9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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物語の進展期です。

もう少し良い所で区切りたかったのですが、これ以上は文字が多くなりそうなので、一旦投稿します……。




第4話:やっぱり、白より黒の方が好みだなぁ……

 

 

「ふぁ~あ」

 

土曜日の一件が過ぎ、遂に月曜日がやって来た。

 

例の女社長の件は一旦おじいちゃんに丸投げするという形で収まった。私の方は今日からが重要なので余計なことを抱えない様にとの配慮だと思う。その内調べ上げてくれるとの事だったので大丈夫だろう。

 

昨日は昨日で、夜に今後の流れを確認していた。天ちゃんの枝か、香坂先輩の枝か……。後者なら九重家としてそれなりに動くことになるので人員を割かなければならないしね。

 

教室に着き、クラスメイト達と挨拶を交わしながら席に座る。天ちゃんはまだ来てないね……。

 

いつ来るかと待っていたが、結局来たのは予鈴のほんとギリギリだった。尾行任務おつかれさまです。

 

午前の授業が終わり、昼食を取る。

 

「あれ、天ちゃん。今日はいつもの弁当じゃないんだね?」

 

「たまにはこういうのも良いかなぁ~って思ってさ」

 

「なるほどねー、毎日弁当だと憧れるもんね。コンビニの昼ご飯って」

 

「あ、そうそうっ。一回やってみたかったんだよね~」

 

「私はいつもの可愛い弁当も好きだなぁ。お母さんが毎朝作ってくれてるの?」

 

「うん、そだよー。可愛いんだけどねぇ……個人的にはちょっと恥ずかしいんだよね」

 

「あ~……。それは確かに。物凄く凝ってるよねぇ……。毎回今日はどんなのかって密かな楽しみだったり……」

 

「え、娯楽扱いになってるの?私の弁当……。でもまた明日から戻るから大丈夫!」

 

「楽しみにしておくねっ」

 

果たして、本当に明日から弁当に戻るのかな?

 

今日の事を考えながら、昼食を楽しんで行った。

 

 

「んーーー。ようやく終わったぁ……!」

 

最後のホームルームが終わり手を組んで背伸びしながら体を後ろに倒す。前の席の天ちゃんは急ぐようにそそくさと支度をしていた。

 

「お、何か急ぎの用事でも?」

 

「あ~、そんなとこかな?この後ちょっと人と会う予定があるから先に帰るね~?」

 

「はーい、お気になさらず~。また明日っ」

 

「うん、またねー」

 

お互いに手を振りながら別れる。……さてと、私も動きましょうかね?

 

今から香坂先輩の尾行をしてから、先輩達と合流。その後は九十九神社に調査へ行きます……と。

 

鞄を持ち、教室を出ようとする。

 

「……ん?」

 

廊下に出ていく瞬間に背後から視線を感じた……が、特に気にする様な気配では無かったためそのままスルーし歩いて行く。今はそれに構っている暇は無いしね。

 

校門を越えた所で、新海先輩と九條先輩と出くわした。

 

「あ、先輩方!さようならで~す!」

 

手を振るこちらに振り返す九條先輩と手を上げるだけの新海先輩を見て学校を後にする。

 

「……そろそろ良いかな?」

 

鞄からイヤホンを取り出し耳に付ける。えっと……番号は……。

 

「こちら舞夜です。今学校から出ました。現状況をお願いします」

 

『現在目標の二人は教室にまだ居ます。それと……少し前に監視対象の新海天をロストしました』

 

「ああ、天ちゃんか……。多分能力を使ってるはずです。暫くは消えたままだと思いますので、三年の二人を引き続きお願いします。私も準備次第向かいますので」

 

天ちゃんの存在感の操作をバッチリ食らっちゃってる感じだね。まぁ、当然か。

 

通話を切り、一旦家へ戻り準備を始める。

 

「んーー、何か必要かなぁ……?少しはじゃれ合うかもしれないけど……いつもの一式は過剰だし……着込む必要もないよね?」

 

あっても精々拳が飛んでくる程度だろう。……小物を用意していくだけでいっか。

 

髪留めを付け、ポケットにペンを二本引っ掛ける。ホルダーは……スカートだし見えちゃうか、やめとこ。

 

「よしっ、多分おっけー!」

 

手入れは行き届いてるし問題も無し!

