明けましておめでとうございます。※既に10日過ぎているが。
新年一発目は特に進展なしの回でございます。プリンを食べる回……?
「んん~食後に食べる甘いものは別格ですね~」
「うまーい、あまーい。糖質すごーい。絶対後悔する~」
夕食を食べ終え、帰りにコンビニで食後のデザートを買い、先輩の部屋で天ちゃんと一緒にプリンを食べている。
「舞夜ちゃんのは普通の?」
「だね、カスタード強しって感じの王道だよ。そっちはクリームのやつだよね」
「そそ、とろーりの上が白いプリン」
「めちゃくちゃ甘い奴だよねっ」
「これは絶対後悔する……でもおいしい。そういえば、駅中にもプリン売ってるお店無かった?電車乗る時に見かけるんだけど……」
「あるよ、えっと……確か"糖尿病の素プリン"だったような……?」
「なんだその血糖値やばくなりそうな名前のプリンは……」
「先輩は見たことありません?」
「俺は天を送る時に改札までは行くときあるけど……あったかなぁ」
「あ、あった。舞夜ちゃんので当たってた」
スマホで調べた天ちゃんが画面を見せてくる。
「あ、そうそう。これこれ」
「へぇー、案外普通の見た目なんだな。もっとえげつないかと思ってた」
「逆に言えば、この見た目の中に濃縮されているってことですよね……」
「そうとも言えるな」
見た目が普通なのが逆に怖く見える。謎のオーラを漂わせている気がするよこれ……。
ヤバいプリンを恐ろしい目で見ていると、テーブルの上に謎の違和感を感じて目を向ける。
「ん?ああ、ソフィが来る合図だ」
謎の空間からへんてこなぬいぐるみが現れる。なるほど、これがソフィー人形かぁ。
「一触即発だったじゃない。不用心ね」
人形の口が開くと、そこから説教が飛んでくる。
「……悪かったよ。確かに、不用心だった」
「あら、素直ね。ま、いいわ。無事だったんだし」
「なにかわかりましたか?」
「ええ、貴方たちに、暫くお休みをあげるわ」
「ん?」
「お、おやすみ?」
「そ。フードのあの子に、接近しないように。アーティファクト探しも、しばらくいいわ」
「え~と……戦力外通告?」
「ええ、そうね」
ソフィからの通告を受け、ショックを受けた表情のお二人。プリン美味しい……。
「反論しないところを見ると、客観的に自分の力量を測れているようね」
「あいつ……少なくとも攻撃的な力を持っているだろ。俺たちには無いし、防御も出来ない」
「そうね。それにあの子、アーティファクトを複数持っているわ」
「え、一人一個じゃないの?」
「いいえ、そんな制限はないわ」
「じゃあ……まだあいつが魔眼のユーザーである可能性は、残っているのか」
「そうね。というか……限りなくあの子でしょうね。魔眼を持っているのは」
「名前とかは?分かったんですか?」
「いいえ」
「手こずっているのか?」
「認めたくないけれど、そうね。道理でソラの能力が効かないはずだわ。あの子幾重にも能力を重ねている」
「エンチャント。防御が堅い?」
「そういうこと。どうやら……想定していた中でも、最悪の相手みたいね」
「……まじかよ、そこまでかよ」
「アーティファクトの数も、知識も、あなたたちはあの子の足元にも及ばない。ミヤコと……ノアだったかしら。二人にも伝えておきなさい」
「……ああ、わかった」
「よろしい。話はこんなとこかしら。あなたたちをこのまま放っておいたりはしないから、安心しなさい。色々わかったら、教えに来てあげるわ」
ソフィの話が終わったのを見計らって、声をかける。
「あの、最後に時間、良いですか?」
「あら、何かしら」
「質問というか、実際にあったのは初めてなので、一応ご挨拶をしておこうかと。私、九重舞夜と申します」
「ご丁寧にどうも。よろしく。私の事はソフィで構わないわ」
「分かりました。これからもよろしくお願いします……そちらの世界ではこちらの握手的手段って何かあったりするんでしょうか?」
こちらでは一般的には握手だが、国ごとで流れは変わる。となれば世界が変われば別の手段が……?
