【読切】上里ひなたは勇者である 〜勇者と巫女が真逆の世界〜 作:amorphous
原作:結城友奈は勇者である
タグ:R-15 ガールズラブ 残酷な描写 アンチ・ヘイト 結城友奈は勇者である 乃木若葉は勇者である 読切 西暦勇者 巫女 約1名原作より最悪の人生 約1名原作より最高の人生
この終末世界で、ひなたたち4人(+1人)は勇者としてどのような物語を築いていくのだろうか…。
本作は、ひなたたちの初陣を描いた話です。一話限りの読切ですが、また、評判が良ければ、また作者に余裕があったら連載しようかなぁと思ったりします。
では、ごゆっくりお過ごしくださいませ。
西暦2018年、上里ひなたは香川県丸亀城の本丸石垣の上に立ち瀬戸内海を眺めている。
その手には、彼女に似合わない物騒な刀が握られていた。
「……あれから三年、ですか」
三年前、突如として出現した無数のバケモノ、バーテックスと名付けられたそれは、全国各地で人を襲い、街を破壊し尽くした。当時のひなたもそのバケモノと遭遇し、一緒にいた幼馴染である乃木若葉の助言で神社に奉納されていた刀を手に立ち向かった。
……そして今、上里ひなたはバーテックスから四国を守る''勇者''として、乃木若葉は大社と呼ばれる組織の''巫女''としてそれぞれの道を進んでいた。
「こんなところに居たのか。上里」
振り返ると白衣を羽織った女性が立っていた。
「……烏丸先生」
「お前はここ最近、毎日のように海を眺めているな」
「……諏訪からの連絡が途絶え、そこにいた彼女たちの消息も分かりません。……私は彼女たちが心配で。……ですが、今はこうやって彼女たちが居ると思われる方角を眺めることしか出来ません」
烏丸先生と呼ばれた女性は、ため息をつき頭を掻いた。
彼女も、そしてひなたも、諏訪に居た彼女たちがどうなったのか察しがついているからだ。
すると、二人の元へまた、三人の少女たちが集まってきた。
「あ。本当にここにいたんですね」
「でしょでしょ。アタシの勘は鋭い事で有名なのよ」
「ひ、ひなたさん……」
ひなたは真面目な顔をして三人に向き直った。
「みなさん、準備はいいですか?」
何の準備なのかは全員知っている。
「とーぜんっ。だからみんなして上里ちゃんを探してたんだからねっ」
「それは、申し訳ありませんでした。事前にみなさんに言っておけば良かったですね」
「構わないですよ。上里さんがここに居ることくらい、誰でも予想つきます」
「えっ⁉︎ いやいやいや、花本ちゃんさっき、本当にいたんですねって言ってたじゃん」
花本と呼ばれた少女はクイッと眼鏡を整える。
「ええ。ですから、''自分の予想通り''本当にここに居た、と言ったんです」
「んん⁉︎ さっきのはアタシに言ったんじゃなかったの⁉︎」
「ええ、安芸先輩には言ってません」
「ガビィーーーン‼︎」
「……あ、あはは」
安芸はショックを受けた。花本は無表情で愛想笑いを浮かべた少女に声をかける。
「横手先輩。顔色が悪いです。やっぱり無理しない方が……」
「う、うん。無理なのはわかってるんだけど、でも……」
横手と呼ばれた少女はそこで言葉を区切った。
彼女の体は少し震えていた。
「……茉莉さん、無理しなくても良いですよ。私たちがいるんです。それに、これから戦う相手を見れば怖くなるのも仕方ありません」
「その敵に立ち向かわねばならないのが私たちだがな」
「先生」
「……はぁ」
ため息をついた烏丸はそれ以上は言わず彼女を……、横手茉莉を見つめる。
「……今回が初めてという方もいらっしゃいます。ですから、深追いはせず、助け合い、誰一人欠けることなく御役目を果たしましょう」
「はい」
「もちッ」
「……うん」
ひなたの声に烏丸以外は応える。
……そして、ひなたたちのスマホから耳障りな警報音が鳴り始め、世界は樹海、と呼ばれる神樹が作り出す結界に包まれていく。
(諏訪の勇者、藤森水都さん。巫女、白鳥歌野さん。あなたたちから受け継いだ、人類を守る御役目は私たち四国勇者が必ず成し遂げてみせます!)
