超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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 前回投稿したコラボ最終話での後書きの通り、コラボのあとがきを活動報告に載せました。更にそれとは別の活動報告も一つ、書いております。もし宜しければ、そちらの二つも読んで下さい。


第十三話 今度はこっちのプラネテューヌを

 くろめやレイ、それに最後の負のシェアの暴走との戦いが終わった後も、暫くは忙しかった。犯罪組織との戦いの後もそうだったけど、後処理っていうか、『戦い』から『平和』に国の状態を戻していくのは、その戦いを終わらせるだけじゃ駄目だって事で…もー、ほんと忙しかったんだよねぇ。…まぁ、頑張ったんだけどさ。

 で、それが一段落した辺りで、イリゼが神生オデッセフィアの建国をした(勿論、建国っていうか国としての成立宣言って感じだよ?)んだけど…今回はそれよりちょっと前のお話だよっ!

 

「ねぷちゃーん、ねぷぎあちゃーん、お待たせ〜」

「お待たせ〜、じゃないよぷるると…なんで行くって分かってるのに、二度寝した上いつもの調子で朝ごはん食べるかなぁ……」

 

 開いた次元の扉から、こっちにやってくる二人の影。一人はのーんびりした声と雰囲気のぷるるんで、もう一人は既にちょっと疲れてる様子のぴー子。そしてそれを迎えるのは、わたし、ネプギア、それに扉を開いてくれたいーすん。

 

「二人共ようこそ信次元へ!ここは プラネテューヌの 村だよ」

「村じゃないよお姉ちゃん…なんでRPGの村の出入り口辺りにいそうな人みたいな事言ってるの……」

「えへへ〜」

「あはは〜」

「…ねぷぎあも相変わらず大変そうだね……」

「は、はは……」

 

 温めておいたボケをわたしがかますと、ネプギアが突っ込んでくれる。ぴー子からの呆れ発言に後頭部を掻いているぷるるんの真似をするようにわたしものんびり笑えば、ぴー子はネプギアに同情して、ネプギアも乾いた笑い声を漏らして…って、そんな事はいーの。今日二人に来てもらったのは、ここで雑談する為じゃないんだから。

 

「こほん。まあそれはともかく、今日は二人にばっちりプラネテューヌを案内するよ!ふふん、覚悟はいいかなー?」

「お〜!」

「覚悟って…お友達相手とはいえ、案内は案内。プラネテューヌの女神として、ちゃんとプラネテューヌの魅力を伝えて下さいね?( ̄^ ̄)」

「んもう、分かってるっていーすん。覚悟っていうのも、感動したり心奪われたりする覚悟をしておけ!的な意味だしね!」

「うわ、どんどんハードル上げてる…無駄に上げる辺りはねぷてぬらしいけど…」

「そこまでの案内が出来るかは分かりませんけど…前にわたし達がしてもらった時と同じ位楽しめるよう、頑張って案内しますねっ!」

 

 わたしが軽く胸を張れば、ネプギアもネプギアでやる気を見せる。

 今ネプギアが言った通り、前にわたし達は神次元のプラネテューヌの案内をしてもらった。今日の案内は、そのお返しっていう面もあって…けどそれ抜きにも、案内っていうのはその場所を知ってもらう、分かってもらう為の行動で、わたしもネプギアもプラネテューヌの女神。だったらやる気にならない筈がないよね。

 

「よーし、それじゃあレッツゴー…って、あれぇ?セイツちゃんと、イリゼちゃんはー?」

「あ、お二人ならさっき連絡が来たので、もう来ると思いますよ」

「新しい国の為に活動してるんだよね。…せーつ、ちゃんとやってる…?大丈夫…?」

「ご心配には及びませんよ。セイツさんは姉として、しっかりイリゼさんを助けてくれていますから(´・∀・`)」

 

 と、いう事で早速わたし達は出発。いーすんに見送られながら部屋を出て、エレベーターでエントランスまで降りて、ここで待つ?と皆に訊こうとしたところで、丁度良くイリゼ達も到着する。

 

「ごめん皆、もう少し早く出るつもりだったんだけど、急用が入っちゃって……」

「大丈夫だよー、ぷるるん達も今さっき来たところだし。けど、急用って…何か不味い事でもあったの?」

「ううん、そういう事じゃないから安心して」

 

 自分の国、新たな国を興す為に、イリゼは日々奮闘中。事が事だから、他国の女神なわたし達は手伝う事が出来なくて、わたしも皆も国の運営ならしてるけど、建国の経験はないから、そっち方面のアドバイスも出来なくて、イリゼはほんと大変だと思うけど、そんなイリゼの表情は暗くない。むしろ、凄く充実してるって感じで…そういう顔を見ると、ほっとするよね。

 

「じゃあ、何があったの〜?…あ、まさか黒くて素早い……」

「ちょっ、これから楽しみにしてた時間が始まるって時に、盛り下がる事言わないで頂戴…。そうじゃなくて、単にちょっとした発見があっただけよ。大陸の成り立ちが特殊なだけに、街や建物の中でも意外な発見があったりするの」

「凄い、せーつがまともに女神やってる…」

「わたしは普段からまともに女神やってるわよ!?」

 

 驚いた表情を見せるぴー子の発言で、セイツはショックを受けながら突っ込みを返す。するとぴー子はにやっと笑って…あ、これは弄ったねぴー子。セイツってイリゼとは性格違うけど、イリゼの姉なだけあって、やっぱり弄り甲斐があったりするのかな?いーすんもいーすんで、ボケにはしっかり反応してくれる訳だし。

 

「こほん、とにかく行きましょ。…信次元を案内してもらうのは、前にイリゼと約束したし、それも楽しみだったけど…あの時はいなかったイリゼやプルルートも一緒に、皆で街を回るのも楽しみだわ…!」

「あたしも〜。前は一緒に行けなかった分、楽しむよ〜」

 

 見るからに楽しみそうな、セイツとぷるるん。そんな事言われたら、案内する側としては緊張する?ノンノン、この程度でビビるわたしじゃないのさー!

