9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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初めての能力バトルが……多分始まったリ始まらなかったり……。




第11話:情報を制する者は戦いを制す。でも結局、力が全てですよねー

 

 

「その通りですっ、正式にお願いしますので協力していただけませんか?魔眼のユーザーさん?」

 

私の確信の一言に反応したのか、眉が動く。

 

「魔眼のユーザー?それって、僕の事を指しているのかな?」

 

「あ、別にとぼけなくても良いですよ?と言うか深沢先輩が犯人って事は既に分かっているので」

 

お互いにニコニコと笑顔を浮かべながら言葉を交わす。

 

「……うーん。これは言い逃れ出来そうに無いのかなぁ?確信しているみたいだしね」

 

「その通りです。でなければ、こんな場所までご招待しませんよ?」

 

「幾つか舞夜ちゃんに聞きたいんだけど良いかな?」

 

「勿論ですっ、色々気になると思われるので私に応えれる事なら何でも……あ、長くなりそうでしたら追加で何か頼んでも良いですよ?今日は先輩に奢るのは変わらないのでご安心を」

 

「気になった事が解決したらそうしようかな?」

 

「了解です!それでは質問タイムと行きましょうっ」

 

「僕ってどうしてわかったの?……見られるような事はしてないと思うんだけど?」

 

「そうですねぇ……幾つかあるんですが、一番は私もアーティファクトを持っているんですよね。当然なのですが……それが理由です」

 

「舞夜ちゃんの能力が原因ってことかな?」

 

「ですねー。ぶっちゃけますと、私の能力が()()()()()()()()()()()()()って内容なのです」

 

「漫画とかでよくある鑑定の力みたいな?」

 

「あ、それがしっくり来ますね!それです。特定するには幾つか条件を満たさないといけないのですが、それをクリア出来れば可能ですね」

 

「因みになんだけど、どこまで分かる感じ?」

 

「そうですねぇ……最大で相手の能力の名前、発動条件、範囲、効果、威力とかが私の理解できる範囲で読み取れますね」

 

「へぇ……凄いねっ、その能力」

 

「深沢先輩のは相手と目を合わせる事が発動条件みたいですし、名前から見てもすぐに分かる感じですね。効果なんて相手を石にするってそのまんまだったので」

 

「ちゃんと分かっているみたいだね。何時から知ってたの?僕が犯人って事」

 

「以前に一度、一緒にラウンドツーに行ったじゃないですか?新海先輩の部屋の前で会った日のやつです」

 

「ああ、舞夜ちゃんが僕を遊びに誘ってくれた日かぁ……え?その日には既に分かってたの?」

 

「分かってましたね。石化の犯人ってことは」

 

「えぇ……その相手を遊びに誘うとか……もしかして翔達から遠ざけたかったの?」

 

「いえ、あれは単純に先輩達を二人きりにしたかった感じですね」

 

「僕が言うのもなんだけど、まともな考えじゃないと思うんだけど?」

 

「自覚しているので平気です。それに目的があってそうしただけなので」

 

「さっき言ってた翔たちに僕が犯人ってバレたくないんだっけ?それ、どうしてなの?」

 

「これに関して私情が入ってて詳しく言えないのですが、深沢先輩が持っている石化の能力を誰かに盗られるのが非常に不都合なのです」

 

「その言い方だと、僕は翔と九條さんに負けるってことになるの?」

 

「言ってしまえばそうですね。確かに深沢先輩側には高峰先輩や幻体のゴーストさんが居ますが、それでも負けますね」

 

「これはビックリ……こっちの情報筒抜けって感じ?」

 

「残念ながら、筒抜けですねっ。新海先輩サイドは新海先輩と九條先輩、新海先輩の妹と知り合いのユーザー四人と追加で私が参戦します」

 

「でもさ、それでもぶっちゃけ勝てるっしょ?僕の予想だけど、いざ戦うってなったら翔と九條さんは躊躇しそうだしさ」

 

「あはは、ですねー。妹ちゃんも戦闘向けじゃありませんし、ぶっちゃけた話高峰先輩一人で制圧可能ですよ?」

 

