9-nine- ―最高の結末を追い求めて―   作:コクーン√

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「ゴールデンウィークは……何もっ、な゛かった……!」

~新海翔、心の叫び~




第9話:これが恋愛の醍醐味って奴でしょうか……?

 

 

あれから数日が経ちましたが、お二人の様子が変わる事は一切ありませんでした。あの日から九條先輩は新海先輩の家へご飯を作りに行くとこも無くなり、それに対して天ちゃんが何かを察したのか全力で先輩を煽っていました。ほんの少しだけ私もそれに参加をしました。

 

新海先輩から聞く話では学校で九條先輩と出くわした時は明らかに避けられ、話しすらまともに出来ないまま時間だけが過ぎ、このまま疎遠になっていくかもしれない……と憂鬱そうに呟いてました。

 

「それでにぃに、実家でめっちゃ落ち込んでいたわけなのよ~」

 

「折角のゴールデンウィークだったのに実家に帰っただけなんだねー」

 

「これは完全に振られちゃったのでは?」

 

「九條先輩の口からはまだ聞いていないから……可能性はあるかもしれないよ?」

 

「それなら音信不通になるのかなぁ……いや、みゃーこ先輩ならありゆる」

 

「急展開過ぎて脳が追いついて無かったみたいだし、その内進展に私は一票入れておくね?」

 

「ならこっちはそのまま疎遠……は私的にも嫌だしなぁ。振られても何とか仲良くしてたいのは確か」

 

「天ちゃんのお兄さん次第だねぇ……」

 

「うちの兄貴はヘタレだしなぁ……」

 

うーん。やっぱり進展は無理そうだねぇ。お節介かもしれないけど、少し手助けした方が良いのかもしれない。ちゃんと物語が進むために……。

 

「それじゃ、また明日~」

 

「うんっ、ばいばーい」

 

手を振りながら天ちゃんを見送る。それじゃあ早速行きますかっ!

 

 

 

 

「と、言うわけなのですよ」

 

「いや、何がどういうわけなの?急に部屋に上がり込んで来て……」

 

「先輩達があれからお互いによそよそしくなってしまっている訳です!それをどうにかして行かないといけませんっ」

 

「俺にどうしろと……。そもそも、話そうにも九條が俺を避けてしまっているし」

 

「九條先輩に問題有って感じなのは私も同意ではありますが、今は先輩の考えを聞いておきたいです」

 

「俺の考え?」

 

「はい、先輩はまだ九條先輩の事好きですよね?」

 

「そりゃ……まぁ、好きだけどさ」

 

「お付き合いが出来るのならしたいですよね?」

 

「俺に出来るのならな……。でも考えてみれば身分差あるし、アーティファクト関連で親しくなっていたから思いあがっていたかもしれないな……はは」

 

「あー、そういった言い訳はいいので」

 

「言い訳って……ほんとのことだろ?」

 

「今時、その程度で諦める理由にはなりませんよ。先輩なら問題ありません。私が保証します」

 

「何を根拠に……」

 

「これでも九條先輩の家系とはそれなりの付き合いがありますから。私が聞いている範囲では先輩の事を疎ましく思っていないとだけ言っておきましょう」

 

「こっちは一般家庭だぞ?相手は社長令嬢だろ?」

 

「関係ありません。九條先輩は肩書きなんて気にしませんし、それは九條家の人間も同じです。あくまで新海翔という人間を見ます」

 

「俺自身を……もっと自信無くすわぁ」

 

「何を言っているんですか。先輩の事を一番尊敬していたのは九條先輩じゃないですか。あの火事の日、天ちゃんを助けるために犯人を止めに火の中に飛び込む背中を見ていたんです。誰よりも勇敢で、信頼出来る人だって……。先輩ご自身はそうは思っていないかもしれませんが、認めている人だっているんだという事を覚えていて下さい」

 

「それは、九重にも言える事だろ?」

 

「私と先輩じゃ、土台が違いますからね。これでも九重の名を名乗っているのです、素人の先輩と同列にされては名折れですよ」

 