 って訳で、わたし達は外に。そこから早速案内を…してもいいんだけど、ぷるるん達はもう何度かこっちに来てて、プラネタワーの周辺は何となく知ってるって事だから、ちょっと離れたところで案内スタート。

 

「左手に見えますは、わたし行きつけのお菓子屋さんの一つ〜。もっと近い所にも一件あるけど、ケーキの品揃えならこっちの方がいいんです〜」

「うーん、なんて雑なガイドさんの真似…因みにここ、確かにケーキの品揃えも良いけど、フルーツタルトもお勧めだよ?果物をふんだんに使ってるのは勿論だけど、しっとりめのタルト生地も果物の食感とよく合ってて……」

「…ねぷぎあ、もしかしていりぜって……」

「あ、はい。イリゼさんはスイーツ好き…というか、スイーツ作りが趣味なんです。だから、お菓子屋さんにも結構詳しいんですよ」

 

 ジェスチャーを加えてまでやったわたしのボケを易々と乗り越えていく、イリゼの語り。皆の注目は速攻でイリゼに移って…むむ、何だか負けた気分…。

 

「…あ、お菓子作りといえば…セイツさんも、料理をしたりするんですか?」

「わたし?まぁ、出来るかどうかで言えば、簡単なものなら出来るって位だけど…自分から作る事はあんまりないわね。だって、自分で作るより、誰かが作ってくれたものを、そこに込められた思いを感じながら食べる方が、ずっと美味しく食べられるもの」

「あはは、セイツさんらしい理由ですね。…でも、誰かが作ってくれたものの方が美味しく感じる、っていうのは分かります」

「うんうん〜。あたしも作ってもらうのが好きかも〜」

「いや、ぷるるとは作ってもらう方がっていうか、そもそも全く料理しないじゃん…」

「けど、プルルートって裁縫は得意だし、あの器用さを考えれば、案外料理も上手く出来るのかもしれないわよ?…一人でやらせるのは、ちょっと不安が残るけど……」

 

 のんびり歩いて案内とか説明とかをしながら、わたし達は雑談を交わす。折角だし、今のお菓子屋さんに寄ろうかな?とも思ったけど…まだご飯を食べてからそんなに経っていなかったから、取り敢えず止める。

 

「…そういえば…皆って、未来のわたし…じゃなかった、超次元のわたしの次元にも行った事あるんだよね?そっちのプラネテューヌも、うちみたいな感じなの?」

「えー?うーんとぉ…どうだったっけ〜?」

「えぇ…。…まぁ、似てると言えば似てる…かな。あっちにもプラネタワーがあったし、街の雰囲気も似てるし。…初めて行った時は、かなり荒れてたけど……」

『え……?』

 

 ふと思い出した事をわたしが訊けば、ぴー子が答えてくれた。…んだけど、最後の発言でわたしもネプギアも思わず足が止まる。何でも超次元のレイが力を振るった結果らしいけど…レイ、レイかぁ……。

 

「…あのさ、レイって今は……」

「…うん。今もまだ、眠ってる…一応もう峠は越したって事だけど……」

 

 少しだけ迷った後にわたしが訊けば、ぴー子が小さく頷いてから答えてくれる。でも得られた答えは、良かったねって返せるものじゃなくて…ぷるるんも浮かない顔。それに何より、セイツは酷く複雑そうな面持ちになっていて…気になったとはいえ、これは今訊く事じゃなかったかな…。

 

「えー、っと…あ、そうだ!神次元の時もゲーセン行ったし、今回も行ってみない?チーム信次元VSチーム神次元の対決、って感じでさ!」

「あ…い、いいね。私、プルルートやピーシェとゲームって確かした事ないし、私も賛成!」

「あー、そういえばそうだったかも〜」

 

 空気と話題を変えようと思って、わたしはゲーセンに寄る事を提案。すると早速イリゼが乗ってくれて、ぷるるんもうんうんと頷いて、他の皆も賛成してくれた事で目的地はゲーセンに決定。という訳で、わたし達は道すがら近くのお店や施設の説明をしながら、大きなゲームセンターへ向かう。

 

「ふふん、ここだよ!どうどう?大きいでしょ〜」

「うわ、確かにでっか…複合アミューズメント施設とかじゃなくて、ゲームセンターのみでこんなに大きいの?」

「ここはお姉ちゃんの提案が反映されている施設なんです。ゲームセンターはちょっと五月蝿い位賑わってる方が魅力的に映るし、施設が広ければ人気のゲーム以外にもレトロなゲームやマニアックなゲームも置けて、客層を選ばない集客が望める筈だ、って」

「ほぇ〜、ねぷちゃん凄い〜」

「そんな大した事ない発想な気もする…けど、利用する側の気持ちは理解してるし、それを行動に移してここまでの施設にしちゃう行動力は、何だかんだ凄いのかも…?」

「んもう、ピーシェったら…そんな回りくどい言い方しないで、素直に凄いって言えばいいじゃない。相変わらずネプテューヌに対しては素直じゃないわよね」

「べ、別にそういう事じゃないし。発想そのものは大した事じゃないのは事実だし」

「まあ、それは確かにね」

「そーそー、ぴー子はもっとわたしを褒めても…ってセイツ!?そこ同意するの!?そういう流れじゃなかったよね!?」

 

 ぴー子は照れ屋さんなんだから〜、みたいな感じに言おうとしたのに、セイツの同意が不意打ちの様にわたしの心へ突き刺さる。うぅ、ダメージが…完全に油断してたところへの言の葉だったから、諸にダメージが……。…くっ、この辛さはゲームで癒すしかない…!

