9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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せっせ、せっせと炎の中へ何かを放り込む影が映る。一体何を……?




第29話:偽装

 

 

「あー……疲れたぁ……」

 

ようやくやることを全部終え、盛大にため息を吐き出す。

 

今日襲撃した拠点の中で一番規模のデカい場所と言うだけあって、滞在していた人達もそれはそれは大勢いた。殺すのにも多少の時間は掛ったけどそれは良い。問題は終わった後の死体の処理だった。

 

地面のあちこちに死んだ人間が転がっている。殺すだけ殺してそれを放置って訳にもいかない。数人程度だったらまだ大丈夫だけど、三桁の数をそのままは流石に不味い。腐敗とか臭いとか色々と……。

 

季節が夏と言うのもあって進行が早いし、ここに住んでいる人にも多大な被害と迷惑が出るはず。

 

なので、しっかりと遺体の焼却をしておいた。

 

これが結構手間と言うか……。わざわざ火にくべる為に持ち運ばないといけないし、死体によっては雑に扱うと体の一部とか中身がバラけるしで……。

 

「んんー……これ、臭い付いて無いよね?」

 

大きく揺れる火の近くで自分の体を確認する。一応血とか付かない様に気を遣ってはいたが、既に外套は手遅れである。

 

「もう追加とかは無いよね……?」

 

後処理中にも爆破音や燃え上がる火を見て増援が何度も来ていたけど、それももう止まっていた。

 

「……帰ろ」

 

最後に着ていた外套を脱ぎ、火の中へ棄てる。

 

「結局、日の出頃になっちゃったなー」

 

一時間もしない内に外も明るくなり始めるだろう。先輩はちゃんと寝ているのかねぇ。帰ったら取りあえずお風呂に入ってから何か食べて睡眠を……いや、連絡の方が先か。

 

「ふぅ……ただいまーっと」

 

静かな明けの空の旅から無事拠点へ帰る。先輩が寝ている可能性があるのでゆっくりと入る。

 

荷物を置いてからお風呂入るために着ている物を脱いでいると、寝室の方で物音が聞こえて来た。

 

「おかえり、大丈夫だったか?」

 

ドアが開き、中から先輩が出てくる。

 

「はい、何事もなく終わりましたよ。って、起きてたんですか?」

 

「いや、少し前に起きてな。ほんとはずっと起きてようと思ってたんだけどな、すまん」

 

……確かに寝起きって感じじゃないみたい。

 

「いえいえ、起きていたいお気持ちは理解出来ますが、寝不足になったら元も子もないので大丈夫ですよ」

 

「ベッドで横になってたら……な?」

 

「あー……分かります。考え事とかしてると徐々に眠くなってそのまま……って感じですよねー」

 

「まんまそれだな」

 

「また寝て来ても良いんですよ?」

 

「いや、九重が帰って来たんだから起きるさ。まぁ、そっちは今から風呂だろうけど」

 

「ですね、流石に色々と動いたので」

 

「出てきたら何か食べるか?用意するけど……?」

 

「おぉ~、それは嬉しいですね!ではっ、お願いします!物は何でも良いのでっ」

 

「了解、ゆっくりしてきてくれ」

 

「あーい、……あ、覗かないで下さいね?」

 

「アホか、誰が覗くか」

 

「バレない自信が御有りなら良いですよ?」

 

「無理だろ。お前相手じゃ絶対気づかれるだろ」

 

「天ちゃんの能力を使って……最悪九條先輩で記憶を消せば……」

 

「全力過ぎだろ……しかも使う理由がくだらなさ過ぎる」

 

「えっ、男子高校生の夢じゃないんですか?お風呂の覗きって……?」

 

「………。……いや、違うぞ?」

 

私の言葉に一瞬の目線を逸らし、遅れて否定をする。

 

「何ですか、今の間は?認めてる様なもんですよ」

 

「気のせいだろ」

 

「別に引いたりしませんって。夢があって良いじゃないですか」

 

「ここは否定しておかないといけない場面だろ。ほら、早く入って来いって」

 

「えっ、"先にシャワーを浴びて来い"って……?」

 

「……今回の件が終わったら、耳の診察受けに行こう」

 

「んな神妙な顔で言わないで下さいよ!泣きますよっ!」

 

「そっちが馬鹿なことを言うからだろ。ほれ、バスタオル」

 

