【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話   作:WhatSoon

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NYポリス・ストーリー part2

再犯が発生した場所は前回と同様のクイーンズ……ではなく、マンハッタンだった。

警察署との距離が近かった為、比較的早めに到着したのだが──

 

 

既に現場は警官によって包囲されていた。

 

日中での犯行、通報によって付近の警官が集まったのだろう。

だがしかし、彼等は手を出せずにいるようだ。

 

現場であるATMのみ配置された銀行を中心に、何台もの警察車両が並んでいた。

……が、その内、の数台はひっくり返っていたり、半壊している。

 

ジョズ警部が少し表情を険しくさせて、現場から少し離れた警官……この場の状況を把握しているであろう警官の肩を叩いた。

 

 

「応援だよ。状況はどうだい?」

 

「……犯人の人数は6人。ですが、変な武器を持っていまして……手を出せない状況です」

 

「だろうね」

 

 

ジョズ警部はジャンク品になった鉄塊を見て苦笑した。

直後、その背後からナイトキャップが顔を……というか黒いマスクを出した。

 

 

『周囲の民間人は?避難は完了したか?』

 

「えっ……え、えぇ、はい。人質も居ません」

 

 

突然現れた黒塗りの人間に驚くような素振りを見せたが、すぐに納得したように頷いていた。

彼女の事を又聞きか何かで知っていたのだろう。

 

私は警官から目線を外し、ナイトキャップへ向ける。

 

 

「その、どうしますか?ナイトキャップさん」

 

『ケイティ巡査はジョズ警部と共に待機だ。この場から犯人が逃走しようとした場合は確保か、足止めを……無理のない範囲で行ってくれ』

 

「……逃走、ですか?彼等は立て籠っているようですが……」

 

『今は周りの警官を警戒して出てこないが……より大きな暴力に晒された場合、奴らは逃げ出す事になる』

 

 

私は目を瞬く。

 

 

「暴力……ですか?」

 

『これだ』

 

 

ナイトキャップが自身の乗っていた車から、黒く平たい拳銃のような物を取り出した。

警官が装備している拳銃とは違う……オーダーメイド製らしき見覚えのない武器だ。

 

 

「しゃっ、射殺……するんですか?」

 

『いいや、この武器は非殺傷だ。だが──

 

 

そして、犯行現場へ顔を向けた。

 

 

『死ぬほど痛い』

 

 

そして、そのまま……前方の警察車両、その陰に隠れた。

素早く、淀みのない動きだった。

彼女自身は心の準備を出来ているのだろうが、外から見ている私が出来ていない。

心配になって、彼女の姿を目で追っていると──

 

 

「ケイティ巡査、そう心配するものじゃあないよ」

 

「で、ですが……」

 

「考えてみなよ。彼女は何故、一人だけで……他のエージェントの同伴もなく、事件にあたっていると思う?」

 

 

それは確かに疑問だ。

彼女は何故、一人で事件現場に来たのか。

他の『S.H.I.E.L.D.』エージェントが同伴しないのか。

 

『S.H.I.E.L.D.』のエージェントと言えども、超常現象絡みの事件を一人で解決するのは無謀な筈だ。

 

なのに、彼女は一人で行動している。

その理由は──

 

 

「……一人で解決できるから、って事ですか?」

 

「そういう事だと、僕は認識しているよ」

 

 

瞬間、ナイトキャップが警察車両の陰から飛び出した。

近かった事もあり、私はその光景が見えていた。

 

犯人達は青白い光を放つ、スポットライトのような物を持っていた。

アレがチタウリの遺産を使って作られた反重力(アンチグラビティ)発生装置だろう。

しかし、ナイトキャップが接近しているというのに彼等はその武器を向けられていなかった。

 

どんなに優れた武器を持っていようと、犯人は無人のATMを襲う事を選択している素人だ。

訓練している警官でさえ、人に武器を向けるのを躊躇うというのに……素人が咄嗟に向ける事が出来るはずがない。

 

刹那、ナイトキャップが拳銃のような武器のトリガーを引いた。

発射されたのは弾丸、ではなく光だった。

そしてそれは、犯人の一人、その身体を貫いた。

 

バチン!と強烈な音がした。

 

 

「ぎ、やぁ、ぁ、あ!!!」

 

 

声の震えから、電撃を与えられたのだと理解した。

電撃で犯人を鎮圧させる武器……テーザー銃だろうか?

