原作の最後ぐらい?まぁ、後日談はまだ続きますがっ!
休日の二日間が過ぎ、一週間振りくらいの学校がやって来た。この二日間はゆっくりと休み、英気を養った。九重の人達にも山場は越えたと連絡が行き渡っているので、これ以上大きな動きは……多分無いと良いんだけどね。
「いやー、久々の学校だったけど、特に代わり映えなかったねー」
「そうだねー。朝は大変だったけどね」
午前中が終わり、お昼となった。いつも通り教室で食べようかと思ったが、周囲に思ったより人が集まりそうなので人気の無い場所へ移動することにした。
「おおー!凄い、こんな場所入れたんだー!」
「本当は入っちゃダメだけどねー!内緒だよ?」
扉を開けて屋上に出る。屋上を吹き抜ける風に乱れる髪を抑える。
「ささ、私たち二人きりだよー」
適当な良い感じの場所にシートを敷いて二人で座る。
「色々あったけど、学校に行けたことで日常が戻って来たって実感するね」
「うんうん、天ちゃんが無事に治ってほんと良かった。休みは実家で過ごしたりしたの?」
「にぃにも一緒に帰ったよ。いつもは何とも思わなかったけど、ありがたみを実感できた二日間だったよ~」
わいわいと休日の話をしながら食事を進めて行く。
「あ、そういえば天ちゃんに聞きたい事があったの」
食事を中断し、問いかける。
「んー?どしたの?」
「もう既に新海先輩とセックスしたの?」
「っぶぶ!!?」
私の質問に盛大にお昼ご飯を吐き出す。こちらに向かって飛び散ってくる食べ物を能力で止める。
「あははっ、盛大にぶち撒けたね!」
バックに入っているハンカチを取り出して宙で浮いている吐瀉物を除去する。
「ごほっ!ごほごほっ!い、いきなり何を……」
「んー?天ちゃんの大好きな先輩と、無事結ばれたのかなって気になっちゃってね、ふふ」
「……な、なんのことかな?」
「隠さなくたって大丈夫だよ?天ちゃんが、新海先輩のこと好きなのは前から知っていたから」
「……マジで?」
「うん、マジマジ」
「……い、いつから……?」
「うーん、知り合って少し経ってからかなぁ?」
「え、えっと、にいやんから何か聞いてたりする?」
「ううんっ、聞いて無いから直接天ちゃんから聞こうかなって!で、どうなの?受け入れてもらえた?」
「あ、あー……う、うん……」
「そうなんだっ!ふふ、良かったね!既にシたの?致したの?」
「め、めちゃくちゃグイグイ来ますね」
「そりゃ!もう!気になるってもんよ!」
「えー……何この子……えー……」
「そうなるとー……、休みは実家だし、可能性があるなら、一昨日の私が帰った後って事になるよね?」
「は、恥ずかしいから推測しないでもらえると……。てかさ、その……変に思ったりしないの?きょ、兄妹でだよ……?」
「ん?あー、別に良いんじゃないかな?兄妹かどうかだなんて些細な事だよ。重要なのは愛だよ!愛!」
「えー……ほんと何なのこの子……」
「確かに世間一般ではそう思われるかもしれないけど?大した問題じゃないよね!」
意気揚々とガッツポーズを決める。
「……なんか、もっと変な目で見られるかと考えていたんだけど、拍子抜けというか何というか……」
「あ、今度お泊まり会しようよ!その時に色々お話しよ!ねっ!」
「そういえばそう言う約束してたね~」
「そうそう!場所は私の部屋で!良いよね?拒否権は無いんだけど!」
「わ、分かった。分かったからちょっと落ち着いて落ち着いて」
「やったー!言質は取ったからね」
「うん、約束だったもんね」
「今度の土日ね!予定空けといて!あ、でもその前に皆で集まってお祝いもしたいね!パーってさ」
「それ私もしたいって思ってたところ~。やっぱりした方が良いよね?」
「当然だよ!親睦を深めるためにも絶対外せないイベントだよ!この機に先輩達と仲良くなりたいしっ」
「それじゃあ、グループの方で皆に聞いてみるね」
「お願いしま~す!」
今後の話をしながら楽しく昼食を食べ終えて、午後の授業へ向かった。
「それじゃ、また明日ね!」
「さいなら~、またあした~」
学校が終わり、当然のように新海先輩の部屋へ戻っていく天ちゃんを見送りつつ自分の部屋へ戻る。
「ただいまーっと」
鞄を所定の位置へ置き、ベットに腰を下ろす。
「いやー、お昼の天ちゃんの顔、中々傑作だったなぁ」
口の中に含んでいたお昼を全て噴射して驚愕の表情を浮かべていた。その後の動揺も何もかも可愛かった。
「あ、ハンカチ洗わないと……」
鞄から一部の業界に需要がありそうなハンカチを取り出し、台所へシュートする。
「流石の私でも、人ので喜ぶ性癖は持って無いしね」
スマホを見ると、グループから何件か通知が入っていた。内容を見ると、集まってお祝いをするのに賛成の返事をしていた。まぁ、集まる口実が欲しいだけかもしれないけどね。
「おお~、ご飯は九條先輩が作ってくれるんだ」
場所は新海先輩の部屋で集まり、集まる時間は昼から夕方の間なら自由みたい。
「楽しみだな~。頑張ったご褒美みたいなもんだよね!」
スマホを置こうとすると、メッセージが来る。相手はしげさん、ということは例の件かな?
