9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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与一、蓮夜、春風班と一足先に合流する為に教室から直行でジョナスンへ向かう主人公。

翔、都班は天と合流し、希亜を拾ってジョナスンへ。




第7話:息ぴったりなコントだなぁ……ほんとにこの二人は

 

 

「お待たせしましたっ!」

 

「おっ、舞夜ちゃん~、来たね!」

 

「キミが、新海翔から連絡があった……」

 

「はい、同じ白泉の一年、九重舞夜と言います。九重でも舞夜でも好きに呼んで下さいっ。お二人の事は新海先輩から聞いています」

 

次の日、新海先輩から高峰先輩経由で香坂先輩とコンタクトが取れたという事で、ファミレスで集まることになった。

 

事情を知っている人間が一人居た方が良いのと、女子を香坂先輩一人だと可愛そうなので私だけ先にこちらに合流した。

 

「ふむ、では自己紹介は不要だな」

 

「ですね。後から来る先輩らとすることになりますし……、あ、隣失礼しますね?」

 

流れるように香坂先輩の隣を座る。

 

「翔達はいつ頃来そう?」

 

「もう少しかかるかと。妹さんと合流して駅前で結城先輩とも待ち合わせしていたので」

 

「フ、そうか」

 

正面に座って居る高峰先輩がニヒルに笑う。

 

「ですので、それまでの間に聞きたい事があれば私が答えます。知っている範囲になりますが……」

 

三人を見ながらそう伝える。香坂先輩の方は既に人格が入れ替わっており、こちらを確かめるような視線を一瞬向けたが、すぐに正面を向いた。

 

「ほんとっ?それじゃあさ、舞夜ちゃんって付き合ってる人とか居るの?」

 

何を聞いてくるかと思えば、アーティファクトと関係無い事を聞いてくる。

 

「えっと……関係無いですが、まぁ、いいです。残念ですが、お付き合いしている男性は居ませんね」

 

「与一よ、我々がここに集った理由と関係ないと思うが」

 

「いいじゃん別に。そもそも僕は蓮夜に無理やり連れて来られたようなものだし、巻き込まれたくないからね」

 

「あー、私は別に構いませんよ?交流や親睦を深めるのも大切だと思いますので、気になる事があればどうぞです」

 

「む?そうか?……なら私から一つ聞いても良いか?」

 

「ちょっと?今僕の質問タイムなんだけど……?」

 

「まぁ、良いではないか。多くはない。すぐに終わるさ」

 

「はぁ……」

 

静かにため息を付いて譲る。最早反論すらめんどくさいのかもしれないね。

 

「九重という苗字だとなれば、もしかして……実家は道場を開いているのかい?」

 

「そうですね。多分先輩の考えてるそれで合ってると思いますよ?」

 

「なるほど、九重流を……つまり、君もそれなりに嗜んでいる、という認識で良いのかな?」

 

「ですねぇ……。ま、見ての通り、か弱い乙女なんですけどね!」

 

「フフフ……歩き方や体の軸を見れば分かる。こちらもそれなりに嗜んでいるからな」

 

「新海先輩から聞いていますよ。色んな武術をしていると……、"真神流古武術"、ですね?」

 

「ほう?君も知っているのかね?」

 

「それなりに、とだけ言っておきます」

 

真神流古武術という単語を聞いて、隣に座って居る香坂先輩が反応した……が、すぐさま立て直す。

 

「フフフ、新海翔には感謝せねば。まさか、こんな所で同志を見つけるとはな……」

 

「ちょっとちょっとっ!何二人で盛り上がってんの!?僕の番が全然来ないじゃんっ」

 

「おっと、すまない。偶然の出会いについ盛り上がってしまった。九重君、またの機会があれば語ろうではないか」

 

「残念ですが、喜ぶのはまだ早いですよ?語り合える同志は私だけではありませんので」

 

「む?それは一体どういうーーー」

 

