9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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ア、アニメの総集編……!超良かった……っ!!!特殊エンディング!!
原作している人達から見たら色んなシーンに考えさせられるシーンが多くて最高でした!
キャスト欄の『9番目のあなた ???』とか、各ヒロインの翔とのシーンで消えて行く場面とか!
あとラスト前の天がバトン渡してからのヒロイン達がそれぞれ映ったり、スティグマが出てくるシーンッ!!
そしてラストは空席だった8席にそれぞれが座って真ん中が空席……最高でしたぁ……。
感無量!

※見てない人は居ないと思いますが、もし居られるのでしたかここより先に見るべきです。さぁ、動画サイトへ。




第10話:撞着

 

 

「ごめんだけど、私はお断りさせてもらうわ」

 

先週結城と一緒に来たカラオケの一室で、俺と結城に向かって堂々とそう告げてくる。

 

正面に居るのは、目的の人物である久賀三花とその妹の久賀二葉。

 

……ここからどう説得したものか。

 

 

 

 

 

 

 

「お、もう動いてくれたか。ありがたいな」

 

結城に例の手紙を渡した次の週の月曜の昼休み、早速久賀三花を探し当てる為に学校で聞き込みを始めたらしい。

 

貴重な休み時間や放課後を使わせてしまう事に謝るが、『特に用事も友人も居ないから気にしないで』とスタンプと共に返事があった。

 

それで良いのか結城よ……。

 

「さっきから誰とお話してんのさー?かけるー?」

 

逆の手で今朝買ったパンを食っていると、正面に座る与一から話しかけられる。

 

「んー。ちょっとなー……」

 

「わかった。また女の子でしょ!」

 

「そだなー……」

 

「返事てきとう過ぎでしょ……、てか、てかさてかさ!いつになったら紹介してくれんの!?」

 

「何がだ?」

 

「何がって……やっぱり忘れてんじゃん!!女の子紹介してくれるんでしょ!土日待って今日話が来るかと思ったらずっとスマホいじってるしさ」

 

「ああ、歓迎会の時のか」

 

「どうなの?話は付いたの?」

 

「いや、実は土日どっちも用事があってまともに話してなかったわ。すまん」

 

「そんな言い訳どうでも良いから。僕は結果が欲しいの。具体的には連絡先がっ!」

 

「その内な。ちょっと今は余裕がない」

 

「前もそんなこと言ってはぐらかして………今あるじゃん!女子とは話せて僕のお願いは聞けないって言うの?今サクッと連絡送れば済む話じゃん!」

 

「今か……」

 

まー……大丈夫か。俺が思い付きで言い出したのも悪いしな。

 

「分かった分かった。今送るよ」

 

「ほんとに!?ちゃんと送った画面見せてよ?」

 

「分かってるって……ちょっと待ってな……」

 

結城の個人トークから九重のに切り替え、過去の話した内容が問題無いか軽く見てからメッセージを書き始める。

 

『突然ですまんが、俺のクラスメイトの与一って男に九重の連絡先を教えても良いか?嫌なら嫌って断って貰っても大丈夫だ』

 

一応九重が与一を知らないってスタンスも含めて内容を書き出す。

 

「送信っと……ほらよ、しっかり送ったぞ」

 

「うむ、ちゃんと送ってるね。てか嫌なら断っても良いって酷くない?」

 

「そこは本人の意思を最優先にしたまでだ」

 

「ま、そこは仕方ないね」

 

落ち着いた与一と引き続き昼飯を食べていると、俺が食べ終わった辺りで通知が鳴る。

 

「お、早速返って来たな」

 

「まじ?なんて来たの?」

 

「えーっと……、『新海先輩の紹介であるのならある程度の信頼があると見受けますが、こう言った事は直接面と向かって本人からお話をして頂けると嬉しいです』ってさ」

 

「え、え?なんか結構好印象的な感じ!?」

 

「さぁな。連絡先欲しかったら直接言いに来いって」

 

