地球を防衛する傭兵になりました 作:No.28
一話 序章
少し隙間のあるコクピットの中で、私は携帯端末で小説を読んでた。遠い昔、地球に降り立った異星人が人類を排除するための戦争をしていた、というSFである。
『地球防衛軍』という、安直で絶妙に受けなさそうなその小説は、しかしとてもよく練られたストーリー構成で、私の目をすぐに奪う。それが一週間ほど前で、私がレイヴンとして活動二年目になるというところだった。
レイヴン。
私たち傭兵はそう呼ばれ、全ての人達の憧れの存在であった。しかし、同時にシビアな職業でもあり、新規のACを貸与され、試験を受ける人達の80パーセントは死亡し脱落してしまう。
試験を生き残った20パーセントのうち、12パーセントはレイヴンとしてデビューしてから4ヶ月以内に、依頼での戦闘中に戦死している。
私は、その過酷なレイヴンの中でも、比較的優秀な部類だったのだろう。最初こそおぼつかなかったが、今はこのACの操縦にも慣れ切っていて、難なく依頼をこなせる。
ACの歴史は長い、今は割愛しよう。どうして私が今コクピットの中にいるのか。レイヴンがコクピットに座る理由は二つある。
『仕事の時』の場合と『戦いが忘れられない時』だ。
──自分でも驚いたが、私はどうやら後者らしい。
こうしてコクピットに搭乗していると、私は外の世界の全てを忘れていられる。外はあまりにも醜く醜聞で、目に入れるのもはばかられるほど汚い。今はそうでもないが、戦場でない場所だったとしても、私は外に出たくもない。
『管理者』のいなかった世界は美しいものだったが、管理者が管理をやめたその日から、人は醜くなった。自由に生きる人間とは、こんなにも醜悪に映ったのかと。
対人恐怖症であるからか、それは分からない。ただ私は人が嫌いで、だからこうしているとだけ。
そして管理者*1を破壊し、続いてもうひとつのレイヤードに存在した兵器*2をも破壊した後、レイヴンズアーク*3に半年間所属して、私はその後勃発したアライアンスとバーテックスとの戦闘*4にバーテックス側として参入した。
戦争後期……と言っても24時間で決着が着いたこの戦いなので、作戦開始時刻は早朝になるが。同じくレイヴンだったエヴァンジェ、ジナイーダ、そしてジャック・Oの、合わせて4人によるパルヴァライザー及びインターネサインの撃破を敢行した。
結果から言うと、生き残ったのは私だけ。
ジャックは私達4人の中では最も高い火力を持っていたものの機動力の低さから敵の攻撃を躱し切れず、パルヴァライザーにブレードで貫かれ戦死。
エヴァンジェは単機でパルヴァライザーを抑え、私とジナイーダの2人にインターネサインを破壊するよう頼んでから消息不明。
ジナイーダは、インターネサイン破壊後、インターネサインから生成された新型のパルヴァライザーによって、死亡。
結局インターネサインとパルヴァライザーの双方を破壊して離脱できたのは私だけだった。
レイヴンは私だけになった。
私はレイヴンとして生き残ってしまった。
正直、死ねば楽になると思っていたのに、体がそれを許さなかった。銃を向けられた時、殺意を向けられた時。私の体は決まって敵を殺していた。殺していたのに、死ねなかった。
やがて男の声が聞こえてくる。どうやら私のガレージの中に誰かが入ってきていたらしい。十中八九エドだろう。エド・ワイズというその男は、私が仕事を受ける唯一の窓口だ。あまり私の事を心配している様子がないので、つまりエドは私を稼ぎ口として考えているようなので、意図的に冷たく振る舞う。
あまり良い気はしないが、まぁエドなので。
『レイヴン、来てくれ。仕事が来たぞ』
「いつも通りコクピット内HUDに表示してください。私が外に出たくない理由は知ってるはずですよね」
『はは、いつも通りかね。了解』
そう言って、仕事を斡旋するエド。内容は以下の通りだった。
『君にベルザ高原まで来て欲しい。これは緊急の依頼だ。なお、僚機を雇う事は許可しない。この依頼は非常に秘匿性の高いものであり、よって我々は最大限リスクを排除すべく、君一人を雇う事にした。良い返事は期待している』
……と。興味が湧いたので、私はこれを受けた。
その先に、何が起こるとも知らず。
『作戦区域内に入った……クライアント、次は?』
『よく来てくれた。それでは我々の作戦目標を伝えよう。我々の目標はただ一つ。今後の不安要素である君を排除する事だ』
『…なっ──』
彼女はその瞬間、眩い閃光に包まれ、そしてすぐに彼女の視界は暗くなっていった。彼女の遥か後方を追跡していた一機のACが、彼女を撃墜したのだ。
ACは、構えていたグレネードキャノンを収納し、作戦の終了を告げる。
『……呆気ない。インターネサインを破壊したレイヴンというのも、案外大した事はなかったな』
『それでも、今後我々が世界を統治していく上で、ああいう手合いは邪魔になる。よくやった、帰還せよ』
空中900メートルを飛行していた彼女のACは、きりもみ回転しながら勢いよく墜落していく。その後彼女の機体は、いくら探しても見つかることはなかった。
う、うーん………。 ここは……?
