超次元ゲイムネプテューヌ Origins Succession   作:シモツキ

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第二十五話 いつもの皆と

 ヘイイリゼ!一緒にお菓子を作ろうゼ☆……というメッセージが届いた。誰からのメッセージかは…言うまでもないと思う、多分。

 まあ取り敢えず、私を誘う理由は分かる。だって私、お菓子作りにはそこそこ自信があるし。普段から結構使ってるし。でも逆に言えば、私を誘う理由位しか分からない。…けど、まぁ…それももう、割と慣れっこ。だって…長い付き合い、だもんね。

 

「お邪魔するよ、ネプテューヌ」

「いらっしゃーい、よくぞ来た女神イリゼよ!」

「あ、うん…」

 

 扉を開け、いつもの部屋…プラネタワーのリビングに当たる部屋へと入る。それと共に呼び掛けを…軽快というか、えらい軽いメッセージで誘ってきた送り主、ネプテューヌに挨拶をすれば、ネプテューヌはいつものようにふざけてきた。

 

「えー?なんかイリゼ、反応薄くない?イリゼらしからぬ反応の弱さだよ?」

「いや、私だっていつもいつでも目一杯突っ込んでる訳じゃないよ…というか、今回はネプテューヌのボケの方も弱かったし…」

「あ、なら『邪魔するなら帰ってねー』とか言えばよかった?」

「開口一番新喜劇やられたら、それはそれで反応に困るよ…」

 

 まあ、その場合はノリ突っ込みしてた気がするけど…と内心思いつつ、私は軽く呆れる。一方ネプテューヌは楽しげで…部屋の奥、台所から別の声が聞こえてくる。

 

「イリゼちゃん、いらっしゃいです〜」

「こっちはもう準備出来てるわよ。準備っていっても、使う物を出した程度だけどね」

「うむ、ご苦労!」

「ご苦労!じゃないっての。言い出しっぺなのに準備何も参加しないとか…これで料理にも参加しなかったら、一口もあげないわよ?」

 

 二人で出てきたコンパとアイエフ。腰に片手を当てて言ったアイエフの発言に、私とコンパは顔を見合わせ苦笑する。流石にネプテューヌも、一緒にお菓子を作ろうって誘っておきながら自分は見てるだけ、食べるだけ…なんて事はしない筈。

 

「んもう、それじゃあ企画倒れでしょ?今日のわたしはやる気一杯なんだから、ばんばん作るに決まってるじゃん!」

「ふふふ、それなら一緒にばんばん作って、一緒にお片付けもばんばんするですよ?」

「やっちゃうよー!……あれ?」

『至って自然な流れで片付けの方は約束させるなんて…流石コンパ』

「……?」

 

 今度はアイエフと私が、感嘆の声を揃って漏らす。一方のコンパはきょとんとしていて…ほんわかした雰囲気を纏っているからこそ、無意識に油断しちゃうって事、あるよね。

 

「さて、それじゃあお菓子作りを…の、前に訊いておきたいんだけど、なんでまた急にお菓子作り、それも『一緒に』なの?」

「いやぁ、実はペットボトルロケットが上手くいかない腹いせに生卵割りまくっちゃって……」

「わー、凄く分かり易い嘘…」

「えへへー。まあぶっちゃけ、思い付きかな」

「つまり、いつものねぷ子って訳ね」

「いつものねぷねぷですね」

「えっへっへ〜」

 

 褒めてないのに照れるという、ある種お約束なボケを行うネプテューヌは、本当に平常運転。まあ正直、私も思い付きなんだろうなぁとは思ってたから、それはいいとして…もう一つ、確認しておく事がある。

 

「じゃ、作りたいお菓子は何?やっぱりプリン?」

「勿論!…でも、出来ればもう一種類位作りたいんだよね。出来るかな?」

「まあ、材料と時間があれば出来るけど…二人は大丈夫?」

「大丈夫よ、ねぷ子に付き合う時点で手早く終わるとは思ってなかったしね」

「わたしも大丈夫ですよ〜、それに材料はばっちり用意してあるですっ」

 

 そうなの?…と思って私が台所の方を見ると、確かに薄力粉や砂糖、バターなんかが沢山用意してあった。因みに生卵は、割られていない状態だった。それはそうだよね。

 という訳で、プリン+もう一種類に決定。そしてそのもう一種類に関しても、色々話した末にフルーツタルトにしようと決まる。

 

「よーし、それじゃあ始めるよー!えい、えい、えぇいッ!」

『えぇい!?』

 

 訳の分からない掛け声にびっくりしつつ、ケーキ&タルト作りを開始。最初の工程は…勿論、手洗い。

 

「そういえば、あいちゃんって料理出来るんだっけ?」

「そこそこはね。でもコンパは勿論、お菓子作りってなったら絶対イリゼの方が上手だし、今日はねぷ子と一緒に教わるつもりよ」

「へぇー、じゃああいちゃんはわたしと同レベルなんだね」

「ぐっ…お菓子作りに関してはね…!」

 

 タオルで手を拭きながら言うネプテューヌに、アイエフが歯噛み。対するネプテューヌはにまにま顔で…後で何か仕返しされても知らないよー、ネプテューヌー。

 

「効率を考えれば、プリンとタルトで担当を決めてやった方が良いと思うけど…」

「えー、折角なんだから両方やりたいなー」

「まあ、そうだよね。じゃ、頑張ろっかコンパ」

「はいですっ。皆でお料理、開始ですよ〜」

 