 

「おっと、連絡だ」

 

後は待つだけだと思った瞬間に通話が飛んできた。

 

「はい、舞夜です。はい……二人は九十九神社方面へ……はい。他はナインボールに居ると……?了解です」

 

報告を終え、通話を切る。

 

「という事は、あと30分程度しかないってことか……ゴーストさんの位置は良く分からないから放置でいっか」

 

幻体の位置を常時把握は流石に不可能なので今回は対象から外しておいた。重要なのは天ちゃんの動きだからね。

 

学校向けの靴を履き、玄関を出る。そろそろ夕日で空が染まり始めようとしていた。

 

 

 

 

対象たちの動きを随時更新しながら九十九神社へと向かう。

 

『新海天が白蛇九十九神社へ入りました。現在、司令官とエンプレスは既に待機中です』

 

「ぶっ、は、はい……ありがとうございます」

 

連絡が来たが、何故か高峰先輩と香坂先輩の名称が変なのになってた。いや、誰ですか?笑わせに来てるでしょ?急に言うとか卑怯じゃん……。教えたのは私だけどさぁ。

 

唐突なボケに吹き出しながらも神社へ足を踏み入れる。先輩二人は境内辺りだから……天ちゃんはその手前……身を隠せる場所に居て、なおかつ、これから入ってくるゴーストさんには見つかる地点で潜伏しようとしていると……。

 

能力を使っているので姿を視認できない可能性が高いため、ある程度の目星を付けてから進んでいく。

 

「………あ、居た」

 

もう少し時間がかかるかと思ったが、あっさりと見つかった……と言うか普通に姿見えてるのですが?え、能力を使ってる?

 

何とも言えない気持ちが湧き出てくる。うーん、天ちゃんの能力って割と看破されやすいのかなぁ?でも視界外に行かれると認識しづらくなると思うんだけど……。

 

簡単に見つけられたので結果オーライと考え、背後から声を掛ける。

 

「あっれ?天ちゃん?そんなとこで何してるの?」

 

気配を消してる私に声を掛けられたので驚くように体を跳ねらせた。

 

「うぇえっ!?え、舞夜ちゃん……?え……なんでここに?」

 

「ちょっと散歩?用事があってね。そしたら何だかこそこそしてる天ちゃんを見かけたんだよねー。確か今日人と会う予定だったよね?ここが待ち合わせ場所だったり……?」

 

「ぇえー……なんで普通に見えるの……?えぇえ……?」

 

普通に見つかった事に衝撃の顔している。小声だけど一応聞こえてるよ?

 

「どうしたの?めちゃくちゃ驚いている様に見えるけど?」

 

「あ、いや、何でもないっ。それよりちょっとこの後私、やる事があるから出来れば立ち去ってもらえないかと……」

 

「あ、そうだね。人と会うもんね。邪魔しちゃダメだよね?」

 

話していると、背後から人が来る気配がする。

 

「うん、ほんとごめんね?」

 

「ううん、気にしないで?私が邪魔しちゃっただけだし……」

 

近づく気配はもうすぐそこまで来ている。……そろそろこちらを認識できる距離だよね?

 

「おい、てめえら。そこでなにしてやがる」

 

ようやくお出ましかぁ……。

 

「え?」

 

天ちゃんが、自分に向けて話しかけられているのに驚きながらもそっちを見る。

 

「お前らふたりだよ。こそこそするみたいに隠れやがってよ」

 

ゴーストさんが、乱暴な口調でこちらに向かって来る。後ろの天ちゃんが怯えた声を出す。

 

「……誰ですか?いきなり話しかけて来て……」

 

行く手を塞ぐように前に出る。

 

「お前らこそ誰だよ。向こうの様子を窺うように隠れてる奴がいんだ。そりゃ声もかけるだろ?」

 

「……最近、ここの神社に夜遅くまで居座る人達が居るって聞いたので、それを確認しに来ただけです」

 

「なるほどなぁ。今日、このタイミングでそれを見に来たってことか?」

 

「はい、何か気に障ったのでしたら謝りますので……」

 

「はっ!バレバレの嘘ついてんじゃねぇよ。俺たちを探りに来たんだろ?」

 

「探りに……?確かに様子を見る為の探りと言えばそうなりますが……」

 