私は、何をしていたんだっけ…。
……思い出した、そうだ、久しぶりに『騙して悪いが』*5されたんだった。あんのやろう、許さないぞ。少なくとも私を騙した罪は重い。
とはいえ、私は生きている。ACのジェネレーターの主電源が落ちているのか、理由はわからないがコクピットの中は暗い。すぐに起動シーケンスを開始する。レバーを引き、三段階の起動認証スイッチをすべてオンにし、そうするとモニターに光が灯る。
『おはようございます。システム、通常モードに移行。貴女の帰還を歓迎します』
人の声で聞いていて辛くないのは、この機械音声だけ。新鋭のコンピューターが使われているらしく、ある程度の会話も成り立つ、とても可愛い子だ。
ちなみに、ストームというのは私のレイヴンネーム*6である。外の喧騒をかき消してくれる嵐が好きだった事に由来する。
「
『ストーム、私達は現在位置の信号を受信できないエリアにいるようです。現在位置の特定は困難でしょう。UAV射出。付近の地形情報を収集します』
「そっかぁ、お願いね」
どうしようかな。このままここにいようかな。あ、でもそうしたら備蓄の食料も無くなっちゃうか。そんな事を考えていると、コムが急にシステムモードを通常モードから戦闘モードに切り替えた。
戦闘モードというのは、通常モードで使えなかったあらゆるACの機能が開放されるモード。ブースターの起動許可、それにメインカメラの起動許可。オーバードブーストの使用許可や……とにかくいろいろ。特に、FCSの起動認証。このFCSが無いと、武器を全て使用できない。通常モードとは全く違うのだ。それとは別に『巡航モード』と言って、低出力で長時間飛行できるブースター類の許可だけされるモードもあるが、とにかく、コムがシステムモードを切り替えたという時は、頭部レーダーに敵影を受け取ったという事になる。
「何? 何があったの?」
『ストーム、敵生体兵器を確認。敵数、38』
「生体…AMIDA!? 38体も…」
『詳細は不明。速やかな殲滅を推奨します』
コムがそう言うと同時に、インターフェースのコンピュータボイスが『メインシステム、戦闘モードに移行します』と告げ、サブカメラだけだった映像が、メインカメラの起動によって大画面に、より鮮明に映る。
………そこには、見た事のない、新種の生体兵器がいた。
いや、正確には見た事はある。ないのは、その大きさだった。木々、つまり森の中から姿を現したそいつらは、見た目は蟻に酷似していたが、凄まじく大きかった。
「………大きい!? 見た目はアリだけど……これが群体で襲ってくるんじゃ、ここでも外では歩けそうにない、か」
ストームはそう呟き、言葉を吐き出しながら操縦桿を握り、ペダルを踏んでブースターを点火して距離を離しつつ、右手の
着弾時の衝撃で、蟻は大きく怯み、そして弾け飛んだ。着弾点が熱に晒されて融解したかと思えば、生物であるはずだが飛散する。繁殖し、数で相手に襲いかかる習性は、どうやらAMIDAと同じらしかった。だが……。
「やっぱりただの生体兵器じゃない…キサラギ派だって、こうまで繁殖させるのには時間がかかるはず。一体誰が…」
そのうち肉薄してきた一体の黒蟻を、
「これは…酸!? こいつ、やはりAMIDAの後継種…?」
離れつつ、マシンガンを撃ち続ける。指切り射撃で速射性とEN回復を両立しつつ、近付いてくる蟻を撃ち殺す。何体も何体も破裂していくが、その体液は危険だと前もって知っているので全て避けてやる。
10体ほど倒した辺りだろうか。レーダーに点々と表示される赤い点、つまり敵の表示が一瞬目を離した隙に倍以上にまで膨れ上がっている。
「なっ…」
