緋弾のアリア -瑠璃神に愛されし武偵- Re:Make   作:あこ姫

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 大変長らくの期間をお待たせしました。この回から完全新作な展開となります。


第027弾  迎撃(カウンター)——厄災の覚醒(オーダーブレイカー) Side_Nayu

禍々しい姿としか言い様が無いユイが私達の前に姿を現した。

 

ユイの姿を視認すると同時に私は意識を集中させて私自身の全てのリミッターを全て外して瑠璃神・第4段階(ラピス・デルタ)に移行する。

 

通常時は第1段階(アルファ)第2段階(ベータ)第3段階(ガンマ)を経て、今の姿である第4段階(デルタ)になるのだが、相手が相手だけにそんな悠長な事をしてはいられないが故に今回は一気にすっ飛ばして第4段階(デルタ)へと至った。

 

御蔭様で多少では有るが既に反動が活性化してやがるわ。持ってよ、私自身。

そんな愚痴を抱くと同時に気配察知が反応する。

 

「来るよ」

 

シュウヤ達に警戒体制となる様、指示を飛ばした。

 

正直言うと、今のユイは行動パターンが読みづらい。……違うわな。読めない。

なんか一概には言えないんだけど、読もうとすると私自身が警鐘鳴らしてんだよね。

 

アイツの精神を覗くんじゃねぇ

 

ってな。

おそらくは暴走した事によって負の方向に増幅されていて、精神を汚染する能力を得ている。

でないと、あんなはっきりとした嫌な予感はしねぇわ。

 

つか、今の私は瑠璃神モードなので精神汚染等といった状態異常系の耐性は高い方なのにそれを凌駕するデバフって何なんだよ。チートかよ。

私以上の耐性て、もう葵しか居ないやん。この場に居ないけど。

 

居ない者頼りは愚の骨頂。

仕方ないし、今までの対戦から予想立てて、その場その場で対応するしか無いか。

先手を打てないのは痛手だけども仕方ない。

 

込み上げる愚痴を抑えて引き続きユイの気配を探る。

 

 

みつけた。

やはり狙いは自分の手の内を知る翡翠の能力を使う歳那か。

歳那はまだユイを認識出来ていない--というよりユイが意図的に認識させてない。

 

気づいているのは私だけ。

だったらやることは一つだよね。

 

私は断罪の剣(エクスキューショナーソード)を右手に発動させ、ユイの歳那への攻撃を阻むべく駆け出した。

 

無論、ユイは私の存在に気づいていない訳がない。

狙いを人間業とは絶対に言えない程の反応速度で標的を歳那から私に変更し、魔法陣を展開させると同時に瑠璃神(花梨)から思念伝達によるナビゲーションが入る。

 

 

「《凪優、14秒後に全方位高密度弾幕!》」

 

まさかの全方位に高密度弾幕と来るのね。意地でも突破させない気か。

弾幕の密度によって突破の難易度は変化するから油断は出来ない。

 

瑠璃神(花梨)の告げた時間と寸分の狂いも無く、全方位高密度弾幕が展開された。

 

高密度の弾幕は紅の光の奔流となり、フィールド全体を焼き焦がさんとばかりに襲い掛かる。

推測ではあるけれど、術式自体はいつも結衣が使っている物と差異は無い。

しかし、問題と為りうるのはその術式の威力である。

通常時に比べて数倍……数十倍以上は絶対に有るだろう。

 

これは私単独で無傷の弾幕突破は到底不可能であり、致命傷にならずとも多少の負傷は覚悟せねばなるまいて。

 

ユイが弾幕を発動時に今まで自身に展開させていた認識阻害が緩み、シュウヤ達がその姿を漸く認識出来るようになったと同時に攻め入った(カチ込んだ)シュウヤ達は射線が私と被って同士撃ち(フレンドリーファイアー)になってしまったりする最悪な結末のリスクもあり、攻めあぐねていた。

 

少しでも援護が有れば何とか無傷突破は行けるが……無い物頼りは出来る訳が無い。

私はユイに向かって弾幕を突破する事にする。

 

弾幕の弾道予測? そんなの0.001秒以下の精度で回避と同時にやるしか無いでしょ?

