かぐや様のアホ化は順調に進行中。
かぐやが幼児退行してしまった次の日の放課後。現在、彼女の親友、藤原千花は困惑していた。
その原因は今のかぐやの状態にある。かぐやは今、友人の喪失というショックから立ち直りきれず、IQが八割ダウンした状況なのだ。具体的にはそう、こんな感じに……。
「あら、藤原さん。見て、蝶々」
「か、かぐやさ〜ん……。ここは屋内ですからそんなのいませんってばぁ」
「居るわよ、ほら、透明な蝶々。ふふ……綺麗ね」
「え゙ぇ!?そんなの居たら世紀の大発見ですよ!?というか、透明だとそもそも見えませんよね!?」
ありもしない何かが見えているかぐや。いや、本当は見えてなど居ない。ただ、こうして敢えて頭を空っぽにし、アホみたいな言動をすることでショックを和らげようとしているのだ。
「かぐやさん……あのぉ、昨日あの後何かあったんですか?」
藤原はかぐやの突然のアホ化に心当たりが一つだけあった。それはつまり、昨日自分がしたアドバイス。かぐやが想い人相手に友達となれるよう、放課後にデート、もとい遊びに誘うというもの。
それが失敗に終わってしまったから、彼女は落ち込んでしまっているのだろう、と。
「昨日……?えーと、何かあったかしら?あゝ、昨日はウチの者が珍しくハーブティーを淹れてくれたのよ。とても美味しかったわ」
「へ、へぇ……そうなんですかぁ」
「ええ。パッションフラワーのハーブティーには抗うつ作用や催眠、鎮静作用などがあるそうよ。うふふ、藤原さんも今度ご一緒に如何?」
「いやいやいや!!それが必要な人はかなりメンタルやられちゃってますよね!?やっぱり昨日何かあったんじゃないんですか!?」
藤原は思った。かぐやさんがここまで変わってしまうなんて、恋って怖い。と
しかし、その原因の一端に自分が送ったアドバイスがあるのならば、放っておけない。いや、そもそもが自分は彼女の唯一の親友。キチンと受け止めてあげて、その上で慰めてあげなきゃ。とも思った。
「あのぉ、それで結局。かぐやさんはその……好きな人とはお友達になれなかったのですか?」
藤原はド直球に尋ねることにした。
「好きな人?私に好きな人なんて居ませんよ」
かぐやは誤魔化した。しかし無駄である。かぐやは昨日既に自身が恋をしていることを藤原の前で認めてしまっているのだ。もしそうでなければ彼女を騙せたかもしれないが、実際もう藤原は分かってしまっている。
「いやかぐやさん。その誤魔化し方は照れ隠しにしても無理がありますって……じゃなくて!!あの後どうなったのか!!わたしに教えてくださいよぉ」
「…………お友達には、なれたわ」
「えっ!?良かったじゃないですか!!じゃ何でそんな変になっているんです?」
「変って……まあ確かに私も可笑しかった自覚はありますが…………何と言いますか、お友達になったのだけれど、やっぱりお友達じゃ無くなったのよ」
「いや意味分かんないですよ!?」
当事者でなければこの流れで理解できる人の方が少ないだろう。藤原千花は秀知院学園の生徒でそこそこの成績をもってこそいるが、学園のトップ層たる天才達と比べて、それほど頭が良い訳ではなかった。
「色々とあったのですよ。色々…………。でもね、藤原さん。これは私達2人が解っていれば良い。そう言った類の話なんです」
「でも気になりますよぉ。かぐやさん、ちょっとくらいは教えてくれてもいいじゃないですかぁ」
恋バナが大好きな藤原はかぐやがはぐらかしたといって、そこで諦めるような殊勝な心がけは……あまり持ち合わせていなかった。
「しつこいですよ……もう。仕様がないわね。彼は……そう、私に相応しい男になるまで待っていて欲しい、いつか迎えに行く……と。そう仰っていたわ」