「ありがとうございます。では行って来ますねー」

 

ひらひらと手を振ってお風呂場へ入る。

 

「うーん、今回の服は全部処分で良いかな」

 

脱いだ服類を棚から取り出した袋の中に纏めて入れ、きっちりと縛る。

 

「これも後で燃やしておかないとね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、お風呂から出てから早めの朝食……を頂いた。テーブルの上に用意されていたのは二人分のご飯だった。

 

私が食べるのでついでに自分も一緒に食べるとのこと。私に気を遣ったのだろうか?『匂い嗅いでたら俺も食べたくなった』とは言っていたけど。

 

朝食後は一度白巳津川の方へ連絡を取った。朝早い時間ではあったけど、当然の如く起きていた。こちらは今日か明日には片付くのでそちらも好きに動いて貰って大丈夫とだけ話して通話を切った。

 

これで明日か明後日には七瀬さんも来るだろうね。その時は盛大に歓迎をしてあげないと……。

 

そこからは流石に眠気が強くなってきたので、先輩に昼になったら起こして欲しいとだけ伝えてベッドへダイブした。先輩は適当にダラダラしてると言っていたので『あー』とか『うー』とか返事をして眠りについた。

 

眠りから起きた時には昼を少し過ぎた辺りだった。私を起こしに来なかったことに不思議に思いながらも寝室を出ると、リビングの方で先輩も寝ていた。

 

「あー……まぁ、仕方ないですねー……」

 

早朝に起きたのだから眠くなってしまったのだろうね、あるある。

 

口の中を濯いでから水分を摂り、お腹が空いて来ていたのでお昼に食べるご飯を考える。

 

「と、その前に先輩も起こしておかないとね」

 

段ボールから目を離し、気持ちよさそうに寝息を立てている先輩の肩を揺らす。

 

「せんぱーい、お昼ですよー?」

 

「……んっ、んぁ……?あ……?九重?」

 

「お昼にしますが、先輩もどうですかー?」

 

「あ……昼……?って、あっ、すまん、寝てたのか……!」

 

意識が覚醒して状況が読み込めてきたのか、体を起こす。

 

「まだ昼過ぎた辺りなので全然平気ですよ。それより、お昼ご飯一緒に食べませんか?」

 

「自分で起きたのか……。悪い、起こすって話だったのに」

 

「まぁ、起きるのが早かったですし、しょうがないですよ。それで、食べます?」

 

「ああ、どうせなら食べるよ」

 

「了解です。こちらで準備を進めておきますので、先輩は顔でも洗って来て下さいな」

 

「……分かった。行って来るわ」

 

のそのそと立ち上がって洗面台へ向かう。

 

お昼は何を食べましょうか……?一応寝起きですし、軽めの物で済ませておいた方が良いはず……。

 

「……ふむ、缶詰のパンですか……」

 

目に付いたのは、丸い缶詰に入っている非常食の缶詰パン。

 

「プレーン、ミルクやチョコレート味、オレンジ味……黒糖とかもあるんですね」

 

他にもレーズン入りの物とかもあり、想像より味の豊富さに驚く。

 

「これなら後はお供に飲み物系を作るだけで用意出来ますし……先輩ってパン派とかあるんでしたっけ?」

 

面倒な時は10秒チャージとかのゼリー飲料で済ませているのは知ってるけど。

 

一応、ここにもそれはある。数種類の味とか少し違うタイプの物も置かれている。深夜やちょっとお腹を満たしたい時などに食してはいる。

 

作る手間も無いので聞いてみようと考えると、丁度良いタイミングで顔を洗い終えた先輩が戻って来る。

 

「お、ナイスタイミングですね。お昼ですが、この缶詰のパンが気になったのですが大丈夫ですか?」

 

「ん?特に何でも大丈夫だぞ。どんなのがあるんだ?」

 

「思ったより味にも種類はありますね」

 

段ボールから取り出し、テーブルに並べていく。

 

「ほー……定番な味は揃ってるんだな」

 

「少しでも美味しい物を食べさせたいと言う企業努力の結晶ですね!」

 

「勝手なイメージなんだが、こういう缶詰に入ってるのってさ、こう……味が薄いとか、触感が良くないと思っちまうよなー」

 

「分かります分かります。ですが、最近のは結構マシになってるらしいですよ?勿論、物にも寄りますが……」

 

