セッ○スしないと出られない部屋に男女を閉じ込めるのが性癖の魔族に巻き込まれた話   作:柚香町ヒロミ

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聖女が聖女なのに聖女キャラ即止めるし暗殺者もアレ奴なので注意


九組目 〜暗殺者と聖女〜

 

 

 

 『セッ○スしないと出られない部屋』。それはとある魔族が創り出した強制性交空間である。そこに閉じ込められた男女は性行為をしなければ決して出ることはままならない。そんな部屋に閉じ込められてしまった男女がいた。

 

「おやおや。困りましたね聖女様」

 

「セッ………こ、このようないかがわしい部屋が存在しているなんて……!!」

 

「おや。ご存知でない? うちの界隈でも笑い話として有名なんですが……ああ、清らかな聖女様にはそんな下世話な噂はシャットアウトされているんでしょうね」

 

「……厭味ですか?」

 

「純然たる事実でしょう」

 

 白い法衣に身を包んだ金髪碧眼の少女と黒い衣装に身を包んだ黒髪赤眼の青年は一見穏やかながらも視線では火花を散らし合っていた。

 

 金髪碧眼の少女は類稀なる神秘の力を生まれた頃より宿しており16歳の誕生日に生まれ育った村の教会にて『国中を巡りなさい。困っている人々を助けなさい。それが貴女の使命です』と神の声を聞いた。それから反対する両親を振り切りお告げに従ったところその善行が認められ正式に国に『聖女』として認められたのだ。

 

 対して隣にいる一見好青年に見える青年は表向きは聖女の護衛とされているものの真実は異なる。青年は暗殺者。聖女を狙う連中を秘密裏に始末するために国が雇った用心棒なのである。

 

「さて聖女様。どうされます?」

 

「何がでしょう」

 

「セッ○スしますか」

 

「……っ……誰か貴方みたいな性悪とセッ○スなんてするか!」

 

「おや。聖女様にあるまじき口の聞き方ですね」

 

「いいのよ、貴方しかいないんだから。猫かぶるだけ無駄よ」

 

 先程までのしおらしい様は影を潜め聖女はウィンプルとヴェールを外し冗談じゃないわよとヤケクソ気味にベッドに寝転がった。

 

「……ちなみにこの部屋にまつわる噂はもう一つありまして」

 

「何よ」

 

「……性行為をしてもいいと思っているくらい好き合う者同士が閉じ込められるそうです」

 

 ギシリとベッドが軋む音と共に耳元で妙に艶っぽく囁かれ一瞬、息が詰まる。その言葉の意味を理解した瞬間、聖女は近くにあった枕を暗殺者の顔面へと振り回す。が、暗殺者はアッサリそれを受け止め覆いかぶさってきた。そのまま唇が重なりそうになり聖女は慌てて暗殺者の口元を手で覆う。

 

「何しようとしてるのよ」

 

「こういう時はまずはキスからかなと」

 

「シないって言ってるでしょ! 変な噂鵜呑みにしないでよ。 私が貴方の事好きなわけないでしょ」

 

「えー」

 

「何がえー、よ。 あざとい声出しても意味ないんだから!」

 

「……」

 

 黙り込んだ暗殺者に言い過ぎたかしらと内心焦る聖女だが次の瞬間、その焦りは吹き飛んだ。

 

 暗殺者が口元を覆っている掌を舐めだしたのだ。舌の湿った感触が掌や指に伝わり驚いた聖女は聖女としてあるまじき声をあげる。

 

「うぎゃあ!?」

 

「くくっ……凄い声出しますね」

 

「何やってんの何やってんの何やってんの!? まごうことなき変態行為よそれ!?」

 

「求愛してるんですが」

 

「馬鹿じゃないの!? ただの痴漢よ痴漢! 変態!」

 

 聖女は顔を真っ赤にして口元から手を離そうとするが暗殺者がその手をしっかり掴んでいるため動かすことが出来ない。

 

「……っ……というか求愛って何よ。貴方私の事好きなの?」

 

「ええ。殺したいほど愛していますよ」

 

 間髪入れず爽やかに笑う目の前の怪物に聖女は悪寒を感じながらも同時に脈が速まる。命の危機を感じているのか、それとも別の要因か。聖女には分からなかった。 ……分からないフリをした。

 

 暗殺者は殺しを躊躇わない。 聖女が素を出せるくらい打ち解けてきた頃、何故その職業についたのかと暗殺者に問いを投げかけた事があったが帰ってきたのが「生まれ育った環境が荒れていたのと単純に向いていたからですね。リスクは高いですが給金も高い。天職だと思っていますよ」というあっけらかんとしたものでその時に改めて気付かされた。この人間と自分では根本的に違いすぎるのだと。

 

「ハァ……イカれてるわよ貴方」

 

「そんな男の事が好きなのでしょう? 悪い聖女様だ」

 

「……そんなわけ……ないでしょう」

 

 指の股や関節をねちっこく舐められ背筋が痺れる。脳が揺れる。息が乱れる。空いている方の手で思いっきり引っ叩いてやりたいと思いながらもその手をキツく握りしめるのが精一杯だった。

