9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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主人公も実はユーザーになりました。

今は物語を進める為に出番は無いですが……。主人公のストーカーに近い行動が始まります。


第2話:これは偶然では無くて必然と言います

 

朝、目が覚める。というかあんまり眠れなかった。それも仕方ない……まさか自分もユーザーになるなんて誰が予想できたのでしょうか。使い方を覚えようと少し能力を触ったが、あまり使い過ぎない様にと好奇心を止めて横になった……が、色々と気になりすぎて寝つきは良くなかった。

 

「あ~……取りあえず準備しよっと……」

 

重たい瞼を擦りながら起きて最初に軽くシャワーを浴びて眠気を飛ばした。

 

「お腹もすいたし何があったっけ?」

 

冷蔵庫を開け中身を見る。卵とかソーセージがある。サラダを作る材料もまだあるためその3品で良いかと思い、プライパンをIHに置き電源を入れる。

 

「パンもあったっけ」

 

横の棚から使いかけの袋から1枚取り出し、適当にトースターに突っ込む。

 

「うぉっと、危ない危ない」

 

振動でパンの袋が落下したが、宙でそれを取り、落下を防ぎつつ反対の手では卵を焼いていく。

 

「くぅぅ~……いい匂いがしてきたなぁ……」

 

焼ける匂いと音が空腹を刺激する。やばい空腹でおかしくなりそうだよ。

 

我慢が出来ずに焼く前のソーセージを1つ食べる。うん、いけるいける。

 

朝食の準備を終え、一人で食べ始める。

 

「日本の朝って感じが堪らないよね……憎いよ日本って奴は……」

 

生まれ変わっても日本に生まれた事を静かに感謝する。こうしてまた馴染み深い味が毎日食べれる事が嬉しい。

 

「ごちそうさまっと、さてと、今週も頑張りますか」

 

食べ終えた皿を水に付け置き、家を出る。少し冷たい風が体を通り抜けていくが眠たい体には丁度良いかも……。

 

通学路を通り、学校に向かう。特に何事も無く教室に付き既に来ているクラスメイトに軽く挨拶を交わす。

 

席に着いて周囲の会話に耳を傾けると昨日のフェスや地震の話がほとんどだった。聞いている感じだと大きな事故は起きていないそうだ、一番の被害はやっぱり神器だったのだろう……。

 

暫くすると教室の扉が開き、一人の人物が入ってくる。私の席の前に座り声を掛けてくる。

 

「おはよ~」

 

「おはよう天ちゃん昨日の地震大丈夫だった?」

 

皆と同じように話題になっている話を持ち出す。

 

「地震?うん、大丈夫だったよ?なんか神社の神器が壊れて大変だったみたい」

 

「そうなんだ……、昔からある物らしいからなんだか残念だねぇ……」

 

「成瀬先生はそうでもなかったみたいだけどね」

 

「巫女さんなのに、それは大丈夫なのかな…?」

 

「どうだろ、今は頑張って直そうとしてるみたい」

 

話に華を咲かせているとチャイムが鳴り、一斉に席に着き始める。私の前にはゲームのヒロインである天ちゃんが座っている。運よく後ろになった……とかでは無く、権力と実力でもぎ取った。前の席も考えたが常に視界に捉えれる後ろが良いと考えこの席にした。更に最初に声を掛け即座に友達となった。新しい学園生活でも最初の友達作りは勇気がいる。それが向こうからやって来たのなら拒む理由はないと読み切っての作戦だった。

 

うん、今日も可愛らしいと思います。流石はヒロイン。一番キャラとしては好みである人と同じ学園生活を謳歌出来るとか前世で徳を積み過ぎたとしか思えない。いや、今世の前半が酷かった分の反動かな?

 

何だかいい匂いがしている気がすると感じながら時間が過ぎるのを待った。

 

 

 

よしっ!帰ろう!

