9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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本編とは別の九重家の話が少し登場します。

こういうことしている程度の認識で適当に読み流して大丈夫です。





第2話:あの日のコスプレ衣装って九條先輩が着る為だけに用意されたのでしょうか?

 

 

次の日の土曜日、昨日おじいちゃんに相談した結果、仕事に駆り出されました……。

 

「いやまぁ、言ったのは私だし良いんだけどねぇ……」

 

感覚を戻すなら実戦が早いと言わんばかりに今日行われる仕事に半ば無理矢理私を組み込んでしまった。今から向かう担当の人達には申し訳ない気分である。

 

目的の場所に到着し、声を掛ける。

 

「おはようございまーす。九重舞夜です」

 

「ん?ああ、舞夜様ですか。話は昨日の時点で聞いておりますので、どうぞ奥へ」

 

見張りの人に通され中に入る。

 

「お、来たか」

 

「おはよっ、しげさん!今回はしげさんの担当なんだね。」

 

目の前に居るのは九重 (しげる)さん。四十代の顎髭を生やした私的にナイスガイの人である。

 

「おうよ、舞夜ちゃんが来たのなら今回のは楽に終わりそうだな!」

 

「すみません、急に割り込んでしまって……」

 

「若いのが気にすんな。あの爺さんのいつもの事だからな、いちいち気にしていたら胃がもたねーよ」

 

「いえ、今回は私が希望しちゃって……」

 

「ん?舞夜ちゃんがか?確か暫くは不参加で居るって聞いていたんだが……」

 

「実は、近々個人的な戦いがあって……最近あまり動いてなかったのでおじいちゃんに相談したんですよ」

 

「ははーん、なるほどな。舞夜ちゃんとしては手合わせ程度を期待してたらこんな結果にと?」

 

「一応こうなるって半分ぐらい予想は出来ていたんですけどね」

 

「なら諦めな。それと、今日はよろしくな」

 

「はい!足を引っ張らない様に頑張りますね?」

 

「ははっ、その心配はしてないから安心しな」

 

笑いながらお互いに握手を交わす。

 

「さてと……、舞夜ちゃんは今日の内容は聞いているか?」

 

「いえ、現地で聞けと言われています」

 

「やっぱりか。こんな早めに来るって言ってたからそうだと思ったぜ」

 

「因みに今日の決行は何時ですか?」

 

「22:00だ」

 

「あは、あと九時間程度ありますね……」

 

「だろ?それで、どうする?」

 

「内容聞いて決めます。多分一度外には出ると思いますが……」

 

「了解。そんじゃ説明するから憶えて行ってくれよ?」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

「うーん……準備があるから九時前には戻るとして、あと六時間以上あるなぁ……」

 

しげさんから説明を受け、その後軽く雑談をしてから一旦街に出る。時間的には昼が少し過ぎた辺りだった。

 

「取りあえずお腹を満たしながら考えるとしましょうか」

 

何を食べようと考えたが、以前ナインボールで先輩が食べていたビーフカツレツを思い出して自然と足がナインボールへと向かう。

 

「もしかしたら九條先輩が居るかも……いや、今の時間帯は確か居ないんだっけ?それに……」

 

記憶を掘り返すと、確か昨日天ちゃんが泊まったのなら、メビウスのアニメを見て九十九神社へ向かっていたはず。成瀬先生が翻訳した資料から何かヒントを得るためにと。

 

「それでお昼にナインボールに行ってそこで文献を漁って……」

 

それなら尚更行くべきである。私もその探りを手伝ってしまおう。しかも時間も潰せて一石二鳥だ!

 

「アーティファクトについて知らない私が居ると二人は話しづらいかもしれないけどね」

 

そこは目を瞑って貰おう。どのみち家に帰ってソフィーに直接話を聞くことになるからその前には解散すれば良い。

 

「よしっ、早速突撃だ」

 

ナインボールに向かっている速度が自然と早まった。

 

お店に着き、ドアを開け中に入り店員の人に案内され席へ向かう。……あ、居た。

 

「天ちゃん、こんにちはー」

 

奥の方で座って居る新海兄妹に声を掛ける。

 

「んん?あれ、舞夜ちゃん?」

 

「ん?九重か、昼めしか?」

 

「はい、お昼を食べに来たら偶然顔見知りのお二人が居たのでつい声を掛けてしまいました。そちらは……何やらお調べ物を……?」

 

「まぁな。白巳津川の昔の資料を読んでる」

 

「それはまた意外な物を……。天ちゃんはどんなのを読んでるの?」

 

「私はそっちの現代語訳したものをだね」

 

「へー、どんな感じの?少し読んでみても良いかな?」

 

「いいけど、何にも面白い事は書かれてないよ?」

 

「へいきへいき、気になっただけだから」

 

