軽蔑してた男とパーティーを組ませられ旅することになったが道中助けられる内懐いていく天才と呼ばれているが周りに味方と言える人おらず精神的に参っていた心の底で家族を欲しがってる天涯孤独のロリ魔法使いちゃん 作:柿ノ本
オリジナル:ファンタジー/恋愛
タグ:勇者 魔法使い オリジナル 純愛 ロリ シナリオ形式
魔法使いちゃん「どうしてあなたみたいなのが抜擢されたんでしょうか」
魔法使いちゃん「知ってるのかって?」
魔法使いちゃん「ええ、お噂はかねがね」
魔法使いちゃん「勇者のくせに人一倍ちゃらんぽらん」
魔法使いちゃん「魔物から逃げたことは数知れず」
魔法使いちゃん「よく賭場で見かけるという話も聞いたことがあります」
魔法使いちゃん「多分、この国の勇者の中で一番舐められているのがあなたです」
魔法使いちゃん「褒めてませんので」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「はぁ……」
魔法使いちゃん「しかし、国王様直々のご命令です」
魔法使いちゃん「曲がりなりにも、私も国に仕えている身」
魔法使いちゃん「コネどころか、身寄りすらなかった私を拾い上げ、魔法教育まで施してくれたのはこの国です」
魔法使いちゃん「それに、魔王の復活で活発化した魔物に困っている人々がいるのは事実」
魔法使いちゃん「微力ながらも、恩返しをば……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……本当に、どうしてあなたが選ばれたのでしょうか」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「なんですか」
魔法使いちゃん「何度も呼ばなくても、一度目で聞こえています」
魔法使いちゃん「……報告ですか、連絡ですか、相談ですか」
魔法使いちゃん「まだ魔物や野獣が出てくるマップには入っていないと思いますが」
魔法使いちゃん「……雑談、ですか」
魔法使いちゃん「はぁ……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「よく聞いてください」
魔法使いちゃん「一度しか、言いません」
魔法使いちゃん「私はあなたと仲良くするつもりはありません」
魔法使いちゃん「魔王を倒して、世界が平和になるまでの同行者」
魔法使いちゃん「それが私とあなたの関係です」
魔法使いちゃん「この先の道中でも、私たちの関係はそれっきりです」
魔法使いちゃん「雑談の必要なんて、そこに入り込む余地はありません」
魔法使いちゃん「……そもそも、殿方と二人きりで長旅なんて、一体どういうお考えで国王様は……」
魔法使いちゃん「……失礼」
魔法使いちゃん「兎にも角にも、私はあなたと仲を深めるつもりはありません」
魔法使いちゃん「加えて、この旅において私は貴方を異性として扱いません」
魔法使いちゃん「あなたも同じように、私を女として見ないように」
魔法使いちゃん「わかりましたか?」
魔法使いちゃん「子供を異性としては見れない?」
魔法使いちゃん「は?」
魔法使いちゃん「子供じゃありませんけど?」
魔法使いちゃん「国から認められた魔法使いなんですけど?」
--
魔法使いちゃん「フーッ……フーッ……」
魔法使いちゃん「キツくなんて、ありません……」
魔法使いちゃん「疲れても……いません……!」
魔法使いちゃん「手助け、無用、です……」
魔法使いちゃん「ペースも、落とさなくて、構いません……!」
魔法使いちゃん「また……止まったら……旅の進行に支障が……!」
魔法使いちゃん「……っ」
魔法使いちゃん「結構っ……です……自分の荷物くらい……自分で、持てます……!」
魔法使いちゃん「いい、からっ……」
魔法使いちゃん「……っ、触らないで!」
魔法使いちゃん「ゼーッ……ゼーッ……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……すみません」
魔法使いちゃん「やはり、一度休憩を……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……すみません」
魔法使いちゃん「また、足を引っ張ちゃって……」
魔法使いちゃん「それに、今回も結局、そのまま野営の準備までさせちゃって」
魔法使いちゃん「……まだまだ旅は長い?ゆっくりでいいし、助け合いが一番大事?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「そう、ですね……」
魔法使いちゃん「すみません、私、少し意固地になってました……」
魔法使いちゃん「……え?」
魔法使いちゃん「少しじゃない?かなり?」
魔法使いちゃん「は?」
魔法使いちゃん「全然少しなんですけど?」
