9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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いざ敵組織へ―――。

当初から入れたかったネタを入れれたので少し満足……。




第17話:まさか、ネタをネタで返されるとは……驚きです

 

 

「この建物の中ですか……」

 

次の日、新海先輩を連れて内側の組織へ向かった。

 

境界線に立っていた門番に一言話すと、直ぐに奥へ案内された。うん、ちゃんと話が通っていて安心した。

 

そのまま倉庫の様なコンクリートの建物の入り口まで案内されると、『入れ』と言って門番は帰って行った。

 

「中に入れって事は、誰か居るってことなんでしょうね」

 

「多分そうだろうな……」

 

「では、私が先に入るので付いて来て下さいねー」

 

「ああ、頼む」

 

錆びた金属のドアノブを回してドアを開ける。

 

「……おー?ようやくお出ましか?」

 

物資と思われる物が乱雑に置かれた内部の奥から声が聞こえる。……中に居るのは二人かな?

 

「門番の方にここへ案内されたのですが……」

 

「おう、俺たちがそれを引き継ぐってことらしいな」

 

壁から離れてこちらに手を上げて向かって来る男性……歳は40?いや、髭があるからそう見えるけど、30後半かな?

 

肩まで伸びた黒い髪と、少し萎びれた恰好。腰に日本刀と思われる刀を差しているから浮浪者と言うよりかは流浪の侍ってことかな?

 

イメージとしては茂さんに一番近い雰囲気を感じる。

 

「上からお前さんらの事は聞いている。ここに入りたいらしいな」

 

「そうですね。その為に来ましたから」

 

「そんなら、俺たちの班に入る事になっている」

 

「貴方たちの班ですが?」

 

「ああ、なんせ俺たちが一番新入りだからな」

 

「なるほど、では私たちが一番下っ端という事ですね。これからよろしくお願いします」

 

「任せな、ここでのルールを教えてやるから先輩の言う事は素直に聞いてくれよ?そっちのおまえさんもな」

 

私の後ろで静かにしている新海先輩へ視線を向ける。

 

「あ、ああ……よろしくお願いします」

 

「それで……もう一人の方は?」

 

「ん?ああ、あいつはちょっと気難しい奴でな。恥ずかしがり屋さんなんだよ」

 

「………」

 

未だ奥の壁に背中を預けている男……いや、男の子かな?上下共に黒の服を着ており、パーカーのフードを頭から被っているため正確には分からないけど……多分私と同じか下くらいの歳だと思う。

 

「よろしくお願いしますね」

 

取り敢えず挨拶をする。

 

「……ふん」

 

が、そっぽを向かれた。

 

蒼い目で……髪色は……あれはシルバー?いや白色かな?となると……黒が抜けたのかな?

 

「……ま、あんな感じだ。取っつきにくいとは思うがよろしくな」

 

「特に気にしてないので平気ですよ」

 

興味無さそうに目を閉じてじっとしている。なるほど、分かりやすいタイプだ。

 

「それで、私たちはこれからどうすれば?」

 

「まずはお前さんらの部屋へ案内しておく。二人同じで良いだろ?」

 

「はい、そっちの方がありがたいですね」

 

「こっちだ」

 

顎で奥の扉を指す。この侍……そえば名前聞いて無かった。ここは流浪人と呼んでおこう。

 

流浪人の後に続き、扉へ向かう。

 

扉を開け、倉庫内から出る時にパーカーの子へ視線を向けたが、こちらを怪しむ様な不審な目を向けていた。

 

「そういや、お前さんらはなんでこの街に来たんだ?」

 

「面白い事が起きるって噂を聞きまして。そちらは?」

 

「俺か?俺は稼ぐ為にだな。力を買ってくれるって聞いたから入っただけだ」

 

なるほどね、よくあるパターンと……。

 

「生きる為には何かとお金が必要ですからねぇ……」

 

「食い扶持の為に働かないといけないのが辛いとこだよなぁ……」

 

「先ほどのあの子は?」

 

「さぁな。俺はあいつより後にここに来ているからよくわからねぇよ」

 

「話すタイプには見えませんもんね」

 

「いちいち聞く気もねぇけどな」

 

……ふむ、多分目の前に居るこの人は外から来た人だね。そしてさっきの男の子はこの街で生まれ育った感じだと思う。

 

あの年の子が……となると、内側で生まれている事になるけど……まぁ今はどうでも良いか。

 

「着いたぞ。ここが割り当てられてる場所だ」

 

入口の錆びついたドアよりは幾分かマシなドアを開けて中へ入る。

 

「……これはまた中々の」

 

ベッドが二つ、軍用ロッカーが一つ。それだけの部屋だった。……刑務所かな?

