超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第十二話 四つの国の支部長達

 イリゼさんが建国した国、神生オデッセフィア。お店とか企業とか、国として当たり前の施設は当然神生オデッセフィアにもあって、でもそうじゃない施設も幾つかある。

 その内の一つが、リーンボックスから移転したギルドの本部。あくまでギルドは民間の組織で、各国の支部ならともかく、本部に女神が用事…っていう事はあんまりないから、実はリーンボックス時代からわたしもよく知らない場所。そんなギルド本部に、今日わたしは来ていた。

 

「そろそろかな…」

 

 ギルド本部のラウンジで、Nギアを操作しながら待つわたし。ここに来たのは十数分前で、今は人を待っている最中。そして今日は、女神としてここに来た訳じゃない。

 

「あ、ネプギアー!お待たせ〜!」

 

 更に数分待ったところで、掛けられる声。元気なその声は、確認するまでもなくビーシャさんのもので…そっちに顔を向けると、そこにはやっぱりビーシャがいて、こっちに手を振っていた。

 同じくそこには、ケーシャさんにエスーシャさん、シーシャさんの姿もあって、四人の支部長…黄金の第三勢力(ゴールドサァド)が勢揃い。…まあ、ここはそのギルドの本部なんだから、勢揃いしても別におかしくはないんだけどね。

 

「皆さん、お疲れ様です。今日は会議…だったんですよね?」

「えぇ、役員会議ってやつよ。堅苦しいばっかりだし、やっぱりあたしは現場の方が合ってるわね…」

「そう言いつつも、毎回言うべき事はしっかり言ってますよね、シーシャさん。私はもう何度もやってるのに、相変わらずまだ緊張しちゃって、思ってる事があっても中々それを言えないです…」

「支部長の本分は支部の管理と運営なんだ、そちらを果たせているのなら、別段気にする事でもないだろう」

「うんうん、わたしなんて時々話が理解し切れなくて、後でシーシャに訊いたりする事もあるしね!」

 

 そこにいてくれればいい、とジェスチャーをした後、四人はわたしのいる場所へ。わたしが今日ここにいる理由を尋ねると、シーシャさんが答えてくれて、そこから四人がやり取りを交わす。その内容は、肩を落とすケーシャさんを、エスーシャさんとビーシャさんがフォローするって感じのもので…でも二人の発言に対し、シーシャさんは「いやいやいや…」と手を振っていた。…シーシャさん、大変そうだなぁ…。

 

「それでネプギア、わたしのバズーカのメンテナンスは出来た?」

「あ、はい。ビーシャさんのバズーカを触らせてくれて、ありがとうございました!」

「ううん、わたしもやってもらえれば楽だからね。…で、だけど…へ、変な改造とかはしてないよね…?」

 

 持ってきていたバズーカを取り出し、ビーシャさんに渡す。流石に他人の物を勝手に改造したりはしませんよ、と苦笑い気味に言葉を返す。

 今日ここに来た目的は、メンテナンスをさせてもらっていたビーシャさんのカスタムバズーカを返す事。といっても勿論、その為だけに神生オデッセフィアに来た訳じゃなくて、神生オデッセフィアには別の用事もあって訪れたんだけど…とにかくギルド本部に来たのは、これが目的。

 

「…さらっとメンテナンスしたって話してますけど…よく出来ましたね、ネプギアさん。火器は精密機械の一つで、かなりの知識が必要なのに……」

「ふふっ、ユニちゃんから影響を受けて、最近は火器にも結構興味があるんです。って言ってもやっぱり、メンテナンスした時は色々と苦労して……」

「あー、だよね…任せっきりにしちゃってごめ……」

「──すっごく、楽しい経験が出来ましたっ!」

『…そ、そう(なんだ・なんですね・か)……』

「……?あ、そうだ!ケーシャさんも色々と銃を持ってるんですよね?シーシャさんも、何かの砲?…があるって聞きました!もし良かったら、今度見せてくれませんか?」

 

 湧き上がる興奮と興味を抑え切れず、わたしは半ば身を乗り出しながらお二人へお願い。銃ならわざわざ頼まなくても色々な物が市販されてるし、触れる機会も作ろうと思えば幾らでも作れるけど、量産品と、それをベースに改造されたものや、一点物とは色々違う。だから…だから実力者であるお二人の使う火器も、すっごく気になるんだよね…!…そうだ、エスーシャさんも銃か何か持ってなかったかな…剣が武器だけど、メカニカルな部分があったりしないかな…!

 

「…あの姉にして、この妹あり、という事か……」

「ブランちゃんもだけど、こういう緩急の激しさはほんと凄いわよねぇ…」

「あっ…す、すみません…つい、心が踊っちゃって……」

 

 悟ったように呟くエスーシャさんと、苦笑しながら肩を竦めるシーシャさんの言葉で我に返ったわたしは、恥ずかしさを感じながら頭を下げる。別に謝る程じゃない、と皆さんは言ってくれたけど…やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。恥ずかしいというか、もう何度もこういう事をしてるのに、相変わらずな自分が情けない。

 

