9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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適当なおまけを一個目。

九重家での出来事を。


第27話:ある日の九重家

 

 

「舞夜姉、今暇だったり……する?」

 

九重の実家に帰り、おじいちゃん達との話し合いが終わり帰ろうと廊下を歩いていると、向こうから来た二葉ちゃんの一言がきっかけだった。

 

通されたのは談話室。異世界風に言えばサロンって言うのが当たりだろうか。

 

「私とお喋りがしたい……で良いのかな?」

 

「うん、出来れば白泉の事とかも知りたいなって……」

 

「二葉ちゃんは来年白泉に通うの?」

 

「舞夜姉と同じ場所に通いたいなって……ダメ?」

 

「私は全然平気だよっ、寧ろ可愛い後輩が来てくれるなら大歓迎!」

 

「ほんと……っ!?えへ、嬉しい……」

 

今話しているのは、久賀 二葉ちゃん。私の一個下の可愛い妹分である。物静かだけど、仲が良い人とは結構お喋りをしたりする。私もその一人である。一時期稽古やらで相手したり教えて行く内に仲良くなったのだ。

 

「でも、三花は確か玖方女学院だよね?お姉ちゃんと同じ場所にはいかないの?」

 

「ううん、あっちより舞夜姉が居る、白泉に行きたい」

 

「……それ、三花が聞いたら落ち込むよ?」

 

「その前に舞夜姉に、怒ると思うの」

 

「あはは……それもそうだねぇ」

 

私が二葉ちゃんと話していると、何かと割り込んで来る。自分の可愛い妹を取られまいと邪魔をしてくるのだ。そのせいで少し二葉ちゃんに言われたりする。毎度の展開である。

 

「それで?そのお姉ちゃんは今日は一緒じゃないの?」

 

「……確か、今は舞夜姉が一段落したって連絡が来たから、その報告に……」

 

「ははーん、なるほどね。その間私とお喋りしようと……?」

 

「ううん、こっちがメイン。舞夜姉、いつも忙しいから中々捕まらない。今日は運が良かった」

 

私はレアモンスターか何かかな?

 

「それじゃ、学校の話でも聞かせようかな」

 

「うんっ、お願いします」

 

学校での話や、最近起きた出来事、近くにあるおススメのお店などの話をしていく。

 

それから少し時間が経つと、部屋の扉が開く。

 

「二葉~、あんたこんな場所にーー」

 

部屋に入って来たのは、二葉の姉、久賀三花(くが みつか)であった。

 

「と、余計なのが居るのね」

 

「やぁやぁ、おひさー」

 

「そうね、二ヶ月振りくらいかしら」

 

「元気そうでなによりだよー」

 

「そっちも図太く生きている様ね」

 

「おかげさまで、元気に生きさせて貰ってますよー」

 

ズカズカと部屋へ入り、当然のように二葉ちゃんの隣へ腰を下ろす。

 

「お姉ちゃん、報告終わったの?」

 

「ええ、特に変わりの無いことだもの、直ぐに終わるわ」

 

「……残念、もう少し二人きりだと思ってたのに」

 

「ほんとに残念そうにしないでくれる……?結構心に来たんですけど……」

 

「舞夜姉に、学校の事もっと聞きたかった」

 

「二葉、あんたまだ白泉に行きたいとか言ってるの?駄目よ、あんたは私と同じ場所に入学するのよ!」

 

「……どこに入るかは私の自由。それに別々の高校に居た方が、色々便利。違う?」

 

「そんなの他に幾らでも居るわよ。私とあなたに限っては、同じ場所に居た方が動きやすいじゃない」

 

「そろそろ、妹離れをする時が来たって事で……」

 

「そんなんじゃないわよ、姉妹なら一緒に居る。当然でしょっ」

 

「私は、舞夜姉と一緒にいたいの」

 

「やっぱり根底はそこなのね……!」

 

親の仇みたいな目でこちらを睨む。

 

「い、いや~そんなに見つめられると照れちゃうな……あはは」

 

「舞夜!あんたからも言いなさい。この子は間違った選択をしようとしているってね!」

 

「たかが、学校選びにそこまで言わなくても……ね?」

 

「舞夜姉と同じ学校なら、今よりもっと沢山会える時間が増やせる……だから行くの」

 

「全く、ほんと優しい子なんだから……はぁ」

 

「お姉ちゃんに小言言われる時間も減るしね?」

 

「ぐはっ!……こ、小言……」

 

胸を押さえ、苦しそうに声を絞り出す。今のはダメージ入ったっぽいね。

 

