9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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スポッチャ。


第10話:最後の晩餐……とは言いませんが、ぜひ味わって下さいね?

 

 

「天ちゃん、今日は何か予定かとあるの?」

 

学校が終わり、校門へ向かう道中にさり気なくこの後の予定を聞いてみる。

 

「ん?特に考えてないなぁ〜。あれから特に進展のない兄貴の家にでも襲撃してみようかなぁ……」

 

「新海先輩の?あれ?でも今日クラスの人達とラウンドツーに行くって話だったはず……」

 

「まじか。あのにぃにがクラスメイトと遊びに行くとか……。う〜ん、それなら大人しく家に帰ろうかな」

 

「そうした方が良さそうだねー。私も大人しく帰ることにしようかなー」

 

これで天ちゃんが、新海先輩の家に行くことは無くなった。ごめんね?

 

途中まで一緒に帰り、別れる。先輩達は今頃ラウンドツーに着いたかなー。

 

「結果は終わった後に聞けばいっか」

 

スマホを開き、LINGで深沢先輩のトークにメッセージを送る。

 

『進捗の方はどうでしょうか?』

 

『問題無し!さっき九條さんを一人にしたところ。そろそろ翔が来るんじゃないかな?』

 

『了解です!うまく行くことを願ってます!』

 

スマホをポケットに入れ、家へと帰る。

 

「ただいまー」

 

鞄を置き、制服を洗濯に出す。

 

「そういえば、明日は土曜日だった……」

 

今日二人が付き合えれば改めて明日デートをするためにモックとかラウンドツーに出掛ける事になったんだよね。

 

「その後のことも考えておかないと……」

 

石化事件を再スタートして香坂先輩の記憶を読み取って、神社へ向かう。そこで石化した高峰先輩を見つけて事件は謎を残したまま幕を閉じる……って流れ。恐らく深沢与一が自分に辿り着けない様に偽装を行う。その犠牲者が高峰先輩なんだけど。

 

「この辺りも色々と進めないといけないかな……」

 

原作通りきちんと進めば良いんだけど、ここは現実である。何気ない一言や行動が影響している可能性があって思っている通りの流れになるかは定かでは無いと思う。

 

「そうなれば自分でその流れを作れば良いだけなんだけどね」

 

これも先輩達が幸せになるためであり、結城先輩への枝へ辿り着くために必要な事。それなら特に迷う理由は無い。

 

「あの人なら誘えばいつでも乗りそうだし……、早めに動くなら明日辺りに早速行動しよう」

 

一人で考えを口に出しながら明日からの計画を立てる。

 

「それならおじいちゃんに許可を貰わないと……」

 

九重の人達を使う必要があるので、その頂点でもあるおじいちゃんに許可を貰う為にスマホを手に取り、電話を掛けた。

 

 

 

 

 

「お待たせ、舞夜ちゃん」

 

「こんにちはです。深沢先輩」

 

次の日、私は深沢先輩と待ち合わせをしていた。

 

「今日は急なお誘いだったのにありがとうございますっ」

 

「いやいや、僕は全然オッケーだよ。昨日の件でお礼がしたいって誘いが無くても喜んで来る来る」

 

「新海先輩と九條先輩が無事お付き合いしたって昨日連絡を頂いたので、色々と手伝って貰った先輩に何かお礼がしたいと思いまして……」

 

「うわぁ、先輩想いの良い子だ……。僕が面白そうだったから乗っただけなんだけど」

 

「理由はどうあれ手伝って頂いた事には変わりありませんから……成功したのできちんと深沢先輩にも然るべき報酬が支払われないのはおかしいので……せめて私が今日は先輩を楽しませようかと考えています!」

 

「舞夜ちゃんが!?」

 

「はいっ、プランは一応考えてはいるのですが、途中で何かしたい事があれば言って下さい。融通可能ですので」

 

「ほんとにっ?いや~嬉しいね。まさか翔を揶揄おうくらいの気持ちだったのにここまでのお返しが来るなんて……ほんとにいいの?」

 

「勿論です。あ、でも最後に知り合いのお店で予約を取っているのでそこは譲れません。美味しいお店で是非味わってほしいので一緒にディナーとしましょう!」

 

