超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第二十四話 二つの次元の女神として

 イリゼが建国した国、神生オデッセフィア。その国の女神に、わたしはなった。…と表現するのは、少しだけ間違っている。だってわたしは神生オデッセフィアが出来たからその女神になったんじゃなくて、イリゼと一緒に、神生オデッセフィアを建国したんだから。

 つまり、わたしは守護女神であるイリゼと、神生オデッセフィアの女神歴においては全くの同じ。立場的には守護女神であるイリゼの方が上だけど、わたしは姉であり、女神候補生でもない訳だから、単純な上下関係にある訳でもない…というより、姉だし女神候補生でもないものだから、立場で言うと実はややこしい関係性になっていたりする。

 ただ、いつからその国の女神をしてるかとか、どういう立場なのかは、そこまで重要じゃない。不要でもないけど、それよりも大事なものがある。

 

「皆、今日は集まってくれてありがと。わざわざ時間を取ってくれた事、感謝するわ」

「全くだよー。わたしも忙しい中、他でもないセイツの為に何とか時間を捻出したんだから、大いに感謝してもらいたいものだね!」

「えぇ。イストワールにも感謝と謝罪を伝えておくわ。忙しいネプテューヌをわたしの都合に付き合わせちゃって悪いわね、って」

「ちょっ、止めてよセイツ〜。じょーだんに決まってるじゃんじょーだんに」

 

 分かった上で敢えて言ったわたしの言葉に、ネプテューヌは若干焦りつつ、けど慌てるって程ではない様子で冗談だと返す。

 ここは、プラネタワー居住エリアにある、リビングルーム。わたしが入ってきたのはついさっきで、今ここにいるのはわたしとネプテューヌだけじゃない。

 

「それもそれでどうなのよ…まぁ、そうだろうとは思ったけど」

「ここで気になるのは、何に対しての『冗談』なのかですわね。忙しい事自体が冗談なのか、それとも遊ぶ事に忙しいのを、まるで仕事で忙しいかのように言った事なのか…」

「どっちでも良さそうなところを気にするのね…ふぅ」

 

 半眼でネプテューヌを見やるノワールに、掘り下げても意味のなさそうな事へ思考を巡らせるベールに、その発言へ軽く反応した後、読んでいた本を閉じるブラン。プラネテューヌに今、イリゼ以外の守護女神四人が揃っていて…今日は四人に、わたしから頼んで集まってもらった。

 

「ネプテューヌの事はともかく、集まったんだから早速本題に入りましょ。今回は、結構真面目に話をしたい…っていうか、訊きたいんでしょ?」

「そうね。じゃあ…こほん。わたしはここ最近で、各国を見て回ったわ。色んな人を、施設を、景色を見せてもらったし、楽しませてもらった」

「それなら良かったわ。まあ、短期的な訪問でどこまでルウィーの事を知ってもらえたかは分からないけど」

「むしろ、短期的な訪問で全てを知る事が出来る範囲などたかが知れているからこそ、こうしてわたくし達を呼んだのではなくて?」

「うん、そういう事。ほんとはちゃんと、もっと時間を掛けて知りたいし、これからとちょっとずつ理解を深めていこうとは思うけど…女神としては、それまで待っててね、とは言えないもの」

 

 正にその通りの推測をしたベールに頷き、わたしは皆に意図を、目的を伝える。

 わたしは神生オデッセフィアの女神の一人。建国から神生オデッセフィアに関わっている女神。それはイリゼと全く同じで…でもイリゼと違って、わたしは信次元の知識に薄い。神生オデッセフィアの事は分かっていても、他の国の事は…信次元の事は、まだまだ全然、知っていない。そして神生オデッセフィアは信次元に存在する国な以上、神生オデッセフィアが関わるのも、神生オデッセフィアに移住してくる人達も、皆信次元の存在なんだから…その国の女神が、信次元の事はよく分かりませんなんて通用しない。

 だから各国を回った。そこでまず、直接見て、感じて…次は、皆に訊く。各国の女神である…国の長であり、象徴であり、国民と国を愛する皆から訊く事で、理解を深めようと思っている。

 

「じゃあ、誰から話す?それか、セイツはどの国の事から知りたい?」

「どこから、って言われると困るわね…うーん、どうしようかしら…」

「困るならいっそ、四人同士に言ってみる?」

「なんで下着をあんまり履かない主義の人じゃないと出来ない事試そうとするのよ…」

「あ、そっちの方出すんですのね…パロディのパロディみたいになってますわよ…?」

 

 それは無理だから、出来ても無駄な難易度上昇だから…とわたしは拒否。因みにプラネテューヌに集まったのは、元々わたしが各国を訪問する予定で、そのつもりで話を進めていて、でもプラネテューヌに訪れる日付を決めたところで、「いや、むしろわたし達が集まった方が一回で済むんじゃないの?」とネプテューヌが言った結果。一回で済むならわたしとしても助かる反面、こっちからのお願いなのに三人に来てもらうっていうのは気が引ける面もあったんだけど…割と皆すんなり了承してくれた辺り、これを理由に皆で集まって雑談したりゲームしたりしたかったのかもしれないわね。

