地球を防衛する傭兵になりました   作:No.28

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 君の言っていたことが本当になるとはな。
 だが、君のおかげで敵のファーストストライクは防いだ。

 市民を助けに市街地へ行くぞ!
 既に展開中の他部隊を援護する!!





二話 市民救助´

 

 

 

 基地を防衛した、それだけで私がこの世界に戻ってきた価値があった。ベース229の面々はほとんど無事で、怪我人も少数、最初はまともに取り合ってもらえなかったものの、怪物へ対抗する為の手段に退きながら撃つというのが有効だということも知っておいて貰えていたのが功を奏し、死者はゼロ人だった。他のエリアにも戦法自体は波及していたのか、目立った損害は見受けられなかった。

 

 空をテレポーションシップが飛んでいる。隊員が叫ぶ。

 

「あんな形で飛んでるぞ!」

「UFOってやつか! まさか本当にエイリアンなのか!?」

「バカ、SFXなんかじゃないんだぞ。どうせどこかの国が作り上げたハリボテだ、撃てば落ちる!」

 

 彼らはまだ信じられないようだ。無理もない。戦争が絶えた時代に敵に襲われれば、平和を壊そうとする国の仕業だと思うだろう。まさか異星人とは思うはずもない。

 

 市街地に多数の軍用ビークルが出動している。ブラッカーE1主力戦車、コンバットフレーム・ニクスA型、そして攻撃ヘリEF31ネレイド。怪物相手なら後れを取る事はないだろう。

 その近くを警戒するように私が、ビークル部隊を護衛する為にアグレッサーが、それぞれの持ち場に着いて行軍する。ACが2機もいては、一部隊の戦力としては些か過剰に過ぎるが、今はどの戦力がどの位置にいるのか把握する時間だ。少なくない被害が出るが、今無闇矢鱈に動いても効果的に敵軍を叩けない。仕方がないのだ。

 

『こちらアウトポスト49、基地を放棄して撤退せよ! 繰り返す、残存部隊は基地を放棄し、撤退!』

『今逃げても追いつかれる、隠れろ!!』

『ダメだ、見つかった!!』

『前哨基地2-6が敵の攻撃を受け、被害甚大!』

『こちらベース196! 全員、退避しました!』

 

 オープンチャンネルで隊員に指示を下す基地司令と、更に部下へ隠れるよう伝える隊長。だが発見されたと叫んでいるあたり、相当に侵攻が早いようだ。他の基地も大きな被害を受けたりと、全体を通しての戦局は良くないらしい。

 

「どこの基地も一斉に攻撃を受けている。謎の怪物と、怪物を投下する飛行物体に」

「戦況は思わしくない。EDF程の勢力が防戦一方とは…」

 

 前線部隊へ合流中の私たちのチームのレンジャー隊員が呟く。前線指揮官が合流中の部隊に無線通信で話しかける。恐らくレーダー反応などで私たちを捉えたのだろう。

 

『援軍か、ありがたい! 前線でアームチームとニクスチームが戦闘中だ、援護してくれ! 防衛チームは援軍到着後、合流して建て直せ!!』

 

 私が覚えている限り、タンクチームも戦闘していたはず。という事は、まだニクス隊の人命は助かるということだ。私は機体を飛ばし、後続を離して先行していく。後ろからアンヴィルチームの一人が止める。

 

『おい、どこへ行く気だ!』

「先に向かって味方を援護する。死なせはしない。アグレッサーはここでみんなを守ってあげて」

『了解』

『待て、先走るな!』

 

 静止を聞かず飛ばす。みんなには悪いが、助かる命を見捨てるほど腐っちゃいない。助けられないならともかく、助かるはずの味方を放っておく訳にはいかないのだ。

 オーバードブースト機能を搭載するコアでは無いため多少の不便さはあるが、それでもブースタの通常出力だけで充分間に合う。

 

『また巨大な怪物だぁっ!!』

『リボルバーカノン、ファイア!』

『ファイアッ!!』

 