「嬉しいって……これはもう決まった様なもんだよね!」

 

「……かもな」

 

これはどういった意図があるのやら……。与一とコンタクトを取る為なのか、ただ単純に正面からぶった切りたいだけなのか。

 

俺の紹介の手前、義理を立てたりして……ってありえんか、相手は与一だしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「舞夜ちゃん?どうしたん?急に困った顔して」

 

「あー……ちょっと想定外の内容が来たからどう対処したものかと思ってね」

 

「何が来たの?」

 

「なんか、新海先輩から先輩の親友の人から私の連絡先が欲しいから渡しても良いかって……」

 

「にぃにから?何?舞夜ちゃんを友達に売ったのか?あの兄貴は」

 

「どうだろうね?多分先輩が最近急に女の人の知り合いが増えたから気になったんじゃないかな?」

 

「あー……確かに。みゃーこ先輩でしょ?春風先輩に結城先輩と来て舞夜ちゃんだもんね」

 

「そこで自分にも教えてってせがまれて……みたいな?」

 

「なるなる。そこで舞夜ちゃんを差し出したって訳か……」

 

「九條先輩は同じクラスメイト。香坂先輩は人見知りで一個上。結城先輩は他校。残る選択肢は私か天ちゃんだけど、可愛い妹を差し出すのは嫌だから残った私……的な流れかなぁ……多分」

 

ま、深沢先輩なら関係ないかもしれないけど。

 

「そんな事考える脳みそですかねぇ~……あの兄貴は」

 

「それに私なら多少の問題が起きても大丈夫だろうって考えかもね」

 

「んで?どうするの?受けるの?」

 

「ん~……少し考える時間が欲しいから、時間でも稼ごうかなぁ?」

 

もう深沢先輩と争う事も無いだろうし、連絡先を交換するという選択肢もありかもしれない。一度得か損かを洗い出してどうするか決めたいしね。

 

「取り敢えず……『新海先輩の紹介であるのならある程度の信頼があると見受けますが、こう言った事は直接面と向かって本人からお話をして頂けると嬉しいです』っと、送信」

 

「え……直接相手と会うの……?」

 

「じゃないと相手がどんな人なのか分からないからね!」

 

「勇気あるなぁ……怖くない?相手は先輩じゃん」

 

「新海先輩が紹介する人だし、安全でしょ」

 

「にぃにも同行させたら?」

 

「んー、その時のタイミング次第かなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の昼、今日は与一は別の友達と食べるらしく一人でコンビニのパンを食べながらスマホを触る。

 

どうやら結城の方は、今日で渡す相手を特定出来たらしい。明日の早朝に教室の机の中に手紙を入れるとのことだ。

 

「仕事が早くて助かるよ」

 

結城にお礼を告げ、今度ナインボールのパフェを奢ると約束してその日は何事もなく終えた。

 

次の日の朝の通学中、朝早くから結城が久賀三花の机の中に無事手紙を入れ終えたと趣旨の連絡が来た。

 

『ミッションクリア』

 

『ありがとう、めっちゃ助かった』

 

『私も少し楽しかったから気にしないで。報酬は忘れない様に』

 

『了解』

 

「これでようやく前進出来るな」

 

一安心しながら学校へ向かったが、俺の想定より早く物事が進むことになった。

 

昼休みにスマホを開くと、結城から連絡が来ていた。内容を見ると、どうやら手紙を渡した本人から休み時間に尋ねられてきたらしい。今日の昼休みに話がしたいと言われ、これから向かう……と言った内容だ。

 

「中身を読んで速攻で動いてるよな、これ……」

 

少し心配だが、大事にはならないだろう。後は結城からの連絡を待つしかない。

 

そうして飯を食べ終え返信を待ってると、昼休みギリギリでメッセージが来る。

 

『お昼食べてて遅れた。今日の放課後に直接会って話をしたいみたい』

 

『分かった。場所はどこがとか言っていたか?』

 

『いえ、特に指定は無かった』

 