 

「誰からにする?って話で時間費やすのも無駄だし、誰でも良いならわたしから話すわ」

「えー、そういう事ならわたしが一番最初が良いなー。ほら、やっぱスタートといえばわたしでしょ?」

「でしょ?って言われても…。…まぁ構わないわ。わたしも別に、最初に話したかった訳ではないし」

「それじゃあ、最初はネプテューヌから…プラネテューヌからでいい?」

 

 見回すようにわたしが訊けば、ブランは勿論、ノワールやベールもわたしに頷く。最初はプラネテューヌの話からって事に決まる。

 自分の国の事、国を知ってもらう事だからか、「どんとこーい!」とか言ってるネプテューヌだけど、瞳からはほんのりと真面目さも感じる。そんなネプテューヌの方を向いて佇まいを正し…わたしはまず、語る。プラネテューヌの国民は、仕事にしろ趣味にしろ日課にしろ、それぞれ志し…って程ではないにしろ、意欲的に行っている人が多く感じた事を。そのおかげか、他国には無いような売り物や行事、活動なんかをよく見ると。それは凄いし、型に囚われないネプテューヌと、機械方面では色々作ったり改造したりしてる…創り出す活動を積極的にしてるネプギアが女神だからこその部分も、あるんじゃないかと。だけど一方で、前衛的というか独創的過ぎて、あまり売れてなかったり盛り上がってなかったりするようなものも、少なからずあったと。そんな風に、わたしが感じてきた事を語って、ネプテューヌに問う。わたしが見てきた、感じてきたプラネテューヌの話を聞いて、どう思ったかを。ネプテューヌから見たプラネテューヌは、どうなのかを。

 

「んー、そうだねぇ…まあ初めに言っちゃうと、プラネテューヌの皆の…気質?…は、わたしとネプギアが女神だから〜って事じゃなくて、元々っていうか、長い歴史の中でちょっとずつそうなっていったものだと思うな。幾らわたしがエクセレントでエキセントリックな女神でも、流石に一代で全体の在り方を変えられる訳ないっていうか…それにわたし、記憶喪失だからね!記憶を失う前のわたしも大体こんな感じだったんだろうけど、一代で変えちゃうような女神だったら、記憶喪失による影響も大きいと思うけど、実際にはそんな事ないでしょ?」

「確かにそうね。プラネテューヌに限らず、ラステイションも、リーンボックスやルウィーも同じだと思うわ。国民性っていうのは、ほんと積み重ねで培われていくものだし」

「国民性が女神の代替わり毎に変わるというのもどうかと思いますしね。…ところでネプテューヌ、エクセレントは良いにしても、エキセントリックは褒め言葉ではありませんわよ?」

「エキセントリックは語感だけで選んだんでしょうね。ネプテューヌにぴったりな言葉ではあるけど」

 

 新しいもの、新しい事に意欲的なのは、自分が女神だからじゃない。少なくとも、自分とネプギアだけでそう導いた訳じゃないと、少し冗談を交えながらもネプテューヌは言った。それにノワールとベールも同意をした。でもって、ブランの「ネプテューヌにぴったり」って言葉には、皆で揃って頷いた。…って、それは別にどうでもいい事ね。

 

「違ったんだ…まあいいや。それでだけど、わたしはそんな皆の事を、応援したい…って思ってるかな。正直セイツの言う通り、わたしも『えぇ…?幾ら何でもそれは売れないでしょ…趣味に走り過ぎだって…』って思うようなものは時々見るけど、やっぱり挑戦しなきゃ楽しくないでしょ?楽しくないし、挑戦しないで無難な事ばっかりしてたら、こう、小さく纏まっちゃうっていうか、大きく高く進む事は出来ないっていうか…やるんだったら全力投球でやる方が、楽しくない事を意識してやるより満足出来る…そうじゃない?」

 

 軽い調子で、でも真面目にネプテューヌは続ける。楽観的で、安直で…でも、踏み出す勇気を、挑戦への意欲を与えてくれるような言葉を、思いを。

 良い悪いじゃない。正解や間違いなんて言葉じゃ括れない。結果ですら、判断材料の一つでしかなくて…究極的には、信じられるかどうかになる。そういう考え方、在り方を持つ女神を、ネプテューヌを信じられるかどうか。そしてそれは、他の国や女神だって同じ。

 

「ありがと、ネプテューヌ。今の言葉だけでも、話す価値が十分にあったわ。何も全力投球スタイルとその結果生まれたものを全肯定してる訳じゃないっていうのも分かったし…ここからは、質問いい?」

「いいよぉ!」

「あ、読者の皆様。今ネプテューヌは某人造人間のパロディをしたのですわ」

「ぱ、パロディ解説が作中内に入ってきた…」

 

 思わぬ方向からの言及にびっくりするわたし。まぁこれは活字のみの媒体だと、ネタ発言だって事が全く分からない類いだけど…。

 ともかく、そこからわたしはネプテューヌへと質問していく。気になる事、よく分からなかった事、確かめたかった事。女神としての視点と、個人としての視点、両方から質問をし、一つ一つ答えてもらった。当然ネプテューヌだって国中のありとあらゆる事を把握してる訳じゃないし、だから全ての問いに答えを得られた訳じゃないけど、こっちもこっちで価値のある答えを幾つも聞けた。

 

「はふぅ…セイツ、まだ質問ある?今なら流れでOriginsシリーズ初公開の情報を零しちゃってもいいよ?」

「どんな情報よ、それ」

「んーと…次回作のラスボス?」

『ネタバレ!?』

 

 さっきはびっくりしたわたしと、呆れ笑いをするノワールとブラン…って形だったけど、今度のネプテューヌの発言には、この場にいる全員がびっくり。…言わないわよ?言わせないわよ…?