「こっちの世界のでかまわないわよ」
「あ、はい」
差し出した手に人形の手がちょんと触れる。……うーん、流石に温かくはないか。
「じゃあね。ちゃんとおとなしくしていなさいよ」
先輩の「ああ」と同時にまた謎の空間に入っていった。
「………」
「……さてと」
「うわぁ、にぃやんが超シリアス顔!それに対して舞夜ちゃんは何事もなくプリン食べるのを再開してるぅ」
「ん?あぁ……いや。お前をどうするべきか考えてた」
「へ?なに?どうするべきかって」
「あんまりここにはこないほうが良いかもな」
「え~っ!なにそれ!なにそれ!」
「今日はいいけど、明日は家に帰れ。あいつの活動圏内にいない方がいい」
「なんだよぅ!そうやってみゃーこ先輩と二人っきりになるつもりだなっ!」
「真面目に言ってんだ」
「おぉぅ……。なんだよぅ……怖い顔して……」
真剣な表情を察したのか茶化すのを止めてしんなりし始める。
「天」
あ、今の耳元の囁きボイスでありそう。天ちゃんなら言い値で買いそう。
「……ぅう……わかったぁ」
「うちに寄るくらいは良いが、これからは明るいうちに帰ること。いいな?」
「……わかった」
「先輩、もしご心配でしたら私が駅まで天ちゃんを送り届けましょうか?」
「九重が?いや、それだとそっちが帰る時がまた危ないだろ」
「私なら多少問題無いです。能力を発現出来ていない新海先輩よりユーザーと接敵した時は有利かと」
「おい、妹の友達にまで舐められてんぞ」
「言い返せないのが何ともなぁ……それに、九重が俺より強いってのは火事の時ので知ってるし」
「え、何かあったの?」
「暴走してたユーザーを蹴り飛ばしてた」
「あ、ちょっと……」
「え、マジ?」
「ああ、マジだぞ。背後から蹴って、その後のボールみたいに何度も」
「うわぁ……勇気あるなぁ」
「せ、せんぱい?天ちゃんが引いてるから……」
「しかも更にヤバかったのが、暴れるユーザーを大人しくさせるために、踵をーー」
「っ!せいっ!」
「ぅっぐ!!?」
これ以上はイメージに関わると思い、背後からヘッドロックを決める。
「これより先は、先輩の命と引き換えです……」
「何今の……動きめちゃ早かった」
「ま、まて……冗談、冗談だ」
「本当ですか?そう言って離したら続きを言うつもりではありませんか?」
「いや、ほんとほんと。だからギb……いや、何でもない」
「……?そのまま締め上げて良いのですか?」
「舞夜ちゃん、そのまま息の根止めちゃってっ。このクソ兄貴、後頭部の胸の感触を味わってやがる!」
「ッ!?」
「なるほどです。つまり先輩現在、天国と地獄を味わっている。と言うわけですか。これですかっ?この感触が良いんですかぁ?」
「っ!っく!」
後頭部に胸を押し当てるたびに自然と首への負荷が強まる。
「ああ、もうっ!今度は舞夜ちゃんが遊ばない!ほら、離れて離れてっ」
「はーい」
「ぷはっ!死ぬかと思った……」
「そのまま逝けば良かったのに……」
「先輩が余計な事を話そうとするからです」
「嫌がることなのか?かっこよかったと思うぞ?」
「いや~、あの場面は普通はドン引きじゃないですか?」
「少なくとも俺が助かったのは事実だしな」
「それは、まぁ……そのつもりでしたので……はい」
個人的にはちょっとなんとも言えない気持ちである。
気持ちを落ち着かせる為に目の前のプリンを食べる。うん、甘い。
「ま、でも実際、舞夜ちゃんも気を付けないといけないし。お互いに早く帰るのが無難ちゃ無難だよね」
「これからゴールデンウィークですし、その間だけでもお互いに気を付けましょうってことで」
「だな。明日二人にも話しておこう」
「ゴールデンウィークどうしようかなぁ」
部屋に戻り、ベッドでゴロゴロしながら連休の予定を考えていた。
「5月4日は仕事があるとして……うーん、天ちゃんと一緒に出掛けようかな?最近、近くに新しいスウィーツ系のお店が出来たって言っていたし、それを食べてから隣のモールをぶらついたりしようかな」