いや、テーザー銃は針を飛ばして本体から電流を流す武器だ。

 

しかし、あの武器からは針も糸も出ているように見えなかった。

『S.H.I.E.L.D.』が作った、何かしらハイテクな武器だろう。

そう勝手に結論付ける。

 

 

怒声と怯えた声。

犯人達は声を上げて、反重力(アンチグラビティ)発生装置をナイトキャップへ向けた。

 

だが、その動作は遅い。

彼女ならば避けられる筈だが──

 

 

「えっ……!?」

 

 

避けずに正面で構えた。

 

何故、避けない?

先程の身の動きから避ける事は出来る筈なのに。

 

瞬間、反重力(アンチグラビティ)発生装置が光った。

地面のタイルや、天井が抉れ、ガラスが割れる。

強烈な重力の歪みが彼女を襲う。

 

 

……理解した。

あのまま回避すれば、後方にいる我々に被害が及ぶかも知れないからだ。

その身を盾にする事で守ってくれた……のか。

 

 

思わず声をあげてしまいそうで……だが、私は悲鳴を飲み込んだ。

彼女が無傷で立っていたからだ。

 

黒いスーツは健在で……何やら薄紫色の光を発していた。

 

 

そして──

 

 

その紫色の光は、衝撃波となり犯人達を吹き飛ばした。

それは強烈な衝撃だったようで、反重力(アンチグラビティ)発生装置は捻じ曲がり、割れて、破壊された。

あれは見た目通り、精密機器で耐久性が無かったのだろう。

 

 

「うっ……!?」

 

 

砂埃が舞い上がり、思わず目を細める。

 

細めた視界の中で犯人達は転がり、その半数が気絶していた。

そして、気絶しなかった残りはナイトキャップから逃げるように──

 

 

「あっ……!確保!確保します!」

 

 

私が声を上げると同時に、周りの警官達が前に出た。

瞬間、発砲音が響いた。

 

 

「全員、両手を地面に付けろ!」

 

 

ジョズ警部が怒鳴りながら上に向けて威嚇射撃したのだ。

彼らは反抗する意志を失ったのか、その手を地面に付けた。

 

 

私はその様子から目を逸らし、ナイトキャップを見た。

崩壊した銀行で、気絶した犯人達を確認していた。

 

……本当に一人で解決してしまった。

私には到底考えられない凄い力で。

 

息を呑む。

 

そんな私にジョズ警部が声を掛けてきた。

 

 

「……彼女が怖いかい?」

 

 

怖い、か。

明らかに一人の人間が持っていい力ではないように見えた。

私達の持つ警官としての力を遥かに越えた、大いなる力……と言うべきか。

そして、その大いなる力には、大いなる恐れが伴う。

 

人を噛まない猛獣が居たとして、噛まないからと怯えずにいられるのか……それは否だ。

それが普通なのだ。

生き物として当然の考え方だ。

 

だから、彼女の力を見て、私が怖がっているんじゃないかと……ジョズ警部は思った訳だ。

 

しかし、私は小さく吐息を吐いた。

 

 

「いいえ、怖くなんてないですよ」

 

「……そうかい?」

 

「私は、彼女が一人の優しい人間である事を知っていますから」

 

「……ふ、ふふ、そうだね。いやぁ、君を見くびってたよ。悪かったね」

 

「全くです」

 

 

警察車両に引き摺られていく犯人達を横目にすると、ジョズ警部は柔らかく笑った。

今まで見た皮肉げな笑みと違う、心の底からの笑みだった。

 

