主人公の姿をAIのイラストで作りたいこの頃……、理想を作るのは難しい……。
「そんじゃあ、説明するからよく聞けよ?」
私の実力を確かめる為の手合わせが終わり、さっき言いかけていた続きへと移った。
「お前たち二人含めて俺らの班に来る仕事は、簡単に言えば破壊工作だな」
「はぁ……破壊工作」
「大抵は上からの指示でもう一つの組織の内部に入って武器や食料を盗む、または破壊だな」
「……敵対しているのですか?」
これは、あれかな?あっちが準備してるのを拝借してるパターンかな?
「知らん。けど、一番面倒で危険な役割が回って来ているのは間違いねぇな」
「まぁ……バレたら切り捨てられそうですもんね」
「間違いなくな。表立って争わず、あちらさんが戦争の準備をして意識を向けている間に美味しい思いをしたいだけかもな」
「んー……けど破壊もですか?」
「ああ、バレずに取れればよし。バレたら目撃者は可能な限り消す。その為に必要なら好きにしなって感じだ」
相手の力を減らしたいのかな?私としてはとても好都合だけど……。
「そうなると、時間は夜ですか?」
「だな。基本的に夜までは好きにしな。たまに昼に警備の見回りに回される時もあるが……ま、日が落ちた頃にまたここに来てくれ」
「了解です。では夜まで自由時間として好き勝手に動きます」
「一応言っておくが、ここの連中と揉めるなよ?特に内側の奴らと」
「忠告ありがとうございます。何かあったら部屋に置き手紙でもお願いします」
タイミング良ければ読めるでしょう……多分。
新海先輩に視線を向けて一緒に建物から出ていく。
「……この辺まで来れば大丈夫でしょう。どうでしたか?緊張しました?」
後ろを振り返って静かに付いて来てくれた先輩へ声を掛ける。
「……もう良いのか?」
「はい、長時間お疲れ様でした」
「……はぁぁー……」
溜めに溜めた疲れを丸ごと吐き出すかのようなため息が吐かれる。
「クソデカですねぇ……」
「めっちゃ緊張したわっ!いやなんだよあの侍は!?生きてる時代間違えてないかっ!」
「結構お強い人でしたねぇ……あの人がもう片方へ行って無くて少し安心していますよ」
「九重が言う位には強いってことなのか……勝てるのか?あっちは日本刀持ってるが……?」
「ん?ええまぁ……余裕かと思いますよ?近接武器持ってようが変わらないですし」
それに心配なのは私じゃなくて、あの人が白巳津川とかへ向かった時かなぁ……?おじいちゃんとか澪姉なら普通に勝てるけど、それ以外なら実力次第で普通に真っ二つにされそうだし。
……どうしようか、先に始末しといた方が得かな?でも私の記憶ではあの人見てないしなぁ……。
「九重?」
「ん?ああ、すみません。ちょっと考え事していました」
「何かあるのか?」
「んー……っと、それは一旦置いておきましょう。ここだと誰かに聞かれるかもしれませんしね」
「そうだったな。また後で聞かせてくれ」
「はいはーい」
建物から離れ、内側から中層へ向かう。
「それにしても、さっきの手合わせ後の会話傑作でしたねっ」
「ほんとな……なんだよ真神流って……高峰かよ」
「誤魔化すのにちょうど良いかと閃きまして……それをあんな真面目な顔で聞かれて我慢するの大変でしたよ」
「俺なんて笑っちまったしな。無理だろ、あんなの」
「そしたらまさかの向こうも同じ様に真似た技だとは流石に予想できませんでしたよ……」
「ああ……あれかぁ……。おとんとおかんに文句言いたくなってきたわ。無性に」
「兄妹で、ですもんねぇ……。そうなると、先輩と天ちゃんに子供が出来たら、名前は龍ですか?それとも閃ですか?」
「やめろやめろ。自分の子供にそんなキラキラネームを名付けたくないっ」
「龍はまだ普通ですが……閃は……ちょっとあれですもんねぇ」
まんまキラキラしてそうだもん。
「それよりも、夜まで暇って言ってたが……何か予定はあるのか?」
「んー……そうですね、取り敢えずは一旦帰りましょうか。良い感じに休めたら夜までに一度前日行った情報屋さんを訪ねようかと思います」
「……了解。じゃあ、帰るか」
「はいっ!……と言ってもちょっと距離ありますもんね」
「あー……まぁ確かにそうだよなぁ」
中層に来るまですらなんやかんやで30分以上はかかっている。しかもそれなりに速足でだ。
「……面倒ですし、私が運びましょうか?」
「……はい?」
「いやー、サクッと着けましたねっ!お疲れ様です!」