 

「こ、こほん。さっきも言ったけど、もう一回言うわね。ネプテューヌ、貴重な話をありがと」

「ふふん、自分の国の事を知ってもらえるのは嬉しいからね。また気になる事があったら、いつでも話すよ!」

「えぇ、その時はまたお願いするわ。…って訳で、次の話に移りたいんだけど……」

「次、私でも良いかしら?ここまでのやり取りを聞いてたら、私もラステイションの事を色々教えてあげたくなってきたわ」

 

 次は私が、とノワールが言う。ベールもブランもそれで構わない、と答えて、わたしはネプテューヌの時と同じように、まずはラステイションを回って感じた事を話していく。一頻り話した後は、質問をノワールにしていった。

 ラステイションは、勤勉というか、実直な人が多いように感じた。経済に関してはプラネテューヌとは対照的に、個性よりも実用性、新機能より信頼性や堅実さを重んじている感じで…けど別に、挑戦をしてないって訳じゃない。着地に失敗して怪我する事もあるけど、ジャンプして大きく進もうとするのがプラネテューヌで、一歩一歩着実に、地面を踏み締めながら歩いていくのがラステイション…そんな風に、私は感じた。

 その後は、リーンボックスの話に移った。リーンボックスは建築様式にも表れている通り、品性を大切にしている人が多くて、同時に柔軟な思考や立ち回りが得意なように思った。自分の国やしている事に誇りを持ってはいるけど、拘ったりはしない。他国や周りで良いと感じたものがあれば、積極的にそれを参考にし、時には自分の技術、或いは別々の技術同士を組み合わせて新しいものを作る…そんな姿が見て取れた。そしてルウィーは得意とする技術が魔法なだけあって、個人個人で色々出来るだけあって、自分を磨き、高めようという意識が強いように感じられた。それと共に、高い理想を持って活動している人が多いように思った。それも恐らく、魔法技術が根幹にあるから。夢見る、という言葉は、科学技術よりも一人一人の思いが成功に、新たな発明に繋がり易い…だからこそ自分を信じ、高めていこうという国の在り方を示すのにぴったりだ。そんな風に、わたしは感じた。

 

「……え!?ラステイションパートは地の文で終わりなの!?プラネテューヌは会話でもしっかりやったのに!?」

「の、ノワール…?え、急にどうしたの…?」

「い、いやだって…まさかこんなさらっと…ではないけど、リーンボックスやルウィーと纏めて一気に、なんて形になるとは思ってなかったし…」

 

 普段はここにいる四人の中で一番まともなノワールらしからぬ、突飛な発言。それにわたしが困惑すれば、ノワールは食い下がるようにして言う。

 

「えーっと…なんか、ごめんね?」

「う…謝られるのは違うっていうか、そうなると今度はこっちが申し訳なくなってくるというか……」

「諦めなさい、ノワール。会話の中身は違うとはいえ、一話の中で後三回も似たような会話をするのは…っていう、現実的な都合よ、きっと」

「むしろわたくしやブランと違って導入部分だけでも描写された分、まだ良い方だと思いますわよ?」

 

 いまいち納得していない、自分の中で飲み込み切れていないといった様子のノワールだったけど、ブランとベールの淡々とした意見を聞くと、複雑そうな顔をした後、「それは、そうね…」と納得した。

 でもその結果、今度は何とも言えない雰囲気に。…一応伝えておくけど、実際にはちゃんと話したし、質問もしたわよ?ただちょっと、地の文のみで終わっただけで…。

 

「こ、こほんっ。皆のおかげで、四ヶ国の事をこれまでより知る事が出来たわ。出来たし、理解が深まったし……」

『深まったし?』

「…また、行きたくなったわ。皆が良いところ、誇りにしてるところを教えてくれたのもそうだけど…語ってる時の皆、凄く良い顔してたもの。語ってる皆の感情は、煌めいてたもの」

 

 仕切り直す為に一つ咳払いをして、わたしは皆に言う。また行ってみたいと。皆が自慢に思ってる国を、その視点でもう一度見て回りたいと。そして、わたしからの返答を聞いた四人は、顔を見合わせ後にそれぞれの笑みを浮かべていた。

 

「…あれ?セイツ、珍しくテンション上がってないんだね」

「え?あぁ、わたしだってそういう気分の時はあるわよ。ネプテューヌも、『ひゃっほうプリンだ!』…ってシンプルに喜びたい時もあれば、『プリンがある…プリンがあるんだ…!』…って噛み締めるように喜びたい時もあるでしょ?」

