明けましておめでとうございます!(既に半月が過ぎていますが……)
今年もよろしくお願いします。……と、言うことで、年末から年始にかけて色々とあり、少し落ち着いたので続きをちょろちょろと書いて行きます。今年中に完結出来るように頑張っていきますので、長い目で見守って頂けると嬉しいです。
主人公視点を書いてから、すこーしだけ敵サイドの視点も入れてみようかと……。
「こちら舞夜、指定エリアに着いたよ」
夜も深まって来た時間帯。通話越しの璃玖さんへ声をかける。
『ん、時間ピッタリ』
「この建物が取引場所……で良いの?」
『情報通りなら、多分』
新海先輩に例のお薬を渡してから更に一週間ほどの時間が過ぎた。璃玖さんが経路から調べた結果、目の前にある建物が取引や保管に使われているとのことらしい。
「了解、とりあえず見てみるね」
『そっちの記憶には、無い情報?』
「だね。あくまで私が知ってるのは、向こうが事を起こした後の情報だからね」
少なくとも、この建物が関係していたとは聞いていない。
『もしかすると、ハズレかも……その時はごめん』
「平気平気、少しでも向こうを荒らせれば儲けだからね。それよりも……周囲の監視は任せます」
『ラジャ、任せて』
通話を切って、正面の二階建ての建物を見る。
街中に普通に建っているそれは、他の建物と比べてもおかしい箇所は見られないけど……。
「ま、だからこそ使えるのかもね」
今回の件、数時間前に璃玖さんが掴んだ情報なのでぶっちゃけ当たりじゃなくても構わない。目的は敵サイドに余計な情報を掴ませたいだけ。
「始めましょうか」
気配を消し、建物のカメラの目が通って無い場所を探す。
「……なるほど、普通の建物にしちゃ多いね」
入口だけでも各場所にカメラが存在している。
「二階はー……っと」
二階の窓へ飛び移り、左手で外に出ている窓のサッシ部分を掴み、映らない様に中を覗き込む。
「あちゃー、ちゃんとこっち向いてるね」
部屋の中には入口のドア方面では無く、窓のこちらを見るようにカメラが設置されていた。念のため他の入れそうな場所も調べてみたけど似たような感じだった。
「厳重な事で……」
一旦建物から離れ、再度璃玖さんへ連絡を取る。
『何かあった?』
「一通り外から見てみたけど、至る所にカメラがあった感じだったよ」
『アタリ……?』
「可能性はあるかも?璃玖さん、建物のカメラをハッキングとか出来たりする?」
『流石に無理。少し興味はあるけど……』
「ですよねー」
『厳しそう?』
「余裕」
『良かった』
「それじゃ、また何かあったら」
『ん、お願い』
会話を終え、スマホをポケットへしまう。
「潜入は専門じゃないけど、いっちょやりますか」
顔が見えない様に隠してから再び建物へ向かい、二階の窓へと飛び移る。
こちらを向いているカメラへ能力をかけ、状態を固定する。これで解くまでは同じ景色が映ってることになる。
そのまま窓を掴み、強引に外す。音が周囲に漏れない様にちゃんと能力を使っておく。
「よいしょっと」
中へ入り、窓を元の位置へ戻してから部屋の中を見渡す。
「………」
見た感じ、ただの小部屋に見えるけど……。目的の場所は他かな?