善は急げと早速メッセージを送っておく。
「明けた6日は夜にゴーストとの遭遇だし、それまでは一応暇になる……私も実家で過ごそうかな。澪姉とどこか出かけるのもありだね」
おじいちゃんに連休は家に何日か帰る連絡と、澪姉にも似た連絡を送る。
「こんなもんかな。今日はソフィーとも顔合わせ出来たから心置きなくアーティファクトの回収が出来る出来る」
今日まで確実に勢力を広げている女社長。多分ゴールデンウィークでも勢いに乗って拡大していくのだろう。
だが、残念ながらその人の勢いはここまでだろう。私がアーティファクトを回収してお終いになる。それが無くても九重が動くと決まった今では私関係無しに叩きのめされると思う。
「どんな能力か気になるなぁ……楽しみ」
原作の知識には無いアーティファクトと出会うと思うと、少しワクワクしている自分が居た。
「天、お前は帰んないの?」
「ん~どうしよっかな」
「いや、さっさと帰れよ」
「それよりさ、にぃにはゴールデンウィーク家に帰るの?」
「一応そのつもりだ。ここよりは安全だと思うからな」
「そっか。いつ帰るの?」
「多分明日か明後日には帰るつもりだ」
「それならにぃにが帰るまで泊まろうかな。実家に帰る時に一緒に帰る。どう?良いんじゃない?」
「いや、何がどうだよ。早く帰ってくれ」
「でも、にぃにを一人にしたらみゃーこ先輩とか春風先輩連れ込むからなぁ……」
「アホか。そんなことするか」
「腕組まれてデレデレしてたじゃん!」
「全然振りほどかなかったじゃんっ。さっきだって舞夜ちゃんに首絞められてた時に胸の感触楽しんでたし!」
「いやだって、なぁ?あれだよ、あれ」
「いや、どれだよ」
「それが男ってもんだよ」
「うわぁ、また開き直りやがった。最低のクソ野郎だ、妹の友達にセクハラしてたって広めてやる」
「おまっ、やって良い事と悪い事があるだろっ!それに、あれは九重からしてきたからセクハラじゃねぇ!」
「結局、にいやんは何を言おうとしてたの?舞夜ちゃんが止めてたけど……?」
「ん?ああ、さっきの奴か」
「うん。廊下であの火事の時のユーザーがどうって」
「なにさらりと聞き出そうとしてんだよ、友達が知られたくないって口止めしてんのに」
「だって~、気になっちゃったんだもん~。聞いたって言わないから、教えて?」
「別に面白い事でも何でもないぞ」
「大丈夫」
「火事の時、俺が暴走したユーザーのアーティファクトを奪おうとして、どこにあるか押さえつけて探してたんだよ」
「ふむふむ」
「そしたら、そいつが暴れ出してさ、俺が抑えようとした時に九重がそいつの顔面に踵落としを食らわせたんだよ」
「え、まじで」
「しかもこれが結構な威力でさ。地面と九重の足の間をバウンドするみたいに跳ねて大人しくなった。そして九重が俺に笑顔を向けて……」
「ゴ、ゴクリ……」
「"これで……大人しくなりましたね?"って言ったんだ。爽やかな笑顔だったのを今でも覚えてる」
「なにそれ、こわ」
「その後は暴走した炎を一人で捌ききったりとか凄い事をしていたらしい。これはソフィから聞いただけで見てないけどな」
「それでにぃにより強いって言ってたのか……」
「九條も"護身術していて強いよ"って言ってたから本当なんだろうな」
「あ~……、火事が起きた時も一人だけ冷静だったし、犯人見に廊下に出て行ってたしね」
「何はともあれ、心強い味方って事だ」
「それは確かに、何にも能力が無い兄貴とは大違いですな」
「ほんとになぁ……。俺も何か使えれば良いんだけど、未だにさっぱりだからなぁ」
「まぁ、がんばりなよ。特異点さんっ!」
「ぼちぼち頑張るとするかぁ……」
ソフィと顔を合わせた事によって心置きなく女社長からアーティファクトを奪い取って納品することが可能になりました。
次回からはゴールデンウィークでのイベントを2つ位書いて、連休を明けようかと考えております。