「プリンを噛み締めるように喜ぶって…どこぞのグルメな貿易商みたいね…」

「けど、言いたい事は分かるわ。というか、わたしとしてはいつもその位のテンションでいてくれた方が騒がしくなくて良いんだけど…」

「それは無理ってものよ。次元は感情に溢れてるんだもの」

 

 それは出来ない話だ、とわたしは即答。だってほんとに無理だもの。気を張っていれば心の中で生まれた喜びやときめきを心の中に留めておく事も出来るけど、四六時中気を張り続けるのは女神だって疲れちゃうし。

 

(にしても、ほんと自然に話せるわよね)

 

 まあ、でしょうね…とわたしの反応に辟易気味の表情を皆が浮かべる中、わたしはここにいる四人と、ここにはいない四人…神次元で出会った皆へそれぞれに思いを馳せる。

 信次元の四人と、神次元の四人…っていうと語弊があるわね。わたしの知ってる神次元のネプテューヌは、神次元に『来た』ネプテューヌだし。…こほん。ともかくそれぞれの四人は、当然同一人物ではあっても、同じ人じゃない。存在としては同じでも、経歴や経験、周りとの関係性は違う訳で…要は、人間関係の面でいえば両者は普通に別人だって事。けどわたしは信次元の皆とも神次元と同じように話せるし、何なら神次元の皆と信次元に来たような感覚を抱く時もある。…でも……

 

「っていうか、わたしが静かだとそれはそれで『え、ちょっと大丈夫…?』って反応するじゃない。するっていうか、したじゃない」

「…そうだっけ?記憶にないんだけど……」

「ほら、前に皆で…って、あ……」

 

 怪訝な顔をするブランに、忘れたの?…とわたしは返そうとし…気付いた。わたしが言おうとしたのは、記憶にあったのは、神次元での出来事だと。信次元の皆は知る訳がない、記憶にある筈もない、神次元の皆とのやり取りだったと。

 皆とは自然に、別次元の存在だなんて殆ど感じる事なく話せる。けど、だからこそこういう勘違いが、思い違いが起きたりもする。大概は「あれ?これは…そうだ、こっちでの話じゃなかったわね」とすぐに気付くけど、偶に…他の事も一緒に考えてたりすると、気付くのが遅れてしまう。思い違いをしちゃいけないなんて事はないけど…こういう事は、実際問題稀に起こる。

 

「そ、それはともかく、この際だからもう一つだけ訊いていい?これは女神云々じゃなくて、もっと個人的な質問なんだけど…」

「構いませんわよ。勿論、答えられる質問ならですけども」

「えー、なになに?ベールってば答えられないような事でもあるのー?」

「あら、ディープ且つマニアック過ぎて同好の士以外ならドン引きするような、BLの話をしても宜しいんですの?」

「お、おおぅ…確かにそれは答えられないっていうか、遠慮願いたいね…」

「いやそもそも、セイツはそんな回答を求めるような質問をしないでしょ。…え、しないわよね?」

 

 まさか…とこっちを見てくるノワールに、違う違うと手を振って否定する。そもそもわたし、一言もそんな事言ってないじゃない…。

 

「あー、いいかしら?」

「失礼しましたわ。どうぞ、セイツ」

「じゃあ…イリゼの事を、教えて頂戴」

『イリゼの事?』

「そう、イリゼの事。厳密には、イリゼの情報じゃなくて、皆から見たイリゼの事…かしらね」

「ああ…個人的な、っていうのは、そういう事なのね」

 

 察した様子のブランに、頷いて返す。ここまでは女神として、信次元と神生オデッセフィアの女神である為に必要な事として訊いてきた。でもイリゼの事は、そうじゃない。あくまで姉として、家族として聞きたいだけ。皆が…イリゼの友達が、イリゼをどう思っているのかを。

 

「んー…イリゼの事かぁ。イリゼっていえば、やっぱ頑張り屋さん…っていうか、普段から色んな事に一生懸命だよね」

「そうね。良く言えば些細な事でも手を抜かない、悪く言えば不要なところにも無駄な労力を払う、ってところだけど…好感は持ってるわよ。友達としても、同じ女神としてもね」

「けど、真っ正直…という訳でもないんですのよね。ああ見えて割と強かというか、戦闘スタイルにも表れてますけど、結構相手に揺さ振りを仕掛ける事が多い気がしますわ」

「それ含めて、手抜きなしって事かしらね。…特に突っ込みなんて、毎回頑張り過ぎて逆にそういう芸みたいになってるし…」

『あー』

 

