超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第二十三話 パーティー大集合

 ホームパーティーというのをやってみたい。ある時私は、ふとそんな事を思った。単なる興味として、そういうのをやってみるのも面白そうだなぁ…と。

 ただでも、「ホームパーティーやりたくなったんだ、皆来て!」…と言える程の思い切りの良さは、私にはない。その思い切りの良さの良し悪しはともかく、そういう事は私は出来ない。

 なら、どうするか。それを少し考えたところで…ある事を、思い付いた。ホームパーティーとは別に、やりたいな…って思ってた事を。それを理由にすれば良いじゃないか、と。

 

「出来た、っと。ふぅ、思ったより手間取っちゃったけど、何とか間に合ったぁ…」

 

 作ったお菓子をテーブルに並べ、汗…はかいていないけど、袖で汗を拭うジェスチャーをして一息吐く。

 予定の時間にはまだ少し余裕があるとはいえ、いつ来るかは人それぞれ。時間ギリギリに来る人もいれば、結構早めに来る人もいる訳で、それを考えれば少し余裕がある、というのは微妙なライン。来てくれた時に「ごめんね、まだ準備中で…」となるのはホストとして恥ずかしいし、とにかく間に合って良かった。

 

「お待たせ、イリゼ。皆は…まだ来てないのね」

「あ、セイツ。うん、まだだよ。そろそろ誰か来るかもしれないけどね」

 

 ぐるりと見回し手落ちがない事を確認したところで、背後から私へと掛けられた声。それに、振り向きながらセイツの声に私は答えて…そこでまた、別の声が聞こえてくる。

 

「なら、あたし達が一番乗りみたいだね」

「ですね」

 

 セイツの後から現れたのは、二人。ファルコムと…ファルコム。第二期パーティー組のファルコムと、第一期パーティー組のファルコム。二人は一緒に来たみたいで…いつも思うけど、こうして一緒にいると、まるで二人は姉妹のよう。実際には姉妹じゃなくて、同一人物な訳だけど。

 

「いらっしゃい、二人共。…もしかして…」

「えぇ、教会の前で会ったのよ。それで、料理はこっちに置けば良いのかしら?」

「そうそうその辺りにお願いね」

「なら、あたしも置いておくね。…に、しても…イリゼさん、もしやお菓子は全部イリゼさんが?」

「あはは、流石にそれはないよ。確かに色々作ったけど、買ってきた物も多いし」

「って事は、イリゼが作ったのも一種類や二種類じゃないんだね」

 

 第一期のファルコムに笑いながら言葉を返せば、もう一人のファルコムからもお菓子について触れられる。やり取りをしつつ、三人は庭に並べてあるテーブル上へそれぞれ持ってきてくれた食べ物を置いてくれる。

 用意していたのは、ホームパーティーの準備。教会の敷地内の庭と、そこに面している一角を会場にして、テーブルと椅子を並べた。各々一品ずつ、何かしら持ってきてねと皆には伝えてあって、私はお菓子類を作ったり買ったりした。

 で、セイツは当然お客じゃないし、現在来ているのは二人。四人で始めるのもアレだし、もう少し集まるまでは雑談を、って事になって…少ししたところで、また会場に人がやってきた。

 

「お邪魔します、イリゼ様」

「まだ少し早いけど、もう始まっ…てはいないみたいね」

「ならば良かった。ヒーローは遅れてやってくるものだが、パーティーに遅れるのは普通に悲しいからな」

 

 初めに聞こえたのは挨拶の声で、そこに二人の言葉が続く。ゴッドイーターに、ニトロプラスに、ミリアサちゃん…次に来たのは第三期パーティーの三人で、第三期パーティーメンバーで揃って来たらしい。

 因みに、ミリアサちゃんの隣にはチーカマもいる。多分だけど、ゴッドイーターとニトロプラスも、アバどんと生肉を連れてきてるんじゃないかと思う。

 

「三人共、ようこそ。今日は楽しんでいって頂戴。…といっても、見ての通りまだ全員揃ってないし、予定の時間ももうちょっと先だから、わたし達はここまで雑談していたんだけどね」

「それもそれで良いんじゃないかしら。パーティーだって、要は食事しつつ色々会話をして過ごす訳でしょ?」

「それはそうだけど、そう言われると特別感が無くなるよニトロプラス……」

「うむ。ホームパーティーとはいえ、パーティーはパーティー。それに今回は愛らしい少女達…もとい、戦友達が集まるのだから、もう少し楽しみにしても良いと思うぞ」

「食事は…パーティーが始まってからですよね、当たり前ですよね……」

 

 今は私とセイツ含めて七人だから、人数的にはまぁパーティーを始めても良いと思う。けど、まだ予定の時間にはなってないし、先に始めちゃった場合、予定通りに来たのに開始に遅れた…って人が出てきてしまうかもしれない。それは良くないからって事で、私達は雑談を続け…段々と、人が集まってくる。

 