「何それ~、戦えるのってその知り合いの人だけ?あ、舞夜ちゃんが戦うの?確か護身術してるんだよね?」

 

「してますよ~?これでも腕っぷしには自信がありますので、先輩達が戦えなくても私一人でどうにか出来る程度ですしー、あはは」

 

「凄いね!蓮夜と僕、幻体相手にして勝てるってことなの?流石に言い過ぎじゃないかなぁ……?」

 

「いえいえ、ちゃんと正確にそちらの戦力を見積もった結果ではじき出してるので……」

 

「ふぅん、舞夜ちゃんってそんなに強いんだ」

 

「それなり強いですよ?試してみます?」

 

「ここで?いいの?知り合いのお店でしょ?」

 

「ご心配なく、深沢先輩が私に手や足も出せずに負けるので問題ありません」

 

「へぇ……言うねぇ」

 

「では、行きますよ?」

 

両手を前に出して目の前で音を立てる。音に反応し、反射的に驚いて目を閉じる。即座にテーブル下で先輩の足に私の足が触れ、能力を発動させる。

 

「っ!?……え!??」

 

「はい、これで先輩は目を開ける事はおろか、手足を動かすことすらできませんね?あ、一応口は動かせるようにしているのでお喋りは可能ですよ?」

 

「え、ええ!?どうなってんのこれ!目が開けられないし、体が動かない……!」

 

「凄いですよね?特定の条件下で、人は驚くと体を動かすことが出来なくなるんですが……先輩の今の状態がそれです」

 

「さっき驚かせたのは……!?」

 

「その為です。これで主力の魔眼は使えませんね?どうします?このまま首を跳ね飛ばす事も可能ですが……」

 

「……出来ないくせに強がっちゃって~。それに、体は動かせなくても……」

 

幻体がある。と言いたいんだろうなぁ。

 

次来ることが分かりながら待っていると、体から抜き出るみたいに幻体が出てくる。

 

「俺がいるんだよなぁ!!」

 

怒りを露わにしたゴーストが出てくる。ので、行動に移される前に、服の中に仕込んでいたナイフを取り出して首を刎ねる。

 

首が体から分離し、維持が不可能となったからか、霧のように消える。

 

「と、まぁ。こんな感じにちょんぱしちゃいますね」

 

「マジですか……。躊躇いなさすぎない?幾ら幻体だからって人間の姿してるんだけど……」

 

「人の形をしてるからって迷う理由にはならないですね」

 

「えぇ……何この後輩、怖いんだけど……」

 

「幻体からの情報を共有できたと思いますが、この距離なら避ける前に仕留めるのも簡単です。もし高峰先輩合わせて三対一でも時間は少しかかるかもしれませんが、勝てると思いますよ?」

 

すると、深沢先輩の頭上で槍の形をしたものが出現し、話しかけている私目掛けて飛んでくる。

 

「っと、流石にそんなの当たるわけ無いですよ。発現したのを認識できた時点で回避可能です」

 

割と正確に殺意高めに頭を狙ってきたけど……ああ声で大体の位置は分かるもんだしね。

 

「あ、複数でアタックするのはご勘弁を。処理する為に動くのが面倒なので……食後ですし……ね?」

 

「……ははっ、流石にこれは完敗かな?服の中にナイフを持ってたのも驚きだけど、それを何の迷いもなく使ってくるのにビックリした」

 

「備えあれば憂いなしってやつですね!」

 

「どんな備えか気になるなぁ……うん、分かった。今回は僕の負け。素直にそっちのいう事を聞くよ」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

嬉しそうな声を出し、自分の前髪に能力を掛けて髪留めを外す。

 

「なので出来ればこの金縛りを解いていただけるとぉ……」

 

「待って下さい、今解きますね」

 

先輩の正面に手を出し指を鳴らす。同時に能力を解いて開放する。

 

「うわっ!?動ける……!凄い!体が自由だっ」

 

「今、自由にしましたので普通に動けると思います」

 