「ーーーああ、いたいた」

 

後ろから私達を見つける声が聞こえる。

 

「すまん、遅れた」

 

「フ……来たか」

 

「おっそーい」

 

後ろを見ると、新海先輩ら四人が居た。

 

「あ、席替わりますね!深沢先輩と高峰先輩は隣の方へどうぞ」

 

「え……?舞夜ちゃん?」

 

話しやすい様に席替えを行う中、私の事を聞いていなかった天ちゃんが驚くようにこちらを見る。

 

「イエス、舞夜ちゃんですっ!あ、天ちゃんは新海先輩の隣に。結城先輩は香坂先輩の隣へどうぞ~」

 

片方に新海先輩と天ちゃんと九條先輩、香坂先輩と結城先輩で座ってもらい、もう片方に深沢先輩と高峰先輩、私の組み合わせにして貰った。

 

重要な会話をしている間は男2人の相手は私が引き受けようではないか……!

 

「ではでは、ごゆっくり~」

 

皆が席に着き、自己紹介を始めていく。

 

「顔合わせも終わったし、僕は帰ろうかな?」

 

「ええ、深沢先輩帰るんですか?もっと話しましょうよ?そのためにこうやって席を分けたんですから……」

 

「フフ、あからさまな分け方は、与一に気を遣ってと言うことか……」

 

「アーティファクトや戦うのに巻き込まれたくないって言っていましたし、これでしたら話に参加する必要はありませんよ?」

 

「舞夜ちゃんは向こうに混ざらなくて良いの?」

 

「大丈夫です。メインは新海先輩と結城先輩で動いていますので、私が居なくて平気です」

 

「与一よ、後輩の女子がこう言っているのだ。男として無下にするのは良くない、せめて一杯くらい飲んでいけ」

 

「……しょうがないなぁ。可愛い後輩にここまで言われたら断るわけにはいかないしね」

 

高峰先輩の一押しに折れて椅子に深く座る。

 

「隣の会話に耳を傾けつつ雑談でもしておきましょう!まずはドリンクですね、何飲みます?あ、食べ物とかも頼みますか?先輩方も飲み物何か頼まれますか?」

 

「そうだな、話をする前に注文を済ませるか」

 

新海先輩の言葉に皆がメニュー表を見始める。

 

そして、人数分のドリンクバーと、高峰先輩のポテトフライ。私からはピザと唐揚げを頼んでおいた。

 

注文した品が全て届いたのを確認して、新海先輩が本題に入ったのを横で聞いておく。

 

「ほう……、ピザに唐揚げとは、キミは中々分かっているみたいだな」

 

私が頼んだ品を見て、面白そうにこちらを見る。

 

「ポテトフライを頼む高峰先輩もファミレスの何たるかを知っているみたいですね……」

 

これを頼めば高峰先輩との友好度が上がるって分かっているからねぇ……。チョロすぎでは?

 

「あ、皆さんも自由に食べて下さいね?深沢先輩もどうぞ。勿論私の奢りですので」

 

「え、ほんと?それじゃあ、一つ食べようかな?」

 

深沢先輩がピザを一つ取る。

 

よし、これで食べている間はここに縛り付けておけるね。

 

隣では新海先輩が香坂先輩へ状況の説明をしていた。

 

「ふむ、九重君。一つ確認してもいいか?」

 

「ん?はい、どうぞ」

 

「ここに居るのは皆AFユーザーなのだろう?私を含めて話を進めているが、良いのか?」

 

「はい、高峰先輩が能力無くても強いと知っているので、アーティファクト関係無しで協力を求めていますよ?」

 

「フッ、そうか。承知した」

 

「ということは、蓮夜以外は皆ユーザーってことだよね?」

 

「そうなりますね。昨日火事の時に見た新海先輩の妹で私と同じクラスの天ちゃんもそうなります」

 

「これで全員なの?」

 