「うぅ…実力は付いてきても、精神はまだまだ未熟って事なのかな…」

「そ、そこまで気にしなくて良いと思うけど…ネプギアって、普段はねぷねぷよりしっかりしてるんだしさ」

「それに、精神に関しては一概にネプギアちゃんが間違ってるって訳でもないと思うわよ。ネプギアちゃんから見たブランちゃん達…守護女神の皆は、どんな感じかしら?」

「どんな感じ、ですか?…あー……」

 

 言われてお姉ちゃん達の事を考えるわたし。考えて、想像して……出てきたのは、何とも言えない声だった。自分の事だから見えないけど、多分表情も凄く何とも言えない感じのものになっていたと思う。理由は…い、言わないでおこうかな…うん、その方が良いよね…。

 

「…こ、こほん。ところで、今日はどんな会議をしてたんです?」

「えぇと、会議としては定例のものなんですが…今日の一番の議題は、神生オデッセフィアのギルドに関する事でした」

「神生オデッセフィアの…っていうのは、支部としてのギルドですか?」

 

 それからわたしは話を逸らそうと思ったのと、元々気になっていた気持ちとで、会議について尋ねてみる。するとケーシャさんが答えてくれて、その回答に訊き返すと、ビーシャさん達はこくりと頷く。

 言うまでもなく、今わたし達がいるのは神生オデッセフィアにあるギルド。でも『本部』っていうのは、支部を纏めて、全体に関わる事をしていくものであって、建物は同じにするとしても、部署としての『支部』は別に用意しておかなきゃいけない。

 

「ギルドの話っていうか、ここでの支部長はどうしよう、って話だったんだよね。言い換えるなら、七人目の勇者ならぬ、五人目の黄金の第三勢力(ゴールドサァド)ってところかな!」

「あ、そっか…支部を設置するなら、支部長だって必要ですもんね。…誰になるかは決まったんです?」

「それが悩みどころでね。これまで支部長の選出は、その時の現支部長が推薦したり、支部の中で話し合ったりして選ばれる事が多かったらしいんだけど……」

「神生オデッセフィアのギルドには、現支部長もいなければ積み重ねもない。つまり、各国ギルドと同じ考えで選出する訳にはいかないという事だ」

「後、ここでの初代支部長になるという事で、適当な人選は絶対出来ないって意見もありまして、だから中々『この人なら』っていう人が出てこなかったというか…」

 

 皆さんの回答や説明を、わたしは相槌と共に聞く。何となく、話のネタ位の感覚で訊いてみた訳だけど、実際にはかなり難しい事らしくて…ここは教会とは全然違うんだなぁ、と思った。

 教会は、トップ選びで困る事なんてまあまずない。だって、女神は基本的に望まれて生まれるものだし、教祖も世襲が殆どだから。話し合ったり、選んだりしてトップになる人が決まる訳じゃないから。

 

「まあ、そういう訳だから、ネプギアちゃんも良さそうな人がいたら教えて頂戴。ケーシャみたいに、女神の推薦が決め手になる場合もあるからね」

「えと、はい。…けど、それって良いんですか?ギルドの成り立ち的に、女神と協力関係を築くだけならまだしも、女神が人事に口出しするみたいな事は……」

「いーのいーの。少なくともわたし達は、ねぷねぷ達から推薦を受けても『ならこの人にしなきゃ…!』だなんて思わないもん」

「あくまで推薦、という形を取るのであれば、わたし達も参考程度に捉えるだけだ。その線引きを見誤る事は、ベール達もしないだろう」

 

 ビーシャさんはふわっとした言い方で、エスーシャさんは表情を動かさないままで、どっちもちょっと極端な感じの雰囲気だけど…確かにそれなら問題ないかもって、わたしは思った。だってビーシャさん達は、強制じゃないけど、立場的に考えて…なんて事をするような人達じゃないから。…でも、支部長候補かぁ…実力があって、信頼も置ける人ってだけなら、それこそパーティーの皆さんもそうだけど、支部長ってなったら神生オデッセフィアに住む必要があるだろうし、生活もガラッと変わっちゃうだろうし…そう考えると、難しいなぁ…。

 

「さてと、それじゃあそろそろ行くとするかい?」

「ああ、賛成だ。早く片付けるとしよう」

「……?まだ何かご用事があるんですか?」

「地域調査を兼ねたクエストがあるんです。普通なら、わざわざ支部長が出向く程のクエストじゃないんですが……」

「…あ、神生オデッセフィアはまだ色々と情報が少ないから…」

 

 ぽんっ、とわたしが手を叩くと、そうなんです、とケーシャさんが頷いてくれる。

 皆さんが引き受けたのは、神生オデッセフィアに来たついで、って面もあるらしいけど、環境にしても生息するモンスターにしても情報が他国より少ない神生オデッセフィアは、同じようなクエストでも当然難易度は高くなる。で、神生オデッセフィアのギルドはまだ支部長も決まっていない、不完全な状態だから、普通にクエストとして交付するんじゃなくて、自分達ギルド側で片付けようって話になったとの事。

 

「ネプギアがメンテナンスしてくれたバズーカ、ばっちり撃ってくるからね!…あ、それともネプギアも来る?」

「わたしも…?」

 

 これからクエストなら、もうわたしも帰った方が良いかな…と思っていたところでの、ビーシャさんからの問い掛け。…バズーカ、物が物だから試し撃ちは出来なかったし、考えてみれば皆さんの戦いを近くで見た事ってあんまりなかったし……うん。

 

「分かりました、わたしも行きます!」

「お、やる気だねネプギアちゃん。あたしとしても、人手が増えるなら大歓迎よ」

「じゃ、ネプギア宜しくね!」

 

 そうしてビーシャさん達のクエストに同行する事を決めたわたしは、共に外へ。移動しながらクエストの具体的な内容を聞いて、簡単にだけど五人での役割分担も道中で決める。

 考えてみれば、ビーシャさん達四人とのクエストなんて初めて。特別何かする訳じゃないけど、急な同行でも何でもクエストはクエストなんだから…よーし、頑張ろう!