 全員手を洗い終えた事で、調理スタート。まずはプリンのカラメル作りとフルーツタルトの生地作りで、鍋やらボウルやらを配置しつつ、コンパと話して互いに考えているレシピを擦り合わせる。料理って完成品の名前は同じでも、その内容には作り方や材料で当然幅が出てくるものだし、私とコンパで考えているレシピが違う可能性も十分にある…というより、全く同じな可能性の方がずっと低い。一応私とコンパで教えていく形になるんだから、教える側の考えは一致させておかないと…ね。

 

「ぐーるぐる〜っと。…カラメルってさ、もしかして『絡める』が語源だったり?」

「多分違うと思うなぁ…あ、別に素早くやる必要はないからね?遅過ぎたら困るけど、下手に勢いよく混ぜると火にかけたカラメルが跳ねるかもだし」

「ほんとに大丈夫?こげる!はやく!…ってなったりしない?」

「いやしないしない…ただただ放置したらなるけども」

「コンパ、この位でいいのかしら?」

「ばっちりです。それじゃあ次は、溶き卵を作って入れていくんですけど…」

「溶き卵なら流石に分かるわ。…っとそうだ、卵ならプリンでも使うし、先に必要な数だけ纏めて割っておく?」

「えっ、それじゃあイリゼの超絶片手割りスペシャルが見られなくなっちゃうよ!?」

「何それ私知らないんだけど!?」

 

 一応、念の為私は記憶を掘り起こすけど、そんな技術を披露した事はおろか、習得した覚えもない。…練習すれば出来るようになるかもだけど…今のところ、両手で割ってたら手間がかかっちゃって仕方ない、って程大量に使う機会なんて殆どないしね。…あ、でも……。

 

「いつかメディアで私がお菓子作りを披露するかもしれないし、その時の為にやれるようになっておいた方が良いかな…」

「…えーっと…片手割りを、です…?」

「今日もイリゼのアレが出てきたわね…」

「あ"っ…うぅ、ネプテューヌに嵌められた……」

「えぇ…?今のはわたしのせいじゃなくて、イリゼの単独事故だと思うんだけど…」

 

 指摘されて初めて気付く、いつもの悪癖。いっそ最初から出てくれればいいものの、何故か毎度途中から漏れるせいで、周りからすると「いきなり何の話…?」となってしまう私の思考。ほんと、恥ずかしくて堪らない…。

 

「…こ、こほん。ともかく卵割りは纏めてお願いしちゃっていいかな…?」

「あ、うん。……一回だけ、片手割り試してみてもいい?」

「え?いいですけど…ふふっ、あいちゃんは格好良いの、好きですもんね」

「うっ…そんなストレートに返されると、恥ずかしくなってくるわ…」

「因みにわたしも、ちょっとやってみたかったり。あいちゃーん、一個分は残しておいてー」

 

 試しに、という事でアイエフが挑戦。一度私がかき混ぜるのを変わって、ネプテューヌも挑戦。けど二人共上手く割れない…手の内で上手く殻を開く事が出来ないという結果だった。…今後の事云々じゃなくて、シンプルに見てて私もやってみたくなったんだけど…それは内緒。

 

「これでよし、っと。ここから一旦冷蔵庫で寝かせるのよね?」

「はいです、やっぱりあいちゃんは器用ですねぇ」

「こっちもカラメル完成したよ〜。って訳で、次はプリン本体……あっ!」

「へ?ど、どうしたのネプテューヌ」

「どうもこうも、ここまでわたしプリンの事しかしてないよ!?タルトの方もやってみたいのに…」

「あぁ…でも、半端なところで交代してもお互いややこしくなっちゃうと思うんだよね。それか、今はキリがいいしここで交代してみる?そうなるとネプテューヌ、暫く手が空いちゃうけど」

「えー、でもカラメルだけやって交代っていうのもなぁ…そうだあいちゃん、寝かせてる間一緒にやろうよ」

「別にいいわよ?待ってる間何もしないのも勿体無いし」

 

 という事で、タルトの生地を寝かせている間の時間で二人もプリン作りに合流。アイエフがカラメルを別の容器に移す間に、ネプテューヌがプリンの本体を作り始める。

 カラメルの甘い匂いが香る中での、プリンの本体作り。プリンの本体、という落ち着いて考えるとよく分からないワードはともかく、台所にはハンドミキサーの駆動音と、プリン液が掻き混ざる音が心地良く広がる。

 

「…ねぇ、イリゼ、こんぱ。一個訊きたいんだけど…プリンジュースってあるじゃん?」

「……?あります、けど……」

「それが何か…ってまさか、これ飲んだらプリンジュースみたいな味するかな、とか考えてる…?」

「ふっ、わたしをそんな安直な女神だと思ってもらっちゃ困るよイリゼ。これがプリンジュースと同じ味する訳ないでしょ?」

 

 まさか…と思って訊いてみるも、ネプテューヌはそんなの普通に分かってるよ、って調子で返してくる。流石にこれはネプテューヌを軽んじ過ぎたかもしれない。というかネプテューヌはプリンが好きなんだから、プリンに関してだけは、自分から作ったりしないだけで結構種類や味以外も詳しいのかもしれな……

 

「このプリン液にはまだ、牛乳が入ってないでしょ?牛乳なしでプリンの味がする訳ないじゃーん」

『…あー……』

 

……違った。やっぱりネプテューヌはネプテューヌだった。そっちかぁ…。

 

「…取り敢えず、牛乳の用意しようか。そっちはアイエフに頼んでもいい?」

「任せて頂戴。…牛乳っていえば、温めると膜が張るわよね」

「張った時は、そのまま掻き混ぜれば溶けるですよ。それから膜には栄養があるですから、ホットミルクを作る時なんかも、出来れば食べた方が身体の為になるです」

「あー、なんか聞いた事あるかも。じゃあ、これを読んでる皆もこれからは出来るだけ食べるようにしようね?」

「ねぷねぷー、明後日の方向見てるとプリン液が零れちゃうですよー」

「はーい」

「…コンパ、突っ込まないのね……」

「まぁもう、メタ発言に関しては違和感ないレベルだし…」

 