魔法使いちゃん「私が拗ねたらもっと頑固なんですけど?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「おはようございます」
魔法使いちゃん「昨晩は、すみませんでした」
魔法使いちゃん「それと、その……ありがとうございます」
魔法使いちゃん「おかげで、しっかり休めました」
魔法使いちゃん「荷物も軽く感じます」
魔法使いちゃん「しばらくは、昨日のように迷惑かけることはないと思います」
魔法使いちゃん「今日も張り切って、次の目的地へ向かいましょう」
--
魔法使いちゃん「……凄い歓迎ですね」
魔法使いちゃん「いくら国公認の勇者一行とはいえ」
魔法使いちゃん「こんな二人だけのパーティーでも、ほぼ村総出で」
魔法使いちゃん「消耗品を揃えたらすぐに発つつもりでしたが」
魔法使いちゃん「まあ?旅の疲れもありますし?」
魔法使いちゃん「今日のところは、ご厚意に甘えてしまってもいいかもしれませんね」
魔法使いちゃん「宿も既に用意してくれているらしいですよ」
魔法使いちゃん「親切な人達ですね」
魔法使いちゃん「村長さんが待っているそうです」
魔法使いちゃん「挨拶に行きましょうか」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「聞いてません」
魔法使いちゃん「近くに魔物が縄張りを作ってしまったから、家畜や人が襲われることがある、どうにかして欲しいって」
魔法使いちゃん「あの歓迎ムードはそのためだったんですね」
魔法使いちゃん「返事は明日でいいと言ってはいましたが……」
魔法使いちゃん「私たちの仕事ではありません」
魔法使いちゃん「魔王を倒すのが先決です」
魔法使いちゃん「心苦しいですが、先を急ぎましょう」
魔法使いちゃん「……は?引き受ける?」
魔法使いちゃん「解決するまで滞在する?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……いえ」
魔法使いちゃん「ここまで来るのに、当初の予定より遅くなったのは私のせいです」
魔法使いちゃん「なので、ここは勇者さまに従います」
魔法使いちゃん「従います、けど……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「あ、はい」
魔法使いちゃん「明日の朝、村長さんに引き受けることを伝えに行くんですね」
魔法使いちゃん「わかりました……」
魔法使いちゃん「はい、また明日……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「魔物……」
魔法使いちゃん「もう、寝よう……今日も歩き疲れたし……」
魔法使いちゃん「あ、ベッド……久しぶりだ」
魔法使いちゃん「柔らかい……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「勇者さまー!」
魔法使いちゃん「勇者さまー!?」
魔法使いちゃん「いない……朝っぱらから一体どこに……」
魔法使いちゃん「宿の人は早朝に出て行ったって言っていたけど……」
魔法使いちゃん「あ……」
魔法使いちゃん「はぁ……いた……」
魔法使いちゃん「勇者さま」
魔法使いちゃん「朝から何をしているんですか」
魔法使いちゃん「今日は村長さんのところに行くって言っていましたよね」
魔法使いちゃん「なのに、こんなところで子供と遊んでいたのですか?」
魔法使いちゃん「自分の発言には責任を持ってください」
魔法使いちゃん「その子は……昨日、私たちの道案内をしてくれた子ですね」
魔法使いちゃん「その節はありがとうございます」
魔法使いちゃん「でも、あまり勇者さまを連れ歩かないでください」
魔法使いちゃん「勇者さまも、子供に手を引かれて連れ去られず自分をしっかり持ってください」
魔法使いちゃん「今、村長さんとお話をしに行くことよりも大事なことがあるんですか?そもそも一体どこに……」
魔法使いちゃん「……え?」
魔法使いちゃん「お墓参り?この子のお父さんの……」
魔法使いちゃん「そう、ですか……つい先月魔物に……」
魔法使いちゃん「……それは」
魔法使いちゃん「……それは、すみませんでした」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「村長さん、喜んでいましたね」
魔法使いちゃん「国に討伐依頼を出せば、高額な報酬を払わなければいけません」
魔法使いちゃん「この村にそんなお金は無い、と」
魔法使いちゃん「ここら辺は交通の要所にも、観光地にもなり得ませんもんね」
魔法使いちゃん「外からお金が入らない」
魔法使いちゃん「つまり、国に助けを求めるなんてもっての外」
魔法使いちゃん「だから、魔物のなすがまま」
