9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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イベント発生……?




第11話:働きたくないってTシャツ、私も欲しい

 

「では、はじめようか。作戦会議を!」

 

次の日、一昨日のユーザーの件についての報告会&今後の作戦会議をした。

 

内容としては記憶で知っている内容と大きく変わらなかった。私がいることで少し会話の追加があった程度?だと思う。

 

やはり今後も新たにユーザーが出現するかもしれないから気を付けろって感じでまとまり、後は普通にワイワイ楽しんだ。

 

「……うーむ」

 

テーブルのポテトフライを齧りながら唸る。

 

新たなユーザー……。

 

壮六さんから聞いた情報を先輩の耳にも入れておくべきか否か、若干迷う。

 

とある業界で急激に勢力を伸ばしている会社があるとのこと。しかもかなり乱暴というか、強引な進め方みたい。普通ではまずありえないスピードと方法って聞いている。

 

そこで、もしかするとユーザーが絡んでいるのでは?と私に話が回って来た。……けど、聞いた範囲では記憶に無い。というかゲームでも聞いた事ない。

 

今の状況を考えると、イーリスが何か手を加えている可能性があると思う。でも、ゲームでは出てこなかったとなると私が影響しているとか?

 

もしユーザーだとすれば、確実に対処しなくてはいけない。今回は恐らく九重家として相手することになるだろう。そうすると先輩らを巻き込んでいいのかと迷う。

 

新海先輩に話せば確実についてくるだろうし、セットで結城先輩も絶対来る。そしたら中々厄介だ。良い子に見せられない可能性が出てくるし……。

 

「………」

 

他の枝では起きてなかったのだろうか?オーバーロードの話では聞いてなかったということは少なくとも先輩達には知られてない?居なかったのか、私が裏で処理したのか……。

 

どうしたものか。普通に考えればこっちで内密に片付ければ大丈夫だけど……アーティファクトを必ずソフィに渡す必要が出てくる。そしたら遅かれ早かれ露見する可能性が高いと思う。

 

……いっそ先輩にも来てもらう?オーバーロードあるしその方が後々いい方向に働くかもしれないし。

 

「どしたん?さっきからポテト齧りながら唸って……不味いの?」

 

「ん?ううん、そういうわけじゃないよ?ちゃんと美味しい」

 

「なんか悩み事か?」

 

天ちゃんの声を聞いて新海先輩が問いかけてくる。

 

「いえいえ、ちょっと考え事をしていまして……あっ、そんな意味深な感じではないので気にしないで下さい。個人的な事なので」

 

胸の前で両手を振りながら大丈夫と返す。

 

「そうか?なら良いんだが……」

 

そういって、元の会話に戻る。

 

……うん、やっぱりこっちで秘密裏に片付けよう。新海先輩には結城先輩の事に集中して欲しいし、余計なことで時間を取ってほしくないしね。

 

この後にも、先輩の部屋で結城先輩と二人でレヴナント・アーマーの撮影会が待ってるだろうし。

 

 

 

 

 

 

次の日の日曜日、九條先輩のバイトが珍しくお休みという話を昨日聞き、天ちゃんと九條先輩と私で遊びに出掛けた。

 

ショッピングモールを見て回ったり、スウィーツのお店に入って食べたりした。

 

お互いに知り合ってから初めてのお出掛けだったが、天ちゃんも九條先輩も楽しそうにしていたので安心して遊ぶことが出来た。

 

「いやぁ~、あのお店のケーキ美味しかった~」

 

「舞夜ちゃんのケーキ美味しそうだったよねぇ、あたしもそっちにすればよかったかも」

 

「あれはナインボールとタメを張れるねっ!お値段は少しお高いけど」

 

「ふふ、ありがとう。お店の雰囲気も落ち着いて良い感じだったね」

 

「ですよね!また機会があれば行きましょ!」

 

「そうだね。今度は他の人も誘ったりして」

 

「私は大いに賛成です。他の人にも味わって欲しいです」

 

「今度と言えば、みゃーこ先輩」

 

「ん?どうしたの?」

 

「日程はなどはまだ決まっておりませんが、舞夜ちゃんの部屋でお泊まりを考えておりまして、ご一緒にどうですか?」

 

「え?お泊まり?」

 