 ちょっとした豆知識なんかも挟みつつ、ネプテューヌにはそのまま掻き混ぜてもらい、アイエフには牛乳を熱してもらう。そうして牛乳の準備が出来たところで丁度良い時間になり、寝かせていたタルトの生地を冷蔵庫から出す。

 

「これなら良さそうですね。じゃああいちゃん、この生地を麺棒で伸ばして……」

「あ、待って!それわたしやりたい!」

「言うと思った。別に良いわよ、それならプリンの続きは私がやるから」

「…そういえばコンパ、麺棒とすりこぎ棒って一応違う物…だよね?」

「違うですよ。でも、すりこぎ棒はあんまり使わないですし、わたしも麺棒があればいいかなぁ…って思ってるです」

 

 ネプテューヌとアイエフが役割をチェンジする中、私は「すりこぎ棒ってどんな形だっけ…」と思い出す。因みに真っ直ぐなのが麺棒で、持ち易いよう持ち手が細くなってるのがすりこぎ棒なんだとか。だから持ち易さを気にしないなら、麺棒ですりこぎ棒の代用は十分出来る訳で…けどやっぱり、料理全般の知識ってなると、まだ私よりコンパの方が上手。医学の知識や技術だって、コンパの方がずっと上。

 

(神生オデッセフィア以外の各地の細かい事なら、ネプテューヌ達と出会う前も旅をしていたアイエフの方が詳しいし、レトロゲーの知識に関してはネプテューヌが断トツでトップ。皆それぞれよく知っている事、造詣の深い事があるんだよね)

 

 それは凄く当たり前の事。私だってお菓子作りに関してはそれなりに自信があるし、これは狭く深くじゃなくて広く浅く寄りだけど、サブカルチャーでならアニメにそこそこ詳しい…と、思う(パロネタ?…それはまあ、また別枠…って事で)。誰にだって一つや二つ、詳しいと言えるものがあって、それは後追いじゃ中々追い付けない。何かに特化する形なら追い付く事も追い越す事も出来るだろうけど、範囲を狭めている時点で、幅広さという観点では間違いなく追い付けていない。

 だから、教わる事も、教える事も出来る。繋がりがあるから、知識の交換が出来るし、逆に知識の交換が切っ掛けになって、繋がりが生まれる事だってある。そしてそれは、ありふれてるけど素敵な事だって、私は思う。

 

「イリゼ、このまま一度に全部入れちゃっていい?…イリゼー?」

「あ…うん。でもゆっくりね?それか、少し入れて混ぜて…って形でもいいよ?」

「どっちの方がいいの?」

「それは…うーん、お好みで?」

 

 お好み…?お好みって…。…的な視線でアイエフから見られるけど、ほんとにそこはここの好みっていうか自由なんだから仕方がない。料理って、ミス一つで味や見た目が大きく変わっちゃうものだけど、同時に決まり切った形もない…ざっくりとした流れさえ合っていれば、細部は多少間違えたりアレンジしたりしても結構上手くいくものだから。

 え、じゃあミスしても大丈夫なのか、ミスしたら不味いのか、結局どっちなのかって?…んー、まぁ、要は守るべき部分と範囲、外しても何とかなる部分と範囲がそれぞれある…って事かな。それが分かってるならレシピから色々手を加えても上手く作れるし、サブカルでよくあるトンデモ料理って、詰まるところその知識がないのにレシピを破る…或いはそもそもレシピをちゃんと見ないで作るからトンデモな状態になるって訳。……オリゼ?オリゼの場合は…ほんと、何なんだろうね…。

 

「よーし、生地伸ばしかんりょー!ここからは、タルトの形にするんだよね?…粘土みたいに頑張ってタルトの形に整えるの?」

「タルトの型があるですから、それに入れてタルトの形にするですよ〜。優しく入れて、最後はフォークで穴を作るです」

「あ、なんかそれも楽しそう。因みにその後はクリームとかフルーツとか載せて、焼いたら完成?」

「焼く前にまた冷蔵庫で寝かせるし、フルーツは焼いた後だね。タルトはまだ結構時間かかるよ?」

「…寝かせて焼いたのがこちらになります、的なのは……」

「ちょっとねぷ子、誘っといて飽きた…なんて思ってるんじゃないでしょうね?」

「い、いや違うよ?そうじゃなくてその…思ったよりかかるんだなー、って……」

 

 生地を型に入れつつ、誤魔化し気味に釈明するネプテューヌ。それをじとー…っと見る私達だけど、気持ちは分からないでもない。今でこそ慣れたけど、お菓子作りは生地を寝かしたり焼いたりで結構時間がかかる事が多いから、お菓子作りを始めたばかりの頃は、レシピを見て「えっ、作るのにこんな時間かかるの…?」って思った事がしばしばあったし。

 

「お菓子なんかは特にそうだけど、そうでなくても料理って時間がかかるものだよ?…いや、料理っていうか、物作り全般がそうだろうね」

「そうね。手間が掛かるから、その分価値がある…完成品を買うっていうのは、技術や質だけじゃなくて、それを作るのにかかる時間を買ってるとも言える訳だし」

「うーん…そう考えると、技術も手間も惜しまず美味しいお菓子を作ってくれて、しかも対価も求めないイリゼとかこんぱって、もしかして天使?」

「いや、天使じゃなくて女神なんだけど…」

「わたしも人ですよ、ねぷねぷ」

「大事なのはどういう存在なのかじゃないよ、そこにある気持ちだよ」

「ネプテューヌ…って、良い事言った風の雰囲気出して速攻意見を逆転させるんじゃないの」

 

 そんなやり取りも交わしながら、更にプリンとフルーツタルト作りを進める。タルトの形にした生地を改めて寝かし、その間にカスタードクリームや載せるフルーツを用意していく。

 プリンの方も、プリン液が完成し、それをさっきカラメルを入れた容器へと注いでいく段階に。…今更だけど、プリンとタルトでかかる時間同じなの?とか言わないでね?