 あるある、とブランの発言に三人が頷いて、そんな風に見られてるのね…とわたしは苦笑い。そこから更にわたしは訊いて、四人はそれに答えてくれる。

 優しい、真面目、温厚…そんな大事だけどありふれた話から、昔に比べると今のイリゼは色々大胆だとか、割と「妹っぽいなぁ」と感じる場面はあるだとか、初めて体験する事柄の時は結構はしゃぐタイプだとか、しっかりしてるようでしっかりしてないという評価は、今も昔も変わらないだとか、良い事から悪い事まで、皆はイリゼの事を沢山話してくれた。それはつまり、それだけ皆がイリゼを知ってるって事、イリゼは皆に知ってもらえてるって事。姉として凄く嬉しい事で…けどよく考えたら、姉であるわたしよりも、皆の方がイリゼとの付き合いは長い。何ならわたしより、皆の方が知っているかもしれない。そう思うと、少し複雑な気持ちもあって…わたしももっと、イリゼを知りたくなる。きっとイリゼにはまだ、わたしの知らない一面が沢山ある筈だから。

 

「そっか…うんうん、そっか…なんか、感無量だわ…イリゼが皆と友達として親しくやれてるってのに感無量だし…イリゼに向ける皆の感情も、今たっぷりと感じられたし!そういう意味でも嬉しいわっ!」

「あぁ、今度はテンション上がったのね…まぁ話の内容的に、いつそうなってもおかしくないとは思ってたけど…」

「感情云々はともかく、満足してもらえたのなら良かったわ。妹の友達が、妹をどう思っているか…それが気になる気持ちは、わたしも分かるもの」

「思い返せば、妹…ではないにしろ、前はわたくしとイリゼで組む事も多かったですわ。しかしそんなイリゼも、今は守護女神…感慨深いものですわね」

「あのイリゼが遂に、って感じだよねぇ。…あ、そうだ。イリゼの話って事だし、もう一個いいかな?」

 

 思い出したように言うネプテューヌ。こくりとわたしが頷いて返せば、柔らかいけど真面目な顔をしたネプテューヌは、言葉を続ける。

 

「イリゼはさ、守護女神になったんだからっていう責任感が気負いになっちゃってるのか、イリゼの理想とか目指してる先が高過ぎるのか、前の戦いの最後に起きた奇跡の…んーと、トリガーを引いたって言えばいいのかな?…のが自分だって自負があるのか分からないけど、ちょっとこう、危ういっていうか…暴走しちゃいそうな気がするんだよね。だからセイツには、お姉ちゃんとして暴走しないよう見ててあげてほしいんだ」

「暴走…?…いや、まぁ、さっきも出てきたイリゼの全力投球スタイルを思えば、それも分からなくはないけど…危うい、かしら…」

「危ういわよ。まあ、危なっかしいのはネプテューヌもだし、その危なっかしさはイリゼもネプテューヌも前からなんだけどね。けど、ネプテューヌが言ってるのは、そういうのとは少し違う筈よ」

「姉だからこそ気付かない、気付けないのかもしれませんわね。…もしかすると、まだわたくし達が知らないだけで、その危うさは貴女にもあるのかもしれませんわ」

「イリゼのオリジナルであり、創造主でもあるオリゼが危うさの塊だから、イリゼにも危うさを感じてる…って部分もあるかもしれないわ。…それを言うと、同じくオリゼから創り出されたセイツもやっぱり危うさがあるんじゃ…って話になるけど」

 

 それぞれが言う、イリゼの…そしてわたしにもあるかもしれない危うさ。これまで全くそんなものを感じてこなかったわたしとしては、寝耳に水で……正直、なんて返せばいいか分からなかった。いきなりって事もあるし、それに……

 

「…わたしも危ういんだとしたら、わたしにこの話をするのは違うんじゃない…?ちゃんと自覚して、気を付けてね、って事なら分かるけど……」

「言われてみれば、確かにそうね…イストワールに言った方がいいかしら…」

「ですわね。その辺り、イストワールなら長女としてしっかり見てくれそうな気もしますし」

「イストワールも創造主は同じ…っていっても、女神じゃないし、長年プラネテューヌの教祖として歴史を見てきた実績があるし、任せるんだったら彼女が一番だと思うわ」

「じゃあ、この件はいーすんにって事で決定かな?ごめんねセイツ、今の話やっぱりなしで!」

「え、えぇー……」

 

 速攻で、しかもあり得ない流れで梯子を外されて、もう困惑する事しか出来ないわたし。え、わたしこれ、おちょくられてるの…?

 

(…でも、そういうのはイストワールの方が、って考え自体は納得出来るのが複雑過ぎる……)

 

 反論出来るならまだしも、内心「それは確かに」と思えてしまうものだから、余計に居た堪れない。うぅ、なんだか涙が出そうな気分だわ…。…出ないけど……。

 

「ずーん……」

「あぁ、悪かったわねセイツ。でも、心配…というか、気にかけてほしいのは事実よ。尤も、自分達にそういう部分は一切ない、危うさ皆無って言い切れるかと言われたら、そこは微妙なところだけどね」

「そこで『言い切れない』じゃなくて、『微妙』って言う辺り、ほんとノワールは変わらないわね…」

「…まあ、分かってはいるわ。皆が友達として、イリゼを心から思っている事は、ここまででよく伝わってきたし」

 

 落ち込んでても仕方がない、とわたしは気持ちを切り替える。変な流れにはなったけど、皆がイリゼの事を思ってくれているのは間違いないし、妹が危ない事をしていたら、それを正すのが姉の使命。だったらあんまり期待されてなかったとしても、気にかけてあげるべきよね。いや…べきっていうか、気にかけるに決まってるわ。

