ホビアニTCG世界にカードとして転生したから目立とうとしたけど、何かがオカシイ。   作:夢泉

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ひっどいタイトル……。

皆様、前回の件に関するご意見ありがとうございました。大変参考になりました。
検討の結果、「アクティブ」「ダウン(正式名称:クールダウン)」とする事と致します。
皆様のご協力に、重ねて感謝申し上げます。



Draw 3: Let’s 販促! 多々買え、子どもたち!

◆◆◆

 

 

『A block1回戦の4試合全てが決着! 先ずは、wonderfulなbattlesを見せてくれた8人のfightersに最大限の敬意と賞賛、そして感謝を!』

 

 司会の声に続くようにして、わぁっと会場が沸く。

 Aブロックが終わったのだ。

 誰も彼もが凄い実力者だった。少なくとも、1か月前の俺……偽華という圧倒的な壁を知らず、自分の周りだけの狭い世界で生きていた俺では、手も足も出なかったような強者。

 あの日から、俺はひたすらに修行を続けてきた。高みを目指して走り続けてきた。

 デッキ構成を見直す。街に繰り出して多くの人と戦う。反省を活かして戦略を練る。その繰り返し。

 その過程で。色々な出逢いがあって、発見があった。たくさんのカードを見て、幾多のデッキと戦略を知ったのだ。

 

 今の俺は、前の俺よりも先に居る。

 

 ――見ていろよ、水貝。そして、偽華。此処が今の俺の到達点だ。

 

 

◆◆◆

 

 

「へェ~、コイツがオマエのライバルかァ。ケケッ、喰い応えありそうじゃン」

「許さないよ。妙な動きをするようなら……」

「おォっと! 怖ェ怖ェ。地雷踏んじまった。……安心しろよォ、狩りの流儀は弁えてるさァ。獲物の横取りなんてセコイ真似はしねェ。……っとと、試合が始まるみたいだぜェ」

 

 ――見ているよ。唯一くん。今の君の実力を見せてくれ。

 

 

◆◆◆

 

 

「ねぇ、田中。これはどういうこと? ティティムはどこに行ったの?」

「……申し訳ございません。少し目を離した瞬間に、モンスターの身体能力で飛び出していきました」

「言い訳は要らないわ。どこに行ったのか、と聞いてるの」

「正確には掴めておりません。ですが、監視カメラの映像を確認する限り、スタジアムの外には出ていないようです」

「……そう。使えないわね。……良いわ、私が探しに出る」

 

 溢れ出る焦燥感を隠そうともしない偽華CEO。

 ……成程。これはティティムさんの読みが正しかったですね。

 

「Bブロック1回戦が始まりますよ?」

「興味ないわ。田中から見て見逃せない選手が居たら、後で報告して」

「承知しました。一応、こちらを。変装用の帽子とサングラス。それと財布ですね」

「……やけに準備が良いわね? そして、なぜ財布を?」

「前者に関しては日頃からの備えというだけ。後者に関しては、ティティムさん捜索に役立つと考えた次第です」

「……どういうこと?」

「ティティムさんは、本日スタジアム内に出店している飲食店……その食事に興味津々でした。なので……」

「出店付近に居る可能性が高い、ということね。けれど、それなら店付近を探すだけで良いはずよ?」

「何らかの不満があって飛び出したのですから、それを解決しない事には直ぐに逃げられてしまいます。モンスターの身体能力に人間では太刀打ちできません。加え、ティティムさんは財布を……いえ、そもそも現金を持っていません。なので、見つけ次第、一緒に昼食でも取って来ては……と考えた次第です」

「なるほど……食べ物で足止めして原因を聞き出す、ということね。いいわ、採用する」

「ありがとうございます」

 

 そのまま、CEOは急ぎ足で主催者用の特別室から出て行ってしまう。

 すると、一連のやり取りを黙って見ていた鈴木さんが話しかけてくる。

 