 

「で、入店した訳だけど…何で勝負する?というか大概アーケードゲームって、二人か四人での対戦が基本だよね?」

「そういえばそうですね…神次元の時は、レースゲームと音ゲーをやったんですけど……」

「んー…えっとぉ、あたしはあれやりたい気分かも〜」

 

 めらめらとわたしがやる気を燃やす中、イリゼとネプギアが言葉を交わして、その後でぷるるんがあるゲームを指差す。

 それは、太鼓型のデバイスを使う音楽ゲーム(具体的な説明は不要だよねっ!)。同じ音ゲーでも、神次元でやったのは足を使う、ダンス要素もあるゲームだったから前とは全然違うし、その時はいなかったぷるるんがやりたいって事なら、これでいいんじゃないかなとわたしは思う。そして、皆も同じ意見だったから、勝負の内容はこれで決定。そこからどう対戦するかの話になって……わたし対ぴー子、ネプギア対セイツ、イリゼ対ぷるるんの三番勝負をする事に。

 

「ふっふっふ…某音撃戦士ばりの太鼓捌きを見せてあげよう!」

「なんかねぷてぬの場合、マジになり過ぎて叩き壊しそうなんだけど…」

「む、しつれーな。ソフトタッチねぷ子さんとはわたしの事だよ?」

「いやそんな異名聞いた事ないし、ソフトタッチって…さっきの発言も食い違ってる感が……」

「ピーシェ、ネプテューヌの発言を一々真面目に受け取ってたらキリがないわよ」

「そうそう、ボケはボケとして処理しないとね」

 

 突っ込み…というには弱めな指摘をぴー子が返してくれる中で、セイツとイリゼが台無しな事を言ってくる。いや、まぁ…いいんだよ?そういう扱いされるのも慣れっこだし。でも、セイツはともかくイリゼまで言う?イリゼはむしろそれが出来ないタイプっていうか、しっかり反応してくれるのが良いところじゃん?…ま、いいや。そんな事より…いざ、しょーぶ!

 

「どりゃりゃりゃりゃーっ!」

「……!いつもみたいに調子乗ってるだけだと思ってたけど…確かにこれは、凄い…!」

 

 流れてくる指示に合わせて、太鼓の真ん中や縁を叩くわたし。音ゲーは覚えゲー、なんて言われる事もあるし、その点で言うとわたしは指示を暗記する程やり込んでる訳じゃないけど…代わりにわたしには、女神の動体視力と反射神経がある。それをフル活用する事で、わたしはどんどんコンボを重ねていく。勿論ぴー子だって女神なんだし、同じ事が出来ると思うけど……

 

(勝負って、雰囲気も結構重要だからね…!)

 

 わたしがここまでふざけてたのは、そうしたかったから…なんだけど、同時に流れを作る為でもあった。ボケの連打でぴー子を辟易とさせて、勝負開始直後から全力を出す事で、わたしは雰囲気を完全に自分のものにした。ぴー子の心を圧倒した。そう、これはわたしが仕掛けた心理戦なのさ!

 

「ぴーしぇちゃん、頑張れ〜!」

「やるわねネプテューヌ…気にしちゃ駄目よピーシェ!確かに凄いといえば凄いけど、貴女だってやれる筈だもの!」

「う…わ、分かってる…!けど……!」

 

 揺さぶられた心は、そんな意識一つでリセット出来るものじゃない。ぴー子の反応を見つつ、内心でそんな事を呟いたわたしは、油断せずに太鼓のバチを振りまくる。だってこれは三番勝負。その内の一戦目を取れれば勝負としても精神的にも物凄く有利になるんだから、絶対負けられないんだよね…!

 

「わー、お姉ちゃん容赦ない…けど、これならお姉ちゃんが勝てそうですね」

「ネプギア、それはフラグになりかねないから…でもほんと、良い流れが来てる。この手を抜かない、いつも全力を惜しまない辺りが、ネプテューヌらしいよね」

「ですね。それがお姉ちゃんの良いところです!」

「うんうん、分かるわ。ネプテューヌの心は真っ直ぐで、純粋で、だからこそ力強い…見てて惚れ惚れ感情といえば、やっぱりネプテューヌってものよ…!」

「ねぷちゃんは可愛いけどぉ、そういうところが格好良いなってあたし思うな〜」

「ちょっとせーつ!?ぷるると!?ねぷてぬの内面にきゃっきゃしてないで、アドバイスか何かくれない…!?せーつ達はぴぃの仲間だよね…!?」

 

 思わぬタイミングで聞こえてくる、わたしへの大絶賛。皆から好評を受けちゃったとなればテンションが上がらない訳がなくて、更にわたしはぴー子を圧倒する。やってる事は変わらないんだけど、放つ空気感でぴー子を飲み込む。悪いねぴー子、ちょっと大人気ない気もするけど…遊びでも全力全開一択なのが、大好評なねぷねぷだからねっ!よぉし、このまま勝利まで一直線だよっ!