魔法使いちゃん「たまにやってくる冒険者か、私たちのような勇者一行が訪ねるのを待つしかない」
魔法使いちゃん「昨日の歓迎も、相当無理をしていたようですし……」
魔法使いちゃん「……同じように苦しんでいる村は、この国にいくつもあるんでしょうね」
魔法使いちゃん「……っ!……静かにって、なんで……」
魔法使いちゃん「近い?」
魔法使いちゃん「……!ま、魔物……!」
魔法使いちゃん「え、あ、やだ」
魔法使いちゃん「あ、魔法」
魔法使いちゃん「魔法出さなきゃ」
魔法使いちゃん「まだダメって……」
魔法使いちゃん「どうして!」
魔法使いちゃん「まだこっちに気がついてないんですよ!先手を打たないと!」
魔法使いちゃん「あ」
魔法使いちゃん「こっち向いて」
魔法使いちゃん「う、わ」
魔法使いちゃん「えっと」
魔法使いちゃん「魔法ってどう出すんだっけ」
魔法使いちゃん「あ、間に合わな」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……あれ、生きてる」
魔法使いちゃん「というか、魔物が死んで……」
魔法使いちゃん「あ、勇者さま……」
魔法使いちゃん「……これ、全部お一人で……?」
魔法使いちゃん「……!ち、血塗れ……!すぐに手当てを……!」
魔法使いちゃん「返り血?」
魔法使いちゃん「え、えっと……怪我とかは……」
魔法使いちゃん「あ、擦り傷を一つか二つ……」
魔法使いちゃん「……あんまり意味ないかもしれませんが、一応治癒魔法をかけますね……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……その」
魔法使いちゃん「お強いんですね」
魔法使いちゃん「噂では、よく魔物から逃げると」
魔法使いちゃん「余計な殺生は避けたい……ですか」
魔法使いちゃん「……すみませんでした……」
魔法使いちゃん「何が……って」
魔法使いちゃん「初対面のときに、いきなり失礼なことを言って……」
魔法使いちゃん「……気にしてないって……で、でも……!」
魔法使いちゃん「わぷっ」
魔法使いちゃん「あ、頭撫でないでください……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……はい」
魔法使いちゃん「帰りましょう……村に」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「わ……また、すごい歓迎……」
魔法使いちゃん「……私は、端っこに行ってますね……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「あ、朝の……」
魔法使いちゃん「……お父さま、ご愁傷様でした」
魔法使いちゃん「仇は、勇者さまが取ってくれましたよ……」
魔法使いちゃん「……?」
魔法使いちゃん「お祝いの食べ物、って」
魔法使いちゃん「それなら私じゃなく、勇者さまに……」
魔法使いちゃん「私はなにも……」
魔法使いちゃん「……え?勇者さまが?」
魔法使いちゃん「何も食べてないだろうから渡してきて欲しいって?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「え、いや、私にお礼を言われましても」
魔法使いちゃん「……私は、魔物を前にしても動けませんでした」
魔法使いちゃん「全部、勇者さまが倒したんです」
魔法使いちゃん「それだけじゃありません」
魔法使いちゃん「私は、この村の現状を知っても無視して次の場所に行こうと提案しました」
魔法使いちゃん「私がいなかった方が、もっとスムーズに……」
魔法使いちゃん「私が、私が足を引っ張って……」
魔法使いちゃん「……?それでも……?」
魔法使いちゃん「それでも、私と勇者さまがこの村を助けてくれたことに変わりはない?」
魔法使いちゃん「あ……行っちゃった……」
魔法使いちゃん「冷める前に食べてって……」
魔法使いちゃん「……私、何もできなかったのに……」
魔法使いちゃん「……もっと」
魔法使いちゃん「もっと頑張らなきゃ……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「お墓参りも済ませましたし」
魔法使いちゃん「では、出発しましょうか。勇者さま」
魔法使いちゃん「……親切な方々でしたね」
魔法使いちゃん「女神さまの加護があらんことを」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
--
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……ふぅ」
魔法使いちゃん「ここは、霧が深いですね」
魔法使いちゃん「野営には不向きそうです」
魔法使いちゃん「魔物の生息地でもありますし……」
