九重家でのお戯れが続きます~。
レナを三花達に任せて新海先輩達の場所に戻る。
「すみません、お待たせしました!」
「おう、おかえり。向こうは大丈夫なのか?」
「はい、ちょっとしたアクシデントはありましたが、凡そ問題は無かったです」
「アクシデント……?」
「大したことじゃありませんから。レナを任せようとした時に実家の人が『俺も混ぜろ~』って乱入して来たので、少しお話をしていただけです!」
「なるほど」
「レナの方も終わったことですし……新海先輩の方へ移りましょうか?」
「……ごくり」
「と言っても戦闘はレナにして貰いますし、経験は向こうで十分かと思います。なので、先輩はアーティファクト関連でやってみませんか?」
「アーティファクト関連?」
「アーティファクトを実際に使っての戦闘って言えば良いんですかね?」
アーティファクトという言葉を聞いて、先輩含めて皆がこっちを見る。
「え、なになに?にぃには何やんの?」
「新海先輩、だけでは無くて天ちゃんや九條先輩達も含めてですね」
「私も?」
「はいっ、この場に居る五人ですね!」
「ん?五人?一人足りなくないか?」
「それはですねぇ……」
不思議そうに私を見る全員を見ながら笑顔を浮かべる。
「実践形式なのでお相手が必要かと思います。ので、私対皆さん……という形でやるつもりです」
「えぇ?舞夜ちゃん一人なの?」
「そだよー?多少は経験値として足しになるかなってね!」
「……本気?」
私のことを天ちゃん達よりは知っている結城先輩が問いかける。
「もちのろんです。当然皆さんはアーティファクトを使って貰っても大丈夫です。私はそれを頑張って対処致しますので」
「九重が相手って事だよな……?」
「ご不満でしたか?」
「い、いや……むしろ俺達側の戦力が足りるか怪しいと思ってな」
「あ~……流石に本気で倒しに行きませんよ?精々イタズラ程度で済ませます。怪我とか論外ですです」
他の枝の記憶を持っている新海先輩は若干引いている。そこまで引かなくても良いですのにねぇ。
「それは、私も参加しても大丈夫かな?」
ユーザーでは無いので自分も加わって良いのかと高峰先輩が確認してくる。
「大丈夫ですよ~?寧ろ高峰先輩が前衛をしてくれないと直ぐに崩壊すると思いますし……」
「フフフ、ならば私が前衛を努めようではないか」
「ね、ねぇにぃに。本気で良いの?六対一だよ?」
「ん?……ああ、九重なら問題ないから安心して良いぞ?どっちかというと、俺たちの方がなぁ……」
「彼女に対抗出来る程の戦力が無い、ということ?」
「だな。高峰もいるけど……」
「とりあえず一回やってみませんか?」
「……ちょっと作戦会議してからでもいいか?」
「む?はい、勿論大丈夫ですよ?」
作戦会議をしてからですか。何か策でもあるのかな?
「では、私は向こうで待っていますので、終わったら言って下さい」
皆の輪から離れ、縁側に座って待つ。どんな感じで来るんだろ?私を防ぐなら……九條先輩と結城先輩なら可能だけど、その姿を捉えるのが問題だし……。
高峰先輩を前衛に出して時間を稼いでる間にアーティファクトで畳みかける……とか?んー……新海先輩なら高峰先輩じゃ無理だと知っているし……。
香坂先輩と天ちゃんをどう使って来るかが楽しみだけど……まぁ、最初は戸惑いながらだと思うからぐだぐだになる可能性が高いよね。
少しワクワクしながら待つ事数分。
「すまん、待たせたな」
作戦会議が終わり新海先輩が声をかけてきた。
「いえいえ、全然大丈夫ですよ?」
立ち上がり、皆を見る。想像通り結城先輩と高峰先輩以外の目にまだ戸惑いや疑いが映っている。『ほんとにやるの?』って目だね。
「ふっふっふ……では、今回はわたくし九重舞夜が敵としてヴァルハラ・ソサイエティと対峙しますので、どうぞ遠慮なく倒しに来てくださいね?仮に何かあっても先輩のオーバーロードがありますし」
「ああ、精々足掻いてみるさ」
私だけ皆と少し離れて向き合う。……なんか、こういったシチュエーションも良いかも。
「では始めますね。……スタートッ」
まずは向こうの初手を見ることにする。
「行くぞッ!」
新海先輩の合図と同時に結城先輩の左目が輝く。
「ジ・オーダー、アクティブッ」
む、結城先輩で来ましたか。
その横には九條先輩も手の甲をこちらに向けて能力を使っている様に見える。
……これは、どっちも使っている姿を見せて釣っているのかな?