 

「……うん、君になら任せられそうだね」

 

「……はい?何をですか?」

 

「ニューヨーク市警の、『S.H.I.E.L.D.』窓口役にだよ」

 

「……はっ?」

 

「私もね、もう歳で。管理職になれば、現場にも行きづらいんだ。だからね、後任者が欲しくて──

 

「そ、それは……えっと、分かりますが」

 

「何だい、嫌なのかい?」

 

「……そ、そんな事はありませんよ?」

 

「なら良かった」

 

 

ジョズ警部が煙草を取り出し、苦笑した。

彼女は煙草が嫌いだから、会う際は吸わないようにしている筈なのに。

……つまり、彼女の側に行かないという意思の表れだろう。

 

紫煙を燻らせて、ジョズ警部が私を見た。

 

 

「君以外の後任者候補……あー、つまり、君の先輩や同期はね。皆、彼女に怯えちゃってね」

 

「……辞職でもしたんですか?」

 

「うーん、自分からは言ってこなかったけどね。でも、分かるんだよ。確かに彼女を避けていた……それは彼女も分かってた筈だよ」

 

「……それは、何とも失礼な人達ですね」

 

「だろう?おかげで、いつまで経っても私は現場を離れられなかった。ま、それも今日までかな」

 

 

私とジョズ警部の間で、煙草の煙が立ち上がる。

少し煙たく感じて、目を逸らす。

 

 

「ケイティ巡査、君を彼女との窓口に任命するよ。正式な役職ではないから、役職手当は出ないけどね」

 

「……はい。承りました」

 

「うん、それじゃあ……今、やるべき事があるよね?」

 

 

ジョズ警部が、銀行内に居るナイトキャップへ視線を向けた。

……私は頷く。

 

 

「そうですね……では……行ってまいります!」

 

「うん、元気でよろしい。彼女によろしくね」

 

 

私はジョズ警部に敬礼をし、その場を離れた。

そうして早足で銀行内に足を踏み入れた。

 

割れたガラスを踏めば音が鳴り、黒いマスクが私へ振り向いた。

 

 

『ケイティ巡査か』

 

「お疲れ様でした、ナイトキャップさん」

 

 

労いの言葉を投げ掛ければ、彼女は少し固まって……そして頷いた。

 

 

『いや、私は大した事はしていない』

 

「いえいえ、先程の仕事が『大した事』ではないなら、私達はどうなるんですか?」

 

『……そうだな、すまない。要らぬ謙遜だった』

 

 

私が苦笑すれば、彼女も……恐らく、マスクの下で笑っていた。

顔は見えないけれど、きっと。

 

 

『警部はどうした?』

 

「ジョズ警部は他に仕事があるそうで……」

 

『そうか』

 

 

ナイトキャップが半歩開いた。

瓦礫の軋む音がした。

 

……違和感。

 

 

「……あの」

 

『どうした?』

 

「……その、先程の話、もしかして聴こえていましたか?」

 

 

彼女の素振りに、違和感があった。

そしてその原因は、一つしか思い当たる節がない。

 

 

『いや、聞こえていない』

 

 

その回答は私の言った『先程の話』が何なのか分かっている返答だろう。

その上で聞かなかった事にしてくれているのだろう。

 

 

「……私は──

 

 

だから、言わなければならない。

 

 

「私は、貴女から逃げませんからね」

 

『……そうか』

 

「はい。例え何があっても」

 

 

ナイトキャップは半壊した銀行の中、辛うじて無事だったベンチに腰を下ろした。

私の視線は下がるが、彼女の視線は私を見上げたりしなかった。

 

視線は交差せず、すれ違う。

 

 

『……私はな──

 

 

ポツリと、彼女が口を開いた。

 

 

『自惚れではないが、他の人間よりも強い』

 

「……そうですね」

 

『武器を持った人間も素手で殺せる。君が抵抗しようが、その上から捻り潰せるぐらいには強い』

 