天ちゃんからファイルを受け取り、自然な流れで隣に座る。

 

「……これは、この土地の伝承にまつわる物ですか……」

 

成瀬先生が書かれたと思われる論文に目を通しながらページをめくっていく。

 

「これ、アニメのメビウスリングに割と近いんだね、そりゃ伝承を元に作ったアニメだから近くなるのは当たり前なんですけど……」

 

「九重もあのアニメ見ているのか?」

 

「はい、しっかりと二十五話全部鑑賞し切りましたよ?」

 

「えぇ……あのアニメを?舞夜ちゃん凄いね」

 

「確かに用語が意味わかんなくて頭に?マーク沢山だったけどね!でもちゃんと理解してみたらそれなりに楽しめたよ?九十九神社の成瀬家のおじいちゃんから聞いた話との差分とか考えたりしてみたりとか出来たしね」

 

「あの爺さんの話をわざわざ聞きに行ったのか……?」

 

「二時間も拘束された時は流石にしんどかったですけどねぇ!あはは」

 

「沙月ちゃんの言う事聞いて正解だったね……」

 

「ああ……マジで」

 

お互いに目を合わせ、苦笑いをしている二人。成瀬先生の気遣いに救われていたみたい。

 

「ん?って事は、九重はこの土地の伝承を知ってるのか?」

 

「聞いたり調べた限りにはなりますがある程度は……一応アニメの事も解説出来るくらいには覚えてますよ?」

 

必要と思って一応自ら調べてはいる。役に立つとは一ミリも思っていなかったが……。

 

「じゃあさ、じゃあさ、あのアニメの敵組織の目的って何なの!?」

 

隣の天ちゃんが喰いつくように質問を投げかけてくる。

 

「………さぁ?私もよくわかんなかったんだよね、実は。結局最後まで答え出さずに終わっちゃったし、不明?」

 

「うわぁ……最後まで訳わかんないままなんかよ……」

 

「設定は結構ブレブレだったしねぇあれ。用語も多かったし、世界観は嫌いじゃなかったけど」

 

「作画とかは良かったんだよねぇ……」

 

「話をぶった切ってすまんが、九重は何か食べないのか?」

 

「あ、そうでした」

 

ベルを鳴らして店員さんを呼び、決めていたビーフカツレツのセットを頼む。

 

「お、それを頼んだのか」

 

「先輩は食べました?」

 

「ああ、美味かったぞ」

 

「ナインボールのはどれも美味しいので心配してないですよ?」

 

「それもそうだな」

 

「お二人は見た感じ……ナポリタンですか?」

 

「美味しかったよー?下に卵焼きがあってさっ。超おススメだね」

 

「鉄板でそれは美味しそう……。天ちゃんのおすすめだし、今度食べてみよっと」

 

注文も済ませたので再び資料漁りに戻る。

 

「因みに、何目的でこれを読んでるの?」

 

「ええっと、ほら、最近変な事件多いしね?学校の火事もそうだし……公園でのも」

 

「確かにそうだね……人が石になったり、不自然な火事が起きちゃったり……まるでアニメの話みたいな事が起きてるね」

 

「そうそう、ネットでもそんな話が出てるし検証してみようかなって思って」

 

「なるほどぉ……それでこんな昔の資料を」

 

パラパラとページを捲りながら天ちゃんの話を聞く。

 

「何となく分かりました。アニメみたいな事が起きているからその元になっている土地の伝承を調べてみたという事ですね?」

 

「そんなとこだ。人の石化に続き火事だ、気になってもおかしくない」

 

「確かに変な火事でしたもんねぇ……」

 

何やら私に探りを入れてそうな先輩の視線を気づかない振りをしつつ会話を続ける。

 

「九重はそういった不思議な体験はしたりしてないのか?」

 

「私ですか?んー…いえ、特に思い当たらないですね。もしかしたらさっきの二つの印象が強すぎて忘れてるだけかもしれませんが」

 

「そうか。そういえば不思議体験と言えば、この前九條も会ってたな」

 

「え、九條先輩もですか?」

 

「ほら、ここで前に話した髪飾りの話だよ」

 

「ああー!あれですか、覚えてますよ。確かにあれも含まれると言えばそうかもしれないですねっ!あれはあの後進展ありましたか?」

 

「まぁ、一応解決した形になってる」

 

「そうなんですね。それなら安心しました」

 

「ここ最近変な事が多いから、もしかしたらほんとに超能力みたいのが居てもおかしくないかもな……」

 

最後に溢す様に呟き、手元のコーラを口に付ける。

 

「それならお二人がしている事に意義がありそうですね~。石になった人や学校のもそれなら納得出来そうですし」

 

探りを入れようとしている先輩に対して、隣の天ちゃんが『え、にいやん?』みたいな目で見ている。

 