「わーっ、どれも美味しそう!ねぇねぇ、まだ食べちゃ駄目?摘み食いは何口までいい?」

「一口も駄目に決まってるにゅ。もうすぐ予定の時間なんだから、もう少し我慢しろにゅー」

「こうして集まるのは久し振りね。あぁでも、鉄拳とは少し前にも会ったわね。…確か、熊と一緒にいたような…」

「あ、うん。特訓に付き合ってもらってたんだー」

「熊と修行…?…って前のわたしなら思っただろうけど、喋る生肉とか、キュイキュイ鳴く謎の生物とかを知った今は割と受け入れられちゃうなぁ…」

「よく考えたら、どれもこれも凄く変わってるんだけど…慣れって、怖いね…」

 

 早く食べたいとばかりに目を輝かせるREDにブロッコリーが段々と突っ込み、最近会ったという話をケイブと鉄拳ちゃんが交わす。そのやり取りを聞いて、マベちゃんと5pb.が揃って苦笑し肩を竦める。

 わいわいと、あちらこちらで会話が交わされる。参加者は大方集まっていて、予定していた時間はもうすぐ。全然集まってないなら時間を過ぎても「もう少し待つ?」って言ってたところだけど、今はそうでもないし、時間になったら取り敢えず今いるメンバーで始めても良いかも。…そう思っていたところで、まだ来ていなかった最後の参加者が到着した。

 

「よっ、もう皆集まってるみたいだな」

「ギリギリ間に合ったみたいだね。恥をかかずに済んで良かったよ」

「はぁ、はぁ…ふ、二人共…息整うの、早くね……?」

 

 軽快に挨拶しながら歩いてくるうずめと、時間を確認するくろめ。そして明らかに息が上がった様子のウィード君。どうも三人は走ってきたみたいで…何というか、道中の三人のやり取りが想像出来る…間に合わないかも、と全力ダッシュするうずめに、呆れつつも普通に追い掛けるくろめに、女神との差でどんどん距離が開いていくウィード君、って感じになってたんだろうなぁとその光景が簡単に浮かぶ。

 

「あはは、お疲れ様ウィード君。取り敢えず何か飲む?」

「や、大丈夫…そうだイリゼ、これ…」

「っと、ありがとね」

 

 差し出されたウィード君からの一品を受け取り、うずめやくろめからも受け取って、テーブルに配置。それから私は一応ぐるりと見回して、今日の参加者が全員いる事を確認し…こほんと一つ咳払い。

 

「それじゃあ、全員集まったし始めさせてもらうね。えー、本日はお日柄も良く……」

「あ、そういう始まり方なんですね」

「ホームパーティーという割には、畏まった始まり方だな…それとも、これが神生オデッセフィア流という事か?」

「い、いや、神生オデッセフィア流とかじゃないんだけどね…でもほら、今日の為に予定を調整してくれた人もいるし、最初位はしっかりやった方が良いかな、って…」

「相変わらずいりっちは律儀だな。俺は勿論、皆も遊びに来た感覚かその延長だと思うし、緩く始めても良いと思うぜ?」

「オレは別に、しっかり始めてくれても構わないけどね。なんであれホストは君だ、やりたいようにすれば良いさ」

「二人共、助言ありがと…けど、もうこういう流れになった時点でどんな選択肢も取り辛かったり……」

 

 意外そうな顔をしたコネクトちゃんとMAGES.の声が聞こえ、更にうずめとくろめからそれぞれ方向性の違う事を言われて、早くも八方塞がりだよ…と私が軽く肩を落とすと、皆から笑いが零れる。いつもなら、ここで恥ずかしくなるのが私で…でも今回の、今の発言は、狙ってやったもの。笑ってもらえれば、と思って言ったもので、狙い通り笑ってくれたおかげで、私も少し気が楽になる。

 

「こほん、じゃあ改めて…今日は集まってくれて皆ありがとう。目的、って言う程の目的はないし、強いて言えばこういうパーティーをやってみたいな、って私が思っただけだから、今さっきうずめが言ったみたいに、遊びに来た感覚で楽しんでいってね」

「ほぅ、緩みを持たせつつも最初の挨拶はしっかりと行う、丁度良い塩梅を目指したか。その切り替えの速さは、流石女神──」

「流石はアタシの嫁候補だね!」

 

 言葉を途中で遮られたミリアサは不満そうにする…と思いきや、REDに対して深く首肯。趣味の合う二人は早くも楽しそうにしていて、その様子に私達は苦笑いをして…パーティー、開始。といってもプログラムがあるとかじゃないから、さっきまでしていた雑談を続けたり、並べた料理に手を出したりと、各々の気分で楽しみ始める。私も取り敢えず挨拶はちゃんと出来たから、それに満足をしてジュースを一口。

 

「ホームパーティー…って事だけど、規模的には結婚式とかそれなりに盛大な打ち上げと変わらない位だよね。女神様が主催なんだし、場所も教会なんだから、何も不思議じゃないけど…」

「人数としても、普通の一室で収まり切る訳ではないのだ。折角やるなら盛大に、という事なのだろう」

「この太巻き、もしかしてマベちゃんのですか?美味しそう…頂きますっ!」

「うん、わたしの特製太巻きだから、食べ応えもばっちり…って食べるの早っ!?太くて咥えるのが大変ってよく言われるわたしの太巻きを、難なく食べ進めるなんて……」

「ゴッドイーターって、かなりの大食いよね…。…う、確かにこれは美味しいけど咥え辛い……」

 

