Roselia 〜屹立の青薔薇〜   作:山本イツキ

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およそ一年。ずっと逃げてました。

本当にごめんなさい………


病み病みの実〜モデル 社畜〜のメンタルお豆腐人間は
今日から再び執筆活動を再開し
誠心誠意頑張っていく所存であります



第十六曲 病床

 (ダメだ。完全に、やらかした………)

 

 

 季節の変わり目というのは誰しもが体調を崩しやすいものだ。急激な気温の変化に加え、各ウイルスが活発になり人の体を蝕む。

 夏が終わり、紅葉が見られる秋を迎えたのだが、オレは今ベッドの上。昨日から37.8℃の熱を出していたのだが、今朝測ったところさらに上がり、38.3℃を計測。

 体調管理には特に気をつけていたのだが、やはり季節の変わり目には敵わないようだ。

 

 

 「何か欲しいものはあるかしら?」

 

 

 ベッドに横たわるオレの隣で友希那はそう声をかける。

 

 

 「ない。今日は、このまま寝るつもりだ……」

 

 「そうした方がいいわね」

 

 「Roseliaの練習、いけなくてすまんな」

 

 「気にしなくていいわ。今はゆっくり体を休めてちょうだい」

 

 「ああ……」

 

 

 友希那はそう言い残し家を後にする。

 本来なら今日はCiRCIEでバイトをしつつ、空き時間でRoseliaの練習を手伝う予定だったのだが、全てが丸潰れだ。

 義両親もいないし、このまま静かな家の中で一人眠りにつくとするか ────

 

 

 

 夢の中。

 何だかいつもよりふわふわしてる感じだ。普段夢を見ることなく目覚めることが多かったから不思議な気分だな。

 ここは………どこだ?

 辺りを見渡そうとするが、顔が動かない。目を動かすので精一杯だ。真っ白な天井と質素な部屋作り。なるほど、病院か。

 だが、何でオレが病院にいるんだ?入院………いや、そこまで酷い風邪じゃなかっただろ。

 

 

 『失礼します』

 

 

 コンコン、と扉をノックされ医者が部屋に入る。

 

 

 (紗夜?)

 

 

 白衣を纏った紗夜がオレの目に映る。なるほど、確かに紗夜なら頭もいいし医者になるかも………って、おいおい。まだ先の話だろ。

 これはなんだ、コスプレ大会か?

 そんなことより、普段無口なオレなのにツッコミがすぎるぞ。連載が1年近く開いたことによるキャラ崩壊か?なあ、何を考えてるんだ執筆者。

 

 

 『全く、身体が弱いんですから無茶をしないでください』

 

 

 身体が弱いだと?確かに運動は嫌いだが、心配されるほどやわじゃないぞ。

 

 

 『今はゆっくりお休みください。すぐに看護師さんが来ますので、何かあればその方に伝えるようお願いしますね』

 

 

 そう言い残し医者のコスプレをした紗夜が部屋を後にする。それと入れ違いに、見知った顔がまたしてもナース服を着てオレのそばに歩み寄る。

 

 

 『雄樹夜………さん…………』

 

 

 おいっ、何の真似だ。燐子。

 お前はそんなキャラじゃなかっただろう。

 

 

 『眠れ………ません、でしたか………?』

 

 

 眠るどころかお前たちのせいで目も脳も冴えたぞ。

 

 

 『いつも………お世話に、なってるので………』

 

 

 そう話しながらオレの布団に潜り込もうとする燐子。

 だからやめろって。夢の中だからって何でもしていいわけじゃないんだぞ。オレたちは高校生。それに、こんなところを他のメンバーに見られたら………おいっ、オレの体に触れるな脱がそうとするんじゃない。

 

 冗談は夢の中……ってここは夢の中か。

 

 違う、そうじゃない。

 頼むからやめてくれ。これ以上は───────

 

 

 

 「…………ッ!!」

 

 

 思わずベッドから起き上がる。

 先ほどまで映っていた光景を思い出し、きらした息を急いで整える。

 

 

 「わああ!?び、ビックリしたあ!!」

 

 

 隣を見ると、おぼんを手にしていたリサがこちらを見て驚いた様子を見せていた。

 いつの間にリサがこの家に?というか練習はどうした?

 そんな疑問や驚きの前に先ほどの夢のインパクトが強すぎて、こっちの心理状態は正常なんかじゃない。

 

 

 「………きてたのか、リサ」

 

 「そうだよー?もお、ビックリさせないでよね〜」

 

 「悪い」

 

 「お粥、食べれる?」

 

 「ああ………」

 

 

 さすが気が利く。こういう家庭的なところを友希那にも見習って欲しいものだな。

 頭痛がジンジンと響く体を起き上がらせると

リサは蓮華でお粥を掬い、笑顔でオレに差し出す。

 

 

 「ほらっ、あーん♪」

 

 「やめろ。オレは、子供じゃ、ない」

 

 「そんな辛そうにしてるのに一人で食べられるの?」

 

 「問題、ない」

 

 「もー、フラフラじゃん。お粥を溢して布団汚しちゃったら元も子もないでしょ?だから、ほらっ!」

 

 