『それなら、前のカラオケでも良いか?』

 

『了解、私も付いて行って良い?』

 

「………」

 

一瞬、どうしようかと迷ったが、ここまで来て省くのは結城に悪いと思い大丈夫だと返事をする。

 

『ありがと。それじゃあお互いに少しタイミングをずらしてお店に入りましょう』

 

『ああ、そっちの方は任せても良いか?』

 

『ええ、連絡は密に』

 

『分かった』

 

『じゃあ、また放課後に』

 

『了解』

 

「………、ふぅ」

 

今日の放課後か。結城が一緒に来るが……相手は九重と同じ一族の人間だ。多分一筋縄では行かないだろうな……。

 

記憶にある九重の実家で会った時の事を思い出すが、中々気の強そうな印象の人だった。レナに対しても遠慮なくズカズカと指摘や文句を言ってたし……。

 

「気が重いなぁ……はぁ」

 

間違いなく俺も同じ様に言われるだろうと予想し、ため息を吐かざるえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結城達より先にお店に入り、三人が合流するまで待った。先に結城だけが来た時は一瞬交渉決裂かと思ったが、どうやら妹さんを途中で拾ってから来るとのことらしい。

 

それから10分ほど待つと、入口の扉が開き二人が中へ入って来た。

 

姉の方が俺を見るなり視線が少しだけ鋭くなり、後に続く妹の方は軽く会釈をしていた。

 

「それで?私達に用って何かしら?」

 

俺の正面に座るや否や切り出す。

 

「えっと……本題を話す前に、そっちは飲み物とかは……」

 

「必要無いからさっさと続けなさい」

 

「そ、か……了解。まずは来てくれて感謝する。手紙では概要だけ軽く書いたが―――」

 

「舞夜のこと、でしょ?こうやっていちいち隠れて集めた理由は何?」

 

「ああ、頼みがあるのは正確にはそちらの妹さんの方なんだが、九重に気付かれずにあいつの実家の人と連絡を取って会う必要があるんだ」

 

「なんで?」

 

「それについては……あまり詳しくは話せないんだが……ある事について伝える必要がある、感じで……」

 

言葉を濁す俺の態度に更に鋭い視線を向けてくる。

 

「何一つ意味が分からないけど……つまり?舞夜に知られたくない事があって、それを秘密裏に九重家の人達に話したい。で良いの?」

 

「あ、ああ……」

 

「その内容については話せないと?」

 

「か、可能な限り……」

 

「ふざけた依頼ね。そんなこと言われてはいそうですかって言うとでも思った?」

 

「お姉ちゃん」

 

「口を挟まないで。二葉の言いたい事は分かるけど、私はそれに従うとは一言も言って無いわ。最低でも理由を聞けないと話にもならないから」

 

「………」

 

「良い?私とそっちは初対面よ?仮に舞夜が言っている他の世界で交流を持っていたとしても、それはあくまで別の話。この世界の私には関係ない事。違う?」

 

「……その通りだ」

 

「あんたが舞夜の為に何か行動を移そうとしている。それは恐らく別の世界のあいつから何か入れ知恵でもされたんでしょうね。けど、それもあくまで別の世界の出来事。この世界の舞夜には関係無い事。違うかしら?」

 

「………」

 

「あんたが知っている舞夜は、きっとお互いに深い信頼を築いているんでしょうね。あんたの記憶の中のね。私が言いたい事、分かる?」

 

「……ああ」

 

「そ。ならまずは舞夜本人に言うべきじゃない?」

 

「……そっちの言う通りだ。だが、それでも九重に知られずに話し合いの場を持ちたい」

 

俺の言葉に軽く鼻を鳴らす。

 

「ごめんだけど、私はお断りさせてもらうわ」

 

交渉は決裂と言う様に立ち上がる。

 

「帰るわよ、二葉」

 

「なんで?」

 

呼び止めるために声を出そうとした時、妹の方は立ち上がらずに姉に向けてそう言った。

 