「うんうん、ほんとだ……それじゃあ……」

 

こちらを向き目を合わせる。と、同時に顔にスティグマが浮かび上がる。

 

「やられっぱなしは嫌だし、お返ししておくね?どう?動けないでしょ?」

 

「……っ、そうですね。少しきついです……」

 

恐らくこれが魔眼の力なんだろう。全身が物凄く硬く思えるし、手や指を動かそうにもゆっくりとしか動かせない。

 

「え、喋れるの?おかしくない?なんで?」

 

「どうし、て、でしょうね……。それに、動け……なくても、魔眼を解くくらい……出来ます、よ?」

 

前髪に掛けていた能力を解く。位置を固定されていた髪が重力に従って落ちてきて視界を遮った。

 

「ぷはっ、これで、視界が遮断されたので能力は解除されましたね」

 

「ええぇ……そんな簡単に……。ちょっとショックだなぁ」

 

「それが()()魔眼の弱い所ですよねー。二人同時だと対処が簡単になってしまいますから」

 

「いやいや、舞夜ちゃんは一人でしょーが……」

 

「いえ、一応ですが、私一人じゃ無いですよ?」

 

パンパン、と手を叩く。すると入口から数人の黒いスーツを着た男たちが入って来る。

 

「どわぁ!?な、何々!?超怖いですけど……」

 

「もしものことがあれば即座に駆けつけて下さる心強い方々です。どうです?怖い黒服のお兄さんたちですよー?話、聞いて下さる気になりましたか?」

 

「狭い個室に男が詰め込まれるって……むさ苦しくなってきたよ……」

 

「どうですどうです?そろそろ観念していただけたでしょうか?」

 

「うーん、そうだなぁ……怖いし逃げさせて貰おうかな?」

 

 楽しそうに笑う先輩が能力を発動しようとする……が、地面から足が離れない事に気づき笑みが消える。

 

「あれ?転移のアーティファクトで逃げないのですか?それとも()()()発動条件が満たせなくてお困りとかで?」

 

「あはは……そういや舞夜ちゃんは分かるんだったね、そりゃ逃げられない様に対策はとるか」

 

「当然ですね。取りあえず提案を聞くだけ聞いてみませんか?受け入れるかどうかはその後でも構いませんし」

 

ジェスチャーを送り、入って来た人たちが部屋から出て行く。

 

「これで再度二人きりですね?……それでは、密談でも交わしましょうか?」

 

肘をテーブルに乗せ、両手に顎を乗せながら、可能な限りの笑顔で笑って見せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……これで取り敢えず大丈夫かな?」

 

深沢先輩とのやり取りを終え、先輩が店から出て行ったのを確認してから一息着く。

 

「お疲れ様でした」

 

「あ、店長さん。こちらこそありがとうございました。お店を汚さずに終えましたよー!」

 

「現在借り切り状態ですので、多少のいざこざはこちらで処理出来たのでお気になさらなくて大丈夫でしたのに」

 

「流石にこんな素敵なお店で暴力沙汰は私も嫌だったので頑張ってみましたっ」

 

「心遣い感謝します。そのお礼……では無いですが、今試作で新しいデザートメニューを模索中で、もし良ければ感想をお聞きしても?」

 

「え!?お店の新メニュー?食べる!食べますっ。喜んで食レポさせて下さい」

 

「ふふ、では、今準備してきますね?それと、今後も似た事をする際は遠慮なく私の方に言って下さい。舞夜様にはいつも娘がお世話になっておりますので」

 

「あはは、二葉ちゃんに関しては勿論任せて下さい。姉の方は保証しかねますが……」

 

「遊んでいただけるだけで十分ですので……では」

 

こちらに一礼をして部屋から退出する。と、入れ替わりで黒髪ショートの黒服を着た少女が入って来た。

 

「あ、二葉ちゃん。お疲れー」

 

「舞夜姉も、お疲れ様です」

 

部屋に入って来た二葉(ふたば)ちゃんは、迷うことなく私の隣に座る。

 

