9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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神社での一悶着後、その次の日ですね。




第6話:香坂先輩みたいな人とも話せるようになる修行をすべきでしたか……?

 

 

「そろそろ大丈夫かな?」

 

あの後、帰宅し、高峰先輩、香坂先輩が家へ着いたことを確認し終え、先輩に結城先輩の連絡先を送るついでに天ちゃんの様子を確認する。

 

『天ちゃん大丈夫そうですか?』

 

送信してから数分後に返信が来る。

 

『さっきまでは落ち込んでいたけど、今は大丈夫そうだ。ありがとな』

 

『元気そうになって安心しました。流石は天ちゃんのお兄さんですね』

 

『長年兄をやってるだけはあるからな。それと、俺たちが来るまで天を励ましてくれたって聞いた。色々ありがとう』

 

『気にしないで下さい。成り行きとはいえ、大事な友達を守れたので私としても嬉しいです』

 

『あまり私と話してても天ちゃんがかわいそうなので、今日はこの辺りで失礼します。また明日にでも今後の事をお話しましょう。おやすみなさいです』

 

『ああ。助かる。おやすみ』

 

やり取りを終え、スマホをテーブルに置き、ベッドに寝転がる。

 

……能力明かす気は無かったんだけどなぁ。ちゃんと考えればあそこで私が前に出る必要は無かったし、結城先輩が来るまで普通に待つのが一番簡単だった。

 

でも、天ちゃんが高峰先輩達に怯えていたのを見て、ムカついたのも事実だし……。ううん、あそこでユーザーとバレることで能力者の数が増えた。つまりはヘイトの分散が出来たと考えれば悪くは無いと思う……。いや、流石に言い訳にもならないか。

 

「やっぱり……単純にムカついたんだよねぇ……」

 

先輩に任せるのが一番良いとは分かってるけど、私だって何かしたかったんだろう。それがあの結果だったというわけだ……。

 

「……寝よ、こういう時は寝てリセットするのに限る」

 

まだ天ちゃんのか香坂先輩のかすら決まっていなかったのに、軽率だったと反省をしながら寝る支度を始めた。

 

 

 

次の日、いつもより早めに登校し、学校の空き部屋へ侵入していた。

 

教室には既に何人かの生徒が居たし、廊下で会話するわけにも行かなかったので前々から目星を付けていた場所でやり取りを行う。

 

「こちら舞夜です。新海兄妹はどうですか?」

 

『少し前にコンビニで昼飯を買って、現在仲良く登校していますねー。まだ舞夜さんが言ってた三年とは出くわしてないですね』

 

「そう……出会って先輩から手紙を受け取った時にまた連絡して。その後は繋ぎっぱでお願い」

 

『はいはいよ。自分も登校のついでなので良いんですが……なんで自分でしないんすか?』

 

「事情があるの。私の仕事……と言えば納得してくれる?」

 

『うへぇ……、それなら聞かないことにしてきます』

 

「うんうん、知らずに働いてた方が楽だからね。それじゃあよろしく」

 

連絡を一旦切り、他の人から連絡が来ていないか確認する。

 

「……おじいちゃんの方は、少しずつ進んでいるみたいだね」

 

例の女社長の件は時間が勿体ないという事でこちらから商談を持ち掛け、炙り出そうとしている様だ……私の事があるとはいえ強引だなぁ。

 

あれから二か所とやり取りをし、全て有利に進んでいて、活動範囲を広げているみたいだけど……それが目に余るといろんな場所から言われている……が、何故かいざこざが起きない。と……これはほぼ確定かな?

 

後で詳しく聞きに行こうと考えていると、連絡が飛んでくる。

 

『対象が手紙を受け取りました』

 

「了解、会話が聞こえる距離まで近づいて」

 

「聞き取りたい内容は、手紙に書かれているLINGのやり取りをどっちが行うか……それだけは聞き逃さないでね」

 

トン。と声では無く振動で返事を返してくる。

 

「男なら一回、女なら二回」

 

緊張の時間が流れる。暫くすると、向こうからトン、トン、と二回叩く音が返ってくる。

 

「二回……天ちゃんね。ありがとう、もう離れていいよ」

 

『もう大丈夫っすか?』

 

「うん、途中で先輩が変わるとかそんな事言わずに終わったんだよね?」

 

『ですね、そのまま妹さんの方で話は終わったみたいですよ?』

 

「了解。確認ありがとね」

 

『これくらい問題ないっすよ。では切りますね』

 

連絡を終え、すぐさまおじいちゃんにメッセージを飛ばす。

 

『この世界は二本目』

 

『了解した。また後で話し合おう』

 

「さてと……私も教室に戻ろかな?」

 