 

「ほぇ〜?んーと…もっと頑張るとか〜?」

「もうちょっと具体的なアドバイスが欲しいなぁ…!」

「結構必死なピーシェの感情もまた素敵ね…!……こほん。そうね…だったら目には目を、歯には歯をよ。ピーシェからも仕掛けて、ネプテューヌの心を乱すのよ!」

「ぴぃからもって、今のねぷてぬを止められるような事は……あ」

 

 遊びとはいえ勝負だからか、セイツはアドバイス自体はしたけど、それを直接わたしにやろうとはしない。そして既に曲は終盤で、わたしにはまだ最後まで走り切るだけの余力がある。こうなるとむしろ、アドバイスを受けたぴー子が何をしてくるかが楽しみなもので、何なら結構びっくりするようなものを放り込んできてほしい気持ちすらある。ま、所謂強者の余裕だよね!このまま普通に勝つんじゃ味気ないし、ハラハラするような展開に期待って感じ……

 

「すぅ…はぁ……。──最初の勝負からそんな手を使ってくるなんて、ちょっと大人気ないんじゃないですかぁー?」

『……!?』

 

──その瞬間、思わずわたしは手が止まってしまった。あまりの衝撃に、驚きなんて言葉を余裕で超えてくる戦慄に……ねっとりとした、絡み付くような…可愛さもある筈なのにどこか恐怖感を煽られるようなぴー子の声に。えっ、ちょっ…何今の声!?ぴー子こんな声出せたの!?そしてなんで敬語!?今完全に、七星剣(セプテントリオン)説のある変身能力者さんとか、レンタルじゃない元カノさんみたいな声になってたよね!?

 

「ぴ、ピーシェ!?今の声は一体……」

「ふぇぇ…今のぴーしぇちゃん、ちょっと女神の時のレイさんみたいな声になってたよぉ…?」

「だ、だよね!?なんかヤバげな感じあったよね!?」

「まさかピーシェさんがこんな声を出せるなんて…って、お姉ちゃん!手元手元!」

「あ…し、しまった……!」

 

 今の声にはセイツやぷるるんも…というか全員がぎょっとしていて、とても流す事なんて出来なかったわたしは、「だよね!?」と全力で同意を求める。

 けど、今はまだ勝負の最中。そして今のは、ぴー子の策略。それにまんまと嵌まってしまったわたしは慌てて意識をゲームに戻すんだけど、わたしが仰天して完全に止まってしまってる間に、ぴー子は一気に追い上げを……

 

「…う、うぅぅ……」

((あ…自分の発言でダメージ受けてる……))

 

……してなかった。バチを持った手で顔を覆って、見るからに恥ずかしそうにしていた。…おおぅ…。

 えー…そうして数十秒後。曲の最後の部分が画面上と音声で流れて、勝負が終わる。三番勝負の一本目は…わたしの勝利で決着する。

 

「いえーい!わたしの勝利ー!…なんだけど、何か微妙に盛り上がらない……」

「くっ…音ゲーじゃなくて、歌の勝負だったら……」

「お、歌の勝負するー?そっち方面でもわたし、負けるつもりはないよー?何せ声が声だからねっ!」

 

 策に嵌まったわたしも、策で自爆したぴー子も、あの後はいまいちスコアを伸ばせなかった。となれば、それまでにあったリードが覆るなんて事もなくて…なんか、ぬるーっと終わってしまった。勝ったのに、全然高揚感とか爽快感がなかった。

 

「え、えーっと…次はネプギアとセイツの勝負だね。曲は…違うのにする?それとも公平に、同じ曲にする?」

「んー…ま、違うのでいいんじゃない?対戦する組同士で曲が同じなら公平さは十分だし、違う曲の方が見てる方も楽しいでしょ?」

「ですね。セイツさん、負けませんよ?」

「ふふっ、それはこっちの台詞よ。コールド負けになんてさせないんだから」

 

 気を取り直すようなイリゼの言葉を受けて、わたしとぴー子はそれぞれ交代。意気込むネプギアと、一見余裕そうな…でも瞳には闘志をめらめらと燃やすセイツの勝負は楽しみで……ちょっと不憫に思ってわたしがぴー子を慰めようとしたら、拒否されちゃった。残念。

 

「いくわよネプギア。二刀流の技術はここでも活きるって事を教えてあげるわ…!」

「お姉ちゃんが作ってくれた流れ、そう簡単には断ち切らせません…!…さ、最後はちょっとアレな空気になっちゃいましたけど……!」

「ぐふっ……」

「あぁっ、流れ弾がぴー子に…!」

「ぴーしぇちゃんよしよし〜。セイツちゃんが勝ってくれたら、その後あたしが仇を取ってあげるからね〜」

「ぷるると……ぴぃ、死んでないから…」

 

 二刀流、って言うだけあって、鮮やかな勢いで叩いていくセイツと、セイツ程の勢いはないけど、しっかりベストタイミングで叩いてスコアを伸ばしていくネプギア。今のところ勝負は互角で……けどやっぱり、ちょっとセイツの方が有利かもしれない。何せ今のセイツは後がない状況だからこそ燃えてるし、逆にネプギアが言った通り、一本先取の流れは勝ち方が勝ち方だったからほぼない状態。それに、心理戦ってなったら…流石にセイツの方が一枚上手だとも思う。セイツが上手いっていうより、ネプギアは素直で優しい、誠実な子だし。…わたしの自慢の妹だしっ!