「なんと、晩御飯のお誘いまで……でも僕お高い所に行けるほどのお金持って無いよ?」

 

「安心してください。私の奢りです!と、言うのは嘘で、おじいちゃんの知り合いのお店なので今回はサービスさせてもらっています。お金に関しては気にしないで下さい。おじいちゃんから出してくれるとの言質を取っています」

 

「ええぇ……、舞夜ちゃんって九重だよね?結構有名な家だし、九條さんみたいに金持ちとか……?」

 

「……それなりに、とだけ言っておきます。ですので先輩は気にせず私とのデートを楽しみましょう」

 

「これが美人局でも僕はイエスと答えてしまう自信がある……!怪しい壺でも舞夜ちゃんからのなら買っちゃうね」

 

「もしお金に困ったら深沢先輩をターゲットにしますね?」

 

「怖い黒服のお兄さんとか出てきたら従っちゃうかも……」

 

「それなら簡単そうですねっ」

 

待ち合わせも済んだ事だし、早速歩き始める。

 

「どこか行きたい所とかありますか?」

 

「舞夜ちゃんの計画としてはどうするつもりなの?」

 

「うーん、そうですねぇ……今の時間だと娯楽施設とかに行こうかと考えていました」

 

「ラウンドツー?」

 

「ですね。他に場所って知っていたりしますか?」

 

「電車に乗れば多少は知っているけど……」

 

「ここのラウンドツーってスポーツ系の娯楽ってありましたっけ?」

 

「ちゃんとしたのは無かった気がする。色んな種類が置いてあるのは電車で少し離れた場所にあったけど……」

 

「前回ここ行ったので今回は別の場所にしておきましょうか?」

 

「なるほど、折角だしたまには違う場所で遊ぶのも悪くないかも……」

 

「あまり行かない場所ですし、何か面白いのが見つかるかもしれませんね!」

 

「それじゃあ、最初のデート先はラウンドツーという事で」

 

「了解ですっ、出発進行ですね」

 

正直、この街以外の娯楽施設の場所など把握していないけど……今後必要になる可能性があるかもしれないのでこういう機会に行くのも良いかもしれない。

 

電車に乗り、目的のラウンドツーに辿り着く。

 

「うわぁ、私達の所より縦に長いですね……」

 

「その分、色んなものが置いてるってことなんだろうね」

 

「では!行きましょう」

 

 

 

 

「はぁ……はぁ、ちょ、ちょっとタイム……」

 

「あー、すみません。少し休憩しましょうか……」

 

息が途切れ途切れの深沢先輩と休憩スペースに座り自販機で買った飲み物を渡す。

 

「ぁあ、ありがと……」

 

疲れた様子で渡された飲み物を勢いよく飲む。

 

「はぁー……。思ったんだけど、舞夜ちゃんは全然疲れてなさそうだね?」

 

「一応これでも武を嗜んでいるので遊びのスポーツくらいなら問題は無いですね」

 

「マジか……。僕の倍くらい動いていたよね?」

 

「最近あまり体を動かして無かったので少しはしゃぎすぎてしまいました」

 

「あれではしゃいでいただけとは……。運動神経良いのはやっぱりお家のお陰?」

 

「そうですね、護身術と言っても基礎の身体づくりが出来て無いと意味がありませんのでそれなりに鍛えていますよ?健康面も兼ねていますし……」

 

「え、腹筋とか割れてたり……?」

 

「あはは、男の人みたいに腹筋が6LDK!では無いですね。確かに普通に女性と比べると筋肉がある分硬いとは思いますよ?」

 

「でも見た感じそうは見えないと思うんだけど……?」

 

「そこは努力の成果って感じですかね?引き締まった身体を作り、無駄に筋肉質な物にしていませんから」

 

「そんな鍛え方があるってことなのか……勉強になるなぁ」

 

「……とか言って女生徒の身体を堂々と見ていることに関しては今回は不問にしておきますね?次からはお金頂きますよ」

 

「……因みに、幾らで……?」

 

「嘘に決まっているじゃないですか。セクハラですよ。変態です」

 

「はい、すみません……。ってか、普通だね、さっきみたいなこと言われたら嫌がられるかと思ったんだけど……もしかして翔から僕の事聞いてたりした?」

 

