一般人の認識コピペで思いついた一発ネタ。続かない。
それとギアス要素も薄めです。
ついでに軍隊要素が出てきますが、この手の知識はあまり詳しくないので深くまで突っ込まれると泣いて爆散します。

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知らない世界に転生したが世界観がおかしい奴がいる

はじめまして。転生者です。

と、ありきたりな挨拶をする私の名は橘翔。科学者の父と兄を持つ立派な「元」日本軍の軍人である。特技は居合。これでも少しは腕が立つので、鉄骨やトラックくらいなら余裕でぶった斬ることが出来ます。

 

 

 

私が転生した感覚を得たのは22歳。日本軍の士官学校を修了してしばらく。私が歩兵部隊を率いる中隊長に昇進した時である。

 

転生したと確信したのは、やはり「日本軍」の存在があったからだろうか。私の世界では「自衛隊」だったのでそこの差異が私に「今自分が違う世界にいる」ことを想起させたのである。

 

とはいえ、とはいえだ。正直我ながらとても中途半端な時期に自覚したものだと思う。私自身あまりこういうことに詳しくはないが、前世で物語の類にはよく触れていたので所謂「お約束」というやつはだいたい分かる。こういうものは人生の節目に起こるべきなのだ。

例えば産まれてすぐ。例えば新生活の始まり。例えば成人した時。軽く挙げただけでこれだけある。なのに私はこんなタイミング。そんな馬鹿な話があるか。

 

大体中隊長だぞ。確かに前線を支える大事な役目だが、あくまで中間管理職のようなものだぞ。どうせならもうちょっと早くに自覚したかった。それこそ生まれた時ならば私の人生ももうちょっと変わったかもしれないと思う。

 

「そんなに俺のこと熱く見つめちゃって。まさか、今度こそ俺に惚れちまったかあ?」

 

「馬鹿も休み休み言え。少し世の無情を嘆いていただけだ」

 

隣にいた男……いや、馬鹿が話しかけてきた。コイツは生まれてくる世界を間違えたような奴で、私が転生者だと自覚する切欠になったであろう男だ。

この男が私の中隊に来た……いや、押し付けられたのはもう8年も前だ。

何でも、軍の偉いさんがもう手に負えないと私に押し付けてきたバカ野郎で、小さい頃からケンカ三昧。暴走族は潰すはチンピラは半殺しにするわ、駅前のヤクザの事務所にゴミ箱投げ入れるわ、学校じゃ暴力事件起こして転校するわとやりたい放題。まるで自分の暴力性を抑えきれないような奴で、もういっそのことと本物の軍隊にと訓練もなしにブチ込みやがったのだ。よりにもよって私の所に。私が前世の記憶を得たのもその瞬間だったのである。

 

それからはまあひどいものだった。毎日のように問題を起こすこの男を何度も何度も折檻して殴られて殴り返して。時には特技の居合を活かし、懲罰として服を全部斬り捨ててマッパにしてやったこともあった。その度に部下からの視線が畏怖を帯びるのはいい事だが何故なのか分からなかった。

 

しかしつくづく思う。コイツの力はハッキリ言って異常だ。世が世なら英傑豪傑はたまた武神として名を馳せたかもしれないが、今はそんな個人で時代を変えられるような世界ではない。そんな場所に生まれてしまったコイツは、つくづく惜しいと思った。

しかし時間と共に、コイツの力が必要とされる時が来た。来てしまった。

 

コイツが来てから一年後。日本とアメリカ大陸の大国、「神聖ブリタニア帝国」との間に戦争が起きた。ブリタニアが使う「ナイトメアフレーム」とやらはその機動性から日本軍の装備に対して圧倒的に優位であり、そのせいで日本軍は各地で壊滅する羽目になった。

私の所属する部隊とて例外ではない。他の中隊とは連絡もつかず、都市部に立て篭もることしか出来なくなったのだ。その上こちらの兵器はナイトメアフレームには無力で、部下たちが私に縋るような目を向けてくるのがとても痛ましかった。

 