何事もなく拠点へと戻り、少しグッタリしている先輩を労う。
「死ぬかと思った……」
「アトラクションとして楽しんでいただけましたか?」
「あんなの即閉園物だわっ!訴訟するぞ!」
「おぉ……元気なツッコミ」
先輩が何故こうも声を荒げているかと言うと……、まぁ、私が先輩を担いで拠点までの最短距離を一気に駆け抜けたのが原因でしょう。間違いなく。
人に見つからない様に先輩にアーティファクトを掛けてもらい、折角なので私もアーティファクトの能力と九重の力をフル活用して全力移動をしてみた。
ちゃんと先輩へ被害が出ない様に能力で保護していましたし、危険なルートは避けました。ええ当然ですとも。
ただ、走り出した先輩の驚く悲鳴にちょっと……加虐心と言いますか、イタズラ心と言いますか……こう、悪魔が私に囁きましてね?……つい。
高速で崩れた建物を縦横無尽に駆け抜けてギリギリを攻めたり、ジェットコースターみたいに上から下へ、下から上へと緩急を付けて急上昇したりと……乗った事ありませんが。
そんな感じで阿鼻叫喚の先輩を楽しませてもらった事が……原因ですね。
「個人的には錐揉み状にグルグルと回りながら進んだのが、結構高得点だったのですが……」
「得点もくそもあるか……ゼロ点だちくしょう……」
「そんなー」
「……うえ、思い出したら気分悪くなりそうだ」
「飲み物用意しますのでベッドで……いえ、まずは上の服全部交換しておきましょう。衛生面的に」
「あ、ああ……」
力なく、ぐだぁ……っと服を脱ぎ捨てて行く。それらを拾ってカゴへシュートしておく。
「すまん、ありがと」
「いえいえ、原因は私ですしおすし……」
「それはほんとにな……っ」
私も上から着ている物を交換する。
「はーい、おじいちゃん。ベッドはこちらですよー?」
「誰が年寄りだ……」
ベッドへ向かって行く先輩を見ながら水を淹れて渡す。
「はい、こちら北アルプスの地下数百メートルより汲みあげた厳選に厳選を重ねた至高の一品でございます。源泉だけに」
「……サンキュ」
「………」
「………」
私のボケに特にツッコまずにゴクゴクと水を飲んでおられますね。
「……あ、あの?スルーは流石に……心が、痛むと言いますか、お礼は嬉しいのですが……どちらかと言えばリアクションが……」
「ああすまん。あまりにもくだらなさ過ぎて脳がスルーしてたわ」
「辛辣ぅ……!」
でもなんやかんやで反応をしてくれるので助かります!
「北アルプスのお水はお気に召しましたか?」
「いやー疲れたわー、今の俺には滅茶苦茶美味しく感じたわー。これが厳選された水の力ってやつかー」
わざとらしくリアクションしてますが……私にチクチクと攻撃してるのがまるわかりですよ?
「それは良かったです。次は……そうですねぇ、水素水とか飲みますか?」
「水素水……?なんだそれ」
「私も詳しく無いのでよく分かりませんが……健康に良いとかなんとか……」
「へぇー……そんなのあるのか」
「らしいです」
あれは……なんだったっけ?なんか水のペットボトルに白い棒か何かを入れてたような……違った様な……。
「ま、機会があればですねっ!あるか分かりませんが……あと一時間もしたらお昼ですが、何か食べます?」
「もうちょっと落ち着いたら食べたいかなぁ」
「では、それまでは適当にくつろいでいて下さい。あ、チョコレートとか甘い物でも食べますか?」
「んー……じゃあ、もらおうかな」
「お任せをっ。新しい飲み物もついでに持って来ますねー」
寝室から出て、チョコなどの間食を幾つかと飲み物を取って部屋へ戻る。
「はい、どぞどぞ」
「さんきゅ」
お互いにお菓子の封を開けてちまちまと食べる。
「そういやさっき後で話すって言ってたの何だったんだ?」
「あれですか?少し作戦と言いますか、予定の変更を入れる価値があるのかもしれないなー、と思いまして」
「変更?」
「今入っている組織を利用するのも悪く無いかなっと」
「元々はどんな予定だったんだ?」
「んー……どちらもぶっ潰そうかと」
「物騒だなぁ……」
「ですが、もし使えそうなら利用するのもありかと今考えています。ま、これは今日辺りから調べてみますがー……」
「そうなのか……。調べるってのは具体的に何をするんだ?」
「今の組織の物や人の出入りを調べて……何をしているかとかですね。可能ならトップにも会ってみたいですが……これは今後次第ですね」