「そうですそうです!天ちゃんとそういう話をしていて、九條先輩も都合が良ければどうですか?」

 

「うん、ありがとう。私は大丈夫だよ」

 

「やったー、参加者が増えた!この際結城先輩や香坂先輩も誘う?」

 

「いいねっ!って、舞夜ちゃんは良いの?」

 

「問題ナッシング!もし狭ければ実家の方にでも行く?離れとかあるしお泊まり気分は味わえると思う」

 

「急に話が大きくなったな~……」

 

「ま、今のが落ち着いたらってことで」

 

「そうだね。アーティファクトの件が落ち着いたら、結城さんや香坂先輩にも聞いてみよっか」

 

「先の楽しみが増えましたなぁ~」

 

ふふふ、お泊まり……。新海先輩や高峰先輩には悪いけど、楽しませてもらうとしよう。

 

このままで行けば、五月の頭から二十日までは空白があるから行けると思う。うん。

 

「……ん」

 

頭の中で予定を組み立てていると、私達が歩いている歩道の少し先に、コンクリートの壁にもたれ掛かりながら何かを待つような人が居た。

 

「………」

 

普通なら、誰かを待っているとか思ってスルーするけど、待っているのではなく、人を探している様に周囲を観察していた。

 

意識を向けつつ二人の会話に参加していると、私たちが視界に入るや否や、こっちに向かって歩き始める。

 

これは……警戒した方が良いのかな?

 

道を聞きたい……は流石に無いよね。となると、ナンパ?

 

そうこうしている内に男は正面まで来て、声をかけてくる。

 

「すみません、ちょっと良いですか?」

 

話しかけられた為、足を止める。

 

「はい、どうかされましたか?」

 

男の声に九條先輩が返事をする。

 

年齢からして20代前半ぐらいの普通の人だ。割と清潔感があって好印象を感じやすい見た目。

 

「ちょっと、お店を探していまして……こういう店名なのですが……」

 

ポケットから一枚の紙きれを取り出し、こちらに見せる。

 

差し出す様に見せてくるので、九條先輩と天ちゃんがそれを覗き込む形で紙を見る。

 

「みゃーこ先輩?知ってる?」

 

「うん。えっと、ここからすぐ近くの場所ですね」

 

「あっ、ほんとですか?」

 

お店の場所を知れてうれしそうに笑みを浮かべる男性。

 

「はい、ここの裏路地を通って少し先の所になります」

 

「流石はみゃーこ先輩、出来る女っ」

 

「そんなことないよ、たまたま知っていただけだから」

 

天ちゃんの持ち上げに笑顔で返す九條先輩。

 

「………」

 

「あのー……もし良ければ、お店まで案内してもらえると嬉しいのですが……」

 

申し訳なさそうに案内をお願いしてくる。

 

「あ、えっと……」

 

私達が居るため即答せずにこちらを見る。

 

「あたしは全然平気。舞夜ちゃんも大丈夫?」

 

「うんっ、喜んでお供させていただきます!」

 

「ありがとうございます……。実は、今日来たばかりで地理に疎くて……」

 

お礼を述べて、九條先輩の案内に従って付いて行く。

 

すぐそこの裏路地に入り、道を進む。次を右に曲がると、一気に人通りが消える。

 

……これはぁ、確定かなぁ?

 

人通りは無い……けど、それぞれの道の曲がり角に人が立っている。しかも、少し先には車が止められている。

 

誘拐……で良いのだろうか?

 

道を聞いてくる男がそもそも胡散臭いし、あからさまに見張りを立てている様な人の配置だし……なんて言うんだろう、この場所だけ空気が違う。

 

スマホを開き、連絡を入れておく。

 

「あ、そう言えば……」

 

男が突然立ち止まり、こちらを向く。

 

「このお店の場所なども知っていませんか?」

 

またポケットからメモの紙を取り出して見せてくる。

 

「みゃーこ先輩、知ってる?」

 

「うーん、私も見たことないかなぁ?」

 

「スマホで調べてみましょう」

 

天ちゃんがスマホを取り出し、九條先輩もそれを覗くようにスマホに意識を向ける。

 

私も一応、一歩引いてそれを見ていると、後ろから足音を消しながら近づく複数の人の気配がした。

 

正面の男をチラ見すると、二人に意識を向けつつも、私たちの後ろに視線を投げていた。

 

