何のとりえも無い少女が異世界で生き抜くお話(チート能力は無い模様) 作:カルデアの廃課金マスター
6月0日
今日は久しぶりに中型ロボットの性能テストをした。
前から大分改良されているのか、動きはスムーズだし魔法の威力も高い。
だけど、私でも戦えないレベルじゃなかった。
もちろん油断すれば直ぐに負けるけど、油断せずに戦闘に集中すれば負ける事はまずないレベルの性能。
でも逆に勝ち切るのは難しくなっている。
ルーデウスの魔力で創り出した金属を使っているからか、私なんかの剣と技量では完全に破壊する事が出来ないからだ。
私以外の人ならどうなんだろうか?
魔術師なら幼女先生やシルフ君ちゃんが居るけど、剣士となれば知っている人は殆ど居ない。
あの若干トラウマが産まれた人形狂いの長身が侍られていた護衛さん、生徒会長お姫様のあの変態騎士様くらいしか純粋な剣士と言っていい武装をしている人は知らない。
冒険者ギルドに行ってみたらもっと沢山剣士が居るとは思うんだけど、私じゃ冒険者ギルドどころか街の酒場にも入れないし……。
お酒で酔っ払ってる人間なんて一番近づいちゃダメだよ。
剣士と言えば、転移事件前に一度だけ合った赤毛のお嬢様はどうなんだろうか?
今一緒に居ないって事は今のルーデウスとは関わり合いが無いって事なんだろうけど、生きてるのか死んじゃったのかも知らない。
ルーデウスに聞けば教えてくれそうだけど、生きてるにしても死んでるにしても色々と辛そうだから聞きづらい。
生きているならまた手合わせしたいな。
強さが同じくらいの剣士と剣を打ち合うのはとても良い刺激になるから、行き詰っている感じがある今の私にはピッタリだと思う。
でも、あの頃の凶暴さが育っていたら日常では大変そう。
そもそもあの頃の時点で才能あふれたお嬢様で、師匠はパパウロよりも強い猫耳剣士さん。
転移事件があったにせよ、生きているなら私なんかよりも遥かに強くなっている事だろう。
鍛錬と言う名目なら同格以上との戦闘は非常に有意義な時間となる。
それが楽しみであると同時に、逆に強くなったが故にボコボコにされるだけなのではないか?と恐怖心も若干あった。
鍛錬なら我慢するけど、自ら痛い思いをしたい訳じゃないのだ。
……ここ居ない、直ぐに会えない人の事を考えても仕方ない。
中型ロボットの性能テストは上々。
私としても久しぶりに模擬戦闘が出来て嬉しかった。
そんな一日だった。
あ、エリナリーゼおばあちゃんのクリフ先輩に挨拶するの忘れてた……。
6月1日
珍しい事が起きた。
ルーデウスが朝練に参加したのだ。
いつもはランニングくらいまでだったけど、今日は最後まで相手をしてくれた。
朝の短い時間なので、起きてからアイシャとリーリャが朝ごはんを作ってくれるまでの時間だから2時間も無い短時間だったけど。
次にルーデウスが何時鍛錬に付き合ってくれるか分からなかったから、この日は体力作りと素振りに型の稽古だけの朝練から趣向を変えて、軽く準備運動をした後直ぐに剣を交えた。
中型ロボット作りにかまけてばかりかと思いきや、最低限の体力や筋力は衰えていなかった。
私と打ち合いも出来たし、剣の型だって忘れていない動きだった。
でもやっぱり、剣だけの勝負になると私に軍配が上がる。
聞いた話によると、あのケモ耳剣士さんとは転移事件で離れ離れになったらしいので、まともな剣の修行をしたのは十歳が最後。
安全な場所に帰るまでは魔物との戦いが鍛錬の代わりになるだろうけど、まともに剣術を習うなんて事はなかったはずし、そんな大変な時期に得意とは言い切れない剣術よりも魔術で殲滅した方が良いに決まっていたる。
それなのに、パパウロから教えて貰った型を覚えていて、それを問題なく振える事ができるのはルーデウスが天才だからじゃないかな。
でもルーデウスがちゃんと剣を振るう事を覚えていて、鍛錬としては久しぶりにイイ感じのが出来たから満足。
最終的な結果?