「良かったんですか、田中さん? CEOを怒らせるような事をしてしまって」

「今回はティティムさんの主張に理がありましたからね」

 

 そう。今回の全てはティティムさんが提案し、私と共に計画した作戦。

 

「偽華CEOがティティムさんに依存し始めている。それも悪い方向に……という話ですよね」

「えぇ。このまま閉じた世界に閉じこもり続けるのは良くないですからね」

 

 鈴木さんは知らない事ですが、CEOの生い立ちは特異。その精神は歪にして未熟。このまま突き進めば何が起こるか分からない。

 そして、道に惑う子どもの先行きを照らすのは、私たち大人の役目でもある。

 

「鈴木さんはCEOの護衛部隊に加わってください。くれぐれも見つからないように気を付けてくださいね」

「了解です」

 

 さて、と。CEO直々の指示ですからね。私はBブロック1回戦を観戦するとしましょうか。

 

「……やはりMr. W・D、ハク大尉が最も強い選手ですかね。とはいえ、彼の戦いは既に完成している。あえて再び研究する必要性も感じられません」

 

 スターバッジで収集した予選の情報をタブレットに表示。Bブロックの選手を調べていく。

 

 第1試合。土属性「アニマル」デッキの「府中 馬穂」vs水属性「怠惰」デッキの「惰気川 台三」。怠惰デッキ……種族「アケディア」を主軸とした扱いにくく珍しいデッキ。

 偽華CEOのデッキは種族「スペルビア」主軸の「傲慢」デッキの亜種。同じ「枢要罪」デッキの使い手ですし、警戒して損は無いでしょう。

 

 第2試合。全属性「武蔵」デッキの「武蔵野 本宮」vs火属性「新撰組」デッキの「日野 壬生狼」。

 どちらも火属性定番の「侍」デッキから派生したデッキ。特に「武蔵」デッキは属性に縛られない自由でトリッキーな戦いが特徴のようです。

 

 第3試合。土属性「産革*1」デッキの「久留米 正一郎」vs光属性「白Y*2」デッキの「白覇 迫」。味方を大量生産していく産革デッキも興味深いですが、勝つのは白覇選手でしょうね。

 

 第4試合。水属性「雪崩」デッキの「青梅 雪女」vs火属性「戦国侍」デッキの「火緒主 唯一」。相手の攻撃を耐えて耐えて何倍にもして返す雪崩デッキは厄介なんですよね。それに相対するのは……おっと?

 確か、この名前はCEOが辻COバトルで戦った……む。予選通過決定後にデッキの変更を申請している? これは一体……?

 ふむ。第4試合。確かめてみる必要性があるかもしれませんね。

 

 

◆◆◆

 

 

『B block1回戦第4試合! 繰り広げられるsnow()blaze()の喰らい合い! これはexcitingなbattleだ――ッ!』

『カウンターを得意とする雪崩デッキと、苛烈な攻撃を得意とする侍デッキ。氷が焔を封じきるか、焔が全てを溶かして燃え盛るか。これは、そういう戦いじゃな』

『凄い凄い! 炎と氷のアンチノミー! ライブの題材にしたい!』

『Battleは正に佳境! Fighter青梅のライフは6! 対するfighter火緒主のライフは4!

このままblazeが消えてしまうのか――ッ!?』

 

 ったく。好き勝手言ってくれやがって。

 よりにもよって消える? 俺の炎が?

