日本の東京に住む一人の少年・狼上 焔。
彼は幼馴染の少女・桜井愛乃と共に学生生活を送っていた。
だが、彼の日常は一変した。
謎の怪人達、神秘の宝珠、そして謎の魔法使い。
魔法使いは告げた、『その娘を守るために戦う覚悟はあるか?』と。
少年は揺るがぬ決意と意思と共に、その異端の力を手にした。
大自然の戦士、仮面ライダーへと。
オリライ界隈が盛り上げるべく、新たなる作品を投稿させてもらいます。
いずれ、連載するために力をつけながらこの物語を描かせてもらいます。
――仮面ライダー。
それは、人類の平和と自由を脅かす強大な敵と命がけて戦う大自然の戦士達。
ある時は生物の能力を宿した改造人間。
ある時は現代に復活を遂げた古代の戦士。
ある時は最先端技術をその身に着けた強化外骨格の戦士。
時代を超えて様々な仮面ライダーが生まれ、命がけて戦ってきた。
様々な仮面ライダーに受け継がれてきた正義の
次に受け継いだ新たなる仮面ライダーの物語、その一幕をお見せしよう。
□
――――東京・港区芝公園。
すぐ目と鼻の先に日本が誇る電波塔・東京タワーが佇む中、一人の少年が芝生を踏みしめながら現れた。
焦げ茶髪と琥珀色の瞳が特徴的な彼……『
まだ目的の人物の姿がいない事にため息をついた焔はため息をつく。
「まだ来てないのか」
少し残念そうにしながら、行き交う人々をよそに焔はその場に佇む。
静かに待つ焔……その背後から忍び寄る一人の人物。
気付かれぬまま近づくと、人影は焔の顔を両手を翳してすっと彼の目元を隠した。
「うおっ」
「だーれだ!」
「愛乃だろ?」
「えへへ、あたりー!」
聞こえてきた愛らしいハスキーボイスの声に気づき、焔が自分の顔を覆う小さな手をどけて振り向いた。
そこに立っていたのは、自分のよく見知った一人の美少女。
蜂蜜色のショートヘアーに翡翠色の瞳を宿した彼女……『
「おはよう、焔。待った?」
「いいや、おれも今来たところだ」
「そう? ならよかった。じゃあさ、さっそく行こう?」
「ああ、行こうか。愛乃」
優しそうな笑みを浮かべながら、愛乃は焔の手を引いた。
焔もやれやれといった表情を浮かべながら、彼女がされるがままに愛乃の後についていった。
二人が向かう先にあるのは、東京タワー。かつては日本一の建築物として言われていたが、近年できた東京スカイツリーによってその地位を譲ってしまった。
今となっては東京スカイツリーの方が観光名所として人気なのだが、それでも東京タワーを愛乃は選んだ。
「楽しみだね、東京タワー」
「前にも行ったことあるはずだけど、なんでそんなに楽しみなんだ?」
「そりゃ、君と一緒に何処かへ向かうのは楽しいもの。それに東京タワーは思い出の場所の一つだもの」
「だから、また行くんだな」
楽しそうに語っていく愛乃に焔はにこやかな笑みを浮かべ、東京タワーへと赴く二人。
焔と愛乃。
彼ら二人は都内にある高校にて同じクラスなった若い少年少女である。
真面目な性格かつ努力家である焔と、天真爛漫な心優しい性格の愛乃。
中学の時に巡り合った二人は仲を深め、高校生になった頃には既に恋人として進展していた。
周囲からも仲のいいカップルとして認知されている二人……だが、その二人の何気ない日常は。
――――既に、一度崩れてしまった。
その証拠を象徴するように、遠くの街路灯の上から焔達を眺める一つの人影。
黒を基調とした衣装を身に纏ったその異質な存在は誰にも気づかれることなく、焔と愛乃の姿を見守っていた。
□
東京タワー・展望台。
地上120mの上に備え付けられていたこの展望台へエレベーターでやってきた愛乃は目を輝かせながら足を踏み入れる。
傍らに焔が立つ中、いつもの東京の光景に感動を覚えていた。
「うわぁ、変わらないなぁ」
「今日は遠くまで見えるな」
「ホントだ。向こうの富士山まで見えているね」