 

 

 

 

 目的地となったのは、生活圏からそう離れていない丘陵地帯。あまり草や木の生えていない、岩山みたいな場所で、今はそこを進む最中。

 

「場所によって地盤がしっかりしている所と、そうでもない所があるな。緩いとまでは言わないにしろ、気を付ける必要はありそうだ」

「岩も所々にあるので、障害物として活用出来そうですね。…逆に言えば、奇襲をされ易い場所でもありますが……」

 

 歩きながら皆さんがしているのは、地形の確認。戦いを想定して物を見る事は、わたしもやったりするけど、皆さんの視点はより『調査』って感じの雰囲気がある。…でも、そうだよね。どこにどんな特徴や危険があるか把握してないと、ギルドはクエストの難易度を決められない訳だもん。

 

「…そういえば…ビーシャさんとシーシャさんは、支部長になる前から知り合いだったんですよね?」

「ん、そうよ。まあ普段あたしはルウィー、ビーシャはプラネテューヌで活動してたから、しょっちゅう会ってた訳じゃないけどね」

「あ、それ私も前から気になってたんですけど、違うギルドを拠点にしていたのに、どうして親しくなったんです?」

 

 注意を払っている皆さんだけど、別にピリピリしてる訳じゃない。実際雑談もちらほらと出ていて、そのやり取りにわたしも加わる。そういえば、と思って訊くと、こくこくと頷いたケーシャさんが質問を重ねる。

 

「うーんと…初めて会ったのは、わたしが観光のついでにルウィーのギルド行った時かなぁ。実力者の一人、って事でシーシャは前からギルドで有名だったんだよ?」

「有名って…それを言ったらビーシャの方がよっぽど有名だったじゃない」

「え、そうなの?」

((あー……))

 

 苦笑気味に言うシーシャさんの言葉に、ビーシャさん自身はきょとんとした顔…だけど、わたしとケーシャさんは何となく理解して、顔を見合わせ肩を竦める。…小柄なのにバズーカを使いこなす、謎の仮面を付けた女の子…うん、そりゃ有名にはなるよね…。

 

「シーシャと初めて会った時は、将来自分が支部長になるだなんて思ってなかったなぁ…」

「あたしもアズナ=ルブに話を持ちかけられるまで、想像もしてなかったわ。…けど、人生なんてそんなものじゃない?どこで何が起こるかなんて予想出来ないし、だからこそ面白いんだって思うわ」

「…どこで何が起こるかなんて、か……」

「あれ、珍しい反応するねエスーシャ。普段なら、こっちから訊いても『興味ないね』って返すところなのに」

 

 ビーシャさんとシーシャさんが懐かしむような顔をする中、エスーシャが呟きを漏らす。何だろうと思って振り向くと、エスーシャさんは遠くを見るような目をしていて…でもビーシャさんの言葉を受けると、すぐに普段の表情に戻ってしまった。

 どうしてさっきはあんな目をしていたのか。エスーシャさんにも嘗て、予想の出来ない大きな事があったのか。…気にならないって言ったら嘘になるけど、わたしもビーシャさん達も、誰も訊く事はしなかった。軽々しく訊いていい事ではないような気がしたし…それに、見えていたから。普段の表情に戻る直前、ほんのちょっぴりだけどエスーシャさんが笑っていたのが。それはきっと、前向きに思う心があるからこその笑みだって…そう、わたしは感じた。

 

「…こほん。これに関しては、ケーシャもじゃないかい?ノワール様と会った事で、自分の人生は大きく変わったっていつも……」

「はいっ!ノワール様との出会いは、私にとって新たな道が…いえ、新たな人生が拓けたと言っても過言じゃありませんから!あの時あそこでノワール様と出会う…あ、いや、その時私は意識がなかったんですけど、とにかくノワール様と出会うなんてこれっぽっちも想像してませんでしたし、助けてくれたのが女神様だなんて、こんなのもうロマンチック以外の何物でもないっていうか……」

「…シーシャ、何故この話をケーシャに振った」

「それは誰かさんが変にシリアスな雰囲気出すからでしょ…でも、確かに振る相手を間違えたわ…ごめん……」

 

 と、エスーシャさんのこれまで知らなかった一面が垣間見えた…と思ったのも束の間、鼻息荒く話すケーシャさんの語りで、なんだか凄い雰囲気に。…ひょっとして、機械について語ってる時のわたしも、傍から見るとこんな感じなのかな……。

 

「は、はは…っと、そろそろ目的地ですよね?」

「ノワール様がいるから今の私がある、つまり私の根底にはいつもノワール様がいるって事で…あ、そうですね。戦力的には十分とはいえ、油断は大敵……」

「わっ、切り替え凄っ…ほんとケーシャって、戦いの時とそれ以外とで全然違うよね……」

 