確定……だね。

 

私達の真後ろまで近づくと、一番後ろの私の口を目を覆うように手を伸ばしてきた。

 

が、その手を躱して、背後の人の腹部に肘を打ち込む。

 

「ごっぉ!?」

 

最初の一人がいきなり倒れたのを見て、他の動きが止まる。

 

……他の男が、五人と。

 

倒れた男の声に二人が顔を上げて振り返る。

 

「え?なになにっ!」

 

「え……っ」

 

「お二人かた!誘拐ですっ、暴漢ですっ、変態ですっ」

 

二人の手を取って、距離を取ろうとする。

 

「クソッ!バレてんじゃねーかよっ」

 

道案内をお願いしてきた男が怒鳴る様に後ろの男たちに文句を飛ばす。

 

「バレようが関係ねーよ。この人数だし楽勝だろうが」

 

「なに、この人達……」

 

「この人の、知り合い……?」

 

「どうやら、人目の少ない場所に呼びだして、破廉恥なことを計画していたみたいですよ?ですよねっ、そこのお兄さん?」

 

「はっ、さぁな。答えはこの後に知ることだろうな」

 

余裕たっぷりに答える。まぁ、普通に考えれば六人も居れば女三人とか余裕だもんね。

 

現状に困惑し、怖がっている二人の前に出る。

 

「……一応、言っておきます。このまま大人しく下がるのでしたら、私からは手は出しません。どうしますか?」

 

「……はぁ?お前馬鹿か?手を出さない?出せねぇの間違いだろ?」

 

周囲の男たちも馬鹿にするように笑っている。

 

「……まぁ、ですよね」

 

取りあえず形として聞いてみたが、当然従うことは無かった。

 

「虚勢張っても虚しいだけだぜっ!」

 

勝ち誇った様な表情でこちらに向かって来た男含めて全員に能力をかける。

 

「ッ……!?」

 

「えっ、え?何が起きてんの?」

 

「……もしかして、舞夜ちゃんの?」

 

「私ので動きを止めました。二人とも、今の内に逃げましょうっ」

 

未だに混乱している二人の手を引っ張ってその場を離れ、裏路地を抜ける。

 

さてと、ここからどうしようか。

 

後処理は頼んであるので心配は無い。問題は二人をどう説得して落ち着かせるかだ。

 

「九條先輩、天ちゃん。ひとまずは安全を確保しましょう」

 

「う、うんっ」

 

「そ、そうだね」

 

ここから一番近いのは……、んー……新海先輩の部屋だなぁ。

 

「にぃにの部屋!ここからだとが一番近いっ」

 

やっぱりそうなりますよねー。

 

「先に警察に連絡した方がいいのかな?」

 

「身の安全を最優先にしましょう。私の部屋でも良いので!」

 

移動しながら新海先輩へ連絡を送る。

 

結城先輩が居るかどうか……確認しておかないとね。

 

 

 

 

「と言うことがありました」

 

現在、新海先輩の部屋でさっきあった出来事を話していた。

 

予想通り、結城先輩が来ていたが、今はいつも通りの格好と佇まいで座っていた。

 

まぁ、部屋の隅っこには大きめの荷物が置かれているので、片付けたのだろうと思われる。

 

「警察には連絡はしてあるの?」

 

「いえ、二人の安全を第一にしたのでまだです。それと……」

 

「それと?まだ何かあるのか?」

 

「考えすぎかもしれませんが……ユーザー、いえ、イーリスの仕業を考慮して止めています」

 

「……イーリスが裏で動いているかもしれないって言いたいのか?」

 

「あくまで、私の予想では……になりますが」

 

「どうしてそう思ったのか、聞かせてもらえるかしら?」

 

「えっと、第一にタイミング的に怪しいかなと。道を歩いている私達三人をわざわざ標的にして襲うとなると……」

 

「こっちを狙った犯行……それかユーザーを狙ったって言いたいのか?」

 

新海先輩の言葉に頷く。

 

「ありえなくはないが……襲って来たのは一般人だったで良いのか?」

 

「見た範囲だと、ユーザーらしき人は確認出来なかったです」

 

「……そうか」

 

「取りあえず、今日の所は九條先輩と天ちゃんは私の方で家まで送ります。実家の方に連絡して車を手配しています」

 