「今日は一人なの?」

 

「うん……。お姉ちゃんは今は稽古でここには来ていないの」

 

「そうなんだ。という事は今日のに二葉ちゃんも居たってことかー」

 

「一応、お父さんのお店だし……勝手を知ってる人が居た方が良いだろうって当主様が……」

 

「なるほどね、おじいちゃんが気を利かせてくれたんだねぇ……。私、これからこのお店の試作品を食べるんだけど、一緒に食べる?」

 

「……っ!うん、食べる」

 

「それじゃあ、二葉ちゃんのお父さんが作るまで待つことにしようか」

 

「舞夜姉……もし良かったら、学校とか一人暮らしの事聞きたい……かも」

 

「うん、全然オッケーだよ。楽しいかどうかは保証できないけどねっ」

 

雑談していると先ほどの試作品が届く。二葉ちゃんの分も用意をお願いしようとしたが、本人から止められた。そこまで食べれないから私が食べているのを少し分けるだけで良いとの事だったのでそうすることにした。

 

ひな鳥に餌を上げる様な感覚で彼女の口にスプーンを運んでいたが、ご満悦な様子なので良しとしておいた。

 

 

 

 

舞夜ちゃんとの話し合いが終わり、お店を出て帰り道を歩く。

 

「いやー、まさか僕の事がバレてるなんてねー、しかもあんな提案までしてくるなんて驚いたよ」

 

「それで?結局受けることにしたの?」

 

「うん、そっちの方が面白そうだし僕も翔たちに目を付けられずに逃げれる。お得っしょ」

 

「まぁ、暫くは身を潜めた方が良いのは確かだし……好きにしなさい」

 

「そうさせてもらう。コテンパンにやられちゃったしね」

 

「相手の能力を見ることが出来るアーティファクトねぇ……便利そうだわ」

 

「結局もう一つのは何だったんだろう?ほら、僕が動けなくなったあれ」

 

「そうねぇ、もう一つのアーティファクトを持っていたって事が一番早いかしら?」

 

「もう一つ?それって僕みたいに複数所持しているってこと?でも普通は一つなんじゃないの?」

 

「あの子にも私みたいに向こうの世界の住人が来ているのなら何ら不思議じゃないわ」

 

「あー、同じパターンね。確かにそれなら納得。流石に武術であんなこと不可能だよね。ってなると僕みたいに人を停止させるタイプなのかなぁ……?」

 

「再戦しようにも、今の貴方じゃ、分が悪いんじゃないかしら?あちらは随分と貴方たちの事を把握していたみたいだし、力に対しても対策して来ていたでしょ?」

 

「そうなんだよねぇ……どこでそれを知ったのか……もしかしてアーティファクトなのかな?能力以外にも知れるとか?」

 

「逆じゃないかしら?貴方の能力を知るために身辺調査をしていたから知っていた。って方が辻褄が合うわよ」

 

「あーなるほどね。そっちかぁ……」

 

「ま、無事生きて帰れた事だし、今は大人しく舞夜ちゃんの提案に乗っておこうかな?」

 

「身代わりを用意するって話だったわね」

 

「そうそう、まさか身代わりの人物まで向こうから提案があるなんてね。僕としては楽で助かるけど」

 

スマホを取り出し、目的の人物に電話を掛ける。

 

「あ、もしもし?蓮夜?僕だけど……」

 

舞夜ちゃんが言っていた通り、面白い内容だったなと思い出しながら電話を続けた。

 

 





名簿

久賀 二葉(くが ふたば)
中学三年、静かめで割と喋らないが、主人公には懐いている為そこそこ話せる。来年は白泉に通いたいが姉が反対している為、中々上手く事が運べていない。
主人公との間をジャマしてくる姉には割と毒を吐いたり吐かなかったり……。

久賀 三花(くが みつか)
高校一年、主人公とは違う場所に通いたいのと、結城希亜の監視兼護衛として念のために白泉ではなく玖方女学院に通う同級生。
妹が自分では無く主人公にべったりな事に嫉妬をしている。

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