 

「中々やるわね、ネプギア。けど、わたしに最後まで喰らい付けるかしら?」

「セイツ、さっきからちょっと発言がライバル枠の敵幹部キャラっぽくなってない…?」

「くっ、確かに手強い…!…けど……」

「けど?」

「…やっぱり、こういうのって楽しいですよね。何かを気にしたり、不安に思ったりする事なく、こうやって楽しい事に全力を尽くせる。女神とか人とか関係なく、それを普通に出来る事って、実はとっても幸せで…それを皆さんと一緒に味わえるのが、わたしは凄く嬉しいです」

 

 軽快に、けれど激しく叩いていく二人。さっきも今も難しいモードでの勝負をしてるんだけど、その難易度に翻弄される事はない。実際イリゼの言った通り、セイツの口振りには余裕があって、対するネプギアはスコア的にはほぼ同じだけど、セイツ程の余裕はない。

 やっぱり有利なのはセイツの方。ミス一つでひっくり返る程度の差だけど、そのミスなんてそうそうしないのが女神ってもので…そんな中、ふっと緩んだ雰囲気になったネプギアは、コンボを重ねながらも楽しいと、皆でこうして『普通に』遊べるのが嬉しいと言う。…あー、もう…ほんとにネプギアは良い子だなぁ!これを何気無く、自然と言えちゃうとか、超絶良い子過ぎでしょネプギア!ぶっちゃけ本当にわたしの妹なのか怪しいレベルだよ!?こんなに良い子な姿を見せられちゃったら、セイツでなくても心を奪われ……って、あれ?

 

(もしかしてこれ、セイツにクリティカルヒットじゃ…?)

 

 セイツといえば、心の揺れ動きや強い意思を「輝き」と評して、それに心を踊らせる女神。そして今のはセイツじゃなくても心を掴まれる程だったんだから、セイツが反応しない筈がない。そう思って、セイツの方を見てみると……

 

「…あぁ…心が、浄化されるわ……」

「せ、せーつが凄まじく晴れやかな顔をしてる……」

「セイツ大丈夫!?なんで天…じゃなくて天井を仰ぎ見てるの!?」

 

……クリティカルとか、そういう次元じゃない状態になっていた。完全に手は止まっていて、放心状態で、なのに表情は澄み渡っていた。女神なのに、浄化されるとか言っていた。…あぁ、うん…さっき心理戦ならセイツの方が上手だって思ったけど…ネプギアとの相性で言えば、むしろネプギアの方が圧倒的に有利だったよ…。

 

「…えーっと…た、対戦ありがとうございました…?」

「まさか、こんな感じで負けるなんて…ごめんなさい、プルルート、ピーシェ。でも…今わたしは、清々しい気持ちよっ!」

「セイツちゃん……」

 

 完全にセイツが止まった事で、そのまままたもやぬるーっと決着。しかも今回の場合、ネプギア自身に仕掛けたつもりなんてないものだから、本当に釈然としない顔をしていて…一方のセイツは、最高のライバルと決戦を終えた後みたいな、曇り一つない顔をしていた。これには流石のぷるるんも困惑していた。

 

「何やってるの…と言いたいところだけど、ぴぃも他人の事言えない……」

「はは…じゃ、次は私とプルルート…なんだけど……ど、どうする…?」

 

 複雑そうな顔をぴー子がする中、それに苦笑いをしつつイリゼは第三戦目に…入ろうとして、わたし達へと意見を求めてくる。理由は勿論…わたし、ネプギアと二連勝してしまったから。

 

「あー…もう勝負は決まったから、やらない…じゃ、幾ら何でもあんまりですよね…」

「ふっふっふー…心配ご無用!わたしに名案があるよ!」

『名案?』

「もう二勝されてるから逆転出来ない?ノンノン、最終戦はなんと一億ポイントあげちゃいます!」

 

 どうしようという雰囲気を打開すべく、バラエティ番組における定番の展開を宣言するわたし。最後の勝負やクイズで大量得点っていうのはお約束的展開だけど、実際に出来る機会なんてほぼ無いし(まあ当たり前だけどね)、そういう意味じゃありがたい流れ。

 けど、わたしの発言に皆は呆れ気味。なんでネプテューヌがその権限があるの、とか一億って…みたいな反応で、あんまり好評じゃない感じ。…ある、一名を除いては。

 

「おぉー、ねぷちゃん頭良い〜!一億なんて、大盤振る舞いだ〜」

「でしょでしょー?やっぱぷるるんはわたしと通じるところがあるよねっ!」

「いやだから、得点増大はありがたいけど、一億は無駄に多過ぎる……あ、ピーシェピーシェ。通じるところといえば、小さい頃のピーシェとネプテューヌは年の差的なものを一切感じさせない仲の良さだったわね、ふふっ」

「そうやって事ある毎に思い出さなくていいから…!い…いりぜ、ぷるるとは一億ポイントでやる気みたいだけど、貴女はどう…!?」

「あ…う、うん。この三番勝負がポイント制だったのかは置いとくとして…やるよ。理由はどうあれ、消化試合じゃ味気ない思ってたし…ね」

 

 話を変えるように振ったぴー子の言葉に、イリゼはちょっと気圧されたような顔をした後、頷く。その後、顔を上げた時のイリゼの表情は、もうやる気…というか、勝負を楽しみにしている感じがあって…やっぱイリゼはそうだよね。落ち着いてるように見えて、実は結構熱いっていうか、勝負事には積極的なんだから。

 

「見ててね、ぴーしぇちゃん、セイツちゃん。二人の仇も無念も、全部あたしが背負うからね〜…!」

「だからぴぃ死んでないって!あ、後さっきのを無念って言うの止めて…!?抉ってくるのはほんとに止めて…!」

「ちょっとサドっ気が出てるわねプルルート…も、もしかしてわたしが実質試合放棄したのを怒ってたり…?」

「……?」

 