今日は魔術は使わなかったから私の圧勝だよ。
流石に剣だけのルーデウス相手だと負ける訳にはいかない。
朝練の後は何時も通り過ごした。
学校の授業をボッチで受けて、帰って鍛錬して、家族と団欒してお終い。
朝練以外は何時も通りの一日だった。
6月2日
今日も朝練にルーデウスが参加した。
二日連続とは珍しい。
昨日と同じメニューをこなした。
今まで連続して朝練に付き合ってくれた事なんてなかったのに……。
ちょっと気になったけど「そんな日もあるか」と一人で納得する事にした。
何時も忙しそうにしてたから、私の疑問に突き合わせるのも悪いだろうし……。
今日一日も、朝練にルーデウスが二日連続で参加した事以外は何時も通りだった。
学校の授業をボッチで受けて、帰って鍛錬して、家族と団欒しておねんね。
二度あることは三度あると言うけど、流石に三度目は無いと思う。
明日の朝ご飯のパンを賭けても良い。
6月3日
二度あることは三度あるってことわざがあったね。
朝ごはんのパンは渡さなかった。
そもそも賭けの存在を誰にも知られていなければ、無効試合としてパンは私の物。
三度目の正直で私の予想は当たると思ったけど、どうやら二度あった事は三度あった方が強かったらしい。
今までも偶に朝練には参加してくれる日があったけど、それは大体一週間に一回あるかないか。
ましてや連続して朝練に付き合ってくれるなんて今まであったか……記憶力に自信がない私では思い出せる範囲では記憶にない。
せいぜいまだルーデウスがブエナ村に居た頃じゃないと毎日の朝練なんか一緒にしてないはず。
ルーデウスが領主の屋敷へご奉仕しに行って以来、私はルーデウスがどんな鍛錬をどの位やって来たのか知らない。
だけど、シャリーアへ移住してからのルーデウスを見て居ればなんとなく分かる。
鍛錬はし続けているけど、忙しい日は避けているし、密度も時間も私に比べるまでも無い。
でも久しぶりに真面目に打ち合って、ルーデウスが努力できる天才だと改めて思い知った。
剣の才能は私如きが見ても無いと分かるレベルだけど、それでも長い期間しっかりと鍛錬をしている良い太刀筋だった。
魔術だけでも十分に食べて行けるだろうに、新しい魔術の研究とかロボット作成とかだけじゃなくて身体づくりまで怠ってない。
怠ってないのは分かっていたけど、最近のルーデウスを見て居れば超絶忙しそうにしていた。
これも神を自称する存在に世界最強の殺害を脅迫されているから切羽詰まった感じだった。
ここに来て三連続はバカな私でもおかしいと感じる。
なので、ランニングを終わらせて型の稽古に入る前に疑問をぶつけた。
私が質問して後ろめたい様な事でもないから、直球でルーデウスにアタック!
ルーデウスの事だからまたはぐらかすかもしれないと思っていたけど、予想に反して普通に話してくれた。
簡単に言えばオルスデッド殺しの為。
これまで毎日…かどうかはその日の状況にもよっていたらしいけど、体力づくりにパパウロと猫耳剣士さんに教えられた型を忘れないように素振りとしていたらしい。
それでもオルスデッドを殺す確率を少しでも上げる為に、この街で一番近接戦闘が強い私に付き合って鍛錬をしたい、との事。
これまで以上に継続して鍛錬を積んで、少しでもオルスデッド殺しの成功確率を上げるとか。
世界最強二位の人にそんな付け焼き刃の動きが通用するかなぁ?とか、ルーデウスは魔術師なんだから遠距離で魔法ぶっ放して、それで仕留めきれずに近づかれたらアウトな気がするんだけどなぁ。
あ、近づかれたら即アウトなのをどうにかする為の鍛錬がコレですか……。
うーん。あの中型ロボットに乗って戦うつもりなら、今の状態で動きを作っても無意味だと思うんだけど……。
え、何?その前の前の準備段階が今?
そっかぁー。
ルーデウスがちゃんと考えているなら私はもう何も言うまい。
そもそも、世界最強に喧嘩を売るとか言う蛮行を実行しようとする時点で頭可笑しいと思うけどね。
6月4日
もう恒例になりつつある朝の鍛錬inルーデウス。
やっぱりルーデウスは天才で、もう私の剣の癖を見切って動きに付いて来ている。
なんだっけ。未来が見える魔眼を偉い人に貰ったとか言っていたような……。
それのお陰様でもあるんだろうね。
でも忘れちゃダメだよ。私はまだ本気を出していない事をッ!!
