9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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最後の選択肢シーンです。

胸元をガッ!





第6話:自分でバラすのと人にバラされるのでは情報の価値って変わりますよね?

 

 

朝起き日付を確認する。今日は4/29で先輩達と天ちゃんが通学路で香坂先輩に連絡先を教えて会う日だ。

 

「ん~。本番は放課後のナインボールなんだよねぇ……」

 

確かその場に結城先輩も居たはず。どう立ち回るか迷う。普通に新海先輩に付き添うか、結城先輩サイドで様子を見るか、一応1人で観察をするって選択肢もある。

 

「うーん。今日が最後の選択肢だし、隣で対処出来る様にした方が安全だよね」

 

朝食を食べ終え、通学の支度をしながら結論を出す。

 

「よし、そうと決まれば朝から先輩に接触だねっ」

 

朝の通学路で九條先輩と天ちゃんが新海先輩を待っている、その前に先輩と合流して一緒に行けば自然な流れが作れる……いや、アーティファクトの話出しづらいかな?まぁいいや。

 

支度を終えて、部屋を出る。タイミングを逃す可能性があるため直接先輩の部屋のチャイムを鳴らす。

 

「はーい、って九重か。どうかしたのか?」

 

扉を開けると、同じく支度を終えた先輩が出てくる。

 

「おはようございますっ。折角ですし一緒に通学でも……ってお誘いです。どうでしょうか?」

 

「俺とか?まぁ別に構わないが……多分途中で天と合流することになるぞ?」

 

「寧ろ好都合ですっ」

 

「それなら少し待っててくれ。鞄取って来るわ」

 

「了解です、急がなくて大丈夫ですから忘れ物に気を付けてくださいね」

 

無事先輩と合流し通学路を歩く。

 

「そういえば、昨日の九條先輩とのプチデート、どうでしたか?」

 

「普通にケーキ食べて帰ったな」

 

「食べたケーキ当てましょうか?九條先輩ですし、シフォンケーキを頼まれましたか?」

 

「すごいな、正解だ」

 

「やった、当たりました。多分そうかなって思ったんですよー」

 

驚く先輩を見ながら原作通りだなぁ、と思う。

 

「可愛い同級生とのデート気分を味わえましたし、先輩としては満足ですね」

 

「別にそんな事考えてねーよ」

 

「またまた、私はお見通しですよ?『せめて、デート気分だけでも……!』って顔に書いてましたし、私は退散しておいて正解でした」

 

にやにやしながら先輩を見ると、内心がバレていたからか目を逸らす。

 

「あ、今目を逸らしましたね?つまり図星だったと……?」

 

「図星じゃないから。全然違うから」

 

「でも先輩が本気で狙うって言うのでしたら私サポートしますよ?先輩より九條先輩の事知っていますし」

 

「え、ほんとか?」

 

驚いた顔でこちらを見る。

 

「はい。本気です。先輩みたいな人でしたら九條先輩を安心して任せれますし」

 

「九重は九條の親か何かかよ」

 

「社長令嬢ですし、性格良くて料理も出来る、スタイルも文句無い……こんな素晴らしい女性は世が放っておかないですよ。何なら私が娶りたいぐらいですっ」

 

「まぁ……確かに非の打ちどころが無いよな、九條って。意外と節約家だし」

 

「そこがまた可愛いんですよねぇ」

 

「それわかる」

 

共通の話題を持ち出し何かと話が盛り上がる。気が付くと正面に天ちゃんと九條先輩が見えた。

 

「あ、来た来た。にいやん遅いぞ~!」

 

先輩を見つけ天ちゃんが手を振る。隣の私を見つけて驚いた顔をする。

 

「え、ええ?なんで舞夜ちゃんが……!?」

 

「天ちゃんおはよっ、九條先輩もおはようございます」

 

「舞夜ちゃん?うん、おはよ~。新海君もおはよう」

 

「ちょっとにいやんっ!どうして二人で一緒に来てるの!?」

 

「家が近いからな、たまたま一緒に通学しただけ」

 

「そうそう、朝先輩と合流して来ただけだよ?」

 

「それより、なんで九條が居るんだ?」

 