私はここで死ぬのか。何も出来ないまま部下も道連れにして。

それだけは嫌だ。どうせ死ぬならあのメカをスクラップにしてから死にたい。巫山戯るなよ侵略者ども。現実世界にロボアニメを持ち込むな馬鹿タレ。いやそもそも侵略なぞするなブチ殺すぞ。

 

「おい。お前、アレをブチ壊したいか?」

 

「んなもん当たり前だろうが!あのウンコ野郎ども……あんなもん見せられて、許せるわけねえだろ!」

 

「なら手伝え。これからあのブリキ野郎共をスクラップにする。……そのために、お前の力が必要だ」

 

「……へへっ。そうこなくっちゃあ面白くねえ!連中に目に物見せてやろうじゃねぇか!」

 

 

 

 

ところで。私は前世一般人なのでロボアニメというものにあまり詳しくない。ガンダムはアムロとシャー?が戦うことしか知らないし、エヴァはパチンコが有名らしいこととあやなみ……だったか?が可愛いことは聞いたことがある程度。

マクロスは歌うもので、ちょっと前に話題になったらしいコードギアス?とやらはタイトルしか聞いたことしかない。

だが装甲騎兵ボトムズだけはよーく知っている。アストラギウス銀河の百年戦争が生んだ混沌の坩堝。地獄を行くキリコ・キュービィーの生きるための足掻きと愛の物語は何度見ても胸を打たれるものがある。アニメも全話見たしOVAも全部見たし、小説版だってきっちり揃えた。推しは当然ゴウトのおやっさん。老いるならああいう老い方をしたいものである。

 

と、話がずれたが、大事なのはここからだ。ボトムズには生身でATと戦う「機甲猟兵メロウリンク」という作品があった。アレの戦い方を参考にはできないか、と当時私は考えた。策を練り、工夫を凝らして生身でメカに近づき、コックピットをブチ抜くことで無力化する戦法。連中のメカが大型なら不可能だったが、見たところATとほぼ同じぐらいの大きさのようで、この戦術を応用できそうだったのが幸いだった。それにコイツの馬鹿みたいな身体能力ならコックピットの場所さえ分かればどうにでもなるのではないか——と、冷静さを失いかけていた私はそのように血迷ったのである。

 

作戦を説明した時、部下たちは当然止めようとした。無謀だと。無理だと。だが、この馬鹿は笑って「面白そうじゃねえか。こんなのケンカでもやったことねえぜ」と喜び勇んで私についていこうとした。だから私は、二人だけでやる事にした。部下には私が死んだ時の対応を指示し、別所で待機命令を出した。

今でも馬鹿だと思う。こんなことを士官学校を出た軍人がやるべきではない。しかし、その馬鹿にならなければ、きっと今は土の中でお陀仏だったろうから人間わからないものである。

 

作戦はシンプルだ。メインカメラをなんとか潰して、パイロットが目を失った隙にあの主張の強い胸に取りついて中へ乗り込む。もしくは外から吹っ飛ばす。完全に馬鹿の身体能力任せの稚拙な作戦だが、結果として作戦はうまくいった。センサー部分が思ったより頑丈で火器では潰せなかったので刀で首ごと斬り落とす羽目になったのは若干の誤算だったが、敵兵もまだこのメカに慣れていなかったようで、馬鹿が勘で出入り口と判断した後ろの部分を腕力で無理やりこじ開けた時には信じられないという顔でこちらを見ていた。私もそう思う。

ともあれ、その隙のおかげで敵兵の首を落とし、放り出してメカを奪った我々は馬鹿の勘に操縦を任せて敵陣の中で暴れ回り、最後は自爆させて〆。リアルにボトムズみたいなことをした挙句最後は追ってくる敵のメカを何とか撒いて生き延びたのだった。

 