 そんなこんなで、わたし達は目的の場所に辿り付く。情報じゃ、この辺りでモンスターの群れが何度か発見されてるらしいけど…今のところ、群れどころかモンスター自体見ていない。

 

「複数の目撃情報があるにも関わらず、影も形もない、か…この状況、プラネテューヌの女神候補生としてはどう見る?」

「え?…そう、ですね…モンスターですし、もう別の場所に移動してしまったか、どこかに隠れ潜んでいるか…それか、擬態の様な方法で見えなくなっているか……」

「もう誰かが倒しちゃったって事はないかな?群れって言っても、イリゼとかセイツとかなら誰かに話を聞いてすぐに討伐した、って事もありそうでしょ?」

「まぁ、なくはないわね。ギルドと教会との連携もまだ調整中だから、どこまで情報共有出来てるか怪しいものだし。でも……」

「それも予想の域を出ない以上、楽観視は出来ません。ネプギアさんの言う通り、群れは私達をもう発見していて、潜みながら仕掛けようとしているという事もあり得ますから」

 

 一度足を止めて、わたし達は考える。ここまで手掛かりすらなしじゃ、闇雲に探し回っても徒労に終わるだけだろうし、そこで群れに襲われたら流石に危ない。

 例えば、もし目撃情報が一件や二件だったら、勘違いや見間違いの可能性も出てくる。でも実際にはもっと多いらしいし、ここまでの道のりで群れと見間違うような物や地形も見当たらなかった。って事は、やっぱり「いるのに見えていない」か、「もうどこかに行ってしまったか」の線が濃厚で……

 

「…っとと」

 

 一度見回してみよう。そう思って脚を動かした瞬間、その脚を地面に取られるわたし。転びはしなかったものの、大きく体勢が崩れたわたしは、さっきエスーシャさんが地面について言ってたんだった…と思いつつ、姿勢を直そうとして……止まる。

 

「…ネプギア?どうしたの、もしかして足痛めた…?」

「…音が、聞こえる……」

『音?』

「はい、音が聞こえるんです…!正直、気のせいかって思う位小さいですが、多分これは…そう、下から…!」

 

 言うが早いか、わたしは地面に膝を突いて、耳を当てる。さっき体勢が低くなった事で微かに聞こえた音を確かめる為に、耳へ、下へと意識を集中し……そして再び、その音を聞き取る。…やっぱりだ…下から何か音がしてる…!間違いない…!

 

「本当だ、何かの音が下から響いている…。…これは…何かが、移動してる……?」

「…どうやら答えは出たようだな」

 

 同じように皆さんも地面からの音を聞き、ケーシャさんが移動している音だと推測。それを受けたエスーシャさんは、立ち上がりながら確信を得た表情を浮かべ…わたし達も、それに頷く。

 どういう事なのかは分かった。なら後は、どうやって対処するかだけ。

 

「どうする?わたしが一発撃ち込もっか?」

「いや、それよりもっと安全で確実な方法があるわ。皆、少し離れて耳を塞ぐ準備をしておいてもらえるかしら?」

 

 バズーカを肩にかけるビーシャさんへと首を横に振り、シーシャさんは何かを取り出す。我に策有り、表情からそんな気配を感じ取ったわたし達は、分かったと言ってこの場から離れる。

 距離を取ったところで、シーシャさんがわたし達へ向けて見せたのは、指三本を立てた左手。約一秒後、立ってる指は二本になり、更にその後は一本に…って、これカウントダウン!?って事は後一秒!?わわっ、急いで耳を塞がないと……

 

『……──ッッ!』

 

……次の瞬間、響いたのは轟音。そこそこ開けた場所なのに、音が反響していると思ってしまう程の爆音が響き、わたしは度肝を抜かれてしまう。

 耳を塞ぐのは間に合った。でも、塞いだ手越しでも、物凄い音が聞こえている。ならもしも耳を塞いでいなかったら、心構えなくこれだけの大音量を聞いてしまったら…。

 

「これは…音に特化したスタングレネード…!?」

「うっわ、久し振りに使ったけどほんと無茶苦茶な大音量よね…!さぁ皆、これでダメージは与えられてると思うけど…多分次々出てくるわよ!」

 

 今ケーシャさんが言った通り、さっきシーシャさんが取り出したのはそういう道具。シーシャさん自身もこれには片目を瞑っていて……シーシャさんの言葉を合図にするかのように、下から地響きが聞こえてくる。それと共に、地面が揺れる。そして地面のあちこちが隆起すると共に、現れたのは多数のモンスター。

 

「地中を移動するモンスター…そりゃ見つからない訳だよね!」

「出てくる間は無防備な筈です!その間に、ちょっとでも数を減らして……」

 

 構え直すビーシャさんに、引き抜いたビームソードを出力するわたし。続けてわたしは駆け出そうとし…直後に銃撃が、わたしの横を駆け抜ける。

 それは二丁のサブマシンガンを構えたケーシャさんの射撃。普段の「普通の女の子」って感じから一変した、冷たい視線と雰囲気で甲殻類の様なモンスターへと次々弾丸を叩き込む。

 

「ネプギアちゃん、あたし達と一緒に前衛やってくれるかしら?」

「勿論です!はぁぁっ!」

 

