9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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主人公の潜入からどうぞ。




第25話:悪い予感に限って良く当たるのはどうしてでしょうね……

 

「到着っと……」

 

夜も深まり、人の通行が減り始めた時間帯に目的の建物から少し離れた場所に着く。

 

「信号はまだ動いていないね、よし」

 

確認の為に取り出した発信機を懐へ戻す。

 

さーてと、どう動こうかなぁ?入口には当然見張りが居るし、中にもそれなりの人の気配が感じる……見た感じ警戒態勢って空気だね。

 

変な予感の信憑性が増して来たことに苦笑をしつつも観察を続ける。

 

「どこか入れる場所は……」

 

周囲を跳び回りながらぐるりと構造を見ていく。

 

二階建てで特におかしな部分は見当たらない。昨日の建物の半分程度の規模だけど、内部のあちこちで灯りが点いているのは確認出来るのでそこには人が居るのだろう。

 

「ここにも地下があったら嫌だなぁ……」

 

一階の一カ所に荷物置き場と思われる場所と、それから少し離れた位置に小屋らしき建物も確認出来た。

 

「荷台はあそこかな」

 

気づかれないように忍び寄り、小屋の中へ割れた窓から侵入する。

 

「んー……あ、これだね」

 

見覚えのある荷台を見つけたので無事発信機を回収する。

 

「ここは……物置小屋かな?」

 

適当な物や、荷物、道具などが散乱している。中には壊れた武器や、服なども捨てられるように置いてある。

 

「しかも血とか付いたままじゃん……事件現場かな?」

 

そういった目線で見ると、服にも破れた物や引き裂かれた様な痕の服もある。道具にも縄や布など用途が簡単に想像出来る物が多くあるし、埃が被っておらず比較的新しい物が多い。

 

「ふむふむ、ここは実行部隊的な場所なのかな?」

 

まぁ、ここから人が送られているのは確実だし何かしらあるだろうとは思っていたけどね。

 

入って来た窓から出て、再び建物近くへ移動する。

 

「多分、どこかの部屋にやり取りの紙があると思うのだけど……」

 

昨日の建物に中身の数量が書かれたのがあったのだから、取引しているこちらにもあるはず。

 

「……とりあえず、探ってみますか」

 

なんとかなるだろうと思い、明かりの無い二階建物の側面に張り付く。

 

「んー……」

 

中を覗くように内部を見るが、人気は無く完全に無人エリアだった。

 

「おじゃましまーす」

 

鍵の掛かった窓を外して中へ入る。

 

「……うん、クリア」

 

取り外した窓を元の位置に戻して部屋の中を見回すが、ほんとにただの部屋だった。錆びた金属や何かの破片が散らばっている程度で、特にこれと言って目に付くものは無い。

 

「空き部屋かな?」

 

入口のドアすら設置されていないので、完全に放置されている部屋なのだろう。

 

足音と気配を消しつつ、慎重に部屋の入口から外の様子を確認する。

 

「……居るねぇ」

 

廊下を歩く足音と、近くの部屋だろうか?人の話し声が聞こえる。他にも廊下方面からも男の喋る声が僅かに聞こえている。

 

「……8人、かな」

 

サッと探った感じ、そのくらいは少なくとも起きて二階にいるだろう。

 

ゆっくりと進みつつ、ドアの付いた部屋を目指す。

 

中から人の気配が無い事を確認してドアを開けるが、普通に鍵が掛かっておらずすんなりと入る事が出来た。

 

「不用心だなぁ……」

 

中を見ると、ベッドがあるので寝室だと思う。ちょっとボロいけど、シーツなどは比較的マシな程度で寝るには困らないだろう。

 

ベッドの周囲を軽く漁るがこれと言った物は出てこない。

 

「………、お?」

 

枕元に硬い感触があったので捲ってみると、そこには黒い金属の武器……所謂、銃が入っていた。

 

「襲撃用かな?」

 

見なかったことにして続けるが、目ぼしい物は無かったので諦める。

 

「やっぱり専用の場所か、一番偉いさんの場所かなぁ」

 

昨日よりも部屋の数が少ないのでちゃんとした部屋が用意されている可能性が低そうだけどねー。

 

引き続きバレないように次の部屋を目指す。

 

「……あちゃ、こっちに来てるね」

 