「へぇ……それは気になるな」

 

「ではでは、試しに食べてみましょう!幾つかあるので外れる可能性は低いと思いますよ」

 

私としてもパサパサしてそうなイメージが強いので、飲み物は必須だろうねぇ……。

 

幾つかの缶詰を開けて食べてみたが、結果としては想定より普通に美味しかった。

 

しっとり感が割とあり、味も少し薄い程度でそこまで悪くは無かった。だけど、パンではあるが……菓子パン?マフィンみたいな感じの甘い寄りに味を寄せている物が多かった。仕方ないけどね。

 

食後は段ボール内からおやつを漁り、二人で食べながらのんびりと時間を潰す。

 

「……気になったんだが」

 

「んー?どうしましたか?」

 

「今日はこのままここで過ごすのか?」

 

「あー……いえ、夜になった辺りに出掛けようかと考えています」

 

「今度は、どこに行くんだ?」

 

「私達が潜入している組織の方へ顔出しに行こうかと」

 

「顔出し?」

 

「夜にあんな大きな事件があったからあちらもてんやわんやになっていると思うので、その様子を見に行こうかなー……っと」

 

「なるほどねー……九重一人で行くのか?」

 

「先輩も付いて来ます?」

 

「そっちが迷惑じゃなければだけどな」

 

「迷惑とか無いので変に気を遣わなくても良いですって。確かに二人で一緒に行った方が変に怪しまれないと思いますし」

 

「なら付いてくよ」

 

「了解です。と言っても夜にいつもの倉庫……いえ、その前に情報屋の方に行きましょうか。そっちの方が早く知れそうですし」

 

「……何かありそうなのか?」

 

「確定では無いのでまだ何とも。ですが……まぁ、最悪その場で戦闘が始まるかもしれませんね、あはは」

 

「あははって……大丈夫なのか?それ」

 

「大丈夫ですよ。駄目だった時は先輩のオーバーロードで戻りますので」

 

「んまぁ……それなら平気か」

 

「もし戦いが始まったら……場合にも寄りますが、私の傍に居れば大抵は何とでもなりますので」

 

「任せて大丈夫なのか?」

 

「はい、何かあってもご自身を守るために使って頂ければ。自分の安全第一でお願いしますね?」

 

「なら九重の近くに居れば安全ってことだな」

 

「ふふ、そういうことですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空もオレンジ色が消え、夜の帳が覆い始めて来た頃、新海先輩と一緒にいつもの情報屋の建物へとやって来た。

 

いつも通りの錆びついた扉が嫌な音を立てながら開く。

 

「お邪魔するよ」

 

中に入ると、ランプの様な照明器具一つだけが灯っており、内部を映すにはかなり心許ない。そんな中、窓口の席から睨むような視線をこちらへ向けて来た。

 

「……ちっ、本当に来やがったのかよ」

 

私の顔を見るや舌打ちと反吐でも吐きそうな表情を浮かべる。

 

「随分なご挨拶だね。折角夜に来たと言うのに」

 

周囲へ警戒しながらもいつもの装いで椅子へ座る。

 

「ケッ、どうせ向こう側で夜中に遭った件だろ?」

 

「ご名答。どうなってるかと気になってね」

 

「……それについて、上からてめぇに話したい事があるって言われてる。連れてってやるよ」

 

「……へぇ、それはありがたい」

 

「付いてこい、こっちだ」

 

「もう行くのかい?前みたいに報酬を持ってきたのだけど?」

 

「……後で受け取る。今は上からの命令を急ぎたいからな」

 

席を立ち、少し緊張するような動きで裏手へと移動していく。

 

この人の護衛の気配がしないけど、一体何処へ行ったんだろうなぁ……。

 

他に優先順位があって偶々居ないのか、それとも別の場所で待機してるのか。前者であって欲しい物だけど。

 

ある程度の予想は付きながらも、前回と同じく暗い坑道らしき道を進む。

 

「……ん?今回は前回とは違う場所なのかい?」

 

歩いていると、この前とは違い何度か道を曲がったり少し狭めな場所を通って行く。

 

「……当たり前だろうが。毎回同じ場所で会うかよ」

 

「ま、そっちの方が安全だしね」

 

そのまま暫く歩くと、前の男が立ち止まる。

 

