9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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デュエル、スタ~ト!パチパチ

( ˙-˙ )



第22話:目には目を、能力には能力でお返ししますので覚悟しておいてください

 

 

「期待に応えてくれて嬉しいぜ、お兄ーー」

 

喋り途中のゴーストが言葉を止めて、目を丸くして先輩を見る。うん、やっぱり突っ込むよね。

 

「おいおい……ハハ!何だよそのマスク!アメコミのヒーローみてぇ……ハッハッハッ!なぁ、見せてくれよ、アレ。スーパーヒーロー着地!出来んだろ?ヒヒッ、アッハッハッ!」

 

ソフィマスクを見て、お腹を押さえながら笑い転がるゴーストを、先輩は無言で見つめていた。

 

「俺が前に出る」

 

笑っているゴーストと少しずつ距離を詰めるが、その分だけゴーストは後ろに下がっていく。

 

「あ~……ハハッ、笑った笑った。すげぇな、おい、どこで売ってんだよ、それ」

 

笑い終えたゴーストがこちらを見たのに合わせて一応目を閉じる。見えないが、多分先輩の方はソフィが阻止してくれているはず。

 

「しっかりと対策済みってわけだ。ま、だよな。ギャグでそんなもんつけてこねぇよな。石になったらどうしようかと思ったぜ」

 

大丈夫だと分かりゆっくりと目を開く。

 

「準備もバッチリで来たって事はそうなんだよな?てめぇらは、そういうつもりで来たって事で、いいんだよな?」

 

「お前を止めに来た」

 

「はっ、だよな。いいね、そそるぜ。話し合いに来たとか言われたら興ざめだ。やっとやる気になってくれて嬉しいぜ、お兄ちゃん?」

 

挑発するようにニヤリと、邪悪な笑みを浮かべる。そして、だらりと下げている手の甲がわずかに光る。

 

「先輩っ!来ます!」

 

「ーーっ!」

 

と、同時に槍の形をした力が襲い掛かってくる……が、それを右腕を勢いよく薙ぎ払い炎でかき消す。

 

街灯の明かりでしか照らされなかった暗闇に火の飛沫が舞う。先輩の拳から幾つもの炎がゆらゆらと立ち昇る。

 

夜に煌めく赤い灯……カッコイイ!

 

「今回はあっさりだしたな。ファイアスターターか。かっけーな、羨ましいぜ。そっちのお前は来ないのか?」

 

 先輩一人だけが前に出ているのが気になってこちらに呼びかける。答えるのも面倒なので取り敢えずその場で拾った小石をこれ見よがしに投げつける。

 

 

「なるほど、サポートって訳ね。ハッ」

 

余裕たっぷりな態度でこちらを見ている。それを主張するように両手をポケットに入れる。

 

……さてさて、ここはどう動くのが良いのだろうか。先輩が魂を焼くアーティファクトをここで使うのは後々の経験に生きる可能性がある。私が出て一気に片を付けるのは予定調和的によろしくないかもしれない。

 

いつでも助けに行ける距離を保ちながら二人の動向を見守る。

 

「さぁ……始めようぜ、お兄ちゃん」

 

機嫌良さそうに笑っていたゴーストの目が先輩を捉えると、背後から空間を貫くように槍が大量に出現する。……ゲート・オブ……いや、ふざけるのは良くないね。

 

「な……っ!?」

 

先輩は想定を超える数に驚愕していた。いいな。あの能力欲しい。私も真似したい。『宝物庫の鍵を~……』とか。

 

「なにぼーっとしてやがる。来いよ。殺し合おうぜ、お兄ちゃん。それとも……ビビッて動けねぇのか?ぁあ?」

 

慎重に槍の軌道を見極めようとしていた先輩に挑発が飛んでくる。

 

「相変わらず……!ペラペラうるせぇよ!」

 

腕を大きく払い、解き放った火柱がゴーストを飲み込まんと駆け巡る。それを意にも介さずそのまま槍を射出する。放った槍はそのまま炎を突き破り飛来する。

 

「っ!」

 

それを見て横に大きく飛び回避をする。先輩の着地地点に飛んできていた槍を前方に展開した炎の盾で防ぎきる。

 

「いいねぇ、ハッハッ!どんどん行くぜぇ!」

 

こうして私の目の前で超能力による。SFじみた戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

戦いが始まって少し時間が経った。容赦のない攻撃を何とか避け、時には食らいながらも反撃をしていた。周囲に展開されている炎が眩しいぐらい揺らめく。

 

先輩の頭の中ではゴーストの逃げ道を塞いだと考えているが、分かっている側としてはただの明かりにしかならない。退路が無いと焦るように演出するゴーストに先輩が突っ込む。

 

「ゴーストォ!!」

 

「て、めぇ……っ!」

 

苦しまぎれの反撃を躱して、全力でゴーストに突撃した。

 

「やっべぇ……!ーーなんてな」

 

「……えいっ」

 

胸倉を掴もうとした瞬間、ゴーストの姿が消え、空を切った攻撃の勢いを殺せず、先輩が転倒する。

 

「まさか、今のが奥の手ってわけじゃーー」

 

「えいっ」

 

先輩の背後に出現したゴーストに向かって石を投げつける。

 

「ねぇ……っ!?」

 

自分に飛来する石を咄嗟に体を倒して回避する。

 

「先輩っ、立って下さい!」

 

「っと、あぶねーな。大したこと出来ねぇかと思ってたら、ナイスカバーするじゃん。いいねぇ」

 

嬉しそうにこちらを見ているゴーストに向かって取りあえずもう一個投げつける。

 

「んなもん当たるかよ」

 

小さく真上に飛び、私の正面まで移動する。

 

