第二章です。プロローグなので少し短めになりました。
原作、そらいろそらうたそらのおとの始まりの次の日位からスタートです。
最近モンハンサンブレイクが楽しくて書くのに間が空きました……。第三弾のアップデートでやり込みが増えたのでそちらに勤しんでましたね。傀異強化鬼すぎる……。
第1話:4/22
「おはよー」
教室のドアを開けて、既に席に座っているクラスメイトに挨拶をする。
「あ、おはよー」
「舞夜ちゃんおはよー」
「うん、おはよー」
こちらに手を振りながら挨拶を返してくれる女子に返事をし席に座る。荷物を片付け雑談をしていると前の席の天ちゃんが席に着く。
「天ちゃんおはよう」
「おはよー」
一息付くように席に座った彼女は何やらいつもとは違う荷物を持っていた。
「なんだか鞄とは違うのを持ってきているけど、今日って何かあったっけ?」
「ん?いーや。これはちょっと個人的なやつ」
「それなら安心、忘れちゃったかと思って一瞬焦っちゃったよ」
多分だけど、先輩の家に泊まる様の服などが入っているのだろう。確か……一昨日が火事だったから、昨日が能力バレして……今日がお泊まりに行くんだっけ?それで受け入れられるかどうかで枝が変わる……はず。
記憶の中のルート分岐を思い出す。ここで九條先輩の枝かその他の枝かでの分岐地点、重要な一日になる。
「てか、一昨日火事があったのにもう何事もない様に学校が昨日もあったってやばいよね~、一日くらい休みがあっても良かったのに……」
「ほんとそれだよねっ、少し期待してたんだけど普通に学校あるって分かって損した気分になったよね」
ごめん天ちゃん、昨日から何事も無いように通学出来たのは、半分……いや、大半は私……主に家のせいなのです。
朝のチャイムが鳴り、前の天ちゃんが正面に向き直る。さってと、今日一日頑張りますかぁ……。
午前、昼食、午後と時間が過ぎようやくホームルームが終わりを告げる。
「やっと終わったぁー……よし、帰ろうっ!」
鞄を手に取り席を立つ。
「天ちゃんは今日は何か用事があったりする?」
「ちょっと寄りたい場所がある感じかな」
「朝言ってたその荷物関連?」
「んんーまぁ、そんな感じかな?」
「了解、それじゃあお先にばいばーい。また明日ねっ」
「うん。またあしたー」
向かう先は先輩の家だろう。帰路が一緒の為、先に帰ることにした。
「ただいまーって、帰っても返事を返してくれる人は私には居ないんだけどね、ふふ」
鞄を置き、制服を洗濯に出す。
「今日はもう外に出ないし……風呂も入っちゃおっか」
そのまま衣類を全部脱ぎ風呂場へ向かう。
「……そういえば、私のスティグマってどこなんだろう……?」
シャワーを浴びながらふとそんなとこを思う。天ちゃんが背中で九條先輩は手の甲とか……。
取りあえず能力を発動させ、自分の身体を確認していく。
「あ、あった」
視線を落とすと直ぐに見つかった。
「二の腕だったんだ……」
正確には右の肩より少し下の上腕二頭筋部分にあった。
「こう見ると、ほんとにユーザーなんだなぁ……」
スティグマ部分を指でなぞるが普通の肌の触り心地である。
「………」
何となく試しに降ってくるシャワーに能力を掛ける。
「おっ、おお~すごっ」
掛けた部分はその場で動きを止め、後から続くように出てくる水はそこに当たり、弾かれていた。
「私も能力把握していた方がやっぱり良いよね……?」
大抵は拳で何とか出来る自信はあるが、流石に能力バトルなので使いこなせるようになっていた方が便利に違いない。
「日常的にバンバン使わなければ暴走は無いだろうしね」
……よく考えれば、火事の日に暴走してたあの子は手に入ってから数日で制御不可になっていた。どんだけ能力を使いまくったんだろか?それとも対抗力が雑魚だったんだろうか?
どうでも良い事を考えながら風呂を終え、目的の為に電話を掛ける。数コールした後に通話が繋がる。
「あ、もしもし?