その顔を盗み見していると、ポケットに仕舞ってあるスマホから通知音が鳴る。

 

「すみません、私のです」

 

画面を開き、内容を見る。

 

「……あー…」

 

「どしたの?何だか嫌そうな顔だけど」

 

「ううん、予定してた用事の変更と言うか……早まったというか……」

 

「あ、そうなんだ。時間大丈夫そう?」

 

「まぁ、まだ大丈夫かなぁ~?お昼食べる位は……。という事でお二人には申し訳ないのですが、ご飯食べたら私は立ち去りますね?」

 

「りょーかい。何かは知らないけど、用事頑張ってね~?」

 

天ちゃんからの応援を聞きながら、スマホに書いてあるメッセージに対して返事を打ち返し、ポケットに仕舞う。

 

うーん。折角の至福の時間が……。せめてご飯だけでも味わってから行くとしましょうか……。

 

 

 

 

 

昼食を食べ終え、二人に別れを告げ来た道を戻る。

 

「九重舞夜です。先ほどの変更を聞き、戻りました」

 

受付に通され中に入る。中には既に数人と、しげさんが居た。

 

「舞夜ちゃんか。すまんな、戻って来て貰って……」

 

「ううん、変更が起きたのは仕方ないから気にしないでください。それに人手いるでしょ?」

 

「ああ、きな臭い話だ。もしかしたら戦闘向けの人員が必要になる」

 

「急に会談に割り込んで来る……しかもその相手は私達に対してでしょ?」

 

メッセージで軽く見たが、詳しく聞くと……今回元々予定していた会談があった。相手はそこそこ名が知れ渡っている武闘派……裏家業にも手を伸ばしている組織である。最近、九重家のナワバリに手を出した事が問題になり、話し合いが行われることになった。多分いざこざが起きるだろうと予想があったので私も来たんだけど……。

 

「それを突然キャンセルにして、別の会社と……?」

 

「そうだ。しかも謝罪付きだ。昨日まではオラオラ言っていたのに急に手の平を返す様に謝って来たとのことだ」

 

「単純にこっちの事を知ってビビったとか?」

 

「そりゃ馬鹿だろ?寧ろこの一家を知らずにこの裏世界で生きてくとか無理があるだろ」

 

「それもそうだよね。知らずに喧嘩してきてるなら組織として長続きしないもんね……。その組織に上位的な組織が居たとかは……?」

 

「ん?ああ、そう言う事か。下っ端が勝手に喧嘩仕掛けたのを上が止めたってことか?残念ながらそれも無いな。居たら把握しているし、向こうの奴らのトップが謝っていたから多分上は居ないだろう」

 

「変な話だねぇ……。その別の会社って言うのは……?」

 

「ここ最近で業績を伸ばしている会社だな。結構な勢いで市場を席巻して行っている」

 

「……せっけん?石鹸……?」

 

「勢力範囲を拡大してるって事だ。石鹸を売っているわけじゃないぞ?」

 

「なるほどです」

 

「確かに勢いのある会社ではあるんだがなぁ……」

 

「何か疑問に思うの?」

 

「そうだな、ここの社長は女性なんだが、少し前からこっち側の人間とも多少なりとやり取りはあった。あくまで細々とな?しかしここになっていきなりガッツリ首を突っ込んでくるのは想定外と言うか……」

 

「調子に乗っちゃったのか……」

 

「こっちのと会談を辞めてまでも向こうとのを優先したくらいにはいい話があったのかもしれないな」

 

「それを今から調べに行くってことかぁ……」

 

「基本的には諜報だけだが、念のためな?」

 

「待ち時間長くなりそうで嫌だなぁ……」

 

「それと、今回の場所はここだ」

 

資料と、場所の写真が数枚テーブルに置かれる。

 

「……え?ここって九重のお店じゃ……?」

 

「面白いだろ?どうぞ聞いて下さいと言わんばかりの姿勢だ」

 

「これは確かにきな臭いね……。見ようには喧嘩売ってるようにしか見えないし……」

 

「向こうの会談の時間まではこっちで可能な限り情報は整えておくから舞夜ちゃんはお店の担当を頼む」

 

「了解しました、私の他に割り振られる人は居ますか?」

 

「客席に二人、厨房に一人は居る。外には散らせて配置する予定だ」

 

「急な事だし仕方ないですね」

 

「ほんとな。もし戦闘になっても舞夜ちゃんが居るし取りあえずは問題ないだろ?」

 

「お店を壊したくは無いんですけどねぇ……あはは」

 

「一応、武装はして行けよ?」

 

「分かってますよ、下に着込む位はしていくので」

 

「そんじゃあ、一旦解散とする。時間までには店に張り込んでくれ」

 

「はい、任せてください」

 

 

 





お家のお仕事のお話、その前半編ですね。次まで続きます。

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