ホビアニTCG世界にカードとして転生したから目立とうとしたけど、何かがオカシイ。 作:夢泉
※これらは全て作者及び各キャラの主観に基づくものであり、事実とは異なる場合がございます。
「はぁ……おい、
「じゃれついてるだけだろ? セレが気を許せる友人は少ない。メアとの言い合いくらいは好きにさせてやってくれないか、
「だとしても。新人が困惑している。程々にするべきだろう」
「……む。それは不味いな。了解した」
誰もが好き勝手に喚く混沌とした状況に陥ったが、そこで1
「魔王様」と呼ばれたカードが、セレモアさんの近くに置かれたカードに声をかける。
対象は、「義賊」と呼ばれたカード。描かれているのは、紫紺の髪と金の瞳を有した青年のイラスト。顔の下半分は隠され、カードの上部には「月夜の義賊/ロイバー・クリステフ」と名前が刻まれている。
彼がセレモアさんに話しかけると、セレモアさんは直ぐに大人しくなった。……間違いなく、アレはデキてるな。
魔法少女メアの方へと目を向ければ、彼女もいつの間にか大人しくなっていた。「魔王様」……「刻魔王/エイジ・ククローク」が何かをしたようだ。
そして、次に。
その、黒髪と黒目、右に紅の瞳を有した男は。
全てのカードに向けて告げた。
「――静まれ」
その言葉は決して大きくは無い。だというのに、部屋中に響き渡った。
騒ぎ続けたカードが全て、瞬時のうちに大人しくなる。
「ホルダー暮らしが嫌なのであれば、後ほど
え、何このカード格好良い。正直、めっちゃ助かった。
俺の精神は(多分)男だけど、惚れるレベル。
「さて、醜い姿を見せたな。申し訳ない。……む?貴様の種族……「イミタシオン」か。成程な」
ん?成程って何が?
確かに、俺のカードの「種族欄」は「イミタシオン/カオス・パペット/スペルビア/アヴェンジ・クローバー」ということで、「イミタシオン」なる種族が含まれているけども。
それがどうしたんだろう?
「少し、俺の話に付き合ってはくれぬか?――あの少女、死世神 偽華についてだ」
それは願ったり叶ったりだ。俺は偽華ちゃんの暗い顔を見て彼女の下へと飛んだ。彼女を笑顔にしたいと思った結果、「ティティム・クルデーレ」になった。
彼女の事情を知れるのなら、それを断る理由なんて無い。
頷きで肯定の意を示せば、彼はゆっくりと話し始めた。
「偽華は憐れな少女なのだ。彼女は――」
◇◇◇
死世神。それは、この世界において有数の巨大企業『
この「日本」に蘇った「財閥」とも称される一族。
かつて解体された財閥が蘇ったかのようだ――そんな意味を込めて、その急速な発展の歴史は「不死鳥」のようだと評される。一方で、成り上がるためには手段を選ばないやり方は、「死神」のようだと評す者も少なくない。
そんな死世神の現当主「死世神
「死世神 真華」は完璧な少女だった。容姿端麗、頭脳明晰、人格も非の打ちどころがなく、TCG『
だが、彼女は亡くなった。13歳という若さで世を去った。
その悲劇に際し、深い悲しみに暮れた彼女の母親は、死世神の財力と技術力を用いて秘密裏に真華のクローンを創り出してしまう。
しかし、それは犯罪。クローン人間を造り出すことは、法で罪と定められた禁忌。
CPX社を背負う真贋にとって、これは大き過ぎる不祥事。そもそも、愛娘のクローンと言うのが彼には受け入れられなかった。
故に。彼は隠蔽・根回しを徹底し、そのクローンを自らの3女であると戸籍を偽造する。
そして、金と豪邸を与えて、使用人を差し向けるだけの存在とした。
真贋および「死世神」にとって、「死世神 偽華」は大きすぎる爆弾であり、触れてはならぬタブーとなったのである。
こうした経緯を経て。
偽華は、「愛」の一切を受け取らずに育つこととなった。
◇◇◇
「――偽物の花、「偽華」。断じて親が子に愛をもって与える名では無い」
辛く重たい話だった。俺は、偽華ちゃんが抱え苦しみ続けたモノを知った。
……あんなに騒がしかったカードたちが、偽華ちゃんの話の間はずっと黙っていたのも、理由は明らか。みんな、偽華ちゃんの境遇に思う所があったのだろう。
だって。俺たちカードは誰かを笑顔にする「玩具」なのだから。
「ティティム・クルデーレよ。お前は「
聞けば、そういった特別なカードは世界に幾つか存在しているのだという。
それらは、「
なんで、そんな特殊カードが公式大会とかで使えるのか、とかは突っ込んだら駄目なのだろうな。
「しかし。鏡はただ己を映すモノではない。己を客観的に観測し、変革を促すモノでもある。故に――」
なるほど。
鏡を見ながら化粧をする。衣服を整える。髪をセットする。
これらは己を磨く行為。「今」を映す像が、「先」へ導くモノともなる。
「――貴様であれば、或いは。あの少女の救いとなれるかもしれぬ。決して同族の舐め合いではなく、お互いを支え高め合う存在……比翼の片割れとして、な」
そうか。
それが「俺」が転生した意味か。
カードとして。性転換までして。
よりにもよって、TCG世界に転生して。
――そして、彼女と出逢った。
――笑顔にしたいと思った。
「俺も親には悩まされた故な。あの少女の道行を照らすためならば助力は惜しまぬよ」
これは「俺」の。
否。「俺たち」が彼女を笑顔にするための物語なのだろう。
「――デッキ完成よ! これで全部ぶっ壊せるわ!」
……それはそれとして。
手段がラスボスルートってのが問題ありまくりな気がするけども。
―あとがき―
★キャラ紹介
『刻魔王 エイジ・ククローク』
小説『俺「以外」の全員が「2周目」は流石に鬼畜仕様すぎる。』の主人公。
―カクヨム版URL―
―ハーメルン版URL―
具体的性能は後程。
この小説の性質上、膨大なキャラの設定が必要となります。そのため、私の過去作のキャラ設定を流用して使っていきます。
興味を持って頂いたら、元ネタの方も読んで頂けると嬉しいです。
以下、長文注意。読む必要はありません。
―追記(2022/07/03)―
先ず、この場を借りて誤字報告を送ってくださる方々に感謝を。いつも大変助かっております。ありがとうございます。
その中で。
「The ONE」を「ジ・ワン」とは読まないのではないか、というご指摘を数回受け取りました。ありがとうございます。
第一に、「The」は母音の前以外では「ðə(ザ)」と発音する。それは間違いなく正しいです。
ただし、「強調」する場合には母音の前でなくとも「ði(ジ)」と発音する事があると私は認識しております。
なので、この物語では意図的に「ジ」表記としております。
教育アニメではアウトかもですが、ホビアニとしてはインパクト大で許容範囲かなと考えている次第です。インパクトのある台詞の方が覚えられやすいですしね。
以上です。
この件に関しては、指摘を受けた後に色々と調べて、「問題なし」と結論付けました。
なので、この箇所の誤字報告を送る必要はありません。してくださっても、反映は致しません。予めご了承ください。