投稿に少し間が……バイオRE:4を少々やり込んでしまいました。落ち着いたので続きを書こうかと。
「………」
スマホの画面を睨みつつ、時間が経つのをただ待つ。
「うむむ、ハットリさんからの報告で、神社に着いたって言ってたし……」
今日の夜に新海先輩と香坂先輩が二人で成瀬先生……イーリスに会いに行く。そこで色々と話を聞かされアンブロシア(毒)が渡される。
「あ~……私もその場で話とか聞きたかったなぁ……」
イーリスの話に色々突っ込んで嫌がらせしてみたかった……面白そうだし。
「ちょくちょくメッセージは来てるからハットリさんも大丈夫そうだね」
今日の夜、イーリスとの話が終わり新海先輩が自分の部屋に戻り、ソフィと会った瞬間が分岐地点である。その瞬間この世界がBAD ENDの次なのか分かる。
「ん~……、今の私にも残せる事無いかなぁ……?」
既にすることは決まっているが、もっと何かあるのでは?と欲を出してしまう。
「やっぱり、観測できる人に託すのが一番だよね……よし!」
気合を入れて姿勢を正す。
「……ソフィー?もし先輩じゃなくて私を見ていたりしたら話がありまーす」
何もない空間に向かって呼びかける。
「……あるぇ?」
少し待ったが何も起きない。おかしいな、一応先輩にソフィに相談があるから今夜呼ぶかもって話はしているんだけど……伝え忘れかな?
「ソフィさーん?忙しそうでしたら大丈夫な時にお願いしまーす。それまではここで待っているのでー……」
自分の部屋で宙に向かって一人で話続けるのは虚しく感じるのでここらで止めておく。向こうも新海先輩達に夢中かもしれないしね。
引き続きスマホと睨めっこしながらデジタル時計が動くのを眺める。
それから暫く待っていると、正面の空間が歪む。
「ハァイ、待ったかしら?」
「あ、ようやくですね。こんばんわです」
「こんばんわ。それで私に話があるみたいね」
「ですです」
宙を浮いていたソフィ人形がテーブルに着地する。
「えーっと、相談もそうですが色々質問?話がありまして……」
「手短に。あまり暇じゃないのよ」
「了解です。では先に用件を……」
そう言って、ポケットからドックタグをテーブルに置く。
「あら、アーティファクトじゃないの。あなたの?」
「いえ、私のはイヤリング型なので別の人のです」
「これを何処で?」
「この街で能力を悪用している人を、たまたま見つけたのでこちらで勝手に対処させてもらいました」
「対処ねぇ……殺して奪ったってことでしょ?」
「そうですね」
「……まぁ、方法については口を出さないであげる。それで?どんな能力だったのかしら?」
「特定していませんが……多分人を洗脳とか魅了みたいな精神を操る感じの力かと思います。元持ち主ですが、ある会社の社長で取引相手とか他の同業者に力を使ってやりたい放題していました」
「それはまた面倒な事を……」
「私の実家がこの街で色々としており、影響を受けたのが発覚の始まりです」
「大体の経緯は分かったわ。私に渡す……で良いのよね?」
「はい。これは、私個人としてはイーリスではなく、ソフィーティアを信用しているという証明です」
「……あなた、カケルたちの事を知っているの?話していた様には見えなかったけど」
「私の実家は、この街で色々としているのですよ。目となり耳となりそれは色々と……」
「カケルを監視していたというわけね」
「ふふ、ご想像にお任せします」
「いいの?あの子らはこちらでは無くて向こうを信じ始めているわよ?」
「そうなるかもしれませんし、そうならないかもしれません。どっちに転んでも良い様に私はソフィ側に付こうかと」
「私が裏切ったら?」
「その時は私の見る目が無かったという事で……」
「てきとうねぇ……」
「まま、この話はこの辺りにして……もう一つお聞きしたい事がありまして」
「何かしら」
「新海先輩の能力。オーバーロードについて詳しく知りたくて……確か過去、現在、未来の記憶をここではない別の枝の自分に継承させることが出来るとかなんとか……」
「大体その認識で間違いないわ。私たちが今いるこの枝や別の枝での出来事を……それも未来の記憶すらも知ることが出来るわ」
「他の枝……。因みになのですが、ナインボールで仰っていた魔眼のユーザーはこの枝でしか現時点で特定出来ていないのですか?」
「そうね。他ではまだ疑っている程度だわ」
「……なるほど。つまりこの枝の先輩は本当に未来の記憶を継承して魔眼のユーザーを特定したという事なのですね……」
「これがオーバーロードの強みね。例え失敗してもその記憶を引き継いで次へ行ける。何度でも過去の自分へ戻り再挑戦が可能ね」
「強くてニューゲームってことかぁ……この枝でソフィが先輩達を静観しているのはそれが理由?」
「……その通りよ」
「誤魔化さないのですね」
「あら?誤魔化されてくれたのかしら?」
「あはは、確かに。まぁ、仮に先輩達が向こうに付いて失敗しても次の枝では確実にいい方向に活かせるもんね」
「あなた、怒らないの?」
「ん?どうしてですか」
「今の私の発言は、この世界のあなたたちを見捨てるって言っているのよ?防げるかもしれない間違いをそのままにしてよ」
「あー……そゆことかぁ……でも」
「でも?」
「もし、もしも。仮の。ifのお話だけど……失敗しても次の糧になるってことだよね?先輩のオーバーロードがあれば」
「……理屈上はそうね」
「そっかそっかぁ……もしその時が来たら頑張って先輩に何か託しておかないとね……ふふ」