どちらかと言うと結城先輩に使われるのが厄介なので、即座の止めに動く。
「ーーーッ!」
約10メートル程の距離が瞬きする間もなく消え、結城先輩の正面に辿り着く。
「ばぁ!」
結城先輩の顔の正面で猫だましをするように両手を叩く。音と衝撃に驚いて目を閉じてしまう。
「ええっ!?もう!?」
天ちゃんの驚く声が聞こえる。
これで思考に邪魔が入ったから能力の行使は止まると……。
そうこう考えていると、背後に人の気配がする。
振り向くと、高峰先輩が既にこちらへ構えていた。
「読み通りだな……!!」
私を捕まえようと関節を取りに来る。が、するりと避けて逆に組み伏せる。
「くッ……今だ!」
地面に伏せながらも逆に私を離さまいと抵抗をする。
「ああもう!ごめん!」
後ろから天ちゃんの声がしたので何をしてくるのかと視線を向ける。
「とりゃぁーーー!」
あろうことか、私に抱き着いて来た。
「みゃーこ先輩っ!」
「う、うん!」
えっ、なにこの状況……?超良い匂い……え?柔らかいんだけど?
「ごめんね?舞夜ちゃん!」
「あ、えっと……そんなことないです。はい……」
むしろご褒美と言うか……もうこの状態で過ごしても良いくらい……。
「舞夜ちゃんの視界……借りるねっ!」
思考を停止させていると、九條先輩の声と同時に視界が真っ暗になる。
「おっ?」
これは、九條先輩ので視界が取られたね。
が、そのおかげで現実に帰って来れた。
「ナイスだっ!九條!」
「確かに真っ暗ですねぇ……」
目を閉じて周囲の気配を探ると、新海先輩が結城先輩の方へ向かっているのが分かる。と、なると……。
「天ちゃん、ちょっとごめんね?」
「え?」
組み伏せている高峰先輩から手を放して天ちゃんを優しく掴む。
「えいやーー」
「うおぉッ!?」
抱き着いている天ちゃんを背負い投げの要領で回して地面に座らせる。……物凄く名残惜しいけど、すっごく。
「ーーーもらったっ!」
背後で高峰先輩がこちらに仕掛けて来ている……が、それを無視して新海先輩の方へ向かう。
「はぁっ!?」
結城先輩と合流しようとしている新海先輩の正面に立つ。
「どもども、九重舞夜ちゃんで~す」
視界が奪われているにも関わらず来た私に驚いて立ち止まる。
「何を目論んでるのか分かりませんが、阻止させてもらいますねー?」
「こ、九重?目、見えてないんだよな……?」
「さぁ?九條先輩に聞いてみてください」
先輩の足を払って怪我のない様に地面に座らせる。
「翔っ!」
「かまうなっ!いけっ」
「っ……!ジ・オーダー、アクティブッ!」
「さぁて、残るは結城先輩のみですか?」
後ろを振り返り、結城先輩の方を向く。
「私を忘れては困るなっ!」
背後まで高峰先輩迫っているが、意に介せず結城先輩の後ろに回る。
「消えたーーー!?」
「結城君っ、後ろだ!」
高峰先輩の声に反応する前に両手で結城先輩の両目を覆う。
「だーれだ?」
「なっ!?」
「……えっと、こんなもんでしょうか?香坂先輩もまだ何かあったりします?」
「……ここまでだな。結城君を抑えられた時点で私達の負けだ」
「……そうだな。九條、能力解いてもらるか?」
「あ、う、うん……今返すね?」
「あ、戻りました戻りました」
「ってことは、本気で見えてなかったのかよ……」
「舞夜ちゃんの視界が私に来ていたから、発動していたのは確かだよ……?」
「今回は私の勝ちってことですねっ!」
「完敗だよ……ったく、色々と考えてみたんだがなぁ……」
呆れるように首を振って降参する新海先輩。
「因みにですが、今回はどの様な計画で?」
「ああ……まず九重を止めるには希亜の力が必要だったが、その前に機動力を削ぎたいと思ってさ……」
「なるほど、それで二人のスティグマを見せつけるようにして来たと」
「九重なら真っ先に希亜を止めに来ると思ったから、逆に希亜を囮に使った。それを読んで高峰に一瞬だけでも足止めして貰ってる間に天を向かわせた」
「なるほどなるほど。私なら天ちゃんを手荒に出来ませんから時間が稼げると……?」
「悪いが、そうさせてもらった」
「いえいえ、見事に成功だと思いますよ?その通りですし」
中々に狡い方法ですが……いえ、感謝しないといけないですね!