「ただのお友達申請にそこまでガチになるんですか!?その人、相当なロマンチストというか……なんといいますか……。でもなんか良いですねっ!乙女的にはキュンキュンしちゃうシチュエーションですよ!ひゃ〜。かぐやさんいいなぁ。わたしもそんな事言われてみたいです!」
「私は悲しんでいるというのに何をそんなに楽しそうに……。ただまあ、そうね。彼は少々夢想家の気があるようですが……しかし藤原さん。私はこの事態も成るべくして成った事なのだと思うのです」
かぐやは昨夜、幼児退行して早坂に思いっきり甘えた結果、若干の楽観的思考と乙女的思考が抜けきれていなかった。いや、もはや脳にこびりついて離れないと言ったところか。
「愛し合う二人の前には沢山の難題が現れるものなのです。しかし彼は私の為に其れらを乗り越え、そして月に連れて行かれそうになる私の事を助けに来てくれるの。私の事を抱きしめて、追手から逃げ出す彼。そしてこう言うのです。かぐや。お前を月に帰してたまるものか、と。そう、これは正しく運命。私と彼は運命の赤い糸で結ばれているのですよ。だからこの状況も一時的なもの。ちょっと我慢していればそのうち彼が迎えに来てくれるのです」
「は、はぁ……そうなんですか……」
「それでね、それでね。彼はこう言うのよ。あゝ、かぐや。君は月よりもずっと綺麗だって!!そして跪いて私の手の甲にそっと口づけするのよ!!どう!?これはもう運命よね!?」
かぐやは竹取物語の設定を元に、更に早坂が昨夜聞かせてくれた激エモでロマンティックな寝物語を混ぜて、それに完全に自己投影しまくっていた。
今までのかぐやならば自身の境遇からかぐや姫を嫌悪していた。しかしそれは、同族嫌悪に近いもの。そしてバッドエンドを忌避していたからである。
ならばハッピーエンドを望む今、早坂の乙女心をくすぐるストーリーは大変魅力的であり、そこに感情移入する器としてかぐや姫はとっても共感しやすい登場人物ですらあった。
「い、いやぁ……かぐやさん。もうベタ惚れじゃないですかぁ〜。何だかとっても楽しそうに見えますよ?」
「…………今のは忘れて頂戴」
「えぇ〜笑?あんなに可愛いかぐやさんは超レアですからぁ〜忘れるなんてぇ〜とてもとても……」
はっと我に帰ったかぐや。だが時既に遅く、藤原の海馬は先程までの唯のやや妄想癖のある恋する乙女としてのかぐやを焼き付けてしまっていた。
「じゃあじゃあ、かぐやさん!!そのお相手のどんな所が好きなんですか!?教えてっ!教えてっ!」
「えっ!?そ、そうね………………あれ?えっと、その……好きな所は…………あれ?…………私はあの人の一体何処が好きなんでしょう?」
「私に聞かれても分かりませんよ!?」
かぐやは白銀の好きな所を挙げようとするも、中々これといった所が出てこない。
「わ、私……本当に彼の事が好きなのかしら……。も、もしかして……これは本当の愛じゃない……?じゃ、じゃあ私の運命は………………」
「はわわわ……。か、かぐやさ〜ん。そ、それはきっとアレです!!一目惚れってヤツです!!だから大丈夫ですよ!!かぐやさんはちゃんとそのお相手の事を好きですって!!」
「本当?私……ちゃんと彼の事、好きなの?」
「このラブ探偵千花に任せてください!!かぐやさんの恋という落し物を見事見つけてあげましょう!!」
藤原は何処に持っていたのかディアストーカーを被ると、パイプを口に咥える※勿論これは偽物。未成年の喫煙は法律で禁止されている。
「じゃあかぐやさん。そのお相手が他の女の子と仲良くしているところを想像してみて下さい」
「他の……女……」チラッ
「なんですかぁ?ほらほら、イメージですよっ!」
──
「御行く〜ん。ぎゅ〜!!」
「ふ、藤原!!そんなにくっつくと当たって……」
「当ててるんです……よ?どうですか?わたし大きさには結構自信あるんですよ///」
「うぉぉぉぉ!!藤原サイコー!!やっぱ付き合うなら胸の大きい子に限る!!」