姉妹の言い合いを横で楽しそうに見ていると、声に誘われてか、新しい客が来る。

 

「おや、何か声がするかと思えば……皆さんでしたか」

 

入口に居たのは、四栁(よつやなぎ) (つかさ)

 

「司君、そっちこそ珍しいね。この前振り?」

 

「電話越しではありますけどねー」

 

「四栁じゃない、何か用かしら?」

 

「いえ、特にあって来たわけではありませんよ?ただ、知り合いの声が聞こえたので顔を覗かせただけですよ」

 

「こんにちは、です」

 

「はい、こんにちわです」

 

少しよそよそしく挨拶をしながら隣の服を掴む二葉ちゃん。それをご満悦な表情を浮かべている三花。

 

「いい機会だし、司君もどう?まだ席空いてるよ?」

 

「うーん、嬉しいお誘いなのですが……ここに来ているのは自分だけでは無いので……」

 

若干残念そうにため息を吐く。もう一人……?

 

「おうおう、こんな場所で集まってどんな悪だくみを企んでんだぁ?」

 

司君の後ろから続くように入って来た人物。

 

「ありゃ、燈も居たんだ」

 

堂々と立っている人物が八倉 燈(やくら あかり)

 

「おう、久しぶりだな。舞夜」

 

「舞夜……?約束、覚えている?」

 

「舞夜……姉ぇ……」

 

「うむ、よろしい」

 

「で、だ。なにしてんだ?こんな場所で?」

 

「見てわかんない?女子会だよ。いや、お茶会かな?二人も一緒にお喋りする?」

 

「くっだらねぇ。んな事より俺と戦えよ、な?そっちの方が有意義だろ」

 

「まーたすぐにそういうこと言ってー」

 

「全くよね、たまにはこうやってのんびりするのも必要なのよ」

 

「俺が、あんたの下に付くのはそういう条件だ」

 

「まぁ、それを言われると、ねぇ……」

 

「舞夜姉は、今は私の相手を……」

 

「ぁあ?お前には聞いていねぇよ」

 

「燈?」

 

「……ちっ」

 

「あんた、私の可愛い妹を脅してんじゃないわよ」

 

「なんだ、やんのか?この際そっちでもいいぜ?」

 

「上等じゃない、やってやるわよ」

 

怒りを露わにしながら席を立つ三花。……まんまと乗せられちゃって、まぁ。

 

「ははっ、んじゃ行こうぜ!」

 

「……はぁ、ごめんね?二葉ちゃん」

 

「う、ううん。いつもの事だから……」

 

「舞夜さん、すみません」

 

移動する為に席を立つと、一緒に歩いている司君が頭を下げる。

 

「私じゃなくて、二葉ちゃんにね?」

 

「そうですね。二葉さん、ご迷惑をおかけしました」

 

「い、いえ……そんなことは……」

 

部屋を出て向かう先は修練場、手合わせとかをするための場所である。

 

「そんじゃ、やるとするぜ」

 

拳を合わせ、にやっと笑う。

 

「いつでもいいわよ」

 

上着を脱ぎ、髪を払う。

 

「えーと、成り行きで私が見るね?いくよー?よーい、どん!」

 

手を振り下ろすと同時に両者が力を使う。

 

「いっくぜっ!」

 

「とっちめてやるわよ!」

 

 

 

 

「お姉ちゃん、お疲れさま。はいこれ」

 

「ありがとね、助かるわ」

 

「俺の勝ちだな!次は舞夜姉の番だぜ!」

 

三花対燈の戦いは、燈の勝利で幕を閉じた。最初は接戦していたが、次第に押されそのまま押し切られ終了。

 

「ふふ、いいよー。そういう契約だもんねっ」

 

「舞夜姉の、戦うところ、見れる……!」

 

「よっし、そう来なくっちゃな!」

 

「四栁君、合図、お願いね?」

 

「ええ、喜んでさせていただきますよ」

 

燈と距離を取って向かい合う。

 

「そういえば、最近貰ったって言ってた能力は使うんか?」

 

「ん?あははっ、まさか。使わないよ?それじゃ試合が成立しないからね!」

 

「その余裕をなくしてやるぜぇ!」

 

四栁君からの合図が出され、私に向かって一直線に向かって来る。

 

「おっらぁ!」

 

最初は顔面目掛けての拳、それをぎりぎりまで引き寄せてから避け、逆側からの組手を腕で弾くと、後ろに下がられない様に足が割り込んで来る。

 