「九條が狙われない様にして、視界を奪ってから希亜の力で動きを止める……そういう作戦だった」
「ふむふむ、概ね成功したというわけでしたか……」
ただ誤算だったのは……。
「一応、先輩の能力も使って成功するようにしたんだが……。まさか視界が奪われても変わらないとはなぁ……はぁ」
「え、みゃーこ先輩、ちゃんと視界奪ったんですよね?」
「う、うん。舞夜ちゃんは見えてなかったはずだよ?」
「ふむ……となると、目が見えていなくとも行動の制限にはならなかった……ということか」
「そこが私達の敗因ね。大丈夫という前提で動いてしまっていた……」
「いや、普通はうごけませんって……、香坂先輩もそう思いますよねっ?」
「え、えっと……、そ、そうです、ね……」
「ですが、私が想像していたよりもいい作戦だと思いますよ?特に私が結城先輩を狙いに行くと読んでいた辺りとか」
「こっちでの一撃必殺の切り札だからな。九重ならそう考えると思っただけさ。それに……」
「それに……?」
「……いや、他の枝の経験が活きただけって話だ」
「なるほどです」
話も一段落し、皆で縁側に座って落ち着く。
「そ、それにして、も……新海さんが言って、いた、意味が……り、理解できた、気がします……」
「ほんとだよねー……にぃにが舞夜ちゃんめっちゃ強いって言ってけど、正直半信半疑だったしさー」
「すごかったね、気が付いたら結城さんの目の前に居て驚いちゃった……」
「既に知っている私ですら一瞬反応が遅れた」
「ねぇ!ねぇ!あれどうやってんの?なんか……縮地っ!みたいに一瞬で動いていたじゃん?」
天ちゃんがワクワクした目で私を見てくる。くぁわわいいなぁ……!
「んー……どうやって……どうやって……うーん」
「ありゃ?もしかして言えないことだった?秘伝の~的な」
「あ、ううん。そんなことは無いよ?単純に説明することが無いな~って思ってね」
「説明することがない?」
「うん、単純に結城先輩目掛けて早く走っているだけだから……天ちゃんが期待してるような武術的な技じゃないなぁって……」
「……まじで?」
「ごめんね?期待させちゃって……!」
ここで瞬歩とか縮地とかきちんとした技法を使ったのだったらカッコよく言えたんだけどなぁ……。
「つまり、ただただ走っただけ……ということなの?」
「そうなりますね」
「逆にそっちの方が驚きだわ……」
「単純な身体能力であれを……なんたる身のこなし」
「一応、実家にもきちんとした技やその他流派もありますが、私はそれらを殆ど学んでいないんですよね~」
「そだったのか?」
「はい、おじいちゃん達から教えてもらったもので、極々一部だけが使える程度です」
「へぇ~……なんか意外だな。実家でも強いって言ってたから、色んなのが出来るんかと思ってたわ」
「いやぁ……正直なことを言いますと、技とかを覚えるセンスがあまり無かったので……」
長年続いている九重家にはそれ相応にある。けど、私が使えるのはその1%にも満たない。そもそも体が小さいので出来る範囲も少ないし更に才能が無かった。
そのせいで外野から色々と言われた事もあったけどねー。未だにグチグチ言ってくる人も一定数存在している。
やれ『相応しくない』とか『血が穢れる』とか『どこぞの馬の骨が……』などなど。
まぁ、うん。正しい反応だと思うけどね。その度澪姉が殺気を向けるまでがテンプレだった。
「少し意外ね……割と卒なくこなしているイメージがある」
「私がですか?いや、全然ですよ?割とその場の勢いで生きていますし……他の人達の才能と比べるとポンコツと言っても過言ではないので」
やはり遺伝的な才能なんだろうか?九重家の人達って殆どが向いているし……。だからこそ出来ない人が浮いて見えるんだろうなぁ……。
「まぁ、私の場合は環境が恵まれていたのですくすくと育つことが出来た感じでしょうか……?」
