9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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オレオオーバーロードって本当にあった商品とは……。




第11話:そっちがその気ならば、さっさとご退場させます

 

 

「そろそろ集合時間だね」

 

スマホで時間を確認しながら改札前で人を待つ。

 

「それにしても、大型ショッピングモールがあるからなのか、休日だからなのか、人が溢れているなぁ」

 

今はゴールデンウィーク真っ最中。連休という事で旅行や家族でお出掛けをしている団体を結構見かける。デカいキャリーケースなどを持っている人があちこちですれ違った。

 

「ごめん、おまたせ」

 

周囲を観察していると、改札から目的の人物が来る。

 

「あ、天ちゃん。時間ピッタリだし大丈夫だよ」

 

「いや~、連休だから人が多くてさー、掻き分けてくるのが大変大変」

 

「ゴールデンウィークだもんねぇ、旅行の人を沢山見かけたよ」

 

「旅行かぁ……いいな、いつか観光地とか行ってみたいかも」

 

「いいよねっ、テレビとかで見る観光地とか行ってみたいよね。あと雪とか!」

 

「それそれ!積もってる雪とか見てみたいよね~」

 

旅行や観光地、名所の話で盛り上がりながら目的地に向かう。

 

「場所までどのくらいかかりそう?」

 

「大体10分以内?徒歩で行ける距離だし適当に歩いてればその内着くよ」

 

「舞夜ちゃんが分かってるなら大丈夫そうだね」

 

「わざわざ行動範囲から外れた場所を選んだからね」

 

今日はいつも住んでいる範囲から少し離れた場所までやってきている。理由はゴーストに接触しない為である。

 

「それにしてもにぃにも心配症だよねぇ、わざわざここまでしなくても良いのに」

 

「出来る限り可能性を下げたいって考えは理解できるから何とも言えないんだけどねー」

 

天ちゃんを遊びに誘った時に、新海先輩から出た条件が、『ゴーストと接触しない為にいつもの範囲から離れた場所で遊ぶこと』だった。他にも人の少ない場所を歩かないとか、暗くなる前に帰ってくるとか細かいのはあったけど、要は用心しろってことになる。

 

「私的にはこういう新しい場所に来るのはそれはそれで楽しいからありだよ」

 

「まぁ、確かにそうだけどね」

 

「先輩も誘ったけど流石に来なかったね」

 

「昨日の夜に『いや、女子の買い物に俺も?行かないから楽しんで来い』って言ってた」

 

「そんな難しく考える必要無いのにね」

 

「ねー。変な気を遣っちゃって」

 

駅から歩いていると、一際目立つ建物が見えてくる。

 

「あ、あれが目的の場所だよ」

 

「おお~でっか」

 

「服とかご飯、上には確か映画も見れるって書いてあったね」

 

「映画かー、今何かやってるっけ?」

 

「幾つかやってたよ。深海を探索している最中に化け物に襲われるやつとか、スパイ映画……あと極道、任侠ものだね」

 

「へーそうなんだ」

 

「アニメとかのもやってるみたい。最近人気のが映画化とかだね。ザ・ムービーって感じで」

 

「あ、それ聞いた事ある。超能力バトル物だよね?」

 

「そうそう、とある街で地震が起きてしまったせいで神器が……」

 

建物に着き、中に入る。

 

「うひゃぁー、やっぱり人が多いなぁ……」

 

「仕方ないね、そんじゃ、そこら辺ブラつきますか」

 

「服とかは二階だって。一階は化粧品系だね」

 

「化粧品は今は必要ないかなー。では、二階にレッツゴー!」

 

 

 

 

 

買い物を終え、二人で建物から出る。

 

「いやー、色々あったねー」

 

「服が夏に向けてのが多かったね」

 

「可愛いのあったからつい買ってしまった……」

 

「お手頃値段だったし、店員さんの話術にまんまと乗せられちゃったねー」

 

「舞夜ちゃんは何か買った?」

 

「私?小物を少々……って感じかな?」

 

「何買ったの?」

 

「髪留めとか?あと小道具とかとか」

 

「へぇーそゆの好きなの?」

 

「なのかなぁ。目についたらついつい手に取ってしまうんだよねぇ」

 

「それわかる」

 

雑談を交わしながら歩いていると、先の通路にカラフルな車を見つける。

 

「ん?どしたの……なるほど、クレープ屋か」

 

「滅茶苦茶目立つ車だなって思ったら移動販売のお店だった」

 

「せっかくだし、何か食べる?」

 

「そうだね!折角だし食べよう!」

 

天ちゃんからの提案をすぐに受け入れる。

 

「どれにしよっか?色々あるけど……」

 

「チョコ、キャラメル、イチゴたっぷり、モンブラン、ティラミス……中にご飯が入っているのとかもあるんだ」

 

果たしてクレープの生地と合うのだろうか?興味が湧くが、今回は甘いものを食べることにする。

 

「私はこの"オレオオーバーロード"ってのにしよっかな。天ちゃんは?」

 

「んー……イチゴのを食べようかな」

 

「おっけー。すみませーん、注文良いですかー?」

 