「あ、うん。それです。今日が妹さんが泊まるかどうかの分岐なので……そうそう。大丈夫ですか?」
「ありがとうございますー。一応後日のを見てどっちか判断しておこうかと考えているんだけど、今夜の方が大事になります」
「そうですねぇ……大丈夫だと思いますよ?多分部屋のカーテン開いてたと思いますし……」
「始めは、九條先輩が帰った後からで大丈夫です。判断基準は……妹さんの方がその後一時間居たら……いえ、寝巻きを着たらにしましょう」
「私も今日は部屋に居ますので何かあったら電話でも合図でも飛ばして下さい。こちらも見えるように開けておきますね」
「それでは、また後程……」
通話を切り、ベッドに横になる。
「んんー……やっぱり少し緊張したなぁ、はは」
壮六さんはおじいちゃんが管理している直轄の人だ、現在はおじいちゃんが私を心配して貸し出すという形で私の下に付いているが、年齢も二回りほど上である。冷静で誠実な仕事人ってイメージ……まぁ、だけど少し繊細な人でもある。
勿論、戦闘面でも頼りになる。技術面では確実に負けるし読み合いや駆け引きも向こうが上手かった。純粋な力勝負となるんだったら……全力で本気を出せば私が勝てるけど、多分持久戦に持ち込もうとするから負けの方が高そう。まぁおじいちゃんの人達だしね、歴戦の猛者って感じです。
それでもこんな小娘に九重の宿願を託すと協力してくれる。いくらおじいちゃんからの指示でも文句の一つや二つ言いたくなってもおかしくない。
「期待に応えられるように頑張らないとね」
『それで壮六よ、様子はどうじゃ?』
「今はベッドでゴロゴロとされておりますよ」
『そうかそうか。元気そうでなりより……』
「宗一郎様?一応、今の私は舞夜様の部下なんですが……」
『そのトップはワシだ。つまり何の問題もない』
「可愛い孫娘の私生活を覗き見させる指示は問題あると思うんですが……」
『覗き見では無い。成長を見守っているだけじゃ』
「相変わらず無理を通される」
『おぬしも舞夜の元に行くのを快く受けたではないか』
「それは当然ですよ。あの子の下に居た方が一番近いですし……何より成長を見られますし」
『ほれ、貴様も同じではないか』
「いやいや、覗き魔と一緒にされるのは心外ですよ流石に……さっきお風呂のを見てしまって罪悪感が物凄くあるんですから……、流石にその時は見ない様に止めましたよ?」
『共犯じゃな』
「嵌められたと思っておきます……。私の仕事は舞夜様を観察する事では無いのですので」
『わかっておる。そちらの方はどうだ?』
「はい、そちらは現在は新海翔、新海天、九條都の三名です。状況を見た感じ夕食の支度をしているかと」
『となると、石化の話と……アニメの……調べものじゃったか』
「輪廻転生のメビウスリングですね、そのファンサイトのアガスティアの葉です」
『じゃったか。横文字が多くてかなわんな全く』
「更にアーティファクトユーザーやら専門用語は横文字がほとんどでしたからね、覚えるのに時間がかかりましたよ」
『しかし、あの子が言った話に矛盾点は無かったからの、実際に地震も起き、神器も壊れた』
「ですね。石化事件も起きて白泉でも火事……実際には暴走ですが、それらも起きましたね」
『となれば、本当の事で間違いない』
「そうなりますね……九重の悲願、それを達成する時が」
『それが今になるのか、儂らの知らないどこかの世界か……知るのはあの小僧のみか』
「オーバーロード、でしたか。まるでフィクションで出てくるような話です。未来、過去を知り、その記憶を持ち越せる能力など」
『舞夜も最強の力と言っておったからな。一番のカギとなるのはその力』
「それと、あの場には居ない『罪人を裁く』能力、ジ・オーダーですね?」
『そちらも問題はないだろう?』
「はい、そちらは久賀三花が居ますので」
『わしらはあくまでサポートであり、あの子から言われん限りは手出し無用』
「はい、重々承知しております。邪魔はしませんよ」
夕食を終え、明日からの二日間の過ごし方を考えていると、電話が鳴る。
「もしもし?こちら舞夜です」
「どうですか?あれから三人の様子は……?え、ほんとですか?……はい、わかりました。新海天が、新海翔の家に泊まっている……で間違いないんですね?」
「分かりました。報告、ありがとうございます。これで方向性は決まりましたので後ほどおじいちゃんにも連絡します」
通話を切り、今の報告を思い返す。
どうやら九條先輩が帰った後に天ちゃんはお泊まり出来たとのこと……。九條先輩の枝だったらここで追い返すはずなので少なくとも九條先輩の枝では無くなった。
「という事は……、最初の枝は乗り越えた……?」
この枝があるという事は九條先輩の枝が終え、次のステージへ進んだとみて良いのだろうか?ナインが先輩への干渉を始めたはずなのでそうなる。
「うーん、仕方ない事だけど、分かんないからそう仮定していった方がいいよね」
ここは二番目の枝、少なくとも最初の枝を無事乗り越えた。九條先輩の枝の私が上手くやってくれたと思っておこう。
「ええっと、そうなると……次は九十九神社でも問題が起きて……香坂先輩とのやり取りでどっちに転ぶかで決まるんだよね?」
週明けの月曜日に尾行をして巻き込まれ、その次の日に手紙を渡されて……先輩が相手をするか、天ちゃんがするか……。
「どちらの枝でも戦闘あるし……この土日は身体を動かすことにしておくかぁ……」
天ちゃんの枝なら良いが、もしも香坂先輩の枝なら確実な戦いが待っている。それも本格的な殺し合いが……。万が一の遅れを取らない為にも感覚を戻しておきたい。
「報告も兼ねて、おじいちゃんに相談してみよ」
これから起こる未来を思い浮かべ、スマホを手に取った。
名簿
不破 壮六(ふわ しょうろく)
もうすぐ50代を迎える人。仕事に関しては完璧にこなす人だが、宗一郎には昔からの上下関係が続いている為、よく無理を言われたり振り回されがちな苦労人タイプ。主人公の事を昔から気にかけていたので娘の様に思っているが、扱いが分からないせいで若干距離を作っている。昔から宗一郎の元に居たため実力は上位数名に居る。