おじいちゃんを始め、壮六さんや澪姉、ハットリさんなど九重家でも上澄みの人達から直々教えてもらっている。それで鍛えられない方がおかしいレベル。
「ほぉー……そんな感じだったのか」
「そんな感じでしたねー。ところで、そろそろ夕方ですが、今日はこの辺りにしておきますか?」
「あー……そんな時間か」
「あたしはまだ平気かなー?」
「私も遅くなければ平気だよ」
「わ、私も、遅くなければ……大丈夫です。むしろ、泊まっても喜ばれると、思います」
「私も連絡すれば融通は利くと思うから気にしないで」
「高峰は?」
「私も……と言いたいところだが、日が暮れ始めたら帰るとしよう。することがあるのでな」
「おっけ。長いするのも悪いし、今日は日が暮れてきたら解散しておくか」
「残りたい人で居るのでしたら私としては全然大丈夫ですので、何時でも言って下さい!あっ、泊まっていただいても……ですよ?」
「やけに推すな、それ」
「その位歓迎しているので気になさらずに、ってことですよ。ま、帰りたいときに言って下さいね?送迎出しますので」
「いや、行きも帰りもは申し訳ないだろ」
「いえいえ、街から少し離れていますし……九重家としても客人を徒歩で帰らせる訳にはいきませんから」
「なので、皆さんはこちらの都合に付き合っていただいているだけなので遠慮しないでもらえると助かります」
「なんだかややこいね。お金持ちの家ってさ」
「客人を送りもしないのか……!?って周りから見られると、家の格が疑われたりするからねー……。例え無くても私としては送るけど」
「みゃーこ先輩もそんな感じのってあるの?」
「んー……そうだね。そういったことをおじいさまや親戚の集まりで聞いた事はあるね」
「あるあるだった……」
それから部屋に戻り、皆でアーティファクトの使い方や役割などの話し合いをしていると、高峰先輩が帰ることになったのでとりあえず解散となった。
次の日も似た感じでレナは修練場へ行き、皆でアーティファクトでの対決をした。
二回目という事もあり、皆積極的な感じで攻めて来たのは良いんだけど……今回作戦を立案したのが天ちゃんだった。
その内容が……昨日で私があまり手荒に攻められないという点を突いて九條先輩と香坂先輩と天ちゃんで物理的に私の動きを止めにかかるという素晴らしいごほうb……いや、卑劣な手段を用いて来た。
しかも言葉でお願いまでしてきたのだ……!そんなことされたら……聞くに決まっているじゃないですかっ!?甘えた感じで『お願い?』とか言われて思わず『あ、はい……』って返しちゃったよっ!
それを見て新海先輩が呆れすぎて攻めの手を止めてしまったのは余談としておこう。
私に取り付いた天ちゃんが九條先輩に『今だ!みゃーこ先輩っ!なでなでしてしまえっ!』と言って九條先輩が私の頭を撫でて来た時は負けを確信しちゃったよ、全く……。
極めつけは抱えるように胸に顔を沈めさせて『ごめんね?大人しくしてくれると……嬉しいな』って真横で申し訳なさそうに言われたので、落ちましたとも。ええ。
とまぁ、アーティファクトも使わずに無様に負けてしまった。後悔は無いけどねっ!
だけど、結城先輩と新海先輩からはアーティファクトと関係がないから経験にならないだろうとご指摘があったのでノーカンになってしまった。高峰先輩は終始それを楽しそうに見ていた。
そんなこんなの出来事もあって部屋に戻り、皆で楽しく作戦会議兼雑談をしていると、家の前に人の気配がした。
ピンポーン。
「ん?チャイムか?」
「……誰か来たみたいですね。ちょっと、私が出てきますので皆さんはそのまま寛いでいて下さい」
誰かが訪ねてくる予定も無いし聞いてもいない。
「誰だろ……」
ここには先輩達が居るので実家の人が訪ねてくる可能性は低い……けど、気配や足音は九重家の人と思われる。
「はーい、今開けます」
ちょっと警戒心を出しつつも玄関の扉を開ける。
「……や」
そこには、気だるそうな声と目をして立っている女性が居た。
「え?