 土竜叩きの様に、地面から這い出てくるモンスターを真上から殴り倒すシーシャさんに答えながら、わたしは地面を蹴って一閃。飛び掛かっての上段斬りで這い出す途中のモンスターを両断し、すぐに次のモンスターへ。

 

「流石に見た目通り外殻は硬いな。…だが、それならそうでない部位を狙うだけだ」

「ふっ…ならばわたしは、その外殻ごと吹き飛ばしてみせよう!」

 

 試すように数度剣を振ったエスーシャさんは、もう分かったとばかりに得物を突き出しモンスターを刺突。いつの間にか仮面を装備していたビーシャさんは近くにあった岩を踏み台に跳び、バズーカの弾頭で複数のモンスターを纏めて吹き飛ばす。

 何体かビームの刃で斬り伏せたところで、(多分)全ての個体が地中から出て臨戦態勢を整えるモンスターの群れ。それまでに倒せたのは、半分にも満たなくて…正直、思っていた以上に多い。普通の人は勿論、そこそこの実力がある人でも、一人や二人の時にこの群れに襲われていたら、かなり危なかったんじゃないかと思う。

 でもそれは、普通の人や、普通の人間の範疇に収まる強さの人だったらの話。

 

「Destroy them all…!」

「プレスト仮面、目標を消滅させる!」

 

 背後から飛来するのは、銃弾とロケット弾。ばら撒かれる銃弾はモンスターの動きを止めつつも着実に削り、炸裂するロケット弾は爆風でモンスターを容赦無く焼く。

 

「レッツパーリィ!」

「全てを断ち斬る…!」

 

 流れるように次々とモンスターに叩き付けられる、近接攻撃。殴打は反撃を許す事なく連撃でモンスターを圧倒し、剣撃は鋏による反撃を逸らして鋭いカウンター攻撃へと繋げる。

 そしてわたしも、それに続く。切断力に長けるビームである事を活かして、数よりも正確性に重きを置く。着実に貫き斬り裂く事で、モンスターの数を着実に減らす。

 

(…こうして見ると…やっぱり、黄金の第三勢力(ゴールドサァド)の皆さんって凄い……)

 

 女神とギルド支部長という関係だから、接する事自体はそこそこある皆さんだけど、戦場で一緒になる事は、共に戦う事は少ない。だから皆さんの戦い方を見る事も少なくて…改めて見たわたしは、その洗練された動きに感心した。

 共に前衛を行うエスーシャさんとシーシャさんの動きは対照的。エスーシャさんはイリゼさんやノワールさんの物に似た片手剣を振るって、細やかなステップで攻撃を躱しながら、間接や甲殻の脆い部分を狙い澄ませて斬り落とす。対してシーシャさんは殴打から無骨な大剣に切り替えて、重量を活かす事で甲殻の上から叩き斬る。敢えて重さに振り回される事で、大剣ながらも動きに滑らかさを生み出している。武器の性質の近さからか、エスーシャさんはノワールさん、シーシャさんはブランさんと動きが似ていて…でも、同じじゃない。相手の性質も考慮しての事だろうけど、エスーシャさんは素早くも単発攻撃が主体で、シーシャさんは刃渡りの長さを活用した攻撃が主体。

 後衛として遠隔攻撃を仕掛けるビーシャさんとケーシャさんも対照的。闇雲には撃たず、わたし達前衛の動きで複数のモンスターが一ヶ所に偏った瞬間、そのタイミングを狙って弾を撃ち込む。威力、範囲、連射性…長所短所を全て把握した攻撃がモンスターを襲う。一方ケーシャさんは弾幕形成によるわたし達前衛の援護と、戦いの中で足を止めた個体への集中砲火を瞬時に切り替え、アタッカーとサポーターの両方を担う。お二人に近いのは、魔法による範囲攻撃が出来るロムちゃんラムちゃんと、同じ銃火器使いのユニちゃんで…だけどやっぱり、近くても違う。連射が効かないからこそ、ビーシャさんは一発一発最大の効果が得られるように放ち、ケーシャさんはユニちゃん以上に動き回り、二丁持ち且つ取り回しが良い事を活かして立ち回っている。

 

「…そんなものか、ネプギア。候補生と言えど女神は女神、その真価はこんなものではないだろう?」

「あ、それあたしも同感よ。合わせてもらうばっかりじゃなくて、こっちも出来る限り合わせるから、もっとやり易いように…よっと!…戦ってくれて構わないわ!」

「あ…はは、お見通しなんですね…。……ならッ!」

 

 斬り上げで捌いたエスーシャさんと、横薙ぎで吹っ飛ばしたシーシャさん。お二人の動きを視界に捉えたわたしは狙っていたモンスターへの攻撃を中断し、違うモンスター…お二人の死角にいる個体の方へ向かう。そのモンスターとお二人の間に走り込む事で先んじて攻撃を潰し…でもそこで、お二人から言葉を、無理に援護しなくても良いと言われる。

…そう。お二人の言う通り、わたしは意識してお二人…というより、皆さんに合わせていた。同じ候補生やパーティーの皆さんと違って連携の経験なんて殆どなかったから、普段より沢山見回して、意識して連携するようにしていて…確かにその分、普段のようには動けていなかったのかもしれない。

