えたから。協力してくれる皆がいたから。だからわたし感謝を伝えて…わたしのありがとうに、皆も笑ってくれた。それが、嬉しかった。生み出せたのも嬉しいけど…こんな笑顔を見れた事も、同じ位嬉しいなってわたしは思う。

 

「さーって、後はこれを商品化するだけだね!売るよ〜、新名物誕生まではもう秒読みの段階だよ〜?」

「ふふっ。…あ、因みにお姉ちゃん。この炭酸の名前はもう考えてあるの?やっぱり、ヒールソーダとかそんな感じ?」

 

 人気になってどんどん売れる未来を想像し、わくわくした気分になるわたし。そのわたしを見て微笑んでいたネプギアに名前を訊かれたわたしは、もう一度胸を張って…この新名物開発会議に相応しい締めとして、考案した名前を言うのだった。

 

「それは勿論……ねぷ矢サイダーだよっ!」

『まさかの名前だった!?』




今回のパロディ解説

・「新名物をわたし〜〜ここでッ!〜〜」
機動戦士ガンダムSEED destinyの主人公の一人、シン・アスカの名台詞の一つのパロディ。でも勿論、完成したネプテューヌは乾いた笑い声を上げてたりはしません。

・「〜〜わたしは最近久し振りに主人公してる〜〜」
原作シリーズの最新作、超次元ゲイム ネプテューヌ Sisters vs Sistersの事。最近…まあ、先月ならば最近と言えますよね。久し振りの「今ならでは」なネタです。

・某配管工さんの漫画
マリオシリーズの漫画の一つ、スーパーマリオくんの事。特別編として最新作の話が出たり、そうでなくともストーリー中のネタの一つとして触れられたりするアレです。

・「〜〜勝ったなガハハ!」
ガーリッシュナンバーの主人公、烏丸千歳の代名詞的な台詞の事。より正確に言えば、作中の他のキャラが言い、彼女が使うようになった台詞の事、ですね。

・「〜〜砂糖は思うとる倍!〜〜」
お笑いコンビ、千鳥の大悟こと山本大悟さんがテレビ千鳥におけるコーナーの一つ、DAIGO’Sキッチンにて発した台詞の一つ。ネプテューヌなら実際やりそうですよね。

・「〜〜ブロッコリーとか〜〜超絶飲料〜〜」
まちカドまぞくに登場するキャラの一人、千代田桃が作ったプロテインの事。ネプテューヌも変身(女神化)しますし、本気で振れば輝くプロテインを作れるかもです。

・ねぷ矢サイダー
炭酸飲料の一つ、三ツ矢サイダーのパロディ。ご存知の方も多いと思いますが、原作シリーズの一つ、VⅡ(R)の新名物イベントで出てきたパロディネタですよ。
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