 私と同じように5pb.とMAGES.…親戚コンビがアイスティーを飲みつつ会話を交わし、マベちゃんに質問をしたゴッドイーターが、その回答を聞く前に特製太巻きを美味しそうに頬張る。ゴッドイーターがぱくぱく食べ進める一方、同じく手にしたニトロプラスは食べるのに苦労していて、普通はそうなるんだけどなぁ…とマベちゃんは苦笑い。見てたら私も食べたくなってきて、一つ貰って、口にした結果…やっぱりニトロプラスと同じような状況になった。見るからに大変そうだとは思ってたけど…まさか、少し恥ずかしいのを我慢して大口を開けても、それで漸くだなんて…うぅ、美味しいけどこれは顎が疲れちゃうよぉ…。

 

「お、フライドチキンか。やっぱパーティーって言ったら、こういう肉があってこそだよな」

「あってこそかどうかは分からないけど、肉は良いものだにゅ。ブロッコリーの持ってきた物だから、よく味わって食べるにゅー」

「何を持ってきたか、でも結構個性出るなぁ…そういえば、ミリアサさんは国王候補…なんでしたっけ?って事は、持ってきたのは何か高級そうなものだったり?」

「ふっ、聞いて驚けサイバーコネクトツーよ。わたしが持ってきたのは…チーカマだ!」

「ちょっと!?アーサーが持ってきたのは魚料理でしょ!?私の名前と絡めた変な冗談は止めてくれる!?」

 

 視線を移せば、うずめがブロッコリー持参のフライドチキンを食べ、ブロッコリーも一緒に食べる。ばばん、と効果音が鳴っていそうな言い方でミリアサは言い切り、違うからね!?…とチーカマが突っ込む。それに苦笑しながらコネクトちゃんはミリアサの持ってきた料理を食べて…後から聞いたけど、その魚料理は本当に割と高級なものなんだとか。コネクトちゃんの見立ては、当たっていたらしい。

 本当に、あちらこちらで色んな会話が聞こえてくる。何人か、ならともかく、有事でもない時にここまでの人数が一度に集まる事なんて滅多にない訳で…賑やかになった事、皆が和気藹々と話している事に、私はほっとした気持ちになる。

 

「…にしても、壮観だね。皆普通に話したり食べたりしてる訳だけど、ここにいる人は半分以上が別次元出身なんだから」

「わたしも長い間…眠っていた期間も含めれば神次元にいた時間の方が遥かに長いし、うずめやくろめ、ウィードも『現代の』信次元の女神や人間じゃないものね。…あれ?ファルコムって、二人共別次元から来た…訳じゃないんだっけ?」

「うん、『信次元のファルコム』はファルコムさんの方で、あたしは別次元出身だよ。因みにあたしや第一期パーティー組の皆は、神次元でも一緒に戦ってたんだけど、その時はセイツさんがいなかった…っていうか、名前も聞いた事なかったし、やっぱり違う神次元だったのかな…」

「同じ名前を冠する次元なのに、違う…というのも不思議なものだね。まあ、神次元は君の知る次元やせいっちのいた次元の他にもある訳だし、ふぁるっちの認識は間違いじゃないと思うよ」

 

 そんな事を考えていた私の耳に聞こえてきたのは、ここに集まった面子絡みの話。私はそのやり取りに参加していた訳じゃないけど…そっちを見て、ほんの少し頷く。

 私はホームパーティーを計画した。その理由の一つは、単純にやってみたいから、やったら楽しそうだからってものだったけど、それだけじゃなくて…私は皆に親睦を深めてほしいな、とも思っていた。その為の場を用意出来れば、と考えていて、ホームパーティーが丁度良いんじゃないかと思ったのもまた、理由の一つ。

 前の戦い、前の騒動では、これまでと状況が色々違っていたから、私やネプテューヌ達女神の皆はうずめ達とも、第三期パーティー組の皆とも交友を深める事が出来たけど、うずめ達やパーティーの皆はそうじゃない。友達の友達、仲間の仲間…直接の交流が薄ければどうしてもそういう関係性になっちゃう訳で、でも私としては、そういう関係に留まってしまうのは悲しい。お節介なのは重々承知だけど、そんな事しなくても全くの無関係じゃないんだから、交友を深めようと思っている人は自分から動くでしょう…っていうのもご尤もだとは思うけど、それでも一度交流出来る場を作りたいと思ったから、私は実施した。そしてその旨を伝えた上で、皆もこうして来てくれた訳だから、決して余計なお世話ではなかった…と、思いたい。

 

(でもやっぱり、私がそこまで気にする事でもなかったかな)

 

 やった事そのものは間違いじゃないと思うけど、今のところ皆、普通に話している。何かを切っ掛けに、これまで交流のなかった人同士が会話を…とかじゃなくて、ほんと普通に会話している。これは皆のコミュ力の成せる技か、話し易い雰囲気が出来ているからか、それとも私が知らないだけで、実はうずめ達や第三期パーティーの皆と第一期第二期パーティーの皆とは既に結構交流があったのか…何にせよ、よきかなよきかな…なんてね。

 