「それよりって……まぁいいか。えっと、モテモテのあの人のことが気になったんだって」

 

「どんな人かな~って、見てみたくて」

 

「なるほど、少しは知ったから一応共有しておくけど、コウサカハルカさん、だってさ。学年は一つ上の三年。先輩だな」

 

ソフィから今朝に聞いたであろう情報を話す。私にはまだ話せないからか、名前自体は伏せられて話す。

 

「コウサカ先輩……」

 

「九條は知ってるのか?」

 

「ううん、ごめんなさい」

 

「とにかくさ、行こうよ。逆ハーレム隊、もう先行っちゃってるよ?」

 

「ああ、悪い、追いつこう」

 

天ちゃんの言葉で皆が動き出す。

 

「あ、カゴに鞄ど~ぞ」

 

「あざーす」

 

九條先輩の気遣いで二人が鞄をカゴに入れる。

 

「舞夜ちゃんは?入れて大丈夫だよ?」

 

「お言葉に甘えさせてもらいますっ」

 

正直肌身離さずに持ちたいが……ここで断るのは空気が変になりそうなので断らずにカゴに入れる。

 

少し歩くと、正面に物凄く目立つ集団が見えてくる。取り巻きの男子に鞄を持たせこれ見よがしに優雅に歩いている。

 

なるほどね、あれが名物と言っている大名行列ですか……。

 

「先輩らがさっきから話していたのってもしかしてあれの事ですか?」

 

「ああ、九重も見たことあるか?」

 

「一応知ってはいます、最近になって急に出来始めたみたいですけど……」

 

見た事はないけど知ってはいます。知識としてしっかりと。

 

「まさに女王だよね。制服も胸元をガッ!って開けちゃって」

 

「でも……なんだろう。こんな言い方は失礼だけど……」

 

「無理にキャラクター作ってる感あるよね」

 

「あぁ、うん、そう。話し方がぎこちないなぁ~……って」

 

確かにここから聞こえる会話だけでも作っている感がひしひしと伝わってくる。確か設定が未熟な女王様だったっけ?

 

その後、天ちゃんが新見先輩の背中でLINGのIDを書いて集団の中に入って行き、戻って来る。無事任務を終えた天ちゃんを撫でようとした先輩が手を振り払われたので代わりに頭を差し出しておいた……がスルーされた。悲しい。

 

「取りあえず放課後まで様子見するかぁ。放課後までなにもなかったら、またなんか考えよう」

 

その後、先輩と天ちゃんのやり取りを横から見つつ、無事に九條先輩の『仲むちゅまじいね~』イベントを回収した。全力で天ちゃんと弄り倒し、次に噛んだ天ちゃんも全力で弄り倒した。特に噛まなかった私の一人勝ちである。

 

 

 

放課後、先輩達がまだ終わっていなかった為、先に一人でナインボールへ向かう。出待ちしようかとも考えたが、二人きりにした方が良いと思ったのと、当事者でもない自分が興味本位で参加して一緒に行くのは少し不自然だと考え、勝手にナインボールに居たという状況にしておくことにした。

 

お店に入り、軽く周囲を見ると、既に結城先輩が居た。注文が届くのを待っているのか手に持っている本に視線を落としていた。

 

お話をしたかったが、特に声を掛ける理由も無いので仕方なく席へ座る。適当に飲み物とケーキを頼み時間を潰す。すると店の中に香坂先輩が入ってくる。

 

少し目を伏せながら窓際の奥の席へ座る。ここからだと会話内容は何とか聞き取れると思う。最悪口の動きを読めば何とかなるはず。

 

飲み物に口を付けながら少し待つと、新海先輩がお店に入って来た。九條先輩は裏からかな。

 

傍に来た店員さんの案内を断り、奥の席に座り香坂先輩へ話しかける。先輩が喋ると俯きながらもじもじとしている。声が小さ過ぎて流石にここからは言葉は聞こえないが、そんなことどうでも良いくらい可愛かった。小動物みたいに縮こまっている先輩可愛いっ!!