 ニクスが複数機で弾幕を張れているあたり、まだ壊滅直前な訳ではないようだった。また、と言っているということは、何度も撃退に成功してはいるのだろう。恐らくは踏みとどまり、 市民が自主避難するまでの時間を稼げという命令を受けているはずだ。

 ブーストジャンプとダッシュを併用する、いわゆるステップと呼ばれる移動を繰り返し、最低限最効率のスピードで戦闘エリアへと接近する。

 

 ビル街を飛び越えると、住宅街や倒壊したマンション、完成途中の駅といった、まだ開発中であろう事が伺える場所に出た。レンジャーチームとニクスは、マンションの道路中央で迫り来るα型を撃ち、今は何とか押し留まっていられている様子だった。

 

『! 援軍だ!!』

『なんだアレは! 人型なのに浮いているぞ!?』

『まさかあれも敵の兵器か……!』

 

 壮大な勘違いをされる前に通信を入れる。

 

「こちらはアンヴィル2-1、ハリケーンだ。戦闘中の部隊を援護する為、急いで駆けつけた。目標を指示して!」

『イヤ、やっぱり味方だぞ! おい撃つな!』

『わっ、悪い! 当たっていないか!?』

「大丈夫!!」

 

 弾は脇を素通りしていったので当たってはいない。問題ないと伝え、そのままα型を攻撃しつつ自由落下する。パルスライフルが多数の敵を襲い、一様に蒸発するかのように傷口を抉って死んでいく。

 

 そのまま大きく膝を曲げて着陸しながら、出し惜しみもなくリニアガンを薙ぎ払うように速射する。敵の群れを弾が通り抜けていき、範囲に立っていた怪物は有効射程を少し狭める以上のことをできなかった。

 

『すごい火力だ、あんなのが味方に来てるのか!』

『勝てる、勝てるぞ!!』

 

 リニアガンの再射撃によって最後のα型の群れが駆除される。

 よく見ればレンジャーチームの前方、怪物の死骸に塗れるようにタンク、ブラッカーE1の残骸が三両横たわっていた。助けられなかった命は悔やんでも仕方がない。新しい敵を倒しに向かおうとすると、通信が入る。

 

『こちら本部。君達のおかげで、おおよその敵は片付いたようだ。君達はこの先の庁舎前市街地にいるレンジャーチームと合流し、体勢を建て直せ。付近にビークル中隊が待機中だ、怪物の心配はするな』

 

 本部の通信だ。私がアウトポスト89に所属していた時の作戦司令本部、その総指揮官の声だった。

 

『ありがてぇ。こんな凄いのに加えて、ビークル中隊が待機中と来たか。もう敵の好きにはさせねえぜ!!』

『だが……EDFに新型コンバットフレームの開発を急いでいるという話は無かったはずだ。あれはニクスなのか?』

『すまない、君! 所属は? どこに勤めてた?』

 

 足元に近付いてきたレンジャー、アームチームの一人が聞いてくる。私は所属していた通りの名前を伝える。嘘は言っていない。別に本当の事を言ったところで信じられはしないだろうが。

 

「私はベース229所属機甲中隊、アンヴィルチーム2リーダー、ハリケーン。あなた達を救いに来た」

『ベース229? あそこに最後のビークルが搬送されたのは、もう半年近く前の話だぞ』

『最高機密って訳か。なんでもいいぜ、俺は。敵を倒してくれるんならな』

「大丈夫。私はそのつもりで来た。皆を助けるために」

 

『可愛い女の子の声して、ガワはおっかねぇロボットか。アニメで見たぜ。追い詰められた人類の最終兵器は、試作型の人型巨大ロボットなんだ』

『そりゃアニメの話だろ? ま、験担ぎはしておくか!』

 

 雑談に話を咲かせていると、離れている本隊から通信が入る。相手はアンヴィル2-2、アグレッサーのようだ。

 

『ハリケーン。こちらもα型と遭遇したぞ。弾薬はほぼ消耗していない。次はどうする?』

 

 どうやら向こうも会敵はしたらしい。前の世界で言えばちょうど、護送中の民間人車両を攻撃してきた地中の怪物が襲ってきたあたりか。この様子だと苦もなく撃退したようだ。

 

