9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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暴走したユーザー事件のお話です。

サッカーしようぜっ!お前ボールな!!




第4話:こんなボールの為に先輩が罪を背負う必要は無いと思います

 

デザートを食べ終えてから『そろそろ大丈夫だろう』と私に告げてからおじいちゃんが公園へ向かった。少し前に深沢与一が店に来たので公園には先輩だけが残っている事になる。

 

「先輩が来るまで暇だな……」

 

警察の事情聴取がまだ終わってない為未だ店には訪れず。時間を潰そうとスマホを手に取ると、離れた席からこっちを見ている気配を感じて目を向ける。

 

そこにはさっき店に来た深沢与一がこっちを見ており目が合う。取りあえずぺこりと挨拶をすると、席を立ち向かってくる。

 

「やぁ、君ってさっき公園ですれ違った子で当たってる?」

 

「そちらは……、新海先輩と九條先輩と一緒に居た方ですね?」

 

「そうそう、深沢与一って言います。翔の友人をさせてもらってます」

 

「わざわざどうもですー。私は九重舞夜っていいます~。九條先輩と昔から仲良くしていますっ。新海先輩とは最近知り合いました」

 

「翔と知り合ったのは九條さん繋がりってことかな?」

 

「そうなりますね……、前から新海先輩はこのお店でちょくちょく見かけていたのですが」

 

「なるほどね~。君もここの常連さんってわけ」

 

「そうですそうです。ところで……新海先輩は帰られたのですか?」

 

「ん?翔は……なんていうか、今お取込み中で……」

 

「用事があって席を外されているのですか?」

 

「まぁ、そんなとこ?その内合流すると思う。そんな事よりさ……」

 

先輩を待っていたが、意外な人物と話すことになってしまった。時間潰すには丁度良いのかも……?先輩が戻って来た時に自然と会話に入れるし、良しとしておこ。

 

 

 

カランとお店の扉が開く。九條先輩の声が聞こえた後、此方に案内をしてくれた。

 

「すまん待たせたって、なんで九重が同じ席に居るんだ?」

 

「あ、先輩。お疲れさまでーす」

 

不思議そうにこっちを見る先輩にビシッと手を挙げて挨拶をする。

 

「早かったね」

 

「まぁな、色々聞かれただけで直ぐに帰らされたよ」

 

疲れたようにため息を吐きながら、席に着く。注文を聞きに来た九條先輩にはコーラを頼んでいた。

 

「で?で?どうなったの?ボク逮捕される?」

 

「ならねぇから落ち着け。説明するのが面倒だったから爪剥いだの俺ってことにしておいたよ」

 

「翔……!キミはなんて良い男なんだっ!結婚して!」

 

「やだよ」

 

二人にコント混ざりの報告を聞きながら紅茶を飲んで終わるのを待った。

 

「お待たせしました」

 

報告も大体終わった所でテーブルに注文したコーラが運ばれる。

 

「あの、新海くんLINGってやってる?」

 

運んできた九條先輩は、厨房へと戻らずにメモをテーブルに置く。

 

「やってるけど……これは?」

 

「私のID……良かったら、バイト終わったあとにさっきの話とか警察とのやり取りを詳しく教えてもらいたくて……」

 

あ、このシーンかと紅茶を片手に目を向ける。連絡する時間帯を話し合ってから九條先輩は席を離れた。新海先輩を見ると……クラスメイトの女子からのIDということもあってか、少し嬉しそうな顔が漏れ出ている。

 

「先輩、良かったですねっ!九條先輩のLINGのIDですよ」

 

「大して話すことないんだけどな……」

 

困った顔を作っているが、内心踊り出したい気持ちだろう。わかりますよその気持ち……。

 

「翔……それ、ボクにも見せてよ」

 

「やだよ」

 

「見せてよ」

 

「やだ」

 

「みせろっ!」

 

「やだって!」

 

九條先輩のIDを巡って戦争が起こる。

 

「あ、先輩、ついでに私ともLING……交換しませんか?」

 

スマホを出して提案をする。

 

「九重とか?」

 