──
「……人の姿をした家畜。性欲の化身。男を食い物としか考えていない下賤な女。胸ばかりに栄養が行っている脳カラ。ヘンテコリボン女。卑しい女……。男という蜜に集る虫ケラ。そう虫。虫よ……。でかい害虫だわ。害虫は駆除しなくちゃ…… 駆逐してやるわ……この世から……一匹残らず……。さあ、神様へのお祈りはすんだかしら……?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする準備をしておく事ね……ふふふ」
「ちょ、かぐやさん!?仮定の話ですよ!?って言うか誰に何するつもりなんですか!?」
突如豹変したかぐやを見た藤原は焦る。このままでは世の中に恐ろしいものを解き放ってしまう気がした。
「で、ですがアレですね!!そこまで嫉妬するのなら、かぐやさんはやっぱりそのお相手の事が大好きなんですよ!!」
「……ふぇ?」
「嫉妬の分だけ好きがあるんです!!だからかぐやさんはちゃんとその人が好きなんですよ!!」
藤原は畳み掛ける様に説得し、今にも人を殺しそうなかぐやの機嫌を治そうと試みる。
「本当?これは……本物の愛?」
「は、はい。その……本物の愛……ですよ」
本物の愛。それは思春期真っ只中である高校生にとっては考えるだけでも悶えてしまう恥ずかしワードである。藤原にとってこれを口にするのは途轍もない羞恥が伴う。
しかしかぐやはそうではない。彼女の恋愛観は大体幼稚園から小学校低学年辺りで止まっている。無邪気に将来の夢はお嫁さんだとか言えちゃうあの恐れの知らずな価値観である。だが、一部はそれを超えて大人の恋愛観も歪に持ち合わせているものだから余計にややこしい。
「そう……良かったわ。でもはぁ……これからどうしましょうね」
「あ〜……お友達作戦は失敗でしたもんねぇ。あ、じゃあこれはどうです!?」
「何かしら」
藤原は新たな作戦を提案する。その内容は、つまり、学校で話せないなら連絡先を交換しちゃえば良いじゃん作戦!!
好きな人とのメールに一喜一憂。これは高校生が憧れる恋愛シチュ第一位!!(藤原調べ)
兎にも角にも相手との距離を詰めないことには話は始まらないし、そもそもこれ程に恋愛脳となってしまったかぐやが、それほど長い期間想い人と交流が無い状況を我慢できるとも思えない。
そこでこの連絡先交換!!まさか今時携帯を持っていない人など居ないのだ。この超箱入り娘のかぐやですら昔から携帯を持っている。これならば問題など何もない。
藤原は自画自賛した。
「名案ね。凄いわ、藤原さん。貴女……やるじゃないの。いつも変な事ばかり考えている訳じゃなかったのね。見直したわ」
「え゙っ!?かぐやさん酷いですぅ!!」
そして続く乙女達の恋愛トーク。ヒートアップし続ける二人の乙女回路は完全な暴走状態。これを止められるのは早坂のみ。しかし今ここには居ない。
早坂は学校ではかぐやの近侍である事どころか、彼女の関係者であるとすら知られないよう、他人を装っている。そんな彼女が今ここに割って入れば、今までの隠蔽が無駄になってしまう。
──
「そうね。子供は何人でも良いわ。あゝでも、男の子も女の子もどちらも育てたいわ。それから犬も飼いたいわね。そう、ちょうど藤原さんが飼っているペスくらいの子がいいわ」
「あ〜分かります〜!良いですよねぇ、小さい頃から一緒に育ったペットはやっぱり特別なんですよぉ〜!」
「それから、都会の喧騒から離れた所にお家を建てたいわ。海の見える丘に小さなログハウスを建てるの。そして潮騒に耳を傾けながら、水平線に沈む夕日を眺めつつ語り合う……いい、良いわこれ!」
「きゃ〜!!かぐやさんも分かってますねぇ〜!!じゃあじゃあ、初デートはどんな所がいいですか!?」
「悩むわね……。静かな喫茶店でお茶をする……とかでしょうか」