 

「ふぅ。皆のおかげで、貴重な時間が過ごせたわ。って訳で、これお礼のお菓子よ」

「あ、もしかしてイリゼの手作り…じゃないね。どう見てもこれ、お店の包装だもんね」

「いや、流石に自分のお礼の用事をイリゼに作ってもらったりはしないわよ…」

「ふふ、ではこれを食べながらお茶と致しましょうか。ネプテューヌ、紅茶を淹れても宜しくて?茶葉なら持ってきましたわ」

 

 勿論!とネプテューヌの返しを受けたベールは、早速お茶を淹れにいく。持ってきたお菓子は紅茶と合わせる事なんて特に考えてなかったけど、ベールの方がそれに合う物を選んでくれたみたいで、そこからわたし達は楽しくお茶を…雑談やゲームを楽しんだ。

 でも、皆より一足先にわたしはこの場を後にした。それは別に楽しめなかったとかじゃなくて、元々もう一つ用事があったから。その為に、わたしはリビングルームから出て、でもプラネタワーから出る事はなく…イストワールの下に向かった。イストワールの力を借りて、神次元へと行く為に。

 

 

 

 

 何度も回数を重ねてきたとはいえ、向こうにもイストワールがいて、互いに協力し合えるとはいえ、次元同士を繋げるのは容易な事じゃない。だから定期的に行き来してはいるけど、次元間通信で済む時は極力そうしてるし、用事がある場合も、急を要する訳じゃなければ次に行く時まで待ってもらっていたりする。

 でも、今日は違う。今日あるのは、わたしがいなきゃいけない事でもなければ、通信じゃ済ませられない事でもないけど…ちゃんと自分の目で、確認したい事があったから。

 

「ほえ〜、そんなお話をしてたんだ〜」

「こっちでわたしが目覚めて、現代の事を色々訊いた時もそうだったけど、やっぱりそれぞれの国の話を聞くのは面白いわ。その話を介して、女神の事も…皆の事も知れるしね」

「で、話の途中でいつものように変態的な事を言ってた、と」

「そうそう内なる思いを抑え切れずに…って、そういう決め付けは酷くない!?」

「でも、言ったんでしょ?」

「っていうか、今認めてたよね〜」

「そ、それはノリ突っ込みっていうか…うぅ、言ったには言ったけど、変態扱いはしないでよ…」

 

 ピーシェから速攻返され、プルルートに退路も塞がれ、ダメージを負いながらわたしは認める。なんでいつも変態扱いするのよ…わたしは好きなものを好きなだけ好きと言ってるだけなのに…。

 

「ぴーしぇちゃんは、せいつちゃんに心を許してるから、変態〜って言葉もさらっと言っちゃうんだよね〜?」

「うぐっ…べ、別にぴぃは、そんな事……」

「えー、あたしはせいつちゃんの事、好きだし信頼もしてるよ〜?ぴーしぇちゃんは、違ったんだぁ〜」

「……違うとも、言ってないし…」

「ふふふ〜」

 

 扱いにわたしがしょげている中、二人は何やらやり取りをしていた。あまりしっかりとは聞いていなかったけど…ピーシェがプルルートに弄られていた。…プルルート、時々ほんわかとした雰囲気のまま追い詰めていくのよね……。

 

「ま、まあそれは良いのよ。それより、皆はどう?特に何も変わりない感じ?」

「うん、変わりない感じ〜」

 

 そっくりそのままプルルートはわたしの問いに答え、ピーシェもこくりと頷く。わたしも「ま、そうよね」と軽く受け取る。少し前にも次元間の通信をしてて、その時にも皆の近況を聞いていたから、恐らく変わりないんだろうなぁとは元々思ってた。だからこれは、単に訊いてみたかっただけ。信次元の守護女神の皆と話した後だから、こっちの皆の事も気になっただけ。

 

(変わりない、か…)

 

 特に何も変わりない。つまりは変化なし、前と同じって意味のこの言葉は、良い意味でも悪い意味でも使われる。前から元気な人についてなら良い意味だし、前から不調な人についてなら悪い意味になる。それは至って当然の事で…けれどこの時、初めは良い意味として受け取っていたわたしは、一拍置いてからそうではない意味もほんのりと感じた。プルルートの声音にそんな色があったとかじゃなくて、勝手にそう感じていた。

 

「…着いたね」

 

 わたし達は、何も教会で雑談をしていた訳じゃない。ここまで徒歩で、ある場所に向かっていて…そこに辿り着いたわたし達は、一度足を止める。

 向かっていた先は、セブンスジーニアが母体となっている病院。神次元全体から見てもかなりの規模を誇るこの病院に、わたしが直接見たいものがある。

 

「…………」

「…………」

 

 ここまでは和やかだったプルルートとピーシェも、ここまで来た事で一度口を噤む。わたしもまた黙り、中に入り、受付でパスを受け取る。

 それは、予め用意をしてもらっていたもの。そのパスを持って、関係者用のエレベーターに乗って、中で操作画面にパスをかざす。

 