ーーあたり一面樹木の世界と化した場所で上里ひなたは勇者装束へ変身する。それは、桔梗のような鮮やかな青紫色をしていた。
花本美佳は彼岸花を思わせる黒みがある赤色の装束で手には彼女の身長ほどの大鎌を持っている。
安芸真鈴はヒメユリを思わせるハッキリとしたオレンジ色だが、所々に白色の差し色が見える。そして、右手には旋刃盤と呼ばれる鋭い刃がいくつも付いている丸い盾を持ち、左手にはボウガンを持っている。
「……ずるいですよね、安芸先輩。二つもあって、防御も攻撃もできるし」
「あ。花本ちゃん、羨ましいの? 貸してあげようか?」
花本は大鎌を見る。
「いいえ、今のはただ言ってみただけです。私はこの武器で充分なので……。あの方から頂いたこの鎌で……」
「相変わらず花本ちゃんは自分を導いてくれた巫女の郡ちゃんを心酔してるわねぇ」
「当然です。郡様は私を見つけて下さった方なのですから」
「一応言っておくが、勇者の武器はそいつしか使えないぞ?」
「分かってますよ」
「わかってま〜す」
烏丸の言葉に二人はそれぞれ返した。
その烏丸はというと、勇者装束は変身前とは変わらなかった。黒のシャツに黒のジーンズ。そして、白衣を羽織っている。違うところといえば、腰に小物入れが付いていることぐらいだ。
「みなさん! バーテックスがきました。気を引き締めて!」
彼女たちの視線の先には大量の白いバケモノがいた。ソイツは不自然なほど整った歯並びの大きな口を開けて突撃してきた。
「はあっ‼︎」
ひなたはバケモノを刀で斬り裂いた。続いて二体目、三体目も両断していく。
「さっすが上里ちゃん、鮮やかねぇ」
安芸もそう言いながら旋刃盤を放り投げた。手から放られた旋刃盤をワイヤーで操り、周りのバーテックスを切り刻んでいく。
「よし! このまま遠くの敵まで根絶やしにしてやる!」
とその時、安芸の背後にバーテックスが体をうねらせながら突撃してきた。
旋刃盤を遠くに投げすぎて安芸の手に戻るまでには間に合わない。
「安芸さん‼︎ 後ろからっ」
「えっ⁉︎ ヤバーー」
一瞬、慌てたように安芸は見せたが、ニヤリ笑った。
「……な〜んて、ねッ‼︎」
安芸は左手にあるボウガンから矢を発射させバーテックスを見事射抜いた。
「ひゃあ〜。アタシ強っよ! どちらも遠距離イケルし、右のコレで盾の役割もできる♪」
「……はあ。安芸先輩、調子に乗ってるとコロッと死にますよ?」
花本は黙々とバーテックスを大鎌で倒していたが、安芸に忠告する。
「ダイジョーブよ! アタシは強いし、もしもの時は可愛い後輩ちゃんたちが守ってくるから♪」
「私は自分のことで手一杯ですから。……上里さん、お願いしますね」
「あっはは……。わ、分かりました」
「ちょっとォ! 何その愛想笑い‼︎ ってゆーか、花本ちゃんも守ってよね⁉︎」
花本は真顔でなお、バーテックスを倒し続ける。
「……手一杯だって言ったじゃないですか。私は自分の命が惜しいので、もしもの時は見捨てて行きます」
「上里ちゃあ〜ん‼︎ 花本ちゃんが酷いこと言う〜!」
「あっはは……」
「……先輩の威厳はどこにいったんですか……」
ひなたも変わらず愛想笑いで返し、花本はボソっと呟いた。
……三人が率先して戦っていく中、烏丸はその様を眺めていた。
「あの三人だけで問題無さそうじゃないか。私たちの出番なんてまるでありゃしない。……なぁ、そう思うだろ?」
烏丸は後ろでうずくまっている茉莉を見ながら告げた。
「……いや、そもそもお前は戦えないんだよな」
「……」
茉莉は無言のまま。
「お前は''ココ''へ来る前からそうだったよなぁ? 戦いで誰かが、自分が傷付くのが嫌で。血を流すのが、見るのが嫌で……。あの時も巫女である友奈がバーテックスのいない場所を的確に教えてくれたから戦闘もせずに済んだ。敵を倒すためにその手甲があるっていうのに」