こちらへ近づいてくる足音がするので、音を立てずに跳び上がり天井に張り付く。

 

微かな薄暗さの中なので、大丈夫だろうと考えそのまま待機しておく。問題の足音が近づき、男が姿を現す。

 

作業着の様な青い服を身に付け、自動小銃を肩からぶら下げていた。

 

私に気づくことなく、そのまま私が来た道を歩いて行き一階へ下りて行った。

 

「ふぅ」

 

床へ降り立ち、再度進んで行く。

 

「ここは……人が居るね」

 

人の気配がする部屋を避けつつ最後の部屋を調べたが、やっぱりこれと言ったものは無かったので一階へ下りる。

 

一階の方は二階より警備の数が多く、大抵は一定の位置で立っているだけに見えるが、その分灯りの数も多いので隠れる場所が少なかった。

 

中から難しそうな時は外の方から侵入したりして調べていくと、お目当ての部屋を見つけた。

 

「まさか、物資を置いてある部屋にそのまま放置されてるなんてね……」

 

運ばれた食料や武器などを一時的に保管していると思われる部屋に、そのまま乱雑に放置されていた。いや、好都合なんだけどさぁ……。

 

肩透かしの様な気分を切り替えて内容を確認していく。

 

「……想像通りだねぇ」

 

紙に書かれた内容は、案の定物資の数や手に入れた人の数の名簿みたいな物だった。

 

「……ん?」

 

読み進めながら他のも見ていくと、他とは違って文章として書かれている紙が数枚あった。

 

「これは……手紙?」

 

誰かに宛てての文章に見える。

 

「……へぇ、ほうほう」

 

中身をザックリ説明すると、昨日殺した男は以前からあんな感じで横暴をしていたんだけど、流石に目が余ると一族の方から注意を受けて目を付けられていたみたい。そこでひっそりと続けるためにここを経由して運ばせていたらしい。

 

見返してとして武器や食料を……ね。

 

ここの人間は自分が渡している事がバレないように可能な限りひっそりと裏で繋がっているみたい。私に露見しているけど……。

 

んで、直近のやり取りでは、あちらさんが一ノ瀬家の人間と繋がっているって情報を得たので、そちらの人材を可能なら自分の方へ回してほしい……みたいなやり取りが書かれている。

 

んで、最後の紙には『あれはお前に扱える商品じゃない。ま、一応話は通してやるよ』的な内容が書かれており、多分これが一番最新のやり取りなんだろう。

 

「……これがいつ来たのかわからないけど、一ノ瀬家の人間をここに派遣しようとしていたのかなぁ?」

 

けど、私が燃やした事でそれ自体は全部白紙に戻っている。

 

「んー……ま、なんとなーく知りたい事は知れたから帰ろっかな」

 

繋がりが分かったので、目的は一応達成済みと思い手紙を元に戻す。

 

「っ、おっと」

 

少し離れた位置から私の場所へ向かって来る足音と話し声が聞こえて来たので、バレないように隠れる。

 

「………」

 

話し声と足音が次第に大きくなり、この部屋のドアを開ける。

 

「今日の報酬を前払いで貰って良いんだよな?」

 

「好きに貰ってけ。どうせ誰も来ねえよ……全く」

 

聞こえて来たのは、男2人の声。

 

「ほぉー……結構蓄えてんなぁ」

 

「一つや二つ取ったってバレないから安心しな。正当な報酬ってやつだ」

 

「俺としては楽で助かるけどな。ま、来るならそれはそれで楽しみだけどよ」

 

「ビビッて人を集めるだけ集めて……。もし本当にあの一族の人間がこっちにまで報復に来たら無駄な足搔きだろうが……はぁ」

 

「もし来たら俺を呼びな。そのお相手くらいは努めてやるよ」

 

「期待しておくよ。あんたの実力だけは認めてるからな」

 

「ははっ、文句言って来た連中を切っただけの甲斐はあったってもんだなっ」

 

楽し気に笑いながら幾つか漁り、そのまま部屋を去って行く。

 

「……はぁ、予想的中ってやつだねー」

 

来る前に想像した通り、この建物の護衛をしていたらしい。声が倉庫で話した時と一緒なので間違いない。

 

「長居は不要だし、帰ろっと」

 

建物から出て、そのままそそくさと離れて去る。

 

「先輩一人で何してるのかなー?」

 

流石に今日一日休めば大丈夫だろうし、明日からまた連れ回させてもらわないとね。それから明日に一度情報屋の方に顔出しして……後は少年の妹へ渡すお菓子の用意もかな?