商品を受け取り、食べる場所を求めて近くの公園へ向かう。

 

「あ、あそこ良いんじゃない?」

 

「お、丁度座れるじゃん~」

 

二人で木のベンチに向かう。うん、座る場所は汚く無さそうだね。

 

「そんじゃ、いただくとしますか」

 

「いただきま~す」

 

オレオの塊や、黒い粒がこれでもかと敷き詰められているクレープを食べる。……割と触感が面白いかも。

 

「オレオを食いやがれ!って言いたい位のオレオ推しのクレープだね、これ」

 

「商品名そのまんまってことか。見た目やばいもんね」

 

「天ちゃんのは?」

 

「王道!って感じ。外れる事の無い正義だね。あ、でもクリームが特に美味しく感じる」

 

「イチゴの効果なのかなぁ?」

 

「分かんない。美味いからよし」

 

買ったクレープの感想言い合いながら食べ進める。食べるのも終盤に差し掛かって来た辺りに、こちらに意識を向けて近寄ってくる二人組が視界に入る。私達が食べている途中からチラチラと見ていたけど……。

 

「こんにちは」

 

近寄って来た男の内、左の爽やか系……イケメンなんだろう。が、声を掛けてくる。

 

「はい、こんにちは。どうかされたのですか?」

 

急に声をかけられたので天ちゃんが驚いて食べる手を止める。

 

「この後時間とかってあるかな?良ければ僕たちと一緒に遊ばないか?」

 

……ナンパだった。まさかのナンパだった。これは予想外。

 

「お誘いしてもらってありがたいのですが、この後も予定があるので……」

 

一応申し訳なさそうに頭を下げて断りを入れる。

 

「そっか、それならしょうがないね」

 

意外と聞き分けの良い人だった、右側の人はそうでも無さそうに見えるけどね。

 

「ちょっとだけで良いからさ、そこの店で一緒にお喋りでもしようっ、な?」

 

と、思ったが矢先、早速声を掛けて来た。

 

「先ほども言いましたが、予定があるので……」

 

「隣の君はっ?この後俺たちと遊ばないか?」

 

「えっ、いえ、いいです……」

 

この男……、人見知りな天ちゃんをわざと狙ったな?コロスゾ。神社での事思い出したらどうしてくれるんですか。

 

「良いからさー、そんなに時間取らないからよ?」

 

イケると思ってるのか、こちらに一歩近づく。隣のお連れさんは困った感じで止めるがそれを無視して前に出てきた。

 

「止まって下さい。それ以上近寄るのなら人を呼びますよ?」

 

「まてまて、別に遊びに誘ってるだけだろ?変なことしている訳じゃねぇよ」

 

その行動自体が……って言っても聞いてくれ無さそうだなぁ……。

 

「最後に通告しておきます。お断りしますので大人しく帰って下さい」

 

クレープの最後の一口を食べ終わる。

 

「大人しく帰るさ、一緒に遊んでくれるなら……な?クレープも食べ終わった事だし丁度良いタイミングだし」

 

何を思ったのか、こちらに向けて手を伸ばして来る。しかも行き先は私じゃなくて天ちゃんだった。

 

自分に向かってきたと気づいた天ちゃんが、強張りながらこちらに体を寄せて来た。ああ……可愛い。

 

男の腕を掴み、これ以上の進行を阻止する。

 

「忠告はしました」

 

こちらを向き、何かを言おうとした男の顎を左手で撃ち抜く。

 

「ぉご」

 

膝から崩れ落ちるように倒れる男の手を離し、地面に寝かせる。

 

「え……」

 

「だ、大丈夫かっ!?おい!」

 

「大丈夫です、意識が無いだけなのでご安心ください。ちゃんと生きています」

 

「なっ、なにがあったんだ!なんで急に倒れたんだよ!?」

 

「お連れの方を連れて大人しく帰って頂けますか?ここに置いておくのは邪魔になりますので」

 

「うっ、うわぁぁあ!」

 

もう一人の男の人が、大声を出して逃げていく……あの、これ、持って帰って頂きたいのですが……?

 

「ええ……なんて薄情な」

 

地面に倒れている男を一瞥し、天ちゃんの方を向く。

 

「大丈夫?怖かったよね?」

 

「あ、えっと、いや大丈夫。寧ろ、その人大丈夫なの……?」

 

「平気だよ。その内目を覚ますでしょ。……でもこのまま放置しておくのもなぁ……天ちゃん、これいる?」

 

冗談で下を指差す。

 

「いやいや、いらないんだけど……」

 

「あはは、そうだよね。それじゃあどこかに運んでもらおっか」

 

「運んで……誰に?」

 

「頼れる街の人達に……かな?」

 

手を上げてサインを送る。少し離れた場所から黒い服を着た人がこちらに来る。

 

「うぉ、今度は何!?」

 

「すみません、この人ここに放置するのは可哀そうなのでどこか適当な場所に運んでもらえませんか?」

 

「了解です」

 

「普通に解放するだけで良いので……」

 

「では、その様に……」

 

地面に落ちている男を担ぎ、連れ去っていく。

 

「……あれ、大丈夫なの?」

 