「なるほど、いいよ。その距離に付き合ってあげるねっ」

 

逆に逃げられない様に右肩で当て身をする。

 

「っ!?上等だ!!」

 

負けじと肘で反撃、反対の手で視界外から腹部へ掌底。

 

「ぐっ……!早ぇな!」

 

咄嗟に体勢を崩しながらも衝撃を逃す。当て身をした右手をそのまま薙ぎ払う……が、頭を下げしゃがむことで躱される。

 

「こっちから……っ!?」

 

それを読んで膝蹴りをする。

 

「ちぃぃ!!」

 

腕をクロスさせ、これを防ぎつつ後ろに飛び退く。

 

「やっぱり舞夜とやるのは楽しいな!」

 

「今の蹴りを避けられるのは、流石としか言いようがないね。そっちが避ける動作に合わせたつもりだったんだけどー」

 

「決めに来ない攻撃だったからな。誘ってると予想して正解だったぜ」

 

「その割には余裕なかったねぇ?」

 

「分かっても避けれるかは別だからな!」

 

「そりゃそうだね!……あと、舞夜じゃなくて舞夜姉って呼び忘れてる……よっ!」

 

さっきは向こうが攻めたから、今度はこちらから攻める。

 

「これに勝ったら続けてやるよ!」

 

私も先ほど燈がした動きと同じ様にパンチを繰り出す。

 

「あめぇっ!」

 

その攻撃を避け、反撃とばかりにアッパーカットを繰り出してくる。

 

「ざんねーん」

 

「うおっ!?」

 

先程の避けられた手で相手の首元の服を掴み、そのまま投げ飛ばす。

 

「自分と同じ攻撃だと油断したなぁ~?そいやっ!」

 

空中に投げだされ、咄嗟にガードを構えるが、ガードの上から蹴り技で叩き落とす。

 

「ぐっ……!おぉぉおっら!」

 

私の好きにさせまいと強引に身体を捻って手を地面に付け、蹴りを返して来る。カポエラに近いのかな。

 

その蹴りをすり抜け、お腹に前蹴りをお見舞いする。

 

「がっ……くっ!」

 

攻撃が直撃し、後ろに倒れ込む。

 

「どう?今のは技ありかな?」

 

「そうですね。一本ですね」

 

「あーー!くそくそっ!負けたぁ!」

 

「油断したね、わざと燈と同じ様に仕掛けたらまんまとかかっちゃって~、このこの!」

 

倒れ込んで悔しがってるほっぺをつつく。

 

「あれはやられちまったよ、くそっ!」

 

「燈相手だと、視界内の大抵の攻撃は反応されちゃうからね、外を狙わせていただきました」

 

「再戦だっ!今度は油断しねぇ!」

 

名案とばかりに元気よく立ち上がる。

 

「えー、ちょっと休もうよ?」

 

試合が終わったので、一旦壁近くまで戻る。

 

「舞夜姉、お疲れ様です」

 

「二葉ちゃん、ありがとー。楽しんで貰えた?」

 

タオルを受け取って、感想を聞く。

 

「はい、とても……!凄くかっこよかったです」

 

「相変わらず、ふざけた速さね」

 

「あはは、誉め言葉として受け取るよ。まぁ、それに反応する燈も大概だけど」

 

「あいつは生まれ持っての目の良さがあるから良いのよ。それより、さっき話してた能力って、どんなのかしら?」

 

「ん?ああ。何?見てみたいの?」

 

「多少なりと興味はあるわ。あいつ相手に戦いにならないっていうくらいだし……」

 

「うーん、正確には燈含めての四人相手でも勝負にならないんだけどね」

 

「冗談でしょ?」

 

「ふふーん、どうかなぁ?」

 

「それは、是非とも見てみたいですね」

 

「司君も?」

 

「ええ、話には聞いていますが、人には持たざる力……この身で体験してみたいという好奇心はあります」

 

「舞夜姉……私も、気になるなぁ」

 

「うーん、良いけど、多分理不尽って怒るよ?特に三花が」

 

「怒らないわよ、あんた以上の理不尽なんて、そうそう居ないもの」

 

「俺も興味あるな。つえぇ舞夜姉が、更に強くなるんだろ?」

 

「……それじゃあ、ちょこっとだけね?」

 

小休憩を終え、私を囲むように四人が周囲に立つ。

 

「そんじゃあ、行くぜ?」

 

「いつでも、どこからでもどうぞ」

 

「二葉、合わせなさい」

 

「うん、任せて」

 