 

「これでよし、っと。…ちょっとプリン液残っちゃったわね…」

「あいちゃん、あいちゃんっ」

「はいはい飲みたかったら後で飲みなさい。美味しいかどうかは知らないけどね」

「それじゃあプリンの方は蒸すですよー」

 

 鍋に容器を入れ、水を注ぎ、プリンを蒸しにかかる。ここで蒸すんじゃなくて焼くって方法もあるし、何ならオーブンじゃなくて電子レンジやフライパンで作れるレシピなんかもあったりする。流石に熱するような行程を一切行わないレシピなんかは見た事ないけど…だとしても、プリンに限らず色んなお菓子、色んな料理において、舌を巻くような驚きのレシピは数多く存在している。そういう事を考えると、料理っていうのはほんと創作というか、創意工夫で幾らでもレシピや完成の形を変えられるんだなぁって常々思う。…にしても私、今回は料理の事ばっかり考えてるなぁ…。料理してるんだから当然だけど。

 

「ここまでくると、ぐっとプリン感出てくるよねぇ。…まあわたしレベルになると、材料の時点でプリン感ばりばりに感じちゃうけどね!」

「どこで胸張ってんのよ…というかこんぱやイリゼなら、材料見て普通に『あ、プリンかな』って思うんじゃない?」

「…まぁ、思い付きはするね」

「あ、でもプリンの材料って種類が少ないですから、これだけで作る、って聞いてなかったら、まだ材料が揃ってないのかも…って思っちゃうかもです」

「言われてみると確かに、最低限の材料で作ってるって感じよね…工程もそこまで複雑な訳じゃないし、よくよく考えるとプリンってかなりシンプルなスイーツなのね」

「そう、シンプルにして奥深い…それがプリンなんだよ!プリン、なのだよっ!」

『なんで(ネプテューヌ・ねぷねぷ・ねぷ子)が偉そう(なの・なんです・なのよ)…』

 

 それがネプテューヌだからといえばそれまでだし、皆分かってる事ではあるけど、それでも呆れ気味に突っ込んでしまう。

 なんというか、突っ込みを引き出す才能に溢れてるよね、ネプテューヌって。分かり易いのは『ボケ』って形だけど、ついつい構ってしまう…どれだけ呆れてもなんだかんだ人が離れない、むしろ増えていくのも、根源は同じ。これがネプテューヌの『カリスマ性』で…私には、他の女神にはない、ネプテューヌだけの魅力。…勿論、私には私の魅力がある訳だけども。だって私も女神だもの。

 

「さて、もうタルトの方も良い時間だし、焼きに入ろっか」

「ほんとに?まだあんまり二回目の寝かせから時間経ってる感じないよ?そういう描写入れてある?」

「それに関する言及は似たような事をもう地の文でしたからいいの。行間でそれ位の時間が経った、以上!」

「…皆そうといえばそうだけど、イリゼって突っ込む割には全然メタ発言に躊躇いがないわよね」

「うっ…それは、否定出来ないけど……」

 

 苦笑気味なアイエフの言葉が、諸に刺さる。け、けどそもそもこのシリーズはそういう作風……って、また平然とメタ視点を…!……こ、こほんっ。

 気を取り直し、タルト生地をオーブンで焼く。焼いている間に載せるフルーツも用意する。

 

「イリゼちゃん、わたしが林檎をやるですから、オレンジの方はお願いしてもいいですか?」

「任せて。苺はアイエフにお願いしていい?ヘタを取って、二つに切ってくれればいいからさ」

「わたしは?わたしはー?」

「ネプテューヌは…バナナ?」

「わー、あからさまに一番楽そうなのが来た…えっと、バナナは皮を剥いてから切る?それとも皮ごと切る?」

「…そういえばネプテューヌ、料理自体はずっと真面目にやってるわね。発言はいつも通りふざけまくりだけど」

「そりゃそうだよ、ふざけて不味いプリンやタルトになったら悲しいし、食べ物で遊んだら雷様に舌を抜かれるって言うでしょ?」

「何か色々混ざってる気がするです…」

 

 ここまでは基本指示するだけのわたしとコンパだったけど、カットに関しては技術や経験が諸に出る部分だから、比較的難しいのは引き上げる。別に林檎やオレンジだって二人が切れない事はないと思うけども、フルーツタルトの果物は見栄えに直結するからね。

 

『〜〜♪』

「流石に二人共、手際が良いわね。速いし綺麗だし、尊敬するわ」

「うんうん、っていうか実だけのオレンジってほんと綺麗だよねぇ。…あ、こんぱこんぱ〜。こんぱってあれ出来る?あの、林檎の皮をくるくる〜って切り続けるやつ」

「出来るですよ〜。見てみたいです?」

「もっちろん!」

 

 まずは皮ごと切って、次に外側の厚い皮を、その後は内側の薄い皮を切る。そしてそれを称賛されて、内心気分が良くなっていると、ネプテューヌが林檎の皮剥きに関してコンパへ訊き、要望をコンパは快諾する。