「けど、各国の女神が来られなかったのは残念ね。…どちらかというと、来られなかった彼女達の方が残念がってそうな気もするけど」

「えぇ、実際ネプテューヌやベール辺りはかなり残念がってたわよ、ケイブ。ここまでの人数が集まる事って、そうそうない訳だし」

「もしネプテューヌさん達も来ていたら、今よりもっともっと賑やかになってそうだよね〜」

「賑やかどころか、騒がしくて仕方ない環境になっていそうだにゅ」

 

 普段通りのほわっとした雰囲気で言った鉄拳ちゃんの発言に、これまた普段通りの遠慮ない物言いでブロッコリーが返して、私達は「確かに…」と苦笑い。パーティーなんだから多少騒がしくてもいいとは思うけど、もし女神の皆まで来てたら、終わった時に凄く楽しかったのと引き換えに、凄まじく疲れた…って状況になってたんじゃないかって気はしている。

 

「…ふぅ、やっと太巻き食べ終わった…一発目から食べ応えばっちりだった…さて、次は何食べようかな」

「イリゼ様、この塩焼きそば凄く美味しいですよっ!」

「いりっち、この餃子もかなり美味いぜ?」

「あはは、二人共よく食べるね。あ、因みにその餃子は、わたしの故郷、フコーカ名物をわたしなりに再現したものなんだ」

「名物…ふむ、確か5pb.は歌手だったな。であれば仕事柄、各地の名物や美味しいものに詳しかったりするのではないか?」

「え?…うー、ん…確かに各国を回ったりするけど、あんまりボクはそういうのに詳しくないっていうか……」

「そういう話なら、二人の方が詳しいんじゃない?だってほら、冒険家だし」

 

 各地を回るといえば冒険家、とマベちゃんが二人のファルコムの事を上げる。けれど結果から言うと、二人共そこまで詳しい訳じゃなかった。冒険の為に船に乗る度難破して旅先じゃ余裕がなくなるから、冒険の最中は美味しいもの巡りなんてほぼほぼやらないんだとか。…難波のジンクスは知ってたけど、ほんと壮絶過ぎる…どこぞの波紋使いさんとは逆に、使えるなら空路とか使った方が良いんじゃないかな…。

 と、内心苦笑いしていた私は、そこでふと気付く。皆各々楽しんでいる中で、一人皆を遠巻きに眺めている人がいる…と。

 

「ウィード君、パーティーって苦手?」

「うん?あぁいや、そういう訳じゃないよ」

 

 片手に飲み物を持って眺めていたウィード君は、まるでファン同士の集いに初めてきた人のよう。そんなウィード君が気になって声を掛けた私だけど、別に雰囲気が苦手とかじゃない様子。そこから私が、じゃあ何故、と視線で訊けば、ウィード君は少し目を逸らした後…言う。

 

「いや、ほら…男女比的に、ちょっと躊躇いが…な」

「あ、あー…」

 

 しまった、完全に失念していた。ウィード君の言葉で私は自分のミスを理解し、ごめんっ、と両手を合わせて謝る。すると今度はウィード君から「こっちこそ変な気使わせて悪い」と謝られ…お互い、苦笑い。

 それなら、躊躇っちゃうのも仕方ない。何せ今ここにいる十八人の内、男の子なのはウィード君一人なんだから。そして残念ながら、ここに彼以外の男性が来る予定もない。

 

「ま、まあでもほら、そんな気にする事でもないと思うよ?少なくとも皆は気にしないだろうし…」

「だとしても、これだけの人数でってなるとな…まぁ、思い返せば昔から周りには女子ばっかり…って状況は多かったが」

「昔、っていうと、うずめがプラネテューヌの守護女神だった頃かしら?」

 

 いつの間にか気付いていたのか、セイツも会話に入ってくる。昔に関してセイツが問えば、ウィード君は頷きで返す。

 

「昔の守護女神も、今とあんまり変わらなかったな…そりゃ性格とか趣味とかは違うが、あの頃のうずめ達も仲良かったし…騒がしかったな、滅茶苦茶」

「へぇ、って事はうずめ以外の女神とも知り合いだったのね。昔もそうで、今もそう。そして今は、逆紅一点…ふふふ、中々素敵な巡り合わせをしてるじゃない」

「す、素敵な巡り合わせって…」

「ちょ、セイツ…?」

 

 にやり、とからかうような表情と共にウィード君を指でつつくセイツ。まさかこんな返しをされるとは思ってなかった様子のウィード君は困惑し、私も困惑。そこからセイツは笑みを深め、更にウィード君をからかいにかかる。

 

「貴方だって男の子だもの、雰囲気的に入っていき辛いとは思いつつ、ちょっとこの状況を喜んでたりもするでしょ?」

「……ノーコメントで」

「の、ノーコメントなんだ…即否定はしないんだ…じゃなくて!セイツ、そういう反応に困る事言わないの!」

「反応に困るかどうかはウィード次第じゃない?それに、内心喜んでたとしてもわたしはそれを悪いだなんて思わないわよ?なんたって皆、綺麗だもの。皆もそうだし、勿論わたしやイリゼもねっ」

「きゃあっ!?も、もうっ!」

 

 横からいきなり抱き付かれ、思わず悲鳴を上げてしまう。こっちとしてはちょっぴり怒ってるんだけど、そんなのセイツはどこ吹く風。それどころか私の反応を楽しんでいるようで、見るからに機嫌が良さそう。そして、はっとしてウィード君の方を見れば、ウィード君は少し頬を赤くしていて…途端に湧いてくる恥ずかしさ。