 

帰路に就きながら、明日の予定を組み立てて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りましたっ!」

 

何事もなく拠点へ帰り、中へ入る。

 

「おかえり、無事だったか?」

 

寝室から先輩が出迎えてくれる。

 

「はい、何事も起きずに恙なく終わりましたよー」

 

「そっか、なら良かった」

 

「では、私はサクッとお風呂に入って来ますね?」

 

「おっけ、ならその間に俺の方で飯の準備しておくよ」

 

「おおっ、ありがとうございます!あ、体調の方はもう大丈夫ですか?」

 

「おかげさまでな。既に元通りだ」

 

「それは良かったですっ」

 

上から着ている外套やマスクを外しながら会話を続ける。

 

「何か食べたいのとかこれが良いとかあるか?」

 

段ボールの中身を漁りながら尋ねてくる。

 

「先輩のセンスにお任せします!食べたいのがあればそれで!」

 

「丸投げだなおい……出て来るまで考えておくよ」

 

「ふふ、楽しみにしておきますねー」

 

着替えを用意して風呂場へ向かう。

 

「今日で四日目だから……明日辺りに一度外部と連絡を取っても良いかもしれないね」

 

シャワーを浴びながら現時点での予定を組み立ててみる。

 

白巳津川の方は私からの連絡待ちだろうし、この街の方も今の所動こうとはしてない。予定が八月終わり、どんなに早くても八月の中頃のはずだからまだまだ余裕はある。

 

「それまでに街の組織を潰して……後は浮島家の人間も呼び込んでおかないとね」

 

七瀬さんからもある程度連れてくる人数は聞いてるけど、詳細は実際に見てからで大丈夫だろうし、先の問題は―――。

 

「うぉおおっあ!!!??」

 

「―――っ!?」

 

考えていると、室内に居る先輩から叫び声に近い驚愕の声が上がる。

 

「先輩っ!??」

 

何事かと思い入っていた浴場から出る。

 

侵入者!?いや、でも気配は感じなかった!けど私の警戒を突破可能な人間がもしかしたらここまでっ!?くっ、それなら気づかれずに侵入するのも容易いか!!もしかしたら一族の人間が……!?

 

アーティファクトの力で部屋全体に能力を掛けて、九重の力を解放しつつ洗面所を飛び出す。

 

「大丈夫ですかっ!!!」

 

目に飛び込んできたのは、驚くように棚から体を退かせた先輩と……ん?先輩だけですね。

 

「……あれ、侵入者は?」

 

部屋中を見渡すが、特にそれらしき人物は見当たらない。

 

「……何があったのですか?」

 

先輩へ掛けている能力を解いて尋ねる。

 

「い、いや……虫が―――って、お、おまっ!?お前っ!!!」

 

説明の為にこちらを向いた先輩が勢いよく背中を向ける。

 

「虫?……ああ、虫が出たんですね」

 

「んなことよりっ!もっ!服を着ろっ!つか濡れたままじゃねーかっ!」

 

「ああ、これは失礼しました。驚いた先輩の声がしたので何か緊急事態かと思いまして……」

 

無事だと分かったので、部屋に掛けている能力と、九重の力を解いて風呂場へ戻る。

 

「あ~……ビックリしたぁ……」

 

悲鳴を上げる位の緊急事態かと思ったら、虫だったとは……はぁ。今更虫の一匹や二匹出た程度であそこまでの声を……いや、不意打ち気味で出てきたら確かにそうなるけどね。てか、冷静によく考えたら、私の警戒を突破できるレベルの人間が居たら先輩が悲鳴を上げる前に終わってるしね……うん。

 

私も突然の事で咄嗟に出てしまった。

 

「しかも全裸だし……」

 

まぁ、そこは大して気にしてない。先輩なら女子の裸を見る経験なんて彼女さんらで済ませているし、私のとかでそこまで思わないだろう。

 

「となると、これを見られたかなぁ……?」

 

胸元の心臓部分に残っている縫い目の施術跡を触る。

 