 バチを持って臨戦態勢なぷるるんの発言に、何やら翻弄されている二人。でも当人は何の意図もないっぽくて、二人の返しにきょとーん顔。一方イリゼはこっちを見た後、何も言わずに一つ頷いて…わたし達も、頷きを返す。

 

「プルルート。いざ、尋常に…」

「勝負〜!」

 

 そうして始まる第三戦にして最終戦。イリゼは普通に上手だし、ぷるるんものんびりした雰囲気ながら、しっかりコンボは重ねている。さっきのネプギアVSセイツ程の派手さはないけど、これはこれで良い勝負。…見たところ、ちょっとイリゼの方が優勢っぽいけど…ぷるるんの場合、何をしてくるか分からないっていうか、何をしてきてもおかしくない感あるよね…。

 

「そういえばイリゼさんって、女神ライブの新たな案として、バンドをやってみるのはどう?…って話になった時、ドラムに興味を持ってたよね」

「あー、そういえばそうだったね。…あ、因みにこのバンド云々は描写されてない出来事だから、『あれ?そんなシーンあったっけ?』と見返す必要はないよっ!」

「…ねぷてぬがプリクラに話し掛けてる……」

「メタ発言って、側から見るとほんとにそういう感じになるわよね…」

 

 心理戦を仕掛けたり、戦闘技術を活かしたりのない、普通の対決。言い換えれば、イリゼとぷるるんの勝負は一番このゲームらしい対決スタイルで…だけどやっぱり、これは女神と女神の勝負。当然、何事もなく終わる訳がなくて、そろそろ後半かな?…ってなった辺りで、それは始まった。

 

「えへへ〜…」

「プルルートも楽しそうね。のんびりするのが好きだから、こういう素早い反応を求められるゲームは好みじゃないかと思ったけど、杞憂に終わって良かったわ」

「んふふぅ…」

「…だね。全然タイミング合わせられなくてわたわたしちゃうかもって思ってたけど、やっぱりぷるるとも女神……」

「あははぁ……!」

『……あ、あれ…?』

 

 叩くぷるるんの後ろ姿に、なんだか保護者みたいな事を言うぴー子とセイツ。だけど、確かに普段のぷるるんの事を考えると、ほっとする気持ちも分からないでもない……なんて思ってたところで、わたし達は感じ始める。なんだかさっきから、ぷるるんの声音がおかしいと。

 

「なんかこれぇ、ただ叩くだけでも楽しいかもぉ…!」

((そういうゲームじゃない(わ・です)よ…!?))

 

 何やらどんどんどんどん荒っぽくなるぷるるんのバチ捌き。立ち位置的に顔は見えないけど、だからこそ余計に怖い。聞こえてくる軽快な曲と、コンボ数を教えてくれるマスコットキャラの可愛さの中で謎の圧を声に込めてくるもんだから、ギャップが本当に恐ろしい。え、これ大丈夫だよね!?普通に終わるよね!?ぷるるん最終的に、太鼓デバイスに頭突っ込んで叩き破ったりしないよね!?

 

「ふふふ、楽しそうだねプルルート。けど、楽しさは共有しても、勝利は私のもの……うぇぇっ!?えっ、ちょっ…何故そんな顔を!?」

((どんな顔を……!?))

 

 ゲームの方に熱中していたのか、イリゼが気付いたのはわたし達より少し後。横を見た瞬間、それまでの楽しそうな表情から驚きの表情に激変して…うぅ、気になる…!どんな顔してるのか気になるぅぅ…!

 

「それ、そぉれ、それそれそれぇ…ッ!」

「う…ま、負けるかぁぁぁぁっ!」

 

 一応コンボは続いてるけど、もう完全にぷるるんは間違った楽しみ方を邁進中。そんなぷるるんに一時は気圧されたイリゼだけど、気圧された事で逆に火が点いたみたいで、こっちも勢いが増していく。

 初めは控えめな対決かなー、なんて思ったけど、今となっては諸激戦。勢いのイリゼと圧力のぷるるん、二人の激闘は最後まで続き、そして……

 

「はふぅ…なんだか今、すっごく良い気分〜♪」

「…勝った…勝ったけど、全然勝った気がしないぃぃ……っ!」

 

 結果、終わってみれば一億二対ゼロっていう、完封ストレート勝利だった。なのにぴー子はともかくとして、満足度で言えばぷるるんとセイツの二人勝ち感が半端なかった。…なんだろうね、この試合に勝って勝負に負けた的な心境は……。

 

「おかしいな…普通、勝ったらもっといえーいって感じになるのに……」

「わたし達の場合、あんまり自分達で勝った気がしないもんね…ピーシェさんは自爆だし、セイツさんは心ここに在らずになっちゃったし、プルルートさんも打ち方そのものは雑になってたし……」

「あ、それだ…それだよ、うん……」

 

 ネプギアの分析に合点がいったわたしは、ローテンションでそれに頷く。…や、楽しかったよ?やって後悔したとか、そういう事は一切ないよ?ただ、ほんと…勝ったのに勝った気がしないっていうのは、何とも言えないというかなんというか……。

 

「…ま、いいや。あんまりこれを引き摺っても詰まんないし、気持ちを切り替えよう、わたし。良い女は、過ぎた事に固執したりしないのだっ!」

「自分の名前を冠した旅団を率いる義賊みたいな口振りになってるよー、ネプテューヌ…。…じゃあさ、気を取り直す…じゃないけど、プリクラなんてどう?」

「あの、さっきねぷてぬが話しかけてたプリクラ?」

「え、それはちょっと知らないけど…多分そのプリクラだよ」

 