特に合図は無かったが、燈が動き出した事で全員が動きだす。

 

「っらぁあああ!」

 

恐らく全力で最速最短での攻撃、だが……。

 

「お終い」

 

能力を発動させ、全員の動きを止める。

 

「っ!?」

 

私の目の前で拳を振りかざしたままで止まる燈、右からは三花と、二葉ちゃんが同時にこちらに走り出し、司君は私の死角に入り込んでいた。

 

「どうかな?これで勝負ありなんだけど……」

 

 

 

 

 

「何よアレ!!理不尽でしょ!反則よ!」

 

案の定、三花が騒ぎたてる。

 

「これが、舞夜さんが言ってたアーティファクトの力……」

 

「すごい……」

 

「確かにあんなもん使われたら一方的に殴られて終わりだな」

 

「だよねぇ……、流石に使うのは忍ばれるってものだよ」

 

一応九重の人間にも余裕で効果ありなのが分かった。まぁ、流石に覚醒しているので当然と言えば当然かな?

 

「ほほう、鍛錬とは精がでるのぅ」

 

入口から声を掛けられ、皆がそちらを見る。

 

「あ、おじいちゃん」

 

九重家当主のご登場に、燈を除いた三名が頭を下げる。

 

「よい、ちと実験に来ただけじゃ」

 

「実験……ですか?」

 

「そうじゃ、舞夜に用があってな」

 

「私?もしかして能力のこと?」

 

「うむ、折角だしわしも味わっておきたくて……な?」

 

「なるほどなるほどー……、うん、私は大丈夫だよ?」

 

「すまんな、四人とも。邪魔してしまって」

 

「いえ、とんでもございません」

 

「当主様の戦い、見れるなら嬉しい」

 

「久々じゃないのか?人前で戦うのはよぉ」

 

やっぱりなんやかんやで皆バトルジャンキー寄りだよね。ワクワクした顔してるもん。

 

「それじゃあ!早速実験と行こっか!」

 

おじいちゃんと場内に入り、皆は端で大人しくしてもらった。

 

「どうしよっか?私が能力かけて、それに対して対処可能かとかにする?」

 

「そうしようかの。やり方は舞夜に任せよう」

 

「おっけー、ではでは、いくね!」

 

手を前に出して、能力を発動させる。全身に紅色のスティグマが顕現する。

 

「……綺麗」

 

二葉ちゃんの見惚れるような声が零れる。

 

「最初から全力で行くからっ!」

 

スティグマが輝き、アーティファクトの力を行使する。

 

「……ほほう、なるほどのぅ……これは動けないわい」

 

「一応首から下を対象にしているから、目とか口は動かせるよ」

 

「通常の状態ではかなわんと……では、次に移ろうか」

 

正面のおじいちゃんの纏う空気が変わり、目が赤くなる。

 

「どう、かな?結構な抵抗を……感じてるのだけど……!」

 

「これで無理じゃったか……仕方あるまい、舞夜、次じゃ……行くぞ?」

 

「うんっ!本気で来ちゃってっ!」

 

「……はあぁぁ……!」

 

おじいちゃんが、ゆっくりと息を吸い、力を込めるように声を出す。次第に体中の血管が浮かび上がり、目の色が赤から黒へと変色する。

 

「ちょ、ちょちょっ!」

 

「ゆくぞっ!」

 

抑え込もうと全力を出すが、それを更に超える力によって弾けるように能力が解除される。

 

「……ふむ、これなら可能じゃな」

 

「流石にそれはきつかったかー、あはは」

 

「それだけ分かれば十分かの……。ほれ、折角じゃ。少し手合わせといこうか」

 

私に向けて『かかってこい』と手招きする。

 

「もー……おじいちゃんが戦いたいだけでしょー?でも、いいよ。私も色々試してみたかったし!」

 

両者戦闘モードに入る。

 

「先手は、舞夜に譲ってやろう」

 

「それはっ!ありがたい……ね!」

 

 

 

 

 

「なによあれ、人間辞めちゃってるじゃないの」

 

九重宗一郎と九重舞夜の手合わせが始まり、三花が呆れたように呟く。

 

「流石は、ご当主様の愛弟子……ですね」

 

「舞夜姉……凄い」

 

「はっ、あのくらいじゃねぇと倒し甲斐がねぇってもんよっ」

 

二人の戦いは、速さは勿論であるが、技の洗練さと力の使い方が桁違いであった。

 

「どうじゃ!舞夜っ、そろそろ体が温まって来たんじゃないか!」

 