「はい、ご近所ですし、天ちゃんとも仲良くしていますから。何かあった時に頼らせて下さい」

 

満面の笑みを浮かべて返事をする。

 

「まぁ……、俺は構わないが……」

 

少し照れてスマホを出してくる。お互いに交換出来たのを確認してからポケットにしまう。

 

「ありがとうございます!暇な時にでも良いのでお話しましょうね」

 

ふふっ、これで先輩のIDをゲットした……使う機会があるか定かではないんだけどね……。

 

「翔だけずるいっ!ていうかご近所って何さ!?同じマンションで住んでるの!?」

 

「最近たまたま知り合ったってだけだ。周りに迷惑だから落ち着け」

 

「舞夜ちゃん……良かったらボクとも……」

 

「あ、すみません。私初対面から名前呼びする先輩の方とは交換しないって決めているので……」

 

「ピンポイント過ぎないっ!?翔は良くてボクは駄目なの!」

 

単純に交換したくないだけである。

 

「あ~、コーラうめぇ。女の子にID貰った後のコーラはうめぇわ」

 

先輩がその隣で煽り散らかしている。

 

「くっそぉ……!ちくしょぉぉぉぉぉおおお!!」

 

魂の叫びが響く。そんなことしても交換はしないけどね。

 

その後も同じやり取りをしていると、結城先輩に睨まれた為静かになった。その後、公園の出来事を軽く聞き先輩はここで夕食を食べるとのことだったので先に帰る事にした。

 

帰宅してだらだらしているとスマホから着信があり、電話に出る。どうやらおじいちゃんが石化した人の回収が終わったみたい。

 

「今から詳しく調べていく事になるが……少なくとも死亡で間違いない」

 

「そっか、石化はあくまで表皮だけだから中身は調べれるよ。そこから身元の特定は出来るはず」

 

「了解じゃ。明日までには間に合うだろう」

 

「はーい。明日は明日で学校の方の事件があるからそっちも大変になるかもね」

 

「連日で忙しい連中じゃな……全く。手回しは此方で何とかしておく」

 

「毎度毎度ありがとね?九重家の力を沢山使っちゃて……」

 

「なに、こういうことにいち早く対処出来るようにこの街に根を張り巡らせているのだ。正しく使っている分には変な遠慮などいらん」

 

「さすがおじいちゃん。頼りになるっ。また今度何か食べにいこうね」

 

「それを楽しみに頑張る事にしよう」

 

「うん、それじゃあまた明日」

 

電話を切りスマホをベットに放る。

 

「明日は晴れ時々火事……放火かぁ……」

 

最初にユーザーが暴走する日、その時に九條先輩の能力で私のクラスメイトを殺すことになる。この際クラスメイトが死ぬのはどうでも良いが、先輩が殺したって事実はどうにかしなければならない。

 

「もしかしたら1番目の枝じゃない可能性もあるけど……」

 

それでも……少しでも不安を取り除いておきたい。先輩達には幸せになって欲しいから。暴走を許したユーザーの事を背負って欲しくはない。

 

「頑張って……運命を変えてみようかな」

 

明日出来ることを幾つか考えて夕食の準備に取り掛かった。

 

 

 

 

午前最後の授業が終わりチャイムが鳴る。この瞬間だけは念のために警戒度を最高値に上げ周囲を観察する。周りが席を立とうとしている中で、少し離れた席に居る男子が頭を抱えて唸り声を上げる。

 

周囲は何事かと彼を見るが、気にせず次第に声を荒げていく。気になった近くの人が声を掛けようとする。

 

「俺にちかづくなぁぁ!!」

 

手を大きく振り払い大声を上げる。突然の声に周囲は彼に注目する。

 

「え、急にどしたの?」

 

前の席に座っている天ちゃんが何事かと見る。念のためにいつでも守れる位置を取りながらも動向を見守る。

 

「あ、ああ……うあああぁぁぁぁ!!!」

 

何かを振りほどくように頭を激しく横に振り頭を抱える。

 

「力が……力がぁぁぁぁああああああ!!!」

 

遂に耐えられなくなったのか、辺りの生徒を無視して教室から飛び出す。

 