「確かに新海先輩から前にちらっとお聞きする機会はありましたけど……深沢先輩が割と変態発言する人だって事は知っていたのでそれに関しては嫌悪感とかないですよ?そんなもんじゃないですか?高校の男性って」

 

「何その理解度……ちょっと怖い」

 

「でもそれを九條先輩とかには止めといてくださいね」

 

「流石の僕もあの九條さんには言えないかなー。下手したら両親の仕事が無くなりそうだし」

 

「この街に住んでいる人ならまず逆らえない一家ですもんね」

 

「そんな人と翔は付き合っちゃうんだもん。ある意味尊敬できるね!」

 

「そこは激しく同意です。ヘタレでは無かったということなのでしょう……」

 

その後は軽く雑談を交えながらスローペースでスポーツを楽しんだ。

 

「そろそろ良い時間ですし、お腹空いてたりしませんか?」

 

「結構動いたし確かに空腹かも」

 

「では、お昼に話していた知り合いのお店に行きましょう!」

 

「舞夜ちゃんのおすすめ楽しみにしておくね」

 

「期待していいですよ?先輩が退屈しない位には楽しんで頂く予定なので!」

 

ラウンドツーから出て電話を掛ける。

 

「もしもし?うん、私。舞夜だよ?そうそう、今から向かおうかと思っているから準備のほうをお願いしまーす」

 

通話を終え、スマホを仕舞う。

 

「今のはお店の人?」

 

「ですね。後はお店までの交通手段の手配って所です」

 

「……え?迎えが来るの?」

 

「すぐ来ますので……あ、来ました。こっちこっちー!」

 

手を振りながら待っていると、私達の前に一台の車が止まる。

 

「深沢先輩、お店までこれで行くので乗っちゃって下さいな」

 

「あ、……うん。お、おじゃましまーす……」

 

二人が乗り込んだのを確認して車が動き出す。

 

「ここから大体10~15分程度で着くので少々お待ちを~」

 

「えっと、それは全然大丈夫なんだけど……。もしかして僕、どこかに連れて行かれるの?」

 

「それは勿論お店までご案内しますよ?」

 

「ほんとっ?夜の港に連れて行かれてコンクリートに埋められたりしない!?」

 

「落ち着いて下さい、確かに私達が乗っているのは如何にもって感じの黒い車ですが、ただの送迎ですので心配ご無用ですよ?」

 

「いやぁ~、急にこんな車に乗せられたら心配にもなるよ」

 

「まぁ、確かに少しは反応を見てみたいって気持ちがあってこの車にしたって言うのはありますが……」

 

「あったのっ!?心臓バクバクだよ!」

 

「楽しんで頂けたようで何よりです」

 

「確かに退屈し無さそうだよ……これなら」

 

何を言っているのですか。楽しんで頂くのはこれからですよ?

 

少しの待ち時間が過ぎ、車がお店に着いたので降りる。

 

「……舞夜ちゃん……もしかしてここが言ってたお店?」

 

「その通りです。ここがおじいちゃんのお知り合いのお店です!」

 

「お金持ちの家系って時点で察するべきだったよ……」

 

「取りあえず中に入りましょうっ!こっちです」

 

店の中に入り、受付に話をし案内してもらう。

 

「内装もオシャレだし……絶対お高い場所だよね……」

 

「こっちの席です!端っこの個室で夜景もそれなりに見える場所ですよ!」

 

「えぇ……なにこのVIP待遇……ほんとに僕が来て良かったの?」

 

「残念ながらもう引き返せませんよ?ここまで来てしまったので楽しまなきゃ損です」

 

「正直、ここまでされる様な事してないんだけど……」

 

「私はこのくらいだと思っていますので、それに少し頼み……と言うか相談があるのでお誘いしたって所もあります」

 

「……やっぱり高い壺でも売りつけるの?」

 

「先輩なら乗ってくれそうだったので……」

 

「やっぱりそうだったんだっ!?でも買っちゃうねっ!」

 

「お買い上げありがとうございま~す。それでは私とのディナーを楽しみましょう。コース料理なのでその内来ると思います」

 