 まだ何も切っていない林檎を手にし、コンパは包丁を沿わせるようにして皮を剥き始める。林檎を回して、上から下へと切った皮を伸ばしていく。切れた皮は薄く、殆ど実が抉れてはいない。…フルーツの皮剥きは私もまあまあ出来るけど、コンパにはまだ敵いそうにないなぁ……って、

 

「ちょっ、コンパ?皮全部剥いちゃってるけど、それでいいの?こっちの切った林檎は、皮残してるよね…?」

「あっ……」

 

 私の問いに、コンパは硬直。それからコンパは恥ずかしそうに笑い…ここにきて天然さを発揮するコンパだった。…皮を全部剥いちゃった林檎も、後でフルーツタルトとは別として美味しく頂きました。

 

「ん、時間ね。「答えを聞こう!」はいはい。これでプリンは完成、かしら?」

「がーん、雑に流された……」

「最後に冷やして、容器から外したら完成ですよ〜。あ、でも、カラメルが下でも良いなら、そのまま容器を使って食べてもいいかもです」

「市販のプリンなんからは、カラメルが下になってる事も多いしね」

「し、しかも流されたって反応すら流された…しょぼーん……」

 

 鍋からプリンの容器を移して、冷蔵庫を閉める。がっかりと肩を落とすネプテューヌの様子に、私達は苦笑を交わす。今日はボケに対する私の反応について、来て早々に言われたけど、ネプテューヌも大概反応に余念がないよね。

 で、冷やしている間にタルトが焼け、こちらも最後の工程…中に載せていく段階へ入る。絞り袋でまずクリームを入れ、それから切った果物を載せていく。

 

「どこにどの果物を載せるかは、結構センスが出るよ?二人共、大丈夫?」

「取り敢えずここを舞台だと思って、目を光らせたらいい?」

「誰が演劇ガールズの話をしたよ…アイエフは?先に言っておくけど、魔法陣とか作ろうとするのは流石に無茶だからね?」

「し、しないわよそんな事…けどセンスって言われると、何かこう一捻りしたくなるわね」

「一捻り…じゃあ左半分は下が見えない程ぎっしりフルーツを敷き詰めて、右半分は何も載せてないみたいな事やっちゃう?」

「それはもう一捻りどころか捻り過ぎて真っ二つになってるじゃない…」

「あ、もしかして今の、左と右で状態が真っ二つに分かれてる事と掛けてる感じ?上手いねあいちゃん!」

「流石はあいちゃんです〜」

「今の一瞬で思い付くのは、種類は違うけどセンスに溢れてるよね…」

 

 私達三人による立て続けの褒め言葉を受け、アイエフはきょとんとした後「え、あ、ま、まぁそうね。ざっとこんなものよ」と、ちょっぴり胸を張った。満更でもなさそうな表情をしていた。

 それを横目で見ながら、ネプテューヌは小声でこっそりと言ってくる。あいちゃん、間違いなく「そんなつもりはなかった」って内心思ってるよねぇ、と。分かってるのに敢えて煽てるなんて、ネプテューヌも人が悪いなぁ。人じゃなくて女神だけど。私もそれに乗った訳だけど。

 

(コンパは…どうかなぁ。素で言ってると思うけど…案外コンパも察してたりして)

「…って、そんな事はいいのよ。別に売りに出す訳でもないし、取り敢えず偏りがないように載せましょ」

「はーい」

 

 気を取り直し、ネプテューヌとアイエフがフルーツを載せていく。ここは心配するような場面じゃないし、仮に置く場所をミスしても置き直せばいいだけだから、私とコンパは二人に任せて軽く使い終わった物を片付けていく。

 

「二人共、結構悪くなかったよね。アイエフはきっちり分量を測ってたし、ネプテューヌも掻き混ぜる時は満遍なくやってくれたし」

「どっちも当たり前の事ですけど、そこを雑にしちゃうと味とか食感が変わってきちゃうですもんね」

 

 言葉を交わし、ふふっと私達は笑い合う。アイエフは大丈夫だとしても、ネプテューヌはやっぱりふざけそうな印象があるし、だから二人共真面目に、しっかりやってくれた事にはほっとした。ほっとしたし、私にとっては趣味になる位好きなお菓子作りに、二人が真剣に向き合ってくれた事は嬉しかった。

 そして、プリンの冷やしもタルトの仕上げも完了する。プリンとフルーツタルト、その両方が完成する。

 

「完成した…やったね皆!プリンもタルトも完成だよ!うーん、この出来栄え…正にプラネテューヌの精神が形になったかのようだよ!」

「プラネテューヌの精神が形になったかのようなプリンとタルトって一体…後、私もいるからね?神生オデッセフィアはプラネテューヌの属国じゃないからね?」

「でも確かに、これはねぷねぷとあいちゃんの頑張りが形になったプリンとタルトだと思うです」

「それを言うなら、コンパとイリゼの丁寧な指導が形になったプリンとタルトでもあるわよ。私とねぷ子だけだったら、この出来にはならなかった筈だもの」

「うんうん、わたしとあいちゃんだったら失敗どころか、ゲル状だったり名状し難い何かになってた可能性もあるもんね」

「いやないわよ、流石にそれはないから…」

 

 並べられた二つのスイーツを見て、ネプテューヌは感慨深そうな顔をする。それに肩を竦めつつも、アイエフも頬が緩んでいた。…気持ちは分かる。凄く分かる。完成した瞬間っていうのは、私…ううん、きっと多くの創作者にとって嬉しいものだから。