魔法使いちゃん「今夜は歩き続けましょう」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……え?探知魔法?」
魔法使いちゃん「使えますけど……」
魔法使いちゃん「見晴らしは悪いところでは常に周りを見渡す感じで発動しておく……」
魔法使いちゃん「なるほど、覚えておきます」
魔法使いちゃん「では早速……」
魔法使いちゃん「っ!」
魔法使いちゃん「魔物……」
魔法使いちゃん「……か、囲まれてます」
魔法使いちゃん「え、あ、えと」
魔法使いちゃん「あ、魔法」
魔法使いちゃん「なに、何使えば」
魔法使いちゃん「な、なんですか!こんなときに!」
魔法使いちゃん「え?深呼吸?」
魔法使いちゃん「今そんな場合じゃ……!」
魔法使いちゃん「いいからって……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……すぅー……」
魔法使いちゃん「……はぁー……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……はい、落ち着きました……」
魔法使いちゃん「え、目を閉じて待ってろって……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「わっ!」
魔法使いちゃん「あ、ゆ、勇者さま」
魔法使いちゃん「終わったんですね……」
魔法使いちゃん「ありがとうございます……」
魔法使いちゃん「は、はい、先を急ぎましょう……」
魔法使いちゃん「あ、探知魔法……」
魔法使いちゃん「……大丈夫みたいです、もう、周りにはいないみたいです」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
--
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「ふぅー………」
魔法使いちゃん「着きましたね!魔法都市!」
魔法使いちゃん「楽しみにしてたんですよ!」
魔法使いちゃん「あ!さっそく魔道具専門店!」
魔法使いちゃん「しばらく別行動で!夕方になったら合流しましょう!」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「ん〜〜〜!美味しい!」
魔法使いちゃん「最近は固いパンに薄いスープ、干し肉ばっかりでしたからね!」
魔法使いちゃん「それに、大都市だけあって流石の活気です!」
魔法使いちゃん「私も、奮発して色んなもの買っちゃいました」
魔法使いちゃん「勇者さまは今日は何を……あ、カジノ、大負けしたと、はい」
魔法使いちゃん「……まあ、ほどほどにお願いしますね」
魔法使いちゃん「……あ、追加の注文もきましたね」
魔法使いちゃん「……は?食いしんぼう?」
魔法使いちゃん「違います」
魔法使いちゃん「成長期なんです」
魔法使いちゃん「だいたいそんなことを女性に口にしていいとお思いで?」
魔法使いちゃん「それに、またしばらく野営食になるんだからここでしっかり味わっておかないと」
魔法使いちゃん「勇者さまは……お酒?」
魔法使いちゃん「お酒かあ……美味しいんですか?」
魔法使いちゃん「……わ、私も、ちょっとだけなら……」
魔法使いちゃん「……何笑ってるんですか」
魔法使いちゃん「子供にはまだ早い?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「隙ありっ」
魔法使いちゃん「〜〜〜〜っぷはぁ」
魔法使いちゃん「のんじゃいました」
魔法使いちゃん「ん〜……よくわかりませんね」
魔法使いちゃん「ちょっと苦くて……あんまりおいしくは……」
魔法使いちゃん「……おっと」
魔法使いちゃん「あれ?なんか地面が揺れて……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「あったかい……」
魔法使いちゃん「……はっ」
魔法使いちゃん「あれ、ここは……」
魔法使いちゃん「あ、勇者さま?」
魔法使いちゃん「どうして私はおんぶされて……」
魔法使いちゃん「あ、あ〜……」
魔法使いちゃん「……面目ありません」
魔法使いちゃん「気分?いえ、大丈夫です」
魔法使いちゃん「まだ少しふわふわしてますけど……」
魔法使いちゃん「……大事をとって宿まで、ですか」
魔法使いちゃん「……すみません」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……あの」
魔法使いちゃん「そのままでいいので、聞いてくれませんか」
魔法使いちゃん「と、言うより、聞いてほしいんです」
魔法使いちゃん「……!ざ、雑談はしないんじゃなかったかって」