『敵影を補足しました。敵数、68。至近距離での戦闘は危険です。銃火器を活用した、中距離からの射撃戦が有効でしょう』
「わかってる…大丈夫」
マシンガンを握る右腕部を下げ、左肩のミサイルを起動する。6発までロック出来るこのミサイルは、FCSのタイプによって一個体に集中砲火を浴びせるか、連射可能数上限である6体に対して一斉攻撃するかを選択出来る。私の使うFCSは、これとのシナジーを加味して6体ロック可能のFCS、MF05-LIMPETを搭載している。代わりに並列処理能力が想定よりも低く、武装は左腕をレーザーブレードに変換する事で解消している。
6体目へのロックが完了し、左肩部の
しかし、吹き飛んだそばから次へ次へと殺到してくる。その図体に反して非常に俊敏なようで、ACの規格とはいえただの歩きでは追いつかれてしまうだろう。
ブーストを駆使して巧みに距離を離しつつ、射撃で数を減らしていく。複数体をスモールミサイルで、突出してきた相手をマシンガンで。それぞれ適した武装をチョイスする。
「コム、数は!」
『敵数、残り11。ミサイルによる遠距離攻撃が有効でしょう』
「わかった!」
愛しい我が頭部コムに相槌を打ちながら、フルロックしたミサイルを全弾斉射する。ACの装甲すら吹き飛ばすスモールミサイルだ、生体兵器など粉々だ。
ミサイルの爆煙が晴れたころ、突撃してきた蟻はすでに三体まで減っており、引きながら冷静にエネルギーマシンガンで駆除する。
もう何も残っていない。あるのは、黒い蟻が粉々に砕け散った四肢や内容物、血と思われるオレンジがかった体液だけでした。
「ふぅ……。こいつらは一体何なんだろう…」
『ストーム、解析完了しました。UAVからの情報を統合、分析した結果、ここは森林のはずれです。ACのオーバードブースト推力であれば、五分ほど北上していけば、軍事基地に到着しますが…』
コムが珍しく黙る。滅多にない事だが、余程伝えにくい事なのかもしれない。続きを促す。
「………しますが?」
『…………………解析によると、アライアンス、アライアンス戦術部隊、バーテックス、また登録されている全ての小規模武装勢力のどれにも該当しませんでした』
表示されたUAVからの映像に写っていたエンブレムは、確かに私の知るどれとも似つかない。そこには、地球を冠した青い円形から、羽ばたくような翼の意匠と『E.D.F』の3文字が描かれている。
「新興勢力って事? ……まぁいいんじゃない? 今私達は後ろ盾の無い状況だし、匿ってもらおう?」
『良いのですか? 私としては不吉な予感を覚えます』
「まぁ、いいんじゃないかな。何も無いよりマシでしょう?」
そう言って進路を北に決め、オーバードブーストを使って飛ぶ。飛んで、飛んで、飛んだ。
その先は、確かに軍事拠点のようだった。但し本当に私の知らないものだらけらしい。
基地に待機しているであろう戦闘機械らしき機体は、複数の回転式チャンバーを持つ超大口径のリボルバーのような武装を両腕にマウントしており、両肩部にはコンテナが搭載されている。ミサイルだろうか? 肩側面には二基のシールドが展開されており、流石に旧式MTよりかは防御力は高そうだ。
青みがかったグレーカラーのそれは、その基地に幾つも待機していた。その隣に搭乗者らしき人員がいるのが遠目で見えた。
『巡航モード終了。システムモード、戦闘モードに移行します』
バスッ、バシュウ。と、ブースター推力を徐々に抑えつつ着地の衝撃を吸収するように空中に浮遊する。
コムが私の視点を内部センサで読み取って、その人に対してズームしてくれる。ようやく人を間近で見る事が出来たが、その表情はとても驚いている様子でした。なんで?