それに先輩達の為なら火の中海の中ですし。

 

「私が言いたいのは……えっと、先輩はもっと自分に自信を持って大丈夫ってことです。安心してください、九條先輩は別に先輩の事が嫌いになったとか下心を持っていたとかで距離を置いている訳ではありませんっ」

 

「それは九條本人が言っていたのか……?」

 

「そんなの普段の九條先輩を見ていれば分かりますよ……。それとも、先輩は九條先輩がその程度の人格者だって思うんですか?」

 

「……それはありえないな」

 

「ですよね。それに大丈夫です!話し合う場は私が作ります!一対一で先輩の言葉が伝えられる場を設けますからっ」

 

「今の言い方だと……俺が九條に告白する流れに聞こえるんだが……?」

 

「え、もしかしてしないんですか?ここまで後輩に発破掛けられ、御膳立てされて……なおっ!新海先輩は思いを伝えないとおっしゃるのですね?」

 

「いや、そういうわけじゃ……」

 

「……日和ってます?」

 

「なっ!?……ああっわぁった!俺も男だ!します、しますとも!」

 

「それでこそ私が認めた先輩です♪」

 

「そこまで言われて、しませんって言えるわけないだろ……」

 

「そう仕向けたんですけどねー」

 

「全く……。それで?何か計画はあるのか?」

 

「勿論ですっ!任せて下さい。最高の舞台を先輩達にお届けしますので!」

 

 

 

 

次の日、私はとある人物に会う為喫茶店で待ち合わせの約束をした。

 

「ごめん舞夜ちゃん、掃除が長引いて遅れちゃった」

 

「いえいえー、掃除なら仕方ないですよ。今日は急なお誘いにも関わらず来て下さってありがとうございます。()()()()

 

「僕は女の子の誘いは断らない主義なんだ」

 

「……軟派男ってことですか?」

 

「義理堅いって言って欲しいかな!?」

 

「それで、今日は何の用があったの?あ、もしかしてまたデートの誘い?」

 

「残念ながら今回は違いますねー。実は相談がありまして……あ、その前に何か飲まれます?誘った側ですし奢らせていただきますよ?」

 

「それじゃあ折角だし、お言葉に甘えちゃおうかな」

 

お互いに注文を終え、話を切り出す。

 

「深沢先輩なら察しているかと思いますが、最近新海先輩と九條先輩がよそよそしいんですよね」

 

「やっぱり?目が合ったら逸らしたり、意味深なすれ違いをしていたり二人ともあからさまに意識しているなっておもってたんだよね~。あれってまだ付き合ってないんでしょ?」

 

「そうですねー、新海先輩の好意が九條先輩に知られてしまって、恥ずかしいからか九條先輩が避けている感じなんですよー」

 

「なーんだ、てっきり翔が九條さんに変な事したかと思ったよ」

 

「変な事する前に避けられてしまいましたからねぇ……」

 

「つまり、舞夜ちゃんの相談って言うのはその二人を何とかしたいってことで良いのかな?」

 

「正解です。このままでは進展せずに気まずいままですから」

 

「どうしたいとか案があったりするの?ボクを誘ったって事は」

 

「一応あります。二人きりで会うってなると避けられるのなら、大人数でどこかに遊びに出掛けるなどの体で会うとかでしたらまだハードルが下がるのかと考えていまして……」

 

「なるほどねっ、クラスメイトで遊びに行くって話でも出して二人を会わせる。って作戦だよね?」

 

「そうですっそうですっ、そんな感じです」

 

「実は僕もどうにかしたいって考えていたんだよね~。あの二人が落ち着かないとクラスのみんな気が気じゃないんだよね」

 

「うわぁ、そわそわしてしまいそうですね……それ」

 

「だから舞夜ちゃんの提案はナイスだよ、そこで僕を呼んだってわけね」

 

「交友関係が広い深沢先輩ならクラスの方々と遊びに行く計画くらい簡単に実行できるかとおもってたので」

 

「まぁね。僕なら余裕でいけるから任せて」

 

「ありがとうございます!」

 