 ははっ、それだけは絶対にありえねーよ。

 

「ふふ。キミの炎は暖かくて良いわね。消しちゃうのが勿体ないくらい」

「へへ、絶対に消えねぇから安心してくれていいぜ。直ぐに暑すぎるってくらい温めてやるからさ」

「ふぅん、それは楽しみ……けど、この私の守備を突破できる? これだけたくさんの守備モンスターが居るのよ?」

 

 確かに、相手の場にはブロック可能なモンスターが7体。内1体は特殊効果でVITが12000にも膨れ上がった『氷柱女妖(めよう)/カネコリリー』。

 対して、こっちのバトルゾーンはイエヤス一体のみ。ライフでも負けている。誰が見ても明らかな劣勢。

 それでも。

 俺の炎は全く消えていない。

 

「俺のターン、ドロー! ……発動! 日出国之夜明(ジパング・サンライズ)!」

 

日出国之夜明
深度Ⅲ

属性:火  魔術

【伏兵】このカードを裏向きにしてバトルゾーンに設置しても良い。

【Θ1】自身のバトルゾーンに深度3以上の「SAMURAI」及び「ソレイユ・ドラゴン」が存在する時、自分の手札を5枚捨て、この魔術を唱えても良い。

【Θ2】相手のターン中、このカードが「伏兵」状態で存在し、バトルゾーンから離れる時、自分の手札を3枚捨て、この魔術を唱えても良い。

【○】次の自分のターンの初めまで、全プレイヤーの混沌深度を「無限大」にする。

【○】「Θ」で捨てた手札の枚数×2枚、山札の上からカードを公開する。その中にあるモンスターを深度合計が10以下になるように好きな数選び、召喚しても良い。残りのカードは好きな順序で山札の上か下に戻す。また、このようにして召喚したモンスターは次の自分のターンの初めに破壊される。

 

「俺とアンタの混沌深度を(無限)に! 山札の上から10枚を公開して———!」

「無限ですって!?」

 

 山札の残り枚数。ここまで引いたカード。

 それらを合わせて考えた時、この10枚には間違いなく――

 

「――来たぜ! 歴史は此処から動き出す!」

『人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。一度生を享け、滅せぬもののあるべきか――なれば。貴様は何を求める』

「要するに全部超えられるって事だろ! なら、俺は勝って切り拓く! 俺が望む未来を!」

『――は。くくっ。くはははははははは!! 善き哉! 我らの時代を始めようぞ!』

「召喚! The ONE カオス・ノブナガ!!」

 

 その姿は人であり、龍。龍であり、人。

 (かみしも)に似た衣服を身に纏い、手には巨大な太刀……否。(むね)の側に銃が併せられているソレは銃剣と称するべき代物……を携えて。

 光背の如き焔を背負いて天に浮遊する。その姿、まさに日輪の如し。

 かの龍は、覇者の眼にて欲界の全てを睥睨する。

 

『What the hell!!?? The ONE!? 何なんだ、あのsuper COOOOOLなdragonは――――ッ!?』

『あれは! カオス・ノブナガ! 火緒主 唯一……そうか! そういうことじゃったか!』

『何か知っているのかい、professor!?』

『百聞は一見に如かず。かの龍の力、とくと目に焼き付けるのじゃ!』

 

 

カオス・ノブナガ
深度Ⅳ

属性:火  所属:ヘリオ・セントリス

種族:SAMURAI/ソレイユ・ドラゴン/カオス・ジパング/フェーム・クローバー

ATK/VIT:11000/7000

【∞】-The ONE-

 このモンスターがバトルゾーンにある時、名前に「カオス・ノブナガ」とあるモンスターを召喚する事は出来ない。

【Θ】このモンスターを召喚時、自身のライフを3つ破壊する。

【○】このモンスターはバトルに勝利した時、「アクティブ」状態になる。

【○】Tクラッシャー(相手のライフを3つ破壊する)

 

「燃え盛れ! 俺が! 俺たちが! 混沌世界に唯一無二の開闢(かいびゃく)を!」

『天上天下唯我独尊! 我こそは第六天魔王! 刮目せよ!』

「覚醒! The ONE、カオス・ノブナガ!」

 

【覚醒】相手のライフが自身よりも多い時、このモンスターは以下の「▼」能力を得る。

【▼】-BUSHIDO Ⅵ-

味方「SAMURAI」は攻撃時、全てのバトルに勝利する。

【▼】味方モンスターはバトルに負ける以外の手段によってバトルゾーンを離れない。

 