魔法使いちゃん「もうだいぶ前のことなんだから忘れてください!」
魔法使いちゃん「言ったの数ヶ月前じゃないですか!時効です!時効!」
魔法使いちゃん「茶化すんなら話しません!もう!」
魔法使いちゃん「……ありがとうございます」
魔法使いちゃん「私は……」
魔法使いちゃん「……最初に立ち寄った村を覚えていますか?」
魔法使いちゃん「歓迎がすごくて、魔物に困っていた、あの……」
魔法使いちゃん「私もあそこと同じように、あまり便利ではないところで産まれました」
魔法使いちゃん「同じように、私がいた故郷も魔物によく襲われたそうです」
魔法使いちゃん「違うところは、村中のみんなが家財や家畜をギリギリまでお金に変えて、国に退治の依頼をしたということです」
魔法使いちゃん「でも、間に合わなかった」
魔法使いちゃん「派遣兵がくる前日か二日前か、見計らったかのように村中が魔物の大群に襲われた」
魔法使いちゃん「まだ赤ん坊だった私は、死体に覆い被さるように抱きかかえられて泣いていたそうです」
魔法使いちゃん「……私にその時の記憶はありません」
魔法使いちゃん「でも」
魔法使いちゃん「たまに脳裏によぎるんです」
魔法使いちゃん「涎を垂らして爪を立てる」
魔法使いちゃん「魔物の顔が」
魔法使いちゃん「……はい、そうです」
魔法使いちゃん「トラウマって言えばいいんでしょうか……」
魔法使いちゃん「今でも、魔物の顔を見たり、声を聞くと頭が真っ白になっちゃって……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……失礼、話が逸れましたね」
魔法使いちゃん「そのあと、国に保護されて教育を受けました」
魔法使いちゃん「たまたま魔法適性が高かったのと、多少の素質はあったので今に至りますが……」
魔法使いちゃん「何が言いたいのかというとですね」
魔法使いちゃん「私は結局役立たずなんです」
魔法使いちゃん「旅だって初めてだし、魔物と目があったら動けない」
魔法使いちゃん「薄暗い研究室で魔法の論文しか書くことができない、子供なんです……」
魔法使いちゃん「……でも、あそこは、みんなが私を敵視して」
魔法使いちゃん「最初は、私が最年少の魔法使いということで色んな方が話しかけてくれました……」
魔法使いちゃん「それが、私が成果を出す度に、どんどん態度が変わっていって」
魔法使いちゃん「みんなが、私を、厄介者でも見るように……」
魔法使いちゃん「……グスッ」
魔法使いちゃん「……だから私は、旅に出ろという命令が下されて、ホッとしたんです」
魔法使いちゃん「もう、あそこに行かなくていいと……」
魔法使いちゃん「……勇者さま」
魔法使いちゃん「勇者さま、お願いです」
魔法使いちゃん「私は魔法しか使えません」
魔法使いちゃん「魔物に出くわせば、固まってしまいます」
魔法使いちゃん「でも、でも、必ず直すので」
魔法使いちゃん「どうかまだ、一緒に旅をさせてください……!」
魔法使いちゃん「……!」
魔法使いちゃん「ありがとう、ございます……」
魔法使いちゃん「……グスッ……ズビッ……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「ぐー……ぐー……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……んぁ」
魔法使いちゃん「朝……」
魔法使いちゃん「……って、は!?」
魔法使いちゃん「どうして勇者さまがここにいるんですか!」
魔法使いちゃん「……ベッドまで運んだはいいものの、離してくれなかった……?」
魔法使いちゃん「……嘘です!嘘!」
魔法使いちゃん「真っ赤な嘘!」
魔法使いちゃん「出ていってください!レディーの朝は秘密なんです!」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……っはぁ〜〜〜……」
魔法使いちゃん「頭、いたい………」
魔法使いちゃん「……後で謝ろ」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
--
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「薄暗い……」
魔法使いちゃん「これじゃあこの森が魔物に住処として選ばれるのも仕方ありませんね」
魔法使いちゃん「鬱蒼の文字がぴったりです」
魔法使いちゃん「大丈夫です、探知魔法かけてます」
魔法使いちゃん「あ、噂をすれば」
魔法使いちゃん「4体そこの茂みの裏に、依頼の討伐対象で間違いなさそうです」
魔法使いちゃん「一体任せる、ですか」
魔法使いちゃん「……了解です」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……ふっ、はぁっ!」