「……そうだな。ありがとな、九條と天を守ってくれて」

 

「当然のことをしたまでなので気にしないで下さい」

 

それに、まだ新海先輩には話しておきたい事がある。

 

「という事で、すみませんが今日はこのまま解散ということにしましょうっ。お二人の送迎する車は既に下で待機済みなので!」

 

少し落ち着きを持ち戻した二人を宥めつつ、マンションの入り口まで付いて行き、車に乗り込んだところまでしっかりと確認してから先輩の部屋に戻る。

 

「さてと、九條先輩と天ちゃんがお帰りになりましたので、本題に入りましょうか」

 

両手を合わせて仕切り直す。

 

「やっぱりまだ何かあったのか……」

 

「おや、やっぱりお気づきになっていたんですね」

 

「何となくな」

 

「明らかに情報を伏せている感じがした。二人の前では話せないこと?」

 

新海先輩だけではなく、結城先輩も気づいていたご様子。ま、あからさま過ぎたかもしれない。

 

「まぁ……そうですね。本当は先輩達にも話そうか迷ったのですが……」

 

「聞かせて。聖遺物……イーリスが関わっているのでしょう」

 

「そう、ですね。確定では無いですが、ほぼほぼ」

 

「何か知っているのか?」

 

「話します。私が持っている範囲で、ですが」

 

黙っておきたかったけど、天ちゃんや九條先輩が狙われた時点で新海先輩にも話しておかないと、万が一が起きた時に対処が遅れてしまう。それだけは避けたい。

 

適当に床に座り、説明を始める。

 

「実は、私の実家……九重家で最近ある話が上がっていたんです」

 

「一部の業界で、異様なまでのスピードで市場を手中に収め、勢力を拡大しつつある会社がいると」

 

「それが……ユーザーの可能性があるって言いたいのか?」

 

「予想で、ですが」

 

「その根拠は?」

 

「私もそう言った業界に詳しく無いので分からないのですが、担当している人から聞いた限りでは、ありえないとの事です。ライバル組織や、今まで手を出していなかった場所にまで伸ばしているみたいで、その速度が普通では無理だと」

 

「単純に、手腕が凄いとかはないのか?」

 

「それも考えたのですが、その人……女の人が社長なのですが、これまで目立った功績も無く、いきなり動いているって聞きました。その時期がここ最近です」

 

「聖遺物を手に入れて、それを悪用している……?」

 

「その可能性が非常に高いです。ぶっちゃけ市場が被っていてお互いに潰し合うみたいな関係の会社をすぐに取り込んだと聞いて、かなり怪しいかと……」

 

「私は、仮にアーティファクトを持っていると考えて、多分、精神操作などの相手を操るような能力を手に入れたのではないかと思っています」

 

「人を操る……」

 

「新海先輩の記憶の中で、その様なアーティファクトを所持している人はいましたか?」

 

「……一人、似たようなアーティファクトを持っている人は居た。学生だったが」

 

「年齢が合いませんね」

 

「ああ、その学生の女社長は、手を握る……身体に触れることをトリガーに発動していた」

 

「……なるほど。そうなると、別のアーティファクトとなりますね。私が聞いたのでは、対面せずに取り込まれている人も居たので」

 

やっぱり出てくるのは香坂先輩の枝の人だよね。つまり先輩も知らないユーザーと……。

 

「えっと、実はここからが重要ポイントなのですが……」

 

「その聖遺物を持った人をどうするか……という話?」

 

「あー……結果的にそうなります。私の方で相手の情報は大体掴んでいます。それで、まだ洗っている途中ですが、さっき襲って来た人達が関わっているかも調査中です」

 

既に捕縛して接触があるか調べている。多分黒だと思うけど。

 

「言ってしまえば、今回の件は大人の世界……九重家の方で対処する方向で進んでいます」

 

「もしユーザーだとなると、危険じゃないのか?」

 

「ですね。なので私もその一件に首を突っ込んでいます。能力がその通りなら返り討ちにあうかもしれないので」

 

「その前に、私たちの方で終わらせる必要がありそうね」

 

「それが一番なのですが、もしさっきの人達が関わっているとなれば、誘拐や暴漢を助長していることになりますので、私の実家の方で営んでいる警備会社からも一部人を出すことになると思います」

 