「なに、この熱さ……!?」

「さらに! サンライズの効果で、深度3『 水瓶割り (アクエリアス・ブレイカー)/カツイエ』! 深度2『龍田紅葉/ランマル』! 深度1『G(ギリ)O(ワン)B(ボンバー)/ヒサヒデ』! そして、ノブナガの召喚コストで俺のライフは1! カツイエの【背水】発動!」

『ノブナガ様! 儂の力、ご照覧を賜りたく!』

 

 水瓶割り (アクエリアス・ブレイカー)/カツイエ
深度Ⅲ

属性:火  所属:ヘリオ・セントリス

種族:SAMURAI/カオス・ジパング

ATK/VIT:7000/1000

【絆】味方「SAMURAI」のアタックを、相手「水属性」モンスターはブロックしなければならない。

【背水】自身のライフが1の時、上記【絆】の「水属性」を「全ての属性」に変更する。

【○】このモンスターがバトルに勝利した時、深度を1つ深めても良い。

 

「ノブナガでアタック! 強制ブロック! バトル勝利でアクティブ状態に! もう一度アタック!」

「止められない! 私の雪崩が溶かされる!? 」

 

 俺とノブナガの火は消えない! 何度でも何度でも立ち上がる! 燃え盛る!

 ノブナガの攻撃で敵モンスターを一掃!

 そして!

 

「ノブナガ、カツイエ、イエヤスでダイレクトアタック! とどめだぁ――ッ!」

 

 

◆◆◆

 

 

『1回戦第4試合ィ! 怒涛のattack(攻撃)! 止まらぬadvance(進軍)! SAMURAIのblaze()が雪崩を溶かし尽くしたぁ! Winner、 火緒主 唯一ィ――ッ!』

 

 司会の言葉に会場が沸く。

 それは正に。新たな英雄の誕生にして、新時代を切り拓く日の出の如し。

 

「……でっかいトカゲ。首を斬れば死ぬかな」

 

 白い髪の少女は、そんな光景をスタジアムの屋根から見下ろしていた。

 

 

◇◇◇

 

 

 どやぁ。

 すっごく良い感じのセリフが言えた。

 わざわざスタジアムの天井なんて “()える” 場所まで来たんだ。しかも、主人公の切り札お披露目の瞬間に。

 これはアニメで描写されるはず。間違いなく目立てた。嬉しい。

 激かわラスボス系ヒロイン(自称)としてのタスクはこんな感じで良いだろう。これで、世の少年少女たちは数多のパックを開けて私を求めるはず。いやー、人気者(自称)は大変だ。

 

 さて、と。あとは偽華ちゃんとの鬼ごっこを頑張るとしよう。

 私発案・田中計画の天才的な作戦はこうだ。

 

 私を見つけられない偽華ちゃん→(田中が配置した)CPX社社員たちに私の情報を聞く→彼らは何か困っていたりする→手助けする……の繰り返し。

 これによって偽華ちゃんは、仕事以外で自分から話しかける積極性と、人と助け合う社交性を学べる……という算段だ。やっぱり私の前世はノーベル賞クラスの天才だな、間違いない。

 

 さらに。私の突発的かつ天才的アドリブによって、クリオッチの中身の女の子も参戦した。

 長くて綺麗な栗色髪が特徴的で、しかも偽華ちゃんと同い年くらいの女の子を偶然見かけたので巻き込ませてもらったのだ。

 現状、彼女は私に関する最大の情報保有者。そして、着ぐるみを持ち去った私を探している。

 

 私が上手く立ち回る→偽華ちゃんと少女を誘導→合流させる→協力関係になる→仲良しフレンドになる→ハッピーエンド!

 

 ……ふっふっふ! 完璧な作戦だな! 私は自分の才能が恐ろしいぞ!

 

 

 

*1
産業革命の略

*2
白色矮星の略





突っ込みどころが多々ありますが、「カオスだからさ」で納得してくださいませ……。
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