「今日は晴れていて来てよかったな」
展望台の手すりに掴まりながら、愛乃は変わらぬ東京の風景を眺めている。
焔はそんな楽しそうにしている彼女の姿に思わず笑みを零した。
「楽しそうだね」
「そりゃ、何度も来ても飽きないもの。私達の住んでいる所の街並みはね」
「ココから街を見ると、おれ達が住んでいるところがこんなにも多くあるってことを実感するよ」
「わかる。私達が住んでいる世界がおっきくて、それに対して私達がちっぽけなのがいやでもわかるんだよね」
「ちっぽけ、か……」
苦笑しながら彼女が口にした『ちっぽけな自分』という言葉に焔は眉を顰めた。
段々と険しい表情を浮かべる様子の彼に、愛乃は首を傾げる。
「ねぇ、焔。どうしたの?」
「えっ、ああ。いやなんでもない?」
「なんでもなくないよ? 最近様子がおかしい事多いよ?」
「……大丈夫、愛乃。おれはおれだから」
「もう、心配だなぁ」
いつものような優しい笑顔で笑いかける焔に対し、複雑そうな表情を見せる愛乃。
素直になってくれない彼の様子に見て、愛乃は腕を回して焔の片腕に抱き着いた。
積極的な一面を見せてきた彼女に焔は驚樹の声を上げた。
「ちょっ、愛乃!?」
「何か隠している焔に対しての罰。今日は離れないからね」
「でもここ、人がいっぱいいるから……少し離れた方が」
「知らないっ!」
焔の説得にも耳を貸さないまま、愛乃は抱き着く力を強めた。
周囲から生暖かい視線を向けられる中、焔は弱った表情を浮かべる。
さて、そっぽを向いた愛乃の機嫌をどう取り戻そうか……意外に攻略が難しそうな問題を抱えた焔だった。
その二人の様子を展望台の外から伺う存在がいた。
黒いローブを身に纏い、目深にかぶったフードから覗くのは、蠱惑的な緑色の双眸。
仲睦まじい様子を見せる焔達の姿を見て、その人物――『ツバサ』はため息をつく。
『まったく、仲がいいのか悪いのか。わからないねぇ』
ツバサは不機嫌になっておきながら抱き着いて離れない様子の愛乃と、抱き着かれて離れない様子の彼女にたじたじになる焔、彼ら二人のやり取りを見て気難しい表情を浮かべてると、懐からとあるものを取り出す。
二つ綴じの本型のようなホルダーであり、中を開くとそこに収められていたのはいくつもの歯車型の
数は三つであり、ツバサはそのうちの二つの宝玉を取り出す。
『今のところ集まってるオーブは三つ、うち変身できるのはこの一組だけか』
ツバサが取り出したのは二つの宝玉。
一つは二本角が特徴的な紋章、もう一つは飛蝗によく似た顔の紋章がそれぞれ刻まれていた。
ホルダーに残されたドラゴンと魔法陣が組み合わさった紋章の宝玉に、ツバサは渋い顔をする。
『他のオーブも見つけないといけないがな。どうしたものかな』
フード越しに頭を掻きながら、ツバサはどうしようかと考えていた。
――そんな時だった、東京タワーの近くで近くの方で爆発が起きたのは。
『……! どうとでもなるってか!』
突如起きた爆発に驚きながらも、思い立ってもない事が起きてニヤリと口角を吊り上げるツバサ。
指をはじく仕草をすると、目の前に展開された大きな魔法陣がツバサを飲み込み、そのまま姿を消した。
□
同時刻、東京タワーから見える光景を楽しんだ焔と愛乃は展望台から去り、エレベーターを使って地上へと降り立った。
先程からだいぶ機嫌がよくなった愛乃は焔に提案をする。
「ねえ、何処かに食べに行こうか」
「何が食べたいんだ?」
「うーん、アップルパイとか果物が食べられる場所がいいかな!」
「わかったよ。わかったから少し離れてくれ」
「美味しい所だったら考える」
今日の昼ごはんをどうするか、そんな他愛もない会話を繰り広げる焔と愛乃。
これから楽しいひと時が続いてくと、二人は信じていた。
――だが、かけがえのない日常はいともたやすく切り裂かれた。
突如大爆発が巻き起こり、その熱風が焔達の所まで広がる。