「次はお前が相手してくれんのか?」

 

ゴーストの背後で無数の槍が出現したが、こちらに射出させる直前に横から炎が割り込んで来る。

 

「ハハ、こわいこわい。もう少し頑張れそうで安心したぜ、お兄ちゃん?」

 

「九重!大丈夫か?」

 

「先輩も大丈夫そうですね」

 

「ああ、間抜けにも転んじまった。援護助かった」

 

「どうやら、瞬間移動みたいですね」

 

「みたいだな。くそ!厄介な能力だ……」

 

「恐らく、発動条件があります。先ほどと合わせて観察していた感じですと、移動の直前に軽く飛んでいます。……多分、地に足が着いてると発動出来ない能力なのかもしれません」

 

「っ!?……言われてみれば、確かに飛んでいたな」

 

「そういった能力の発動条件に……打開する隙があるのかもしれません」

 

「ああ!やってみるっ!」

 

私の助言を聞き入れ、再びゴーストに向かって走り出す。……少し展開を早めてしまったかもしれない。けど、先輩が傷つくのはあまり気持ちの良い物ではない。

 

「お、作戦会議は終わりか?じゃあ、第二ラウンド始めようぜ!」

 

背後に現れた槍が先輩に向き飛び出すと思いきや、私を指し、矛先が変わる。

 

「っ!?九重っ!」

 

「止まらないで下さいっ!」

 

こちらを向いて足を止め、引き返そうとする先輩を制止する。

 

「自分を犠牲にとはかっこいいなぁ!おい!」

 

そのままこちらを目掛けて射出される槍。数は11。

 

一番先頭の槍が目の前まで迫り、直撃する寸前でそれを回避する。続けて飛来してくる槍を最小の動きで安全に回避する。

 

「……これで、終わりですか?」

 

回避し終え、髪を整えながら二人を見ると、どっちもポカンと口を開いて私を見ていた。

 

「おいおい……、マジかよ。今の避け切るとか、すっげぇな!そういえば、護身術だったか?カッコイイ、おい!」

 

「そりゃどうも。新海先輩、私の事は気にしないで下さい。先輩はゴーストだけに集中していただいて結構です」

 

「……ああ!頼もしいよ!」

 

再びゴーストへ向き走り出す。

 

「いいね、いいねぇ!思っていた以上に楽しめそうだぜ」

 

槍を再び出現させるゴーストに向かって炎が迫る。それを避けるように槍と共に姿を消す。

 

「まだ第二ラウンドだ。もっと楽しもうぜ」

 

私と先輩を視界に確保できる位置に現れると、挑発するように笑う。そして背後に槍を出現させる。……罠その2だね。

 

「……っ!?」

 

先輩が、何かを思いついたかのように目を開く。

 

「お、何か閃いたみてぇだな、マスクマン。じゃあ、その策で楽しませてくれよ?」

 

背後の槍が一斉に先輩へ矛先が向くと同時に駆けだす。

 

「おいおい、またそれかよ。何かして見せろよ!」

 

自分に向く槍を無視して更に距離を詰める。槍が放たれる瞬間に右手で火柱を生成し、左手から火の玉をゴースト目掛けて放つ。タイミングは完璧ではある、普通なら避けるしか選択肢はない。

 

「ーーーやっぱ、馬鹿はお前だぜ」

 

片方ずつしか能力を扱えなかったのが前提だったのなら、ですけど。

 

「なっ……!?」

 

呆れた表情で姿を消すゴースト。勿論槍は消えないまま先輩へ突き刺さる。

 

「く、っそ……!っ!……がっ!?」

 

咄嗟に頭部を守ったがアーティファクトの槍はそんなことは無関係に貫いていく。無数の攻撃をもろに受けた先輩は耐えきれずその場に膝を付く。

 

「浅ぇんだよなぁ……考えることがよ。こっちのトラップにことごとく引っかかりやがる。馬鹿丸出しだ」

 

顔を上げて負けじとゴーストを睨み返しているが、特に効果は無い。

 

「あ~あ、マスク脱げちまった。ヒーロー敗北の瞬間だな」

 

ゴーストの背後に無数の槍が創造される。

 

「石にはしねぇ。のたうちまわりながら死ね」

 

幾つもの槍が創造しては合成され、次第に禍々しい剣が一本現れる。

 

「安心しな。てめぇ殺したら次はそこの女だ。それから妹も殺す。すぐにそっちに行くから寂しくないぜ」

 

……もう動いて大丈夫。先輩はゴーストに負けた。その事実が出来上がってるから……助けよう。

 

「ゴーストォオオ……!!」

 

「ハハッ!」

 

手を広げ、大きく上に振りかぶる。口元を邪悪に歪めて笑う。

 

「じゃあな、お兄ちゃん」

 

手を振り下ろそうとした瞬間に合わせて、能力を解放する。

 

「ーーっ!?ーー!」

 

振り下ろそうとした腕が動かなくなり、何が起きているのか理解が追いついていないゴーストを無視して先輩に歩み寄る。

 

「っ!?……?と、止まってる……?」

 

動かないゴーストを見て不思議に見ていたが、私の能力と気づきすぐさまこちらを見る。

 

「っ!!九重!……は?」

 

私を見て更に驚きの表情を見せる。正確には私のスティグマの色、だと思うけどね。

 

「こ、九重……お前、どうしたんだ……そのスティグマの色は……?」

 

「先輩……申し訳ありません。助けに入るのが遅くなりました」

 

驚きながらもこちらを見る先輩に少し罪悪感をおぼえながらも、ゆっくりと微笑み返した。

 

 

 





はい、ボロクソに負けてしまった新海翔と選手交代のお知らせです。

どの程度持つか楽しみですね。()

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