ハドラーちゃんの強くてニューゲーム   作:モッチー7

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第51話

ホーモン、クレオ、ガンガディア、ガッルールが大魔王バーンの天地魔闘の構えの前に敗れ、『瞳』と呼ばれる宝玉に変えられてしまった。

最早我慢の限界だったハドラーちゃんの眼前にフレイザード2号の背中が立ち塞がった。

「つっ!?……フレイザード?」

「待ちなよハドラーちゃん!私の番がまだでしょ!」

バーンは呆れる様に溜息を吐いた。

「意外と手駒が多い様だな?ハドラー」

対するフレイザード2号は余裕をもって宣言する。

「そして!ハドラーちゃんが大魔王バーンを処刑する為に使う手駒は、私で最後だ」

自信満々なフレイザード2号を睨むバーン。

が、その前に幾つか説明をしなければならない様だ。

「先ずはその前に。竜の騎士(ドラゴンのきし)のバランが1度竜魔人になられましたので、エリクサーを飲んで貰って、体力と魔力を変身前の満ち溢れていた状態に戻って貰いました」

フレイザード2号の説明に呆れるバーン。

「バランを治療しただと?下手したら、余だけでなく貴様らにとっても竜の騎士(ドラゴンのきし)が貴様らの敵になるやも知れぬのにか?」

対するフレイザード2号は鼻で笑った。

「その台詞が出る時点で、アンタはハドラーちゃんの事、何も解ってない!」

その言葉にハドラーちゃんはある意味納得した。

「ふっ、余計なお膳立てを」

「つまり……余を倒した後は竜の騎士(ドラゴンのきし)も血祭りにあげるか。大層な余裕だな!?」

「そうじゃないんだよ。バーン」

「ん?」

「ハドラーちゃんはね、勝つのが好きなんじゃねぇんだ……戦うのが好きなんだよ。そう、相手に悪口を言わせる余裕が無い程の綺麗な勝ちがね」

フレイザードの主張に呆れるマトリフ。

「……相変わらずの脳筋だなぁー。お前ら」

だが、その直後にフレイザード2号のトーンが変わった。

「でもね、組織運営はそんな綺麗事だけじゃ上手くいかない。それなりの卑怯はしないと長続きしない。けど、ハドラーちゃんは進んでその様な事をする()じゃない。だからこそ……」

フレイザード2号は自分の胸を叩きながら宣言する。

「ハドラーちゃんがやりたがらない汚れ仕事は、全部この私が引き受ける!ハドラーちゃんと言う神輿を汚れから護る卑劣な盾。それがこの私、フレイザードの役目よ!」

「フレイザード2号……お前……」

フレイザード2号の宣言に対して呆然とするハドラーちゃん。

ただ、アバンはその宣言にお人好しな矛盾点を感じていた。

(そんな事を言ってる時点で、私は貴女が卑怯者には見えない。本当の卑怯者は、むやみやたらに自分を傷付けるなんて事は、絶対にしないのですから)

 

「で、卑劣な手で余の天地魔闘の構えを破ると宣言したは良いが、実際にどの様な方法で?」

バーンの質問に対し、フレイザード2号は自信満々にある物を懐から取り出した。

「それは……こいつの訊いてみな!」

フレイザード2号が持っていたのは、フレイザード2号が先程倒したキルバーンの生首であった。

「……で?それでは、ただの自慢ではないか」

傍から見たら確かにそう見える。

「貴様がキルバーンを殺した。それだけの話だ」

その直後、フレイザード2号が人を馬鹿にしたかの様な笑い方をした。

「……ふふふふふふふふ。バーン様は、キルバーンについて何かお忘れな事が有りませんかな?」

「そうだったな。Kill Vearn……余の計画の経過次第では、たちどころに余を殺す暗殺者へと早変わりする……だったか?」

「で、その方法は?」

「もはや知る術はあるまい。貴様がキルバーンを殺してしまったのだからな」

それを聴いたフレイザード2号が嬉々として種明かしを行う。

「これを観てもまだそんな事が言えるかぁー!?」

フレイザード2号がキルバーンの生首から仮面を引っぺがす。

だが、出てきたのはキルバーンの素顔……ではなく……

「な!?」

「なるほど。その手があったか」

「そう。その手があるのさ……大魔王バーン様が大好きな黒の核晶(コア)がね!」

黒の核晶(コア)が何なのかを知らぬアバン達はキョトンとしているが、前の時間軸にてバランとの決着を邪魔された時の事を思い出して蒼褪めるハドラーちゃん。

「何で……こんな所に黒の核晶(コア)が……」

「勿論、あそこにいる大魔王バーン様を……殺す為です」

「ヴェルザーめ……そこまでしてこの地上が欲しいと言う訳か?呆れた智慧ある竜だな」

「あの方は竜らしくないんだ。人間みたいに欲深い……こんな風にね!五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)!」