 

「…なぁ、セイツ」

「何かしら?」

「貴方だって男の子だもの、って言うなら、そういうのは止めてくれ。…セイツの言う通り、一応俺も男だからな…」

「……っ!そう、それよ…見たかったのはその反応よっ、ウィードっ!」

 

 頬を掻き、そう言いながらウィード君は目を逸らす。私の声か、セイツが私に抱き付いた事か、それとも別の事なのかは分からない。けど、確かに今ウィード君は、男の子として動揺していて……次の瞬間、セイツのテンションは跳ね上がる。目を輝かせ、声にも喜色が満ちて、その嬉しさを示すように私を強く抱き締める。

 更にそこからセイツは私を離し、ウィード君の視線の先へ。その感情を逃しはしないわ、とばかりにぐいぐいと迫って、ウィード君は気圧され……

 

『何してやがるのかなぁ?せいっち』

『あ……』

 

──がしり、とセイツは掴まれた。左右から同時に、にこーっと笑った…明らかに怒りの滲んでいる笑みを浮かべたうずめとくろめに、背後から両肩を掴まれた。

 

「う、うずめ…くろめ…なんか二人共、お互いの口調が混ざり合ってるわよ…?」

「うん、今それはどうでもいい事だよね」

「誤魔化そうってなら、もうちょっとマシな言葉を選ぶんだな」

「いや、あの、そういう訳じゃなくて……」

 

 ゆっくりと左右を振り返り、二人の事を視認したセイツは、冷や汗を滲ませながら言う。その言葉は一蹴されて、完全に二人の雰囲気に飲まれる。

 そこで二人から、私へと向けられる視線。邪魔はするなよ?…という意図がばっちり込められたその視線に、私も若干気圧されながら頷いて返す。…ちょっと申し訳ない気持ちがないでもないけど…元から擁護する気はなかった。だって、セイツの自業自得だし…。

 

「…取り敢えず、一つだけいい…?」

 

 肩から手を離され、振り向いたセイツは、二人を見つめながら訊く。確実に動揺しながら…でもどこか真面目さも感じる面持ちで、眼差しを向ける。そしてそれを聞く姿勢を見せた二人に、セイツは……言った。

 

「二人の抱くその気持ち…乙女の恋と愛があるからこその思いは、とってもとっても…素敵だわっ!」

『素敵だわっ!…じゃねーしッ!』

「あぅッ!」

 

 謝るでも言い訳するでもなく、まさかのいつもの調子全開で「素敵だわっ!」と言い切るセイツ。予想外過ぎる…そして後から考えればそりゃそうだよね感あり過ぎる発言に私は呆気に取られ…言い切ったセイツはうずめとくろめに同時に思いっ切り引っ叩かれていた。フルパワーの突っ込みでしばかれていた。

 すぱーん!と振り抜かれたダブルアタックでセイツは沈む。しばいた二人はふんっ、と鼻を鳴らして…でも二人共、その顔は赤い。

 

「…え、っと…うちの姉が、ごめんね……」

「別に、いりっちのせいではないよ…全くせいっちは、おかしな事を言って……」

「あ、おかしな事扱いなんだ…」

「お、おかしな事だよおかしな事。少なくとも、こんな場で言う事じゃねーし…」

「それは、確かに…」

 

 まるで線対象の様に、お互い真逆の方向へ目を逸らしながら言う二人の…というかうずめの言葉に、私は納得。ただ、二人の言葉にも様子にも、「恋」や「愛」を否定する感じは一切なくて…そんな二人が、何だかちょっと可愛かった。言ったらセイツの二の舞になりそうだから、心の内に留めておくけど。

 で、私達がそんなやり取りをしている中、ウィード君はこっそりとこの場から離れようとしていて……捕まる。

 

「おいおい、まだ話は終わってねーぞ?」

「ウィード、オレはウィードを悪いとは言わないさ。けど、それはそれとして…色々話す必要があるよね?」

「お、おう……」

 

 二人に詰め寄られ、ウィード君はおずおずと首肯。さっきのセイツは完全に自業自得だけど、ウィード君はベストな反応をしていた…とは言えなくても、今度はくろめの言う通り、悪いと呼べるような反応をしていたとも思えない。だから、場合によってはフォローした方が、と私は思っていて……

 

「ほぅ、まさかこの場で色恋騒動を見る事になるとはな」

「三人は仲良いんだなぁとは思ってたけど、そういう事だったの?」

「そんな…二人共アタシの嫁になってくれるんじゃなかったの!?」

『え、えっ?』

 

……でも、どうやらその必要はないらしい。いつから、どの辺りから聞いていたのかは分からないけど、ここでのやり取りは皆が注目していて…あっという間に、うずめとくろめは皆に囲まれてしまった。

 ふっ、とMAGES.が笑い、マベちゃんが気になるなーとばかりに訊き、REDが二人を問い詰める。この展開に、うずめもくろめも目を白黒させる。

 