魔法使いちゃん「や、やった……」
魔法使いちゃん「……!勇者さまの方は!」
魔法使いちゃん「あ、もう終わってますね……流石と言うべきか……」
魔法使いちゃん「……私も、少しずつですけど慣れてきました」
魔法使いちゃん「怖いのは怖いですけど」
魔法使いちゃん「勇者さまのお役に立たないわけにはいきませんので」
魔法使いちゃん「……はい、戻りましょうか」
魔法使いちゃん「これで少しでも、ここらの地域が平和になってくれればいいですね!」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……では、依頼の完了を祝しまして、かんぱ〜い!」
魔法使いちゃん「今日はいくら食べてもタダにしてくれるそうです!気前がいいですね!」
魔法使いちゃん「勇者さまも食べなくていいんですか?私が全部貰っちゃいますよ〜、なんて……」
魔法使いちゃん「あ、お酒は結構です……」
魔法使いちゃん「それでは、今回は明日もう一日滞在してから出発することにしましょうか」
魔法使いちゃん「宿もタダですし」
魔法使いちゃん「勇者さまは、明日の予定はありますか?」
魔法使いちゃん「いえ、その」
魔法使いちゃん「私は特に予定はないので」
魔法使いちゃん「もしよろしければどこかご一緒に、と……」
魔法使いちゃん「……賭場?」
魔法使いちゃん「賭場って……小規模なカジノみたいなとこですよね、確か」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……あ、いえ、怒ってるわけでは」
魔法使いちゃん「……あの」
魔法使いちゃん「私もついていって大丈夫ですか?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「凄い熱気……」
魔法使いちゃん「色んなゲームがあるんですね……」
魔法使いちゃん「勇者さまはどれに参加するんですか?」
魔法使いちゃん「半丁?」
魔法使いちゃん「出たサイコロの目を偶数か奇数か当てる……なるほど」
魔法使いちゃん「運の要素が強そうなシンプルなルールですね」
魔法使いちゃん「では、勇者さまのお手並みを拝見しておきます……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……勇者さま……」
魔法使いちゃん「外してばっかりですね」
魔法使いちゃん「わ、目がすっごい血走ってる」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「あの、少しお耳をば」
魔法使いちゃん「……私、透視魔法も覚えていますから勇者さまにかけましょうか?私なら監視の目も掻い潜れますが……」
魔法使いちゃん「あ、そういうのではない」
魔法使いちゃん「そうですか、差し出がましい真似を失礼しました」
魔法使いちゃん「……でも、お金は大丈夫ですか?さっき凄い声で叫んでいたような……」
魔法使いちゃん「……スカンピンですか」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「いくらか渡しましょうか?」
魔法使いちゃん「返さなくても大丈夫ですよ。研究職だったときのお金がまだたんまりと残ってますので……」
魔法使いちゃん「……なんですか、目をまん丸にして」
魔法使いちゃん「私がお金を持っているのがそんなに不思議ですか?」
魔法使いちゃん「……そうじゃない?」
魔法使いちゃん「……はあ、とにかくいらないと」
魔法使いちゃん「もう帰る……ですか」
魔法使いちゃん「ふふっ……」
魔法使いちゃん「そうですね、今日は退散しますか」
魔法使いちゃん「帰りに屋台にでも寄り道しましょう」
魔法使いちゃん「美味しいものを食べたら、負けたことなんてすぐ忘れられますよ」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
--
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……?なんですか?勇者さま」
魔法使いちゃん「今日はやけに機嫌が悪いなって……」
魔法使いちゃん「当たり前じゃないですか!」
魔法使いちゃん「今回の村の人、みんな勇者さまを雑用みたいに扱って!」
魔法使いちゃん「依頼内容だって、本来あの村まで生息地を広げるはずのない魔物まで入ってて」
魔法使いちゃん「『勇者が来たからどうせだしコキ使ってやろう〜』って魂胆が丸見えなんですよ!」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「私は、勇者さまが行くなら、お供するだけです……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……え?魔物が近くにいる?」