「……それも事実ですね」

 

『それでも、私を怖がらずにいられるか?昨日会ったばかりの私を──

 

「勿論です」

 

 

即答した。

私は少しも返答を迷わなかった。

 

 

「だって貴女は、人を守るために頑張ってるじゃないですか。それも私達を含めて……なのに怖がられるなんて、おかしいじゃないですか」

 

『おかしいか?私は……普通の反応だと思うが』

 

「そんな事ありませんよ。変です。私、そういう理屈として、間違ってる事は許せないんですよ」

 

 

私の言葉に、彼女が顔を上げた。

 

 

「自分が信じる正しさは、絶対に曲げたくありません」

 

『……君は凄いな』

 

 

だから、この意思の固さを理解してくれたのだろう。

だが、私は少し視線を逸らした。

 

 

「あ、いえ……が、頑固なだけです。融通が効かないとも言われてます……けど」

 

『……フ、確かに。そうだな、君は少し融通が効かない人間だったな』

 

「……それってバカにしてません?』

 

『良いや、褒めているさ』

 

 

目前のナイトキャップが立ち上がった。

私より少し目線が高い。

だけどそれは、そのアーマースーツの靴底の差……もあるだろう。

本来は私と同程度か、それとも──

 

 

『さて、そろそろ他の警官達と合流しよう。いつまでも事件現場で語り合っている訳にもいかない』

 

「え?あ……そうですね」

 

 

私は割れたガラス窓の外で、犯人達を護送しようとしている同僚達を見た。

 

 

「……随分と話し込んでしまいましたね……これじゃあサボりって言われても否定できません」

 

『……私も共犯だ。もしジョズ警部に叱られそうになったら教えてくれ。私も共に叱られよう』

 

 

随分と気安く話しかけてくれる。

それはきっと私と親しくしたいから……ではないかと、思っている。

 

それが私には嬉しかった。

 

 

「ありがとうございます、ナイトキャップさ──

 

『ミシェルだ』

 

「え?」

 

 

遮られた言葉に、私は目を瞬いた。

それは名前だ。

誰かの、名前……。

 

 

『私の名前だ』

 

「え?あっ、でも、隠してるんじゃないんですか!?」

 

『いいや、別に隠してはいない。公にするつもりもないが』

 

「じゃ、じゃあ……なんで、私に?」

 

 

思わず訊くと、彼女は私へ振り返った。

真っ黒なマスクの下の表情は見えない。

 

 

『これから長い付き合いになる……いや、なれば良いという願掛けだな』

 

 

だが、微笑んでいるのが分かった。

どうしてかは分からないけれど。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

クイーンズ市内の事件を解決して、数時間後。

『S.H.I.E.L.D.』によって犯行に使用されたチタウリの遺産は回収された。

 

真っ黒な大型車両に、反重力(アンチグラビティ)発生装置を載せる。

 

 

『後は頼んだぞ』

 

「任せて下さい」

 

 

運転手である『S.H.I.E.L.D.』のエージェントに任せて、私は壁にもたれかかる。

崩壊した事件現場を修復すべく、ダメージ・コントロールの職員が検証をしている。

 

それを横目にして、息を深く吐く。

 

ケイティ巡査は既に警察署に戻った。

ジョズ警部も。

 

だから今、一人、こうして現場に留まっている。

 

 

『…………』

 

 

この事件……チタウリの遺産。

それが民間に流通してしまっている原因。

 

他人事ではない。

私は当事者だ。

 

 

『……はぁ』

 

 

ケイティ巡査の、私に憧れるような目。

そんな視線を受けられるほど、私は出来た人間ではない。

ただただ善意だけで事件の収束に奔走している訳ではない。

 

善意は確かにある。

誰かを守らなければならないという善意。

 

だが、罪悪感の方が大きい。

この事件によって死人が出れば……私は後悔するだろう。

 

マスクの下で目を細める。

 