「そういえば、ネプテューヌさんが『時間と次元を超えた恋物語!』って言っていたような…」

「ぶ…ッ!?ね、ねぷっちそんな事言ってたのか!?」

「あ、ベール様も似たような事言ってた気がする…お三人のこれからが色んな意味で楽しみですわ〜、とかなんとか…」

「い、言っている姿が容易に想像出来る…と、取り敢えず君達が期待するような事は何も……」

「ないんですか?」

『……な、ない事はない…けど…』

 

 思い出すように言った第一期パーティー組ファルコムと5pb.の言葉…というか、ネプテューヌとベールを介して自分達関係性が伝わってるっぽい、或いは変な伝わり方をしてるっぽい事に対して、二人は動揺。そこからくろめは表情を整えつつ、追求を避けようとしていたけど…ゴッドイーターからのストレートな返しに、また頬を染めつつ目を逸らしてしまっていた。しかも今回は、ない事はないと…実質あると言っているような答えを、照れと恥ずかしさが混じったような反応と共に言ってしまっていた。

 さて、こんな状況でそんな反応をしたらどうなるか。女の子が集まっている場で、そんな可愛らしい反応を見せたら、どんな展開になるのか。そんなのは…言うまでもない。

 

「ふっ、こんな反応をされては訊くしかあるまい。訊く他あるまい!」

「わたしもちょっと気になってたり…具体的には、どういう関係性なの?」

「思い返せば、貴女達の事は皆の事以上に知らないわね。折角だし、色々訊いてみようかしら」

「こうなったらもう、話すまで終わらないにゅ。観念するにゅ〜」

 

 ぐっ、と拳を握ったミリアサの発言を皮切りに、鉄拳ちゃん、ニトロプラスと続く。たじろぐ二人にブロッコリーが駄目押しをし、興味に満ちた視線の集中砲火が二人を襲う。

 

「これはまた、予想外の盛り上がり方ね。こういうのもイリゼは想定してたの?」

「いやいやまさか…でも、これはこれでありかな。皆だって、節度なく根掘り葉掘り訊こうとまではしないと思うし」

「まあ、アルコールの入った場でもないしね。…にしても、二人が皆に囲まれているこの状況…変な親近感を抱くよ、はは…」

 

 でも、流石に全員が集まってる訳じゃなくて、ケイブと第二期パーティー組のファルコム…見た目も中身も大人な二人は、すっ…とその場からフェードアウトした私と共に、皆の事を遠巻きに眺める。

 次々と投げ掛けられる質問に対し、二人は誤魔化そうとしてる…んだろうけど、全然上手くいっていない。元々うずめは平然と嘘や誤魔化しを言うのが苦手だろうし、逆にくろめは得意なのかもしれないけど…質問された時点で顔を赤くするものだから、結局バレバレ。いやほんと、恋愛絡むと二人共可愛いぁ……あれ?そういえば、ウィード君は…?

 

「…あー…うん、不味いなこりゃ……」

「(え、な、泣きそうになってる…!?)うぃ、ウィード君…?どうかしたの…?」

 

 ぐるりと見回した私は、私達とは別の位置へ離れていたウィード君を発見し…何故か感極まってるっぽいウィード君に仰天。何事かと思って訊きに行けば、ウィード君は「すまん、大丈夫だ」と前置きをした上で、その理由を言ってくれる。

 

「…『うずめ』はさ、色々あってこういう、仲間や友達と何でもない雑談をする機会が減ってたんだよ。それ自体は、うずめ自身の責任もあったと思うが…それでもそんなうずめが、今は女神の皆だけじゃなく、女神じゃない仲間にも囲まれて、恋愛絡みの話で盛り上がっている…それが嬉しいんだよ。嬉しいし、ほっとするんだ」

「ウィード君……」

 

 そう語るウィード君の顔は、穏やかで、優しかった。私の、私達の知らない『守護女神だった頃のうずめ』を知っている、その時からの付き合いがあるウィード君だからこそ感じられるものが、そこにはあった。

 

「…因みに、そんなうずめとくろめが今、助けを求めるような目でこっちを見てるけど…いいの?」

「逆に訊くが、俺が何とか出来る状況だと思うか?」

「…ごめん、無理だよね…」

 

 確かにご尤もなウィード君の返しに、私は謝罪。けど、謝られたウィード君は、それはそれで何とも言えないって感じの表情。

 

「…皆は、一応は普通の人間なんだよな?」

「一応じゃなくて、ちゃんと普通の人間だよ?…あ、戦闘能力や経験が普通の域じゃないって意味なら、そうなんだけど…」

「…だよな。女神だけが強いんじゃない。人間の強さなんてたかが知れてる…なんて事はないんだよな、うん」

「……?」

 

 よく分からない事を言い出すウィード君。なんでそんな事を言い出したのか、どんな結論に至ったのか、どれもさっぱりだけど、ウィード君的には何か納得がいっているようで、さっきよりも表情は良い。そしてそんなウィード君に対して、セイツは「うん、良いわ。やっぱり前向きな感情は、応援したくなるもの」と、優しい笑みを浮かべていて……

 

「って、セイツいつの間に復活したの!?」

「一万年と二千年前かしら」

「そんな訳ないでしょ!?機械天翅の話はしてないよ!?」

「じゃあ、三十年前?」

「セイツは原初の精霊でもないよねぇ!?原初はむしろ私だよ!複製体だけど!」

「ところでイリゼ、『そもそもそれ等は復活とも違うよね?』っていう突っ込みは?」

「するタイミング測ってたの!そういう類いの突っ込みは何度かボケが重なった後じゃないとインパクトが出ないんだから!」

「…イリゼ、振ったのはわたしとはいえ、その発言はもう突っ込みじゃなくて突っ込みの体をしたボケよ……」

 