普通なら潜入する建物の間取りやカメラの位置などの情報を事前に頭に入れてから始めるのだけど、今回は仕方ない。
手探り感が否めないが、アーティファクトの能力で何とかなるだろうと考え部屋の外の気配を探る。
「……大丈夫かな」
部屋の外へ出る前に中に設置されているカメラを調べる。
「んー……暗闇でも割としっかり映すタイプっぽいなぁ」
遠隔で24時間見れるパターンだろうし……骨が折れそう。人の動きで警報が鳴るやつだったらどうしよ。
確認の為に、ドアノブに糸を巻き付けてから扉を開けて軽く押す。静かに音を立てながら開いて行くが、特に何も起こらない。糸を引っ張り扉を閉める。
「……んーむ。問題無さそう」
すぐにどうこうなる感じじゃなさそう?大丈夫かな。
「考えても仕方ないし、進みますか」
顔さえ見られなければ良いんだし。
そう割り切り、扉を開けて外を覗く。
「カメラは……なしっと」
部屋から出て二階通路を歩く。
「他に部屋は無さそうだし……後は一階かな」
階段を見つける。ちゃっかりとカメラもあり、下の階層を見ている。
「では、一階を見ていきますか……」
能力でカメラを固定し、そのまま一階へ下りる。
一階に着くと、玄関フロアに行きつく。当然のように入口方面にはカメラが設置されている。
それらをスルーして一階の通路へと進む。
通路には両側に扉があり、通路奥にも扉がある。
右手の方の部屋へ入ると、部屋の角にカメラがあったのでそれを固定して中を確認するが、段ボール箱や棚が色々と置かれている。
適当に見ていると、食料系が多くある。
「見た感じだと、運ばれた日もそう遠くないね」
どれも日持ちしやすそうな食べ物が多い。それに比較的に火などの調理の手間が少ない物だ。
次に左側の部屋へ入る。右の部屋と同じ様にカメラがあったので能力をかける。
こっちは……服?
軽く調べると、こっちは衣類系だと思われる。靴や下着まである。
「性別は……男寄りだね」
恐らく、倉庫的役割の部屋と思われる。
「どっちの部屋にもカメラは有り……と」
部屋を出て、一番奥の部屋に入る。
「最後は……会議室?」
最後の部屋にカメラが無いことを見てから部屋を見渡すが……そこには、会議室などでよく見かける茶色の長テーブルが幾つか並べられていた。部屋の端には裏口へ出ると思われるドアがあった。
「……これでお終い?」
思ったよりもあっけない。
「んー……地下がある様には見えなかったし、外見と合わせても他に部屋は無さそうだし……」
まぁ、人の出入りがある形跡は残ってるけど……。
「思ったより控えめだねぇ……これはハズレを引かされた感じかな?」
何となく予想はしていたけど、ここは本命では無かったらしい。
「それでも物資は置いてるから、保管庫的役割はしているはずだし……妨害はしておこっかな」
アーティファクトの能力を使って、建物からの音が外へ漏れない様に覆う。
「さてと、最後に身体でも動かしますか」
左手を握り、行動を開始した。
「璃玖さん。終わったよ」
用件が済んだので、建物から出て璃玖さんと連絡を取る。
『お疲れ様。どうだった?』
「ハズレかなー?それっぽい物は無くて、服と食料しか置いてなかったからただの倉庫だと思うよ」
『外した……。ごめん』
「無問題。もしかすると、敵を釣るための餌だったかもしれないから私としては好都合」
『何かしてきた?』
「まぁ、ちょっとした嫌がらせ?向こうで何か動きがあると嬉しいなーって位のを、ね」
『……探っておく』
「頼みますとも。ではでは、また何かあれば」
『ん。また』
一仕事終え、軽く腕を伸ばす。
「んっ……っと、その内しげさんには話しておかないといけないね」
白巳津川での騒ぎが起きた事になるので、明日には情報が耳に入ることだろう。けど、もう暫くは知らないままで犯人捜しを続けてもらう事にしよう。その方がしげさんも怪しまれないだろうし。
「何か甘い物食べたい気分だけど、冷蔵庫何かあったっけなぁ……。コンビニ寄ろっかな」
夜道を歩きながら湧いてきた食欲を解消するために考える。
……そう言えば、先輩に薬を渡したけど、本人から感想聞くのを忘れていた。女性陣から……特に香坂先輩からはちょくちょく聞かされてるけど。