6月5日
今日も今日とてルーデウスとの朝練。
朝の時間だけなのが残念だけど、逆に放課後の単独鍛錬にも身が入るから良し。
やっぱり、強さが同じくらいの人と打ち合いするのは勉強になるよね。
剣術だけだとルーデウスにも簡単に勝てるけど、魔法アリになれば五分五分よりちょっとルーデウスの方が勝率高い。
まぁ、魔法アリと言っても模擬戦だから殺意マシマシな魔法は使われないし、逆にあたしも首から上は狙っていない。
あれ? 似たような話、数日前もしたような……。
まぁいいや。私がその日その日の感情で振り返っているだけの頭の中にある日記だから。
ともかく、周辺地域で考えれば同じくらいの実力の者と鍛錬をするのはタメになる。
全力で剣を振えるから気持ちがいい。
私は苦手な行動や意識を指摘してもらえるし、私もルーデウスの行動を予測して対応策を考えて実行出来るように努力する。
これぞ、鍛錬って感じだ。
子供の頃のパパウロが私にしていたみたいに、目に見えた手加減はされていない嬉しさ。
今この瞬間だけどは、オルスデッドさんなる人には悪いけど、ルーデウスが殺意を持ってくれてありがとうと言いたい。
それだけ、ルーデウスが私との鍛錬に本気になってくれて嬉しかったの。
朝練が終わってもその余韻はずっと残り続けていたよ。
上の空って感じじゃないけど、頭の中ではずっと朝練の復習を繰り返してた。
授業が全く身に入らなくて、何度も先生方に注意されたのは私の怠慢だった。
放課後、幼女先生にまで個別で怒られてしまったのは残念極まりない。
変な心配までかけてしまって申し訳なく思う。
せめて授業中くらいは集中して挑もう。
いくら私はもう魔術が上達しないからといって、せっかく教えてくれている先生の事をないがしろにするのはダメだよね。
自分のお金じゃなくて、親の遺産で通っているともなれば、しっかりと授業は身に着けないと天国のパパウロに怒られちゃう。
ルーデウスは天才だから特待生とか言う特別待遇で、月に数回のホームルームとか受けたい授業を適当に受けるとか、研究に没頭して成果を上げるとか、学生と言うよりも大学の院生みたいな感じだから、オルスデッドさん殺しの中型ロボットの開発自体が学校に提出する課題(みたいなものだとうと勝手に思っている)だから、今学校にあまり行かなくても問題ないらしい。
何それズルい。
私も剣術科とかあれば絶対に特待生を目指すのに……。
一応、軍学課なる学科もあるみたいだけど、私が目指しているのは軍人じゃないし。
私は楽しく趣味で剣を振っているだけの女の子なのだ。
将来、剣術を使う仕事に就くかはまだ分からないけど、今の所そういった国所属の部隊に入ろうとか考えていない。
かといって、農夫さんとか商人さんにはなれる気が全くないから、結局は剣を使える仕事に就くのだろうとなんとなく思っている。
あぁ、学校の方で計算とか礼儀作法とかも教えている学科があるから、暇になればその辺りの授業も受けてみても面白いかもしれない。
見聞が広がるのは良い事だ。新しい戦い方の参考になるかもしれないし。
とはいえ、いまの私は魔法の勉強に力を入れている。
あまり進んだとは思えないけど、少しでも前へ進み続けていると信じて勉強は辞めない。
もともとルーデウスが子供の頃に入りたいと我儘を言ったからこうなった訳で、入学金を稼げてこの学校を卒業していると何かと便利だからと言う理由で私やノルンも入学出来たおこぼれだ。
勿論、入学したなら卒業まで頑張って色々と勉強をした方が、何かしら今後の役に立つかもしれないし、私一人じゃ上達しない事や幼女先生だけじゃ教えられない魔術を覚える事が出来るかもしれない。
そんな訳で未だに他人は怖いけど、頑張って魔法大学に通っているのだ。
その学業が疎かになるのはダメ。もっと気を付けなければ。
6月6日
もう見慣れたルーデウスとの朝練を終えて学校に行った。
ルーデウスは何時も通り中型ロボット作りに熱中してる。
いいや、ルーデウス曰く他称世界最強の殺害を企てているからマジも本気なんだろうけどさ。
やっぱりそんな奴放っておいて今の生活を満喫すればいいのに、何故自ら死にに行くのか分からない。
朝練の合間に軽く聞き出したら、そうしないと家族が危ないとか言っているし……。
世界最強に挑むより、家族を守る方が簡単なのでは?と思わざる得ない。
どこぞの誰に脅迫されたのかは頑なに話してくれないけど、やっぱり未来から来たおじいちゃんルーデウスが関係しているのは、頭の悪い私でも想像できるよ。
結局、あの日記にどんな事が書かれてたのかも教えてくれないし……。
恥ずかしい黒歴史と言う奴なのかな?
男の子はそういった時期があるって、前世の誰かに教えて貰った記憶があるし……。
あぁ、なんかおじいちゃんルーデウスが神様がどうたらともわめいていたのを思いだした。
だったらその神様に脅迫されてオルスデッドさんを殺害しに行くのだろうか?