「本部から指示が下った。ベース229の攻撃部隊はレンジャー・ハンマーチーム、ウイングダイバー・レイニアチーム、ニクス・バルダーチーム、攻撃ヘリチーム以外は帰還して基地の防衛。あなたもね、アグレッサー」

『了解。その4チームは?』

「前進させて、私と合流して。他エリアの味方と合流して戦力を補強するらしいから」

『了解した。聞いていたな! 指示されたチーム以外は基地に戻るぞ! 防御を整える!』

 

 これで、基地が襲われたとしてもニクス一個小隊にレンジャーやウイングダイバーも多数防衛に加わるうえ、アグレッサーがいるから問題ないはずだ。

 下の部隊の所属は、記憶が正しければアウトポスト89所属の市街派遣隊だったはず。確か、アームチーム。生存していたようで何よりだ。

 

『こちらアームチーム。庁舎にいる部隊は応答せよ』

『──こちらウィスパー1。君たちが合流に来てくれる隊か?』

『ウィスパー1、そうだ。俺たちがそちらに向かう。付近に怪物はいるか?』

『いいや……。恐ろしく静かだよ。ここだけ見れば基地が攻撃されているなんて思えないぐらいだ』

 

 どうやらウィスパーチームの部隊がいる庁舎前は平和そのものらしい。市民が列になって避難しているのだろう。戦闘中のあの、どちらに逃げるべきかもわからないような混迷さは、無線越しに聞こえる騒々しくもゆったりとした足音からは読み取れない。

 

『だが、怪物によっていくつかの基地が放棄されたのも事実だ。市民は無事なんだな』

『無事だ。怪物の出現報告もないし、のんびり避難してる。シェルターにも入り切る人数だ』

 

 下で状況共有と雑談を兼ねた会話を続けていたところ、四つの部隊が私のいるチームに合流してくる。

 

『こちらニクス、バルダー。来たぞ』

『同じくレイニア! 合流完了!』

『ハンマーチーム、全員いるぞ』

『EF31ネレイド、ポイント1。三機とも合流した』

 

 これで全員集まった。

 

『ビークルの増援だ!!』

『命拾いしたぜ、これなら!』

 

「指示はまだある。ウィスパーチームに合流するぞ」

『イエッサー!』

 

 全員が庁舎へと歩き出し、私も彼らを護衛する為に続く。使った弾数はパルスライフルが12、リニアガンが5。パルスライフルは戦闘を挟まなければ20分後には再使用可能だが、リニアガンは実弾を使っているためそうもいかない。生産拠点にAC規格の弾丸を製造してもらうよう頼まねば。

 

 移動中も頭の中に今後のプランと敵への対処の事ばかり考えていた。

 

 

 

 

 市街地に入る。今は夏だが、不思議とこの辺りはさほど暑くはないらしい。私の機体はクーラーが効いているが、下の彼らはそうではないだろう。

 

『畜生、早く家に帰りてぇ』

『我慢しろ。ウィスパーチームと合流したあと、何をするのかだけでも指示を仰がないとな』

 

 レンジャーチームの誰かが話を切り上げ、そのまま周囲の警戒に移る。向こうの部隊から聞いていた限りでは付近に敵は確認できないそうだが、果たして本当に襲われない確信を持つことは出来ない。警戒するに越したことはない。

 

『こちら本部。ベース228からも生き残った部隊が合流する。庁舎に合流し、そのエリアに防衛拠点を築け。新入り、お前の戦果には目を見張るものがある。期待するぞ』

『了解』

 

 どうやら凄い新入りとやらも来るらしい。ベース228といえば、私たちがいたベース229のお隣さんだ。お隣さんと言ってもそれは数字上だけで、別に立地まで隣という訳ではない。229基地が228基地の次に建設されたというだけである。

 

『新入りが凄い戦果を、か。スーパールーキーって奴だよな』

『ああ。単独でテレポーションシップを三隻、アンカーを6本破壊したらしいぜ。とても真似出来ねぇ』

 