魔法使いちゃん「いやいや、探知魔法に引っかかってないですよ」
魔法使いちゃん「多分風の音とかじゃ……」
魔法使いちゃん「……っ、わ」
魔法使いちゃん「あ」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……え?あ」
魔法使いちゃん「勇者さまっ!!」
魔法使いちゃん「勇者さま、勇者さまっ!」
魔法使いちゃん「そんな……私を庇って……」
魔法使いちゃん「なんで……探知魔法には……」
魔法使いちゃん「……っ!上級モンスター……!?」
魔法使いちゃん「だって、そんなの何も聞いていません……!」
魔法使いちゃん「……勇者さま……?早く……逃げろ……?」
魔法使いちゃん「っ、勇者さまはどうするんですか!そんなに血が出て、立てないんですよね!?もう意識だってろくに……!」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……大丈夫です」
魔法使いちゃん「勇者さま、少し眠っててください。私がなんとかします」
魔法使いちゃん「大丈夫です。終わったら起こしますね」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……!」
魔法使いちゃん「まだ起き上がらないでください!」
魔法使いちゃん「……今、治癒魔法をかけてます」
魔法使いちゃん「……はい、全部、倒しました」
魔法使いちゃん「これは全部返り血です、多分」
魔法使いちゃん「怖くなかったのかって……そりゃあ、怖かったですよ……」
魔法使いちゃん「でも、勇者さまが死ぬって思ったら、そっちの方が怖くて」
魔法使いちゃん「とにかく無我夢中で……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……終わりました」
魔法使いちゃん「傷は塞ぎました」
魔法使いちゃん「多分、痛みももうないはずです」
魔法使いちゃん「これでもう、動いても大丈夫です」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「抱きつかれても、大丈夫です……」
魔法使いちゃん「……しばらくこのままでいさせてください」
魔法使いちゃん「……うぅ」
魔法使いちゃん「こわ、怖かった……です」
魔法使いちゃん「また、私っ、一人になっちゃうって」
魔法使いちゃん「お願いですっ」
魔法使いちゃん「お願いですからっ、グスッ……」
魔法使いちゃん「どこにも、行かないで……」
魔法使いちゃん「……ずっと、私と一緒にいてください……」
魔法使いちゃん「……お願いです」
魔法使いちゃん「……私、なんだってします……」
魔法使いちゃん「魔物だって、もう倒せます……」
魔法使いちゃん「お金も、たくさん持ってます……」
魔法使いちゃん「全部、全部勇者さまに渡します」
魔法使いちゃん「だから」
魔法使いちゃん「だから、私と家族になってください……!」
魔法使いちゃん「ずっと一緒にいて……!」
魔法使いちゃん「……グスッ……」
魔法使いちゃん「……あり、ありがと、ありがとう、ございます……」
魔法使いちゃん「ヒック……」
魔法使いちゃん「うぅ……」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……」
--
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……また、そうやって頭を撫でて」
魔法使いちゃん「いえ、嫌ではないですけど……」
魔法使いちゃん「子供扱いされてるというか、なんというか……」
魔法使いちゃん「子供じゃないかって……いや、まあ、子供ではあるんですが……」
魔法使いちゃん「それに家族なら撫でるのが普通?娘なんだから?」
魔法使いちゃん「……」
魔法使いちゃん「……娘?」
魔法使いちゃん「……お嫁さんではなく?」
魔法使いちゃん「は?」
魔法使いちゃん「いやいやいや」
魔法使いちゃん「おかしいですよね」
魔法使いちゃん「一世一代の告白だったんですが」
魔法使いちゃん「娘になりたいわけじゃなかったんですけど!」
魔法使いちゃん「全然お嫁さんなんですけど!」
魔法使いちゃん「OKを出したのは勇者さまですからね!撤回は許しませんよ!」
魔法使いちゃん「……ふふっ」
魔法使いちゃん「あはははは!」
魔法使いちゃん「っはぁ〜〜……」
魔法使いちゃん「ねえ、勇者さま」
魔法使いちゃん「ずぅっと、こうやって一緒にいましょうね」
魔法使いちゃん「世界が平和になるまで旅をしてもいいし、隠居してゆっくり過ごすのでも」
魔法使いちゃん「ずっと、一緒にいましょう」
魔法使いちゃん「私、勇者さまがいればそれでいいです」