「へーきへーき。この街の警備の人だから」

 

「そうなんだ……いや、知り合いなの?」

 

「うちの家関連でね。警備会社とかもしてるんだ」

 

「へぇー……すご、漫画みたいな設定」

 

「どやぁ……」

 

腰に手を当て、どや顔を決める。

 

「実は舞夜ちゃんの家って、みゃーこ先輩みたいに凄かったりする……?」

 

「私が凄いわけじゃないから気にしない方が良いと思うよ?」

 

「否定はしないんだ……」

 

「世間的に見ればそうだしねぇ……あはは」

 

 

 

 

その後、さっきみたいなことがあったので、早めに帰ることにして帰路に就く。一応新海先輩にも連絡を入れてから天ちゃんを実家にまで送り届けた。私の帰りを心配していたので、申し訳ないが迎えに来て貰った。……一応この後家に向かうつもりだったし有難いんだけどね。

 

家に向かう途中で壮六さんから連絡が入る。

 

「もしもし、舞夜です」

 

『今、こちらに向かって来ている途中ですか?』

 

「そうですね。何かありましたか?」

 

『先ほどの倒れた男、それともう一人の男について話があります』

 

「……分かりました。向かいますね」

 

何やら大事な話っぽいが……何かあったのだろうか?あのナンパ男に。

 

電話を切り、家に着くまでに用件を考えたが、確証が無いので放棄した。

 

 

 

 

「つまり……さっきの男の人達は、能力にかかっていた可能性があるの?」

 

家に着き、部屋まで通されると、そこには先日と同じメンツが居た。

 

「恐らくは……。舞夜様とお連れの方に接触する前に、例の女社長と接触していたのが判明しております」

 

証拠をと言わんばかりにご丁寧に写真まであった。

 

「……えっと、それって私に何かする為にわざわざ操ったって事だよね?そのためのナンパ……?」

 

「推測になりますが、様子見だったかと。連れ出せれば良しと……」

 

「ああ、そういうことかぁ……」

 

私を人質にとってから、こちらを引っ張りだして交渉しようとか?おじいちゃんの孫って事で通ってるし、おじいちゃんを直接場に呼びたかったのかなこれは。

 

「因みに、その二人は……?」

 

「意識が戻られた後は特に問題はなく普通でした。能力にかかったままかどうかの判断は出来ませんでしたが」

 

「そこはしょうがないですね。その女社長の話とか出せばわかるかもしれませんが……」

 

つまりは、向こうから喧嘩を吹っ掛けて来たって感じ。

 

「へぇ……いい度胸しているわね」

 

「回りくどいやり方だの」

 

おじいちゃんと澪姉はいい獲物を見つけたと言わんばかりに目がギラつく。

 

「………」

 

今回、私が目的の筈なのに天ちゃんにまで手を出そうとしていた。能力の融通が利かないのか雑な指示だったのかは不明だけど、今後は私と一緒に居た天ちゃんも狙われる可能性が……あるかもしれない。向こうは今日みたいな手段を取れば足は付かないと考えているみたいだし。

 

「滅ぼさなきゃ……いけないね」

 

「舞夜?」

 

私の声を聞いて澪姉が不思議そうにこちらを見る。

 

「壮六さん、相手との話し合いって4日だよね?」

 

「4日の夜になります」

 

「まだ時間があるのかぁ……」

 

「どうかしたのか?」

 

「おじいちゃん、あのね……その日を待たずに今からその人を消しに行くってのは……駄目かな?」

 

取りあえずダメもとで聞いてみる。

 

「……危険と判断したのか?」

 

「うん、私だけなら問題無いんだけど、向こうが今日みたいな方法をしてくるのなら、天ちゃんが心配……」

 

さっきの男たちは見た感じだと洗脳などを受けた変な違和感は無かった。こちらに気づかれることなく接触が可能ってことになる。

 

「なるほど、それなら……仕方なかろう。壮六、位置は把握しておるな?」

 

「はい、常に場所の特定は出来ております」

 

「それなら人の用意をしよう」

 

「あ、それなんだけどね、ここに居るメンバーだけが良いかな?もしかすると知らない内に家の人達も能力かけられている可能性があるから……疑いたくはないけど」

 

「それなら私が出るわっ、名案ね!」

 

「確かに安全を考えるなら少数の方が良いでしょう。戦力も問題無いですし」

 

九重のトップ層が四人も居るのだから寧ろ過剰に思える。

 

「なら儂も体を動かすとしようかの」

 

「久しぶりの一緒にお仕事ね、楽しみだわ」

 

「念のため、会合の予定はそのままにしておきます」

 

「そうじゃな。動きを悟られる前に仕留めに行くとしよう」

 

澪姉とおじいちゃんがウキウキで立ち上がる。

 

「では、また夜に集合じゃな!」

 

勢いよく襖を開けて出て行く。

 

「……はぁ、舞夜様も夜までには準備の方をお願いします。」

 

「あはは、何だか申し訳ないです」

 

「あれはいつもの事なので……」

 

そういう壮六さんの表情には過去の苦労が滲み出ていた。

 

 

 





死期が早まりましたとさ。

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