「…二人は、もう知ってるのよね?」

「うん、すぐに連絡をもらってたから」

「なら…別に、来なくたって良かったのよ?少なくとも、楽しい事がある訳じゃないんだし」

「…ちゃんと直接見たい、会いたいって思いがあるのは、せーつだけだと思ってるの?」

 

 エレベーターの中での、ピーシェとの会話。ピーシェからの返しで余計な気遣いだった、と気付かされたわたしは謝り…エレベーターの扉が開いた事で、二人と共に中から出る。

 今わたし達がいるのは、一般の人は知らない階層。この階層の奥に…彼女はいる。

 

(そう…この奥に、彼女が……)

 

 静かに歩く。歩いていく。そして最奥、透明な仕切り越しに──わたしはキセイジョウ・レイと再会する。

 キセイジョウ・レイ。神次元最古の女神であり、国を興しながらも自らの手で国を、国民を傷付け、苦しめた存在。遥か昔にわたしがその時代の皆と打ち倒し、現代の神次元で目覚めてからは再び神次元に…それどころか超次元にまで災厄を起こし、果てはくろめ達と組んで信次元や幾つもの次元、世界まで巻き込んだ戦いの首謀者の一人となった……最後はオリゼに倒され、クロワールによって女神の力を奪われた、最低最悪の女神。…女神だった、人。

 

「…………」

「…最後の手術も、成功したって話だよ。もう女神じゃないとはいえ、女神だった身体の回復力、生き延びる力は凄かったから、死んでなきゃおかしい重傷でもギリギリ生きていて、どの手術でも体力が尽きる事はなかったんだって。…って、最後の手術の事以外は、せーつも知ってるよね…」

「えぇ…そうね…」

 

 呟くようなピーシェの言葉に、小さく頷く。そのままわたしは、レイを見つめる。

 今ピーシェが言った通り、レイは生きている。けど、レイの意識は戻らないまま。女神の力を奪われ、意識を失って以降…ずっと、レイは眠り続けたまま。

 

「…せいつちゃん、その……」

「大丈夫、分かってるわ。今の彼女はもう、人だもの。女神じゃないんだもの。…だからわたしも、討とうとはしないわ」

 

 不安が滲むようなプルルートからの呼び掛けに、わたしは大丈夫だと返す。今はもう女神じゃない、レイという人間なんだから、とはっきり言葉にする。

 そう。人に仇を為す悪神は、もういない。ここにいるのは、元女神のただの人。眠り続けている…いつ目覚めるのか、目覚める日が来るのかも分からない…ただの、人間。それは分かってる、理解してる。…でも……

 

「…本当に?せーつは、許せなかったんでしょ?許せない、許しちゃいけない…絶対に討たなきゃいけない、そういう存在だったんでしょ…?」

「…その通りよ、ピーシェ。正直に言えば…わたしもまだ、どうしたらいいか分からないのよ。女神として、今は人であるレイを討っちゃいけない、それはわたしの…レジストハートの在り方じゃないとは思ってるけど、レイへの…沢山の人を傷付け、苦しめ、裏切ってきた女神崩れへの怒りがなくなった訳じゃない。二人は快く思わないでしょうけど…今だってわたしはレイという女神を『出来損ない』だと思ってるし、同情の余地なんて微塵も感じてないし、女神としてのレイが無様に果てた事を当然の報いだって言い切れる。きっとこの思いは、いつまで経っても変わらない。未来永劫、わたしはレイの行いも…彼女の存在も、許しはしない。……それでも、今のレイを討とうとは思わないから…今のレイには、生きてほしいと思っているのも事実だから…」

 

 だから、分からない。自分の意思の、答えが出せない。…それが、今のわたしの思いだった。どっちも、どの思いも本物で、それ等全部ひっくるめた思いが、わたしの答え…そう言う事だって出来るけど、そういう答えにも納得出来ない…そんな状態なのが、真実で、現実。

 きっとオリゼなら、割り切れていた。女神のレイは討つべき悪だから討つ。人ならばもう守るべき、救うべき存在なのだから、助ける。そうやってちゃんと切り替えられる…無意識に考えられるオリゼみたいにわたしも考えられた方が良いんだけど…そういう事も、出来なかった。

 

「…ごめんね、二人共。こんな事言われたって、困るわよね」

「…そんな事、ないよ。せーつの気持ちを…せーつ自身、どうしたら良いか分からないって迷ってる、苦しんでる思いを、『言われても困る』だなんて、ぴぃは絶対思わない」

「そうだよ〜せいつちゃん。あたし達、友達でしょ〜。友達のどうしよ〜って思いを聞いたら、一緒にどうしよ〜って考えるのが、友達だって、あたしは思うな〜」

「ピーシェ、プルルート……」

 

 他者からすれば、なんて答えたら良いのかそれこそ分からない、そもそも答える必要があるのか、答える事を求められているのか…そこでも困ってしまうような、厄介な言葉。そんな感じの事を言った筈なのに、二人共優しく受け止めてくれた。わたしの気持ちに、寄り添ってくれた。