「仲間……という括りでは全員ですね。野良、って言い方は変ですが、私達の他にもこの街にユーザーは何人か居るとは言っていましたね」

 

「昨日みたいなやつが?」

 

「昨日みたいに暴走するのは……無いと言っていましたね。少なくとも表に出ている範囲では居ないと聞いています」

 

「ふーん、意外に大人しいんだね」 

 

「深沢先輩だって、バレないように慎重にしていたじゃないですか」

 

「そりゃあね」

 

「まぁ、先輩の能力の場合は、使った痕跡が石化として残ってしまうので目撃者が居ない様に動くのは当たり前ですが……、もしかすると、痕跡が残らない能力の人が居て、好き勝手に使っている……という可能性もあり得ますね」

 

「何それ、羨ましいんだけど」

 

「精々、魔眼に選ばれた自分を恨んで下さい」

 

「どうして僕にはこんな使い勝手の悪いのが来ちゃったんだろ……。しかも命まで狙われてるしさぁ」

 

「それは確かに興味深い。AFユーザーが選ばれるのには何か一定の基準の様なもの存在したりは?」

 

「んー……どうなんでしょうね?超常的存在ですし……漫画やアニメでよくある設定では、持ち主の性格や心の奥に潜む願望などで選んでいたりしますが……」

 

「そうなると、僕は人を石にしたいって願望を持ってることになるんだけど……?」

 

「あー……性格が反映された……とかでは無いでしょうか?魔眼を使うことに躊躇いの無い人を選んだ……とか?」

 

「あ、なるほど、それなら納得だね」

 

「すんなりと納得しましたね」

 

「まぁね!そっちはどんな能力なの?」

 

「私ですか?そうですねぇ……動きを止める、能力でしょうか?」

 

「動きを?」

 

「はい。物や人の動きを止める事が出来ます。落下する物体に使えばその場で止まったり、人に使えば身動きが出来なくなる感じです」

 

「なんか僕のやつと似てるね」

 

「石にはなりませんし、殺傷能力はありませんよ?一応、目も合わせる必要もありませんが……」

 

「使い勝手がいい感じやつだね!僕のと組み合わせれば強そうっ」

 

「確殺コンボが出来上がりますね……っと、流石に不謹慎なので止めましょうか」

 

「……それが良いだろう。あまり気分の良い話ではないからな」

 

「隣も、良い感じに進んでいますしね」

 

隣を見ると、香坂先輩が元の人格に戻り、一緒にイーリス打倒を手伝うことを承諾してくれていた。

 

「ありがとうございますっ」

 

オッケーをもらい、新海先輩が嬉しそうにお礼を言う。

 

……となると、ここから結城先輩が、、、。

 

「………。今期のアニメ、見てる?」

 

隣の香坂先輩へ突然問いかける。

 

「へ?」

 

香坂先輩が目を丸くし、周りの皆もポカンとしている。

 

「見てる?」

 

「ぁ、は、はい。録画して、まだ見てないのも、あるんですけど……」

 

「あなたのおすすめは?」

 

「断然四部ですっ!ぁ、四部っていうのはーーー」

 

「大丈夫、わかる」

 

「ぁ、見てます、か?」

 

「ええ。あなたとは気が合うと新海くんが言っていたけれど……、確かに……そのようね」

 

「あのシリーズ、私も好きなの。これからよろしく」

 

「は、はいっ、よろしく、お願いしますっ!」

 

嬉しそうに微笑む結城先輩を見て、さっきまで硬かった香坂先輩の表情が和らぎ、明るくなる。

 

「……っふぅ……んっ……!」

 

案の定、目の前の高峰先輩が話の輪に加わりたそうにソワソワし始める。

 

「フッ、二人ともいい趣味だ。原作は読んでいるか?」

 

「当然」

 

「れ、連載中の八部も、読んでますっ」

 

「さすがだな……。私もキミたちとは上手くやっていけそうだ」

 