「だねっ!そんじゃ!能力も解禁してっ、本気で行くよ!」

 

相手に向かって正面から突っ込む舞夜。衝突すると思った瞬間、ありえない動きでその場に留まる。

 

「せいやぁっ!」

 

想定していたタイミングとほんの一瞬タイミングがズレたことで、九重宗一郎の動きに隙が出来る。

 

「ほっ!甘いわっ!!」

 

それを無理やりに身体を動かし、伸ばして来た腕を掴み、後ろに投げ飛ばす。

 

「残念っ!」

 

宙に投げ出された舞夜の身体が空中で動きを止め、何もない空間を"蹴って"頭上から襲い掛かる。

 

「やりおるわいっ!」

 

その攻撃をスレスレで躱して、反撃を行う。

 

「っ!」

 

咄嗟に衝撃の軸をずらして難を逃れる。

 

「……今のは驚いた、一瞬だが本気で反撃したが……その様子だと問題なさそうじゃな」

 

「結構効いたよぉ……でも、ここからがお楽しみだから、ねっ!」

 

「おい、今、空中を蹴っていたよな……?」

 

「ええ、そうね。どう見ても物理を無視した動きだったわ」

 

「それに反応して、反撃まで与えたご当主様もおかしいですが……」

 

「二人とも……かっこいい……っ!」

 

さっきと同じ様に突っ込む舞夜。だが、今回は直前でその場を飛び、頭上に回る。

 

「効かんぞ!」

 

蹴り技かと思ったが、飛んだ先で直角に横に飛び出す。更に空中で何度も跳ねるように何もない空間を蹴り、九重宗一郎の周囲を動き回る。

 

「あれ、アニメとかで見た事あるわ……私」

 

「奇遇だな。俺も漫画とかで見たことあるぜ」

 

「なるほど、さっきの応用じゃな。しかし……」

 

舞夜が背後に降り立ち、攻撃を仕掛ける。

 

「その瞬間が分かれば、対処は容易いっ!」

 

即座に振り返り、その遠心力のまま裏拳を出す。

 

「ぐっ……!」

 

直撃した。確かに直撃したが、まるでその攻撃に意も介さない様に、動きは止まらなかった。

 

「無理やりじゃと……?」

 

「もらったぁぁあっ!」

 

「させんっ!」

 

反対の手で自分の腕に攻撃して衝撃を加え、強引に舞夜の身体を横に押し出す。そのせいで背中への攻撃が掠めるだけで留まる。

 

「ちぇ~、今のはいけるとおもったんだけどなぁ……」

 

「……今回はここまでじゃな。これ以上は加減が出来そうにない」

 

「うーん、確かにそうだね。私も充分能力試せたし、満足満足っ」

 

「さっきの宙を動き回るのは、中々に新鮮な体験じゃった!」

 

「でしょ~?楽しんでもらえるかなって思ってね!試した甲斐があったよー」

 

心の底から楽しそうに話し合う二人。

 

「どうかしら、二葉。参考になった?」

 

「……モチベーションアップには、繋がった……かな?」

 

「参考にはならなかったってことね」

 

「動きを追うので、精一杯……」

 

「あれを見て参考にしようと思える人など、ほんの一握りですよ」

 

「そうね、今の私たちには到底無理そうね」

 

その中で、一人だけ口を大きく開け、目を輝かしている青年が居た。

 

「……次は、次は俺の番だっ!」

 

衝動が抑えきれず、二人の元へと走り出して行った。

 

「ま、良い物が見れたって事で納得しておきましょ」

 

レベルの違う戦いを見て、他二人も同意した。

 

 




名簿

四栁 司(よつやなぎ つかさ)

主人公の一つ上の優男で白泉の二年生。主に隠密や諜報など探偵に近い仕事を多く受け持つ。
会話から人の心情や考えを読み取る技能が長けており、横暴な八倉燈と一緒にされることが多々ある。彼から主人公への印象は、歳相応の少女と、歳不相応な人間が合わさっているようなチグハグな人、という印象を持っている。


八倉 燈(やくら あかり)

主人公の一つ下で久賀二葉と同じ歳。野生児みたいなやんちゃ坊主。自分より弱い奴には従いたくないという理念を持っているので、何かしらで勝つことが出来れば認めるという分かり易い性格をしている。才能は同期の中でもぶっちぎっているが、才能すらない主人公が自分より強い秘訣を探すために下に付く。

過去に九重澪に喧嘩を売ってボコボコにされたことがあり、少しトラウマになっている。

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