 さて、とにかく二つ共完成した。出来上がったんだから、後は食べるだけ…と言いたいところだけど、その前に一つやる事がある。それを、私は言う。

 

「二人共、先に片付けを済ませちゃうよ。別に先にやらなきゃいけない訳じゃないけど、そうした方がさっぱりした気持ちで食べられるでしょ?」

「そうね。ねぷ子、片付けもばんばんやるって言ったんだから……」

「んもう、分かってるってばー。皆、タルトが冷たくなっちゃう前に片付けるよー!」

 

 終始威勢の良いネプテューヌな訳だけど、言っている事は何も間違っていない…というか私が言い出した事だし、軽く頷いて四人で片付け。洗って、拭いて、棚や引き出しに戻す。ゴミは捨て、最後は調理台を軽く拭く。

 終わったところで、今度は人数分のお皿とプリン、フォークを出し、プリンやタルトと共に運ぶ。リビングでタルトを切って…テーブルを、囲む。

 

「じゃ、食事の挨拶は……」

「……!」

「…イリゼに頼もうかしら」

「えぇっ!?わ、わたしじゃないの!?」

 

 ショックを受けるネプテューヌの様子に、アイエフはにやりと笑う。まあ、表情と雰囲気に溢れてるレベルでやる気満々だったもんね。

 

「冗談よ、まあイリゼがやりたい場合は二人で話し合って頂戴」

「いやいや、ここはネプテューヌに譲るよ」

「それじゃあねぷねぷ、お願いするですっ」

「任された!えー、では…皆々様、本日はお集まり頂き……」

『まさかの固い挨拶!?』

「なーんてね。いっただきまーす!」

 

 一ボケ入れて、私達からの突っ込みを受けたところで、改めて…そしてシンプルな挨拶を口にし、ぱくんと早速プリンを一口。思わず私達が見つめる中、ネプテューヌはもぐもぐとし、飲み込み…表情が、輝く。

 

「う…う…うーまーいぞぉおおおおおおぉっ!」

「あはは、満足みたいですね、ねぷねぷ」

「うんうん、満足も満足、大満足だよ!この綺麗で艶やかな見た目、名前通りぷりんっとした食感、ばっちり甘いけど変に残ったりはしない甘さ…どれを取ってもばっちりオブばっちり、withばっちり!」

「全然意味が分からないけど、取り敢えずそこまで満足してもらえたなら、私達としても教えた甲斐があるってものだよ。アイエフもどう?」

「うん…うん、私も満足よ。フルーツタルトの方も、タルトのサクサク感がしっかりあるし、フルーツの酸味混じりの甘みとクリームの濃い甘みが丁度良い感じだし…正直、自分でもここまで美味しく出来た事に驚いてるわ」

 

 某料理会の総帥みたいな反応を見せるネプテューヌに苦笑しつつアイエフへと話を振ると、アイエフは数度頷いた後笑みを浮かべる。言葉通り、アイエフも自分の作った物に満足しているようで、続けてプリンも口にする。私やコンパも、食べ始める。

 二人の言う通り、どちらも凄く美味しかった。私達が大部分を指示したとはいえ、殆ど作業は二人がやった。つまり、この出来は間違いなく二人の成果で……大成功のスイーツだと、心から思う。

 

「ねぷねぷ、あいちゃん、お菓子作りはどうだったですか?楽しかったです?」

「すっごく楽しかった!楽しくて美味しい物も食べられる、これぞ正に一石二鳥だね!」

「私もよ、まあ楽しく出来たのは二人のおかげで悩んだり失敗したりせずやれたから…っていうのも大きいけどね」

「あー、それはそうかも。一人でやる事を考えたら、これからもわたしはイリゼやこんぱに作ってもらいたいなー」

 

 そう言いながら、ネプテューヌは私とコンパにちらっ、ちらっと視線を向けてくる。何ともまあ太々しいその態度に、私達は今日何度目か分からない苦笑を漏らす。ほんと、太々しいというか、図々しいというか…でも憎たらしさはない、むしろこれも一種の愛嬌を醸し出しているんだから、ある意味本気で凄いと思う。私もこうなりたい…とは思わないけど。

 

「んー…もしまたこういうタルトを作る事があれば、その時はちょっとフルーツをカラメリゼしても良いかもね」

「絡めイリゼ?辛イリゼ?」

「言うと思った…カラメリゼ、砂糖とか砂糖水とかを焦がしたり、煮詰めたりする調理法だよ。ほら、ちょっと焦げた感じの砂糖でコーティングされたフルーツとかあるでしょ?」

「コーティングされたのは、見た事あるかも。…あれ、もしかしてそれって、バーナーで焦がしてたりする?TVでそういうの見た事あるよーな…」

「焦がしてたりするですよー。クリームブリュレなんかもそうですし、マシュマロを焼くみたいに、結構バーナーを使う調理法は多いです」

「お菓子以外でも使ったりするでしょ、肉とかチーズとか」

「はへぇ…なんか今日一日で、わたし料理の知識がかなり増えた気がする!」

 

 今コンパとアイエフが言った通り、今回はやらなかったけど、バーナーで焦がす…というか炙る調理法は多い。シンプルに、ただ炙るだけでもより美味しくなったりするし、バーナーを使ってお菓子に焦がしを入れる事は、私だってやった事がある。

 そんな風に雑談を交わしながら、食べ進める。柔らかいプリンと、しっかり硬さのあるタルトで味だけじゃなく食感もかなり違うし、交互に食べるのもまた楽しい。さっき二人が言った通り、作っている間も楽しくて…今日の料理の事を振り返りつつ、一度私はスプーンを置く。

 