「なんでって……これ以上続ける意味ないでしょ」

 

「それはあくまでお姉ちゃんとの話し合いが……でしょ?」

 

「はぁ?どういう意味よそれ」

 

「まだ私はこの人と話し合いをしていないから」

 

「私はって……」

 

「それに、彼は依頼があるのは正確には私と言っている。だから私が話し合うのは当然。違う?」

 

「二葉……あんた……っ!」

 

俺達そっちのけでヒートアップしていく。

 

「あと、お姉ちゃんは受けないって言っているけど……私は受けたいと思ってる」

 

「……は?あんた、本気で言ってんの?」

 

「本気も本気。だからお姉ちゃんは先に帰ってても良いよ?」

 

「冗談もほどほどにしてくれる?」

 

「お姉ちゃんこそ冗談でしょ?それに私は舞夜姉の言葉を信じているから。だからこの人が言う事も信じる。それに、悪い人じゃないから」

 

「そんなこと分かってるわよっ!けど!こうやって本人に隠れてコソコソしてるのが気にくわないのよ。しかもそれを私達にお願い?それを受けたら今後あいつと会う時にこっちが嫌な思いするじゃない」

 

「うん。すると思う。けど、それでも私は舞夜姉のプラスになるなら平気」

 

「っ~~~!!あーーー!もうっ!あんたって子は!!」

 

我慢の限界に達したように声を荒げるが、その怒りの矛先が無く自分の頭を激しく掻く。

 

「分かったわよ!私も同席するからね!」

 

「好きにして」

 

人を殺しかねない視線で俺を睨み、ドカッと席に戻る。

 

「あ、それと私の話し合いに口出しはしないこと」

 

「はぁ?何よそれっ」

 

「さっきお姉ちゃんの時、私に口を挟むなって言ってちゃんと守ったでしょ?今度はそっちの番」

 

「………っ!」

 

「破ったら、一週間は口利かないから……」

 

「なっ!?……わ、分かったわよっ!けど、助言くらいは許してよね!」

 

「まぁ、それくらいなら……」

 

折り合いが付いたのか、妹の方がこちらを向く。その隣からヤクザの様なガン飛ばしが嫌でも視界に映る。

 

「あー……えっと?続行……で、良いのか?」

 

「うん、お見苦しい場面を見せたけど……」

 

「い、いや……俺も妹とよく口喧嘩してるから……よくあることだしあまり気にならないかなぁ……?はは」

 

「それなら良かったです。えっと、お話の続きなんですが、そちらは舞夜姉には内緒で九重家の人達と会いたい、で良いんですよね?」

 

「ああ、同じ学校の四栁司って男子から、君が九重の実家に遊びに行くから適任って聞いている」

 

「なるほど、です。確かに私は機会があればよく行っているので怪しまれることは無いと、思います……」

 

「実家の……九重のお姉さんか、そうろく?って人に渡せば大丈夫って九重から言われている」

 

「別の枝の舞夜姉から、ですか?」

 

「……ああ」

 

「おひとつ、お聞きしても良いでしょうか?」

 

「話せる範囲なら」

 

「ありがとうございます。私の知っている舞夜姉は……その、あなたをそう言った事に巻き込みたくないと思うのですが……それも何か事情があるのでしょうか?」

 

「そうよ!あいつがあんた達をわざわざ面倒ごとに巻き込もうとするわけが無いわ。一番嫌がる行為よ!」

 

「お姉ちゃんは静かにしてて」

 

……やっぱり、二人の認識もそんな感じなんだな。

 

「それについては、これを依頼した九重は……なんて言うか、そちらが知っている九重とは少し、違うんだ……」

 

「違う……?」

 

「ああ。成長した……と言えば聞こえは良いが、ずっと先の未来の記憶を持っている九重で、違った考えを……結末を知りたがっている。そんな感じだ」

 

「ずっと未来の……どうしてその舞夜姉が、今回のお願いを?」

 