「あなた、頭おかしいのかしら」
「うわぁ、急に辛辣ぅ……」
「ま、好きにしなさい」
「はーい、好きにさせてもらいまーす。それに、先輩だけじゃなくて世界の眼を持っているソフィもいるしね!何かあったら先輩をよろしくお願いしまーす」
テーブルに手をついて頭を下げておく。
「期待されても困るわよ。けど、一応聞いておくわ」
「うん、ありがとうございます」
「話は以上かしら」
「あっ、あともう一つだけ!」
「なに」
「アーティファクトをうまく使いこなせる方法的なのって……あったり?」
「前にも話したけど、アーティファクトは魂の力。心を強く持てばアーティファクトはそれに応えるわ。肉体より精神が重要」
「強く想う気持ち……心の……分かりました。ありがとうございます」
「それじゃ、私は行くわ。カケルの方にも用があるから」
「了解です。
ふわふわと浮かび上がり、空間の裂け目へと消えていくのを手を振りながら見送る。
さて、次は直ぐなのかそれとも……。
ソフィの口から直接確認しておきたかったことも聞けたし、持て余していたアーティファクトも渡せた。
スマホを見ると、ハットリさんから新海先輩達が神社を後にしたと連絡が来ていたので返事をしておく。
「明日は猫かぁ……」
手に持っているスマホを宙に投げ、くるくると回るスマホに能力を使って動きを止める。
「……いやまてよ。明日新海先輩側に行かないと結城先輩の可愛らしいお姿が……っ!?」
衝撃の事実に気づいたことで、能力が解けスマホが落下してくる。
「っと、どうしよっ。香坂先輩のお姿も……!」
九條先輩と天ちゃん側に付けばそれは見れないということ……!でも、そっちはそっちで気になるし!!
「………そうだ」
BAD ENDの枝は九條先輩と天ちゃん、オーバーロードに目覚めた枝は新海先輩達側。どうこれ、名案じゃないかなっ!?
「よーし、それでいこ。それなら問題無いよね?」
誰も居ない部屋で一人盛り上がる。
「俄然楽しみになって来たかも」
ゴールデンウイーク初日の午後。新海先輩から話があるとメッセージが来たので皆で集まることになった。
皆は飲み物を頼み、お昼をまだ食べていなかった私は追加でナポリタンを頼んだ。鉄板なので楽しみである。
新海先輩からイーリスの事、そして受けとっているアンブロシア(毒)のことを皆に話す。私は途中に届いたナポリタンを食べながらその話を聞いていた。
「飲ませるか、注射するか……」
九條先輩がアンブロシアを手に持ちながら呟く。
イーリスを信じるかどうかはさておき、預かったアンブロシアをどうやってリグ・ヴェーダ・アスラに使うかの話へ移っている。ナポリタンうまい。
「だな。ま、問題は……」
「どうやって実行すんだよ。と……?」
「そう。それ。まじでそれ」
「居場所がわからないことには、詳細な計画もたてられない」
「でもさ、それを言っちゃ始まらないしさ。簡単にシミュレートしてみようよ。まずは、飲ませる場合、どうしましょ」
天ちゃんが主導で作戦を進めて行く。
「飲み物に、混ぜる……」
「です、ね。問題は、どうやって混ぜるか……ですね」
「お茶会に誘ったら来ないかな?やっほーってさ」
「アホかよ。……って言いたいけど、あいつの性格だとありえそうで怖いんだよなぁ……」
「彼は、私たちを脅威と認識していない。そういう性格ならば……ないとも言えないわね」
「正確には舞夜ちゃん以外……ですな。にぃに、連絡先知っているよね?」
「ああ。あのあと送ってみたけど、まぁ返事はないわな」
「連絡は出来る状態ではあると?」
「一応はな」
「じゃあさじゃあさ、ちとシミュレートしてみようよ。にぃにがナインボールに来い、と送る」
「ああ」
「んで、いいよオッケーって返事がきます。ナインボールで会います。ここでみゃーこ先輩っ!」
「あ、うん?」
「アルバイトの立場を利用して、飲み物に薬を混ぜます。テーブルに届けます。届いた飲み物を疑いもせずに飲むっ」
「ぅっ!?ぐわぁ~!力が、抜けてくぅ~!やったぜ作戦大成功!!」
「どうっすかね?完ぺきでは?」
作戦内容を話し終え、どや顔で締めくくる天ちゃん。皆の反応は無言である。
「あ、は~い。返事しなくて大丈夫でーす。ってか前提条件がおかしいんだよ。舞夜ちゃんが居るのにホイホイと誘いに乗るかよにぃにアホかよ」
「いや、お前が言い出したんだろふざけんな」
「てかあれだね。毒殺を目論んでる人の会話だよね。ヒーローサイドの会話じゃないよね」
「それは……うん。確かにな」
「どうにか私の力であの人の行動を操れれば、良いのですが……」
「それは難しそうなんですよね?」
「はい……」
「司令官の方は?」
「ぁ、そちらは、可能かも……」
「でも、にぃにの友達の方はどうすんの?」
「そうだな……」
言葉を止め、新海先輩がちらりと此方を見て来たので、食べる手を一旦止め、問題無いと頷き返す。
「そっちに関しては大丈夫。九重が何とか出来るってさ」
「舞夜ちゃんいけるの?」
「もぐもぐ……。うん、魔眼さえ対処出来れば肉弾戦で負けることは無いって断言しておくね。転移も多分私の能力で止めれると思うよ」
「あなたの能力は確か……対象の動きを止める、だったかしら?」
「ですね。色んなものが対象可能と検証済みですので、問題無いかと」
「そう、なら戦いとなった時は前衛は任せるわ」
「承りました。精一杯務めさせていただきます」
胸に手を当てて頭を下げる。執事っぽいかな?
