ホビアニTCG世界にカードとして転生したから目立とうとしたけど、何かがオカシイ。   作:夢泉

15 / 15
10日間も沈黙すみません……。
再開します。

▽司会の英語が分かりにくいとの指摘→ルビで日本語を用いる事で対応。



Draw 3.5:偽物の華

◆◆◆

 

 

 私にとって、世界の全ては「どうでもいいモノ」だった。

 あっても無くても変わらないモノ。さして興味を持てない、無価値なモノ。

 それは自分自身も同じ。かつて居た「誰か」の紛い物、会ったことも無い「姉」の模造品。しかも、造物主たる親直々に「不必要」と断じている。

 最初の目的すら否定された人形に、意味なんてある訳がなくて。

 私には、「私が居る世界」と「私が居ない世界」の違いが理解できなくて。

 それでも、「有」と「無」が違う事だけは明白で。

 その差異を私は理解出来ないけれど。「有」が「無」になれば何かが変わっている。壊すことで意味が生まれる。そう思った。

 だから、私を「偽物」にした死世神の家も、血筋も。全てを壊してしまおうと思った。

 そうすれば。私は少なくとも、あいつら「本物」よりも価値があったことになるから。

 けれど、その手段を私は持たなくて。

 

 ただ無為な日々を送っていた時、私は出逢った。

 両手に大鎌を持った、白い髪とオッドアイの少女、ティティム・クルデーレに。

 

 The ONEカード。

 それは、強い想念によって世界に顕現するカード。

 どこより現れるのか、何故現れるのか。詳しい事は何1つ分かっていない。……死世神の歴代当主やCPXの中枢は何かを知っているだろうけれど。少なくとも、私を含めて殆どの者はその正体を知らない。

 ただ、1つだけ確かなことは。尋常ならざる力を秘めている事だけ。

 

 最初は、ただの道具としてしか見ていなかった。

 このカードがあれば、全てを壊して私の価値を証明できると。それしか考えていなくて。

 

 だから、最初の叔父とのバトルで賭けの対象にした。

 それが最も効率的だからという理由で、何の抵抗も無くチップに出来た。

 けれど。

 あの最初のバトルでティティムが発した言葉を思い出す。

 

『――私は貴女の唯一! 偽物でも! いいえ、偽物だからこそ! 本物の笑顔を貴女にあげられるの!』

 

 私はずっと、偽物では無い存在になりたいと願っていた。

 偽物なんて意味の無い存在だと思っていた。

 でも、彼女は。そうではないと言った。

 彼女は“イミタシオン”。彼女も偽物。

 だというのに、彼女には一切の疑問も迷いも無かった。ただ真っ直ぐ純粋だった。

 自らが偽物だと断じ、それを良しとした。

 偽物だからこそ出来ることがあるのだと。

 

 ――私を笑わせてくれると、そう言った。

 

 私は特定の何かに執着を持ったことが無かった。

 全てはあっても無くても同じモノ。そう考えていた。

 だけど、ティティムをもう1度「チップ」にすることは出来なくて。

 その理由が分からなくて。

 否。分かりたくなかった、というのが正確なのかもしれない。

 だって、それを理解してしまえば私の根幹が揺らいでしまうから。道を見失ってしまうようで怖かったから。

 

 ――それでも、認めるしかなかった。

 私はティティムが大切だ。ティティムが居ない世界なんて考えたくもない。

 ティティムだけは壊したくない。そう強く強く思ってしまう事を止められない。

 

 ――けれど、私は壊す以外の接し方を知らなくて。

 彼女が自分の意思で私から離れるのだとしても認めない。

 彼女の自由を壊そう。意思を壊そう。

 

 ――そうすれば、ずっと一緒にいられるはずだから。

 

 

◇◇◇

 

 

「まさか、こんな事になるとは思わなかったなー」

 

 スタジアムの屋上から、モンスター特有の超視力にて偽華ちゃんの様子を見ていたのだけれども。

 