「それについての真相は俺も分からない。だけど……、別の道を歩む自分を見てみたい。そう言っていた。知らない世界を知りたい、色んな事を体験したい、そう言っていたんだ」

 

「俺もそれが本当に九重にとって良い方向に動くのか分からない。俺にはもうオーバーロードなんて便利な力を持って無いからな」

 

「それでも、これまで俺達を助けて来てくれた九重の頼みを……願いを俺は叶えたい。そう思っている。だから、協力して欲しい」

 

「……それは貴方の本心、で良いでしょうか?」

 

「ああ、俺自身がそう思っている。って、最初は他の枝から送られてきた記憶にはなるんだけどな」

 

けど、この枝の俺自身も今ではそう考えている。

 

「分かりました。私個人としては喜んでその依頼を受けさせて貰います」

 

「っ!ほ、ほんとか!?」

 

了承を貰えたことに対して喜びのあまり少し前のめりになる。

 

「は、はい……」

 

それを見て目の前の久賀妹が身体を引く。

 

「す、すまん……つい」

 

「あんた、殺されたいの?」

 

隣から殺気の様な圧が飛んでくる。

 

「マジですみません……そんなつもりは無かった」

 

「と、ところで、私に渡して欲しい手紙?は今持っておられるのですか?」

 

「あ、ああ……鞄に入っている」

 

いつでもと備えて鞄の中に入れていた紙を渡す。

 

「確かに受け取りました。後は九重家の人……恐らく舞夜姉のお姉さんの九重澪さんに渡すことになるかと思います」

 

「頼みます」

 

どうにか受け取ってもらった事に頭を下げる。

 

「話は終わり?それじゃあ帰るわよ二葉」

 

「……うん、取り敢えずは」

 

「今日は受けてくれてありがとう。それと、手紙の件頼みます」

 

「はい、何かあればまたこちらの玖方の先輩を通してご連絡しますので」

 

最後に頭を下げ、妹の方から部屋を出て行く。

 

「………、一つ、アドバイスをしてあげる」

 

姉の方も出ようとする直前に立ち止まり、背を向けたまま話し出す。

 

「あんたが他の世界で舞夜とどう接してきたのか知らないけど、あんたは九重舞夜という人間を知らなすぎ。それがいつか致命傷になるわよ」

 

「………」

 

「それと、失敗したらあんたを許さないから。死ぬ気で向かい合うことね」

 

それだけを残して部屋を出て行った。

 

「……ふぅー……、一先ずは乗り切ったな……」

 

「えぇ、妹さんに救われた形にはなるけど、なんとかね」

 

「結城もすまんな。変な場面に同行して貰って」

 

「私が望んだ事だから気にしないで。ただ……想定以上なのは認めざるえない」

 

「平気か?姉の方、めっちゃ怖かっただろ?」

 

「ほとんどがそっちに向けられたのだから私は平気。……それだけ友達想いということでしょうね」

 

「だな、ついでに妹想いもだったけど」

 

「同感。それで、今後はどうするの?」

 

「あー、向こうからの連絡待ちかなぁ?それまで動けないし」

 

「了解。私の役目は、向こうと連絡を取り終えるまでね」

 

「そう、なるのかもな。それで大丈夫か?」

 

「ええ、ここからは舞夜の個人的な領域になる。そこに許可なく土足で踏み込む様なことをするつもり無い。それが許されてるのは貴方だけ」

 

「俺も踏み入れられてるのか正直怪しいけどな」

 

「……さっきの彼女の言葉かしら?」

 

「まぁな、確かに俺は九重を取り巻く環境や状況については他より少しは知ってるかもしれない。けど、あいつ本人については本当に知っているのか……言われて改めて疑問に思った」

 

「普段私達に見せている彼女の姿が全てでは無い」

 

「そうなるな。勿論いつもの九重も一面には違いないだろうけど」

 

「人は誰しもペルソナを持っている者。その仮面を時と場合で使い分けるのは当然と言えば当然ね」

 