「……アフターケアは大事だよね」
何となく結果が予想出来てしまったので、苦笑いをしてしまう。
「さてと、
璃玖さんと連絡を取っていたスマホとは別のを取り出し、メッセージを送った。
「龍誠様、ご報告がございます」
「何が起きた?」
予定に無いタイミングの報告に問題が起きたと察する。
「昨日、ダミーとして用意していた一カ所が何者かによる襲撃を受けました」
「情報を流してから、どの程度で襲われた」
「恐らく、五時間後かと」
「早いな……。九重家の仕業か?」
「現状はまだ判明しておりません。少なくとも、九重家の人間に目立った動きはありませんでした。浮島家も同様です」
「九重舞夜はどうだった」
「同刻、部屋に居たことは確認済みです。……一つ申し上げるとすれば、その日の夜に近くのコンビニへ出掛けていることかと」
「コンビニに?」
「はい。デザートを二つ程買っています。こちらはコンビニで捨てられていたレシートから確認済みです。その後は真っ直ぐ部屋へ帰宅しております」
「何が気になっている」
「コンビニへ出掛けた時間帯が、襲撃が起きた時間と近いこと……でしょうか。大きく見積もっても誤差は起きた一時間以内になります」
「……偶然か?」
「分かりません。監視していた者から送られてきた報告と映像を見る限りでは、ただコンビニへ立ち寄っただけでしたが……」
「なるほど……」
「一応、現場へ人を送って調べさせましたが、かなり荒らされており、物資を盗まれた形跡があった様です。裏口のカメラと部屋のカメラが破壊されておりましたので、裏口から入り込んだかと思われますが、部屋のカメラの記録には、ドアが開き、人影と思われるのが映った瞬間に破壊されております」
「カメラの破壊痕は」
「なにか大きな物で叩き潰したように粉々になっていたようです。散らばっている破片から見ても恐らく一回で」
「カメラの位置を把握していたという事か」
「それなりの手練れで、構造を知っている者となると……」
「浮島家か、あの街の人間の可能性が高くなりますが、雑な破壊の痕跡と物資が盗まれているのも考慮すると、後者の可能性が上がるかと」
「あのゴミ共なら、何をしてもおかしくは無いからな」
「当然、それらの一部の暴走か、他の勢力が工作した可能性も十分に考えられますので、充分に調べておきます」
「何か分かれば知らせろ」
「はい」
頭を下げ、報告をした男が去って行く。
「……あと数人、監視する対象を増やしておくべきか」
「と、いう感じの会話のやり取りがありましたね」
「やっぱりあれはハズレだったかー……」
後日、事前に一ノ瀬龍誠の場所に侵入してもらっていたハットリさんから、その後のやり取りを私の部屋で聞く。監視に怪しまれない様にベッドでゴロゴロしながらスマホをいじっている。
「ですね。協力者のあの子はそれを掴んだようでしたね」
「まぁ、私としてはどっちでも良かったから特に裏は取らなかったんだけどねー。他には何か言ってた?」
「そうですねぇ……。その後、浮島家と少し電話でやり取りをされていたと思われる会話を聞いた程度でしょうか?」
「なるほどなるほどー……」
「お好みの内容が聞けましたか?」
「んー……予想通りってのが分かったから満足しているくらいかな」
「では、今後も今回と同じやり方という事で」
「うん、お願い。その内街に余計な賊が入ってきたりもすると思うからそっちも排除しつつ……もし人が配備されている場所を見つけたら教えて」
「畏まりました。何か入り次第また来ますよ」
「あ、おじいちゃん達にも連絡をお願いしまーす」
「はいはい、任せて下さい」
ベッドから立ち上がり、夜風に当たるために窓を開けると、部屋の中から気配が消える。
「さてと、今の時間帯は……新海先輩の部屋には誰も居ない予定だし、ちょっと様子でも見ておこうかなぁ」
その内私も忙しくなるだろうし、今の内の出来ることはしておかないとね。
部屋に戻り、上から一枚羽織ってから玄関へ向かった。
ちょっと短め。
次は新海翔とのお話を書いて……一度アーティファクトでも集めようか……それとも……。