天ちゃんがやり取りを行うのならこの枝は決まった感じだね。後で直接確認もしておこう。最悪今日一日でどちらかの枝かはわかるしね。

 

空き部屋から出て教室に向かい、席にて天ちゃんを待つ。

 

「舞夜ちゃんおはよ」

 

「あ、天ちゃんおはよっ。昨日は大変だったねー」

 

「あ、うん。昨日はありがとね?」

 

「あはは、お互いさまってことでいいよ。それより、昨日から何か変わった事あった?」

 

「んーー、一応あったかな?」

 

「お、なになに?」

 

「あとでにぃにから連絡するとは言ってたんだけど、昨日の神社に居た三人の内の1人と連絡とることになった……」

 

「え、なにその急展開?え、何があったの?」

 

「えっと、あのエンプレスって呼ばれていた人居たじゃん?あの人」

 

「あ、ああ~、お嬢様口調の人だね」

 

「そうそう。ほい、これが朝に貰った手紙の内容」

 

手紙を受け取り、内容を読んでみる。

 

「……これは、謝罪文?あとこっちと話がしたいと……?」

 

「そう言うこと、だから取りあえず連絡取ってみようかなって」

 

「なるほどー……ほんとに急展開だねぇ」

 

「私もそう思う」

 

「あくまでLINGでの話し合いだし……危険は無さそうだね。何かあったら私にも教えてね?」

 

「うん。ありがとね」

 

その後、お昼休みに一度、『これ、どういう意図だと思う……?』と言われてメッセージ内容を見せて貰ったが、そこにはぎこちない会話……というか香坂先輩からのマシンガン……いや、一回一回をめっちゃ書いてくるなこの人……。

 

「……うーーん。単純に会話をしたいって思えるんだけど……この感じなら」

 

「やっぱりそうなんかなぁ?勧誘に見えないよね?」

 

「これで勧誘してるつもりなら、逆に巧妙に見えるね」

 

「だよね……」

 

その後もちょくちょくやり取りしている場面を見かけながら気が付くと放課後になっていた。

 

「天ちゃん、帰ろ?」

 

「あ、うん。ちょっと待ってね」

 

席を立ち校門へと向かう。

 

「あれからどうだったー?」

 

「なんか好みの話とか色々あったけど、直接謝りたいから今日会わないかって言われた」

 

「ほほぅ……。動き出した感じだね」

 

「取りあえずにぃにとみゃーこ先輩にも相談して決めてみようかなって」

 

「それが良いね。どこかで待ち合わせしてたり?」

 

「放課後に校門で待ち合わせだね」

 

「そっか、了解」

 

そういえばお昼に誘って貰ったグループで話していたような……?

 

 校門に着き、暫く待つと、新海先輩の姿が見えた。

 

「おっ、にぃに~!」

 

隣の天ちゃんが嬉しそうにブンブンと手を振っている。

 

「二人ともはやいな」

 

「おつかれさまでーす」

 

「おう、おつかれ」

 

「みゃーこ先輩は?」

 

「まだ。友達と話してたし、もう少しかかるかもな」

 

「そっか。ぁ、来たよ。みゃーこ先輩来た」

 

校門内を見ると、駐輪所に行くとジェスチャーをする九條先輩が視界に入った。……駆け足姿も可愛い……。

 

少しして自転車と共に戻って来る。

 

「ごめんなさい。お待たせしました」

 

「ぜんぜんぜんぜん。今来たとこ~」

 

「揃った事だし、端に寄るか。ここだと邪魔だし」

 

「あ、そうだね」

 

端に寄り先輩の自転車のスタンドを下ろした所で本題を話し始めた。

 

 

 

 

 

「メッセージも送ったとこだし、早速ナインボールへ行きまっしょい」

 

「九條、九重、天を頼むな」

 

「任せて下さい!私は同席なので天ちゃんには指一本触れさせませんよ?」

 

「うん。新海くんは?近くまで一緒に行く?」

 

「いや、俺はもうちょい学校に残って司令官を探してみる。活用できるか分かんねぇけど、名前ぐらいは知っておきたいよな」

 

「じゃあ、ここで解散だね」

 

「呼んだらちゃんと来てよね!絶対だよ!」

 

「分かってるって。適当に調べたら近くまで行く」

 

「絶対だかんね!よしっ、それじゃいこっ!」

 

「新海くん、また後でね」

 

「ああ、気を付けて」

 

「先輩、先輩」

 

「ん?どうかしたのか」

 

歩き出した二人に続かず、先輩に話しかける。

 

「単独行動は危険です。くれぐれも人気の無い場所に行かない様にお願いしますね?」

 

「ああ、分かってる」

 