 指差したイリゼに誘われ、「あ、いいね」ってなって、音ゲー対決を終えたわたし達はプリクラの中へ。…あ、プリクラの中って言っても、写真に入る的な意味じゃないよ?って、流石にそれは言及しなくても分かるよねぇ。

 

「ろ、六人でプリクラはちょっと狭かったですね…あ、このフレーム可愛いかも」

「わぁ、ほんとだ〜。…あ、ねぇねぇ。プリクラって、何の略なのぉ〜?」

「プリクラ…プリンクラッシュじゃないかしら?…なーんて」

「ぷ、プリンをクラッシュ…!?なんて惨い、非道な事を…!そんな事をする相手は誰であろうと許さないよ!プラネテューヌは戦争を仕掛けるのも辞さないからねっ!」

「何言ってんのねぷてぬ。それ言ったら、振って砕いて飲むプリンシェイクも駄目になるんだけど?」

「あ……やっぱ安易な戦争は良くないよね!それにプリンは食べ方を縛らない、寛容にして可能性溢れるスイーツだし!」

「変わり身早っ。…っと、皆撮るよ〜」

 

 フレームを選んだり文字を書いたりしながら、プリクラの筐体の中でわいわいがやがや。なんか全然違う話に脱線しちゃったものだけど、それはそれで面白くて、そうこうしている内に準備完了。イリゼの合図で皆笑って、ピースとかもして…パシャリ。そうして出てきたのは、確かにちょっと窮屈感はあるけど、美少女六人が集まったハイレベルプリクラ写真で…うん、これは永久保存版だね!そしてこのプリクラを、抽選で一名にプレゼント!…は、出来ないんだー。ごめんねっ。

 

「ふふっ、上手く撮れて良かった。プリクラって、普通の写真とはまた違った趣きっていうか、良さがあるよねっ」

「イリゼちゃんは、写真が好きなの〜?」

「あ…うん。形に残らなくても、大切に思えるものは沢山あるけど…それはそれとして、やっぱり繋がりを形に残せるのって嬉しいからね」

「わたしは嬉しそうにしてるイリゼとイリゼの感情を見られて嬉しいわ…!嬉しいっていうか、幸せっていうか…うん、やっぱり嬉しいわ…!」

「…変態にシスコンが加わると、こうなるんだね…」

「あ、相変わらず言い方が容赦ないですね、ピーシェさん……」

 

 撮った後も、わたし達はわいわいがやがや。今のところ音ゲーをそれぞれ一回とプリクラを撮っただけだけど、結構皆満足出来た感があったから、ゲーセンを出て案内を再開。色んなお店を紹介したり、大通りをのんびり散策したり、街の中にある観光スポットを教えたりして、プラネテューヌの生活圏内を回っていく。

 勿論お昼時にはレストランに寄って、皆で食事。折角だからお昼はプラネテューヌで今流行りのものを食べてもらって、そこでも楽しんでもらったわたし達。ぷるるん達に楽しんでもらえるのは勿論だけど、それ抜きでもやっぱりこうして出歩くのは面白い事が沢山あって……そうして色々回った末、わたし達はある河川敷で休憩していた。

 

「ふわふわで美味しいね〜」

「えぇ、そうね。それにちょっと可愛くない?」

「あ、分かります。ころころってしてて一口サイズなのが、ちょっと可愛いですよね」

 

 坂に座ったわたし達は、近くで買ったベビーカステラでおやつタイム。あ、そういえば知ってる?ベビーカステラと鈴カステラって、実は違う食べ物なんだよ?

 

「ね、皆。私が訊くのはちょっと違うかもだけど…信次元のプラネテューヌはどうだった?」

「楽しかったよぉ〜。面白いお店が沢山あったしぃ、ねぷちゃん達とも遊べたし〜」

「別にイリゼが訊いてもおかしくないと思うわ。神次元のプラネテューヌは勿論、超次元のプラネテューヌとの違いを探すのも面白かったし…けど一番は、プルルートの言った通り皆と一緒に遊べた事ねっ!朝から今に至るまでに、何度心が踊った事か…!」

「いや、それはプラネテューヌの魅力ではないでしょ…別に楽しかった事自体を否定したりはしないけど……」

 

 言葉通りの笑顔を浮かべるぷるるんとセイツを見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。それはネプギアも同じみたいで、わたし達はちっちゃな声で「やったね」と喜びを共有する。でも、皆が皆、にこにこって訳じゃなくて…ちょっとぴー子に近付いたわたしは、訊く。

 

「ね、ぴー子。ぴー子はあんまり楽しくなかった?」

「え?…そんな事はないけど…?」

「それなら良いんだけど…ぴー子ってさ、ちょっと冷めてるっていうか、一歩引いてるところない?勿論それが悪いって訳じゃないけど、別に遠慮とかしなくていいんだよ?」

「そう?ぴぃはそんなつもりないけど……」

「…けど?」

「…常日頃からぷるるとやせーつが近くにいる環境で、無邪気にはしゃげる性格になると思う…?」

「あ、あー……」

「しかも小さい時は、そこにねぷてぬまで加わってたんだよ…?」

「うわー……って、あれ!?今わたし、思わず自分自身に呆れてなかった!?」

 

 妙に達観した顔で言うぴー子の放つ、物凄い説得力。確かにそんな環境なら、小さい頃は無邪気だったとしても、どっかのタイミングで「これは自分がしっかりしないと…」って思わざるを得ない気がする。…流れで自分自身にまで呆れちゃったのは我ながらびっくりだけどね!しかもその時ぴー子がにやっとしてて、嵌められた…!って気付いた時はもう後の祭りだったけどね!