 隣を歩くバルダーチームのメンバーが呟き、下を歩くハンマーチームのメンバーがそれに便乗する。確かに歩兵だけでテレポーションシップを落とす事は不可能ではないが、単独でそれをやるとなると凄まじくリスキーだ。基本的には10人編成の攻撃隊を組んで戦うべきであり、一人でやるには火力も人数も、何もかも足りない。

 

『こっちだ!』

 

 赤いヘルメットのレンジャーが手を振って合図している。彼らがベース228からやってきたという残存部隊らしい。そのうちの一人は珍しく、迷彩服ではないグレーの戦闘スーツを着用しており、その上からブラックとブルーのアーマーを装備している。

 その姿……というより、私はそのカラーリングのアーマーに強い既視感を覚えた。

 私は彼を呼んだ。誰も知らないはずのコールサインで。

 

「………ストーム1?」

『気付いたか。初めて会うのは5年後だったな』

 

 周囲が私たちの話について行けていないが、それは今どうでも良い。彼がストーム1本人である事の確認の方が大事だ。

 

『ストーム1……聞いた事がないな』

「当然、だってまた無い部隊名だもん」

『はあ……?』

 

 そりゃわかるわけもない。この呼び名で彼だと分かるのは、リング撃墜時の事故現場にいた、あの時のメンバーだけだ。

 

『だが、今はそのコールサインで呼ぶな。まだその名じゃない。今は……そうだな。ルーキーと呼んでくれ』

「オーケー、わかったよ」

 

 ルーキーは変わらずだ。活躍は前の時間軸で聞いていたけど、しっかりとした軍服姿の彼を見るのは初めてだった。私とルーキーだけが今、この場で5年後何が起きるか、そしてそれまでに何が襲ってくるかを知っている。

 状況が動く。通信が入る。

 

『見ろ、何か飛んでくるぞ……?』

『う、うわぁっ! あれはドローンだ!!』

『くそっ、ここも安全じゃなかったってのか! 奴ら、気まぐれで襲うエリアを決めてやがるのかよ!?』

 

 前線に展開しているウィスパーチームの叫びを受けて、全部隊が前進する。目指すは庁舎。目標は全てのドローンの破壊だ。

 

『撃て、撃てッ!!』

『増援を催促しろ! この数じゃ全滅だ!!』

 

 一拍置いてこちらに通信が届く。増援要請だ。

 

『こちらウィスパー3、激しい攻撃を受けている! 直ぐに増援を寄越してくれ!!』

「こちらアンヴィル、既に向かっている。建物に身を隠して耐えて! ドローンの総数は?」

『わからない、とにかく沢山いる!! 30か、40か……。 ……おいおい、嘘だろ?!』

 

 向こうが混乱している。隊員たちの怒声や困惑、銃を乱射する音までも聞こえてくる。

 

『聞こえるか、本部聞こえるか!! こちらはウィスパー1! マザーシップが来た、ここはマザーシップの進路上にある!!』

 

『なんだと!? ……とにかく、ウィスパーチームはエリアから離脱! ドローンから逃げ切れ!! 情報部、もっと早くわからなかったのか!?』

 

『衛星がほとんど無力化されているようです。スカウトチームも怪物の妨害によって近付けず、それが偶然重なったのだと推察されます』

 

『何? 偵察衛星がダメになっているのか……。 衛星兵器で無事なものはいくつある?』

 

『極東エリアに限って言えば、衛星サテライトコントロール・W-1、衛星スプライトフォール、衛星ライカの三つです。全世界で被害はもっと多いでしょう』

 

 どうやらマザーシップが攻め込んできたらしい。なら好都合だ。ここで奴らの母船の1隻を落としてやる。ストーム1……じゃなくて、ルーキーとカメラ越しに目配せする。

 ()()()()()()()()()()()()()()()。彼の言葉が脳裏にこだましている。覚悟はあるかと聞いてくる。

 ……上等!

 

 ペダルを踏み込んで前進する。ルーキーもダッシュしてついてくる。もちろんACの最大加速には大きく劣るが、人外じみた加速力によって自動車より少し遅いぐらいの速力で追跡している。普通に化け物かな?