「ぁあ?とぼけんのか?そっちの奴は明らかにバレたって反応してんぞ?」

 

後ろを振り返ると、明らかに動揺した表情の天ちゃんが居た。……あは、可愛い。

 

「天ちゃん……?」

 

「っ!……この子は関係ない」

 

「ああ?関係ない?んなわけないだろ」

 

「ーー騒がしいな。何かあったのか?」

 

 ゴーストさんと言い合っていると、騒ぎを感じ取った高峰先輩……もとい司令官が来た。

 

「ゴーストよ、そちらの二人は?見た所、君が連れてきたようには見えないが……」

 

「こそこそと俺たちに探りを入れている様だったからな、何してんのか聞いてんだよ」

 

「ほぅ……?私達を」

 

うーーん、このねっとりボイス……。笑ってしまいそうだ。

 

「なるほどな。つまり、私達が今日ここに集まる事を知っていたというわけだね?」

 

「……いえ」

 

「嘘を付く必要は無い。と、なると……君たちも私達と同じという事で良いのかな?」

 

「なんのことですか?」

 

取りあえずとぼけてみたが、横に居る天ちゃんが驚くような表情を見せた。

 

「そちらの彼女は素直の様だな」

 

「あっ……」

 

「……ふむ、私達の事を嗅ぎまわっていた……。AFユーザーは二人だけかな?もし他にもお仲間が居るのなら呼んで貰っても構わないが」

 

「おい、何勝手な事言ってんだ?」

 

「私達の他にも居るのなら会うべきだろう?同胞なのだからな」

 

「けっ、くだらねぇ」

 

心底詰まらなさそうな顔をしてゴーストさんは奥へと向かう。

 

「さて、今呼び出して貰っても構わない。そちらのお仲間に連絡したまえ」

 

「……天ちゃん。お願い出来る?」

 

「え、でも……」

 

「天ちゃんが一番頼りになる人にお願い。直ぐにでも駆けつけてくれる人だと助かるなぁ……?」

 

「う、うん……分かった……っ」

 

慌てる様に鞄を漁り出す。その様子を見ながら先輩と天ちゃんの間をキープする。

 

「何、手荒な真似はしないから安心したまえ。もっとも、キミらが大人しく従ってくれるのであればな」

 

「ちゃんと、従いますので……こちらに乱暴はしないで下さいね?」

 

後ろを見ると、スマホを耳に当てて電話を掛けている天ちゃんが居た。

 

『もしもし』

 

通話が繋がり、先輩の声が微かに聞こえる。

 

「……っ、お兄ちゃん、ごめん……っ!」

 

『待て、どうした、なにがあった?』

 

「貸してくれるかい?」

 

すると、横から高峰先輩が天ちゃんのスマホを取る。

 

「キミか。彼女らにこそこそと嗅ぎ回らせていたのは」

 

『誰だ』

 

「キミはAFユーザーだな?」

 

高嶺先輩の質問に沈黙が訪れる。

 

「沈黙は肯定と受け取ろう。ユーザーであるのならば、資格がある。神社に来い。白蛇九十九神社だ。そこで話そう」

 

『妹に代われ』

 

「傷つけるつもりは無い。直ぐに会えるさ。では、神社で待っている」

 

『おい待っーー』

 

用は済んだのか会話途中で通話を切る。

 

「ありがとう、これは返すよ」

 

スマホを返す高峰から恐る恐る天ちゃんが受け取る。

 

「さて、彼が来るまで待っていようか?何、さっきも言った様に危害を加えるつもりは無い。こっちだ」

 

私の腕を掴み境内へと引っ張る。

 

「天ちゃん、大丈夫?」

 

私の後を申し訳なさそうに着いてくる天ちゃんに声をかける。

 

「舞夜ちゃん……ごめんね?巻き込んじゃって……」

 

「あはは、気にしないで?逆に天ちゃん一人でこんな目に合わなくて良かったって思ってるよ?」

 

「っ!……ほんとごめんね」

 

「だから気にしないでって~。あ、不安なら手でもつなごっか?これなら安心だよ?」

 

半分泣きそうな天ちゃんの手を無理やり掴む。ああー、柔らかいです。女の子の手って感じ……!……もう少し握っても許されるかな?