「これに関しては私が消さないでってお願いしたから仕方ないね」

 

聞かれたら答えるのにちょっと面倒だけど、先輩だし大丈夫でしょ。

 

風呂を済まして洗面所から出る。

 

「お風呂あがりましたー」

 

小タオルで髪を触りながら部屋へ戻る。

 

「おーう……、おつかれー」

 

「あれ?もしかして床の水滴って拭いてくれたんですか?」

 

風呂を出てから片付けようと思っていたが、既に跡が無くなっていた。

 

「夕食を準備するまでの暇な時間にな」

 

「ありがとうございますっ!それと、先ほどはお騒がせしました」

 

「いや、俺も驚いて大声を出してしまったし、心配して急いで来たってのは理解してる。だからまぁ……お互いさまって事で」

 

「分かりました。ところで、今日のご飯は何でしょうか?」

 

「好きな物で良いって言ってたからな。気になったこれにした」

 

封が解かれた袋を見せてくる。

 

「ほー、おでん……ですか。これはまた渋めなチョイスをされましたね」

 

「普段滅多に食べないからな。あと保存食のがどんな味なのかも気になった」

 

「確かに季節的にも冬とかに出ますもんね。へぇー、パッケージ詐欺じゃないみたいですね」

 

皿に盛られたおでんを見るが、そこにはちゃんとおでんらしい具材が並んでいた。

 

「匂いもそこそこ美味しそうですし、良いセンスしてるかもしれませんよ?」

 

「後は米を準備するだけだし、座ってても良いぞ」

 

「では、飲み物とか用意しつつテーブルに運んでおきますね!」

 

「頼んだ」

 

夕食の準備を終え、席に座る。

 

「あ、先輩はおでんにからし使いますか?」

 

「あー……なんかあるらしいな。俺は別にいいや」

 

「了解です」

 

小袋のからしを一つ取り、容器の側面に付ける。

 

「付けると美味しいって聞くけど、そうなのか?」

 

「んー……美味しいと言えば美味しいですね。まぁ、無くても大して変わらないと思いますが……」

 

おでんの汁に染み込ませて味の変化を楽しむだけですし。

 

「個人的には、おでんよりもコンビニの肉まんとかにからしは合うと思いますよ?」

 

「まじか、今度試してみるわ」

 

「レジの人にからし下さいって言えば貰えると思いますよ」

 

以前、任務の帰りに澪姉と寄ったコンビニで食べたけど、結構美味しかった記憶がある。ただただ肉まんが美味しかっただけかもしれないけどね。

 

「んじゃ食うか」

 

「はい、いただきますっ」

 

「いただきます」

 

 

 

 

 

 

 

「さっきの話、ほんとに大丈夫なのか?」

 

次の日、昨日の件の続きを確認する為に情報屋へ向かっている途中に心配そうに新海先輩が私に向かって話しかける。

 

「さぁ?どうでしょう、あはは」

 

「どうでしょうって……んな適当な」

 

「多分乗ると思いますよ?問題はそれが本気か、罠かの違いがある程度ですが」

 

「罠だったらどうするんだ?」

 

「その時は……まぁ、予定が早まる、とかでしょうか?」

 

多分無いと思うけどね。

 

昨日、情報屋の人にトップに会わせて欲しいと試しに問いかけてみた。正直、トップじゃなくてもそれなりに上の人間との繋がりを持っているのは話していて何となく分かっていた。

 

予想通り最初は知らんぷりされたけど、一族の事を出すと表情が変わった。

 

そこから一族の遣いでここに来たことと、一ノ瀬家とは別の派閥だと軽く話してあげると、少し考えてから明日また来いと言われ話は終わった。

 

「それより……良かったのか?九重の事を話してさ」

 

「変に言いふらすことは無いでしょうし……こちらのトップも一ノ瀬家とは繋がっている可能性もありますが、私とバレて無ければ問題はありませんよ」

 

変装して顔隠してるし、それに私は今白巳津川に居る。バレる事は無いだろう。

 

「もし、仮にバレてしまったら先輩のオーバーロードでやり直しましょうっ、ふふ」

 

「それならそれで良いけど」

 

「まぁまぁ、行って見てから考えましょうか。それと例のやつ、お願いしますね?」

 

「りょーかい」

 

先輩と雑談を続けながら中層の情報屋の建物に辿り着く。

 

「では、入りますねー?」

 

「おう、頼んだ」

 

ギギギ……と、錆びたドアを開けて中へ入る。

 

「頼もー」

 

薄暗い籠った臭いの中、既に奥に男が待っていた。

 

「……来たか」

 

「やぁ、約束はどうなってるのかな?」

 

「……ついて来な、連れてってやるよ」

 

「おお、それは良かった」

 

「お前ら、少し出るから後は任せるぞ」

 

立ち上がった男が誰も居ない宙に向けて話しかける。隠れている護衛さんに向けてかな?