「え?え……?なにあれ?怖いんだけど……」

 

困惑気味の天ちゃんの声が耳に入ったと同時に廊下が一瞬で火の海に包まれる。それを見てただ事ではないと感じた生徒から悲鳴が上がり直ぐに教室はパニックとなった。

 

ああ……始まったか。と教室の外に広がる炎を見ていると火災報知器が鳴り響く。それが更にパニックの拍車となっている、隣で今の状況を飲み込めた天ちゃんが混乱し始める。

 

「天ちゃん、まずは落ち着こう?教室の外は炎で出られそうにないから外から助けを呼ぼっ?誰か頼れる人いない?」

 

私の声を聞いて慌ててスマホを取り出し新海先輩に電話を掛け始める。第一に思いつく辺りやっぱりお兄ちゃん大好きなんだと再確認する。先輩に助けを求めている間に教室内と外の状況を確認する。中は外の炎からなるべく離れようと隅に生徒同士で固まり身を寄せている、一方外は相変わらず赤色一色で変な雄たけびが時折聞こえる。それを聞いて女子生徒が怯えるように縮こまっている様だ。

 

「天ちゃん、新海先輩どうだった?」

 

「え、えっと……今行くから待ってろって……」

 

流石先輩、妹の為なら火の中って奴ですね。

 

「まだ繋がってる?可能ならちょっと変わって貰っていいかな」

 

「え……?う、うん、いいけど……」

 

スマホを受け取り耳を立てる。激しいノイズ交じりの音に紛れて、何か大声を出しているのが何とか聞こえる程度……多分だけど、九條先輩と言い合っている場面と思われる。

 

「お、お兄ちゃん何か言ってきたりした……?」

 

「うーん……ノイズしか聞こえないかな?多分ポケットに入れてるんだと思う」

 

相変わらず外では暴走したユーザーの奇声と雄たけびが聞こえる。一旦天ちゃんにスマホを返そうとした時に電話の向こうから天ちゃんの名前を呼ぶ声がする。

 

「もしもし?先輩ですか?放火した人がまだ外に居て出られない状況です」

 

無駄な口論をしない為に先手で情報を出す。

 

「え?ああ、はい、九重です。少し天ちゃんから拝借しました。……大丈夫です天ちゃんは無事ですし、教室内にはまだ来ていません。廊下が燃えている様に見えますね」

 

先輩から待ってろと返事が来たことを天ちゃんに伝える。

 

「もう少し借りてても良い?先輩に随時状況を教えたいから」

 

「あ、え?う、うん……というか凄く冷静に見えるけど怖くないの?」

 

「あー…、一応これでも九重家の人間だからね。常に平常心を持てるように鍛えているからっ」

 

ウィンクをして平気だと伝える。

 

「えー…護身術ってスゲー……」

 

呆れるように小さく呟く天ちゃんに対して笑みを返しながら再び携帯に耳を当てる。声は何とか聞こえるが教室内の悲鳴でうまく聞き取れない。

 

「ちょっと、放火した犯人を確認してくるね?」

 

「いやっ、危ないって!?」

 

「また教室に戻って来るかもしれないし……もしもの時は私が取り押さえれるかもしれない」

 

「放火する人だよ!?刺激しないで中に居た方が安全だよ!」

 

「天ちゃんのお兄ちゃんが助けに来てくれるから大丈夫。それに、少しでも先輩が助けに来れるようにアシストしたいの。先輩が危険な目に合うのを見過ごすわけにはいかないから」

 

私の言葉に止める力を緩める。自分の兄が危険な目に合うのを少しでも下げたい……そんな気持ちが優先されるためだと思う。

 

「少しの間だけ。天ちゃんはここで待っててね?直ぐに収まるから」

 

あやす様に話しかけ、教室のドアへと向かう。

 

「あ……舞夜ちゃん……」

 

後ろから声が聞こえるが、聞こえないふりをして扉を開け外に出る、出てからすぐに扉を閉めてから状況を確認する。

 

「うわぁ……炎だらけだよ……」

 

階段へ続く廊下が一面火の海だった。しかし建造物が燃えている様には見えず、焦げる匂い、一酸化炭素も無い。

 