 

『またか。皆彼女に続け!』

『ルーキー、あまり行き過ぎるな! ドローンが来てるぞ!!』

 

 私たちは静止を振り切って戦闘エリアに突入する。レーダーには確かにドローンが写っている。

 

「今更こんな程度の数、なんだと言うの?」

『大した数じゃない。俺たちだけで十二分に殲滅可能だ』

 

 確かにドローンは飛んでいるが、その数は市街地で相手するα型とは比べ物にならない。落ち着いて一機ずつ落としていけばすぐに終わる。問題はマザーシップだが……それも、私と彼なら変えられるはずだ。

 

 ドローンがビルから飛び出す。すぐにパルスライフルを撃ち込み無力化させると、そのままウィスパーチームの頭上を飛び越えるようにドローン部隊の真ん中に浮き上がり、イクシードオービットを起動する。レーザーが放たれていき、ドローンが一撃で撃墜されていく。

 私の予想だとドローンはあの形自体に浮力・推進力となるものが備わっていて、その形を破壊などによって歪まされる事で浮遊能力を失い、落ちるのではないかと考えている。

 でなくては、歩兵の火器で落とせる説明が着かない。

 

『なんだ、あのデカいのは!!』

『ドローンを撃墜してる……味方か?』

『何にせよ助かった! いいぞスーパーロボ!!』

 

 その脇からすり抜けてウィスパーチームに迫っていくドローンを瞬く間に撃ち抜くのはルーキー。一機を手早くスナイパーライフルで撃ち抜いた後、ショットガンによる対空攻撃で続く三機を撃墜、その後に突撃してきたドローンをさらに撃ち落とす。

 

『無事か?』

『う、おぉ……すげえのが二人もいやがる』

 

 私とルーキーがドローンを落としていく中、マザーシップが動き始める。砲台を展開し始めたのだ。

 

「!! ……わかってると思うけど…」

『任せる。もとよりそっちが頼りであまり火力のある装備を持ってきていない』

 

 彼が全幅の信頼を寄せている。なら落とさなくては。期待通り撃墜すれば、この後の流れを変えられる。それも前回と同じのはずだ。

 前は私の機体が道連れとなってしまったが、今回は余裕だ。なぜなら、その為に武装を一新してきたからだ。

 

 レールガンWB14RG-LADONは、この時のために装備してきたと言っても良い。その射程はFCSによる制限を度外視すれば1,000m、1キロメートルにも及び、ACの大きさなら多少飛べば届く距離まで接近できる。

 

 砲台に緑色の光が溜まっていく。私は機体を飛ばして接近し、レールガンの銃口を砲台へと向け、チャージを開始した。逃がさない。

 

 レールガンから一際大きな閃光が放たれてその曳光は眩く煌めき、光線が一瞬で砲台に到達する。装甲を溶かして内部を焼き、掻き回していく。非常に大きな爆発による光が辺りを覆ったかと思うと、砲台がマザーシップから分離し、庁舎に墜落していく。溜まっていた緑の閃光が失われた事で、砲台がその効力を失ったのだとわかった。

 

『こちらベース219方面部隊、攻撃部隊に合流する!』

『ベース229攻撃隊、間もなく戦闘エリア内!』

 

 マザーシップから続々と落とされるタイプ2ドローン、α型、β型の群れ。それを待っていたと言わんばかりに到着する増援の味方部隊。マザーシップは今、想定していなかった被害に相当焦っているのだろう。本来出すはずではなかったタイプ2ドローンという航空戦力を、出し渋ろうともしない。

 

 チャンスだ。

 

 再度レールガンをチャージし、砲台のあった場所、転送装置に向けて放つ。直撃する。

 

「──1発じゃ足りないか……!」

 

『そこは任せろ』

 

 後ろから飛んできた大型弾が、私の撃ったレールガンの弾痕に当てるように飛翔し、転送装置を破壊する。マザーシップが落ちていく。振り向けば、そこにはスナイパーライフルMR99ファングのリロードに入るルーキーがいた。

 