「…ねぇ、ネプテューヌ。どうして今日は、一緒にお菓子を作ろうなんて思ったの?」

「へ?それは、作る前にも答えなかったっけ?」

「うん、でもそれは『一緒に』に対する答え、作ってもらうじゃなくて、自分も作る側に回る理由の答えだったでしょ?…いやまぁ、その答えもはっきりしたものじゃなかったけど…」

「思い付き、だったですね。でも、ねぷねぷらしい理由だと思うです」

「あはは、それは同感。…だから、訊き方を変えた方がいいかな。どうして今日は、わざわざ私も誘ってくれたの?ただ、自分もお菓子作りをやってみたいってだけなら、私を誘う必要はないよね?なのに誘ってくれたのは、どうして?」

 

 私は疑問だった。プラネテューヌにはコンパがいて、コンパ一人でも指導役は十分な筈なのに、何故わざわざ私まで…神生オデッセフィアにいた私の事まで誘ってくれたのかが。勿論誘ってくれたのは嬉しいけど、それはそれとして気になっていた。ネプテューヌの事だから、「やるなら大人数の方が楽しいじゃん?」…って言うかもしれないし、そういう理由でも理解は出来るけど…そうなると、今度はどうしてプラネテューヌ外から呼ばれたのが私だけなのか、って点が気になる。そういう思いがあったから、私はネプテューヌに訊き…するとネプテューヌは頬を掻いて、珍しくちょっぴり気恥ずかしそうな顔をしながら、言う。

 

「…久し振りに、こういう時間を過ごしたかったんだ」

「こういう時間…?」

「ほら、前はイリゼもプラネテューヌにいて、プラネタワーに住んでたから、何もなくても…っていうか、お互い何もない日は普通に毎日会ってたし、こんぱやあいちゃんもプラネテューヌにいるから、四人でいる事も多かったでしょ?でも、イリゼは神生オデッセフィアを建国して、その守護女神になったから……」

「あ……」

 

 これまでは普通にあった、日常だった時間が、今はもうそうじゃないから。…そんなネプテューヌの答えに、私ははっとする。

 これまでそれを、考えてこなかった…なんて事はない。むしろ何度もあった、何度も考えてきた。今でこそ神生オデッセフィアの生活に慣れてきているけど、神生オデッセフィアに…浮遊大陸に移ったばかりの頃は、何度もそれを感じていた。セイツも一緒に来てくれて、イストワールさんも暫くは側で私を支えると言ってくれて、私を信仰してくれている皆も神生オデッセフィアに来てくれたから、孤独感はなかったけど…それでも、私が望んだ道を、新たな未来を手にしたのと引き換えに、それまでは当然だったものが変わってしまった、なくなってしまったのだという現実は、少なからず私の心に響いていた。後悔はなくとも、確かに惜しさはそこにあった。

 そして…その思いは私だけのものじゃなかったんだと、ネプテューヌも感じていたのだと、初めて知った。見回してみれば、コンパやアイエフもネプテューヌへ理解を示すような瞳をしていて……

 

(あぁ、そっか。皆、そうだったんだ。私が皆との日々を、大切に思ってたみたいに…皆も、私との日々を、大切に思ってくれてたんだ…)

 

 皆同じ気持ちだった。皆も私を思ってくれていた。…それが、嬉しかった。胸を張れる感情ではないけど…凄く、嬉しかった。だから私も、言葉を返す。感謝と、今私の中にある素直な思いを。

 

「…ありがとう、ネプテューヌ。今日は私を誘ってくれて。コンパとアイエフも、一緒の時間を過ごしてくれて。今日は凄く楽しかった。お菓子を作る時は、いつも楽しいけど…いつもより、ずっとずっと楽しくて、煌めいていた。だから…今度は神生オデッセフィアでやろ?お菓子作りじゃなくてもいいから、またこうして皆で集まれたらいいな」

「イリゼ…そんなの、言われるまでもない事だよっ!ね?こんぱ、あいちゃん」

「そうですっ。イリゼちゃんが誘ってくれるなら、いつでも行くですよっ」

「守護女神になっても、そういうところは…ううん、そういうところ以外も、イリゼは変わらずイリゼなのね。えぇ、私も同じ気持ちよ」

 

 ネプテューヌは満面の笑みを、コンパは柔らかな笑みを、アイエフは優しい笑みをそれぞれ浮かべて、私の思いに応えてくれる。私が目覚めた日、『複製体のイリゼ』の日々が始まってから、一番最初に出会った三人が、今もこうして私を思ってくれて、私と気持ちを共有してくれる。…本当に、私は幸せ者だと思う。私と皆との日々は、私の歩む道が変わった事で、これまで通りじゃいかなくなっちゃったけど…皆との繋がりは、消えない。消えたりはしない。

 

「よーっし!ネプテューヌ、エンジンばりばり掛かったよーっ!」

『エンジン?』

「うんっ。わたしはこれまでも普段はのんびり気楽に仕事をする事で皆も心に余裕を持って仕事出来るようにしつつ、でもいざという時はきっちりと決める、良い女神だった訳じゃん?」

『…………』

「お、恐ろしく冷たい視線が…っていうかこんぱまでしてる!?」

「いや、その…ねぷねぷは凄く良い女神様だと思うですし、これからもねぷねぷの事は応援するですけど…流石のわたしも、のんびりしてるのがただの素だって事はもう十分知ってるですから……」

 

 後半はともかく、前半は頂けない。結果的にそういう側面が生じていたりはするのかもしれないけど、それを自分の成果みたいに言うのは違うでしょう。そんな意図を込めて私達が視線を向ければ、ネプテューヌは気圧されていた。

 