 

「可愛い子ちゃんをこんな部屋で寝泊まりさせるのは、紳士の俺からすると心苦しいが……ま、我慢してくれ」

 

「いえいえ、ベッドがあるだけ良心的ですよ」

 

「はっ、気まで遣わせちまったな!と、面倒だしそのまま次の話をするぞ?」

 

「どうぞ」

 

「知ってるとは思うが、ここのデケェ組織の一つが何やら面白い事を仕出かそうとしているらしい。ご丁寧に人や物まで集めているとの事だ」

 

「みたいですね」

 

「俺達の役目は……と、その前に嬢ちゃん、腕に自信はあるか?」

 

「私ですか?んー……そこそこでしょうか?」

 

「そこのあんちゃんは?」

 

「彼は私の付き人なので……強くは無いですね」

 

「ほぉー……ま、試した方が早いか」

 

ニヤリと笑って、自分の刀に腕を乗せる。

 

「どうだ?手合わせをしないか?」

 

「……私は良いですがー……」

 

確認する様に後ろの新海先輩を見る。

 

「……!っ……!」

 

うん、全力で首を横に振ってるね。

 

「……とのことなので、私がお相手しますよ」

 

「んまぁ……そっちだけでも良いか。んじゃ、さっきの倉庫に行こうか」

 

来た道を戻って倉庫に入ると、先ほどの少年が全く同じ姿勢で目を瞑って立っていた。

 

「おーう、坊主、今からこの嬢ちゃんと手合わせするが、お前もどうだ?」

 

手を上げながら気さくな感じの雰囲気を出して声を掛ける。

 

「やんねぇよ……勝手にしてろ」

 

「なら観客だな。審判してくれよなー?」

 

案の定、参加はしないと……。

 

倉庫の中でも広い場所へ向かう。

 

「あー……言っといてなんだが、俺は()()()使うが平気か?」

 

「良いですよ。武器を使うという条件で私も使いますから」

 

外套の内側からナイフを抜き取る。

 

「ま、前情報通りなら死なねぇだろうし……もし死んだら運が無かったと思ってくれ」

 

「ええ、なんなら誓約書でも書きましょうか?」

 

「ははっ、大した自信だな。……んじゃ、行くぜ?」

 

「了解です」

 

左足を後ろに下げ、刀の柄を右手で握って姿勢を落とす。……うん、居合かな?

 

多分一撃で判断するかどうか……そんな感じだろうね。

 

「では、行きますね?」

 

ナイフを持ったまま前へ進む。

 

「……ここかな」

 

刀を抜き去った時の間合いを測って直前で立ち止まる。

 

「……ふはっ、ククッ……なるほどな。読み切られてるってことか。これは一本取られたなっ!」

 

これで少なくとも私の力量が分かったと思うけど……。

 

「やっぱり見た目の割には強者だなっ!」

 

構えを解き、嬉しそうに笑う。

 

「それで、まだやります?」

 

「折角だ。一太刀くらいは交えようぜ?」

 

あー……だよねぇ。こういう求道者タイプには逆効果だよねー……。

 

「しょうがないですね。一回だけですよ?早く構えて下さい」

 

「ああ、やらせてもらおう」

 

一度深呼吸をして再び居合の構えに入る。

 

「では行きますねー」

 

今度は立ち止まらずそのまま領域内へ足を一歩踏む込む。

 

「―――ハァッ!!」

 

私が踏み入れたのを見て鞘から刀を引き抜く。無駄の無い洗礼された一連の動作。その全てが神速の刃となってこちらへ向かって来る。

 

―――その刃が届かないギリギリまで体を傾け、過ぎ去った瞬間に合わせて元の位置に体を戻す。

 

「―――ッ!?」

 

自分の攻撃が最小の動きで避けられた事に目を見開く。多分、端から見たら刀がすり抜けた様に見えると思う。

 

これで、一撃は避けたから後は適当に寸止めすれば大丈夫かな?

 

そう思って更に一歩踏み出した。

 

その瞬間、相手は振り抜いた勢いをそのまま体に乗せた状態で左足を軸に体を回転させる。

 

「うぇっ!?」

 

想定外の動きに驚いていると、体より先に首を回して私の位置を捉える。更に回転力を増したまま一回転して二度目の攻撃を仕掛けて来た。

 

「―――うぉらぁ!!」

 

どういう攻撃だよーーっ!!

