これも全部月島さんのおかげだろうがッ!感謝ッ!感謝しろよッ!な話
ここが日本ならまだ梅雨前ぐらいの過ごしやすい季節だろうに、駆け出し冒険者の街アクセルは異常な暑さが連日にわたり、やけっぱちで冬将軍にハグしたいぐらいだ。
とまぁ、俺ですらこんなありさまなのだから、街をふらふらと歩いているだけでも、いつもの三割増しで変人とエンカウントするかもなー、とくだらない妄想をしていると、商い通りの道行く雑踏によく知った顔があった。
「よっ、ゆんゆん」
「あっ、カズマさん。こんにちは!」ペカーーッ
「笑顔が眩しいぐらいに元気だな。今日は二人でなにやって──すみません、人違いでした」
「ええっ!?ゆんゆんはわたしで間違えていませんよっ!それとも……カズマさん、ですよね?」
「いや、そこは俺だと自信を持ってくれ。なんだ、ゆんゆんが知らない色白でスラッとした歳上男性を連れてるから、面倒な予感がして逃げだしたくなっただけさHAHAHA」
「?何をとぼけているんですか。カズマさんも月島さんと“前に会っている”じゃないですか。……月島さんも、さすがに怒っていいですよ」
「な、なんだよ急にゆんゆん」
「こんな暑さだから、少し記憶が混乱しているのかもね。でもすぐに“思い出すよ”。なにせ僕とカズマは十年来の友達なのだからね」
「はぁ?気持ち悪いなお前……。ゆんゆん、よくは分からんが、こいつに騙されてるぜ」
「月島さんを悪く言うなっ!!!!」ズモモッ
少女のヒステリック混じりな怒声に、雑踏の足音が一瞬だけ消えた。
胡乱げな視線を痛いほど浴びて、俺は固い唾を飲み込む。これは度を超えておかしなことになっている。
「この娘、紅魔族なんです。お騒がせしました」
俺がこの場を取り繕うと、紅魔族なら仕方無いな、と納得した様子の人々が散っていく。それを面白くなさそうに肩を落としてわざとらしくため息を吐いた月島という男が、口を開いた。
「少しは理解出来たかな。これが僕の神器、ブック・オブ・ジ・エンドの能力だよ。この栞で斬った者は、こうなる」
「やっぱりお前のせいかよ、《スティール》。ふーん、これが神器ね」
ペラペラなそれは、ただの栞にしかみえない。
「「はぁ!?」」
「そ、それを、月島さんに返してくださいっ!」ガバッ
「イヤだね」ヒョイ
「僕のだぞっ!」
「金はいくら持ってる?話はそれからだな」
「このクズめっ!」
「それって最高の褒め言葉だよなっ!……これって、俺でも使えたりするのかな、えいっ」ズポッ
「ぎゃっ──あれ、わたしは、一体……」
なるほど、なるほど……。栞で斬ると、二回目は元通りになる、と。これは面白いことに使えるな。
「おっ、ミツルギ。ちょうどいいところにいるな。この男を気絶させてくれないか、俺達って昔からの親友ダルォ?」ズポッ
「わっ、何をする──もちろんだともっ!てやっ!」
「ぐはっ、くそ、こんなヤツに」
◆◇◆
「カズマに謝るべきだ」
「あのー、さすがに謝りましょう?」
「さっさと謝れ、です」
「ミャーオ(謝れ)」
「時間の無駄です。謝ってください」
「謝れ」
「謝れ」
「謝れ」
「「「「謝れ」」」」
「うわああぁああん、なんなのよぅこれ!?ちょっと聞いてますかカズマさぁーん!!」
※この小説の月島さんは似た能力を持つ神器でロールプレイングしている一般人です。
月島さん()がめぐみんの過去に自分を挟んで、エクスプロージョンされる爆発オチにしようと思いましたが、設定がふわふわなので止めました。
タイトルに釣られた人は、腹筋20回してください。