「えぇ〜それも良いですけどなんか足りなくないですかぁ?一緒にお買い物とか、遊園地とか!」
「遊園地!行ってみたいわ!どんな所なのかしら!?」
「そうですねぇ〜やっぱり行くなら夢の国ですかね。色んなキャラクターをモチーフにしたアトラクションがあってですねっ!あっでも、夢の国は初デートで行くと別れるってジンクスがあるとか……」
「私はそう言った不確かなお話は信じませんから大丈夫です。私達は別れたりしません」
「いやそもそも付き合うどころの状態じゃないじゃないですかぁ」
──―
二人の会話は陽が沈み始めてからも続いた。既に大半の部活動も終わり、教室の窓からは校庭で運動部達が談笑しながら後片付けをしている様子が見える。
「わっ、かぐやさん!大変!もうこんな時間ですよ!私門限に間に合わなくなっちゃいますぅ」
ふと教室に掛けられた時計を見た藤原は急いで帰りの支度を始める。
「あら、本当……。楽しい時は、時が過ぎるのが早いですね」
「えへぇ〜かぐやさんも楽しかったんですね!わたし嬉しぃ」
「ま、まあ……?お友達と放課後に談笑。私ずっとやってみたかったのよ。……あと、恋バナも……」
何だかんだで付き合いの長い二人だが、かぐやは言うまでもなく、藤原も政治家一族の愛娘である。中等部時代は門限も今より厳しく、かぐやが弓道部の活動に精を出していた事もあって、中々放課後に時間を取る事が出来なかったのだ。
今のかぐやは高等部でも弓道を続けるか迷い、まだ入部届を出していない。その為、この春からはかぐやにそれなりの時間のゆとりが生まれていた。
「じゃあかぐやさん!帰ったら電話しますねっ」
「えぇ、藤原さん。また後でね」
しゅたたた……と教室から走り去る藤原を見送ったかぐやは自身の携帯電話を取り出す。幼等部のころから使用している旧式のガラケーのそれを。もっとも、かぐやはこれが化石のような存在である事は理解している。世間では『すまほ』なる板が携帯として主流となっているのは早坂から何度も聞かされているし、その利便性についても長々と解説されている。
だが、四宮かぐやという人間は物持ちが良いというか何というか……。スマホの利便性を認識しつつも、それが自身に必要であるようには思えなかった。
かぐやにとって携帯とは、早坂呼び出し装置。
もしくは藤原さんとの文通、通話を行う為の機械。それ以上の認識が無いのだ。
「む・か・え・に・き・て……っと」
ガラケーを両手で握りしめて、ぽち……ぽち……と文字を打つ様は、まさに箱入りお嬢様……いや、時代に取り残された老人のそれである。
こうやってメールを一通送れば、早坂は遅くても五分以内にかぐやの元へ馳せ参じるだろう。自身の席の椅子を引き、座る。
夕陽が差し込む教室は仄かなオレンジ色に染まり、彼女の朱が差した表情を覆い隠している。
かぐやは腕を枕として机に伏すと悩ましげな声で呟く。
「あゝ。白銀さんは今、何をしているのかしら……」
「完全に少女漫画のヒロインですね。かぐや様」
静寂に満ちていた筈の教室、そこでかぐやが漏らした囁きに返答が帰ってくる。
「…………はーやーさーか!!いたのならそう言って頂戴!!心臓が止まるかと思いました!!貴女その気配を消して歩く癖辞めなさいよ。びっくりしちゃうでしょ」
「そうは仰られましても……仕事柄、これが癖になってしまっているのです。もう職業病だと思って慣れていただくしか……」
この子はいつから忍者になったのかしら?かぐやはそう思い、いえ、似たような事をさせてるの私だったわね……。と、脳内で自問自答を繰り広げる。
「そう言えば藤原さんも少女漫画がどうとか言っていましたね……。早坂。その少女漫画と言うものはどういったものなのかしら」
「そうですね……定義については勿論ご理解されていると思いますので省きますが……かぐや様がご想像なさる漫画とは、恐らくはターゲットとする年齢層が一桁。子供向けで教育的、道徳的な側面の強いモノでしょう」