「もし、危険と思ったら大声で助けを呼んでください。それから……昨日の三人の素性、私の方でも探ってみます」

 

「おう、ありがとな」

 

「ではっ、また後程~!」

 

「あとでな」

 

先輩に手を振りながら天ちゃん達と合流する。大丈夫だとは思うけど念のためにね。

 

お店に着き、待つ事十分程度。扉が開いたのを見ると、香坂先輩が入って来た。

 

「お、来たみたいだね」

 

「だね。先輩、こっちです」

 

席を立ち、手を上げて場所をアピールする。顔を伏せていた先輩がこちらに気づき、コソコソとやって来た。

 

「どうぞ、席へ。あ、何か飲まれますか?」

 

席を引き座ったのを確認し、戻る。

 

「ぁ……いえ、ぁの、だ、だ、大丈夫です」

 

「そうですか。分かりました。あ、天ちゃんは?おかわりとか」

 

「ううん、私も平気だよ」

 

「おっけー」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

無言で天ちゃんがこちらを見る。私も苦笑いで返す。……しかたないなぁ。

 

「えっと、まず自己紹介でもしましょうか?私は九重舞夜、一年です。こちらが新海天ちゃん。同じ一年です」

 

「あ、……ぇ、えっと、……こ、こ、こ……こう……」

 

「先輩、大丈夫です。ゆっくり落ち着いてからで平気です。全然待ちますから」

 

「ぁ……はい。……こ、こう、さか、は、……はるか、です……」

 

「香坂先輩ですね。その様子だと三年の方みたいですね」

 

「は、はい……」

 

「今回、直接会いたいと聞いたのですが……」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

無言で天ちゃんを見る。不思議そうな顔が返って来た。

 

これは……言い辛いのかな?うーん。

 

「内容は恐らく………昨日の事、で合っていると考えています。直接謝りたい。と……」

 

「そ、その……。き、きき、昨日は、ごめんなさい……」

 

「……天ちゃん」

 

「ぅえっ?あ、ああ……私は全然気にしてないですよ?大丈夫です」

 

「私も大丈夫です。寧ろ司令官さんとわいわい話せたので楽しかったですよ~?」

 

「いや、なんで舞夜ちゃん楽しんでるのさ……」

 

「………」

 

「………」

 

うーむ。静まってしまわれましたか。どうしたものか。

 

取りあえず、飲み物を飲みながら場を濁す。

 

だが結局、その後は会話は続かず、「後でまた連絡します」と言って帰ってしまった。

 

「……帰っちゃったね」

 

「そうだね、分かったのは学年と名前だけ。後は謝罪くらいだね」

 

「取りあえずにぃにに連絡送るね」

 

「うん、お願い」

 

想像以上にコミュ障だった香坂先輩。人格入れ替えれば楽だったのだが、あれはあれで厄介そうに思えなくもない。

 

「用件も済んだし、私は帰ろうかな?」

 

「え、舞夜ちゃん帰るの?」

 

「うん、この後家族に会う予定があってね。早めに済ましておこうかなって」

 

「そうなんだ。ごめんね?付き合わせちゃって……」

 

「天ちゃん一人でいかせる訳にはいかないからね。結果的に1人でも大丈夫だったけど……」

 

「確かに……あんなんじゃこっちが悪側だよ」

 

「あはは、ほんとにね~」

 

天ちゃんと別れて店を出る。少し離れた場所にお家の車が止まっていたので後部座席に乗り込む。

 

「すみません、お待たせしました」

 

「お時間は問題ありません。それでは向かいますね?」

 

「うん、お願いします」

 

車が走りだした所で、これからの事を考える。

 

これからは天ちゃんが香坂先輩をお昼に誘ったり、家に招待したり……兄妹仲を深めたりして、いつだっけ?少なくともGW前にゴーストとひと悶着……その為には先輩が深沢与一に高峰先輩の事を聞く必要がある。

 

うーん、逆に言えば深沢与一に聞かなければ、あの日ゴーストとひと悶着は無くなる……?いや、それだと香坂先輩とも会わなくなるし……でも先輩に危険が及ぶ可能性が……。

 

……槍の一発、避けてたし、もし当たっても問題無いかな?

 

一応動向は常に探っておかないと……ここは原作の様に決まったストーリーと油断するのは良くないと思う。

 

「取り敢えずは明日次第……?確かお昼だっけ?」

 

お昼なら絶対会話のついでに聞きそうだし、無くすのは無理そうかな。……私がお昼に誘う?いや、天ちゃんと食べるし駄目。

 

「……まぁ、何とかなるでしょ」

 

そのために、今動いているんだし。

 

 





~その後、後部座席にて~

「新海先輩と結城先輩の方のやり取りも見たかったな……」

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