画面を操作し、内容を確認する。
『依頼のあった物件のリストアップをしておいた。話で聞いたのと似た建物は計7か所だ。後で詳しい情報を送る』
「7つか……意外と絞れたみたいだね」
取りあえずしげさんに感謝の言葉と可愛スタンプを添えて返事をしておく。
「んーー。それじゃあ、備えておきますか!」
ベッドから立ち上がり手を組んで背を伸ばす。
「まずはー、実家に帰って話し合いからー」
制服から外に出る服に着替え、部屋を出る。
「もう日が落ち始めているな~……ん?」
通路を歩き、先輩の部屋の前を通り過ぎる。
「………なるほど、なるほどねぇ……」
玄関の扉で遮られてはいるが、わずかに中から漏れている声が聞こえる。
「そういえば、2度目のシーンがあったね……」
天ちゃんの『あたしにする?あたしにする?それとも、あ・た・し?』作戦だ。
「お盛んだねぇ……羨ましい限りだよ」
苦笑いをしながらその場を立ち去って、実家へ向かった。
『ターゲットを確認』
夜風に煽られてながら、無線から聞こえる壮六さんの声が耳に入る。
「了解です、間違っても撃ち殺さないようにお願いしますね」
『うっかり指が滑るかもしれませんが、その場合はお許し下さい』
「うーん、うっかりなら仕方ないけどー、壮六さんなら問題無さそうなので」
『冗談です、少し歯がゆい気持ちはありますが、監視だけにしておきますよ』
「うん、お願いします」
手に持っている機械の画面を見る。そこには、少し画質は荒いが、屋上で一人立っている青髪の青年と、その横で宙に浮かんでいる人形が映っていた。
「深沢、与一……。良かった、ゲーム通りに動いているね」
「音の方は拾えますか?」
『少し風の音が入りますが、設置には問題ありません。いつでも繋いでください』
もう一つの機械を弄り、ボタンを押す。外だからか、風の音や車などの雑音が混じるが、話し声がはっきりと聞こえてくる。
『想像以上に手ひどくやられたみたいね』
『予定通りだよ。あの幻体には、魔眼のユーザーとして死んでもらう必要があった』
『あらそう。これからどうするの?クジョウミヤコはさっさと消した方がいいと思うけど』
『分かっている。記憶を盗まれる前に、彼女は消す。それと、もう一人も……』
『ココノエマヤね。勝てるの?別の枝でもだけど、完敗してたわよ?』
『やり方は幾らでもある』
『そうね、この枝で未だあなたに接触していないって事は、まだ正体を掴めていないみたいね』
『バレない様に接触を避けて来た。お前が言う別の枝での僕は迂闊すぎた。今度は慎重にやる。慎重に、確実に……。まずは九條さんからだ……』
「………」
『舞夜様、怒りを抑えてください』
「……うん、平気です」
ゴーストを私が殺したりとゲームとは違う流れを作ってしまったから心配していたけど、大した変化はなかったみたい。まぁ、その程度で変わるのなら彼が今立っている場所で、あのような結末に辿り着かないよね。筋金入りだもん。
「言質は取れました。今日はもう帰りましょう」
『よろしいのですか?』
「はい、これ以上は耳に入れたくありませんので……」
『……そうですね、それでは撤退します』
「うん、お疲れさまでした」
通話を切り、手に持っている機械をゆっくりと、落ち着いて置く。
落ち着こう。まずは情報の整理。大体は予想通りの会話だった。気になる点は九條先輩だけでは無くて私も対象に含まれる点だ。
「それに、イーリスの発言……」
この枝だけでは無くて、"別の枝でも"完敗……?どういう事だろうか?九條先輩の枝では、戦いのシナリオは無かったが……。
「もしかして、戦闘になる何かが起きたのかな……?」
最初の枝の私は、一体何をやらかしたのだろうか?確かにやろうと思えば今の深沢与一程度、あしらうのは容易いけど。
「まぁ、多分私が看破して、それを告げたんだろうね……」
九條先輩が対象に入るのは、自分の正体がバレる危険性があるからだ。私もその対象なら、理由は想像可能だ。イーリスの台詞的にも大きく外れては無いと思う。
「……やっぱり、結果は変わらなさそうだね」
正直、神社での戦いを見て、手を引いてくれたら……と淡い可能性を考えていたけど。
「慎重に、確実に……ねぇ」
どの様な作戦を考えているのか分からないけど、やる事は決まっている。
大切な人達に害を成す存在は……排除するのみ。
言質は取った!後は実行するのみ!どちらもね。
少し短いですが、サクッと書きました。
あとは書きたいのを何話か書くので、三章までもう少しお付き合い下さい。