「………」
頭を上げると、天ちゃんが悪い事を思いついたかのような表情をしていた。
「……お前、なんだよ。なにあからさまに悪そうな顔してんだよ」
「いやね、思いついちゃいまして……ね?」
「法を犯すならば却下」
「聞くだけ。聞くだけ聞いて下さい。聞くだけっ」
「どんなこと?」
「ぁ……みゃーこ先輩優しい。そんなみゃーこ先輩に関するお話です」
「? うん」
「みゃーこ先輩の能力って、他人のものを奪えるんですよね?」
「そう、だね。うん」
『奪える』という言葉に少し後ろめたい気持ちの九條先輩。
「奪ったものって、ワープするんでしょ?」
「うん、する」
「心臓って奪えるの?」
「え?しん……え?」
「出会い頭に心臓を奪うんですよ。相手即死ですよ。どう?」
困惑顔の九條先輩に生き生きと話し続ける天ちゃん。
「どう?じゃねぇよ。なんつーエグいこと思いつくんだよお前……」
「いや、普通思いつくでしょ!お父様ならもっとうまく盗むけど……みたいなっ!」
「ぁ、イエーガー×イエーガーのルリアのセリフ……」
「そうですそうですっ。あんな感じで!みゃーこ先輩、どうっすか?」
「ぇ、う~ん……。出来るかもしれないけど……」
「なしだろ。そんなの」
「当然、無し」
「はい、すみません。わかってて言いました。すみません」
「ご、ごめんね?なんとかしたいって気持ちはあるけれど、そこまでの覚悟は無くて……」
「そんな覚悟は必要ない。私たちがすべきことは、彼らに法の裁きを受けさせること。命を絶つことじゃない」
「だな。そもそも九重が居ればそんなこと必要ないしな」
「はーい、すみません」
心臓をかぁ……。たぶん本気で行けば可能だと思うけど……漫画みたいに綺麗には出来なさそうだよねぇ。心臓ごと相手の体吹き飛ぶと思うし……あ、能力で固定したらワンチャン……?
「でも……そっか。心臓なんて、思いつきもしなかったけれど……私の能力、もっと応用利くのかな……?」
「記憶を奪ったりできるよな」
「え?」
「視力も奪える」
「記憶や視力……そんなことが……」
「本人も知らないことを、したり顔で言ってやがりますが」
「いいや、出来る。よく分からないけど確信がある」
「あー、またか。にぃやんの能力」
「ああ、来た。天啓が舞い降りた」
「アホかよ」
「うっせーな。とにかく、できるはずだ」
ナポリタンを食べ終え、口元を綺麗にふき取る。うんうん、無事九條先輩の事も伝えれたみたいだね。お祝いに何かデザートでも食べようかな?
「試して、みますか?」
「試してみたいですけど……」
「あたしに!あたしにやってみてください!あたしに!」
体験してみたいと我先に天ちゃんが手を上げる。
「いいの?」
「どうぞ!ぁ……奪われたあと、戻ってきますよね……?」
「どうだろ……やったことないから……」
「ぇ怖い。じゃあやだ怖い……」
「大丈夫。戻せる。奪った物はどんなものでも、元々あった場所に戻せる」
「じゃあどうぞ!やっちゃってくださいどうぞ!」
「う、うん、新海くんを信じて、やってみる……!」
九條先輩が、天ちゃんに向けて手をかざし、甲にスティグマが浮かんだ。
ここらで一区切りを。
次は猫探索編ですかね。着々と近づいてきてますね……。