 

にやけてしまう口元を手で隠す。やばいです、もじもじしてて可愛いんだけどっ……!このケーキより胸焼けしそうです。最高です。

 

新海先輩が何とか会話を続けるが、肝心の香坂先輩はどもり、ため息を付いて俯いている。人見知りモードですね。そろそろ切り替わると思うんだけど……。

 

その瞬間、俯いていた先輩の空気が変わる。おどおどして硬直していたのが無くなり、顔を上げる。そこにはさっきまでの緊張や怯えた様子は無かった。

 

……来ました、女王様モード。

 

香坂先輩がモードチェンジした後も会話が続く。今度はどちらも声もしっかりと聞こえるので状況を把握しやすい。

 

しかし、運命とはぶっ飛んだ解釈してきたなぁ、と考えていると香坂先輩が胸元のリボンを外し、制服のボタンを開け胸元をガッツリ開け始めた。うん、凄く大きい。

 

続けて新海先輩がグラスに伸ばした手を覆う様に香坂先輩の手が重ねられる。

 

ーーーよし、このタイミング。

 

この後の展開で先輩が掛からない為に邪魔しておこう。これは九條先輩の為でもあります。

 

席を立ち、二人に近づくと香坂先輩が能力を行使する。新海先輩は香坂先輩をぼんやりとした顔で見つめている。

 

「場所を、変えませんか?」

 

新海先輩に場所の提案をし始めた後ろからその両肩を叩く。

 

「先輩じゃないですかっ、今日もナインボールへ来てたんですね!今日は例のセクシーな女性と来てるんですね?」

 

「……っ!」

 

私に声をかけられたことで反射的に香坂先輩の手を振り払った。ナイスです。

 

「あら?どなたでしょうか?」

 

「すみません、いきなり割り込んできてしまって……私一年の九重って言います」

 

「これはご丁寧に。ですが、私は彼と話しているので、後にしてもらえませんか?」

 

「こ、九重か。どうかしたのか……?」

 

「いえ、先輩を見かけたので声を掛けたのですが、どうやらお邪魔みたいでした」

 

「お水のおかわりいかがですか?」

 

難は去ったので席に戻ろうとすると、そこに九條先輩がやってくる。異変を察して来たのか新海先輩を心配そうにチラリと見る。

 

「いえ、大丈夫です。ありがとう」

 

水を断るという体で助けは不要と伝える。新海先輩の無事を確認して九條先輩は下がっていった。

 

「では先輩、私も席に戻りますので~」

 

席に座り、置いてある飲み物とケーキを味わう。後は大丈夫だよね。

 

この後は普通に解散するだけなので安心してケーキを食べて行く。一応先輩に意識は割いておくけどね。

 

そして話は終わったのか香坂先輩が店を出て行く。入れ替わりに九條先輩が新海先輩の正面に座って話し始める。その顔はどこかホッとしている。

 

すると二人でどこかに視線を向ける。視線の先には結城先輩がお返しとばかりに睨み返していた。まぁその前から新海先輩を見ていたんだけどね。

 

先輩がアイスティーを手に持ち席を立ちあがり、結城先輩の正面に腰を下ろす。

 

ああっ、あった。このシーンあったよ、ひと悶着起こす場面!

 

ようやく何があったか思い出す。

 

「……席、間違えてる」

 

目の前に先輩が座ったにも関わらず、淡々と指摘する。

 

「いいや、あってる。いつも俺たちのことを睨んでるよな?」

 

「……そうね」

 

涼しげに前髪を軽く払いながら答える。超クールです結城先輩。

 

「なにか、こっちを怒らせるようなことをしたか?」

 

「いいえ、特には」

 

「ならどうして睨む。落ち着いて茶も飲めねぇ」

 

「……あなたも私を警戒している」

 

「睨まれたら警戒する。当然だろ」

 

「……それだけじゃない。腹の探り合いはやめましょう。時間の無駄。悪いけど、私は石化の能力者ではない」

 

「………やっぱりユーザーか」

 

「あなたたちは迂闊すぎる。あんなに大声で能力の事を話すなんて……特に九條都さん」

 

「お待たせーーーぇ?」

 

結城先輩へパフェを運んできた九條先輩が固まる。良い仕掛け方をしますねこれは。

 

「どうして……私を……」

 