 いきなり復活してきたセイツに連続でボケられて、突っ込みを強いられた挙句、それはもう突っ込みじゃないとまで言われた。酷い…。……実際ボケみたいになってたのは否定出来ないけど…別に強いられた訳じゃないよね?…って言われたら、それも反論出来ないけど…。

 

「うぅ、酷い目に遭った…こんな、こんな質問責めにされるとは……」

「こんな方向からの辱めに遭うのなんて初めてだよ……」

 

 とまぁ、姉妹で変なやり取りをしていた少し後に、漸くうずめとくろめは解放された。いつも快活で活力に満ちているうずめも、余裕ある態度を崩さないくろめも、今はへろへろになっていて、如何に二人が恋愛絡みの話を苦手としているかがよく分かる姿だった。……自分が同じ立場なら、もっと上手く捌けたかと言うと…それは考えないでおこう、うん。

 

「二人共大変だったわね。疲労回復に甘いものでもどう?このシュークリーム、お店で買ったものだけどかなりお勧めよ?」

「こうなった元凶がよく言うよ…。…まあ、頂くけど……」

「全くだ……あ、でも美味いな」

 

 不満そうにしながらも、二人はセイツからシュークリームを受け取ってぱくり。続けてセイツからの紅茶も受け取り、椅子に座って小休憩。お菓子とお茶を渡したのは、セイツなりのお詫び…なのかもしれない。どっちもこの場にあるものを用意しただけだから、わざわざ…って程ではないけど。

 

「…にしても…意外と二人って、仲良いよね。いや、言い合ってる姿も見た事はあるけど、思ってた程しょっちゅうは衝突してないっていうか……」

「実際は結構衝突してるけどな。…けどまぁ、元々は一人の『うずめ』だった訳だし、相性自体は良い…んじゃないか?食事にしろ娯楽にしろ、好き嫌いは基本常に一致してるしさ」

 

 一見すれば正反対の二人。推測の域ではあるけど、正の部分が主体になったうずめと、負の部分が主体になったくろめ。そんな二人な訳だから、衝突は多いんだろうなぁと思ってたし、ウィード君曰くその通りっぽいけど…言われてみれば確かに、元を辿れば一つの存在だったんだから、相性が良いのは当然の話。元は一つだからこそ、同族嫌悪が起こる可能性もあるんだろうけど…今も普通に同じテーブルに付いている辺り、なんだかんだ大丈夫なのかもしれない。ウィード君の存在も踏まえてとはいえ、二人を揃って私の後任の特務監査官にした私達の判断も、これなら間違ってなかったんじゃないか…と、思う。

 

(こうしてみると、ちょっと双子っぽくもあるなぁ…)

 

 ロムちゃんラムちゃんみたいな仲良しではないけど、これはこれで双子のよう。というか、成り立ち的には、ロムちゃんラムちゃんよりも、私とオリゼの方が近いのかもしれない。

 そんな風に思いながら、また私も食べ始める。パーティーなんだから、皆と色んな話をするのも良いけど…皆がそれぞれ選んできたものを食べるのも、これまた楽しいものだからね。

 

 

 

 

 メインの料理を一通り食べ終えたところで、今度はデザート…スイーツの時間になった。基本は皆、お菓子系には全く手を付けていないか、食べても少しだけ…って感じだったから、主に私が作ったり買ったりしたものは大概残っていて、ホームパーティーはティータイムへと突入した。

 とはいえ、話す内容が変わったりとかは特にない。単にこれまでは主食やお肉なんかを食べていたところから、ケーキやフルーツ辺りに変わったってだけなんだから、変わる筈もない。

 

「ねーねーイリゼ、イリゼはどうしてお菓子作りをするようになったの?お菓子が好きだから?」

「それもあるとはいえばあるけど、一番の理由は…MAGES.とファルコムに誘われて出た、料理大会に出た事かなぁ」

「懐かしいな。勝つ気はあったが、あの時はまさか本当に優勝してしまうとは…」

「あれももう、結構前の話だよね。ほんと、あれからも色々あったなぁ」

 

 うんうん、と私とMAGES.は第一期パーティー組ファルコムの言葉に頷く。ほんと、あれから色々あったし…あそこで二人に誘われていなかったら、今の私はお菓子作りをしてなかった可能性があるし、お菓子作りをしていなければ、料理全体の腕も殆ど磨かれてなかったかもしれない。そして料理が出来なかったら、日々のちょっとした場面は勿論、別次元や特異な空間に飛ばされた時の出来事にも、多少なりとも影響を与えていた可能性が高い訳で…今の自分を、これまでの自分を語る上で欠かせない要素の一つが、あんな何気ない出来事から生まれたんだと思うと、少し不思議なようにも感じる。