薄桃色のサクラをイメージさせる勇者装束を茉莉は纏っているが、彼女は恐怖で戦うことができないでいた。その両手には手甲が備わっているが、今の時点ではただの飾りになってしまっている。
「お前は幸せ者だな。あの三人が身を削って戦ってくれているおかげで、お前は戦わなくても世界は守られている。あの三人を犠牲にしてお前はーー」
「わかってるんだよ、そんな事……」
そこでようやく茉莉は口を開いた。
「言われなくてもわかってるんだよ! ボクが戦えないから、戦いたくないからっ、彼女たちがその分の戦力を埋めるために必要以上に頑張っていることも! それに甘えて、勇者の中で最年長のボクが彼女たちを必要以上に戦わせていることもッ‼︎」
「……」
泣きながらも叫んでいる茉莉に烏丸は無言で見つめている。
「でも、それでもボクは……、普通に生きていたかった。勇者なんてなりたくなかった。何にも関わらず、ただ普通に暮らしたかったのに……。なんで……。なんでなんだよ、神樹様ぁ……」
烏丸は空を見上げた。
「なんでだろうな。……もし、普通をこよなく愛するお前が、勇者とか巫女とか関係なく、戦っている彼女たちに我関せずで生きていけば、どんな幸せを掴んでいただろうな……。ああ、確かお前は絵本作家になるのが夢だって言ってたな。もし、勇者じゃなかったら''そう''なっていたかもしれないな……」
そして、烏丸は腰に付いている小物入れに手を伸ばす。
「だがな、そうはならなかった。ならなかったんだぞ? 茉莉。だからこの話はここで終わりだ……」
二人の元へ、一体のバーテックスが突撃してきた。
「ああ‼︎ ゴメンッ‼︎ そっち行かせちゃったぁ‼︎」
「烏丸先生‼︎ 茉莉さん‼︎」
「……!」
バーテックスは口を開けて烏丸に喰らいつこうとした……が。
「やれやれ。神様とやらは、天だろうと地だろうと、残酷なことをするよなぁ……?」
烏丸はすんでの所で避け、敵の体を黒のヒモのようなもので拘束したのだ。
……いや、あれはヒモではない。
「私の武器はこの"結束バンド"だぞ? 神樹は一体何を考えてるのか……」
バーテックスは結束バンドで拘束されたまま体をくねらせ暴れている。
神樹の力が宿ったその結束バンドはより強力なものとなっていた。
「ゴメンなさい! アタシが一体そっちにやってしまって……」
「ほら、だから調子に乗らないでくださいって言ったじゃないですか」
「うう……。返す言葉もない」
そう言いながら安芸は捕まっているバーテックスをボウガンで射抜いた。
「気にするな安芸。……そもそもこうなるかもしれないから、私は茉莉のそばを離れなかったんだ」
「烏丸先生って、実は優しいですよね……」
「オイ、聞こえてるぞ花本」
「……すみません」
「まあまあ、無事だったんですから良かったですよ」
そして、全員は遠くを見る。
まだバーテックスは数多く生き残っている。
「そうだ」
何かを思いついたように烏丸はひなたたちに言う。
「お前らに面白いものを見せてやる」
「面白いもの、ですか?」
「結束バンドでバーテックスを拘束する御業はもう見ましたけど……」
「花本、それより面白いやつだ」
「なんですか? 超気になります」
「先生。それって……」
ひなたは勘づいた。
「ああ。切り札を使う」
その言葉に、全員は驚く。
「先生って切り札使えるんですか⁉︎」
「ああ。''モドキ''ではあるが、私も勇者だからな」
「……ですが、先生だけ使うのは」
「構わない。お前たちはよく働いてくれた。私らの分もな。だから今度は私の力を見せてやる。……ちょっと面白い力をな」
烏丸はニヤニヤしながら言う。
彼女はこの状況をきっと、誰よりも愉しんでいるのだろう。
「分かりました。お願いします」
「花本さん……」
「烏丸先生に期待しましょう。……正直私は疲れました」
「あらら。花本ちゃんは体力ないのね。私なんてーー」
「疲れてきて、敵を見逃した人が何を言うんです?」
「うげっ……」
安芸は図星をつかれた。
「では、よろしくお願いします」