 

「ま、まあ何にせよ、楽しめてたなら良し!…それと…もうそういう性格だっていうなら仕方ないけど、羽目外したって大丈夫だと思うな。セイツは真面目にやろうと思えばやれる性格っぽいし、ぷるるんもやる時はやる…気がするし、そっちにもこんぱやあいちゃんはいるんだからね」

「そういうの、余計なお世話って言うんだよねぷてぬ」

「うぐっ…ネプギアも言ってた気がするけど、ぴー子ってば割と口振りが容赦ないんだから…」

「それも環境のせいだよ環境のせい。……心配しなくたって、ぷるるとやせーつ、それにねぷてぬやねぷぎあと一緒に遊べるなら、楽しくない訳ないんだから…」

「ぴー子……そこはイリゼも入れてあげてっ!入ってない理由は分かるし、むしろ入ってる方が変なのも理解してるけど、今この場では入れてあげないと可哀想過ぎるから入れてあげてっ!」

「何その変なお願い!?別にそんなの気にしなくたって…うわほんとだ、ちょっと悲しそうな顔してる!ご、ごめんいりぜ!後、聞こえてたの!?ぴぃそんな大きい声で言ったっけ!?」

 

 半分は本気だよっていう意味での冗談半分でわたしが言ったら、なんと本当にイリゼが軽くダメージを受けていて、ぴー子は慌てて謝罪。この場合、ほんとぴー子は悪くないんだけど…悲しいね、こういう状況が生んだ事故っていうのは……。

 

「ううん、いいの…何か悲しくなったけど、そういう事じゃないって分かってるから……」

「そ、そう言われると余計に申し訳ない…!…あ、そ、そうだ…まだ暫く先になると思うけど、神生オデッセフィアが国として軌道に乗ってきたら、その時は神生オデッセフィアにもお邪魔させてもらおうかな…!」

「あ、それあたしも行きたい〜。セイツちゃん、イリゼちゃん、良いかな〜?」

「へ…?…あ、も、勿論だよ。というか、軌道に乗る前だって遊びに来てくれて構わないよ。これからどんどん発展していく、その最初の段階を見てもらうのも悪くないからね」

「わたしもよ、プルルート。イリゼの…ううん、わたし達の国は、皆に見てもらいたいもの」

「わぁい。それじゃあねぷちゃん、ねぷぎあちゃん、また一緒に行こうね〜」

 

 勢い任せの流れで決まる、神生オデッセフィアへの来訪。でもそれに嫌な部分なんてないし、何なら遊びに行く気だって元から……って、

 

「ちょっとちょっとー!神生オデッセフィアの話も良いけど、今日はプラネテューヌを案内する日なんだよー?まだ今日は終わってないんだからね?」

「でもさお姉ちゃん、軽く回れる場所はもう終わっちゃってない?勿論行ってない場所はまだまだ沢山あるけど、それを言い出すととても一日じゃ回れないよ?」

「そういうご尤もな事は言わなくていーの!んもう、ネプギアもぴー子ももうちょっとノリ良くて良いのにー!」

「ねぷてぬっていう反面教師のせいじゃないかな。ねー、ねぷぎあ」

「あはは、そうかもしれないですね」

「そういうノリの良さは求めてないよっ!?」

 

 共謀する二人の言葉に、わたしは一人大ショック。しかも皆も面白そうに見ているだけで、完全にわたしは孤立無援。こんな時、こんな時……あ、駄目だ。こういう流れでわたしに味方してくれる友達や仲間が全然思い付かないや。だって皆、ノリが良いし…。

 とまぁ、そんなこんなしながらおやつタイムを終えて、その後はもうちょっとだけ街を案内。ネプギアの言う通り、今日案内出来たのはプラネテューヌの一部だけど…それでもうちの雰囲気は、信次元のプラネテューヌがどんな国なのかって事は理解してもらえたって思う。

 だから今度は、もっと純粋に遊ぶ為のお出掛けをしたいよね。同じ面子でも良いけど、次の時はもっと沢山の人を呼んで、ぱーっと…ねっ!




今回のパロディ解説

・太鼓型のデバイスを使う音楽ゲーム
太鼓の達人の事。これはパロディネタ…というのも少し違う気がしますね。ゲームの他にもスナック菓子辺りは、パロ関係なしに見覚えがあるものが創作には出てきますし。

七星剣(セプテントリオン)説のある変身能力者さん
SCARLET NEXUSに登場するキャラの一人、コダマ・メローネの事。なんかもうこれの時点でネタバレ感あるので、これ以上の事は書かないようにしましょう。

・レンタルじゃない元カノさん
彼女、お借りしますに登場するヒロインの一人、七海麻美の事。上記のキャラもですが、可愛らしい声なのにねっとり感と物々しい何かを感じさせるって凄いですね。

・太鼓デバイスに頭突っ込んで叩き破ったり
ティンパニとオーケストラの為の協奏曲における、最後のシーン(演奏方法)の事。これもパロディとは少し違いますが、説明しない訳にはいきませんよね。

・自分の名前を冠した旅団を率いる義賊
うたわれるもの 偽りの仮面及び二人の白皇に登場するキャラの一人、ノスリの事。ネプテューヌが良い女かどうかはともかく、ギャグ担当という点は同じですね。
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