「いざ見るとほんと不思議な光景だね……」

 

熱いのは熱いがそこまででもない。試しに近くの炎に触れてみる………熱い。

 

確かに熱いが本物と比べ物にならないと思う、なんて言うんだろう……痛みというよりかは疲れるような……精神的なダメージ?痺れると言うのか、よくわからない痛みはある。

 

「これが魂を焼く炎……」

 

炎の中を少し歩くと、その元凶の男児生徒を捉えた。その奥、廊下付近で先輩二人を確認する……どうやらそこまでは来ていた様だ。

 

スマホに耳を当て、先輩に声を掛ける。前に居る生徒はうるさいくらいに大声で叫んでいた。

 

「あー、あー、先輩?聞こえますか?聞こえたら応答願います。こちら九重です。おーばー」

 

電話の向こうからは返事は無い。九條先輩とのやり取りで忙しいみたい。

 

「それにしても……完全にイっちゃってるね……」

 

叫びながら腕をブンブンと振りまくる。それに呼応するように周囲に炎が飛ぶ。男子生徒の辺りが炎で包まれ視界が遮られる。

 

「おっと、あぶない」

 

こちらにも飛んできた炎を飛び退き避ける。いい迷惑だなぁ。

 

廊下から先輩達がこちらに向かってくるのがチラッと見える。それに気づいたのか先方の生徒は先輩の方へと向く。

 

「なんだよぉおお!おまえら!来るんじゃねぇっ!あっちいってろぉっ!」

 

先輩達へ炎が押し寄せたが新海先輩が九條先輩の盾となる事でそれを防ぐ。今ならお互いに認識できるはずと考えスマホから名前を呼びながら手を振る。

 

「先輩、元凶の犯人です。放火犯ですよ」

 

「九重!?なんでここに居るんだよ!教室に戻ってろ!」

 

「先輩と同じく、犯人を捕まえるつもりでここに来たのですっ」

 

「出来るわけないだろっ!危ないから離れろ!」

 

「いえ、こう見えて私そこそこお強いのでご心配なく。それで?目の前の犯人を取り押さえれば良いのですか?協力しますよ」

 

「くっ……!俺が先に抑えるから何かあったら九條の方を助けてくれっ!」

 

そう言って炎の中を走り出す。これは九條先輩が惚れるのも仕方ない事ですねぇ……。男前過ぎですよ、自分より他人をだなんて……私も負けてられませんね。

 

走り出す先輩に向かって男子生徒は腕を振るう。先輩に炎が迫る……が、先輩は止まらず進もうとする。更に二人の間に大きな炎の壁が立ちふさがる。

 

「隙ありです。ていっ」

 

こちらに後ろ姿を晒している男子生徒との距離を詰め、背後から蹴りをお見舞いする。

 

「がぁっ!?」

 

意識外から蹴られたからか、前のめりで地面に転がる。更に詰め寄り先輩の方へと蹴り上げる。

 

「ごがっ!!」

 

肺から空気が吐き出されるような声を出しながら転がる。何度か回転し止まると、先輩がこちらへ到着した。

 

「背後が隙だらけでしたので……。先輩、今の内ですよ?」

 

「あ、……ああっ!九條っ!!」

 

九條先輩に振り返り合図を出す。それと同時に九條先輩が手を前に出す……その瞬間手の甲にスティグマが浮かび上がる。

 

「はああああぁぁぁぁなぁぁああせよおおぉぉぉ!!!」

 

すると足元から叫び声が上がる。そちらに目を向けると周囲に炎がばら撒かれる。うわっ、あち。

 

「あっちぃい!じっとしてろ!!九條っ、まだかっ!!」

 

「……っ!ごめんなさい、何か、その人が身につけているものを……!」

 

先輩間でアーティファクトの所在のやり取りが始まる。

 

「っと、その前に……」

 

目の前で暴れ続ける生徒の頭部に向かって足を上げ……踵下ろしの要領で下ろす。

 

「うぁああああやめっがっ!!!」

 

振り下ろされた足と地面をバウンドし、呻き声と共に動きを止める。

 