「ん、久しぶり……これ、差し入れ」
手に持っている袋を渡して来る。
「これは……?」
「多分、ケーキとお菓子。九重のおじい様が、舞夜ちゃんにって」
「おじいちゃんの差し入れ?」
袋を受け取り、中身を見る。ケーキの細長い箱と、有名店のお菓子のロゴが入っている箱があった。
「わざわざありがとございます。それで……どうして璃玖さんが?」
「あー……私なら、安全だってさ。めんどいけど、久々にまやまやの顔も見たかったし」
相変わらず覇気の無い声で単調に告げる。
「まぁ……それはそうかもだけど……」
「それと、家の人達の思惑も……あると思うから」
「
「大事な時にごめん。元気にしてた?」
「ううん、璃玖さん個人は関係ないからね。あ、超元気してるよ?」
「なら、よかった。それじゃあ私は帰ろうかな」
「ありゃ?もう帰る?」
「うん。長居すると、まやまやに迷惑だし……手伝わされるのもめんどうだから」
「あはは……それなら修練場へ顔出すのは止めといた方が良いかも」
「気配がしたから近寄ってない。実家に長居すると、運動に巻き込まれるから早く逃げる」
「流石ブレないなー……。もし実家来て面倒だったら、ここに来ても大丈夫だから」
「……いいの?」
「うん。璃玖さんが大丈夫って分かってるから。二階の部屋とかでてきとうに時間潰して」
「……ありがと。流石まやまや、私のことを分かってる」
「ふふ、それを含めて璃玖さんのこと許可したからね~」
「それじゃ、何かあった時はお邪魔する」
「了解ですです。あ、これ届けてくれありがとです」
「このくらいは動かないとね~」
やる気無さそうに手を私に振って帰っていく。
「ん~……まさか璃玖さんが実家に来ているとは……」
玄関を閉めてふと思う。普段自分の部屋や家から出たがらない人なのに……。
「多分、無理やり連れだしたのかなぁ?」
実家に居ても居心地悪いだろし、おじいちゃん達が気を利かせてこれを渡したんだろう。そうすることで私と縁を繋いでいるってアピールも出来るから、一ノ瀬家も連れて来た意味があったと思ってくれる思惑が動いてそう。
「……ううん、今は関係ないね」
今の優先順位はアーティファクト関連だ。実家のしがらみは私には関係ない。その為におじいちゃん達に整えて貰ってるのだから。
「みなさーん!ケーキとお菓子の差し入れが来ましたー!」
思考を切り替えて和室の部屋でくつろいでいる皆の場所に戻る。
「おおっ!差し入れ?やったーー!」
「人数分のケーキと……良い所のお菓子ですね!食器とお茶を出しますのでおやつにしましょう!」
「あ、私手伝うよ?」
「では、お願いします!少々お待ち下さいね~」
「ありがとな」
「ありがたく頂くわ」
「フ、私も食器を出すのを手伝おう」
「け、け、けーき……!皆で……っ、あ、ありがとう、ございます……!」
「いえいえ、是非とも楽しんでください!」
次回辺りでお泊まり会をする予定です。
名簿
一ノ瀬 璃玖(いちのせ りく)
大学二年
一ノ瀬家の長女。生来の性格で無気力で割と引きこもりがちなダウナー系女子。
九重の一族の中でもトップレベルの天賦の才があるが、本人の性格のせいで半分も活かせてないしやる気の波が激しい。
戦闘中の勘が異常に鋭く、殺気や気配を掴むのが化け物染みており、これだけでも一族の中でもぶっちぎって一位。
生まれつき結膜以外の部分が黒く、小さい頃に揶揄われたことがあって若干気にしている。
実は、彼女自身が九重家の歴史における遺伝子の特異点に当たる……が、本人が全くやる気のない性格なので埋もれている。
幼い頃からその才能を開花させるために厳しく育てられていたが、主人公の存在が露わになってからその動きが緩和されたことで、割と主人公に感謝している。
一ノ瀬家と九重家のしがらみを疎ましく思っているので九重家に訪れるのを極力避けている。