 

授業が終わり、早速席を立つ。苦痛と快楽の時間を終え帰る準備をする。

 

「天ちゃん、帰ろ?」

 

「あ~、うん。でもわたし今日行くところあるから駅までになると思う……」

 

「そうなの?了解、それじゃ駅まで送るよっ」

 

並んで歩きながら雑談を交わしつつ帰宅していく用事とは恐らく兄である新海先輩の家に突撃することなのであろう。それを周囲にあまり知られたくない為に濁した言い方をしている。愛らしい、超可愛い。独占したい欲が出ているからか、後ろめたい気持ちからかは分からないがどちらにしてもごちそうさまです。

 

「それじゃあここまでかな、また明日ね」

 

「うん、またあしたー」

 

駅で天ちゃんを見送り、来た道を戻る。正確にはナインボールから学校までの道のりをだ。タイミングと選択肢を間違っていなければ二人と会えるかも……程度の淡い期待だが。

 

ナインボールを過ぎ、学校と中間位の距離になった時、前から2人組がこちらに来る。

 

「あ、九條先輩」

 

自転車を歩きながら牽いている先輩にこちらから声を掛ける。

 

「舞夜ちゃん?」

 

私が反対から来たことを不思議そうに見てくる。

 

「隣の男の人は……もしかしてデート中でしたか?」

 

「あ、いや、そういうのじゃなくて……その……」

 

こちらに事情が言いにくそうに言葉が詰まる。

 

「九條の後輩か?残念だがそういう関係じゃないな。ちょっと色々あって俺が送ることになった」

 

「そうなんですか……、あ、すみません、わたし九重 舞夜(ここのえ まや)って言います先輩の祖父が開いている喫茶店の常連です」

 

「九條の……?ってなるとナインボールか?」

 

「そうです、学生にとっては神様みたいなお店でいつもお世話になってるんですよねー。もしかして先輩もですか?」

 

「ああ、ほぼ毎日通っているレベルだな」

 

「ですよねー。それで……、先輩のお名前をお聞きしても?」

 

「すまん、言いそびれた。新海翔、九條と同じ2年だ」

 

「新海先輩ですね……了解です、私の事は九重でも舞夜でもお好きに呼んでください」

 

「りょうかい、九重って呼ばさせてもらうわ」

 

「はいです、………所でですが、新海………妹さんとかいますか?1年に」

 

「ん?一応同じ学校に妹はいるが?」

 

「もしかしてですが………新海天って名前では?」

 

「……もしかして同じクラスメイトか?」

 

「妹さんにはいつもお世話になっております。お友達です、はい」

 

「これはまた凄い確率を……どうか仲良くしてやってほしい……兄からのお願いだ」

 

「それはもうっ!任せて下さい」

 

よし、これで途切れない接点を持つことに成功した。

 

「あ、あのー……」

 

「ああっ!ごめんなさい、ほったらかしにしてしまって……!」

 

「あ、ううん。それは大丈夫だけど」

 

「何か事情があるみたいですし詳しくは聞かない事にしますっ」

 

知っているが知らないふりで通す。

 

「九條、一応九重にも話すか?昨日俺と同じように見せたんだろ?」

 

「う、うん……お店で新海くんと同じように聞いてるけど……」

 

「なにやら込み入った話みたいですね……続きはナインボールとかでどうでしょうか?道筋的に目的地だと思うのですが……」

 

「そうだな、九條送るついでだしそうしようか」

 

 

 

 

 

お店の前で九條先輩と別れ、一緒にお店に入る。店員さんに案内してもらい奥の席を探して座る。

 

「それでそれで、どういったお話でしょうか?」

 

九條先輩が来るまで待とうかと思ったが、直ぐに来ることだしそのまま聞こうとする。

 

「ああ、実はだな、昨日九條から見せて貰ったアクセサリーあるだろ?」

 

「ありましたね、髪飾りみたいな綺麗なやつですよね?」

 

「そうそう、九條曰くその髪飾りがな……」

 

「お待たせ」

 

「ああ……あれ?バイトは……?」

 

私の横の席に座り、恥ずかしそうに話し始める。

 

「バイト……今日じゃなかったの……」

 

俯きながらもじもじしている。なにこの可愛い生き物。コロス気でしょうか?