そして……フレイザード2号は五指爆炎弾(フィンガー・フレア・ボムズ)を使ってバーンの眼前でキルバーンの生首に入ってる黒の核晶(コア)を起爆した。

 

フレイザード2号にこう説得されたバラン。

「こういう時こそ、万全な体制で戦える状態に戻す事こそ重要。大魔王バーンを斃さないと意味が無いからね。さっきも竜闘気砲呪文(ドルオーラ)を1発撃っちゃったし」

と言う訳で鬼岩城の玉座の間に戻され、エリクサーを飲みながらフレイザード2号の帰りを待たされる竜の騎士(ドラゴンのきし)バラン。

「どうやら……俺は歴代最低の竜の騎士(ドラゴンのきし)になりそうだな」

そこへ、フレイザード2号がハドラーちゃんと共に合流呪文(リリルーラ)でバランの許へ。

2()()だけか?バーンはどうした?」

フレイザード2号が自信満々に答える。

「消し飛ばしたよ。キルバーンが隠し持っていた黒の核晶(コア)を使ってね♪」

「使った!?黒の核晶(コア)をか!?」

「うん♪」

バランは、目的の為なら黒の核晶(コア)を平気で使うフレイザード2号の悪しき度胸に呆れた。

「貴様……鬼だな」

「だが、大魔王バーンをこのまま野放しにしたら、地上界はもっと大変な事に成っちゃうよ?」

帰す言葉を失い困り果てるバラン。

そこへ、爆音と共に何かが飛んで来て、強烈な破裂音と伴う噴煙を発生させた。

「チッ!あいつらも無事って訳?」

「舌打ち!?フレイザード2号、お前まさか!?」

「そのまさかだよ」

砂煙の中から出て来たのは、マトリフの瞬間移動呪文(ルーラ)を使って鬼岩城に戻って来たアバン達であった。

「卑劣な汚れ役執行人を自称するだけあって、あぶねぇ事してくれるぜぇ。気付くのがあと数秒遅ければ、俺達はあの光の中でお陀仏だったよ」

「フレイザード……お前……」

フレイザード2号は、暫くハドラーちゃんへの言い訳を思案していたが、バランに言われたある言葉を思い出し、別の意味で顔が青くなった。

「……あれ?……バラン……お前今、『2人』って言ったよな?」

嫌な予感がしたフレイザード2号は自分の足下を確認し、あるのは4つの宝玉だけだと気付いて更に蒼褪める。

「……まさか……」

「その、まさかだ」

フレイザード2号の前に立っていたのは、キルバーンが隠し持っていた黒の核晶(コア)の爆発に巻き込まれた筈のバーンであった。

「嘘……でしょ……」

「嘘なモノか。あそこの人間共ですら逃れられる攻撃如きで、この余を倒せると、本気で思っていたのか?だとしたら、自称卑劣漢が聞いて呆れる」

フレイザード2号は慌てて極大消滅呪文(メドローア)を放とうとするが、バーンが呑気にそんなの待つ筈がなく、

「カラミティエンド!」

「ぐお!?」

バーンの強烈な手刀がフレイザード2号の体を斬り裂き、その勢いでフレイザード2号を『瞳』に変えてしまった。

「フレイザード!?」

 

瞳と化したフレイザード達を拾い上げたハドラーちゃんが、その元凶であるバーンに斬りかかろうと立ち上がりかけたが、バランに肩を押されて片膝をつかされた。

「どけ」

「バラン!?貴様、何をする!?」

「どうやら……いよいよ竜の騎士(ドラゴンのきし)の番の様だな?」




『天地魔闘の構え』攻略法を試す展開第4弾。

質もダメ。
量もダメ。
霞の呼吸もダメ。

となると、もうめんどくさいからキルバーンが隠し持っていた『黒の核晶(コア)』で一気に吹き飛ばしてしまおうと成った訳ですが……
フレイザード2号がカッコ良く『ハドラーちゃんの為に汚れ役を引き受ける卑劣漢』宣言しておいて、あっけなく失敗して大恥かいただけでした(汗)。

と言う訳で、次回は満を期して竜の騎士(ドラゴンのきし)バランの番です。
果たして……
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