『見ろ! あれは…どこかの国の新兵器か!?』
「浮いてる……あんな巨体で、どうやって浮いてるんだ!!」
『落ち着け! 武装解除勧告を行なえ!』
我々コンバットフレーム・ニクス隊のメンバーは全員困惑していた。警備を担当している我々の他に人はおらず、全員基地の内部で待機している状態だ。突如現れたその巨大な人型兵器は、右手にライフルらしき武装を装備しているが、それをこちらに向けてくる様子はない。また、その膨大な推力で巨大な体を長時間空へ浮かべていられる事から、現在のEDFの科学力では及ばない域の兵器だと、直感した。
『あ、あー、あー! き、聞こえているか! 所属不明機は速やかに着陸、貴機の所属を伝えろ!』
『…………』
人型兵器からの応答は無いが、拡声装置をつけたのか、マイクに空気の擦れるような音だけは周囲に響いている。
『……』
「………た、隊長。 あれはこちらを、襲おうと……準備、しているんでしょうか…?」
『わからん…だが、警戒しておけ。《全機、コンバットフレーム・ニクスの起動シーケンスを始めろ! 奴が敵だった際は、こちらで撃墜する!》』
『ニクス、アンヴィル2了解』
『アンヴィル3、了解』
『アンヴィル4、ニクス起動了解』
「アンヴィル5了解。起動シーケンス開始!」
私を含め、全機が眼前の所属不明機からのもしもに対応すべく、起動シーケンスを開始する。アンヴィルというのは私の所属するニクスチームだ。
『…………あー』
『《! き、聞こえているのか? 着地し所属を!》』
もう一度隊長がそう所属不明機に伝えた次の瞬間、人型の後方から煌めいていた蒼炎が止まり、推力を失った人型が基地の前方に落下する。
どしん、と大きな音を立てて着陸したそれは、空に浮かんでいたから全く分からなかったが、改めて見ると非常に巨大だった。人間の5倍以上はある大きさで、その武装の口径も桁違いだった。ニクスでは恐らく、歯が立たないのだろう。
もしもの時はやるしかなかった。
『え、あー……』
女の子の声だった。まだ若い。
『………私、は。 職業軍人では、ない。 ただの傭兵です』
「傭兵……?」
巨大な軍事力を誇るEDFが存在する現在に、傭兵などという不確かな物は聞いた事がない。それに、日本語話者であるという事は、つまり日本で活動する事が可能な傭兵でもある、という事になる。EDFの存在する世界では、傭兵は全てEDFが派兵の形で行っている現状、たかだか一人の傭兵に出番は無いはずだった。
『《傭兵だと? そんな馬鹿な…。 ………そちらに敵対の意思がない事を証明するため、搭乗者はコクピットから離脱せよ。そちらの姿を確認次第、私の部下にもニクスの起動を中止させる》』
誰かの喉が鳴った。クールで何事にも動じないアンヴィル2か、無口だけど熱血漢なアンヴィル3か、はたまた曽祖父からの軍人一家の出であるアンヴィル4か。もしかすると私かもしれない。隊長のものかも。
『………駄目です。先に、そちらの武装解除を願います。そうすれば、私もコクピットから出ます』
「なんだと…?」
『アンヴィル5やめろ。 了解した、全機ニクスを停止。彼女の言葉に従ってくれ』
『隊長! しかし……』
『いいから、早く!』
『っ……了解』アンヴィル3がニクスの起動を中断し、コクピットから出る。それに続いて私やアンヴィル2、4も同じようにニクスから出た。それを見て人型兵器の少女は納得したのか、兵器の胴体部分が沈み、前傾姿勢になる。頭の光っていた部分が消え、その中にいる人間が立ち上がり、姿を現す。太陽光に照らされたパイロットスーツの体躯は小さく、少女のようだった。
