ホビアニTCG世界にカードとして転生したから目立とうとしたけど、何かがオカシイ。   作:夢泉

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10日間も沈黙すみません……。
再開します。

▽司会の英語が分かりにくいとの指摘→ルビで日本語を用いる事で対応。



Draw 3.5:偽物の華

◆◆◆

 

 

 私にとって、世界の全ては「どうでもいいモノ」だった。

 あっても無くても変わらないモノ。さして興味を持てない、無価値なモノ。

 それは自分自身も同じ。かつて居た「誰か」の紛い物、会ったことも無い「姉」の模造品。しかも、造物主たる親直々に「不必要」と断じている。

 最初の目的すら否定された人形に、意味なんてある訳がなくて。

 私には、「私が居る世界」と「私が居ない世界」の違いが理解できなくて。

 それでも、「有」と「無」が違う事だけは明白で。

 その差異を私は理解出来ないけれど。「有」が「無」になれば何かが変わっている。壊すことで意味が生まれる。そう思った。

 だから、私を「偽物」にした死世神の家も、血筋も。全てを壊してしまおうと思った。

 そうすれば。私は少なくとも、あいつら「本物」よりも価値があったことになるから。

 けれど、その手段を私は持たなくて。

 

 ただ無為な日々を送っていた時、私は出逢った。

 両手に大鎌を持った、白い髪とオッドアイの少女、ティティム・クルデーレに。

 

 The ONEカード。

 それは、強い想念によって世界に顕現するカード。

 どこより現れるのか、何故現れるのか。詳しい事は何1つ分かっていない。……死世神の歴代当主やCPXの中枢は何かを知っているだろうけれど。少なくとも、私を含めて殆どの者はその正体を知らない。

 ただ、1つだけ確かなことは。尋常ならざる力を秘めている事だけ。

 

 最初は、ただの道具としてしか見ていなかった。

 このカードがあれば、全てを壊して私の価値を証明できると。それしか考えていなくて。

 

 だから、最初の叔父とのバトルで賭けの対象にした。

 それが最も効率的だからという理由で、何の抵抗も無くチップに出来た。

 けれど。

 あの最初のバトルでティティムが発した言葉を思い出す。

 

『――私は貴女の唯一! 偽物でも! いいえ、偽物だからこそ! 本物の笑顔を貴女にあげられるの!』

 

 私はずっと、偽物では無い存在になりたいと願っていた。

 偽物なんて意味の無い存在だと思っていた。

 でも、彼女は。そうではないと言った。

 彼女は“イミタシオン”。彼女も偽物。

 だというのに、彼女には一切の疑問も迷いも無かった。ただ真っ直ぐ純粋だった。

 自らが偽物だと断じ、それを良しとした。

 偽物だからこそ出来ることがあるのだと。

 

 ――私を笑わせてくれると、そう言った。

 

 私は特定の何かに執着を持ったことが無かった。

 全てはあっても無くても同じモノ。そう考えていた。

 だけど、ティティムをもう1度「チップ」にすることは出来なくて。

 その理由が分からなくて。

 否。分かりたくなかった、というのが正確なのかもしれない。

 だって、それを理解してしまえば私の根幹が揺らいでしまうから。道を見失ってしまうようで怖かったから。

 

 ――それでも、認めるしかなかった。

 私はティティムが大切だ。ティティムが居ない世界なんて考えたくもない。

 ティティムだけは壊したくない。そう強く強く思ってしまう事を止められない。

 

 ――けれど、私は壊す以外の接し方を知らなくて。

 彼女が自分の意思で私から離れるのだとしても認めない。

 彼女の自由を壊そう。意思を壊そう。

 

 ――そうすれば、ずっと一緒にいられるはずだから。

 

 

◇◇◇

 

 

「まさか、こんな事になるとは思わなかったなー」

 

 スタジアムの屋上から、モンスター特有の超視力にて偽華ちゃんの様子を見ていたのだけれども。

 

「ティティムがどこに行ったか知らないかしら?」

「偽華CEO! 丁度良かったです! ティティムさんなら先程見かけましたが……申し訳ありません、少し手を貸して頂けませんか? 見ての通り、今は手が離せないのです」

「知らないわ。それが貴方の仕事でしょう? 給料分は働きなさい。それで? ティティムはどっちに行ったの?」

「あ、ですから手が塞がっていてですね……」

「その口は何のためについているの?」

「西口の方へ向かわれました……」

 

 

「至急応援を呼ばなければ大変な事になってしまうのです!」

「何のために無線機を持ってるの? それを使って呼びなさい。それで? ティティムはどこ?」

 

 

「ですから……!」

「くどいわ。さっさとティティムの居場所を教えなさい」

「はい……」

 

 

「減給」

「南側に向かったであります!」

 

 

 駄目だ、こりゃ。

 まさか、全部ガン無視で突き進むなんてなー。

 彼女のゴーイングマイウェイ度を見誤っていた。

 ゲームの「クエスト」みたいな感じだったのだけれども、まさか脅してでも聞き出す方向に行くとは。主人公がやって良いプレイではない。……まぁ、偽華ちゃんは敵側なのは間違いない感じなのだけれども。

 

 やはり、私のアドリブがあってよかった。

 クリオッチの中身の子。彼女の前にチラチラと姿を見せては離脱を繰り返し、上手く誘導している。このまま行けば間もなく偽華ちゃんと合流するはず。

 そして二人は力を合わせて仲良くなる。私の計画は完璧である。ふふん。

 

 お、ついに二人が合流するようだ。

 ティティムの仲良し作戦、開始……

 

「敵ね。潰すわ」

「なんでぇ――!?」

 

 あれれ? なんか雲行きが怪しい……?

 

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