 それが、どれだけ嬉しい事か。どれだけ幸せな事か。…二人には、感謝しかない。こんな二人と友達である事は、喜び以外の何物でもない。

 

「…ありがとう、二人共。だけど…心配はしないで。気持ちには答えが出てないけど、行動は決まってるから。今のレイは討たない、討っちゃいけない…それは迷いなく言えるし、そうしたいから。だから後は、わたしの中の気持ちだけ…それだけなんだから、じっくりと時間を掛けて、答えを探すわ。…許しは、しないと思うけどね」

 

 わたしは笑う。作り笑いだけど、気持ちを込めて。自然ではないけど、ちゃんとした思いで組み立てた笑みで。

 結局のところ、わたしは心での納得が出来ていないだけ。気持ちの結論が出せていないだけで、そこから先は決まってる。普通はまず気持ちがあって、そこから行動や結果があるものだけど…これに関してばかりは、逆転してる。でも逆転してるおかげで、『人であるレイを害したりはしない』という行動の結論は出ているおかげで、ゆっくりじっくり気持ちの整理が出来る。整理が付くかどうかは怪しいけど…焦る必要がないから、気持ちは楽。

 

「さてと、それじゃあわたしはこれ位にしておくわ。二人はどうする?」

「んー…あたしもそうする〜」

「ぴぃも、そうするよ。…ばいばい、また来るね」

 

 少しの間、わたし達は黙ってレイを、眠り続ける彼女を見つめ、そうして帰る事にした。

 行きと同じ道を通って、帰る。廊下を通り、エレベーターに乗る。そして帰る最中…不意に、ピーシェが言う。

 

「…ねぇ、せーつ。せーつは前に、おねーさんを倒して…いや、結局倒し切れてなかったみたいだけど…とにかく倒して、目的を果たして、それからはずっと…おねーさんが女神として復活するまで、眠ってたんだよね?…じゃあ、まさか……」

「今度こそ、本当に『討つべき女神、キセイジョウ・レイ』を倒したから、また眠りに就いちゃうかも…って事?ふふ、もしかしてピーシェ、わたしに眠りに就いてほしくないの?」

「…茶化さないでよ、せーつ」

「あたしは嫌だよ、せいつちゃん」

 

 冗談めかして言ったわたしに対しピーシェは真剣な顔で返す。プルルートも、ふざけるのは止めてほしい、という意思を感じさせる声で、嫌だと言う。

…確かに、今は茶化すべきじゃなかった。二人の思いに失礼だった。だからわたしは謝って…改めて、答える。

 

「…眠りになんて、就かないわ。確かにわたしは、わたしの使命を果たした。今度こそ、わたし自身の手ではないけど、完遂した。でも…今のわたしには、他にも使命があるわ。神次元の女神として、国と女神の良さを一人でも多くの人に伝えるって使命が、信次元の…神生オデッセフィアの女神として、皆を幸せにするって使命が。どっちも大変で、重大で…何よりこれ以上ない程充実感のある使命だもの。眠ってなんかいられないわよ」

「せーつ…うん、せーつらしいね」

「そっかぁ。それじゃああたしも、ぴーしぇちゃんも、せーつちゃんに負けないように、女神として頑張らないとだね〜!」

 

 言い切り、笑う。さっきのとは違う、今度こそ自然な笑みで。自分でも分かる程の、自信に満ちた笑顔で。

 きっとレイを討つ事、キセイジョウ・レイという女神を討滅する事は、わたしの存在意義だったと思う。気持ちの話じゃなくて、レジストハートという女神の存在意義だったんだと思う。だけど、それだけがわたしじゃない。ただ、悪を滅する事だけが、女神の使命なんかじゃない。

 わたしにはまだ、やりたい事がある。やるべき事がある。わたしを求めてくれる…一緒にいたい、共に歩みたい、これからも仲良く楽しく過ごしたいと思ってくれる皆がいる。だから…わたしはわたしの歩みを続ける。セイツとして、レジストハートとして──どちらでもある、わたしとして。




今回のパロディ解説

・「〜〜下着をあんまり履かない主義の人〜〜」
ギャグマンガ日和シリーズに登場するキャラの一人、聖徳太子の事。当然ながら、これは歴史上の人物である聖徳太子でも良い訳ですね。勿論そちらでなければ駄目、という事もありませんが。

・「〜〜某人造人間〜〜」
お笑いコンビ、スリムクラブの真栄田賢さんの扮するキャラの事。作中でも触れていますが、これ「いいよぉ!」だけだとほんと、パロディである事が全然分からないんですよね。

・「〜〜どこぞのグルメな貿易商〜〜」
孤独のグルメの主人公、井之頭五郎の事。ネプテューヌなら実際、彼の様にプリンを食べたりする事もありそうです。ありそうというか、ふざけてやっている姿が容易に思い浮かびます。




 えー、読者の皆様には申し訳ないのですが、次話からは一度、コラボに戻ります。あるリクエスト(一話完結ではないもの)を受け、それを投稿する…という事です。尚且つそれが、コラボとしても更に特殊なものとなるので、困惑する方もいるかとは思いますが、ご了承下さい。
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