それから同じことを何回かやっているうちに戦争が終わった。当然日本の敗北で、私は馬鹿と一緒に地下へ潜り反ブリタニアのテロリストになった。だがやることはいつもと変わらない。機体を奪って、暴れ回って、乗り換える。意外だったのは馬鹿も私も、機体の操縦に才能があったことである。馬鹿は少しガチャガチャとテキトーにレバーやら何やらを動かしただけで大体の操作方法を理解したし、私もそれを見て操縦を覚えられた。お蔭で強奪も捗ったし、最近は自爆させずに持ち帰って顔見知りの大道凱というメカニックに整備を任せている。こいつもこいつでメカを恋人と呼んで憚らない変人だが、腕は確かだ。メカを愛するからメカのことが分かる。だから整備を万全に出来る。分かるようで分からない理論だが、細かいことはどうでもいい。大事なのは機体を使えるかどうかなのだから。

 

最近は日本解放戦線、黒の騎士団とテロリストも増えてきた。何やら世界が動こうとしているような気がしないでもない。だが、きっと私たちは変わらないのだろう。いつものように戦って、いつものように帰ってくる。ブリタニアの連中も新しい機体を投入するから、それを使うのも楽しみだ。目の前の馬鹿がいれば大抵の無茶は通るしな。

 

——さっきはこの馬鹿を嫌っているような口ぶりだったかもしれないが、実のところ私個人としては別に嫌いではないし、むしろ好きな方だと思っている。コイツがきっかけで私の人生がアレなことになったのは確かだが、コイツのおかげで人生に華が生まれたことは否定すべきではない。

 

だが。しかし。この馬鹿はつくづく生きている世界観がおかしいとは思う。さっきはしれっと流したが、そもそもコックピットは素手でこじ開けられるものなのだろうか。普通は器具でガッチリ固定されているのではなかろうか。生身でメカの胸部までよじ登るのは私もやったからともかく、それ以外のローラーダッシュするメカに飛び移ったり火器を生身で避けたりした部分はどう見ても超人系格闘漫画に分類されるのではないだろうか。

 

それにコイツが初めて機体を動かした時のことは今でも鮮明に思い出せる。

 

「おいおい全然動かねえぞ!何やってんだ!」

 

「うるさいぞ。こいつは私が考えていたような操縦システムを取っていないんだ!」

 

「じゃあお前じゃ動かせないってか!?」

 

「少しは時間を寄越せ!でなければ分からん!」

 

「だったら自信ありげな顔してそこに座ってんじゃねえよ!」

 

「じゃあお前がやるか!?」

 

「やってやろうじゃねえかこの野郎!」

 

 

——————————————————

 

「……よしよし、今ぶっ放したお蔭でちょっとだけ分かってきたぜ。にしてもコイツはスゲ〜や」

 

「随分早いな。本当に分かっているのか?」

 

「俺らが弄ってた戦車なんか目じゃねえ。これから吹っ飛ばすのが勿体ねえくらいだぜ。へへっ……コーフンしてきやがった」

 

 

 

思うに。コイツの才能は全て戦いに特化しているのではないだろうか。だから、平和な世界ではその力を発揮できずに腐らせることしか出来なかった。そこも含めて生きている世界観が違うのだろう。どちらかというと人類が追い詰められた系の絶望感漂う世界をひっくり返すために生まれてきたようなタイプだ。

だからもしかしたら、コイツは今が一番人生で充実してるのかもしれない。

 

「おーおー随分警備が厳重じゃねーか。こりゃトンでもないもの運んでそうだぜ?お前も見てみろよ、翔」

 

「……確かにな。たかがトラックにここまで付けるか。運んでいるのは機密文書か、はたまた金銭、それとも新型のメカか……」

 

「どうだっていいじゃねえか。いつも通り分捕ってみりゃわかんだろ?」

 

「それもそうだな。行くぞ……號」

 

 

今日も私たちはテロ活動をやっている。この馬鹿との腐れ縁もまだ8年だというのに、もう10年以上な気さえする。

馬鹿、私、変人メカニックの凸凹馬鹿三人組も悪くないと思えてきた。それぐらいには、私はコイツらに情を抱いているんだろう。

 

 

……そう言えば馬鹿の名前を言っていなかったな。

馬鹿の名前は一文字號。私たちのグループで半ばリーダー的な立ち位置にいる、生まれる世界観を間違えた男だ。


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