「あはは…うん、まぁ…そうだよね。わたしも、それは分かってるよ。分かってるっていうか…どんどんどんどんネプギアが成長して、状況はどうあれ一度は実力でわたしを上回った事すらあったし、イリゼも今は守護女神の道を…自分で国を興して、信仰してくれる皆と共に新しい道を切り開いて…他の皆の頑張りとか、信次元に住む皆の未来を信じる姿とかを見て、わたし自身自分を振り返るような事もあって、わたしも思ったんだ。わたしはわたしだし、わたしらしさを捨てる気なんてないけど…わたしらしいまま、もっと頑張ってもいいんじゃないかな、って」

 

 真面目な顔…って程ではないけど、真剣さを感じさせる表情と声で、ネプテューヌは言う。自分の感じた事、思っている事、それにこれから向かおうとしている先を。

 もしかしたら、今さっきの発言は、ネプテューヌの照れ隠しだったのかもしれない。自分が頑張るなんて言っても、冗談だと思われちゃうかもしれないから…そんな風に思って、つい自分からふざけてしまったのかもしれない。

 だけど…私は、私達は知っている。色々穴のある女神だけど、ネプテューヌの国民を、皆を思う気持ちは本当だって。魔王ユニミテスの時は、それが悪い方に出ちゃった時もあったけども…それも思いがあってこそ。そして、ネプテューヌが頑張ろうと思うのなら…ネプテューヌなりに、ネプテューヌらしく進もうとするのなら、ここにそれを否定したり、ましてや笑うような人は、誰もいない。

 

「…だからさ、皆ももし良かったら、力を貸してくれないかな?勿論頼りっ切りじゃなくて、あくまでまずわたしが全力で頑張って、その上でって話だけど……」

「ふふっ…勿論ですよ。ですよね?あいちゃん、イリゼちゃん」

「ま、そもそもこれまでだって散々支えてきた訳だからね。…今更そんな事言われなくたって、力位貸すわよねぷ子」

「私もだよ、ネプテューヌ。今は守護女神同士、これまでと全部同じ形での協力は出来ないけど…私達、友達でしょ?」

「皆ぁ……!」

 

 さっきのネプテューヌを真似するようにコンパが言い、私とアイエフがそれに頷く。私達の言葉に、ネプテューヌは感極まったような顔をして…それから、立ち上がる。

 

「うぅ、やっぱり持つべきは友だよ!皆大好きっ、わたしもこれまで通り、皆が困った時はいつだって力を貸すからね!」

「頼りにしてるよ。…けど、頑張るのって大変だよ?それは分かってるよね?」

「分かってる分かってる!…あ、でも今はまだ、普通にのんびりしても良いよね?折角四人で美味しいプリンとフルーツタルトを食べてるんだもん。今日は最後まで、皆でわいわい楽しくしよ?」

 

 やたら軽い調子で返してきたネプテューヌに、全くもう…と思った私だけど、続く言葉には完全に同意。ネプテューヌだけじゃなく、私だって頑張らなきゃいけない。まだまだ頑張らなくちゃ、私も神生オデッセフィアも、遥か先を行くネプテューヌ達や四つの国の背中すら見えない。

 でも、それはそれ、これはこれ。私も今は、この時間を楽しみたいから、大切にしたいから、そうだね、と笑って…プリンとフルーツタルトに舌鼓を打ちながら駄弁って、その後はゲームをして、盛り上がって…ネプテューヌとコンパとアイエフと、四人で心から楽しいと感じる時間を過ごすのだった。




今回のパロディ解説

・「〜〜邪魔するなら帰ってねー〜〜」、「開口一番新喜劇〜〜」
よしもと新喜劇及び、新喜劇におけるお約束ネタの一つの事。わざわざ神生オデッセフィアから来た訳ですし、仮に言われてもまあ当然帰ろうとはしませんよね。

・「〜〜ペットボトルロケット〜〜割りまくっちゃって……」
星屑テレパスの登場キャラの一人、雷門瞬の行動のパロディ。ネプテューヌが食べ物に腹いせするならナス…でしょうか。でも、潰したら匂いがしてしまうから…という事でやっぱりやらないかもですね。

・「〜〜こげる!はやく!〜〜」
ポケモンシリーズにおける、ポフィン作りの際に出てくる表示の一つの事。そんな表示は出てきませんが、実際回すべきところでちゃんと回さないと、焦げはするでしょう。

・「誰が演劇ガールズ〜〜」
ワールドダイスターにおけるプロジェクト名の事。女神の場合、目が光るというか、目に電源マークが浮かびますね。まあ、それが暗い所では光っているように見えるかもですが。

・「〜〜プラネテューヌの精神が形になったかのようだよ!」
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORYに登場するキャラの一人、アナベル・ガドーの代名詞的な台詞の一つパロディ。プラネテューヌの精神って…なんなんでしょうね。

・「〜〜ゲル状だったり〜なってた可能性〜〜」
東亰ザナドゥにおける料理で失敗した場合のパロディ。そういえば、ネプテューヌシリーズではゲテモノ料理や食べ物と呼べない何かを作ってしまう、みたいなネタってなかった気がします。

・「う…う…うーまーいぞぉおおおおおおぉっ!」
ミスター味っ子に登場するキャラの一人、味皇の代名詞的な台詞のパロディ。実際この時は、口から光を出していたかもしれません。当然そんな能力はネプテューヌにはありませんが。




 OSにおける通常の投稿は、これにて一先ず完結しようと思います。コラボが非常に多い作品となってしまいましたが、これまでお付き合い頂き、ありがとうございました。
 とはいえ、まだ終了ではなく、数話程作品情報を投稿しようと思います。良ければそちらも読んで下さい。
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