「ガサ入れ……とかでは無いのですが、調査に入る的な感じで考えて貰って大丈夫です。まぁ、犯罪を犯しているので当然ですよね」

 

「もしかして、その一部に参加するって言うのか?」

 

「そうですそうです」

 

「可能なの……?」

 

「大丈夫です、強引に捻じ込みます」

 

「そこで確認なのですがぁ……お二人はどうなさいます、か?」

 

我ながら、無駄な確認だと思う。

 

「……九重が俺達にそれを話しているってことは、俺と希亜も入り込めるって思っても良いのか?」

 

「まぁ、そうなります。お二人だけに話したのは、二人ならギリギリ何とか出来そうと考えたからです」

 

「そこまで考えているのなら、当然答えはイエス」

 

「だな。ユーザー関連だし寧ろ俺たちが何とかしなくちゃいけない」

 

ですよねー。

 

「ですよね。お二人ならそう仰ると思ってました」

 

「それで、いつ頃動きそうなんだ?」

 

「……そうですね、多分早くて明日には動くと思います。明日の夜か、明後日の夜には。まぁ、先ほどの調査が黒ならば……ですけど」

 

「……ほんとは、殆ど証拠を掴んでいたりしないのか?そんなに早く動けるってことは」

 

「あははっ、実はその通りです。既に幾つかそれっぽい証拠は掴んでいます。今回のは決定的なので、事実なら即座に踏み切ると思います」

 

「なので、こちらで情報を掴み次第お二人にも連絡しますので、心の準備だけはしておいてください。時間帯は夜になると思います」

 

「ええ、わかったわ」

 

「俺も」

 

「……ところで、おひとつ聞いても良いですか?」

 

「ん?どうした?」

 

「私達が部屋に来た時、既に結城先輩が居たのですが……それに、そこの大きめの荷物、お泊まりでもしていたのですか?」

 

「あ、あ~……それはだなぁ……」

 

「私が翔にお願いして置かせてもらっている。内容については……そうね、イーリスを倒すために必要な事……とでも言っておくわ」

 

「ああっ、そんな感じだっ。決して泊まったりはしていない」

 

「なるほど、何か手を打とうとしているのですね!了解です。何か手伝えることがあればいつでも言って下さい」

 

「ええ、もし手を借りたいときはお願いするわ」

 

「ぜひぜひ~。と、それじゃあ私もそろそろお暇させてもらいますっ。忙しくなりそうなので!」

 

「ああ、今日はほんとにありがとな」

 

「いえ!私が居た時で良かったと思います。ではでは、先輩らも頑張って下さいね!」

 

2人に挨拶をして部屋を出る。マンションを降りて迎えに来て貰っている車に乗って九重家へ向かう。

 

スマホが震える。

 

「……黒、ねぇ」

 

さっきの人達は、どうやら接触があったみたい。

 

と、なると私を狙ったのか、私達ユーザーを狙ったのか。イーリスが関わっているなら後者になるけど。

 

「まぁ、どのみち結果は変わらないけどね……」

 

先輩達にはやんわりと話したけど、既に色んな場所を荒らし始めている。九重家が関わっている組織にも手を出していると壮六さんから聞いている。

 

つまり、九重家が動くのは確実。しかも、力での即対処の方向で。

 

私もそれに賛成しているので、明日辺りには相手側の本拠地に乗り込む手筈になっている。

 

「あ~あ……」

 

もう少し、もうちょっと遅ければ……いや、今日三人で遊びに出掛けなければ……って考えても仕方ないけどさぁ。

 

うん、プラスに考えよう。先輩達に話した事で、ソフィにアーティファクトを渡すのが楽になるし、イーリスが関わっているのなら、いい経験……結城先輩の決意と覚悟がいい方向に働くかもしれないっ!そう、そういう方向で考えよう。

 

「おじいちゃん達になんて説明しようかなぁ……」

 

先輩達を加えるなら、私を含めた三人で別として動いた方が良いだろう。絶対そうだ。

 

特に結城先輩には見せられない事が多々起きそうだし……。あと、壮六さんとも口裏を合わせておかないと。

 

少し厄介なことになりそうと思いながらも、今後の計画に支障が出ない様に頭を回した。

 

 





次回は新海先輩と結城先輩を九重家にご招待の回になりそうですね。

don't wont to work...。

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