「だな」

 

「あなたはそれを剥がし、彼女の本心を知りたいの?」

 

「どうだろうな……。さっきはあんな風に言われたが、無理にそうしたいとかは思ってはないんだ。ただ、九重にはもっと色んな事を知って楽しんで欲しい。それが率直な気持ちだ」

 

「……そう。私に協力出来る事があるならいつでも言って。力になる」

 

「ありがとう。早速なんだが……良いか?」

 

「ええ、何?」

 

「実は少し前に九重にデモハン勧めてさ、俺とか結城と一緒にやろうぜって言ってるんだよ。ゲーム機も買って今は特訓中らしい」

 

「私は構わないけど……ランク上げを手伝えば良いの?」

 

「いや、多分そっちは勝手に上げて来るから大丈夫だと思う。近い内に一緒にやろうぜってお誘い」

 

「その位なら。因みに彼女は何を使ってるの?」

 

「俺の部屋で試しにやらせた時はハンマーだったな」

 

「初心者向けとは言えないわね……」

 

「わかる、渋いよな。切れ味が低いなら鈍器で殴った方が良いとか言ってたわ」

 

「リアル思考ね、彼女」

 

「天然とも言えるかもな」

 

「そうね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?ほんとに良かったの?」

 

「なにが?」

 

「何がって、にいm……あいつに協力する事に対してっ」

 

「良いも何も、もう承諾しちゃってるし……それに、あの人の本気度、見たでしょ?」

 

「そりゃ、私が幾ら殺気を向けても普通にしてる位だしそれなりの覚悟で言っているのは理解してる。けどね?」

 

「お姉ちゃんの言いたい事は分かるよ?今後の方がもっと困難だし、成功率も大して高くない……でしょ?」

 

「……私達がその手紙を渡して場を作るって事は、あいつが九重家の人達と直接会うってことなのよ?無事で居られると思う?」

 

「正直、怪しいかも……でも」

 

「でも?」

 

「舞夜姉が言ってたイーリスを倒した人達なら、ご当主様達とも直接会っても乗り越えられる。ううん、乗り越えて貰わないと……」

 

「はぁ……あんたって時々鬼畜よね」

 

「そうかな?そっちが優しすぎると思う」

 

「別にそんなんじゃないわよ。……そうね、彼らは普通の一般人とは言えない戦いを終わらせた者達だったわね」

 

「見た目や雰囲気は一般人にしか思えないけど……記憶を引き継いでいるあの人だけは目の奥に強い意志を持ってる」

 

「その程度であの一家を説得できるとは思えないんだけど……」

 

「その時は……期待外れだったってこと?」

 

「あんた……実はあの男の事嫌ってるの?」

 

「……だって、ズルいし」

 

「はぁぁ~ーー、全く……仕方ない子ね」

 

「っぷ、ちょっと、歩きながら頭に腕回さないで……!」

 

「そんなんならなんで受けたのよ」

 

「私は別にあの人の味方って訳じゃない。舞夜姉のお願いに従っただけ」

 

「優先順位の話ね」

 

「……うん。だから私はそれを受け入れる」

 

「あんたの舞夜大好きはどうにかならないものかしらねぇ……」

 

「だからお姉ちゃんも無理して付き合う必要は無いよ?」

 

「馬鹿言わない。こんな可愛い妹だけに任せて静観するわけ無いでしょ」

 

「お姉ちゃんこそ、妹大好きをどうにかした方がいいと思う……」

 

「無理ね。だってお姉ちゃんだもん!」

 

「ふふ、そうだった。……ありがとね」

 

「二葉の姉として当然のことをしたまでよ。気にしなくて良いからもっと頼りなさい」

 

「うん、いつも頼りにしてる」

 

 

 





次回も多分翔視点……かも?

与一の連絡先の件も徐々に近づいて……きっと結末は変わらないんだろうなぁ。こればかりは幾らオーバーロードがあっても剪定出来ない運命に違いない……。

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