 

建物の裏手に歩いて行くのでそれに付いて行く。

 

「こっちだ」

 

床の一部を剥がしたと思うと、地下へ続く木製の階段が出て来た。

 

「ほぉー……これはこれは」

 

軋む音を上げながら階段を下って行く。大丈夫かな?折れないかな?

 

階段を降りると、かなり奥まで続いている一本道がそこにはあった。

 

先に降りた男は私達が下りて来たのを見て、ポケットから取り出した懐中電灯を点けて無言で歩き出す。

 

「……行きましょうか」

 

私の言葉に新海先輩が頷き、後ろを付いて行く。

 

ここは……坑道?いや、単純に地下通路かな?それなりに補強はされてるし……けど、灯りが全然無いね。

 

「この街にこんな場所があったなんてね。この道はどこへ向かってるんだい?」

 

「良いから黙って付いてこい」

 

「これは失敬」

 

お喋りする気はありませんと……。方角的には内側に向かってるのは確実だから、どこかの建物に繋がってるのかな?

 

沈黙が続く中、代わり映えの無い暗い通路をひたすらに歩く。道中に他に続きそうな通路や、階段があったが迷わずスタスタと歩いて行く。

 

そのまま30分以上は歩いたのだろうか、正面にさっきと似たような木製の階段が見えて来た。

 

「ここだ」

 

目的地に着いたのか、こちらを一瞥して階段を上がり天井を持ち上げる。

 

「さてと、何が出て来るか楽しみですね……ふふふ」

 

「余裕だなぁ……」

 

男に続き階段を上がると、無骨なコンクリートの建物の中に出る。地面に散らばっているゴミや物から見て使われていない場所なのだろう。

 

「こっちだ」

 

建物を見ながら歩いて行く。

 

んー……、よくあるコンクリの建物だけど、窓も何も無いね。ううん、既存の窓に上から被せているのか……外の情報を見せない為なんだろうね。

 

明らかに不自然な建物に見える。多分、こう言った時の為に場所の特定を防ぎたいのだろうね。

 

灰色の箱の中を歩いていると、両開きの扉の前が奥に見える。扉の両サイドには武器を持った二人の男が門番の様に立ってる。

 

「昨日の件のを連れて来た」

 

「来たか、入れ」

 

顎で部屋を指す。

 

「俺の案内はここまでだ。さっさと行け」

 

「それじゃあ、お邪魔するよ」

 

部屋の扉に手を当て、ゆっくりと押そうとする。

 

「………」

 

……うん、一応力は使っておこうかな。

 

中からこちらへ向けて僅かに漏れている気配を感じて保険を掛けておく。

 

そのまま扉を開ける。部屋の内部が視界に入ってきたと思った瞬間、私に目掛けて二本のナイフが飛んで来ていた。

 

挨拶代わりとでも言いたいのだろうか、飛んできたナイフを難なく掴み取る。

 

「随分なご挨拶だね。それで?私は合格かな?」

 

こういった組織によくあるやり方だ。

 

掴んだナイフにも特に毒などは付いておらず、ただのナイフだ。

 

目線を正面に立っている男へ向ける。

 

「よく来たな。鬼の一族さんよ」

 

オールバックの髪、目元にはグラサンをかけ、それなりに鍛えているであろう体つきの男が挑発的な笑みをしてこちらを見る。

 

その横には護衛と思われる人が二人おり、私達と同じぐらいであろうか?若い男の人が立っており、私を見るなり怯えるような視線を向けて来た。反対側にはもう一人執事風の中年の男が立っていた。

 

「そんじゃあ、話を始めようか」

 

これは……中々面倒そうだなぁ。

 

 





組織のトップと会合……ですね。

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