ほんの少しでも予測が間違えば、即仏モノだから用心せねばなるまいて。

 

全神経を集中させて弾幕を紙一重で予測回避しユイとの距離を詰めていき、距離が腕一本分になった所で6ウニカを速抜き(クイックドロウ)接射(ゼロファイア)を行う。

 

「……やられたっ……! このチートの権化め……」

 

私はこの現状で起きている状況に対して悪態をつくしかなかった。

 

何が起きたのか。

それは、私の手にあったウニカが砕け散ったのだ。

原因は銃身内で弾が炸裂した事による腔発(こうはつ)である。

腔発が生じた理由は整備不良――ではなく、魔法防御。

 

苛烈な攻めと性格面も相まって攻撃特化なイメージが有る結衣だが、実は彼女はどちらかといえば高い防御力を誇る防御魔法を得意としている。

 

実際、結衣の他に瑞穂さんも使う最上級防御魔法、影布(ウンブラエ・)七重(セプテンクレクス・)対物(バリエース・)障壁(アンティコルポラーリス)は結衣が考案した物である。

 

つまりは、だ。防御魔法を得意としているユイがあの距離で魔法防御を行うなんて朝飯前であるということだ。

 

いつまでも砕け散ったウニカ(あいぼう)に動揺してはいられない。

ゴメンね、最後の最期までこんな無茶苦茶な仕事させっちゃって。

 

私は砕け散ったウニカに対し謝罪しつつも、破片を礫に変換させユイへ向かって着弾させる。

 

ユイは面白くない表情でウニカ礫を防いだ直後に消えた。

 

………見失った?私が………?

って事はユイの奴、今度は私と花梨に認識出来ないようにしやがったか。

 

しばらくして、認識出来るようなった私の背後には攻撃体制のユイがいた。

しまった……!この距離じゃ防御が間に合わない………畜生が…………

 

黒衣の夜想曲(ノクトゥルナ・ニグレーディニス)

 

ユイの攻撃が私に届く直前で影の防御に阻まれた。

 

「大丈夫ですか、凪優さん?」

「歳那?!」

 

防御を行ったのは歳那だった。

翡翠と契約しているとはいえ、あの攻撃を完全に防ぐとは半端ないな。

 

ユイも攻撃を防がれるとは思っていなかったのだろう。

凄く不機嫌な表情で再び濃密な殺気を発している。

 

「来ますよ、凪優さん」

「ええ。此処を突破して皆と合流するよ、歳那」

 

フィールドの僅かな熱による揺らぎを合図に私と歳那vsユイ本体の戦いが始まった。

 

 

 

戦いが始まってかなり長く感じられるが実際はそんなに経過はしていない時間が過ぎ去ろうとしていた。

あれから幾度なくユイと斬り結んだが、有効打に為りうるダメージを与えられていない。

違うな…………まさかとは思うけどさ、

 

「ダメージ与えられた瞬間に回復しとんのかい……厄介なアシストだこと」

「……ええ、全くです。このまま戦いが長引けば間違いなくジリ貧ですね……」

 

やっぱりかよ。ユイの奴、一番敵に回したくないアシストツール使ってやがるわ。

どうしたものか……。一番望ましいのは短期で決着をつけることなんだけど、それには相当なダメージを与える事が不可欠。

それこそ、私と歳那が同タイミングで技を叩き込む――所謂『合体技』が理想なんだけど、問題は互いが使用する技が必要な技と合致するかどうか……だ。

 

「歳那、貴女はどっちが使えるの?」

「凪優さん、一体何の事を言っているのですか……?」

 

私の突然な質問に困惑の歳那。それもそうか、こんな質問じゃ解んなくて当然か。

 

「歳那、貴女の使う剣術は『天然理心流』……で合ってるよね?」

「え、ええ。そうですが……」

「歳那の使う天然理心流には、『表の流派』と『裏の流派』がある……そうよね?」

「は、はい……その通りです。何故に今のその事を……?」

「一応、打開手段は有るっちゃ、有るんだけど……ね?」

「……!ま、まさか『合技』を使うおつもりですか!?」

 

私の含みのある発言に何かを察し、合点の行った歳那は驚愕の声を上げる。

 

「そうよ。あの技……『天然理心流合技 月日(げっか)』なら確実にユイに致命傷までは行かずともかなりのダメージを与えられるわ」

「でも、あの技は『表の流派』と『裏の流派』の合技ですよ!?『裏の流派』の奥義である『月影(げつえい)』は私が使えますけど、『表の流派』の奥義、『日昇(にっしょう)』は誰が使うんですか!?此処にはその技を使える凛音が居ないんですよ!?」

 

私の案に声を荒げる歳那。

まぁ、確かに歳那の言うとおりだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()……ね?