 こうなったらリサはテコでも考えを変えない。仕方ない、と言った様子でお粥が掬われた蓮華を口に運ぶ。

 

 

 「味は?どう?」

 

 「………熱い」

 

 「ええ!そっち!?」

 

 

 ここまで尽くしてもらっている人間が言うセリフではないが、もう少し冷ました状態で持ってきて欲しかった。

 

 

 「それじゃあ次は〜………ふぅー、ふぅー」

 

 

 再度お粥を掬い、息を吹きかけ冷まそうとするリサ。ここまでくると要介護者か赤ん坊と同類だろう。

 

 

 「いや、それぐらいは自分でできる」

 

 「ダーメ!アタシがやるの!」

 

 「はあ、わかった」

 

 

 一体なぜそこまでしてオレの看病を買って出るのか理解できん。しかし、ここまできたら最後までとことん尽くしてもらおう。

 オレはリサの吐息で冷ましたお粥を食べ進めそのまま完食する。味は文句のつけようがないレベルのおいしさだった。

 

 

 「薬とお水もちゃんと飲むようにねー」

 

 「ああ───おっと」

 

 

 リサから手渡された錠剤と水の入ったグラスを滑らせ掛け布団の上にこぼしてしまう。

 

 

 「もぉ〜、気をつけてよねー」

 

 「すまん」

 

 

 仕方ない、といった様子でリサは机の上からティッシュを数枚引き抜き濡れた掛け布団にそれをあてがう。

 

 

 「………んん?」

 

 

 不意に首を傾げるリサ。

 

 

 「ポケットに………なにか入ってる………?」

 

 

 疑問に思いつつも硬い感触のする部分を触れ続ける。

 

 

 「リサ」

 

 「なに?」

 

 「尽くしてもらってなんだが、その………手を離してくれないか」

 

 「えっ?」

 

 「あまり触られると、反応に困る………」

 

 

 リサはオレの顔から手が触れている部分へと視線を移す。そこはちょうど()()()()()()

 頭痛のせいで全く気が付かなかったがあの変な夢のせいだろう。思春期真っ只中なオレの身体が反応して、一部分を硬直させていた。

 他人よりそういった欲は薄いと思っていたのだが、やはりオレも高校男児。ちゃんと欲はあったようだ。

 

 だが、その羞恥の姿を見せる相手が悪すぎた。恥ずかしさのあまり顔を逸らし、そう告げるのが精一杯であった。

 

 

 「…………うわああっ!!」

 

 

 飛び上がるようにパッと手を離し後退するリサ。ハァ、ハァ、と呼吸が荒くなり、放心したような様子だ。

 

 

 「本当っ、すまん」

 

 「し、仕方ないよ。だって、生理現象、なんだもん………」

 

 

 そう告げるリサだが、未だこの状況下で冷静になることができず愕然としている。とことん尽くしてもらうとは言ったが、もちろんオレにそんなつもりはない。断じてない。神に誓って言おう。

 

 

 「なんて詫びたらいいのか……」

 

 

 怖い思いをさせて本当に申し訳ないと感じる。

 

 

 「い、いいって!気にしないで!」

 

 「しかし………」

 

 「大丈夫!寧ろ、雄樹夜がちゃんと男の子してて安心したっていうか………」

 

 「それ以上はやめてくれ」

 

 「あはは!照れなくてもいいじゃん☆」

 

 

 リサの笑顔が眩しくて直視できない。それに、今は自分でもわかるぐらい顔が熱い。

 風邪によるものではないことは鈍い友希那にだってわかるほどに。

 

 

 「話は変わるが、今日の練習はどうした?」

 

 「雄樹夜がいないと締まらないってなって結局自主練になったんだ〜。それで、友希那に頼まれてアタシがきたって感じ!」

 

 「看病しにきてくれたのは助かるが、オレ抜きでも練習できないと話にならないだろ」

 

 「友希那も頑張ろうとはしてたけど、イマイチ気持ちが乗れてなかったというか………全然練習に身が入らなかったというか………」

 

 

 おおかた、他のメンバーの注意をしようにも自分も同じような状態だったから何も言えず解散したといったところだろう。

 ライブまで日はあるが、友希那(リーダー)がちゃんとしないと周りはついていかない。

 家に帰ったら説教が必要だな。

 

 

 「今度、友希那に家事全般教えてやってくれ」

 

 「もちろんOKだけど、雄樹夜にも教えないとね♪」

 

 「オレもか?最低限、洗濯と掃除はできるんだが」

 

 「万が一友希那が風邪を引いちゃったら面倒見るのは雄樹夜になるからね。今日みたいなことが起きたら」

 

 「………善処する」

 

 「そこはちゃんと『わかった』って言わないと!」

 

 

 全く似てないオレの声真似をしながら励ますリサ。体調管理をキチンとできていなかったオレの責任ではあるが、今日一日練習できなかったからには明日は倍、いや、3倍の練習をこなしてもらう必要がある。

 

 Roseliaに妥協は一切しない。

 

 

 オレも付きっきりで面倒を見続けられるわけじゃないからな。




実はというと、執筆者は今出張で千葉にいるんです。

すごくのどかでいいところですね(場所は詳しくは言えませんが)


やっぱり一人は落ち着くなあ………
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