「これで……大人しくなりましたね?」

 

爽やかな笑顔を向ける。それを見た新海先輩は若干引いた表情をしていた。自分も似た事するくせに……。まぁ確かに絵面はひどいかもしれませんが。

 

ハッとなり引き続き寝転がっている生徒の服や体を探る。ああ……違います、首飾りです。髪飾りではありませんって。

 

「首からぶら下げているやつよ。銀の十字架」

 

何処からともなく謎の声が聞こえるが、驚かず先輩の方を見る。先輩の手が首元に伸び力任せに首飾りを引きちぎる。

 

「九條っ!これだ!!」

 

十字架のネックレスを九条先輩に見えるように掲げる。その瞬間、持っていた十字架は消え、九條先輩の手に移る。成功したみたい……でも問題はここから。

 

このまま状況を放置するとそこに転がっている男子生徒は確実に死ぬ。それが後々問題の火種となる……。それを可能なら阻止しておきたい。

ソフィーの声が響き、先輩が急いで飛び退く。その瞬間、気絶していた男が叫び声を上げ、顔を掻きむしる。

 

一帯の炎が意識を持ったように動き出しこちらを目掛けて飛来してくる。

 

「九重っ!!!」

 

「九條先輩をっ!」

 

私の声に反応し、九條先輩の方へ向かう。これで向こうは一安心だね、問題は……。

 

周囲からこちらに向かってくる炎を捉え、男子生徒を炎の無い壁へと蹴り飛ばす。壁に叩きつけられた男子生徒は衝撃と同時に呻き声を上げ動きを止める。

 

「暴れないなら好都合かな?」

 

炎が迫る前に男子生徒へ向かい、炎へ振り返る。

 

「めっちゃ来てるやん……」

 

全方位から無数の炎が迫ってくるのを見てテンションが下がる。が、先輩たちの為と思い気合を入れる。

 

「此処から先は通れると思わないでねっ!」

 

このままだと男子生徒は死ぬ……じゃあどうするか?答えは簡単。触れる前に私が全て受け止めれば良いっ!!

 

向かってくる炎に構える。まずは正面っ!右下っ!上!左っ!下!右!また正面っ!

 

後ろの男子生徒に炎が触れない様に腕で振り払い、下から来るのを素早く蹴りで消し飛ばす。触れた部分に熱さと痛みが多少走るが、動きが止まるほどではないと分かり更に速度を上げる。

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!!!」

 

テンションが上がり勢いで言葉を叫ぶ。やっぱりこれだよね。

 

最後に向かってきた炎を右手の裏拳で払い、一息を付く。体は疲れていないが不思議な疲労感がある。これがアーティファクトのダメージなのかな?

 

周囲を確認すると少し離れた所で先輩たちがこっちを見ていた。どうやら無事の様子。

 

「先輩方、大丈夫……みたいですね」

 

「ああ、俺たちの方は……ってそれよりそっちは大丈夫なのか!?」

 

「私の方は平気です。こちらの男子も無事だと思いますよ?」

 

寝ている男子生徒を見ると、気絶はしているが呼吸をしているのが確認できる。問題は……無いはず?先輩と同じやり方で助けたんだし。うん。

 

私を心配するように駆け寄る二人に大丈夫と返事をしていると遠くからサイレンの音が聞こえてくる。

 

「………ぁ、サイレンの音」

 

「やっと来たかぁ……、取りあえずここから離れた方が良いよな?」

 

「そうですね、ここに居るとまずいと思います」

 

このままだと学年主任から面倒な説教を食らう羽目に……。

 

「お兄ちゃんっ!!」

 

「いてぇ!」

 

その場から離れようとすると隣の先輩の腹部に天ちゃんが飛び込んできた。怖かったと涙声の天ちゃんをあやす様に先輩は頭を撫でる様子を九條先輩が微笑ましげに眺めている……のを私が眺めているという構図が出来上がっていた。

 

これは……逃げられなさそうだね。

 

精神的に少し疲れた中、その光景を暫く眺めていた。

 





この辺りから少しずつ原作と差異が出始めます。楽しめて頂ければ幸いですが……。

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