 でも同時に、そんなものだよね、とも思う。例えばここにいる皆とだって、偶然出会った…偶々タイミングが合ったから出会えただけ、ってパターンも少なくない。もしかしたら別のタイミングで…それこそもっと早く出会っていた可能性もあるかもしれないけど、逆に出会えていない、出会えても仲良くはならなかったなんて事もあり得る。人生は偶然の連続、なんて言葉もあるし…重要なのは必然性や運命的な何かじゃなくて、どう出会うかじゃなくて、出会ってからの事だよね。

 

「へぇ、イリゼさんのお菓子作りはそれが切っ掛けだったんですね。もう結構長い付き合いなのに、全然知らなかったな…」

「わたしも今日初めて知ったよ〜。もしかして、他にも色々知らない事があるのかな?」

「人間そんなものよ。知っているつもりでも、全然知らない。むしろ、知らない事の方が多いんじゃないかしら」

「にとっちの言う通り、親しい相手であっても、案外知らないものだよ。知らないし、分かっているつもりでも、本当は全然分かっていなかった…なんて事も多い。人も、女神もね」

「くろめが言うと重みが違うわね…けど、それで良いじゃない。互いに相手の事を知り尽くしてたら、会話の機会は減るだろうし、全部相手の事を分かっていたら、相手と接する中で心が揺れる事も少なくなるわ。そんなの、あんまりにも寂しいじゃない」

「うん、そうだね。何かを知る事が、いつも喜びに繋がる訳じゃないけど…それでも新しい何かを知りたい、未知に触れたいって思いは活力に、原動力になるものだ。…なんて、冒険家の端くれとしてあたしは思うかな」

 

 親しい仲でも、長い付き合いでも、案外知らない事はある。それは自然な事で、知らない事ばかりで…でも、知らないから『知る』事が出来る。知りたいと思える。…何気ないやり取りから、そんな話が生まれた。これもまた、偶然の事で…ほんと、偶然は凄い。

 

「わたしもそれに同感だ。二人にあれこれ訊いた時は、それはもう楽しかったのだからな!」

「む、蒸し返すのは止めてくれよみりっち…てか、そういう話なら皆の事も、どうやって出会ったのかも教えてくれよ。一方的に訊くだけなんて、不公平だろ?」

「あ、私も聞いてみたいです。私は別次元から来たので、同じ別次元出身の人の話なんかは、特に」

「そういう事なら、私は貴女達三人に昔の話を聞いてみたいわね。昔の信次元やリーンボックスはどんな感じだったのか、それを当時の人に訊けるなんて普通はない事だし」

「俺はプラネテューヌに住んでたし、期待に応えられるような話が出来るかは怪しいが…って、それを言ったらうずめは全く答えられないんだよな…うん、代わりに頑張ろう」

 

 そうして話は各々訊きたい事、知りたい事を尋ねていく流れに移行。それは今回の狙いであった、皆に交流を深めてほしいというのにも合致するもので…いやほんと、偶然って凄いね…全く狙ってなかった角度から、狙いにばっちりな流れが生まれるなんて…。

 

「何かの会話でちょっと聞いたんだけど、ブロッコリーさんの次元ではブロッコリーさん位の身長が普通…なんだよね?」

「そうだにゅ。だからブロッコリーからすれば、5pb.や皆の方がやけに大きいって感じなんだにゅ」

「そういう次元ごとの違いを知るのも面白いよね。わたしは別次元の同業者の事を知りたいかな。…よく知られてる忍者がいたら、それはそれでどうかと思うけど…」

「あ、それなら別次元にいる忍者の友達とか、忍者じゃないけど忍者好き?…な友達の話とかしよっか?」

「食事の後にやる事として、ゲームも考えてたけど…まだ暫く、その必要はなさそうね」

 

 訊いて、訊かれて、話して、驚いて。目的抜きにも充実した、楽しい時間を私達は過ごす。やっぱり聞いた事全てがプラスって訳じゃなくて、「あ、これは訊かない方が良かったかも…」って話や、「は、反応に困る…」と苦笑してしまうような話もあったけど…それでも、知る事が出来るのは嬉しい。知る前より、ほんの少し仲が深まったように感じられるから。

 更に途中からは、屋内でゲーム大会も開催。流石に一度に全員でやる事は出来ないから、やっていない間は見て楽しみ、その中でも色んな話を皆と交わす。

 楽しい、ホームパーティーになった。大元を辿れば、これは思い付きで…その思い付きがこんな楽しい、実りある一日に繋がったんだから、何でもかんでもとは言わないけど、思い付いた事は、思い切ってやってみるのも良いものだ。そんな風に思う、私だった。




今回のパロディ解説

・どこぞの波紋使いさん
ジョジョの奇妙な冒険 戦闘潮流の主人公、ジョセフ・ジョースターの事。ファルコムは船のジンクス、ジョセフは飛行機のジンクス…なら飛行船的な物だと、どっちの場合でも大変な事になる…んですかね。

・「〜〜機械天翅〜〜」
アクエリオンシリーズに登場する人型ロボットの事。一万年と二千年前、といえばやはりこの作品を連想するかと思います。という訳で、直前の台詞も含めたパロディです。

・「〜〜原初の精霊〜〜」
デート・ア・ライブにおける重要な要素(単語)のパロディ。因みに原初の女神、と絡める関係でこの表現をしましたが、デートの作中では、始原の精霊と表現される事の方が多かった気もします。
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