「ここだが、お前らはここで待ってろ。先に確認だけしてくる」

 

「ああ、構わないよ。……出来るだけ早めに戻って来てくれると嬉しいけど」

 

「………」

 

そのまま無言で木製の梯子を昇って消えていく。

 

「……さてと、先輩。色々と問題が起きてますが、聞きます?」

 

「は?問題……?」

 

「はい、まずは一つ目ですが……、囲まれてますね。しかも大量に」

 

「っ!?」

 

私の言葉に一瞬体を強張らせる。

 

「しかも、微かに聞こえてくる音的に……武装してますし、多分こちらを殺す気かもしれませんね」

 

「……どうする?」

 

「そうですねぇ……。そうなると、向こうには私が敵だと認識されている事になりますし、このままここを突破しても本命に辿り着けるか怪しいかもしれません」

 

「さっきの男が何か知ってるとかは?」

 

「場所は知ってるかもしれませんね。死亡報告に行く可能性もありえますし」

 

「それなら俺があっちの記憶を読めば大丈夫か?」

 

「それでも良いですね。その前に私の案を使いたいのですが、協力してくれませんか?」

 

「九重の案?何をする気だ?」

 

「それはですね……って、その前に邪魔な人達を片付けてしまいましょうか。狭くて動きにくい場所ですが……崩落さえ気を付ければ大丈夫でしょう」

 

 

 

 

 

「……音が止んだな。ようやく片付いたのか?」

 

例の二人組を下に残してから直ぐに奇襲が始まり、さっきまでうるさく聞こえていた銃声が漸く鳴り止んだ。

 

今日の夜明けの時点であの女が昨日の事件の主犯格だとは上から通達があった。そして、次はこっちだろうと……。なら先にこちらから攻撃を仕掛けるとの結論に至った。

 

その作戦が今回の量で押し潰すやり方だ。あの女が居る一族は人としても規格外と言われている。だが、本質的な身体の構造はあくまで人間だ。どれだけ強かろうが銃弾を浴びれば死ぬ。これは変わらない。

 

そのためにわざわざこの辺りで一番動きにくい場所を選んだ。道としても狭く、動きがかなり制限される筈だ。しかも足手まといと思われる男まで付いて来ている。こちらは銃を正面に撃つだけで良い。加えて暗く視界もままならない。それに対してこちらは暗視ゴーグルを何人にも渡している。これで向こうの動きは手に取るように分かる。

 

後は奴らが死ぬのを待つだけだ。俺は終わった後に死体を回収して報告するだけで良い。わざわざ危険な事をする必要は無い。

 

「流石にそろそろ良いだろ」

 

一度確認する為に入口のハッチを開けて中を慎重に覗く。

 

「……音はしねぇな」

 

殺したら俺に知らせろと言っているが、その姿は未だ見えない。……まさか、全滅したのか?

 

一瞬最悪の展開を想像し、冷や汗が流れる。

 

その場合どう動くべきか考え始めると同時に、道の奥からこちらに向かって来る足音が聞こえて来た。

 

「………」

 

聞こえてくる音から見るに、男の足音だ。少なくともあの女のじゃねぇな。

 

「……おいっ、誰かいるのか?」

 

先にこちらから大声で声を出すと、その足音は一度止まり、少し小走りで向かってきた。

 

「………、終わったみてぇだな」

 

外の明かりがその姿を映すと、いつも見慣れている格好をした男が一人だけ来た。

 

「残ったのは、お前だけか?」

 

「……は、はい。俺以外は、全員……」

 

「ターゲットはどうなっている?」

 

「あ……し、死亡を確認していますっ。あ、あちらに……!」

 

「よくやった」

 

どうやら今回の作戦で上手く行ったらしい。

 

梯子を下り、来た道を戻る。

 

「なんだよこの惨状は……」

 

戦闘の跡だろう……明らかに人一人が起こした痕跡には見えなかった。

 

「やはり化け物だったか……」

 

重武装しているこの数相手にここまで抵抗出来ると考えると、耳に入れる情報が本物だと実感する。

 

「死体はどこだ?」

 

「………、こ、こちらです」

 

案内された場所には、行き止まりの道で最後まで抵抗をしたであろう戦闘の痕跡が大量に残っていた。

 

一番奥に血まみれでうつ伏せに倒れている死体を目にし、念のため足でその体をひっくり返す。

 