 

「やめてよ、それ……」

 

「気持ちいいからですか?」

 

「……気持ち悪いから」

 

「…………ふふ。分かりました」

 

「あ……」

 

 さきほどまで執拗に指を責め立てていたのを止め覆いかぶさっていた頭上から隣へと寝転がる。自由になった手がまだ熱を持っており聖女は思わず切ない声を洩らしてしまった。

 

「名残惜しいですか?」

 

「そんなんじゃないわよ。人を指舐められて喜ぶ変態にしないでくれる?」

 

「そうですか? 僕は貴女に指を舐められたら興奮しますが」

 

「それは貴方が変態だからよ」

 

「…………先程から気になっていたのですが」

 

「何が」

 

「貴女は先程から僕の事を変態だとか好きではないと否定しますが嫌いとは言っていませんね」

 

「そ、それは長い付き合いだし……貴方はヤバい男だけど嫌いとまでは」

 

「あと聖女だから純潔を守らなければいけないとかそういう言い訳はしないんですか?」

 

「あ……その手が……で、でも別にセッ○スしたくらいじゃ加護は無くならないし。イメージ的に公には出来ないけど」

 

 目を泳がせながらしどろもどろに話す聖女に暗殺者は自身の仮説が間違ってないと確信し、トドメの一言を口にする。

 

「……聖女様、案外乗り気なのでは?」

 

「違っ、違う! 違うってば! そんなんじゃ……な……んんっ」

 

 図星と暗に言っているくらい慌てふためく聖女がそんなんじゃない、と言い切るより前に唇が塞がれる。強引な口づけに驚いて肩を押すが聖女の非力な力ではまるで敵わなかった。 

 

「嫌ならビンタくらいしないと」

 

「……うるさい。ばか。へんたい。ろくでなし」

 

 耳まで赤く染まった聖女が涙目でジロリと睨むが暗殺者は逆にスイッチが入ったようにもう一度口づけを落とす。

 

「んぁ………ん、んん………」

 

 二度目の口づけは深いものとなって聖女の体を熱くさせた。息が苦しくなり暗殺者の服をギュッと掴む。それからしばらく舌で嬲られているところをようやく開放された頃にはクタクタになっていた。

 

「貴女は僕の事が好きなんですよ」

 

「ち、違う……」

 

「いいえ。好きなんです。 ……それとも聖女様は求められれば誰にでも唇を許す方なのですか? その場合巡礼の旅は取りやめにして監禁させていただきますが」

 

「……っ…………ああヤダヤダ……何でこんな悪い男好きになっちゃったのよ……」

 

「ふふふ。幸せにしますよ。僕基準で」

 

「貴方の基準はぶっ壊れてるからダメよ。 ……私規準で幸せにしてよ」

 

「…… はい。努力します」

 

 事実上のプロポーズを受け入れられた暗殺者は聖女と三度目の口づけを交わし愛を語らうのだった。

 

 

 

 

   

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫なわけないでしょ……体力おばけ……」

 

 全てが終わり簡単な後片付けを暗殺者がしている横で聖女は服を着る気力もなくベッドで力尽きていた。

 

「そもそも何で一回で済むものを何回も……」

 

「いやあ、聖女様を手籠めにするというシチュエーションを堪能したくてつい」

 

「……へんたい」

 

 と、憎まれ口を叩きながらも暗殺者に大人しく世話されている聖女であった。

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

『どうかされました? あの二人が何か?』

 

 いつもなら閉じ込めた二人組に対して興奮したり早口でわいわい話す魔族が感慨深く頷いているのを見て水晶玉は不思議に思っていると魔族は水晶玉を撫でながら遠くを見つめていた。

 

「聖女と暗殺者の背徳的な恋愛模様に唆られるものがありましたぞ。素直じゃない本質は村娘な聖女と悪い大人で押せ押せな暗殺者……いい……」

 

『そうですか』

 

「ただ……あの聖女を見ているとちょいと昔の事を思い出しましてな」

 

『昔の事、ですか』

 

「そうそう。この部屋を創ったばかりの頃。まさか最初の二人組……あの子達の子孫をココに招くことになろうとは」

 

『最初の二人組…………検索終了。 魔王を討伐し世界を救った勇者と魔王軍を裏切り勇者の仲間になったサキュバスですね。 確かにその勇者と聖女の外見的特徴が一部一致しています』

 

「そうそう。聖女も意地っ張りさんでしたが勇者はそれを超える意地っ張りでしてな。サキュバスの事が大好きなのにセッ○スするまで一年掛かったんですぞ」

 

『ふむ……確かにデータにありますね。その頃の私は話す事も思考する事も出来なかったのでデータでしか知りませんが』

 

「うん。そうですな」

 

『……その勇者とサキュバスのお話を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか』

 

「ほほう。いいですぞ!」

 

 水晶玉のリクエストに魔族は嬉々としながら事の始まりである原初の二人組について語り始めるのだった。

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