約10年前にニューヨークを襲った、宇宙人チタウリ。

彼等はアベンジャーズによって壊滅させられ、敗走した。

戦場となったニューヨークにはチタウリが残した武器が大量に放棄されていた。

 

それらは『S.H.I.E.L.D.』、ダメージ・コントロールによって回収された。

 

だが、全てではない。

幾つか、現場から盗まれていた。

 

……そして、その盗まれたチタウリの遺産を、回収したのが──

 

 

 

アンシリーコート。

つまり、私の所属していた組織だ。

 

だが、組織はアベンジャーズによって崩壊させられた。

遺産の行方は分からなくなり……忘れられた頃に、悪人たちの手に渡ったのだ。

 

これだけならば、私は自身を責めなかっただろう。

 

だが、回収されたチタウリの遺産は、組織の幹部が保持していた。

その保持していた人間こそが──

 

 

『…………』

 

 

私は背もたれにしていた壁から離れる。

そして、現場検証に参加している『S.H.I.E.L.D.』のエージェントに声を掛ける。

 

 

『すまない、先に失礼する』

 

「あ、はい!了解しました!」

 

 

敬礼するエージェントに苦笑する。

私の方が彼よりも経歴は浅いというのに。

 

ただ、ほんの少しだけ私の方が強いだけなのに……それでも私を特別扱いするエージェントは多い。

……彼等は私が『レッドキャップ』だったという事は知らない。

 

知れば幻滅するだろうか?

だが、あの名前を公表する事は上司であるニック・フューリーから禁じられている。

 

彼等から離れて、自身の車に乗る。

そしてステアリングに両腕をのせた。

 

 

『……やはり、私は尊敬されるほど偉い人間ではないさ。ケイティ』

 

 

出会ったばかりの私を信頼してくれた警官に言葉を溢す。

今、この場に居ないというのに。

言い訳のように。

 

 

『私は利己で事件を解決しているだけだ。私の罪悪感を拭うために、そして──

 

 

窓ガラスに、黒いマスク姿が反射する。

 

 

『私の兄の、遺した物を片付ける為に』

 

 

アンシリーコートが回収したチタウリの遺産、それを保管していたのは私の兄……ティンカラーだ。

その技術の流用で幾つも、人を殺すための道具を作ったのだろう。

……例え、チタウリの遺産そのものが使用されていなくとも、血で染まっている。

 

兄は善人ではなかった。

悪人だった。

 

その上で、それでも……私は彼を慕っている。

自殺する前から、自殺した後はもっと。

 

何度も罪を犯してしまっていたとしても。

それでも。

 

 

私は……彼を兄だと思っている。

 

 

だが、もう居ない。

ティンカラーは死んだ。

私を生かすために、自らの頭を撃ち抜いた。

 

これ以上、罪を犯す事はない。

 

 

『…………』

 

 

なのに、彼が遺した物が罪を犯している。

 

死後の彼に罪を重ねさせようとする。

だからこそ、許せなかった。

 

 

『……チタウリの遺産も、アンシリーコートが遺した悪意も……』

 

 

車の窓ガラスを遮光モードに変えて、マスクを脱ぐ。

 

 

「私が全て、解決しないと……」

 

 

拳を握る。

視線を落とせば……左手の薬指に付けた指輪は鈍く輝いた。

 

 

「……いけない。あんまり気負うなって、バッキーに怒られたのに」

 

 

……ほんの少しだけ、気持ちが楽になる。

息を深く吐いて、胸の奥にある重い感情と共に吐き出した。

 

 

「……『S.H.I.E.L.D.』に報告を出したら、ピーターの家に行こ」

 

 

仕事用の顔から、私生活用の顔に変える。

闘争心で火照った身体が急速に冷めていくのを感じた。

 

車に置いていた私用の端末を開けば、ピーターからのショートメッセージが届いていた。

少し気を楽にしてから、車のエンジンを始動させた。

 

 




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