 一人だけ連携出来てない状態だと、その人が邪魔になる事はあり得るから、わたしの選択が間違ってたとは思わない。でも、そう言われたら応えない訳にはいかなくて……意識を切り替えたわたしは、前に跳ぶ。今さっき妨害したモンスターへ、正面跳びのドロップキックを仕掛け、飛ばすと同時に反動を活かした後方宙返りで着地すると同時に再び地面を蹴る。そして吹っ飛ばした先、別の個体にぶつかったモンスターへと肉薄を仕掛け……全力の刺突で二体纏めて刺し貫く。

 

「ふふ、鮮やかな一撃じゃないか。これはわたし達も負けていられないな!」

「そうですね。このまま一気に掃討する…!」

 

 もう連携は止める…訳じゃないけど、自分の戦い方はしっかりとする。立ち回る中で後ろから声が聞こえて、わたしが掻き回すように走ればケーシャさんの弾幕がモンスター達の甲殻を叩き、それで動きが止まった一瞬を狙い定めてロケット弾が吹き飛ばす。爆炎には巻き込まれずとも、爆風で転倒した個体はケーシャさんの追撃が悉く仕留める。

 モンスターの数は多い。硬い外殻があるから、簡単に倒せる訳じゃない。でも…一方的に、その数は減っていく。数が減る程動き易くなり、反撃も減り…相手の数と反比例する形で、撃破速度はどんどん上がる。

 

「ここまで減れば、後は一掃するだけね…ッ!ビーシャ、合わせるわよ!三人は引き付けてくれる?」

「分かりました!」

 

 振るわれた鋏の一撃にビームソードを合わせる事で、逆に付け根から斬り落とす。その個体を踏んで跳び上がれば、ケーシャさんが体勢を崩したところを連射で仕留めてくれて、わたしはシーシャさんの声に首肯。シーシャさんは下がり、逆にケーシャさんが前に出て、落下したわたしは別の個体に乗りかかると同時に上からソードを突き刺して、陽動に動く。

 

「鉛の弾丸と光学の刃…それと共に踊るというのも悪くない…!」

「弾切れ?…ふ……ッ!」

 

 何となくアイエフさんやMAGES.さんを思わせる言葉を口にし、エスーシャさんはもう脆い部分は完全に把握しているとばかりに真正面から一刀両断。近くではフルオート射撃で立ち回っていたケーシャさんのサブマシンガン二丁がほぼ同時に弾切れを起こし…でも一瞬で判断したケーシャさんは、左の一丁を上に投げると、数瞬の間で右の一丁のマガジンを入れ替え、足払いをするような回転をしながら迫っていたモンスターへ即座に迎撃の射撃を浴びせる。落ちてきたもう一丁もすぐに再装填し、その場から飛び退いて…そこへエスーシャさんが斬り込む。ケーシャさんに気を取られている隙に、横薙ぎ、斬り上げ、振り下ろしと一連の流れで斬り飛ばし、続けて踏み込んだわたしも斬る。出来る限り近い距離で戦って、残るモンスターを一ヶ所に集めていく。そして……

 

「準備は整った!後はわたし達に任せよッ!」

 

 高らかに宣言するようなビーシャさんの声が聞こえた瞬間、わたし達は頷き合い…まずはわたしが、リミッターを切ったビームソードからビームの刃を飛ばして道を開く。一気にそこを駆け抜けて、引き付ける事により出来た包囲網を突破して、最後尾を担ったエスーシャさんが、手にした盾で追いかけようとした側の個体を押し留める。同時にスナイパーライフルに持ち替えたシーシャさんが、エスーシャさんの左右から抜けようとしたモンスターを撃ち抜いて、二人は素早く後ろに跳ぶ。

 見上げるわたし達の視界に映るのは、大跳躍したビーシャさんとシーシャさんの姿。二人はわたし達へ向けてにっと笑みを浮かべると、ビーシャさんはバズーカを、シーシャさんは右の前腕を覆う形で装備した砲を下方の残存モンスター達へと向け……同時に発射。バズーカからは砲弾が、シーシャさんの砲…バスターからは光芒が放たれ、着弾と同時に爆発。見るからに大出力なバスターは勿論、ビーシャさんが撃った弾頭も、ここまで使ってきたものとは別の物を装填したみたいで、巻き起こる爆発は桁違い。爆炎が残る全てのモンスターを飲み込んで、衝撃が周囲に砂煙を起こして、轟音も鳴り響き……爆発が収まった時、まだ動くモンスターの姿はどこにもなかった。

 

「ふぅ…皆さん、お疲れ様です!」

「うん、お疲れお疲れ〜。打ち合わせ無しでこうも器用に立ち回るなんて、流石は女神ね」

「そんな、わたしはわたしの出来る事をしただけですよ。それより…やっぱり皆さん凄いです!ビー…あ、プレスト仮面さんは取り回しに難がある筈のランチャーを使いこなして長所を最大限引き出してましたし、ケーシャさんは一切無駄のない立ち回りと狙いで殆どモンスターを寄せ付けてなかったですし、エスーシャさんはどの動きにも確かな技術と剣の芯で相手を捉える絶妙な間合いの取り方がありましたし、シーシャさんは状況に合わせて攻撃手段を変えつつも常に状況把握を行って円滑な連携に繋げてましたし、皆さんと一緒に戦えて凄く勉強になりました!」