「ありがとう、仕留め損ねたかと思ったの」

『だろうと思った。再発射には時間がかかるんだろう、そいつは。カバーが間に合ってなによりだ』

 

 マザーシップが所々から火や黒煙を吹き、轟沈していく。庁舎は吹き飛んだが、レンジャーチームはまだ無事のようだ。

 

『戦線に合流した! ……マザーシップが!?』

『落ちている……アレがやったのか!!』

 

 先に到着したベース219方面部隊が驚いている。私とルーキー、ストーム1がやった事だ。この戦果は当然だ。私もそうだが、それ以上に彼がいる。

 

『こちらベース229攻撃部隊! ……こいつはすごい』

『ネレイド、ポイントチームは地上の敵を攻撃! こいつが対地戦闘じゃ無敵な所を見せてやれ!!』

『ハンマーチームだ。ニクスと共にドローンを撃つ!』

『こちらバルダー。戦闘開始!!』

 

 後続の部隊が残った戦力の殲滅に取り掛かる。彼我戦力差は圧倒的にこちらが有利であり、敵の殲滅は目前だ。

 

『こちら本部。 ……あの巨大な船を落としたのは君たちだな。戦略情報部から話がある。聞いてくれ』

 

『……こちら戦略情報部、少佐です。あなたの事は、失礼ながら監視していました。突如現れた未知の兵器(アーマード・コア)、我々にはその心当たりがあります。

 先進技術研究部、というベース1に併設された研究基地をご存知でしょうか。先進技術研究部の主任も、ある時を境に人型兵器の開発を始めました。いえ……開発と言うよりは、製造。設計図のみを手に入れ、それを元に型を作り、そして兵器を造る。

 その完成予想図を見た事があります。彼からの、我々のサポート下にある部隊に一機ずつ配属して欲しいという進言と同時に、です。あなたの駆るその機体。それは、彼に見せられたその完成予想図と細部は違うものの、ほぼ全く同じものでした。あなたから話が聞きたいのです。作戦司令本部にて待っています。

 

 それと、あなたも。確か、ストーム1と言っていましたね』

 

 ……聞かれていたらしい。

 

『その点についても、聞きたいことがあります。既にプロフェッサーが待っています。あなた方も合流してください』

 

 その言葉を最後に通信が切れる。どうやらプロフェッサーの扱いは私とルーキーを呼び寄せるためのデコイらしい。まあ良い。ちょうどプロフェッサーとは積もる話もあった。合流して色々聞かなければ。

 振り返ればちょうど、最後のβ型が倒されたところだった。

 

『……というわけだ。作戦完了だ、よくやった』

 

 本部から〆の言葉が贈られる。今回の作戦は大勝利と言うべきだ。これで人類は大躍進を遂げる。遂げて貰わないと困る。

 

 

 

 

 今日は歴史を塗り替えた。次に倒すべきはアンドロイドだ。アンドロイドの侵攻で、対処できなかった殆どの部隊が全滅した。機会があればもう一度、いや何度でも。マザーシップを撃墜する。その時はストーム1も一緒だ。

 

 

 

 

 






 ベース229攻撃部隊
 プライマーからの攻撃を退け、市街地で戦闘中の部隊の支援、敵部隊の討滅に向かったベース229の部隊。ウィンディの活躍によって死者は出ず、兵員の殆どを、余裕を持って運用できている。コンバットフレーム10機が常に戦闘可能な状態にあり、その他歩兵戦力も充実しており、攻撃ヘリによる対地戦闘能力は随一である。



 ベース219方面部隊
 戦力を集める事で最悪の事態を免れ、壊滅を阻止したベース219の部隊。半壊した5つの基地の兵力がベース219に集まっており、その戦力が最寄りの大規模拠点アウトポスト89へ向かう道中、マザーシップと交戦中の部隊を発見し、それを援護するために戦闘エリア内へ突入した。



 マザーシップNo.7
 攻撃を受け被害を被るとは思ってなかったのか、投下するはずのないタイプ2ドローンを打ち出し、挙句の果てに撃墜に至っている。残るマザーシップは9隻であり、これの撃墜の可否によって、事態の進展の今後が左右される。

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