つんざくような悲鳴と共に地上はパニック状態になり、多くの人が逃げ惑う。
焔は一体何が起きたのか、と愛乃をかばいながら周囲を観察すると、爆炎が起きている場所から何者かが出てくることを目撃した。
『ウガァァァァァ……』
炎の中から出てきたのは、片腕が剣と化した一体の異形の怪人。
謎の怪人【ジェスター】……その一体である"ソードジェスター"と呼ばれるその剣の怪人は、片腕の剣から鋭い衝撃波を放ち、周囲を破壊していく。
平和な日常を打ち壊した炎と鋼の破壊者……焔はその異形の怪人に鋭い視線を向ける。
「アイツは……!」
「焔……」
「愛乃……!」
迫りくる剣の怪人に焔は愛乃を庇いながら後ずさる。
ソードジェスターは片腕の剣を引きずりながら、目についた焔達二人に狙いを定める。
『ウガァァァ!!』
一気に地面を蹴り上げ、飛び上がったソードジェスターは片腕の剣振るい下ろす。
咄嗟に愛乃を焔を庇おうとする……だが、彼ら二人とソードジェスターの間に巨大な魔法陣が出現。
まるで防御壁のように展開したそれはソードジェスターを防ぐ。
それと共に聞こえてきたのは、一人の男の声。
『何をやっているんだ? ホムラ』
焔が声が聞こえてきた方向へ振り向くと、こちらへと向かってやってきたツバサ。
ツバサは焔の隣に立つと、彼が抱きかかえる愛乃へ手を翳し、小さな魔法陣が展開される。
すると愛乃は眼が虚ろになり、体の力が抜けていく。
「ほむ、ら……」
「……ッ」
「い、や……だぁ、め……い、か……ない……で」
襲い掛かる眠気に耐えながらも、愛乃の意識は深い所へと沈んでいく。
焔の手からするりと手が抜けて、地面へと崩れ落ちていく。
寝息を立てながら意識を手放した愛乃をツバサが抱えると、焔の方へ顔を向けて自嘲気味に告げた。
『すまんな。お前に辛い思いをさせて』
「ツバサ。それは、アンタだって……」
『彼女は俺が命を懸けて守ってやるから、遠慮なく戦え』
苦しい表情を浮かべる焔に対して、ツバサは遠慮なく二つの宝玉を投げ渡した。
二つの歯車型宝玉――"ライドオーブ"の一種・『ゼロワンオーブ』と『クウガオーブ』を受け取ると、焔は静かに頷き、ソードジェスターの方へと向いた。
【BLAZING-DRIVER】
焔は懐から取り出したた特殊な黒いバックルを取り出す。
正面にカバーが被せられた二つの装填口と、左側部に備え付けられたトリガーが備え付けられた変身ベルト・『ブレイジングドライバー』を腰部に装着する。
次にカバーを開け、装填口に二つのライドオーブをセットする。
【ZERO-ONE!】【KUUGA!】
セットされると同時に対応するライダー名が電子音声を叫んだ後に変身待機音が鳴り響いた。
焔は右腕を斜めに突き上げ、左手を腰に添える形で静かに叫んだ。
「変身」
物静かに、しかし燃え上がる炎の如く、決意の満ちた目で言い放った焔。
ベルトの横に備えるトリガーの引き金を引いた。
【ZERO-ONE! KUUGA! UNISON UP!】
【Go Win! Go Win!】
鳴り響く電子音声、そこに現れたのは二体の幻影。
片や赤い装甲と金色の角を持つ超古代の戦士――仮面ライダークウガ。
片や黄色のアーマーに飛蝗を模した最先端科学の戦士――仮面ライダーゼロワン。
二つの歴代戦士の幻影はその姿を一瞬霧散すると、焔の体にまとわりつき、その姿を変えていく。
黒のアンダースーツの上から身に纏うのは、赤・黄色・白にて彩られた外骨格。
金色の輪がついた赤い手足、黄色の胸部装甲、黄色の触覚に赤い複眼の双眸を宿した仮面。
何処か神秘的な印象を受けたその仮面の戦士はゆっくりと歩き出す。
ソードジェスターは目の前に現れたその敵に目掛けて接敵し、攻撃を仕掛けようとする。
だが、振り下ろされた刃が届くよりも前に、仮面の戦士の健脚が叩きこまれた。
「ハァ!!」
『グアァ!?』