 

心の中でツッコミを入れつつも手に持っているナイフでそれを弾いて逸らす。

 

甲高い金属同士の音と火花が飛び散る。

 

「………」

 

「………」

 

お互いに残心の構えで動きを止める。

 

「……まさか、これを避けられるとはなぁ」

 

刀を下ろし、姿勢を戻して呆れるように溢す。

 

「いやぁー、中々トリッキーな攻撃でビックリしましたよ……」

 

いやほんと……。しかも付け焼き刃じゃないのがまた驚き。結構強いだろうとは思ってたけど。

 

ナイフをホルダーに戻して周囲を見ると、新海先輩が驚いてたのは勿論、壁に居た少年も目を見開いて食い入るようにこちらを見ていた。

 

「嬢ちゃんほどの強さなら俺も楽が出来そうだな!」

 

嬉しそうに笑って刀を鞘に戻す。

 

「まさかだと思うが……そこの兄ちゃんもこれくらい出来るのか?」

 

「いやいや……」

 

流浪人さんの言葉に困った様に首を振る。

 

「彼は私とはまた違った強さを持っているので」

 

「……お前、強いのか……!?」

 

三人で会話していると、少年が驚くように私に声を掛けてきた。

 

「ん?私?さぁ……?どうだろ?」

 

どういう意図なのか分からず流浪人を見上げる。

 

「さぁな?お互い本気では無いってことぐらいだな。な?」

 

「まぁ……そうですね。あくまで手合わせだったので」

 

少年がどの程度強いのか分からないが、多分剣筋も見えてなかったんだろうね。

 

「疑問に思うなら、試してみる?」

 

こちらを驚愕と疑心の眼差しで睨みつけている少年へ挑発するように笑う。

 

「……っ!この……!」

 

予想通り怒りを表に出して来た。

 

「おいおい、可愛い子からのダンスのお誘いを断る気かぁ?坊主も嬢ちゃんと一回やれば分かるさ」

 

感情を露わにしたのを見て面白そうに援護射撃をする。

 

「まぁ……ダンスを踊れる程の実力があるか分かりませんが」

 

「っ!!……誰がっ!」

 

私の言葉を決め手にこちらへ向かって来る。うーん、やり易くて助かります。

 

こういう少年には肉体言語が一番手っ取り早いって、澪姉も言ってたからねっ。

 

「……良いのか?」

 

私のやり方を見て後ろの新海先輩が心配する。

 

「大丈夫ですよ」

 

一応同じ班になるのだ。実力を知ってもらっていた方がある程度舐められないはず……だ。

 

「両者、位置に着いたなー?」

 

数メートルほど距離を置いて向き合う。

 

「んじゃあ、はじめ」

 

「………」

 

開始と同時に攻めずに、私との距離と動きを窺っている。……この子、正面からやり合うタイプじゃないな。

 

多分不意打ちとか背後から奇襲して殺すやり方だね。自分がそうだったからよく分かるよ。

 

そりゃ子供が自分より体も実力も上の相手をどう殺すかと言えば、正面から相手をしないのが一番だ。

 

今は素手ってことは、一応私に合わせてくれているのかな?

 

少年の動きを目で追いながらも、少しだけ距離を詰め始める……が、同じ分だけ下がる。

 

「来ないならこっちから行くよ?」

 

声を掛けるが、返事をせず警戒をし続けている。

 

予備動作無しで走り出し、目の前で立ち止まる。少年がどう動くのかも見ておきたいので一先ずは攻撃はしない。

 

「―――っ!!?」

 

一瞬で目の前に来た事に驚きながらも咄嗟に後ろに下がる。

 

「ほいっ」

 

下がり切った地点まで距離を詰める。

 

「っ!?」

 

またもや目の前に現れたのを見て横へ転がるように回避する。

 

「……っ!?」

 

体勢を立て直し顔を上げたが、既に私が先回りで正面に立っていた。

 

「このっ……!」

 

逃げられないと判断して張り手をする様に顔面に腕を伸ばして来る。それをひょいと避けて伸ばし切った腕を掴む。

 

「くっ!」

 

腕を掴まれたまま今度は前蹴りを繰り出す。……靴底が結構厚いブーツで前蹴りとか、殺意アリアリですなぁ……。

 

腕を離して一歩下がる。私が下がったのを見て、今度は向こうから距離を詰め始める。

 