 

「あー……勘違いかぁ……よくあるん?」

 

「……ううん、初めてやっちゃった」

 

顔を赤らめて笑いながら答える。はーー可愛い。可愛い過ぎるぞ先輩、あざとい。

 

「そっか、まぁなんだ……あんなことがあったんだし、しょうがないよな」

 

正面の先輩が慰めるようにフォローをする。

 

「九條先輩がそうなるほどって、何があったんですか?」

 

「そうだったな、えっとさっき言った髪飾りだけどな……」

 

 

 

 

 

「へぇーそれは確かに怖いですね。まるで呪われた人形みたいですね」

 

二人から話を聞いたが私の知っている情報と同じであった。まぁアーティファクトだし持ち主に戻ってくるのは当然だよ先輩。

 

「それで九重にも何かあったりしたか?」

 

「私ですか?うーん、特に無いですね。健康面もばっちりですよ?」

 

「そっか、ふたりに何もないのなら大丈夫なのかな……?」

 

「成瀬先生が言っていた通り縁起の良いもんかもな」

 

「先輩はその縁起物に選ばれたってことですね、九條先輩の人柄なら神様からの贈り物の持ち主になっても不思議じゃないと思いますよ」

 

「う、うん……そうだと……いいな」

 

思い悩むように言葉を出す。最初は盗人の力だと思っているから嬉しくはないんだろうな……ごめんなさい。

 

その後、2人の初対面の話や先輩のあだ名の話で盛り上がり解散することになった。

 

「それじゃあ帰りましょうか」

 

「それじゃあ、また明日」

 

「はーい、九條先輩も気を付けて帰って下さいねー」

 

「先輩も帰りますか?」

 

「ああ、そっちは?」

 

「夕方ですし私も部屋に戻りますよ」

 

「もしかして1人暮らしか?」

 

「はい、親を説得して今年念願の1人暮らしです。その雰囲気ですと先輩もみたいですね」

 

「だな俺も去年入学してからだよ」

 

「何か生活での知恵みたいなのってありますか?」

 

「あー、俺が言える事かぁ……」

 

「家事とか?近くにあるおすすめのスーパーとか?」

 

「最初は自分で作っていたんだがな……」

 

「ああー、なるほどです。色んな面から考えて辞めたんですね」

 

「そうなる。だから俺からこれと言って言える事はないな、九條に聞いてみたらどうだ?同じ女子だし」

 

「それだと1人暮らし関係ないですよ?」

 

「それもそうだな」

 

会話が途切れない様に可能な限り話題を作っていく。昨日の話や入学後の学校での過ごし方など。

 

「……ところで九重、帰り道大丈夫なのか?」

 

「?私の帰り道もここであっていますよ」

 

話続けていると、一向に言い出さない私が気になったのか声を掛けてくる。同じマンションですし。

 

「……えっと、俺、ここが住んでるとこなんだが……」

 

「え……?ここですか?」

 

先輩がマンションを指さしながらこちらを向く。

 

「えっと、あの……私もここなのですが……」

 

困惑と驚きの表情をしながら先輩へ返事をする

 

「まじかぁ……そんなことあるんだな」

 

先輩も同じく驚きながらも一緒にマンションに入る。

 

「あー…その、なんだ、付いて来てるってことは、同じ階なのか?」

 

「えーっと、はい。そうみたいですね……」

 

お互いに歩き出し、部屋の前で止まり確信し合う。

 

「まさかのまさかだな……こんなにご近所さんとは……」

 

「私も驚きです。天ちゃんのお兄さんが同じマンションだなんて……」

 

互いに気まずそうな空気を出しながら部屋へと戻った。鞄を片付け、制服を脱いで洗濯物に出す。代わりに予備の制服を用意する。

 

暫くすると先輩の部屋の扉が開く気配がした。誰かと話している様で片方は明るめの高い声……これは天ちゃんか。ああ……今からモックに行くんだった。

 

冷蔵庫を開け、今週の献立を考える。

 

「あー、野菜もそろそろ切れそうだし、お米が今週持ちそうにないなー」

 

ナインボールで飲み物を飲んだからか、まだ空腹ではない。

 

「今の内に買い物に行こっと」

 

素早く普段着に着替えてから、近くのスーパーへと向かった。

 





既に都先輩のBADが確定してしまっている世界ですが、それをどうにか出来ないかと色々行動をし始めていきます。それはそうと朝のご飯の匂いはどうしてあんなにも脳に来るのでしょうか……。

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