「何をしているかを調べるのか……?」
「はい、こんな街ですよ?非合法なんてしたい放題です。昨日は人攫いに遭いましたしー?」
「調べて……もし何かしらしていたら?」
「その流通のルートを特定出来れば良いんですけどね。街の中で完結しているならまぁ……100歩譲って良しとしても、外へ流すとかあれば即潰します」
と言うか、武器とかその他一部は既に流れてるしね……。
「よくいるんですよ?ちょっとだけ試しにして見て大丈夫だったら、次はもうちょっと別のを増やして……ってどんどん規模も物も大きくなっていって、気が付くと人も経路も出来上がっているってのが」
「まぁ確かに……ここの外でそんな事があったら危険だな」
「ですよ。今回は大体予想が出来ているんでそこまで大変ではないと思いますが……一応先輩も付いてくる……で良いんですよね?」
「そう言いたいが……俺が一緒に行っても良いのか?」
「問題などはありませんよ。ただ……先輩自身の覚悟の問題だけですね」
「俺の覚悟……?」
「きっと……いえ、確実に胸糞悪い物がそこにはあるはずです。先輩からすれば断じて許せない悪とも呼べる存在があちらこちらに。私はそこに行くつもりです。その場面を見た時の先輩が大丈夫か……って一点が心配かなぁっと」
「……ち、因みにだが……どんなのがあるんだ?」
「……人攫いとか、人身売買……いえ、もはや奴隷……もっと言うなら家畜に近いかと」
「家畜……?人をってことか……?」
「包み隠さず言うならばそうですね。多分食肉加工所の現場へ見学に行くみたいな物です」
「ひ、人を……か?」
目を見開き、怯える様な表情で私を見る。
「はい。人だって食べれますし。立派なお肉ですよ?」
「ま、まて九重……。いつもの冗談って訳じゃないんだろ?」
「流石にこんなことを冗談で言う程、性格は捻くれてはいませんが……?」
「つまり……その、なんだ……?この街では人を食べるのが……罷り通ってるのか?」
「そうですね、街の循環の一部ですよ?ああ、内側の人らは流石に食べてないと思いますが、私達が今いる外側は勿論の事、真ん中の人らも食べてると思いますよ?」
「ま……まじか」
「ですので、もし中層で食べ物が売ってたりしても絶対に食べないで下さいね?十中八九……いえ、100%の確率で動物の肉じゃありませんから……うん?一応人も動物でしたね」
「そういう話じゃ……いや、でも分かった」
「と、先輩を脅しましたが……実際にそういった場所には行かない様にしますのでご安心を。今回は人身売買の方面で考えていますので」
「お、脅しだったのか……?」
「さぁ?どうでしょう?」
意味深な笑みを先輩へ向けて、次の話へ移す。
「昨日実際に人攫いに遭いましたしね。あれが売り飛ばす気だったのは確定なのでどこかに取引する場所があると思われます。しかも女性を狙ったパターンのですね」
「どうして確定って分かるんだ?」
「大人数で捕獲しようとしていたじゃないですか。生きてないと意味が無いって事はそういう事ですよ」
殺して肉に変えるならその場で殺して運べば良いだけですし……まぁ?鮮度が命とか言うグルメが居るなら話は別ですが。
「な、なるほど……?」
「今は街の中だけかもしれませんが、どうせ調子に乗ってどんどん規模を増やしていくと思います。そして街の中だけでは飽き足らず外へ求めて……ってなるのは目に見えているので、先立ってそれを片付けておこうかと」
一ノ瀬家との騒動に乗じて雲隠れされたらいやだしねー……はぁ。
「なんとなくだが、することは分かった。その……人身売買?の奴らを止める為に今日から動くって感じだな?」
「大体そんな感じで大丈夫です」
「俺がすることは何かあるか……?」
「ふふ、先輩は私に付いて来て見ているだけで大丈夫ですよ。それだけで充分なので」
「……そうか?」
「はい、元々私のことを知ってもらう為に来てもらったのですから……どうです?九重舞夜と言う人間が少しでも理解出来ましたか?」
揶揄う様な表情を作って先輩を見る。
「いや……まだ全然って感じだな……。ぶっちゃけ、壮絶な人生を送ってきている……って位しか分かってない」
「そうですかそうですか。まぁ、まだそこら辺をぶらぶらしてただけですもんね。本番は今日の夜からなので、楽しみにしててください」
「楽しめれば良いんだけどなぁ……」
一旦区切って次へ回します。