「………。お前以外は全員死んだのか?」

 

動かない事を確認してから後ろの男に声をかける。

 

「あ、えっと……、そ、それは……」

 

「どうせ何人かは逃げてんだろ?」

 

俺の言葉に、焦るように無言で頷く。まぁ、そうなるのは想定済みだ。だからこんだけの数を用意したんだからな。それでもギリギリだったわけだが……。

 

「俺はこいつの死体を持っていく。お前は人を集めてここの掃除をしておけ」

 

「わ、分かりましたっ」

 

「一応だが、もう一人の男の方も死んでるのか?」

 

「は、はい……。一応、あちらに……」

 

女を担ぎ、来た道を戻っている最中に男の死体を見つける。

 

「こ、こちらはどうしましょうか……?」

 

「上からはこいつだけと言われている。適当に処理しておけ」

 

「分かりました……」

 

「終わったら報告しに来い」

 

それだけを伝えて今度は別の道へ戻る。確か合流地点の建物はこっちだったな……。

 

本来の場所へ向けて歩を進めて行く。

 

10分程歩き、目的の梯子を昇って建物へ上がる。

 

「ふぅ、軽いがずっと持ってると流石に疲れるな」

 

力の入っていない身体を持っているのだ。幾ら小柄だからと言って持ちながら歩くのは肩が痛んで来る。

 

「さてと、部屋は奥の一つ前だな」

 

予め教えられた部屋の前に立つ。ここより奥の部屋の前には、あからさまな護衛が数人立っており、本物を誤魔化すためのダミーになっている。

 

入る前に決められた合図でノックし、返事を待つ。

 

「入りな」

 

返事が返ってくるが、それに反応せずに一分経ってから扉を開けて中へ入る。

 

「……どうやら、上手く行った様だな?」

 

中に入ると、案の定そこにはボスとその護衛が居た。

 

「……ああ、死亡もちゃんと確認している」

 

「念のため、私の方でも診ておきましょう」

 

するりと音を立てずに俺の横まで来た死神が、持っている女の体を見る。

 

「………、大丈夫でしょう。呼吸や心臓なども止まっている様です」

 

「くくっ、まさか最初のやつで上手く行くとはな。強かろうが人間だったという事か」

 

勝ったことを確信し、口元を歪ませる。

 

「なら後は死体と痕跡の処理だけだな。それと偽装もしておけ」

 

「……ああ、しっかりとやっておく」

 

「一応私の方も協力しておきましょう。念には念を入れておいた方が安心でしょう?」

 

「そうだな、助かる……」

 

もしあの一族にバレれば、確実に俺に罪を擦り付けて捨てるだろう。それだけは避けないとな……くそが。

 

「では、一段落付いたら私に言って下さい。それまではそちらにお任せしますよ」

 

「……了解した」

 

用は済んだ、さっさとここを離れて動かねぇとな。少なくとも今日中に終わらせて……。

 

この後の予定を考えながら、部屋の外へと向かう。

 

「………、そろそろ良いかな。これ以上は時間の無駄だし」

 

「―――は?」

 

女の声がした。しかも、その声は俺の直ぐ横から―――。

 

俺が驚く声を出したのと同様に、部屋の中に居た全員が驚いた目でその声の発生源を見る。

 

「……まさか」

 

護衛の死神があり得ないと言わんばかりの表情で俺の方を見る。

 

死んでいるはずの体が俺の腕から離れるように動き、地面に落ちると思いきや足を地に付けて立ち上がる。

 

「何か良い情報でも聞けるかなと思ったけど、特に無さそうだし……それにこのままだと連れて行かれちゃうしね」

 

背伸びする様に両腕を伸ばして話始める。

 

「嘘だろ……?確かに死んでいたはずだろ……」

 

「んー……?ふふ、世の中には、不思議が沢山あるってことだよ?」

 

チラリと外套とマスクの間から覗くその目が―――黒から赤へと変貌した。

 

 





ドッキリ大成功……?まぁ、死ぬわけがありませんよね。知ってましたって感じ。

次回は新海翔視点でお届けしようかと。ついでに主人公と強そうな護衛さんとの戦闘をちょろっと書こうかな?書けるほどの戦闘に成るかなぁ……?

それが終われば次は浮島家とか、白巳津川サイドですかね?そこで漸く終幕になりそうです。多分……。

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