「え、えぇ…!?…あ、ありがとうございます…でも、こんなに褒められるだなんて……」

「何気無く相手の心を掴む…これもまた、女神のなせる技という事か…」

 

 その場の流れで同行、協力する事になったクエストだけど、得られるものは沢山あった。前衛も後衛も状況に応じてやるわたしとしては、全員の動きがそれぞれ参考になったし、今日こうして、改めてしっかりと共闘出来た事で、次にまた何かがあった時は、もっとちゃんと連携出来るって気持ちもある。だからその感謝を込めて頭を下げると、頭を上げた時仮面を外していたビーシャさんはふふんと胸を張っていて、ケーシャさんとシーシャさんは照れ臭そうにしていて、エスーシャさんはいつも通り…と思ったけど、ビーシャさんが「もー、ネプギアがこう言ってくれたんだから、もっと素直に喜んでもいいんじゃない?それとも嬉しくないの?」と言うと、一瞬ふっと雰囲気が変わって、ぽつりと一言「いいえ」と言って…直後、雰囲気が戻ったエスーシャさんは、少し慌てた様子で何でもないと訂正していた。……?

 

「ま、何にせよこれでクエストはクリアな訳だ。こういうタイプは襲われるまで気付かず次々と被害者が…なんて事にもなり得るし、片付けられて良かったわ」

「周囲にまだ隠れている個体も…なさそうですね。ふふっ、ノワールさんへのお土産話が一つ増えちゃった。…あ、ネプギアさんとの共闘だったし、ユニさんの方が興味を持つかも…?」

「わたしもねぷねぷに話してみようかな?…ところでさ、誰か食べられる物持ってない?わたしちょっと、お腹空いちゃって…」

 

 他のモンスターの姿もなく、気配も感じないという事で、わたし達は肩の力を抜いて談笑。そこでビーシャさんの言葉を受けたわたしは、何かあったかな…と探してみるけど、生憎今は持ち合わせがない。

 

「すみません、わたしは何も…。皆さんは、何かあったりしますか?」

「あー、あたしもないわ。一応携帯食料はあるけど…これ、美味しくないわよ?」

「私は…あ、レーションがありました。でもこっちも、味はあんまり……」

「…薬草なら、あるな」

「そっかぁ…いや薬草って何!?それは効能があるだけのただの草だよね!?」

「他人に求めておいて文句を言うな。ビーシャこそ、何も持っていないのか?」

「いやほら、わたしはパクッと食べる側だから!」

 

 残念ながら良さそうなものはなかった(携帯食料やレーションはまだしも、薬草は流石に…)事で、後は軽く見回るだけに留めて、わたし達は街へと戻る事に。普通ならクエスト終了の後は、出来るだけ早く報告に出向いた方が良いんだけど…そこはやっぱり支部長さん。支部としてのギルドがまだ機能し切ってない事もあって、わざわざ報告に行く必要はないんだとか。

 

「ビーシャさん、街まで持ちそうですか?もう歩けないって事なら、わたしが女神化して連れて行っても……」

「い、いやいやそこまでじゃないって…。…そういえばネプギア、今回は女神の姿で戦わなかったんだね」

「あ、はい。相手によっては女神化しようとも思ってましたけど、その必要はないって感じましたし、やっぱり女神の姿だとこの姿よりシェアエナジーを消費しちゃうので…」

「その割にたった今、勿体ない女神化をしようとしてたわね…」

「あはははは…ビーシャさん、お姉ちゃんと似てるところあるので、ついお姉ちゃんと接する感じで言っちゃって……」

 

 言われてみれば確かにそうだよね、と思いつつわたしが頬を掻くと、皆さんは「えぇ……」というような顔に。…わたしのうっかりさ加減に呆れられちゃったのかな…なんかちょっと違うような気もするけど…。

 

「でもまあ、確かにちょっと似てる感じはあるわね。なら、ネプギアちゃんから見てあたしとブランちゃんは似てたり?」

「え?…う、うーん…頼りになるって感じは似てるとも言えますけど…どっちかって言うと、シーシャさんはベールさんに似てて、むしろエスーシャさんの方がブランさんに似てるような……」

「あぁ、お姉さん枠って意味じゃ確かにそうかもね。あたしとブランちゃんじゃ、スタイル面でも全然違うし。…で、貴女の方がブランちゃんに似てるらしいわよ?」

「興味ないね。……うん…?…待て、わたしが似てるというのは、彼女の二面性を踏まえての…いや、まさかな…」

「じゃ、じゃあ私はどうですか…?もうお三人は出てる以上、私が似てるのはノワールさんですよね?ノワールですよね…!?」

「えっ、えぇ…!?…そ、そう…ですね…髪の色とか、似てるところはある…と、思います…」

 

 何やら意味深長な呟きを漏らすエスーシャさん…が気になったのも束の間、わたしは妙な圧力というか、勢いのあるケーシャさんに迫られる。その雰囲気に気圧されてしまったわたしは、何とか似てる部分を上げたけど…強いて言うなら、ケーシャさんはわたしと似てるような気がする。そんな気がするだけで、他の人から見たら全然違うのかもしれないけど。

 