「えぇ、そうね。絵本みたいなものでしょう?もしくは、新聞に載っているアレ」
「ああ、四コマの事ですか。確かにそれも漫画のメジャーな形態の一種ですね。しかし、一般的にいう少女漫画というのはですね。名前の通り、少女をターゲット層とした漫画の事です。まあ、大人の女性も読みますが……」
かぐやは早坂にこの話題を振ったことを若干後悔していた。というのも、この早坂愛という少女は少々オタク気質であり、自身の趣味に関する質問をかぐやがすると、それはもう長々と早口で語ってくるのだ。
「内容としては主に恋愛を題材にした物が多いですね。少女漫画の特徴として、人間関係や感情の動きに重点を置いたモノローグ重視の描写。等身大でリアリティのある恋愛関係などがよく見られます。少年、青年向けの漫画だともっと派手で壮大なストーリーが好まれやすいですね。恋愛にしても、誇張された男性目線のお話となります。まあ近年は女性作者の少年漫画や男性作者の女性漫画もたくさんありますし、境界が曖昧になって来ていて全てがそうとは言い難いのですが……。そしてジャンルに優劣をつけるのはおかしな話ですが、とっつきやすさや読んでいて共感しやすいという観点から見ればかぐや様には少女漫画は確かにオススメできるものでして…………」
「もう十分よ、早坂。それで?そんな少女漫画に詳しい貴女から見て、特にお勧めの作品はあるかしら?」
話を進めようと質問してみると、早坂は少し考え込んでから目を輝かせて言う。
「興味がお有りですか?でしたらここはやはり不朽の名作を読んで頂きたく……いや、でも古い作品は当時の流行や価値観が理解できないと難しいかもしれないし絵柄も慣れてないと読みにくいかも……とするなら連載中の作品でしょうか。でしたら現在連載中の作品があるのですが、これがどうやら中々に評判が良いらしく、このまま行けばアニメ化もあり得るそうで……」
「あー、それで?その作品は何というの?藤原さんと今度一緒に読んでみましょうと約束したので、用意しておいて欲しいのだけれど」
「今日は甘口で、という漫画です。現在物語はそこそこ良いところまで進んでいるらしいので、最新刊まで揃えておきます」
そう言うと早坂はスマホでしゅぱぱと指を動かす。密林のサイトを開き、レビューをチェック。星4.7の高評価が付いていること、サクラレビューが少ないことなどを素早く確認するとスマホをポケットにしまう。
ちなみにかぐやは一連の操作の意味が理解できなかった。と言うかそもそもかぐやは、ネットに通販サイトがあることすら知らない。
──
後日、かぐやの自室にて。
「ちょっと藤原さん!ページ捲るの早いわよ。私まだここ読んでるの」
「あっ、ごめんなさいかぐやさん。でもそこはモブの描写だから飛ばしても良いと思うんですけど……」
「駄目よ。きちんと行間まで読み込むのが読書の基本よ」
「いやぁ〜漫画に行間も何もないと思うんですが……」
「でもこの女の子の心情を理解する為にはここの描写の意図を読み取る必要が……」
──
「ゔゔ……この先どうなっちゃうのお゙お゙お゙?」
「ぐす……ちょっと藤原さん、泣かないでください……。煩いですよ」
「かぐやさんだって泣いてるじゃないですかぁ!」
「だって……こんな、可哀想だわ……。この子の境遇を思うと……私まで悲しくなっちゃうわ……」
──
「ああーっ!私もこんな恋がしたいわー!」
「かぐやさんはもう恋してるじゃないですかー!わたしの方こそこんな恋したいですー!」
「それとこれとは別なのーっ!」
「あーあぁ!わたしもどっかに出会いないかなぁ!」
──
乙女達の日常は今日も姦しく過ぎていった。
──
きょうあま回は神回。
書きやすくて尚且つ読みやすい。そんな文体を模索中です。