うわぁ……原作の方は追ってないなぁ。趣味の話を合わせれる為にアニメには目を通していたけど……。

 

「さぁ!乾杯といこうじゃないか!我々、リグ・ヴェーダの結成を祝って!」

 

趣味の合う仲間を見つけテンションが上がった高峰先輩が、グラスを持ち宣言する。

 

「……は?」

 

けれどっ!当然の如く、結城先輩が反応する。

 

「どうした?」

 

「リグ・ヴェーダ……?」

 

自分が付けた組織の名を上書きされたことに対して、明らかに声のトーンが下がり始めた。

 

「そうだ。リグ・ヴェーダだ。不服か?」

 

「………」

 

当たり前の様に言われ、今度は眼差しが鋭くなる。

 

和やかだった場の空気が張り詰め始める。……2人の間だけ、だけどね。

 

「………」

 

周囲に座ってる天ちゃんと九條先輩が空気について行けず、新海先輩の方を見る。

 

それに対してゆっくりと首を横に振る。

 

「勝手に名前をつけないで。既にヴァルハラ・ソサイエティと言う名を、私たちは背負っている」

 

さぁ、始まりましたっ!組織名を賭けた戦いの幕が切って下ろされました!解説はこの、九重舞夜が行いますっ!

 

「ヴァルハラ・ソサイエティだと……?」

 

「ええ、そう」

 

「フッ……、戦士の館か。つまり、我らはオーディンの飼い犬、ということか?」

 

ここで高峰選手から名の由来を問われるぅ!さも当然の様に知っている口ぶりだぁ!

 

「……随分な言いがかりね。あなたこそ、古代インドに思い入れがあるの?」

 

「ほぅ……、由来を知っているか」

 

それに対して結城選手からのカウンターが入る!こちらも常識と言わんばかりのセリフだっ!

 

「舐めないで。当然でしょう?」

 

「………」

 

「………」

 

両者、一歩も引かない!牽制し合う様なにらみ合いが続くぅ!一触即発の空気が場を包んでゆくぅ!

 

さてさて、それではここで一度、観客の反応を見て行きましょうか?

 

「………」

 

三人が新海先輩を見ていますねぇ……。これはさっさと止めに入れと言わんばかりの眼差しですね。

 

「……いいわ、はっきりさせましょう。リグ・ヴェーダ、なせそんな名前をつけたか。当ててあげましょうか」

 

おっと、ここで結城選手が先手に出る!

 

「フッ……ならばこちらも、言ってやろうじゃないか。ヴァルハラ・ソサイエティ。なぜその名をつけたのか……」

 

しかし、高峰選手も負けじと反撃に出る!

 

「……っふ」

 

「……フ、フフフ……ンフフッフ……」

 

さぁ、この戦い……どうなるのかーーー!

 

 

「「特に意味はない」」

 

 

両者、全く同じ言葉を放ったぁーーー!

 

「ふっ」

 

「……フッ」

 

お互いに同じ結果になったことに、認め合うように2人がニヒルに笑う。

 

うんうん、友情っていいですなぁ……。

 

「……ここは引こう。イーリスとやらの戦いを始めたのはキミたちだ。私はただ、従うとしよう」

 

「そうしてもらえると助かる。香坂さんも、良いかしら?」

 

「ぇ?ぁ……は、はいっ。よろしく、お願いします」

 

「天は?」

 

「……ん?な、なんすか、急に」

 

「イーリスと戦う覚悟はある?」

 

あ、これは確かシリアスな話になるやつだ。落差で風邪引きそう。

 

「ぁ、あー……、その話ですか」

 

「ぶっちゃけついていけていないと思うから、今答えを出さなくても……」

 

「いいよ、やりまーす」

 

「かるっ」

 

「……本当にいいの?」

 

安易に答えていないかと、結城先輩が確認する。

 

「いやちゃんと考えてますよ。真面目な話、にぃにって割と過保護なんですよ」

 