「ですよねですよね!髪の色といえば、そう簡単には変わらない部分。それが似てるっていう事は、強固な共通点があるって事と同義…ふふっ、ふふふふっ……♪」

「あ、え、えっと……そうだ!さっきビーシャさんとシーシャさんの事を少し話したんですけど、皆さんって普段からこうして一緒に食事に行ったり、遊んだりするんですか?」

 

 何やら満足はしてもらえたみたいだけど、それはそれで変なスイッチの入ってしまったケーシャさん。これ以上踏み込むのは不味いような気がしたわたしは、慌てて話を変え…わたしの尋ねに対し、皆さんは顔を見合わせる。

 

「…いや、ないな。有事なら共に行動する事もあるが、普段からよく付き合うような事はない」

「ま、住んでる国が違うものね。女神程自由に仕事出来る訳でもないから、同じ国の誰かとならともかく、しょっちゅう国を行き来して…っていうのは大変だし」

「趣味もあんまり合わないもんねー。今日みたいに本部で何かあった後、一緒に食事する事はこれまでも時々あったけどね」

「そう、なんですか…でも、そうですよね……」

 

 何となく、想像していたのはわたし達や、お姉ちゃん達みたいな関係性。だけどそうじゃないらしくて、ビーシャさんやシーシャさんは肩を竦める。

 でも、考えてみれば当然かもしれない。シーシャさんの言う通り、わたしが皆とよく会えるのは仕事に自由が効いて、飛ぶ事も出来る女神だからだし…それに何より、そもそも皆さんは『支部長』という立場が先に来る関係性。お姉ちゃん達みたいに凄く長い付き合いって訳でも、わたしみたいに仲良くなりたいって、女神である事関係なしに友達になりたいって気持ちがあった訳でもないだろうから、公私どちらでもよく付き合うって事がなくてもそれは普通なのかもしれない。

 

「……あー…けど別に、仕事上関わってるだけとか、そういうドライな関係性でもないわよ?確かに、仲良し…とは違うのかもしれないけど、あたしはこの四人で何かするのって、結構好きだもの」

「あ、それわたしも。皆ちょっと変なところあるけど、それが面白いんだもん」

「へ、変って…。…その…私はあんまり人付き合いが上手な方ではないので、出来る事ならこれからも支部長は皆さんが良いな、とは思ってたり……」

「…わたしも別に、嫌いという訳じゃないさ。自分から誘う気はないが、食事位なら理由もなく断る事はしない」

「…皆さん……」

 

 わたしは自分でも気付かない内に気落ちしていたのか、そしてそれが表情に出てしまっていたのか、皆さんはフォローするような言葉を口々に言う。けど…違う。意図としてはきっと、わたしを思っての事だけど…言っているのは本心だって、思い付きの言葉ではないんだって、わたしはそう感じられた。

 それに、皆さんの連携は間違いなく本物。仕事上の付き合い、ってだけじゃない、確かな信頼が存在するもの。だとすれば、気落ちする事なんかない。わたしが思うような、わたし達やお姉ちゃん達みたいな関係性とは違うのだとしても…良好な関係である事には、変わらないんだから。

 

(十人十色、って言葉があるけど…関係性だって、人それぞれだよね)

 

 どの店にしようか、何を食べようか…そんなやり取りを交わす皆さんを、わたしは一歩後ろから見る。

 考えてみれば、わたし達とお姉ちゃん達の関係性もまた違う。気持ち含めて全く同じ関係性のグループっていうのも、実はあんまりないのかもしれない。だからきっと大事なのは、相手を、お互いを思いやる事が出来るかどうか。そして皆さんは…黄金の第三勢力(ゴールドサァド)の皆さんは、間違いなく思いやりのある関係だって、わたしは思う。




今回のパロディ解説

・七人目の勇者
六花の勇者のアニメにおける、各話タイトルの一つの事。七人目の○○って、他にもありますよね。七、という数字が良いのかもしれません。

・「Destroy them all…!」
グラディウスシリーズにおけるボイスの一つのパロディ。ゴールドサァドの四人はメーカーキャラの側面もある分、パロディネタが豊富なんですよね。

・「プレスト仮面、目標を消滅させる!」
機動戦士ガンダム00に登場するキャラの一人、ティエリア・アーデの代名詞的な台詞の一つのパロディ。何せバズーカですもんね。こちらはビームではなく実体弾ですが。

・「レッツパーリィ!」
戦国BASARAシリーズに登場するキャラの一人、伊達政宗の台詞の一つのパロディ。シーシャとケーシャの台詞は原作(VⅡ(R))でも言っているパロディです。

・「全てを断ち斬る…!」
FFシリーズの主人公の一人、クラウドの台詞の一つのパロディ。元ネタに合わせたパロはそれが出来ると嬉しいですが、合うものを見つけるのは難しいものです。




 次回より、Originsシリーズ恒例(?)のコラボストーリーをまた行いたいと思います。お相手は、OEにてコラボさせて頂いた作品の一つ、『大人ピーシェ番外編 追憶のアサシン(ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)さん作)』ですが…そちらの作品はリメイクされ、元の作品がない事、コラボの内容自体もかなり特殊な事から、これまでとはかなり違う毛色の物語となっております。しかし熱量はこれまでのコラボと同様なので、宜しければ是非読んで下さい。
 また、このコラボは既に大部分が書き上がっている為、このコラボの期間中のみ、OEまでの週二投稿(木曜と日曜)を復活させようと思います。
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