 

「それに先輩もすぐに来てくれるんでしょ?大丈夫だって、この人も危害加えないって言ってるしね?」

 

「そうだな。大人しくしてくれるのであれば保証しよう」

 

「ほら、こう言ってるし」

 

「……うん、分かった」

 

しょんぼり顔の天ちゃんも可愛いですなぁ……。不謹慎極まりないけど。

 

境内に入ると、さっき居たゴーストさんと香坂先輩が居た。

 

「そちらが先ほどゴーストさんが仰っていた……」

 

「ああ、今、お仲間を呼んで貰った。じき此処に来るだろう」

 

「そう……」

 

香坂先輩が私の方を見てきた。取りあえず笑顔を返しておく。

 

「あの~先輩?出来れば腕を掴んでいる手を放して頂けると助かるのですが……」

 

「ん?別に構わないが……」

 

「大丈夫です。逃げるとかそんなこと考えていませんから。そもそも逃げれるとも思っていません」

 

「なら良いだろう。ここで大人しく待つことだな」

 

取りあえず腕を解放してもらった。

 

「ありがとうございます」

 

先輩方から天ちゃんが一番遠くになるように位置取り、間に立つ。

 

「どう?落ち着いた?」

 

「う、うん……少しは……」

 

「なら良かった」

 

「舞夜ちゃん、ほんとにごめんね?」

 

「もう……それ二度目だよ?ほんとにわたしは気にして無いからね?変に罪悪感感じなくて良いからさ」

 

「でも……巻き込んじゃったのは本当だし……」

 

「ううん。天ちゃんはそう思ってるかもしれないけど……私は巻き込まれたとか全然思ってないよ?」

 

「……?」

 

「これも新海先輩と九條先輩が言ってた石化事件関連でしょ?それなら協力している身だから無関係じゃないよー?」

 

「確かににぃにから聞いているけど……そうじゃなくて……」

 

「おい、ぺちゃくちゃ喋ってんじゃねーよ」

 

天ちゃんと喋っていると、気に障ったのかゴーストさんが口を挟む。

 

「っ!」

 

天ちゃんが怯えた様に顔を伏せる。……このアマ、折角の時間を邪魔しやがって……コロスぞ。

 

「なんだよ、なんか言いたいんなら言えよ」

 

「……いえ、何でもありません」

 

危ない危ない。先輩らが来るまで大人しくしておかないと……。

 

「最初からそうしてれば良いんだよ、ったく」

 

「ゴースト、彼女らを怖がらせる様な事はよしたまえ」

 

「誰がてめぇの言う事聞くかよ。お前も黙ってろ」

 

うざったそうに背を向けるゴーストに高峰先輩が小さくため息を付く。

 

「すまないね、怖がらせてしまって」

 

「いえ、私は大丈夫です。私は……ですが」

 

「ほう?強がっている様には見えないな」

 

「この位でしたら、特に何とも思わないのでお気になさらず」

 

「ふむ、興味深い……君の名前を聞いても?」

 

「九重です」

 

「九重……もしかしてあの九重かな?」

 

「どの九重のか知りませんが、この街で護身術を開いてる家ならばそれです」

 

「なるほど、キミは九重流護身術を嗜んでいると見て良いのかな?」

 

「……そうですね。その認識で問題無いです」

 

「納得した。それなら多少の火の粉は振り払えるだろうな。因みになのだが、そこの護身術ではどの様な事を?」

 

「おい、何呑気に会話始めてんだよ?しかもてめえからよ」

 

「彼女の事が気になったのだ、未知を知りたいと思うのは当然であろう?」

 

「心底興味湧かないな。くだらねぇ」

 

「キミはそうかもしれないな。私はこれでもそれなりに嗜んでいてね、自分以外の人がどの様な事をしているのか興味があるのだよ」

 

「そうかい……勝手にしろ」

 

機嫌悪そうな態度で元の位置に戻る。カルシウムが足りない?いや、高峰先輩と話してるからかな?

 

「それで、先ほどの続きなのだが……」

 

先輩らが来るまでどうしようかと考えていたが、高峰先輩からの質問ラッシュで、意外と時間を潰せたのであった……。

 





遂に登場、高峰連夜!

EpisodeⅠでは名前と死体はご登場していたのですが、生身ではここが初めてかと……。

次は……多分、中二病バトルが……きっと来るかと。

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