「コロナグループの社長令嬢。この街に住んでいる人間なら、誰でも知っている。この店の常連なら尚更」

 

「……能力のことが公になれば、混乱が起きる。迂闊な行動は自重して欲しい」

 

「そう、ですね……。気を付けます」

 

結城先輩の攻勢で話が進んでいく。

 

「とにかく、私の邪魔をしないで。石化の能力者は私が裁く」

 

「あ、あの、それなら、協力しませんか?私の能力はきっと役にーーー」

 

「勘違いしないで、誰かを頼る必要はない。私の能力だけで十分」

 

九條先輩の申し出をあっさりと断る。

 

「それに、あなたたちも監視対象でしかない」

 

「また監視ときたか……」

 

既にソフィの監視対象である先輩が愚痴を零す。

 

「……それより、パフェ。早く食べたいの」

 

「ぁ、は、はい、失礼しました」

 

「ご注文は以上でよろしいですか?」

 

「ええ、ありがとう」

 

「……あ、あの。お名前は……」

 

「……もしかして、そこの彼女から聞いてないのかしら」

 

「そこの……?」

 

「ええ、あっちの席に居る子」

 

先輩らの視線がこちらを向く。取りあえず首を傾げながら不思議そうに見返す。

 

「舞夜ちゃんから……?いえ、特に何も聞いていないです」

 

「そう……あなたたちには隠していたのね。たしかに私には()()()()()も明かさないみたいだし、お互いの事は全部話して無いようね」

 

「……ぇ?」

 

「はっ?」

 

結城先輩の爆弾発言に二人が声を上げる。

 

うわぁ……。ここでそれをいっちゃうのかー。まぁ?結城先輩にはユーザーなのはバレているからしかたないんだけどさぁ……。

 

「舞夜ちゃんがユーザー……?」

 

「その様子だと、知らなかったみたいね」

 

「もしかしたらとは思っていたが……マジかよ」

 

うーん、先輩は疑ってたみたい。まぁ、アーティファクトの話してる場面にもちょくちょくいるし、火事の事件もその場に居たから疑われるよね。

 

「あなたたちよりはあの子の方がずっと慎重なのはわかった」

 

話は終わったと言わんばかりに手元のパフェを食べ始める。

 

「……。ごゆっくり、どうぞ……」

 

これ以上の会話は望めないと察した九條先輩が仕事へ戻っていく。

 

「はぁ……」

 

席に座って居る先輩がため息をつき、アイスティーを口に付け席を立つ。向かう先は勿論私の正面っ!

 

「……先輩、戻る席、間違えてますよ?」

 

「いいや、あってる。今の話ほんとか?」

 

結城先輩と同じ様に言ってみたが、同じ様に返された。

 

「……私がアーティファクトユーザーってお話でしょうか?」

 

「ああ、そう言うってことは、そうなんだな?」

 

「ですね。先輩の言う通り、実は私もアーティファクトを持っています」

 

「やっぱりかぁ……」

 

額に手を当てながらため息をまた零す。

 

「怪しいとは思ってたんだよな。火事の時、九條の能力見ても特に聞いて来なかったし……そもそも襲って来る炎を迎え撃つ時点で気付くべきだった……」

 

「黙っててすみません」

 

「いや、言いたくなかったのならしょうがないさ。因みにいつからなんだ?」

 

「……フェスの日からです」

 

「九條と一緒か。また身近にいるユーザーを一人見つけることが出来たのは良いんだが、念のために聞いておくが、九重は味方で良いんだよな?」

 

「勿論先輩方の味方に決まってますよ?それと、残念ながら私は石化させる能力は持っていないですね」

 

「どんな能力なんだ?」

 

「言ってしまえば、物の動きを止める力です。見ますか?」

 

「頼む。ああ、いや、やっぱり止めておこう。さっき言われたばかりだからな」

 

先程の結城先輩の助言を思い出して見るのを止める。

 

「分かりました。後でお見せしますね」

 

「だな、また後で頼む」

 

先輩と後の用事を取り付ける。いいタイミングだし今夜にでも部屋へ押しかけよう。

 





はい、主人公がユーザーとバレてしましました。おのれ結城希亜……!でも可愛いから許す。

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