…………分かんないや。
だってこの世界『神』って名前につく人が少なからずいるんだもん。
私にとって一番身近な剣の流派だって『剣神流』『水神流』『北神流』と全てに神の名が付く。
あと、世界最強トップセブンにランクインしてる人の異名も全て神が付いてたはず。
あぁ、ミリス教も神様を信仰してる。
ママやノルンが信者と呼べるほどには信仰はしていたはずだけど、私はからっきしだからどんな神様かよく知らないけど。
とにかく、神なんて腐る程自称する者が居るし、その在り方だって常に人にとって良いものとは限らない。
祈りを捧げるのは勝手だけど、神に大きな期待を寄せても無駄無駄。
人にとって理想的な神様が居るのならこの世界の不幸は無くなってるはずで、そうでなくとも人に理不尽な不幸を畳み掛けるような存在じゃあ、神様とは呼べないよね。
まぁ私が何が言いたいかと言うと、多分ルーデウスに危ない真似をして欲しくないんだと思う。
ルーデウスは天才だから何をやっても上手くいく。
子供の頃はそうとして思わなかったけど、成長した今ならルーデウスだって人間だから成功ばかりじゃなくて失敗だってする。
出来ない事だってあるって頭の中では理解している。
最たる例がパパウロの件。
ルーデウスは天才だからヒュドラなんて倒せて当然、パパウロの犠牲だって回避出来ていたはず。
あの時はそう怒りと悲しみと喪失感に身を任せて喚いたけど、成長したルーデウスと暮らしていて等身大の人間なんだなぁって思うようになった。
そりゃあルーデウスは私なんかよりも遥かに頭が良いし、強いし、コミュ力高いし、コネだって多いし、出来る事だって沢山ある。
だけど、それが失敗に繋がらないなんて事は無かった。
ルーデウスはルーデウスなりに苦労しているんだと思う。
今回の件だって自称とはいえ神様を名乗る人からの脅迫っぽいから、断るに断り切れなかったんじゃないかな?
だって脅迫犯は自称神様だから、私どころかルーデウスですら太刀打ちできない手段で脅迫してきたと考える。
神様なら「言う事聞かないなら殺すね」って感じで殺すんだろう。
物理的に来たとしても神様なら低レベルな者たちの攻撃が全く効かないとかでダメージゼロ。
そのくせ神様の攻撃は回避不可で当たれば即死とか普通にやりそう。
でもまぁ、神様なら私達ただの人が認識する事も無く存在を消すなんて芸当やってのけそうだけど……。
その自称神様が自称じゃなければだけどね。
やっぱり私に出来るのはルーデウスの応援くらいだ。
ロボット作成には全く関与出来そうにない、と言うか何をどうして動かしているのかさっぱり分かんないよ。
そっちの魔法技術関係は全く貢献出来そうにないから、当初の予定通り私はルーデウスの接近戦の技術上昇のための相手。
私の朝練に便乗するだけの形じゃなくて、正直に「技術向上の為の鍛錬を付けて欲しい」って言ってもらえれば私だってもっと協力出来るかもしれないけど、やっぱり私の学校での態度や状況を考えて頼るのは朝練だけにしてくれている気もする。
偶に中型ロボットの耐久テストに参加するけど、あれは戦闘訓練じゃないし……。
まぁ、私に出来ることはルーデウスの接近戦技術を高める試験石になるだけだから、協力も何も頻度が増える以上の事でないだろうし、頼まれてもそれ以上役に立てそうにない。
しょんぼり。
他人に気を遣うよりも先に私自身の問題を解決しろって存外に言ってるだけかもしれないけど……。
でもしょうがないじゃない?
私的には克服したとは言い切れないけどある程度落ち着いたと思っているんだよ。
時折急に現れる男の人にビクついたり、警戒したり、震えたり、手が剣の柄に移動するのは最早本能。
これ以上私自身じゃどうする事も出来ない自然現象なのよ。
……自覚症状あるのに治せないって怖いね。
治って来たと思っているけど、やっぱり周囲から見れば心配されるままなのかな……。
自然治癒、長い時間をかけて癒していけたらと思う。
うん、だからこれ以上は積極的に動く必要は無いよね。
いつか、こんな私でも受け入れてくれる友達が出来る事を夢見て!
ルーデウスやシルフ君ちゃん繋がりの知り合いはそこそこ居るんだけどね。
兄と義姉パワーつよい。
遅れたおまけとして、老デウス世界線のオシィを軽く書こうかと思いましたが、更に投稿が遅れそうだったので諦めました。
何処かで記載していですね。老デウス世界にもオシィは居る設定です。