「……なんだよ急に」

 

「いいから聞きなさい。あたしのこと雑に扱ってるように見えて……いや基本雑だけど、どっちかというと過保護なんですよ」

 

「んなことないだろ」

 

「妹ちゃんの電話一本で火の中飛び込むんだから、妹想いではあるでしょ!」

 

「おまっ……、ずっと黙ってたのにこんなときだけ……!」

 

飽きてスマホをいじっていた深沢先輩がここぞとばかりに揶揄いに来る。

 

「なんですか、そんな怖い顔して。ほんとのことでしょー?」

 

「ふふ、新海くんはとってもいいお兄ちゃんだね」

 

「……九條まで」

 

「照れる必要はあるまい。美しい兄妹愛じゃないか。なぁ?香坂君」

 

「へ?ぁ、は、はいっ、素敵だと、思いますっ」

 

「っ……」

 

皆からの集中砲火で逃げ場のない先輩が照れておられますねぇ!ふははっ、お可愛いこと!

 

「なんか照れ隠しで不機嫌な顔しておりますけど。わりかし過保護なんですよ、この人」

 

「あたしに危ないことさせないんですよね、基本的に。で……なんすか?イーリス?よくわかんないけど、やべー奴なんですよね?」

 

「たぶん呼ばれてないですよ、あたし。この場に。普通だったら……。でも呼んだってことは、あたしの力も必要なわけでしょ?じゃあやるしかないじゃないですか」

 

「シスコンの兄を持つ妹としては」

 

天ちゃんが場を和ませようと冗談を言う。

 

「シスコンじゃねーよぶっ飛ばすぞ」

 

即座に新海先輩からの否定が入る。うん、ここまでをセットと予想しての冗談だろうねぇ。

 

「おい、違うだろ。ここは、『天……ありがとう』とか、感極まるところだろうがよぁ!」

 

「……天の考えはよく分かった。改めて、新海くんにも聞いておく」

 

その茶番に呆れるようなため息を吐きつつ、結城先輩が話を続ける。

 

「……いいの?大事な妹を、戦いに巻き込んで」

 

「……結城まで揶揄うなよ」

 

「揶揄ってない。真面目に聞いている」

 

「………」

 

一ミリも冗談を含んでない眼差しに、新海先輩がたじろぐ。結城先輩、そういう冗談言わなさそうだしねぇ……。

 

いや待てよ……。確か【ゆきいろうぇぶこみっく】の最後で天ちゃんへ雑にオチを丸投げしていた気が……?

 

「まぁ……うん。普段だったら、天をこの場には呼んでいない。遠ざけてる。……けど、天の力も必要になる可能性が高い。それに、遠ざけるより、事情を説明して傍にいて貰った方が、もしもの時に守りやすいって判断だ」

 

「……そう。わかった」

 

「白泉学園の火事……。能力者によってもたらされる惨劇の一端を、私たちは垣間見た。イーリスが……異世界の神が、更なる厄災をもたらすというのなら……」

 

「戦いましょう。私たちの世界を、守るために」

 

結城先輩の言葉で、浮ついていた皆の表情が引き締まった。

 

今のでかなりの仲間意識……結束が生まれたと思う。

 

「えっと、話すべきことはもう話したんだが……。最後に、言っておきたいことがある」

 

「能力の練習とかしたいだろうけど、極力控えてくれ。短期間に力を使い過ぎると……最悪、あいつみたいになる」

 

「……火事の人、だよね?」

 

「ああ、力を使い過ぎるとあんな風に暴走しかねない。一応、力の使い方なら俺が教えられる。色々試す前に、俺に聞いてくれ」

 

「はーい、わかりました」

 

因みに、私は既に確認済みである。もしも何かあればオーバーロードで戻って、教えてもらえることになっているので特に心配はない。

 

「………」

 

「なにかあるなら、聞いたら?香坂さん」

 