「くそっ、ここまで来たら皿まで食べるしかないのか!!」

 

"毒を食らわば皿まで"って奴ですね。一瞬頭おかしい人かと思いましたよ……いや、おかしい人だった。

 

 

 

 

 

 

 

最後のデザートを食べ終え、お互いに紅茶を飲みながら一息吐く。

 

「あー、美味しかったっ。こんなに美味しいの食べたの初めてかも」

 

「喜んでいただけたようで安心しました。先輩的にどれが良かったですか?」

 

「そうだなぁ……やっぱり一番はメインで出て来た肉料理かな!」

 

「あ、わかりますっ。美味しかったですよね~。溶けるような触感もですが味付けも最高でした!」

 

「そうそう!その前の魚も凄く美味しかったけど、一番と言われると僕的にはメインかな?」

 

「デザートもオシャレで良かったですよねー。また来たいくらいですよ」

 

「舞夜ちゃんは結構来るの?こういうお高いお店」

 

「まっさかー、贅沢する時にしか来ませんよ。今回は深沢先輩だからここに来たんですよ?」

 

「え、何その意味深な台詞……何だか勘違いしそう」

 

「安心してください。恋愛的な要素はありませんので」

 

「そこをスパッっと言われると悲しい気分になっちゃうな~……」

 

「変な勘違いさせてしまうと相手に失礼ですので、ハッキリしておいた方が良いかと思いました」

 

「それでもこんな美味しいご飯食べれただけで僕的には大満足だけどね!」

 

お互いに飲み物を飲んだことで会話が途切れる。

 

「……それで、さっき僕に頼み……?相談があるんじゃなかった?」

 

こちらから切り出そうかと考えていると、向こうから聞いてくる。

 

「そうなんです。また協力して欲しい事がありまして……」

 

「もしかしてまた翔と九條さん関連?」

 

「正解です。ラウンドツーの時みたいにまた深沢先輩の協力を求めたくて……」

 

「全然オッケーだよ。その程度なら幾らでも聞くよ?」

 

「ありがとうございます!それで内容なのですが」

 

「うんうん」

 

「以前、正確にはゴールデンウィーク前まで先輩達は今この街で起きている石化事件を追っているんですよね」

 

「二人が?なるほど、だから最近翔は九條さんと仲が良かったのか」

 

「九條先輩から事件を解決したいって持ちかけて協力したって流れです」

 

「あはは、翔の事だから下心で協力したんだろうなー。九條さんと近づけるって」

 

「正解です、九條先輩と仲良くなれるかも……?って気持ちで協力していましたねー」

 

「やっぱりかぁ。翔も隅に置けないなー」

 

「っと、話を戻しますね?最近までは二人がギクシャクしてたのでその事件の調査も宙に浮いてたまんまだったのですが、付き合って落ち着いたことでまた再開し始めると思います」

 

「なるほど。それでそれで?」

 

「近い内に、先輩達は犯人捜しを始め、そう遠くない期間で犯人まで辿り着くと思われます。私はそれを防ぎたいのです」

 

「え?えっと、翔達は石化の犯人を捜してるんだよね?どうして舞夜ちゃんがそれを止めたいの?普通は捕まえるべきじゃないの?」

 

「いえ、むしろ逆です。先輩達に特定されずに迷宮入りになることが私の目的です」

 

「もしかして、知り合いだったりするの……?その犯人」

 

「そうですね。実はお知り合いです。ここで新海先輩らに石化の犯人とバレてしまっては困るので何とかバレずに逃げ切って欲しくて……」

 

「舞夜ちゃんの要件は取りあえずわかったんだけど……でも、僕に手伝える事ってあるのかな?いや、勿論美味しいご飯食べさせて貰ったのはあるけどさ……犯罪に加担するのは流石にちょっと……」

 

「いえいえ、深沢先輩にしか出来ない事ですので、こうして直接お願いしているのです。新海先輩らにバレずに逃げ切ってほしいのですよー」

 

「え?僕?」

 

「その通りですっ、正式にお願いしますので協力していただけませんか?()()()()()()()さん?」

 





突き出し
前菜
スープ
魚料理
口直し
肉料理
デザート
コーヒー(紅茶)

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