「ああ。……みんな、乗れっ」
「「「……?」」」「……‼︎」
その言葉に三人は首を傾げ、茉莉は何かを察したように眼を見開いた。
「……だから面白いものを見せてやるって言っただろ?」
彼女たちの目の前には中型のバスが出現していた。
「コレ……が、先生の切り札ですか……?」
「ああそうだ」
「……ぷっ、くくくっ」
「面白いだろ? 安芸、盛大に笑ってくれて構わないぞ」
「アーハッハッハッハッハ‼︎ なんですかああ〜。それぇぇぇww」
「安芸先輩。うるさいです」
腹を抱えて笑っている安芸を迷惑そうに花本は見つめる。
「奴らがくる。早く乗れ。これでこの世界を、ドライブする」
全員はバスに乗り込む。そして、烏丸はエンジンをかけ、発車させた。
「ああ、気を付けろよ。道は舗装されてないから衝撃で頭とか打つなよ?」
ガッタンガッタン、バスは揺れてみんなは座席や吊り革に捕まる。
「あ! バーテックスがこっちに向かってきます!」
「どうするんですか? 先生」
そこで烏丸はギアをトップに入れる。
「フッ。まあ見てろ……」
「見てろって……。ーーッ⁉︎」
「茉莉は見るんじゃないぞ?」
茉莉は下を向いて耳を塞いでいる。
そのままバスは、向かってくるバーテックスに相対し……、
ドガッッ‼︎
……撥ねた。
「ギャアアアアアアアーーーッ‼︎」
安芸は叫んで頭を抱えた。
花本もバーテックスを轢き殺す直前で眼を閉じ、ひなたも眼を逸らしていた。
「なっ、なんてものを見せるんですかーッ⁉︎」
「どうだ? 面白いだろ?」
「面白くなんてないですよォ‼︎」
バスはさらに加速して辺りのバーテックスを悉く、轢き殺していった。
「懐かしいなぁ」
烏丸はにやけながらバーテックスを殺していく。
「そこにいる茉莉と、私たちを導いた巫女、高嶋友奈を乗せて、こうやって車を運転してたことがある。……まあ、今みたいにバーテックスを轢き殺すことはなかったがな。……これも神樹の力が備わっているおかげってわけだ」
どのくらいバスでバーテックスを殺しただろうか、フロントガラスに肉片がべちゃあ、とくっついている。
「〜〜♪」
烏丸は鼻歌交じりにワイパーでそれを拭き取った。
「……久美子さんは、あの時もそうやって笑ってましたよね」
俯いている茉莉は烏丸に話しかけた。
「あなたは、何がそんなに愉しいんですか」
「……さあな」
烏丸はバスを停めた。
「私はきっと、こういう性分なんだ。……茉莉、お前が普通を強く望むように、私は異常を強く望んでいる。……似たようなことを前に言ったよなぁ?」
全員はバスから降りる。
残るバーテックスは一体だけ。ソイツは烏丸の運転するバスを危険に感じたのか、突撃してこようとはしなかったのだ。
「まったく笑える話だな」
「何がですか?」
ひなたは問う。
安芸と花本の顔は若干、青っぽくなっていた。……乗り物酔いとはまた違うような。
「私も茉莉も、目的は違えど自分のことを優先して行動してるってことさ。自分のことを第一に考えているってことだ」
「……」
「私たちを導いた友奈はな。自己犠牲が二足歩行してるような奴だったよ。四国へ避難してくるときも他の乗客への気遣いを怠らず、バーテックスへの警戒も24時間怠らなかった。寝る間も惜しんでな……。自分の体のことなんざ何ひとつ考えていやしない。茉莉を戦わせないように、乗客が不安にならないように、最大限、努力してなぁ」
すると、生き残っていたバーテックスが彼女たちに向かってきた。
「その友奈が、他者より自分を優先させるような私たちを勇者として導いた、なんて皮肉もいいところさ」
烏丸は向かってきたバーテックスをまた、結束バンドで拘束した。
「……どうしたぁバケモノ? 結束バンドはやり方さえ知っていれば、当時中学生だった小娘でも、案外簡単に千切ることができるらしいぞ? ……まあ、私は知らなかったがな」
そして、烏丸は口を開けて……。
「なぁッッ⁉︎」
「烏丸先生ッ⁉︎」
ギリ、ブチィ!