回し蹴りが叩き込まれて吹っ飛ばされるソードジェスター。
ズサリと地面と叩きつけられる様子を前に、仮面の戦士へと焔はゆっくりと立ち向かう。
彼の登場と共に、ブレイジングドライバーの電子音声が高らかに名乗る。
【D-LAZE】
【
―――仮面ライダーディレイズ・ライジングアーツ。
この世界に現れた新たなる仮面ライダーの姿に、愛乃を抱えたツバサは静かに見ていた。
その一方、ディレイズの登場にソードジェスターは唸り声を上げながら片腕の剣を再び振り下ろす。
『ウガァァァァァァ!!』
「タァ!」
振り下ろされる剣を避けていきながら、蹴りを叩き込むディレイズ。
ソードジェスターは何とか剣で防いで防御するが、それを通り越して衝撃が貫く。
『グゥ!?』
「ハァァァァァァァ……ハァ!」
横薙ぎの斬撃をバク転して避けた後、ディレイズは地面に手をついて捻りを効かした。
体を回転させ、その勢いに任せた回し蹴りがソードジェスターの胴体へとお見舞いした。
……クウガの格闘能力とゼロワンのAIによる予測能力、二つの力が焔自身の戦闘技術と相まってジェスターすら陵駕する戦いを披露するディレイズ。
ディレイズからの一撃を受けたソードジェスターは軽く吹っ飛ばされてしまう。
『グゥ、ガァァァァ……!』
ディレイズの連撃を受けたソードジェスターはよろめきながらも、片腕の剣を手に添える。
手に添えられた刀身に炎が灯り、高熱の炎剣となったそれを勢いよく振り下ろす。
放たれた火柱がディレイズが迫る中、今まで静かに見ていたツバサが叫ぶ。
「ディレイズ、上へ飛べッッ!」
「ッッ!!」
ツバサの叫んだ言葉と共に、ディレイズは上空へと飛び上がる。
ソードジェスターが斬り放った火柱を飛び越えると、回転しながら前足を突き出す。
「ハァァァァァ!」
『グガァァァァァァァ!!??』
振り下ろされたかかと落としがソードジェスターの頭部へと叩き込まれた。
地面に皹が入りクレーターが作られる程の威力が脳天から伝わる。
累積したダメージによってよろけ始めるソードジェスターにディレイズは最後のとどめを決めるべく、ベルトのトリガーを握って引いた。
【BLAZING BURST! RISING ARTS!】
「ハァァァァァ、ハァッ!!」
ディレイズは腰を落として膝を曲げると、勢いよく飛び上がった。
高速に急上昇する中、ディレイズはその片足に眩い気炎を纏い、頂点を超えながら急降下すると、燃え盛る片足を突き出し、突っ込んだ。
『ウガァァァァァァァッッ!!』
ディレイズが放った必殺の一撃『ブレイジングバースト』がソードジェスターへと直撃。
西洋鎧を模した硬い装甲を砕きながら、ぶっ飛ばされていくと、そのまま爆発。
舞い上がる爆炎……そこへその中から光るもの放り出され、ツバサの足元へと転がる。
「コイツは、セイバーのライドオーブか」
ツバサが拾い上げたそれ……十字状の斬撃と剣が模った紋章のライドオーブを見て、一息をついた。
一先ず戦いを終えたディレイズは腰のベルトを外し、焔の姿へと戻ると愛乃の下へと向かう。
「ツバサ、愛乃は?」
『いつもの如く眠らせている。この事は今のコイツにとっては知っちゃあいけないことだからな』
「そうか……」
ツバサに介抱された愛乃を代わって体を抱き上げると、焔は愛乃を抱き寄せる。
まるで割れ物を扱うように大切に扱う彼女に、焔はポツリと呟く。
「愛乃、おれは、お前が守るよ……絶対に、大丈夫だから」
焔は未だ眠りの海に沈んでいる愛乃を抱きしめて、あの時『誓った言葉』を告げる。
まだ若いながら決めた約束を、最後まで果たすために。
痛々しいまでに覚悟を決めたその姿に、ツバサは悲痛な表情を浮かべる。
――これは、神秘の宝珠『ライドオーブ』を巡る物語
――『運命の姫君』と呼ばれた一人の少女と、『輝焔の咎人』の罪を背負う事になってしまった少年の、純愛の物語