 

「問題無いわ。天然理心流の『表の流派』なら私、完全会得してるし」

「……ゑ」

 

私のサラッとした告白にフリーズする歳那。……なんか可笑しい事言ったかな??

 

「な、なななな、何で全部知ってるんですか!?……と、いうか誰に教わったんです!?」

 

あまりの驚愕故に滅茶苦茶問い詰めてくる歳那。

 

「高校に入るまで武者修行で色々な流派を会得する為に各地を渡り歩いていたんだけど、その一環で普通に天然理心流の道場に在籍して会得したから、()()師範からなんだけど……」

「な、成程……道理で納得がいきましたよ。数年前、師範が『特殊な奴の指導がある』って言ってたましたし、それが凪優さんだったんですね」

 

全ての合点が行った歳那は納得した表情を見せている。逆に私は師範に問い詰めなきゃいけない事案が発生したけどな。裏の流派を会得する序に問い詰め(OHANASHIし)てやるとしよう。

それはさておいて。

私が『日昇』を、歳那が『月影』を使える。つまり、この二つの合わせ技である『月日』を使う前提条件は満たしている。

『月日』を使用する際の最重要課題である『両者の連携力』は私が完全に歳那の動きに同調させれば問題は無い。普通なら難しいだろうが、瑠璃神モードの今なら容易い事だ。

 

さて、道筋が見えたが問題はその技をどうやってユイに当てるか……だ。

この技のリーチは威力がある分、短いのだ。

確実に当てるにはかなりユイに接近しなきゃならない。

気配察知が人外級なユイに接近して当てるのは極めて至難な事だ。

どうやったら確実に行けるかな……

 

ユイが掌に能力を溜めた状態で此方に接近してくる。

確かユイは『獄炎(シム・ファブリカートゥス・)煉我(アブ・インケンド)』使ってる状態……だったはずだ。

確か……その状態で発動する技が――あった。『獄炎崩山托天掌』か。

ゼロ距離で放つ技だからユイが私達に確実に接近する。

ユイの一撃をなんとしてでも耐えて、カウンターで合技を当てるしか方法はない。

 

「歳那、翡翠の能力を併用してユイの一撃をなんとしてでも耐えて!」

「り、了解!」

 

歳那に指示を出した直後、ユイが手の掌を密着させてから、零距離から掌底を繰り出してきた。

私は瑠璃神でブーストした氷雪で、歳那は翡翠でブーストした炎熱でユイの一撃を防ぐ。

 

「歳那、()()()()()繋げるよ!」

「了解!」

 

私は氷雪を『色金定女(イロカネノサダメ)』の刀身に纏ったまま、『日昇』を、歳那は『八代目 和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)』の刀身に炎熱を纏ったまま『月影』をそれぞれ発動させる。

歳那が主軸となり、円舞のように回りながら相手へ斬りかかり、技の死角となりうる部分を私が居相の動作から始動し、素早い縦薙ぎと移動を組み合わせて繰り出す多撃斬で補う。

この技は――

 

「天然———」

 

「理心流———」

 

『合技 月日』……?いいや、今は違うね。この技の名前は―――

 

「「合技 焔雪(ホムラユキ)」」

 

 

私が走りながら、物凄い速度で居合切りを無数に行い、歳那が自身を時計回りに軸回転させながらの剣戟でユイをなぎ倒していき、更に氷と炎による冷気と炎熱がぶつかりあい、更なる破壊を齎していく。

 

かなりの高威力の技をモロにゼロ距離で受けたユイは自身の内部に多大なるダメージを負い、膝から崩れ落ちた。

対する私達も技の反動やら色々でかなり息が上がっている。これ以上の長期戦は困難だ。

 

……ユイの自己回復は、機能してない。成功か……。

頼むから……暫く寝ててくれ、ユイ。これ以上長引くと私も、歳那も勝ち目は……無いからさ。

 

だが私の願いは儚くも砕け散る。

ユイはゆっくりと立ち上がった。

そして――

 

「ああ今すぐキミ達を壊したい・・・♥」

 

凶気的な笑みを浮かべ、私達にとって絶望となる一言を言い放ったのだった。

 

 

》次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は真の最終決戦(第3R)となります。
投稿時期が未定となりますが、気長に待ってくれると幸いです。

それでは次回の第028弾でお会いしませう。
ではでは(ヾ(´・ω・`)
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