『………降りてこれるか』
「あの高さでは──」『いいですよ』
私が隊長に意見をしようとした瞬間、少女の声が聞こえた。いいですよ、と。そう言ったのか? そう思って少女の方を見た瞬間、私は目を疑った。少女が両手を左右に伸ばし、T字に体を広げて、10メートルはある地点から落下したのだ。自由落下だった。
「お、おいっ!?」
『なっ!』
飛び降りた!? と隊長が驚愕したのも束の間だった。少女は空中で姿勢を整え、片膝と左手を地面に着けて着地した。俗に言うヒーロー着地というやつだろうか? あんな高所から降りる時点で怪我では済まないと思ったが、立ち上がった彼女はピンピンしている。怪我ひとつないらしい。
少女はヘルメットを外した。
「……こんにちは」
にこりと微笑むように口元を優しく傾ける彼女は、どう見ても高校卒業したての年齢にしか見えなかった。
しきりに隊長と呼ばれていた男性に連れられて入った場所は、地上施設の一室だった。ニスの塗られた木製テーブルの上には見たことも無い菓子が置かれており、隊長が部屋に入ってきた時、その手には熱そうな飲み物があった。ふたつあるうちのひとつをこちらに渡してきて「お茶だ。何も入ってない。菓子も好きなだけ食って構わない」と言う。
言葉に甘えて菓子をひとつ取って、袋を開けて食べる。中身はチョコレートだった。
「で、本題だ。君はどこの所属……いや、傭兵だったか。最後に雇われた組織の名前を言えるか?」
「………守秘義務がある、と言いましょうか」
「だよなぁ……。じゃあ質問を変えよう。あの兵器は? 一体、どこの国があんなものを作った?」
「国? ………あー、メーカーの事ですか。いえ、存じません。ACは、私が生まれるずっと前からあったものですから」
「………アレがか?」
「えぇ」
そう返すと、隊長は頭を抱えた。やがて隊長はため息をついたかと思うと、本音を話し始めた。
「いやな、実は君の乗っていたあの兵器……AC、と言ったか。ACの仔細を把握し、報告するよう上から言われてな」
「それはいつ?」
「さっきだよ。お茶を汲んで君に持っていく際にな。あぁ、君の兵器を分解したりはしない、約束しよう」
隊長はそう言った。不思議と、人と話している時の嫌な感じは彼からはしなかった。
「よし、とは言いながらもだが、君を易々とここから出す訳にはいかなくなってしまった。すまんが、一週間程度ここにいてくれ。もちろん客人以上の待遇と、あのACに指一本触れる事のないよう、部下達に言及しておこう」
「………まぁ、わかりました。ただし、条件がひとつ」
「なんだ?」
「1日10分ほど、コクピットの中に居させて欲しいのです」
「…………理由は」
「話をしたい相手がいるものでして。良ければ紹介しましょうか? あなたなら、彼女に会わせてもいい」
この男性からは、私を利用しようという悪意のようなものは一切感じなかった。アーク時代から傭兵をやってる身としても、こんな人は初めて見る。この人だけなのだろうか? 話していて嫌悪感を覚えない人は。
「私だけか。他のやつはダメなのか?」
「まだわかりません。あなたは直接話をして、大丈夫と直感しました」
「それは名誉に感じて良いのかな?」
「とても」
隊長はふっと笑う。
「今ので君が悪い奴、ヤバい奴では無いというのがわかったよ。軟禁という扱いで済まないが、歓迎するよ。ようこそ、EDF第229ベースへ」
ここはEDFという組織の、229番目の基地らしい。
この時の騒動のおかげで、私は巨大蟻と交戦したことをすっかり忘れてしまっていた。
次あたりでストームの機体構成書きます。