「え?ぁ……私の場合……、使い方、というよりも……制御に難あり、なので……」

 

「うむ。ならば、まずは力の制御を学ばねばならんな」

 

「制御の仕方なら……そうだな。人じゃなくて、動物に効果が出るようにーーー」

 

「……ッ!?」

 

新海先輩からの動物というワードを聞いて、結城先輩が過剰な反応を見せる。

 

「猫」

 

「ああ……そう、猫。人じゃなくて、猫が寄って来るように力を使えば、平和に練習できますよ」

 

「そっか、人じゃなくて……猫……。思いつかなかった……。あ、ありがとう、ございます。そのうち、や、やって、みますっ」

 

「試すときは、是非私を呼んで欲しい」

 

「へ?」

 

「約束して。絶対に、私を、呼んでっ」

 

驚く香坂先輩に、ぐいっと身を乗り出す。

 

「ぁ、は、はい……」

 

その勢いに押されて返事をする。

 

「ありがとう」

 

「……楽しみね、猫。……ふふ、猫」

 

オッケーを貰い、猫に触れあえる事を想像しているのか、今までで一番恍惚とした表情を浮かべた。

 

……あぴゃー、可愛すぎでしょ。いやね?知っていますが……知っていましたがっ!普段とのギャップがこれほどまでに無く刺さりますね!いやー……良い笑顔。幸せそう。

 

クールキャラのガワなど捨て去ってるように見える。

 

「さて、話はまとまったかな?」

 

「ああ、まぁ、話したいことはひとまず話せた。聞きたい事があったらまた連絡してくれ」

 

「うむ、承知した」

 

「は、はい。……ぁ、えっと……」

 

「……?あっ、そっか。連絡先教えて無かったですねっ。LINGってやってます?」

 

「ぁ、は、はい、やって、ます……」

 

「じゃあ、ID交換しましょう」

 

「は、はい……!」

 

「こいつ、スムーズに女子の連絡先を……。いやらしいっ」

 

「アホかお前。くたばれ」

 

「それはちょっと言い過ぎでは?」

 

「香坂先輩っ、私とも連絡先を交換しておきましょ!」

 

「は、はいっ、お願い、します」

 

よしよし、これで必要な人との連絡先は交換出来たね!

 

「………」

 

達成感に喜んでいると、深沢先輩がこちらを見ていた。

 

「ん?どうかされましたか?」

 

「……舞夜ちゃん、僕とも連絡先を交換しない?」

 

「あ、すみません……。家の教えで、初対面で名前呼びをしてくる青髪の軟派な先輩との連絡先を交換するのは御法度でして……」

 

「なにそれッ!?教えがピンポイントすぎない!?絶対僕のことを言ってるじゃんっ!!」

 

 

 

 

 

そして、飽きたのか途中で深沢先輩が退場し、皆でささやかな一時を楽しんでから解散となり、駅まで天ちゃんと香坂先輩を見送り、九條先輩は自転車で帰宅し高峰先輩は買う物があると雑踏の中へ消えて行ったので、私も残った二人に用事があると一言伝えてからその場を離れた。

 

この後の大事な話は、二人きりが良いからねっ。

 

遠回りしながら歩いていると、スマホに電話の着信が入る。

 

「もしもし。舞夜です」

 

電話相手は壮六さんだった。

 

「舞夜様、今よろしいですか?」

 

「大丈夫です。もしかして……幽霊の件ですか?」

 

「その件です。既に身元の特定までは済ませておりますが……」

 

「ありがとうございます。それでは当初のままでお願いします」

 

「わかりました。監視の方は継続させておきますので、何かあればいつでも連絡をして下さい」

 

「よろしくお願いします。明日の夜には決着すると思いますので」

 

用件を済ませて、電話を切る。

 

「覚悟を決めさせるためには……必要だよね?」

 





次回は、猫の回と……幽霊の件ですかね?

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