何を思ったのか、バーテックスへ喰らい付き、肉片を噛みちぎった。
だが、すぐ後にぺっ、と吐き出した。
「……見た目通り、不味いな。食えたもんじゃない……」
「先生‼︎ あなたは一体どこまでッ‼︎」
「私はただ、バーテックスが食えるかどうか試しただけだ。もし、食えるのなら次期に訪れるかもしれない食糧難も乗り切れるだろう?」
「そのために、バーテックスを……」
安芸と花本もより一層顔を真っ青にしていた。
「し、信じられない。バーテックスを食う人がいるなんて……」
「ドン引きです……」
「この人は、前からこんな感じでした。……まさか、バーテックスを食べるなんて人外なことをするとは、ボクも思ってませんでしたけど……」
茉莉も死んだような目で呟いた。
「おいおい、酷いこと言うじゃないか……。まあ確かに私くらいだろうな、バケモノを食おうとするクレイジーな奴は……。だがな、食べるということは知識を得るということだぞ?」
四人はその言葉に首を傾げた。
「赤ん坊は目の前にあるものは何でも口へ運ぼうとする。それは、口にいれることで対象の温度や硬さ、味を知るためだ。生まれたばかりで何も知らない赤ん坊は、食べるという本能に従って情報を得ようとしているんだ。 ……例えば、ニュートンという偉人がいるだろう? そいつは木から落ちたリンゴを見て万有引力の手がかりを掴んだわけじゃない。落ちたリンゴを実際に口にして、中身を確かめて、それがリンゴだと結論付けてから万有引力の手がかりを得たんだ」
烏丸はそれだけ言って、バーテックスをひなたへさしだす。
「……と、まあ異端な教師モドキの講義はここまでだ。コイツを倒せば戦いも終わり、樹海も解ける。だろう?」
「……はい」
ひなたはバーテックスを斬り捨てた。
「……私が疎ましいか? 上里。所詮、勇者の力を半端にしか使えない私は、お前らと協調することなんざできっこないんだよ」
「いいえ、先生が勇者モドキなのと、協調性が無いのはまた、別の話です」
「フッ。そうだな……」
「先生はとても危険な存在です。この場で処理しなくては遠からず私たちが危険な目に遭ってしまうかもしれません」
「ハッキリ言うじゃないか」
「ですが、先生は悪い人ではない筈です。ただ、危険な存在なだけ……」
「何が違うんだ?」
「悪いものではないですけど危険なもの。なんてこの世界にはいくらでもあるじゃないですか。薬品とか、私が持っているこの武器だって……」
ひなたが持っている刀は、使い方を誤れば人を傷付けてしまう危険なものだ。だが今、それをひなたは人々を守るために振るっている。
「私を導いてくれた巫女、若葉ちゃんが言ってました。『刀は重いだろう? 怖いだろう? それは命の重さだ。それは人を殺めるという恐怖だ。だがら生半可な者では扱えない。扱ってはいけない』と……」
ひなたは刀を鞘にしまう。
「烏丸先生はこの刀と同じです。使い方さえきちんと心得ておけば、誰かを守れるものへと変わります」
「ハハッ……。私が物みたいな言い方だな」
「ええ、そして、それを使いこなすのは私、ですよ?」
烏丸はやれやれ、といった感じで頭を掻いた。
「上里。お前は恐ろしい女だよ……」
「それは私が、誰よりも理解しているつもりです」
ひなたはニッコリと笑った。
そして、樹海は、解けていき、元の世界へと戻る。
……以上が、神樹によって生み出された少し変わった勇者たちの、ほんの少しだけおかしくも不思議な物語である。
ひなたは若葉とは違ったリーダーになれそうですね
安芸先輩は年上になった球子みたいな感じ? それか風先輩みたいな?
花本さんは勇者になっても変わらず千景を心酔
茉莉はなんか……、描いていて可哀想に思った(他人事)
烏丸先生が愉しそうで何よりです(皮肉)