「予定とか日にちはこっちで適当にしておくから決まったらまた連絡するよ」

 

「分かりましたっ。……LINGのID交換しておきます?」

 

「えっ、良いの!?」

 

「そっちの方がすぐに連絡取り合えるので無駄が無いかと……」

 

「するっ、するよ!まさか、舞夜ちゃんから交換を申し出てくれるなんて……」

 

「あはは、今回の件での感謝の印と受け取って下さい」

 

「それじゃあ、決まったらまた連絡送るよ!」

 

「すみませんが、よろしくお願いしますねっ」

 

これで確実にラウンドツーに行ってくれる……!ここらで学生が大人数で遊ぶってあそこしか選択肢無いからね!

 

取りあえず場のセッティングは出来そうだ。後は深沢先輩がまとめてくれると思う。後は九條先輩の逃げ場を無くすだけだね!

 

必要無いとは思うが、もしものことを考えて次の行動に移す。

 

 

 

 

「そろそろ大丈夫かなー」

 

スマホを取り、電話を掛ける。何回かコールが鳴ると電話に出る音が鳴った。

 

「もしもし?」

 

「あっ、九條先輩!夜遅くにすみません。今電話平気ですか?」

 

「うん、大丈夫だよ。どうしたの?こんな時間に電話だなんて……」

 

「率直に申し上げますが、最近の先輩方を見てて、居ても立っても居られなくなって話がありまして……」

 

「ぁ……ごめんね?やっぱり舞夜ちゃんにも迷惑かけちゃってたよね?」

 

「ああ、いえ。私は特に害は無かったので謝る必要は皆無ですです。それよりお話があって電話したんですよっ」

 

「お話?」

 

「実はですね。九條先輩と新海先輩の二人を見ててクラスの方々が一役買ってあげよう作戦を立てているのですよ」

 

「ぇ、クラスのみんな……?」

 

「近日中に深沢先輩からお誘いがあると思うんです。『クラスの人とラウンドツーに行くけど、九條さんもどうかな?』ってお誘いが」

 

「えっと、皆で遊びに行くの……?」

 

「はいっ。勿論、新海先輩も誘うつもりです!と言うか必ず来てもらいます!なので九條先輩も新海先輩が行くのなら行って下さい!」

 

「もしかして、私と新海くんの為に?」

 

「その通りです。このままお互いによそよそしいままで居るのは九條先輩だって嫌だと思いますし、ここらで覚悟を決めて頂かないと……」

 

「か、覚悟って……」

 

「何の覚悟かは先輩達が良く分かっていると思いますよ?」

 

「ぁ、えっと……うん。そうだね……」

 

「後は若い者同士で話し合って解決してくださいね!」

 

「若い者同士って……舞夜ちゃんの方が一つ下だよ……?」

 

「恋する男女を見ると若いって良いな……って思う様になっているんですよねー……」

 

「そんな近所のおばあちゃんみたいな……」

 

「あはは、まぁそんな感じで上手い事やっちゃってください!まだ石化事件は解決していないので先輩達がこのままですとそれすら出来ませんので~」

 

「そうだね。うん、わかった。頑張ってみるね?ありがと」

 

「お礼はお二人から聞く予定なのでまた後で改めて聞くことにします。ではでは、おやすみですっ。成功を祈っています!」

 

「ふふ、ありがと。おやすみなさい」

 

通話を終え、ベットに寝転がる。LINGでは深沢先輩と何回か既にやり取りをしており、問題なく作戦可能とのことだった。

 

「これで付き合いませんでしたとか言われたら笑うしかないかな……?」

 

ありえない可能性を考え、小さく笑う。両想いだしそれは無いよね。

 

後は、新海先輩がどう切り出すか次第。あ、一応後で新海先輩にも深沢先輩からの誘いがあるって言っておかないと……。

 

ベッドで転がりながら、三つ隣の住人に向けてメッセージを送り始めた。

 

 





次でお付き合いが……始まってくれると……いいなぁ。

このイベントが終わったら物語も終盤ですね()

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