「ティティムがどこに行ったか知らないかしら?」

「偽華CEO! 丁度良かったです! ティティムさんなら先程見かけましたが……申し訳ありません、少し手を貸して頂けませんか? 見ての通り、今は手が離せないのです」

「知らないわ。それが貴方の仕事でしょう? 給料分は働きなさい。それで? ティティムはどっちに行ったの?」

「あ、ですから手が塞がっていてですね……」

「その口は何のためについているの?」

「西口の方へ向かわれました……」

 

 

「至急応援を呼ばなければ大変な事になってしまうのです!」

「何のために無線機を持ってるの? それを使って呼びなさい。それで? ティティムはどこ?」

 

 

「ですから……!」

「くどいわ。さっさとティティムの居場所を教えなさい」

「はい……」

 

 

「減給」

「南側に向かったであります!」

 

 

 駄目だ、こりゃ。

 まさか、全部ガン無視で突き進むなんてなー。

 彼女のゴーイングマイウェイ度を見誤っていた。

 ゲームの「クエスト」みたいな感じだったのだけれども、まさか脅してでも聞き出す方向に行くとは。主人公がやって良いプレイではない。……まぁ、偽華ちゃんは敵側なのは間違いない感じなのだけれども。

 

 やはり、私のアドリブがあってよかった。

 クリオッチの中身の子。彼女の前にチラチラと姿を見せては離脱を繰り返し、上手く誘導している。このまま行けば間もなく偽華ちゃんと合流するはず。

 そして二人は力を合わせて仲良くなる。私の計画は完璧である。ふふん。

 

 お、ついに二人が合流するようだ。

 ティティムの仲良し作戦、開始……

 

「敵ね。潰すわ」

「なんでぇ――!?」

 

 あれれ? なんか雲行きが怪しい……?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

いや、死神とか聞いてないし(作者:おおは)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

死神少女にTS転生してしまった一般人。▼本人はただの下っ端役職だと思っている。▼だがそんなはずもなく。▼8月中に更新いたします▼(カクヨムにも載せてます)


総合評価:3722/評価:7.81/連載:11話/更新日時:2026年06月21日(日) 20:03 小説情報

TS上位存在(作者:甘朔八夏)(オリジナル現代/ノンジャンル)

「全部あなたのせいだ」▼「お前ら苦しみたいのか?俺みたいに」▼「消えろ!!あんたの事なんか認めない!!天使は悪じゃないといけないんだ!!!」▼「あなたに守られたからあなたを傷つけてしまったから、ぼくの人生はめちゃくちゃだ」▼「そんなにやさしく、『近づくな』って言わないでほしいな」▼「……私は1人じゃないといけないから(人間さんエッッッッロ…………)」


総合評価:3490/評価:8.75/短編:9話/更新日時:2026年07月03日(金) 14:51 小説情報

ニチアサ系世界に転生したTS魔法少女は悪の幹部をやりたくない(作者:なはた)(オリジナル現代/冒険・バトル)

▼フィジカルよわよわなTS銀髪魔法少女がクール系敵幹部を必死に装いながら魔法少女達と戦うお話。


総合評価:3531/評価:8.53/連載:14話/更新日時:2026年07月24日(金) 12:38 小説情報

シスターさんのお秘め事(作者:とろみ)(原作:ブルーアーカイブ)

シスターさんには沢山の喋ってはいけないことがある。▼信者の方々の相談内容や個人情報。▼キヴォトスには人ならざるものがいること。▼実は秘密組織の長をやっていること。▼後は───話すだけで世界が滅んでしまうようなこと。


総合評価:3400/評価:8.43/連載:25話/更新日時:2026年07月20日(月) 18:16 小説情報

転生者がTS魔法少女になって頑張る話。(作者:メルヘン侍)(オリジナル現代/冒険・バトル)

TSして魔法少女して頑張る話です。▼カクヨムでも同時投稿しております。


総合評価:1599/評価:7.6/連載:42話/更新日時:2026年06月03日(水) 11:57 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>