「―――死ねっ!」

 

死ねって……ド直球な……。

 

殴りかかって来た腕をするりと避けて相手の背後に回る。

 

「なッ!?っ!……くそっ!」

 

少年の身体を掴み、身動きが取れない様に固定する。

 

「投げ飛ばすから、ちゃんと受け身取ってね?」

 

「……はっ!?」

 

「真神流―――裏流転ッ!」

 

いつかの高峰先輩にした技と同じ様に少年を宙へ投げ飛ばす。

 

「―――ッ!?」

 

ぐるりと体が舞いながら地面へ落ちていく。

 

「……ほっ、と」

 

投げられた勢いを殺せないまま地面へ落ちそうだったので、ぶつかりそうな頭部と地面の間に足を差し込んで衝撃を緩和する。

 

「ぐッ……!」

 

背中からお尻はそのまま強打したけど……まぁ、そんなに衝撃強く無いし大丈夫でしょう。

 

少し苦しむように震えたが、何とか体を起こす。

 

「大丈夫です?」

 

思ったより辛そうだったので、手を差し出す。

 

「……っ!」

 

だが、ぺしっと払って立ち上がる。

 

「……っ、くそ……」

 

痛そうに背中を抑えたまま、壁まで移動して座り込む。

 

……ちょっと悪い事したかも。

 

もう少し別の技の方が良かったかと考えていると、審判をしていた流浪人が興味深そうにこちらを見ていた。

 

「まじん流……聞いた事も無い流派だな」

 

「ぶッ……!」

 

至極真面目に呟いたその声に新海先輩が吹きだす。

 

「真神流古武術って言うのですが……聞いた事無いですか?」

 

「いや、初耳だな。どういった流派なんだ?」

 

「あ、あー……えっと、よくある武術……いえ、暗殺術ですね……はい」

 

「……ッ、……っ!」

 

「暗殺術か……道理でナイフ捌きが上手かったわけだ。本職は殺し屋とかか?」

 

「んまぁ……似たような者です」

 

何とも言えない間抜けなやり取りに後ろの新海先輩が震えているし、堪えきれずに顔を逸らした。

 

「そちらの剣術はどういった物なのですか?さっきの技も見たこと無かったのですが……」

 

「ん?さっきのか?あれは前に読んだ漫画の剣術を真似てみたんだよ」

 

「漫画の……剣術を?」

 

「ああ。抜刀って一度抜いたらそれで終わりだろ?さっきみたいに避けられたら隙だらけだ。だがさっきみたいに抜き身の速度を殺さないまま次の二撃目に繋げるってのを見てな……これだっ!って感じよ」

 

「は、はぁ……」

 

それって……。

 

「流石に漫画みてぇに左足で始めたり真空の空間を作り出すのは無理だったがな……ま、色々と参考になった剣術があったってわけだ」

 

「………」

 

「………」

 

その流派に心当たりしかない。後ろの新海先輩なんか特にだろう。自分と天ちゃんの命名に深く関わっているんだから……。

 

なんか……どちらもフィクションの流派を真似ているって……なんか……うん。

 

「なんて名前だったか……確か、飛天m―――」

 

「あーーっ、了解ですっ!もう大丈夫ですからっ!」

 

「お、おう?そうか……?」

 

「はい。お強いってのは充分に理解出来ましたから……!」

 

これ以上は色んな事柄に抵触してしまいそうだ。

 

……技名とか叫ばないよね?この人と戦うのは控えた方が良いのかもしれない……うん。

 

「あーそれで、腕試しが終わったら仕事の内容を教えるとか……?」

 

「おっと、そうだった。楽しくてすっかり忘れていた」

 

よし、これで本来の流れに戻れるはずだ。

 

意外な所から意外な危機を感じたせいか、いつも以上に精神が消費された気がした……。

 

 





と、一旦区切って次に回します。


―――『隙の生じぬ二段構え!!!』

とまぁ、これがやりたかっただけの回でした……はい。

『二重の極み』の方も考えていたんですが、日本人しか用意出来なかったので……w

「フタエノキワミ、アッー!」が再現不可という事で今回は見送りに……。

いや……新選組のあのお方の技もまだあったな……?

あっ、そえば敵組織の下っ端二人、流浪人さんと少年のイメージ画像を貼っておきます。あまり出来は良くないですが……お許しを。
前回と同じくAIに作って貰いました。

流浪人

【挿絵表示】

少年

【挿絵表示】


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